説明

画像形成装置

【課題】排出トレイ上に各印刷データの印刷物が蓄積されて混在してしまうことを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】カメラ18により装置本体の近傍に位置するユーザの顔を含んだ領域の画像を取得し、取得した画像から顔の特徴を示す特徴情報を導出し、導出した特徴情報とHDD46に記憶されているユーザ毎の特徴情報とを照合してユーザを特定し、特定されたユーザの印刷データに基づく印刷を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に係り、特に、ネットワークに接続されて多数の端末装置から共有して利用可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複合機等の画像形成装置には、ネットワークに接続されてパーソナル・コンピュータ等の多数の端末装置から共有して利用可能とされているものがある。
【0003】
しかし、この種の画像形成装置は、各端末装置から受信した印刷データを受信した順に印刷した場合、排出トレイ上に各印刷データの印刷物が積層されてしまい、端末装置からのユーザの印刷指示により印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまう場合がある、という問題点があった。
【0004】
この問題点の解決に適用できる技術として、特許文献1〜3には、パスワードが設定されている印刷データをプリンタで受信し、ユーザによってプリンタの操作パネルに入力されたパスワードが印刷データに設定されたパスワードと一致した場合に、印刷データの印刷を実行する技術が開示されている。
【0005】
すなわち、画像形成装置が多数の端末装置から共有して利用可能とされている場合、特許文献1〜3の技術を利用して、例えば、画像形成装置で各端末装置からパスワードが設定された印刷データを受信して一旦蓄積し、ユーザが画像形成装置のディスプレイに表示された印刷データから印刷対象とする印刷データを指定してパスワードを入力し、入力されたパスワードが印刷データに設定されているパスワードと一致した場合に、印刷データに基づく印刷を行うことにより、ユーザが意図したタイミングで印刷物を出力させることができるため、ユーザの印刷指示により印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまうことを防止できる。
【特許文献1】特開平9−65148号公報
【特許文献2】特開平7−125383号公報
【特許文献3】特開平10−125383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、パーソナル・コンピュータ等の端末装置では、キーボード等から入力した文字情報や、画面に表示されている文字情報をスピーカーから音声として出力するソフトウェア(所謂、画面読み上げソフト)が各種販売されており、全盲や強度の弱視等の視覚障害者が当該ソフトウェアを用いて端末装置で文書等を作成して印刷を行う場合がある。しかし、上述したように、多数の端末装置で画像形成装置を共有して利用していた場合、視覚障害者より印刷が指示されて印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまう場合がある。このため、画像形成装置に、上述した特許文献1〜3の技術を利用して異なるユーザの印刷物と混在してしまうことを防止することが考えられる。
【0007】
しかしながら、視覚障害者は、ディスプレイに表示された印刷データに関する情報を視認することが困難であるため、印刷対象とする印刷データを指定できない場合があり、特許文献1〜3の技術を利用することができない。このため、ユーザの印刷指示により印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまう場合がある、という問題点が依然として残る。
【0008】
なお、テンキーはキー配列が定められているため、パスワードを数字で定め、操作パネルにテンキーを配置することにより、視覚障害者であってもテンキーを用いてパスワードを入力することは可能である。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、ユーザの印刷指示により印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまうことを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ユーザ毎の顔の特徴を示す特徴情報を当該ユーザを識別する識別情報に対応付けて予め記憶するユーザ情報記憶手段と、印刷を指示したユーザの前記識別情報が付加された印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、装置本体の近傍に位置するユーザの顔を含んだ領域の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段により取得された前記画像から顔の特徴を示す特徴情報を導出する導出手段と、前記導出手段により導出された特徴情報と前記ユーザ情報記憶手段に記憶されているユーザ毎の特徴情報とを照合してユーザを特定する特定手段と、前記印刷データ記憶手段に記憶されている前記特定手段により特定されたユーザの前記印刷データに基づいて印刷する印刷手段と、を備えている。
【0011】
請求項1に記載の発明は、ユーザ情報記憶手段にユーザ毎の顔の特徴を示す特徴情報が当該ユーザを識別する識別情報に対応付けて予め記憶されており、印刷データ記憶手段に印刷を指示したユーザの識別情報が付加された印刷データが記憶される。なお上記ユーザ情報記憶手段及び印刷データ記憶手段には、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、フレキシブルディスク等の可搬記憶媒体、ハードディスク等の固定記憶装置が含まれる。また、ユーザ情報記憶手段及び印刷データ記憶手段を物理的に1つの記憶手段として構成してもよい。
【0012】
そして、本発明によれば、画像取得手段により、装置本体の近傍に位置するユーザの顔を含んだ領域の画像が取得され、導出手段により、画像取得手段により取得された画像から顔の特徴を示す特徴情報が導出され、特定手段により、導出手段により導出された特徴情報とユーザ情報記憶手段に記憶されているユーザ毎の特徴情報とを照合してユーザが特定され、印刷手段により、印刷データ記憶手段に記憶されている特定手段により特定されたユーザの印刷データに基づいて印刷が行なわれる。
【0013】
このように請求項1記載の発明によれば、ユーザ情報記憶手段にユーザ毎の顔の特徴を示す特徴情報を当該ユーザを識別する識別情報に対応付けて予め記憶させておき、印刷データ記憶手段に印刷を指示したユーザの識別情報が付加された印刷データを記憶させ、装置本体の近傍に位置するユーザの顔を含んだ領域の画像を取得し、取得した画像から顔の特徴を示す特徴情報を導出し、導出した特徴情報とユーザ情報記憶手段に記憶されているユーザ毎の特徴情報とを照合してユーザを特定し、印刷データ記憶手段に記憶されている特定されたユーザの印刷データに基づいて印刷を行なっているので、ユーザが画像形成装置の近傍に位置したタイミングで印刷データの印刷が実行されるため、ユーザの印刷指示により印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまうことを防止することができる。
【0014】
なお、請求項1記載の発明は、請求項2記載のように、前記ユーザ情報記憶手段は、前記識別情報に対応付けてユーザ毎のパスワードをさらに記憶し、前記パスワードを入力するための入力手段と、前記入力手段より入力されたパスワードを前記ユーザ情報記憶手段に記憶されている前記特定手段により特定されたユーザのパスワードと照合するパスワード照合手段と、をさらに備え、前記印刷手段は、前記パスワード照合手段により照合の結果、パスワードが一致した場合に印刷するものとしてもよい。
【0015】
また、請求項1又は請求項2記載の発明は、請求項3記載のように、前記印刷データ記憶手段は、前記印刷データの前記印刷が指示された時期に関する情報をさらに記憶し、前記印刷手段は、前記印刷データ記憶手段に記憶されている前記時期に関する情報に基づき、前記特定されたユーザから所定時間以内に印刷が指示された前記印刷データに基づいて印刷するものとしてもよい。
【0016】
さらに、請求項2記載の発明は、請求項4記載のように、前記印刷データ記憶手段は、複数の印刷データを記憶すると共に各印刷データの前記印刷が指示された時期に関する情報をさらに記憶し、前記入力手段は、更に前記印刷手段により印刷させる印刷データ数が入力され、前記印刷手段は、前記印刷データ記憶手段に記憶されている前記時期に関する情報に基づき、印刷が指示された日時順に前記入力手段より入力された印刷データ数の前記印刷データを順次印刷するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザ情報記憶手段にユーザ毎の顔の特徴を示す特徴情報を当該ユーザを識別する識別情報に対応付けて予め記憶させておき、印刷データ記憶手段に印刷を指示したユーザの識別情報が付加された印刷データを記憶させ、装置本体の近傍に位置するユーザの顔を含んだ領域の画像を取得し、取得した画像から顔の特徴を示す特徴情報を導出し、導出した特徴情報とユーザ情報記憶手段に記憶されているユーザ毎の特徴情報とを照合してユーザを特定し、印刷データ記憶手段に記憶されている特定されたユーザの印刷データに基づいて印刷を行なっているので、ユーザの印刷指示により印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまうことを防止することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成が示されている。
【0020】
同図に示すように、この画像形成装置10は、所定の読込位置に載置された記録用紙から画像を読み込み、当該画像を示す画像データを取得するスキャナ11と、スキャナ11により取得したデータや外部から取得した印刷データに基づいて画像形成処理を行う装置本体12と、画像が形成された記録用紙が排出される排出トレイ14と、ユーザからの各種の操作指示が入力される操作パネル16と、当該画像形成装置10を操作するユーザの顔を撮像するカメラ18と、を有している。
【0021】
なお、本実施の形態に係る操作パネル16には、操作メニューやメッセージ等を表示すると共に表面に透過型のタッチパネルが一体的に設けられたタッチパネル・ディスプレイ(以下、「ディスプレイ」という。)16A、及びテンキー16B(図2参照)が設けられている。ディスプレイ16Aは、ユーザがディスプレイ16Aの表示面に指先にて接触する(タッチ操作する)ことにより画像形成装置10に対して各種の動作指示を入力することができる。
【0022】
さらに、装置本体12の内部には、電子写真方式にて記録用紙上への画像の印刷を行う画像形成エンジン部15(図1では図示省略。図2参照。)が備えられている。この画像形成エンジン部15は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーを用いてフルカラーの画像を印刷することができる。また、ブラックのトナーのみを用いて白黒の階調画像を印刷することができる。
【0023】
一方、本実施の形態に係る画像形成装置10は、ネットワーク20に接続されている。なお、本実施の形態では、ネットワーク20としてインターネットを適用しているが、これに限らず、イントラネット、LAN(Local Area Network)、エコーネット(ECHONET)、HomePNA等の各種ネットワークを単独又は組み合わせて適用することもできる。
【0024】
一方、ネットワーク20にはパーソナル・コンピュータ、ワークステーション等の端末装置22が接続されており、画像形成装置10と端末装置22とはネットワーク20を介して互いに通信可能となっている。
【0025】
次に、図2を参照して、画像形成装置10の電気系の要部構成を説明する。
【0026】
画像形成装置10は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)40と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM42と、各種データを一時的に記憶するRAM44と、スキャナ11等の各機器デバイスにより取得された各種データや後述するユーザ情報テーブル70(図3も参照。)を記憶するためのHDD(ハードディスク・ドライブ)46と、ディスプレイ16Aへの各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ48と、ディスプレイ16A及びテンキー16Bに入力された操作を検出する操作入力検出部50と、を備えている。
【0027】
CPU40、ROM42、RAM44、HDD46、ディスプレイドライバ48、及び操作入力検出部50は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU40は、RAM44、ROM42、HDD46へのアクセスと、ディスプレイドライバ48を介したディスプレイ16Aへの各種情報の表示と、を各々行うことができると共に、操作入力検出部50を介してユーザからの操作指示、を把握することができる。
【0028】
一方、画像形成装置10は、スキャナ11による光学的な画像の読み取りを制御するスキャナドライバ52と、前述した画像形成エンジン部15を制御する画像形成エンジン制御部54と、ネットワーク20に接続されるコネクタ59に接続され、コネクタ59を介してネットワーク20に接続された端末装置22との間で通信データの送受信を行うネットワークI/F(インタフェース)部58と、カメラ18の撮像動作を制御してカメラ18から撮影画像を示す画像データを取得するカメラ制御部60と、を備えている。
【0029】
そして、スキャナドライバ52、画像形成エンジン制御部54、ネットワークI/F部58、及びカメラ制御部60もまた、上述したシステムバスBUSに接続されている。従って、CPU40は、スキャナドライバ52を介したスキャナ11の作動の制御、画像形成エンジン制御部54を介した画像形成エンジン部15の作動の制御、ネットワークI/F部58を介した通信データの送受信の制御、カメラ制御部60を介したカメラ18の撮像動作の制御、を各々行うことができる。
【0030】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、ネットワーク20を介して端末装置22から印刷データを受信可能とされており、受信した印刷データをHDD46の一旦記憶させる。この印刷データには、印刷を指示したユーザを識別するユーザIDが付加されている。なお、ここでいう'付加'には、印刷データの内部(例えば、ヘッダ、フッタ等)に付加すること、属性情報(タグ)を用いて付加するデータを印刷データと同一の電子化ファイルとすること、印刷データに関連付けて付加するデータを異なる電子化ファイルとして記憶させること等が含まれる。
【0031】
また、画像形成装置10は、カメラ18によって画像形成装置10前方の所定領域を随時撮像しており、カメラ18により人物の顔が撮像された場合、後述するユーザ情報テーブル70に基づいて撮像された画像からユーザを特定し、当該ユーザから印刷が指示された印刷データの印刷を実行する。
【0032】
図3には、本実施の形態に係るユーザ情報テーブル70のデータ構造の1例が模式的に示されている。図3に示されるように、このユーザ情報テーブル70には、ユーザID、顔パターン、パスワード指定の有無、及びパスワードが予め定められたユーザ毎に登録されている。なお、ユーザIDは、ユーザを特定するためのものでありユーザ毎に固有の情報が割当てられている。顔パターンは、対応するユーザに対するカメラ18による撮像によって得られた当該ユーザの顔の特徴を示す特徴情報である。パスワード指定の有無は、パスワードのチェックの有無を示す情報である。
【0033】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0034】
端末装置22は、ユーザによって文書等が作成されて印刷が指示された場合、印刷対象とする文書を示す印刷データに当該ユーザのユーザIDを付加して画像形成装置10へ送信する。なお、このユーザIDには、例えば、ユーザが端末装置22にログインする際に入力されたユーザ名を用いてもよく、また、端末装置22に予めユーザIDを設定しておき、設定した当該ユーザIDを用いてもよい。
【0035】
画像形成装置10は、ネットワーク20を介して印刷データを受信すると、受信した日時を示す日時情報と共に当該印刷データをHDD46に一旦記憶する。
【0036】
また、画像形成装置10は、カメラ18による撮像を随時行なっており、撮像した画像に人物の顔が含まれている場合、撮像された顔の特徴に基づいてユーザを特定し、特定したユーザから印刷が指示された印刷データの印刷を行なう。
【0037】
次に、図4を参照して、撮像した画像に基づいてユーザを特定して印刷を行う際の画像形成装置10の作用を説明する。なお、図4は、このときCPU40によって実行されるユーザ特定/印刷処理プログラムの流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは、ROM42の所定の領域に予め記憶されている。
【0038】
同図のステップ100では、カメラ制御部60に対して撮像を指示する。カメラ制御部60は、カメラ18の撮像動作を制御してカメラ18により撮像された画像を示す画像データを取得する。
【0039】
次のステップ102では、取得された画像データにより示される画像に顔と判別される領域が含まれているか否かを判定する。なお、人物の顔の輪郭は、一般的に略楕円形状であるので、本実施の形態では、例えば、画像データにより示される画像に、肌色で且つ所定の大きさ以上の略楕円形状の領域が存在するか否かを判定することにより、顔と判別される領域が含まれているか否かを判定する。本ステップ102では、判定の結果、肯定判定であった場合はステップ104へ移行し、否定判定であった場合は再度ステップ100へ移行する。
【0040】
ステップ104では、画像データにより示される画像から公知の顔領域検出技術を用いてユーザの顔領域を検出し、当該顔領域内に存在する顔の特徴(例えば、顔の輪郭位置を基準とした目、鼻、口等の位置関係を示す特徴等)を導出して、ユーザ情報テーブル70の顔パターンと同一フォーマットとされた顔パターンデータを生成する。
【0041】
次のステップ106では、上記ステップ104において生成されたユーザの顔パターンデータにより示される顔パターンを、ユーザ情報テーブル70の各顔パターンと照合(パターンマッチング)してユーザの特定を行う。
【0042】
次のステップ108では、照合の結果、ユーザを特定できたか否かを判定し、肯定判定であった場合はステップ110へ移行し、否定判定であった場合はディスプレイ16Aに利用可能なユーザと特定できなかったことを示すエラーメッセージを表示して、本ユーザ特定/印刷処理プログラムは終了となる。なお、エラーメッセージと共に、例えば、ビープ音等の音を出力するものとしてもよい。
【0043】
ステップ110では、ユーザ情報テーブル70の特定したユーザに対するパスワード指定に‘有’が設定されているか否かを判定し、肯定判定であった場合はステップ112へ移行し、否定判定であった場合はステップ116へ移行する。
【0044】
ステップ112では、テンキー16Bからのパスワードの入力待ちを行い、次のステップ114では、入力されたパスワードがユーザ情報テーブル70に設定されている特定したユーザのパスワードと一致するか否かを判定し、肯定判定であった場合はステップ116へ移行し、否定判定であった場合はディスプレイ16Aにパスワードが不一致であることを示すエラーメッセージを表示して、本ユーザ特定/印刷処理プログラムは終了となる。なお、エラーメッセージと共に、例えば、ビープ音等の音を出力するものとしてもよい。
【0045】
ステップ116では、HDD46に記憶されている印刷データのうち、所定時間(例えば、5分)以内に受信し、且つ印刷データに付加されたユーザIDが上記ステップ106において特定したユーザのユーザIDと一致した印刷データを画像形成エンジン制御部54へ順次出力して印刷の実行を指示して、本ユーザ特定/印刷処理プログラムは終了となる。
【0046】
画像形成エンジン制御部54は、入力した印刷データに基づいて画像形成エンジン部15の作動の制御して記録用紙に画像の印刷を行う。
【0047】
なお、本ユーザ特定/印刷処理プログラムは、処理終了となると、CPU40によって再度実行される。
【0048】
以上のように本実施の形態によれば、ユーザ情報記憶手段(ここでは、HDD46)にユーザ毎の顔の特徴を示す特徴情報(ここでは、顔パターン)が当該ユーザを識別する識別情報(ここでは、ユーザID)に対応付けて予め記憶されており、印刷データ記憶手段に(ここでは、HDD46)印刷を指示したユーザの識別情報が付加された印刷データが記憶される。
【0049】
そして、本実施の形態によれば、画像取得手段(ここでは、カメラ18)により、装置本体の近傍に位置するユーザの顔を含んだ領域の画像を取得し、導出手段(ここでは、ユーザ特定/印刷処理のステップ104)により、取得した画像から顔の特徴を示す特徴情報を導出し、特定手段(ここでは、ユーザ特定/印刷処理のステップ106)により、導出した特徴情報とユーザ情報記憶手段に記憶されているユーザ毎の特徴情報とを照合してユーザを特定し、印刷手段(ここでは、画像形成エンジン部15)により、印刷データ記憶手段に記憶されている特定されたユーザの印刷データに基づいて印刷を行なうので、ユーザが画像形成装置10の近傍に位置したタイミングで印刷データの印刷が実行されるため、ユーザの印刷指示により印刷された印刷物が異なるユーザの印刷物と混在してしまうことを防止することができる。また、印刷データに関する情報をディスプレイ等で視認して印刷対象とする印刷データを指定する必要がないため、操作が容易である。また、ユーザの顔を認識して印刷を行うため、不適切なユーザによる印刷を防止することができる。さらに、ユーザが画像形成装置の近傍に位置したタイミングで印刷を行なうため、ユーザによって印刷された印刷物が他のユーザによって持ち出されることを防止できるため、セキュリティを高めることができる。
【0050】
また、ユーザ情報記憶手段は、識別情報に対応付けてユーザ毎のパスワードをさらに記憶し、パスワードを入力するための入力手段(ここでは、テンキー16B)と、入力手段より入力されたパスワードをユーザ情報記憶手段に記憶されている特定手段により特定されたユーザのパスワードと照合するパスワード照合手段(ここでは、ユーザ特定/印刷処理のステップ114)と、をさらに備え、印刷手段は、照合の結果、パスワードが一致した場合に印刷を行なうので、パスワードを入力させることにより、誤認識によって顔の特徴が似ている他のユーザから印刷が指示された印刷データが印刷されることを防止できる。
【0051】
また、印刷データ記憶手段は、印刷データの印刷が指示された時期に関する情報(ここでは、日時情報)をさらに記憶し、印刷手段は、印刷データ記憶手段に記憶されている時期に関する情報に基づき、特定されたユーザから所定時間以内に印刷が指示された印刷データに基づいて印刷を行なっているので、所定時間を適切に定めることにより、例えば、ユーザが端末装置22からたった今送った文書のみ印刷し、再利用のために以前から保存している定型文書等は指示しないかぎり印刷しないようにできる。
【0052】
なお、本実施の形態では、テンキーからパスワードの入力を行う構成を示したが、例えば、ユーザによって印刷が指示されて端末装置22から送信された複数の印刷データをHDD46に記憶させると共に、印刷データを受信した日時情報をHDD46にさらに記憶させ、テンキー16Bからパスワードと共に印刷を行なう印刷データ数が入力された場合(例えば、3つの印刷データの印刷を行う場合は「#3」と入力)、受信した日時の新しい順又は古い順に、テンキー16Bから入力された印刷データ数の印刷データの印刷を画像形成エンジン制御部54へ順次出力して印刷の実行を指示し、画像形成エンジン制御部54において、印刷データを順次印刷を行なう構成としてもよい。印刷データを受信した日時の新しい順に印刷することにより、印刷を指示した日時が新しい印刷データ速やかに印刷させることができる。印刷データを受信した日時の古い順に印刷することにより、印刷を指示した順に各印刷データを指定したタイミングで印刷することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、ユーザIDとして数字を入力する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、数字や文字を組み合わせてID情報として構成してもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、ユーザ特定/印刷処理において各ユーザとも一律に所定時間以内に受信した印刷データを印刷するものとしたが、ユーザ毎に所定時間を変更できるものとしてもよい。
【0055】
さらに、画像形成装置10は、印刷データの印刷の実行中に、ユーザが画像形成装置10の近傍に位置した場合に、実行中の印刷処理を中断(フィード途中の用紙だけ排出。)し、特定されたユーザから印刷が指示された印刷データの印刷を実行し、その後、中断した印刷データの印刷を実行するようにしてもよい。また、印刷開始や印刷完了を音で知らせるようにしてもよい。さらに、ユーザ毎に特徴的な音を鳴らせるようにしてもよい。
【0056】
その他、本実施の形態で説明した画像形成装置10の構成(図1、図2参照。)は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0057】
また、本実施の形態で説明したユーザ情報テーブル(図3参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0058】
さらに、本実施の形態で説明したユーザ特定/印刷処理(図4参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係るユーザ情報テーブルとして設定される情報を示す模式図である。
【図4】実施の形態に係るユーザ特定/印刷処理プログラムの処理の流れを示すフローである。
【符号の説明】
【0060】
10 画像形成装置
15 画像形成エンジン部
16 操作パネル
16B テンキー
16A ディスプレイ
18 カメラ
40 CPU
44 RAM
46 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ毎の顔の特徴を示す特徴情報を当該ユーザを識別する識別情報に対応付けて予め記憶するユーザ情報記憶手段と、
印刷を指示したユーザの前記識別情報が付加された印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、
装置本体の近傍に位置するユーザの顔を含んだ領域の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段により取得された前記画像から顔の特徴を示す特徴情報を導出する導出手段と、
前記導出手段により導出された特徴情報と前記ユーザ情報記憶手段に記憶されているユーザ毎の特徴情報とを照合してユーザを特定する特定手段と、
前記印刷データ記憶手段に記憶されている前記特定手段により特定されたユーザの前記印刷データに基づいて印刷する印刷手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記ユーザ情報記憶手段は、前記識別情報に対応付けてユーザ毎のパスワードをさらに記憶し、
前記パスワードを入力するための入力手段と、
前記入力手段より入力されたパスワードを前記ユーザ情報記憶手段に記憶されている前記特定手段により特定されたユーザのパスワードと照合するパスワード照合手段と、をさらに備え、
前記印刷手段は、前記パスワード照合手段により照合の結果、パスワードが一致した場合に印刷する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷データ記憶手段は、前記印刷データの前記印刷が指示された時期に関する情報をさらに記憶し、
前記印刷手段は、前記印刷データ記憶手段に記憶されている前記時期に関する情報に基づき、前記特定されたユーザから所定時間以内に印刷が指示された前記印刷データに基づいて印刷する
請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷データ記憶手段は、複数の印刷データを記憶すると共に各印刷データの前記印刷が指示された時期に関する情報をさらに記憶し、
前記入力手段は、更に前記印刷手段により印刷させる印刷データ数が入力され、
前記印刷手段は、前記印刷データ記憶手段に記憶されている前記時期に関する情報に基づき、印刷が指示された日時順に前記入力手段より入力された印刷データ数の前記印刷データを順次印刷する
請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−199240(P2007−199240A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16051(P2006−16051)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】