説明

画像形成装置

【課題】 複数の像担持体と中間転写体を有する画像形成装置において、二次転写部の転写材の分離性能を向上し、かつ二次転写部の加圧を安定させることを目的とする。
【解決手段】 中間転写体の駆動ローラを転写材搬送に沿って二次転写部上流に配置し、二次転写対向ローラを転写材が分離するローラ径に設定する構成。さらに中間転写体の駆動ローラから二次転写ローラに歯車を用いて駆動することにより、二次転写圧が安定する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いる画像形成装置に関し、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の像担持体が並列に並び、それと略垂直に記録媒体が搬送される画像形成装置において、中間転写体の駆動ローラの配置と二次転写部の関係において、駆動ローラを二次転写対向ローラとして構成する画像形成装置が開示されている。(例えば特許文献1)
また二次転写ローラを駆動する手段においては、二次転写対向ローラから直接駆動する手段をとっている画像形成装置が開示されている。(例えば特許文献2)
【特許文献1】特開2006-85112号公報
【特許文献2】特開2005-17366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年特に多色画像形成装置は小型化が進んでおり、また、同時に画像品質、操作性ともに従来より高い品質が望まれている。特にファーストプリントアウトの時間は短時間が望まれ、転写材搬送距離を極力小さくすることでこの課題を解決する手段が採られている。しかし、中間転写体のベルトを駆動する駆動ローラ、ベルトを張架するテンションローラ、2次転写を行う2次転写ローラ及び2次転写対向ローラ、またその他の張架ローラの配置により、2次転写部における画像品質や転写材の搬送性、ファーストプリントアウトの時間にも影響を及ぼしていた。
【0004】
しかしながら、上記従来例では、駆動ローラ径が転写材分離に適していない場合があり、転写材や装置の使用環境において分離が出来ず、転写材が正しく排紙されない、さらには転写材がユーザのアクセスし難いところで詰まってしまい除去しづらい等の不具合を発生させていた。
【0005】
また二次転写ローラの駆動において、二次転写押圧が駆動による圧力角分力により、駆動側だけ減圧され、二次転写不良や、さらには転写材が真っ直ぐ搬送されずに詰まってしまうという不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明に係る第一の発明は、略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に記録媒体の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記転写材に二次転写を行う中間転写体を有する画像形成装置において、中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記転写材搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成を持つことにより、二次転写部での転写材の分離が容易に出来る二次転写対向ローラ径を選択することが可能となる。
【0007】
本発明に係る第2の発明は、略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に転写材の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記転写材に二次転写を行う中間転写体を持ち、中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記転写材搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成の画像形成装置において、
駆動ローラに配置された歯車により二次転写ローラを駆動する構成を持つことにより、二次転写部における二次転写ローラの押圧を減圧する方向に二次転写ローラ駆動歯車の圧力角成分が働かないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本出願に係る第1の発明によれば、2次転写時後の転写材分離において、転写材に関わらない最適なローラ径が選択でき、安定したメディア分離が可能になったこと、第2の発明によれば、2次転写ローラの押圧が中間転写体より駆動を受けても、押圧が安定した方向に働き、画像品質に影響を与えないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施形態を例示的に詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対的配置などは、特に特定な記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0010】
まず、画像形成装置の全体構成について、図1を参照して画像形成動作とともに説明する。なお、図1は画像形成装置の模式断面説明図である。
【0011】
画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ1a,1b,1c,1dを備えており、略水平に配置されている。これら4個のプロセスカートリッジ1a,1b,1c,1dは、同一構造であるが、異なる色、すなわち、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(Bk)のトナーによる画像を形成する点で相違している。プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1dは、現像ユニット7a,7b,7c,7dと、像担持体ユニット8a,8b,8c,8dによって構成されている。このうち前者の現像ユニット7a,7b,7c,7dは、現像ローラ4a,4b,4c,4dを有している。また後者の像担持体ユニット8a,8b,8c,8dは、それぞれ像担持体である感光ドラム2a,2b,2c,2dと、帯電ローラ3a,3b,3c,3dと、ドラムクリーニングブレード5a,5b,5c,5dと、廃トナー容器とを有している。
【0012】
プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1dの下方にはスキャナユニット6が配置され、画像信号に基づく露光を感光ドラム2a,2b,2c,2dに対して行う。
【0013】
感光ドラム2a,2b,2c,2dは、帯電ローラ3a,3b,3c,3dによって所定の負極性の電位に帯電された後、スキャナユニット6によってそれぞれ静電潜像が形成される。この静電潜像は現像ユニット7a,7b,7c,7dによって反転現像されて負極性のトナーが付着され、それぞれY、M、C、Bkのトナー像が形成される。
【0014】
中間転写ベルトユニット30は、中間転写ベルト31が駆動ローラ32、二次転写対向ローラ36、テンションローラ33に張架されており、該テンションローラ33が矢印B方向に張力をかけている。また、各感光ドラム2a,2b,2c,2dに対向して、中間転写ベルト31の内側に一次転写ローラ34a,34b,34c,34dが配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスを印加する構成となっている。
【0015】
感光ドラム2a,2b,2c,2d上に形成されたトナー像は、各感光ドラムが矢印方向に回転し、中間転写ベルト31が矢印A方向に回転させ、さらに一次転写ローラ34a,34b,34c,34dに正極性のバイアスを印加することにより、感光ドラム2a上のトナー像から順次、中間転写ベルト31上に一次転写され、4色のトナー像が重なった状態で二次転写部37まで搬送される。
【0016】
給搬送装置20は、転写材Pを収納する給紙カセット21内から転写材Pを給紙する給紙ローラ22と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ24とを有している。そして、給搬送装置20から搬送された転写材Pはレジストローラ対23によって二次転写部37に略垂直に搬送される。
【0017】
二次転写部37において、二次転写ローラ35に正極性のバイアスを印加することにより、搬送された転写材Pに、中間転写ベルト31上の4色のトナー像を二次転写する。
【0018】
トナー像転写後の転写材Pは、定着装置40に搬送され、定着ローラ42と加圧ローラ41とによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着される。定着された転写材Pは排紙ローラ対43によって排紙トレー44に排出される。
【0019】
一方、トナー像転写後に、感光ドラム2a,2b,2c,2d表面に残ったトナーは、クリーニングブレード5a,5b,5c,5dによって除去され、また、転写材Pへの二次転写後に中間転写ベルト31上に残ったトナーは、転写ベルトクリーニング装置50によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー搬送路52を通過し、不図示の廃トナー回収容器へと回収される。
【0020】
上記装置の二次転写部37構成を詳細に説明する。駆動ローラ32の径は約30mm、ローラ芯金は軽量化と剛性とを兼ね揃えたアルミの三つ矢管を採用しており、ローラ表層には中間転写ベルト31を安定して駆動するためμの高いゴム層が巻かれている。駆動ローラ32の径D1は色ずれを抑える為、プロセスカートリッジ1a,1b,1c,1d間ピッチLを基準に設定することが一般的で、およそD1≒L/πの関係にあることが多い。二次転写対向ローラ36の径は22mm、ローラ芯金は駆動ローラ32同様、アルミの三つ矢管を採用しており、ローラ表層には二次転写を安定される為ゴム層が巻かれている。本実施例は二次転写対向ローラ36の径D2は転写材Pが種類に依らず安定して分離ができ、かつ安定した二次転写が行える径ということで22mmを採用しているが、この限りではない。駆動ローラ32を二次転写部37より転写材Pの搬送路上流に配置することで、二次転写対向ローラ36の径D2を転写材Pの分離やその他の要因に合わせた最適な径を選択することが可能になった。
【実施例2】
【0021】
図2に本発明の実施例2の構成を示す。
【0022】
実施例2においては実施例1において画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ1a,1b,1c,1dを略水平に配置されているところを略垂直に配置したもので、それに合わせ中間転写ベルトユニット30や,給搬送装置20、定着装置40等の配置が変わったものである。実施例1と同様の構成・作用をする為、同一の番号を付し説明は略す。
【実施例3】
【0023】
図3に本発明の実施例3の構成を示す。図3は図1の二次転写部37を拡大したものである。
【0024】
実施例1に示す構成の二次転写部37において、二次転写ローラ35は二次転写対向ローラ36に対してバネで押圧しており、その押圧精度を高めることで二次転写を安定して行うことが出来る。また二次転写ローラ35は中間転写ベルト31に対し、安定して滑らずに回転することが二次転写を安定させることには不可欠で、二次転写ローラに対して駆動を掛ける事が重要になる。そこで二次転写ローラ35と中間転写ベルトユニット30の駆動源を同一にすればより安定した速度関係が得られるので、二次転写ローラ35の駆動源を中間転写ベルトユニット30の駆動ローラ32と同軸に配置した歯車38とし,二次転写ローラ35と同軸に歯車39を配置する。その際,歯車の圧力角により応力が発生する。本実施例では中間転写ベルトユニット30の駆動ローラ32の配置を二次転写部37より転写材Pの搬送路上流に配置している為、歯車の圧力角による応力が、二次転写ローラ35をバネで押圧している方向に対して、加圧する方向に応力が働く。歯車の圧力角αとして、駆動ローラ32の中心と二次転写ローラ35の中心を結ぶ線と二次転写ローラの押圧方向とのなす角をθとした場合、歯車の圧力角αをα<θであれば、圧力角の応力の分力を二次転写ローラ35のバネによる押圧方向と同方向することが可能となる。例えば駆動ローラ32の中心と二次転写ローラ35の中心を結ぶ線と二次転写ローラの押圧方向とのなす角が25°であった場合、圧力角を20°とすると、二次転写ローラ35のバネによる押圧方向と圧力角の応力の分力は同方向となり、二次転写圧が減圧することなく、従来より安定した二次転写が可能となる。
【実施例4】
【0025】
図4に本発明の実施例4の構成を示す。
【0026】
実施例3に示す構成において,本実施例では中間転写ベルトユニット30の駆動ローラ32の配置を二次転写部37より転写材Pの搬送路上流に配置している為、適正な圧力角を設定することにより、圧力角による応力が、二次転写ローラ35をバネで押圧している方向に対して、直行する方向に設定することが可能となる。歯車の圧力角αとして、駆動ローラ32の中心と二次転写ローラ35の中心を結ぶ線と二次転写ローラ35の押圧方向とのなす角をθとした場合、歯車の圧力角αをα=θとすると、圧力角の分力は二次転写ローラ35のバネによる押圧方向と直交することが可能となる。例えば駆動ローラ32の中心と二次転写ローラ35の中心を結ぶ線と転写材Pの搬送方向とのなす角が25°であった場合、圧力角を25°とすると、二次転写ローラ35のバネによる押圧方向と直交し、二次転写圧に影響を与えることなく、安定した二次転写が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】画像形成装置の模式断面説明図である。
【図2】画像形成装置の模式断面説明図である。
【図3】図1の二次転写部37の拡大説明図である。
【図4】実施例4の二次転写部の拡大説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1a,1b,1c,1d プロセスカートリッジ
7a,7b,7c,7d 現像ユニット
8a,8b,8c,8d 像担持体ユニット
2a,2b,2c,2d 感光ドラム
3a,3b,3c,3d 帯電ローラ
5a,5b,5c,5d ドラムクリーニングブレード
6 スキャナユニット
30 中間転写ベルトユニット
31 中間転写ベルト
32 駆動ローラ
36 二次転写対向ローラ
35 二次転写ローラ
33 テンションローラ
34a,34b,34c,34d 一次転写ローラ
37 二次転写部
20 給搬送装置
21 給紙カセット
22 給紙ローラ
24 搬送ローラ
23 レジストローラ対
40 定着装置
42 定着ローラ
41 加圧ローラ
43 排紙ローラ対
44 排紙トレー
50 転写ベルトクリーニング装置
52 回収トナー搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に記録媒体の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記記録媒体に二次転写を行う中間転写体を有する画像形成装置において、
中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記記録媒体搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成を持つ画像形成装置。
【請求項2】
略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に記録媒体の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記記録媒体に二次転写を行う中間転写体を有する画像形成装置において、
中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記記録媒体搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成を持ち、前記複数の像担持体が略鉛直に配置された請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に記録媒体の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記記録媒体に二次転写を行う中間転写体を有する画像形成装置において、
中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記記録媒体搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成を持ち、前記複数の像担持体が略水平に配置された請求項1の画像形成装置。
【請求項4】
略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に記録媒体の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記記録媒体に二次転写を行う中間転写体を持ち、中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記記録媒体搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成の画像形成装置において、
駆動ローラに配置された歯車により二次転写ローラを駆動する構成を持つ画像形成装置。
【請求項5】
略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に記録媒体の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記記録媒体に二次転写を行う中間転写体を持ち、中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記記録媒体搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成の画像形成装置において、
駆動ローラに配置された歯車により二次転写ローラを駆動し、前記駆動ローラと前記二次転写ローラの配置において、歯車の圧力角の法線方向を二次転写ローラの押圧方向の分力に分解した際に、二次転写ローラの押圧方向と同方向となる位置に配置された請求項4の画像形成装置。
【請求項6】
略平行に並んだ複数の像担持体と、前記複数の像担持体で出来る面と略垂直に記録媒体の搬送路があり、前記像担持体からトナーを一次転写し、前記記録媒体に二次転写を行う中間転写体を持ち、中間転写体のベルトを張架する複数のローラのうち、ベルトを駆動する駆動ローラと前記駆動ローラと二次転写面を形成する張架ローラがあり、前記駆動ローラは前記張架ローラに対し前記記録媒体搬送路上流に配置され、前記張架ローラは二次転写ローラの対向ローラとなる構成の画像形成装置において、
駆動ローラに配置された歯車により二次転写ローラを駆動し、前記駆動ローラの歯車と二次転写ローラの歯車において、圧力角の法線方向が二次転写ローラの押圧方向に対して直交するように設定された圧力角の歯車を有する請求項4の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−180978(P2008−180978A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15165(P2007−15165)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】