説明

画像形成装置

【課題】こしの強さにおいて様々な転写材に、トナーちりや転写ずれがなく、高画質の画像を形成することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写材を転写位置に向けて案内する案内手段を支持部材と案内部材とで構成し、案内部材を転写材搬送下流に向かって薄くなるように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体や中間転写体等の像担持体上の画像を紙等の転写材に転写して転写材上に画像を形成することが行われるが、画像形成速度を上げたり、装置をコンパクト化した場合に、画像を転写する転写位置において、転写材の後端に振動が生じて画像が乱れ、画質が低下するという問題がある。
【0003】
特許文献1、2ではこのような問題が指摘され、それに対する対策が提案されている。
【0004】
即ち、特許文献1では、転写位置に転写材を案内する案内部に転写材を緩く押圧する案内板を設けることが提案されている。
【0005】
特許文献2では、転写材を転写位置に案内する一対のガイド板の先端(転写材の搬送方向下流側の端)に弾性体からなるガイド部材を固定し、ガイド部材の自由端を所定角度折り曲げることが提案されている。
【特許文献1】特開昭61−188345号公報
【特許文献2】特開平8−76607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
転写材後端の振動により生ずる画質低下を本発明の実施の形態に係る画像形成装置の転写部を示す図である図3及び画質低下の例を示す図1を用いて説明する。
【0007】
図3において、転写材Pはレジストローラ23により搬送されて転写ローラ7Aとアースローラ61とにより形成される転写位置TRに搬送され、トナー像が中間転写体6から転写材Pに転写される。
【0008】
30、31はレジストローラ23と転写位置TRとの間において、転写材Pを案内する一対の案内板であり、剛体である板金からなる。
【0009】
転写材Pの後端がレジストローラ23から離れたときに転写材後端が跳ね上がり振動し、この振動により、トナーちりや転写ずれが起こる。トナーちりは図1(a)に示すように非画像部に斑点ができる現象であり、転写ずれは図1(b)に示すように画像がずれる現象である。このような現象は転写材Pが厚紙の場合に、転写材Pの剛性が高いことにより発生することが分かっており、弾性体からなる案内部材32を上方の支持部材31の先端、即ち、転写材搬送方向下流端に設けて転写材後端の跳ね上がりを抑えることにより抑制され、トナーちりや転写ずれの抑制効果が得られる。
【0010】
近年、画像形成装置の高性能化、即ち、カラー化、オフィス文書以外の様々な文書を作成する利用分野の多様化が進んだ結果、特許文献1、2のような対策では十分でなくなり、特に、使用される転写材の種類が多様化した結果、厚紙にトナー像を転写する場合に、転写材の後端の跳ね上がりによる転写ずれやトナーちりが問題になってきている。
【0011】
本発明は、転写部における画質低下に対する前記に説明したような従来技術における問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は下記の発明により達成される。
1.
像担持体、該像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段、該転写手段により形成される転写位置に向けて転写材を搬送する搬送手段、前記転写位置と前記搬送手段との間の搬送路において、前記像担持体側の案内面を形成する第1案内手段及び前記第1案内手段に対向する案内面を形成する第2案内手段を有する画像形成装置において、
前記第1案内手段は、支持部材及び該支持部材により支持されるとともに、前記支持部材から搬送方向の下流側に突出し、弾性変形が可能な可動部を有する案内部材を有し、
前記案内部材は、前記搬送方向の上流から前記搬送方向の下流に向かって、厚さが薄くなるように形成されたことを特徴とする画像形成装置。
2.
前記案内部材は、前記可動部の長さが異なる複数枚の弾性シートで構成されたことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
3.
複数枚の前記弾性シートは前記支持部材の片側の面に接着されていることを特徴とする前記2に記載の画像形成装置。
4.
複数枚の前記弾性シートは前記支持部材の両面に接着されていることを特徴とする前記2に記載の画像形成装置。
5.
複数枚の前記弾性シートの少なくとも1枚は他の弾性シートと異なる材料からなることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、転写位置に転写材を案内する案内部材として、弾性変形可能な可動部を有し、転写材の搬送方向上流から下流に向かって厚さが薄くなるものを用いたので、こしの強さが大きく異なる転写材にトナー像を転写する場合でも、トナーちりや転写ずれを十分に抑制することができて、高画質の画像を安定して形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を本発明の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は、該実施の形態に限られない。なお、本明細書において、案内板や案内板の先端と言い、転写材の後端と言って説明するが、転写材の搬送方向の下流側が先端であり、上流側が後端である。
【0015】
図2は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す。
【0016】
図2に示す画像形成装置はカラー画像を形成することが出来るカラー画像形成装置であり、カラー画像形成装置は画像形成装置本体GH、その上部に設置された自動原稿搬送装置JGからなる。
【0017】
画像形成装置本体GHは、4つの画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、制御手段100と、ベルト状の中間転写体6と、給紙搬送部と、定着手段24と、操作入力手段9(不図示)とを有し、4つの画像形成部10Y、10M、10C、10Kが、図中矢印AA方向に周回移動するベルト状の中間転写体6の移動方向に沿って並列に配置された、所謂、タンデム方式のフルカラー画像形成装置である。
【0018】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、像担持体である感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y及び第1のクリーニング手段8Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、前記と同様に感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M及び第1のクリーニング手段8Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、前記と同様に感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C及び第1のクリーニング手段8Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Kは、前記と同様に感光体1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K及び第1のクリーニング手段8Kを有する。帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光手段3C及び帯電手段2Kと露光手段3Kとは、静電潜像形成手段を構成する。5Y、5M、5C、5Kはそれぞれ、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーを収容したトナー容器であり、これらのトナー容器からは、現像手段4Y、4M、4C、4Kにおける消費に対応したトナーが供給される。
【0019】
感光体1Y、1M、1C及び1Kのそれぞれは、金属ドラム上にOPC感光層が形成された負帯電性のOPC感光体である。なお、感光体1Y、1M、1C、1Kには、aSi感光体等のように、OPC感光体以外のものを用いることができ、正帯電性の感光体を用いることもできる。また、感光体1Y、1M、1C及び1Kには、各々1回転する毎にパルスを出力するエンコーダー(不図示)が各々設けられており、この出力を制御手段100が検出することにより、感光体1Y、1M、1C及び1Kの各々の回転数がカウントできるようになっている。
【0020】
帯電手段2Y、2M、2C、2Kには、コロトロン放電器やスコロトロン放電器を用いることができ、放電ワイヤ型や鋸状電極型等を用いることができる。
【0021】
露光手段3Yは半導体レーザを光源として有し、レーザビームにより感光体1Yをドット露光するものであり、イエロー画像データに基づいて露光する。同様に、露光手段3Mはマゼンタ画像データに基づいて感光体1Mを露光し、露光手段3Cはシアン画像データに基づいて感光体1Cを露光し、露光手段3Kは黒画像データに基づいて感光体1Kを露光する。露光手段3Y、3M、3C、3Kには、LEDアレイ、液晶等のようにレーザビーム以外の露光手段を用いることができるが、ドット露光を行うものが好ましい。
【0022】
現像手段4Y、4M、4C、4Kは、感光体1Y,1M,1C,1Kに対して開口部を形成し、回転可能な円筒状の現像剤担持体46Y,46M,46C,46K、及び現像剤を撹拌しながら搬送し、撹拌後の現像剤を現像剤担持体46Y,46M,46C,46Kに供給する複数の撹拌スクリュー47Y、47M,47C、47Kとを有している。トナー容器5Y、5M、5C、5Kから補給されたトナーは、撹拌スクリュー47Y、47M,47C、47Kで撹拌されながら現像剤担持体46Y,46M,46C,46Kに供給される。
【0023】
現像剤としては、トナー及びキャリアを含有する二成分現像剤又はトナーを含有し、キャリアを含有しない一成分現像剤のいずれでもよい。
【0024】
また、現像手段4Y、4M、4C、4Kは露光部にトナーを付着させる反転現像方式のもの又は未露光部にトナーを付着させる正規現像方式のもののいずれでもよく、接触現像方式、非接触現像方式のいずれでもよい。このように、現像手段4Y、4M、4C、4Kには、周知の任意のものを用いることができるが、二成分現像剤を用いた反転現像方式の現像手段が好ましい。
【0025】
第1のクリーニング手段8Y,8M,8C,8Kは、感光体1Y、1M、1C、1Kの長手方向に長く形成された第1のクリーニング部材としてのゴム製のクリーニングブレード88Y,88M,88C,88Kを各々備えている。クリーニングブレード88Y,88M,88C,88Kのエッジ部が、感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に当接した状態で感光体1Y、1M、1C、1Kを回転させると感光体1Y、1M、1C、1Kの表面が摺擦されてトナーがクリーニングされる。
【0026】
像担持体としての中間転写体6は、抵抗値が105Ωcm〜1010Ωcmの半導電性の無端状のベルトからなり、アースローラ61を含む複数のローラに張架され、周回移動可能に支持されており、制御手段100から中間転写体の駆動手段(不図示)への信号により周回移動する。
【0027】
画像形成部10Y、10M、10C及び10Kにより形成された各色の画像は、循環移動する中間転写体6に1次転写手段7Y、7M、7C及び7Kを圧着させた状態で、1次転写手段7Y、7M、7C及び7Kにトナーと反対極性の1次転写出力を印加し、転写電界を形成することにより、中間転写体6上に順次に1次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【0028】
1次転写手段7Y、7M、7C及び7Kは、基本的に、画像形成時以外は圧着解除手段71Y,71M,71C,71Kにより圧着解除され、中間転写体6から離間した状態にあり、画像形成されたトナー像が中間転写位置にくる前に、圧着解除手段71Y,71M,71C,71Kにより、中間転写体6に圧着される。これらの圧着または圧着解除の選択は、制御手段100から圧着解除手段71Y,71M,71C,71Kへの出力により変更され、制御される。
【0029】
1次転写手段71Y,71M、71C,71Kには、それぞれ不図示の1次転写出力印加手段である電源から1次転写出力が印加される。この1次転写手段に印加される1次転写出力の制御方法としては、(1)所定の目標電流値を設定して、転写電流がこの目標電流値となるように制御する定電流方式と、(2)所定の目標電圧値を設定して、転写電圧がこの目標電圧値になるように制御する定電圧方式がある。(1)においては、電流値が1次転写出力となり(2)においては、電圧値が1次転写出力になる。本実施形態では(1)の定電流制御を実施し、電流値を1次転写出力としている。制御手段100は、1次転写出力印加手段への信号により、1次転写手段71Y,71M、71C,71Kの各々について、その電流値である1次転写出力及び印加タイミングを制御する。通常の画像形成時においては、転写率がほぼ100%になるように1次転写出力が30μAに設定されている。
【0030】
1次転写手段としては、抵抗値が105Ωcm〜1010Ωcmの半導電性のローラが好適に用いられる。
【0031】
中間転写体6にトナーを1次転写した後の感光体1Y,1M,1C,1Kの表面に残留している各色トナーは第1のクリーニング部材であるクリーニングブレード88Y,88M,88C,88Kによりそれぞれクリーニングされる。
【0032】
給紙搬送部の給紙カセット20内に収容された転写材Pは、給紙搬送部の給紙手段21により給紙され、給紙ローラ22A、22B、22C、22D,レジストローラ23等を経て、2次転写手段7Aに搬送され、転写材P上にカラー画像が一括して2次転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0033】
一方、転写手段7Aにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを分離した中間転写体6は、中間転写体6の幅手方向に長く形成された第2のクリーニング部材であるゴム製のクリーニングブレード89Aを有する第2のクリーニング手段8Aによりクリーニングされる。
【0034】
図3は図2に示す画像形成装置における二次転写部を示す。
【0035】
転写材Pは搬送手段としてのレジストローラ23により搬送されて転写電圧が印加された転写ローラからなる二次転写手段7Aとアースローラ61とにより形成される転写位置TRに搬送され、トナー像が中間転写体6から転写材Pに転写される。
【0036】
30、31はレジストローラ23と転写位置TRとの間において、転写材Pを案内する一対の案内手段を構成し、板金からなる。30は転写材を案内する案内板である。31は案内部材32を支持する支持部材であり、図示の例では、記録材Pを案内する案内板の機能も有する。
【0037】
33、34は案内板30、支持部材31の上流側の搬送路を形成する案内板であり板金からなる。
【0038】
32は支持部材31の先端に基部が固定された案内部材であり、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂又はゴムからなる弾性体のシートで構成される。案内部材32は摩擦帯電しないように導電性か処理されたものが好ましい。
【0039】
支持部材31及び案内部材32はレジストローラ23と転写位置TRとの間の搬送路における中間転写体6(像担持体)側の案内面を形成する第1案内手段を構成し、案内案内板30は第1案内手段に対向する案内面を形成する第2案内手段を構成する。
【0040】
弾性体からなる案内部材32によりトナーちりや転写ずれが抑制されることは前記に説明したとおりであるが、この抑制効果は、様々な紙種の転写材Pに対して一様ではなく、剛性の高い転写材Pでは、単に、案内部材32を設けるのみでは、画質低下を防止することができない場合があることが明らかになった。
【0041】
例えば、坪量200gsmの紙に対して、画質低下を防止できる案内部材32を用いて、坪量350gsmの紙を用いて転写を行った場合に、案内部材の剛性が不足して振動を緩和することができず、トナーちりや転写ずれが起こった。
【0042】
また、坪量350gsmの紙に対して、画質低下を防止出来るような案内部材32を用いた場合、案内部材の剛性が過剰なために転写材後端が振動し、トナーちりや転写ずれが起こった。
【0043】
像担持体がベルトの場合に、転写材後端の振動が像担持体に伝わり、画質を更に低下させる。
【0044】
特に、中間転写体が像担持体である場合には、中間転写体が導電性であることからトナー像の電荷が中間転写体を介してリークすることにより、中間転写体のトナー像に対する吸着力が減衰する。このために中間転写体上でトナー像が移動しやすくなり、振動による画質低下が起きやすくなる。
【0045】
本実施の形態においては、このような問題を以下に説明するような案内部材32により解決した。
【0046】
図4は案内部材32の幾つかの例示す。
【0047】
図4(a)は2枚の弾性シート321、322を重ねることにより案内部材32を構成し、転写材の搬送方向に関して、上流側から下流側に向かって厚さが減少するように案内部材32を形成したものである。
【0048】
弾性シート321、322はそれぞれの基部321B、322Bが支持部材31に接着され、先端部321A、322Bが支持部材31により規制されない可動部を構成するが、像担持体から遠い側の弾性シート321の可動部321Aの長さL1が弾性シート322の長さL2よりも長く形成される。この構成により、転写材Pの跳ね上がりによる外力を受けた場合に、案内部材32の先端部ほど大きく変形し、衝撃を緩和する。
【0049】
可動部321Aの長さL1は4〜6mm程度が好ましく、可動部322Aの長さL2は2〜5mm程度が好ましい。
【0050】
案内部材32として一様な厚さの弾性シートを用いた場合、こしの強い転写材を基準に案内部材32の厚さを決定すると、比較的こしの弱い転写材を搬送するときに、案内部材32の衝撃緩和作用が不足して、転写材後端の振動が発生し、トナーちりや転写ずれを起こし、こしの比較的弱い転写材を基準に案内部材32の厚さを決定した場合には、こしの強い転写材を搬送するときに、案内部材32が大きく変形し、その衝撃によりトナーちりや転写ずれが起こる。
【0051】
案内部材32の厚さを先端ほど薄くすることにより、こしの強さの大きく異なる様々な転写材を用いた画像形成において、良好な転写が行われるようになる。
【0052】
なお、転写材Pのこしの強さは、主として転写材Pの剛性に依存するが、剛性の他に転写材のサイズにも依存する。即ち、同じ剛性の転写材であっても、大サイズであり幅の広い転写材はこしが強い。
【0053】
図4(b)は図4(a)と同様に、2枚の弾性シートを重ねた案内部材32の例を示すが、本例では、像担持体に近い側の弾性シート322の可動部の長さL2を遠い側の弾性シート321の可動部の長さL1よりも長く形成したものである。
【0054】
図4(c)の例は、案内部材32を支持部材31の像担持体に対向する側と反対側の面に接着したものである。
【0055】
図4(d)は支持部材31の両側の面に弾性シート321、322を接着して案内部材32を形成した例であり、この例では、像担持体に近い側の弾性シート322の可動部322Aの長さが反対側の弾性シート321の可動部321Aよりも長く形成された例である。
【0056】
図4(e)は図4(d)と同様に、支持部材31の両側に弾性シート321、322を接着した例であり、それぞれの可動部321A、322Bの長さが図4(d)の例と反対にしている。
【0057】
図5(a)、図5(b)は支持部材31の先端が薄くなるように形成し、弾性シート321、322は先端ほど互いに接近するように支持部材31に接着して例を示す。
【0058】
図5(c)は案内部材32を異なる材料からはる複数枚の弾性シート321、322で構成した例を示す。図5(c)において可動部321Aが短い弾性シート321はPETからなり、可動部322Aが長い弾性シート322はPEからなる。図5(c)の例では、長い方の弾性シート322として剛性がが低いものを用い、短い方の弾性シート321として剛性の高いものを用いることが好ましく、これにより種々の転写材に対する振動抑制効果を向上することができる。
【0059】
図5(d)は案内部材32を厚さの異なる複数枚の弾性シート321、322で構成した例を示す。この場合も図5(c)と同様な振動抑制効果が得られ、短い弾性シート321の厚さを厚くすることによりその剛性が弾性シート322よりも高くなり、良好な振動抑制効果が得られる。
【0060】
図5(e)、図5(f)は、先端部ほど厚さを薄くした案内部材32の例を示し、図5(e)は案内部材32を支持部材31の像担持体に近い側の面に接着して例を示し、図5(f)は案内部材32を支持部材31の像担持体から遠い側の面に接着して例を示す。
【0061】
なお、図4、5に示した例のうち、図4(a)、図4(b)、図5(c)、図5(d)及び図5(e)の例では、支持部材31及び案内部材32が第1案内手段の案内面を形成するが、図4(c)、図4(d)、図4(e)、図5(a)、図5(b)及び図5(f)の例では、支持部材31が案内面を形成せず、案内部材32のみによって、第1案内手段の案内面が形成される。
【実施例】
【0062】
図2に示す画像形成装置を用い、転写材の搬送速度を220mm/sec、黒画像形成を連続して行った画像形成実験結果を表1に示す。
【0063】
表1において、比較例1は案内部材として厚さ50μmの一様な厚さのPETシートを用いた場合の結果を、比較例2は案内部材として厚さ100μmの一様な厚さのPETシートを用いた場合の結果を、実施例は厚さ50μmのPETシートを可動部の長さが5mm、3.5mmとなるように先端をずらして重ね、案内部材を構成し、支持部材に接着した場合の結果をそれぞれ示す。なお、比較例1、2における案内部材の可動部の長さを5mmとした。
【0064】
【表1】

【0065】
表1において、○は良好な画像が形成されたことを示し、△は僅かなトナーちりの発生があったことを示し、×は顕著なトナーちりが発生したことを示す。
【0066】
表1から明らかなように、一様な厚さの案内部材を用いた比較例では、剛性の低い案内板を用いた比較例1では、坪量が比較的小さく、剛性が比較的低い転写材の場合には画質低下が起こらないが、坪量が比較的大きく、剛性が比較的高い転写材の場合に画質低下が起こった。
【0067】
また、剛性の高い案内板を用いた比較例2では、坪量が比較的大きく、剛性が比較的高い転写材の場合には画質低下が起こらないが、坪量が比較的小さく、剛性が比較的低い転写材の場合に画質低下が起こった。
【0068】
これに対して、実施例では、全ての紙種に対して良好な画像が形成された。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】画質低下の例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図3】図2に示す画像形成装置における二次転写部示す図である。
【図4】案内部材32の幾つかの例示す図である。
【図5】案内部材32の幾つかの例示す図である。
【符号の説明】
【0070】
6 中間転写体
7A 二次転写手段
23 レジストローラ
30、33、34 案内板
31 支持部材
32 案内部材
321、322 弾性シート
TR 転写位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体、該像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写手段、該転写手段により形成される転写位置に向けて転写材を搬送する搬送手段、前記転写位置と前記搬送手段との間の搬送路において、前記像担持体側の案内面を形成する第1案内手段及び前記第1案内手段に対向する案内面を形成する第2案内手段を有する画像形成装置において、
前記第1案内手段は、支持部材及び該支持部材により支持されるとともに、前記支持部材から搬送方向の下流側に突出し、弾性変形が可能な可動部を有する案内部材を有し、
前記案内部材は、前記搬送方向の上流から前記搬送方向の下流に向かって、厚さが薄くなるように形成されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記案内部材は、前記可動部の長さが異なる複数枚の弾性シートで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数枚の前記弾性シートは前記支持部材の片側の面に接着されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数枚の前記弾性シートは前記支持部材の両面に接着されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数枚の前記弾性シートの少なくとも1枚は他の弾性シートと異なる材料からなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−3445(P2008−3445A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174905(P2006−174905)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】