説明

画像形成装置

【課題】構造の複雑化や装置の大型化を伴うことがなく、用紙のカールを検出してカールを矯正する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、搬送された用紙P上に画像を形成する画像形成部63と、用紙P上に形成された画像を加熱定着する定着部18と、定着部18により加熱定着された用紙Pの表面を冷却する冷却部55とその裏面を冷却する冷却部56とを有し、さらに画像が定着された用紙Pのカール状態を検出するカール検出部58を有し、このカール検出部58で検出された用紙Pのカール方向とカール量に関するカール情報に基づいて、各冷却部55、56の冷却能力を制御する制御手段60を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に熱により画像が定着された用紙のカールを矯正する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法による画像形成装置においては、感光体を一様に帯電し、所定の画像情報に基づく光照射により画像を露光して静電潜像が形成される。次いで、現像剤が感光体表面に供給され、感光体表面上に静電潜像からトナー像が形成される。このトナー像が中間転写ベルトにブラック、イエロー、シアン及びマゼンタの各色に対応し1次転写されて、中間転写ベルト上にフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルトに転写されたトナー像が2次転写ローラを用いて所定の用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、熱ローラと加圧ローラとの定着ローラを備えた定着部に搬送され、定着ローラの間を通されることにより、熱、圧力によってトナー像が用紙表面に定着される。このようにしてトナー像が形成された用紙は、定着ローラから、画像形成装置外に排出されるか、或いは画像形成装置内に再循環されて反対側の面に画像形成されて定着が行われてから、画像形成装置外に排出される。
【0003】
ところで、上記のような画像形成装置において、画像形成のために使用される用紙は、画像形成装置内で種々のローラ等により搬送され、また定着部で加熱されるため、装置内でカールしてしまうことがある。カールしている用紙は、装置外に排出したときに不揃いとなってストック性が不安定であり、また、再度の画像形成に用いた場合には、ジャムや転写不良などの原因となってしまう。
【0004】
このために、特許文献1では、定着ローラから搬送された用紙のカール量を検出し、そのカール量に応じてデカールを行う方法が提案されている。具体的には、複数個の発光部と受光部の組み合わせを上下に並べたカール量検出手段によって、用紙のカール量を検出し、所定以上のカール量を検出した時に、一方のローラを加熱した一対のローラに用紙を通し、搬送されてくる用紙に対してローラとの当接と離間のデカール動作を行い、用紙を部分的に加熱することにより、カールを矯正させている。
【0005】
しかしながら、転写定着された用紙のカールは一定ではなく、例えば用紙の種類、厚み、定着条件などによって様々異なり、上向きであったり、下向きであったりする。特に、用紙の両面にフルカラーの定着画像を形成した場合には、用紙へのトナー付着量がモノクロに比べて大幅に増加することになり、トナー付着量が多いほどカール量が大きくなり、また、用紙の表面と裏面へのトナー付着量に応じて、カールの方向が大きく変化することになる。上記の特許文献1で提案されている方法は、カールの向きまでは考慮されておらず、一定のカール量が検出された場合、一律的にカールの矯正を行っている。従って、一方向(例えば上向き)のカールの場合には、有効にカールの矯正が行われるとしても、他方向(例えば下向き)のカールの場合には、カールの矯正が行われず、むしろカールを助長させてしまうという問題がある。また、定着部と用紙排出部との間に一対のローラを配設して、デカール動作のための駆動源と作動機構を設けることになり、装置が大型化し複雑になるという問題がある。
【特許文献1】特開平9−6073号公報(段落[0025]―[0028]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、構造の複雑化や装置の大型化を伴うことがなく、用紙のカールを検出してカールを矯正する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、搬送された用紙上に画像を形成する画像形成部と、用紙上に形成された画像を加熱定着する定着部と、前記定着部により加熱定着された用紙を冷却する冷却部とを有する画像形成装置において、画像が定着された用紙のカール状態を検出するカール検出部を有し、前記カール検出部で検出された用紙のカールに関するカール情報に基づいて、前記冷却部の冷却能力を制御する制御手段を有することを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、カール検出部で検出された用紙のカールに関するカール情報に基づいて、加熱定着された用紙が冷却部により冷却される。
【0009】
また、本発明は、上記の構成の画像形成装置において、前記冷却部は用紙の表裏をそれぞれ冷却する冷却ファンを有し、前記制御手段は前記冷却ファンの冷却能力をそれぞれ制御することを特徴としている。この構成によれば、カール検出部で検出された用紙のカールに関するカール情報に基づいて、表面を冷却する冷却ファンと裏面を冷却する冷却ファンがそれぞれ別に制御されて、用紙の表面と裏面がそれぞれ冷却される。
【0010】
また、本発明は、上記の構成の画像形成装置において、前記カール検出部が用紙のカール方向とカール量を検出して、前記制御手段は、前記カール検出部の検出結果に応じて、前記冷却部における用紙の表裏の冷却能力を制御することを特徴としている。この構成によれば、カール検出部により、上向きのカールが検出されると、用紙の表面冷却用の冷却部より裏面冷却用の冷却部の冷却能力が強くされ、下向きのカールが検出されると、裏面冷却用の冷却部より表面冷却用の冷却部の冷却能力が強くされ、また、カール検出部により検出されるカール量に応じて、各冷却部の冷却能力が制御され、用紙の表面と裏面が冷却される。
【0011】
また、本発明は、上記の構成の画像形成装置において、前記定着部で画像が定着された用紙を表裏反転して搬送する搬送部を有し、前記冷却部は、前記カール検出部の検出結果に応じて、反転されて定着された用紙の表裏をそれぞれ冷却することを特徴としている。この構成によれば、表面の定着を完了した用紙が冷却部により冷却されるとともに、裏面の定着を完了した用紙が冷却部により冷却される。
【0012】
また、本発明は、上記の構成の画像形成装置において、前記カール検出部は、光学式センサを備えることを特徴としている。この構成によれば、光学式センサからの情報により用紙のカールが検出される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、カール検出部で検出された用紙のカールに関するカール情報に基づいて、加熱定着された用紙を冷却する冷却部により、用紙が冷却されるので、定着等の熱による用紙のカールを矯正することができるとともに、装置内を放熱するファンや、定着等により加熱された用紙を冷却する冷却部をカールの矯正にも使用することによって、構造の複雑化や装置の大型化を抑制することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、カール検出部で検出された用紙のカールに関するカール情報に基づいて、用紙の表面を冷却する冷却部と裏面を冷却する冷却部がそれぞれ別に制御されて、用紙の表面と裏面が冷却されるので、的確に用紙のカールを矯正することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、カール検出部により、上向きのカールが検出されると、用紙の表面冷却用の冷却部より裏面冷却用の冷却部の冷却能力が強くされ、下向きのカールが検出されると、裏面冷却用の冷却部より表面冷却用の冷却部の冷却能力が強くされ、また、カール検出部により検出されるカール量に応じて、各冷却部の冷却能力が制御され、用紙の表面と裏面が冷却されるので、的確に用紙のカールを矯正することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、表面の定着を完了した用紙が冷却部により冷却されるとともに、裏面の定着を完了した用紙が冷却部により冷却されるので、片面印刷の用紙のカールを矯正とともに、両面印刷の用紙のカールを矯正することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、光学式センサからの情報により用紙のカールが検出されるので、用紙のカールに関する情報を簡単に検出することができるとともに、装置が大型化するおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。本発明の実施形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の画像形成装置1の全体構成を示す概略図である。回転自在である感光体11は、感光層を形成する感光材料としては、アモルファスシリコン感光体や有機感光体(OPC感光体)が用いられ、感光体11の周囲に、現像装置2、露光ユニット12、帯電器13及びクリーニング装置14と除電器14aが配置される。現像装置2は現像ローラとトナーの収容室とを有する。露光ユニット12は、パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図示せず)に入力された原稿画像データに基づいて、感光体11上にレーザビームを照射する。
【0020】
転写搬送ベルト17が転写ローラ25及び従動ローラ27に張架されており、転写ローラ25によって転写搬送ベルト17が接触するように感光体11に対向して配列されている。
【0021】
また、転写搬送ベルト17は、基材である弾性ベルトと、その表面に設けられたフッ素樹脂層と、弾性ベルトを挟んでフッ素樹脂層と反対側に設けられた補強用樹脂層とを有し、この補強用樹脂層により弾性ベルトの伸縮による転写ずれを有効に防止している。また、転写ローラ25は発泡EPDM等の導電性ゴムから形成されている。
クリーニングブラシ等を使用してもよい。
【0022】
画像形成開始の操作がされると、感光体11は図1中時計周りに回転し、帯電器13が感光体11表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット12が画像データに基づき感光体11表面に光を照射し、感光体11表面に静電潜像が形成される。次いで現像装置2が有する現像ローラに印加された現像バイアス電圧により、感光体11表面に形成された静電潜像に各色トナーが付着し、トナー像が形成される。
【0023】
感光体11表面に形成されたトナー像は、転写バイアス電位(トナーの帯電極性と逆極性)を印加された転写ローラ25により、搬送される転写搬送ベルト17を介して挟持される用紙に転写されて、用紙上にトナー像が形成される。
【0024】
給紙部46は、給紙カセット47、48、大容量デッキ49、50、手差しトレイ51等から構成される。画像形成装置1の底部には、各々に用紙Pが載置される載置板47a、48aを有する給紙カセット47、48が上下方向に並べて設けられ、その上方には、各々に用紙Pが載置される載置板49a、50aを有する大容量デッキ49、50が左右に並べて設けられる。又、給紙部46は、載置板47a〜50a上の用紙Pを1枚ずつ用紙搬送路に送り出すために給紙カセット47、48、大容量カセット49、50の右上部にピックアップローラ47b〜50bを有する。更に、装置右側面には、別途給紙できるように手差しトレイ51が設けられる。そして、手差しトレイ51にも用紙Pを1枚ずつ用紙搬送路に送り出すためのピックアップローラ51bが設けられる。
【0025】
用紙搬送部41は、画像形成装置1内で用紙Pを搬送するためのものである。用紙搬送部41は、給紙部46から転写ローラ25に至る第1搬送路43と、転写ローラ25から定着部18を経て画像形成済みの用紙Pを排出するための排出ローラ82に至る第2搬送路71と、定着部18よりも用紙搬送方向下流側における第2搬送路71の途中から第1搬送路43の途中をつなぐように設けられる反転搬送路76等から構成される。第1搬送路43には、搬送ローラ42が複数設けられ、転写ローラ25の手前には用紙Pの搬送タイミングを制御するためのレジストローラ73が配置される。第2搬送路71の最後端には、排出された用紙Pを受け止めるための排出トレイ81が設けられる。
【0026】
転写ローラ25によりトナー像が転写された用紙Pは、定着部18に搬送され、定着ローラにより加熱および加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、定着された用紙Pは、排出ローラ82によって排出トレイ81に排出される。
【0027】
感光体11から用紙に転写されずに残ったトナーがクリーニング装置14によって除去されると共に、除電器14aが感光体11表面に残った電荷を除電する。
【0028】
図2は、図1に示す第2搬送路71において、定着部18よりも用紙搬送方向下流側の排出搬送路と反転搬送路を備える用紙排出ユニットを示す斜視図である。
【0029】
図2に示すように、用紙搬出ユニット50では、定着された用紙Pが搬送ローラ74により用紙搬出ユニット50内に搬送され、図2に示す矢印方向から排出トレイ(不図示)に排出される。また、用紙搬出ユニット50には、定着部で加熱された用紙Pを冷却する一対の冷却部55、56が配される。
【0030】
図3は、図2に示す用紙搬送ユニット50の左方から見た断面側面図である。用紙搬送ユニット50は、用紙Pを搬送ローラ74から排出ローラ82に案内する排出用搬送路52、反転搬送路76(図1参照)の一部を形成する両面印刷用搬送路51、前記2箇所の用紙搬送路を通る用紙Pの搬送を補助する可動ガイド54、及び可動ガイド54の用紙搬送路上流側で用紙Pを冷却する冷却部55、56を備える。また、冷却部55、56は現像装置や定着部で発生した熱気を装置外部に排出している。尚、用紙搬送方向は、矢印で図示している。
【0031】
可動ガイド54は、図3に示す矢印Rで揺動自在に軸止され、ばね(不図示)により、常時排出用搬送路52を通る用紙Pの搬送を補助するように、図3に示す下方に保持される。両面印刷用搬送路51に向かって用紙Pを送り出す時には、可動ガイド54は、両面印刷用搬送路51を通る用紙Pの搬送を補助するように図3に示す上方に移動して、用紙Pの搬送方向を切り替える。
【0032】
冷却部55、56は、可動ガイド54の用紙搬送方向上流側に配される冷却用搬送路53の上方と下方に設けられる。冷却部55は、搬送ガイド板開口52aから搬送される用紙Pの表面(図2では上面)に向けて冷風を送り、冷却部56は、搬送ガイド板開口51aから搬送される用紙Pの裏面(図2では下面)に向けて冷風を送風する。
【0033】
図4は、定着部から排出ローラ及び反転搬送路に至る用紙搬送路を示す模式図である。この用紙搬送路には、定着部18から用紙搬送方向下流側に向けて、カール検出部58、冷却部55、56、可動ガイド54及び排出ローラ82が配される。
【0034】
カール検出部58は、定着部18を通過して加熱された用紙Pのカールの度合いを検出するものであり、定着部18の用紙搬送方向下流側に設けられていれば、用紙排出ユニット50内に配設されてもよく、また、用紙排出ユニット50外の定着部18の近傍に設けられてもよい。カール検出部58で検出されたカールの度合いに応じて、冷却部55、56がそれぞれ独立に風速等の冷却能力を制御されることにより、用紙Pのカールが矯正される。
【0035】
次に、カール検出部58と冷却部55、56を図5に基づいて詳細に説明する。図5は、カール検出部と冷却部を模式的に示す斜視図である。
【0036】
冷却部55、56には、各冷却ファン55a、56aと各ダクト55b、56bが設けられ、各冷却ファン55a、56aから取り込んだ冷風が各ダクト55b、56bに送られる。各ダクト55b、56bは、搬送方向と垂直に延びる長手形状を有しており、冷却用搬送路53に対向する面には、各複数の開口55c、56cが長手方向に配設される。複数の開口55cから冷却用搬送路53に向けて冷風が送風されると、用紙Pの表面が冷却され、複数の開口56cから冷却用搬送路53に向けて冷風が送風されると、用紙Pの裏面が冷却される。尚、複数の開口55c、56cは、冷却ファン55a、56aから長手方向の位置に応じて開口の面積が異なり、長手方向に均一に冷風を用紙Pに送風する。
【0037】
カール検出部58は、発光部58aと受光部58bとを備える光学式センサであり、搬送される用紙Pのカールの度合いを検出するものである。一対の発光部58aと受光部58bが搬送路を挟んで対向し、発光部58a1〜58a4と受光部58b1〜58b4の各組み合わせが図5に示す上下方向に並んで設けられるために、各発光部58a1〜58a4から図5に示す矢印方向に光が照射されると、各受光部58b1〜58b4に各光が入射する。
【0038】
発光部58a1〜58a4から照射される光が用紙Pにより遮られ、対向する各受光部58b1〜58b4への入射光が遮断されることにより、用紙Pのカールが検出される。そして、入射光が遮断される各受光部58b1〜58b4に応じて、カールの高さを示すカール量が検出される。つまり、最下位の受光部58b1の入射光が遮断される場合に比べると、受光部58b2、さらに受光部58b3、受光部58b4と、より上方の受光部への入射光が遮断されるほど、用紙Pのカール量が大きいものとして検出される。いずれの受光部58b1〜58b4でも入射光が遮断されない場合には、用紙Pはカールしていないことになる。
【0039】
また、カール検出部58は、上向きであったり、下向きであったりする用紙Pのカール方向を検出することができる。各発光部58a1〜58a4は、用紙Pが搬送される期間に、少なくとも3回、時間経過させて発光して、各回における各受光部58b1〜58b4への入射光の遮断の有無により、カールの方向を検出する。
【0040】
図6に基づいて、カール方向の検出を詳しく説明する。図6は、縦方向に受光部58b1〜58b4を配置し、横方向には、受光部58b1〜58b4が発光部58a1〜58a4の光を3回受光したときの時間経過を用紙Pの位置に対して相対的に示す模式図である。時間T1は、用紙Pの搬送方向の先端部分が受光部58b1〜58b4を通過した時であり、時間T2は、用紙Pの搬送方向の中間部分が受光部58b1〜58b4を通過した時であり、時間T3は、用紙Pの搬送方向の後端部分が受光部58b1〜58b4を通過した時であることを示している。尚、用紙Pは、カール検出部58を通過する時には、搬送ガイド板75上を搬送されるものとする。
【0041】
図6に示すように、時間T1、T3では、受光部58b3の入射光が用紙Pにより遮断され、時間T2でいずれの受光部58b1〜58b4の入射光が遮断されない。この場合には、用紙Pが下向きにカールしているものと判定される。また、入射光が遮断された受光部58b3の高さが用紙Pのカール量と判定される。つまり、少なくとも時間T1、T3においていずれかの受光部58b1〜58b4の入射光が用紙Pにより遮断され、時間T2でいずれの受光部58b1〜58b4の入射光が遮断されない場合には、用紙Pが下向きにカールしているものと判定される。また、最も高い位置で入射光が遮断された受光部58b1〜58b4から用紙Pのカール量が判定される。
【0042】
一方、時間T2で入射光が遮断される受光部58b1〜58b4が、時間T1、T3で遮断されるものより高い位置にあると、用紙Pが上向きにカールしているものと判定され、最も高い位置で入射光が遮断された受光部58b1〜58b4から用紙Pのカール量が判定される。
【0043】
図7、図8に基づいて、用紙のカールの検出とその検出結果に応じた冷却部の制御について説明する。図7は画像形成装置の機能を示すブロック図であり、図8はカールの検出結果に応じた冷却部の制御の流れを示すフローチャートである。
【0044】
図7に示すように、画像形成装置1の動作を統括制御する制御手段60を有する。制御手段60の出力側には、原稿画像を読み取って対応する画像データを取り込む機能を果たす画像読取部61、画像読取部61からの画像データを入力した後、記憶手段に記憶し、フィルタ処理、階調調整、変倍処理等の画像処理を行う画像処理部62、画像処理部62で処理された画像データに基づいて感光体11a〜11d上にトナー像を形成する画像形成部63、トナー像が転写された用紙Pを定着する定着部18、定着後の用紙Pを冷却する冷却ファン55a、56a及び冷却ファン55a、56aを駆動する駆動モータ55d、56dを備える。制御手段60の入力側には、定着部18から搬送される用紙Pのカール方向とカール量を検出するカール検出部58を備える。
【0045】
ここで、カール検出部58の発光部58a1〜58a4から受光部58b1〜58b4への光が照射されている状態をOFFとし、その光が用紙Pにより遮断された状態をONとすると、カール方向は表1に示すように、カール量は表2に示すモードで分類される。
【表1】

【表2】

【0046】
冷却ファン55a、56aは、受光部58b1〜58b4の表1、表2に示すモードに応じて、表3、表4に示す駆動モータ55d、56dの回転が制御されて、冷却能力が設定される。表3は下向きカールのモードを示し、表4は上向きカールのモードを示す。用紙Pが下向きにカールするのは、用紙Pの表面に付着したトナーが定着等の熱により収縮することによるので、用紙Pの裏面を冷却すると、カールが矯正される。図3に示すモードA〜Cのようにカール量が大きい場合には、用紙Pの表面と裏面をともに冷却し、表面より裏面の冷却能力を高くすると、迅速にカールを矯正することができる。用紙Pが上向きにカールするのは、両面印刷により用紙Pの両面にトナーが付着し、表面より裏面に付着したトナーが多い場合であり、この場合には用紙Pの表面を冷却すると、カールが矯正される。図4に示すモードA〜Cのようにカール量が大きい場合には、用紙Pの表面と裏面をともに冷却し、裏面より表面の冷却能力を高くすると、迅速にカールを矯正することができる。
【表3】

【表4】

【0047】
制御手段60はCPU(中央演算回路)、記憶手段、演算ユニット、入出力インターフェイスなどから構成されるコンピューターシステムであり、各機能の動作制御は予め記憶手段に記憶させてあるプログラムを実行させることによりなされる。
【0048】
図1、図4及び図7を参照しながら、図8のステップに従い、制御手段60による用紙のカールの検出結果に応じた冷却部の制御について説明する。
【0049】
ユーザにより画像形成開始の操作が行われると、画像読取部61からの画像データに基づいて、画像形成部63が感光体11a〜11d上にトナー像を形成して、中間転写ベルト17を介して、このトナー像を用紙Pに転写する(ステップS1)。転写された用紙Pは、定着部18に搬送され、定着ローラにより加熱および加圧される(ステップS2)。
【0050】
定着された用紙Pが用紙排出ユニット50に搬送されると、カール検出部58では、各受光部58b1〜58b4が、所定時間T1、T2、T3毎に用紙Pの搬送方向の位置に応じて、遮断される入射光の有無を検出して、その検出結果から、記憶手段に設けられたカール方向を示す表1とカール量を示す表2に基づいてモードA〜Eを設定する(ステップS3)。
【0051】
設定したモードA〜Eに応じて、記憶手段に設けられた駆動モータ55d、56dの回転数を示す表3、表4に基づいて冷却ファン55a、56aの冷却能力を設定する。ここでは、用紙Pの表面が印刷され、用紙Pが上向きにカールすることになり、主に冷却ファン56aの冷却能力が高くされる(ステップS4)。
【0052】
ステップS5では、両面印刷の指示が入力されているか否かを判定して、両面印刷でないのなら、用紙Pは排出ローラ82によって排出トレイ81に排出される(ステップS6)。両面印刷の指示が入力され裏面印刷があるのなら、可動ガイド54を作動させ、用紙Pが両面印刷用搬送路51に向かって送り出され、反転搬送路76を通過してレジストローラ73に搬送される。次にステップS1に戻り、用紙裏面における画像形成まで待機する。
【0053】
ステップS1、S2は、用紙表面における画像形成と同様に、用紙裏面において、画像読取部61からの画像データに基づいて、画像形成部63が感光体11a〜11d上にトナー像を形成して、中間転写ベルト17を介して、このトナー像を用紙Pの裏面に転写する。転写された用紙Pは、定着部18に搬送され、定着ローラにより加熱および加圧される。
【0054】
定着された用紙Pが用紙排出ユニット50に搬送されると、カール検出部58では、各受光部58b1〜58b4が、所定時間T1、T2、T3毎に用紙Pの搬送方向の位置に応じて、遮断される入射光の有無を検出して、その検出結果から、カール方向を示す表1とカール量を示す表2に基づいてモードA〜Eを設定する(ステップS3)。ここでは、用紙Pの用紙裏面に付着したトナーとともに、先に印刷した用紙表面のトナーも定着の熱等により収縮しているために、用紙の表面と裏面の各トナー付着量の違いにより、上向きまたは下向きにカールすることになる。
【0055】
設定したモードA〜Eに応じて、駆動モータ55d、56dの回転数を示す表3、表4に基づいて冷却ファン55a、56aの冷却能力を設定して、用紙Pを冷却する(ステップS4)。
【0056】
ステップS5では、両面印刷の指示が入力されているか否かを判定して、両面印刷で用紙裏面の印刷が完了したので、用紙Pは排出ローラ82によって排出トレイ81に排出して(ステップS6)、ステップを終了する。
【0057】
上記実施形態によれば、画像形成装置1は、搬送された用紙P上に画像を形成する画像形成部63と、用紙P上に形成された画像を加熱定着する定着部18と、定着部18により加熱定着された用紙Pの表面を冷却する冷却部55とその裏面を冷却する冷却部56とを有し、さらに画像が定着された用紙Pのカール状態を検出するカール検出部58を有し、このカール検出部58で検出された用紙Pのカール方向とカール量に関するカール情報に基づいて、各冷却部55、56の冷却能力を制御する制御手段60を有する。
【0058】
この構成によれば、カール検出部58により、下向きのカールが検出されると、冷却部55より冷却部56の冷却能力が強くされ、上向きのカールが検出されると、冷却部56より冷却部55の冷却能力が強くされ、また、カール検出部58により検出されるカール量に応じて、各冷却部55、56の冷却能力が制御されることによって、定着等の熱による用紙Pのカールを矯正することができる。
【0059】
また、この構成によれば、装置内を放熱するファンや、定着等により加熱された用紙を冷却する冷却部55、56をカールの矯正にも使用することによって、構造の複雑化や装置の大型化を抑制することができる。
【0060】
また、上記実施形態によれば、定着部18で画像が定着された用紙Pを表裏反転して搬送する両面印刷用搬送路51を有し、冷却部55、56は、反転されて定着された用紙Pの表裏をそれぞれ冷却することによって、表面の定着を完了した用紙Pが冷却部55、56により冷却されるとともに、裏面の定着を完了した用紙Pが冷却部55、56により冷却されるので、片面印刷の用紙のカールを矯正とともに、両面印刷の用紙のカールを矯正することができる。
【0061】
また、上記実施形態によれば、カール検出部58は、一対の発光部58aと受光部58bを用紙搬送方向と垂直に複数個上下方向に配列した光学式センサを備えることによって、用紙Pのカールに関する情報を簡単に検出することができるとともに、装置が大型化するおそれがない。
【0062】
尚、上記実施形態では、カール検出部58がカール方向とカール量を検出する構成を示したが、本発明はこれに限らず、用紙Pの片面印刷においては、カール検出部58がカール量のみ検出するようにしてもよい。この場合も上記同様、カールを矯正することができ、特にカール方向の検出、制御が省かれるために、迅速にカールを矯正することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、冷却部55、56は、両面印刷において、表面を印刷した用紙Pを冷却して、反転させて裏面に印刷した用紙Pを冷却する構成を示したが、本発明はこれに限らず、用紙Pの表面のカール量が表3、表4に示すモードD等のように小さい時には、冷却部55、56による冷却を行わずに、裏面に印刷した用紙Pのカール検出結果に基づいて、冷却部55、56の冷却能力を制御するようにしてもよい。この場合も上記同様の効果を奏する。
【0064】
また、上記実施形態では、発光部58aと受光部58bを有する光学式センサにより、カールに関する情報を検出する構成を示したが、本発明はこれに限らず、カール検出部58は、画像形成時の用紙Pへの印字割合を算出して、その印字割合から用紙Pのトナー付着量を換算して、トナー付着量に基づいてカール量を予測するようにしてもよい。
【0065】
また、一般の事務用に使用する普通紙とは特性の異なる特殊用紙、例えばコート紙、薄紙、厚紙などにおいては、カールの冷却による補正の特性が異なることが予測される。各特殊紙においてカールと冷却による補正の特性を実験確認して、検出される乃至は予測されるカール方向及びカール量に対する冷却部55、56の冷却能力の制御値を各特殊紙について画像形成装置1の制御部の記憶手段に登録しておいてもよい。特殊用紙に印刷したい場合に、使用者はその特殊用紙を画像形成装置1の給紙部46の手差しトレイ51にセットして、パソコンから出力する際に用紙の種類を指定すれば、記憶手段に登録された特性に合わせた冷却制御がなされる。また、画像形成装置1に設けられた操作部から、給紙部46の各給紙手段に収納する用紙の種類を指定して制御部の記憶手段に記憶させておいてもよい。この場合は、使用者がパソコンから印刷する際にパソコンの画面上で各給紙手段の用紙の種類を確認して給紙手段を選択すれば、給紙手段に登録された用紙の種類に応じた冷却制御がなされる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置及びこれを用いた画像形成装置に利用することができ、特に熱により画像が定着された用紙のカールを矯正する画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】は、本発明の実施形態である画像形成装置の全体構成を示す概略側面図である。
【図2】は、本発明の実施形態である画像形成装置の用紙排出ユニットの斜視図である。
【図3】は、本発明の実施形態である画像形成装置の用紙排出ユニットの断面側面図である。
【図4】は、本発明の実施形態である画像形成装置の用紙搬送路の模式図である。
【図5】は、本発明の実施形態である画像形成装置のカール検出部と冷却部を模式的に示す斜視図である。
【図6】は、本発明の実施形態である画像形成装置のカール検出を示す模式図である。
【図7】は、本発明の実施形態である画像形成装置の機能を示すブロック図である。
【図8】は、本発明の実施形態である画像形成装置のカールの検出と冷却部の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
18 定着部
41 用紙搬送部
43 第1搬送路
46 給紙部
47 給紙カセット
50 用紙排出ユニット
51 両面印刷用搬送路
52 排出用搬送路
53 冷却用搬送路
54 可動ガイド
55、56 冷却部
55a、56a 冷却ファン
55b、56b ダクト
55c、56c 開口
55d、55d 駆動モータ
58 カール検出部
58a1〜58a4 発光部
58b1〜58b4 受光部
60 制御手段
71 第2搬送路
74 搬送ローラ
76 反転搬送路
81 排出トレイ
82 排出ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された用紙上に画像を形成する画像形成部と、用紙上に形成された画像を加熱定着する定着部と、前記定着部により加熱定着された用紙を冷却する冷却部とを有する画像形成装置において、
画像が定着された用紙のカール状態を検出するカール検出部を有し、前記カール検出部で検出された用紙のカールに関するカール情報に基づいて、前記冷却部の冷却能力を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却部は用紙の表裏をそれぞれ冷却する冷却ファンを有し、前記制御手段は前記冷却ファンの冷却能力をそれぞれ制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カール検出部が用紙のカール方向とカール量を検出して、前記制御手段は、前記カール検出部の検出結果に応じて、前記冷却部における用紙の表裏の冷却能力を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着部で画像が定着された用紙を表裏反転して搬送する搬送部を有し、前記冷却部は、前記カール検出部の検出結果に応じて、反転されて定着された用紙の表裏をそれぞれ冷却することを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カール検出部は、光学式センサを備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−128839(P2009−128839A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306803(P2007−306803)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】