説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の大型化を抑制しつつ、一対のレジストローラ間の位置精度を高精度としながら、ドラムユニット(感光ユニット)を容易に取り外し可能とする
【解決手段】 一対のレジストローラ26A、26Bは、装置本体に保持されているとともに、仮想平面S1に対して感光ユニット12と反対側に配設され、かつ、一対のレジストローラ26A、26Bのニップ点Pが、張架方向から見て、ベルトユニット30と重なる部位に位置している。これにより、一対のレジストローラ26A、26Bが共に装置本体に保持された構造となるので、画像形成装置の大型化を招くことなく、一対のレジストローラ26A、26B間の位置精度を高精度とすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のダイレクトタンデム方式のカラーレーザプリンタにおいては、一対のレジストローラにより給紙トレイから搬送されてきた用紙の斜行が矯正された後、その斜行が矯正された用紙が複数個の感光ドラムからなるドラムユニット(画像形成ユニット)に送出されている。
【0003】
そして、特許文献1に記載の発明では、ドラムユニットを本体ケーシング(筐体)に対して引き出し可能とすることにより、複数個の感光ドラムを一度に本体ケーシングから取り外し可能としてドラムユニットのメンテナンス性を向上させている。
【0004】
ところで、一対のレジストローラは、前述したように、用紙等の記録シートの斜行を矯正するものであるので、一対のレジストローラは、可能な限りドラムユニットの近傍に設けることが望ましい。
【0005】
その理由は、一対のレジストローラがドラムユニットから離れた位置に設けられると、一対のレジストローラにて斜行を矯正しても、一対のレジストローラから記録シートが送出された後、ドラムユニットに到達する前に、再び、記録シートが斜行してしまうおそれがあるとともに、ドラムユニットに記録シートを供給するタイミングを高精度に制御することが難しくなるからである。
【0006】
しかし、一対のレジストローラをドラムユニットの近傍に設けた場合には、ドラムユニットを本体ケーシングから取り外す際に、単純に、ドラムユニットを水平方向に引き出すと、レジストローラとドラムユニットとが干渉してしまう可能性が高いので、ドラムユニットを本体ケーシングから容易に取り外すことができないおそれが高い。
【0007】
そこで、特許文献1に記載の発明では、一対のレジストローラのうちドラムユニット側のレジストローラをドラムユニットに設け、ドラムユニットと共に一方のレジストローラを本体ケーシングから取り外すことにより、ドラムユニットを本体ケーシングから取り外す際にレジストローラとドラムユニットとが干渉してしまうことを未然に防止している。
【特許文献1】特開2006−98776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、一対のレジストローラは、記録シートの斜行を矯正するものであるので、一方のレジストローラに対する他方のレジストローラの位置精度を高精度とする必要があるので、特許文献1に記載の発明のごとく、一対のレジストローラの一方をドラムユニットと共に取り外し可能とし、他方を本体ケーシングに対して固定すると、一対のレジストローラ間の位置精度を高精度とすることが難しい。
【0009】
また、ドラムユニットを着脱するための開口部を開閉する開閉カバーに、一対のレジストローラの一方を組み付けることにより、ドラムユニットを本体ケーシングから取り外す際にレジストローラとドラムユニットとが干渉してしまうことを防止する手段も考えられるが、この手段においても、一対のレジストローラの一方が可動部に固定され、他方が本体ケーシングに対して固定された構造となるので、特許文献1に記載の発明と同様に、一対のレジストローラ間の位置精度を高精度とすることが難しい。
【0010】
これに対しては、可動部である開閉カバーの剛性を十分に高めれば、一対のレジストローラ間の位置精度を高精度とすることが可能となるが、この解決手段では、開閉カバーの重量及び寸法が大きくなってしまうので、画像形成装置の大型化を招いてしまう。
【0011】
本発明は、上記点に鑑み、画像形成装置の大型化を抑制しつつ、一対のレジストローラ間の位置精度を高精度としながら、ドラムユニットを容易に取り外し可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、複数個の感光ドラム(13D)が、その軸方向と直交する方向に直列に配設されたドラムユニット(12)と、複数本のローラ(31、32)により張架され、その張架された張架部(33A)が複数個の感光ドラム(13D)と対向するベルト(33)を有するベルトユニット(30)と、側壁に開口部(2F)を有し、ドラムユニット(12)を張架部(33A)の張架方向に移動可能に収容するフレーム(2)と、開口部(2F)を開閉する開閉カバー(3A)と、搬送されてくる記録シートを挟んだ状態で回転することより、記録シートをベルトユニット(30)に送出するとともに、搬送されてくる記録シートの斜行を矯正する一対のレジストローラ(26A、26B)とを備え、一対のレジストローラ(26A、26B)は、フレーム(2)に保持されているとともに、ベルト(33)の張架部(33A)を含む仮想平面(S1)に対してドラムユニット(12)と反対側に配設されており、さらに、一対のレジストローラ(26A、26B)が記録シートを挟持するニップ点(P)は、張架方向から見て、ベルトユニット(30)と重なる部位に位置していることを特徴とする。
【0013】
これにより、請求項1に記載の発明では、一対のレジストローラ(26A、26B)が共にフレーム(2)に保持された構造となるので、画像形成装置の大型化を招くことなく、一対のレジストローラ(26A、26B)間の位置精度を高精度とすることが可能となる。
【0014】
また、一対のレジストローラ(26A、26B)がベルト(33)の張架部(33A)を含む仮想平面(S1)に対してドラムユニット(12)と反対側に配設されているので、ドラムユニット(12)を取り外す際にレジストローラ(26A、26B)とドラムユニット(12)とが干渉することはない。
【0015】
また、一対のレジストローラ(26A、26B)が記録シートを挟持するニップ点(P)が、張架方向から見て、ベルトユニット(30)と重なる部位に位置しているので、一対のレジストローラ(26A、26B)が、ドラムユニット(12)の近傍に位置することとなる。
【0016】
このため、ドラムユニット(12)に供給される記録シートの斜行を確実に矯正することが可能となるとともに、ドラムユニット(12)に記録シートを供給するタイミングを高精度に制御することが可能となる。
【0017】
したがって、請求項1に記載の発明では、画像形成装置の大型化を抑制しつつ、一対のレジストローラ(26A、26B)間の位置精度を高精度としながら、ドラムユニット(12)を容易に取り外し可能とすることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明では、一対のレジストローラ(26A、26B)から送出された記録シートをベルト(33)に案内する第1ガイド(27A)を備え、第1ガイド(27A)は、少なくとも一部が仮想平面(S1)に対してドラムユニット(12)と同一側に位置しているとともに、開閉カバー(3A)の開閉作動に連動して変位することを特徴とする。
【0019】
これにより、請求項2に記載の発明では、記録シートを確実にドラムユニット(12)に搬送することができるとともに、ドラムユニット(12)を取り外す際に第1ガイド(27A)とドラムユニット(12)とが干渉してしまうことを防止できる。
【0020】
なお、第1ガイド(27A)は、記録シートの搬送方向をドラムユニット(12)側に転向・案内するものであり、レジストローラ(26A、26B)のような位置精度を必要としないので、開閉カバー(3A)の開閉作動に連動して変位する構成としても画像形成に影響を与えることは殆ど無い。
【0021】
また、請求項3に記載の発明では、一対のレジストローラ(26A、26B)は、仮想平面(S1)に対して交差する方向に記録シートを送出し、さらに、第1ガイド(27A)は、仮想平面(S1)よりドラムユニット(12)側にて一対のレジストローラ(26A、26B)から送出された記録シートをベルト(33)側に転向させることを特徴とする。
【0022】
これにより、請求項3に記載の発明では、一対のレジストローラ(26A、26B)から送出された記録シートの搬送経路は、一旦、仮想平面を超え、その後、ベルト(33)の張架部(33A)に鋭角的に進入する構成となるので、記録シートとベルト(33)との間に存在する空気を効果的に排出させることができ、記録シートをベルト(33)に確実に密着させることができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明では、第1ガイド(27A)に対向する位置には、第1ガイド(27A)と協働して一対のレジストローラ(26A、26B)から送出された記録シートをベルト(33)に案内する第2ガイド(27B)が設けられており、さらに、第2ガイド(27B)は、ベルトユニット(30)に設けられていることを特徴とする。
【0024】
これにより、請求項4に記載の発明では、開閉カバー(3A)を開くことにより、第1ガイド(27A)を第2ガイド(27B)から離間させることができるので、第1ガイド(27A)周囲で記録シートの詰まり(ジャム)が発生した場合であっても、容易に詰まった記録シートを除去することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明では、一対のレジストローラ(26A、26B)の周速は、ベルト(33)の移動速より大きいことを特徴とする。
これにより、請求項5に記載の発明では、一対のレジストローラ(26A、26B)とベルト(33)との間において記録シートを弛ませるように湾曲させて、記録シートをベルト(33)に密着させることができる。
【0026】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本実施形態は、本発明に係る電子写真方式の画像形成装置をダイレクトタンデム方式のカラーレーザプリンタに適用したものであり、以下、図面と共に本実施形態を説明する。
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の要部を示す中央断面図であり、図2は画像形成装置1の装置本体(フレーム)2の左斜視図であり、図3はベルトユニット30の斜視図であり、図4はレジストローラ26A、26ベルトユニット30との配置関係を示す模式図であり、図5は感光ユニット12の着脱を示す図であり、図6はベルトユニット30の着脱を示す図である。
【0028】
2.画像形成装置の構成
図2に示す装置本体(フレーム)2は、図1に示すように、外観意匠を構成する筐体3に覆われており、この筐体3の上面部には、印刷(画像形成)を終えて筐体3から排出される用紙やOHPシート等(以下、単に用紙という。)が載置される排紙トレイ4が設けられている。
【0029】
また、装置本体2は、図2に示すように、水平方向(左右方向)両端側に設けられた略板状のサイドフレーム2A、2B、これらサイドフレーム2A、2Bの上端側を連結する天板部2C、及びサイドフレーム2A、2Bの下端側を連結する底板部2D等から構成されている。なお、図2においては、後述する一対のレジストローラ26A、26Bは省略されている。
【0030】
そして、装置本体2には、サイドフレーム2A、2Bによって左右両側が囲まれるようにして前後方向に拡がる収容空間2Eが形成されており、この収容空間2Eの前方側に設けられた開口部2Fは、図1及び図5に示すように、筐体3に揺動可能に組み付けられた開閉ドア3Aによって開閉される。
【0031】
また、装置本体2、つまり収容空間2E内には、図1に示すように、ドロワーユニット等の画像形成部10、フィーダ部20及びベルトユニット30等が収納されており、画像形成部10にて画像形成が終了した用紙は、中間搬送ローラ40及び排出シュート(図示せず。)にてその搬送方向が上方側に略180°転向された後、排出ローラ41により排紙トレイ4に排出される。
【0032】
2.1.画像形成部
画像形成部10は、図1に示すように、露光器(スキャナ)11、感光ユニット12及び定着装置14等を有して構成されている。
【0033】
そして、本実施形態に係る画像形成部10では、用紙の搬送方向上流側からブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像剤(トナー)に対応した4つの現像剤カートリッジ13K、13Y、13M、13Cが用紙の搬送方向に沿って直列に並んで配設されており、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンそれぞれの現像剤像が、ベルトユニット30上を搬送される用紙上で重ね合わせられる。
【0034】
2.1.1.露光器
露光器11は、筐体3内の上部に設けられるとともに、感光ドラム13Dの表面に静電潜像を形成する露光手段であり、具体的には、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等から構成されている。
【0035】
そして、画像データに基づいてレーザ光源から発光されるレーザビームは、ポリゴンミラーで偏向走査されて、fθレンズを通過した後、反射鏡によって光路が折り返された後、反射鏡によってさらに光路が下方に屈曲されることにより、後述する感光ドラム13Dの表面上に照射され、静電潜像が形成される。
【0036】
2.1.2.感光ユニット
感光ユニット12は、4つの現像剤カートリッジ13K、13Y、13M、13C(以下、総称するときは、現像剤カートリッジ13と記す。)を有しており、これらの現像剤カートリッジ13は、装置本体2の前後方向に移動可能なドロワーケーシング12Aに収納されてドロワーユニット(ドラムユニット)を構成している。
【0037】
このため、本実施形態では、4つの現像剤カートリッジ13を装置本体2に対して一体的に着脱することができる。そして、装置本体2には、ドロワーケーシング12A(感光ユニット12)の装着方向前進側(後方側)に設けられたガイドローラ12Bに摺接して感光ユニット12を正規の装着位置に案内する案内レール2Gが設けられている。
【0038】
因みに、現像剤カートリッジ13Kはブラックの現像剤が収納され、現像剤カートリッジ13Yはイエローの現像剤が収納され、現像剤カートリッジ13Mはマゼンタの現像剤が収納され、現像剤カートリッジ13Cはシアンの現像剤が収納されている。
【0039】
なお、これら4つの現像剤カートリッジ13は収納されている現像剤の色が異なるのみで、その構造は全て同一であり、具体的には、以下の通りである。
現像剤収容部13Aは、現像剤が収容された現像剤収容室13B、現像剤を感光ドラム13Dに供給する供給ローラ13E及び現像ローラ13F等を有して構成されている。
【0040】
そして、現像剤収容室13Bに収容されている現像剤は、供給ローラ13Eの回転によって現像ローラ13F側に供給され、さらに、現像ローラ13F側に供給された現像剤は、現像ローラ13Fの表面に担持されるとともに、層厚規制ブレード13Gにより担持された現像剤の厚みが所定の厚みにて一定(均一)となるよう調整された後、露光器11にて露光された感光ドラム13Dの表面に供給される。
【0041】
また、感光ドラム13Dは、用紙に転写される画像を担持する画像担持手段をなすものであり、4つの現像剤カートリッジ13それぞれに設けられた感光ドラム13Dは、その軸方向と直交する方向、つまり用紙の搬送方向に直列に配設されている。
【0042】
帯電器13Hは、感光ドラム13Dの表面を帯電させる帯電手段をなすものであり、転写ローラ13Jは、搬送ベルト33を挟んで感光ドラム13Dと対向して配設されているとともに、用紙が感光ドラム13D近傍を通過する際に、感光ドラム13Dに帯電した電荷と逆極性の電圧を印加(作用)させることにより、感光ドラム13Dの表面に付着した現像剤を用紙の印刷面に転写させる。
【0043】
なお、本実施形態では、転写ローラ13Jは、ベルトユニット30に回転可能な状態で搬送ベルト33の裏面に接触するように配設されており、この転写ローラ13Jは、搬送ベルト33の駆動に伴って回転される。。
【0044】
2.1.3.定着装置
定着装置14は、用紙の搬送方向において感光ドラム13Dより下流側に配設され、用紙に転写された現像剤を加熱溶融させて定着させるものであり、この定着装置14は、装置本体2に着脱可能に組み付けられている。
【0045】
具体的には、定着装置14は、用紙の印刷面側に配設されて現像剤を加熱しながら用紙に搬送力を付与する加熱ローラ14A、及び用紙を挟んで加熱ローラ14Aと反対側に配設されて用紙を加熱ローラ14A側に押圧する加圧ローラ14B等を有して構成されている。
【0046】
2.2.ベルトユニット
ベルトユニット30は、感光ユニット12の作動と連動しながら用紙を搬送する搬送手段であり、このベルトユニット30は、図1に示すように、感光ユニット12の下方側に配置された状態で装置本体2に着脱可能に組み付けられている。
【0047】
そして、ベルトユニット30は、感光ドラム13Dの回転と連動して回転する駆動ローラ31、駆動ローラ31と離隔した位置に回転可能に配設された従動ローラ(テンションローラ)32、駆動ローラ31と従動ローラ32とを架け渡すように張架され、かつ、その第1張架部33Aが感光ドラム13Dと対向する部位に位置する搬送ベルト33、並びに駆動ローラ31及び従動ローラ32を支持するベルトユニットフレーム34(図3参照)等を有して構成されている。
【0048】
また、第1張架部33Aは用紙が載置された状態で搬送される面であり、感光ユニット12は、第1張架部33Aの張架方向、つまり駆動ローラ31の回転中心と従動ローラ32の回転中心とを通る方向(本実施形態では、前後方向)に移動可能となっている。つまり、本実施形態では、感光ユニット12は、装置本体2に対して、第1張架部33Aの張架方向において着脱自在に組み付けられている。
【0049】
そして、感光体ユニット12が取り外された後に、ベルトユニット30の前端側を上昇させるようにして、ベルトユニット30の前端側を後述するテンションレバー36から外すことにより、ベルトユニット30を装置本体2に対して取り外すことができる(図6参照)。
【0050】
そして、駆動ローラ31の回転軸は、ベルトユニットフレーム34に対して固定された位置にて軸受(図示せず。)を介してベルトユニットフレーム34に回転可能に組み付けられている。
【0051】
一方、従動ローラ32の回転軸は、その軸端側に軸受(図示せず。)が装着されているとともに、ベルトユニットフレーム34に形成された長穴(図示せず。)に挿入されて駆動ローラ31から離隔する向き及び近接する向きに変位することができるようにベルトユニットフレーム34に組み付けられている。
【0052】
そして、ベルトユニット30が装置本体2に対して正規の装着位置に組み付けられた状態においては、従動ローラ32は、図1に示すように、テンションレバー36を介してコイルバネ35等の弾性手段による弾性力を受けて駆動ローラ31から離隔する向きに押圧される。
【0053】
また、ベルトユニット30(ベルトユニットフレーム34)には、図1に示すように、装置本体の一部をなすサイドフレーム2A、2B側に突出する突起部34Aが設けられ、一方、サイドフレーム2A、2Bには、ベルトユニット30が装置本体2に対して正規の装着位置に組み付けられたときに、突起部34Aの従動ローラ32側に接触して突起部34Aと係合する係合部2Hが設けられている。
【0054】
このため、ベルトユニット30が装置本体2に対して正規の装着位置に組み付けられた状態においては、突起部34Aと係合部2Hとの係合によってベルトユニット30が従動ローラ32側に移動してしまうことが規制され、テンションレバー36の押圧力によって搬送ベルト33に従動ローラ32から所定の張力が付与される。
【0055】
因みに、正規の装着位置とは、ベルトユニット30を正常作動させることができる得る装着位置をいい、ベルトユニット30が正規の装着位置に組み付けられていない状態では、用紙を正常搬送することができず、この状態では、用紙に形成される画像の品質が低下する、又は搬送中に用紙が詰まってしまう等の不具合が発生する可能性がある。
【0056】
2.3.フィーダ部
フィーダ部20は、後述する給紙トレイ21に載置されている用紙を画像形成部10側に送り出す送り手段である。具体的には、フィーダ部20は、図1に示すように、装置本体2の最下部に配設されて複数枚の用紙が載置される給紙トレイ21、この給紙トレイ21に載置されている用紙を拾い上げるピックアップローラ22、及びピックアップローラ22にて拾い上げられた用紙を画像形成部10側に給紙(搬送)する給紙ローラ23等から構成されている。
【0057】
また、分離パッド24は、搬送される用紙を挟んで給紙ローラ23と反対側に配設されて用紙に所定の搬送抵抗を付与することにより、給紙ローラ23と接触する1枚の用紙のみが搬送され、他の用紙が搬送されてしまうことを防止するための分離手段である。
【0058】
なお、分離パッド24は、給紙トレイ21に組み付けられているとともに、コイルバネ24A等の弾性手段の弾性力により給紙ローラ23側に押圧され、一方、給紙ローラ23は装置本体2に回転可能に組み付けられている。また、ピックアップローラ22は装置本体2に揺動可能に組み付けられた揺動アーム(図示せず。)の先端側に組み付けられている。
【0059】
そして、給紙ローラ23より用紙の搬送方向下流側には、図4に示すように、一対のレジストローラ26A、26Bに用紙を搬送する一対の搬送ローラ25A、25Bが設けられている。
【0060】
なお、搬送ローラ25Aは装置本体2に回転可能に組み付けられ、搬送ローラ25Bは、給紙トレイ21に回転可能に組み付けられているとともに、コイルバネ25C(図1参照)等の弾性手段の弾性力により搬送ローラ25A側に押圧されている。
【0061】
また、一対のレジストローラ26A、26Bは、用紙をベルトユニット30に送出するとともに、搬送されてくる用紙の斜行を矯正する斜行矯正手段であり、これらのレジストローラ26A、26Bは、その軸方向両端が装置本体2に回転可能に保持されているとともに、搬送ベルト33の第1張架部33Aを含む仮想平面S1に対して感光ユニット12と反対側(本実施形態では、仮想平面S1より下側)に配設されている。
【0062】
そして、一対のレジストローラ26A、26Bが用紙を挟持するニップ点Pは、張架方向(本実施形態では、前後方向)から見て、ベルトユニット30と重なる部位に位置している。つまり、ニップ点Pは、搬送ベルト33のうち従動ローラ32を挟んで第1張架部33Aと反対側に位置する第2張架部33Bを含む仮想平面S2と仮想平面S1とに挟まれた空間に位置している。
【0063】
因みに、ガイド25D、25Eは、一対の搬送ローラ25A、25Bから送出された用紙を一対のレジストローラ26A、26Bに導く案内手段であり、これらのガイド25D、25Eにより用紙の搬送方向が上方側に略180°転向させられる。
【0064】
ところで、一対のレジストローラ26A、26Bが共に仮想平面S1に対して感光ユニット12と反対側に配置されているため、ニップ点Pにおける接線方向、つまり一対のレジストローラ26A、26Bから送出される用紙の送出方向Dは、必然的に仮想平面S1に対して交差する方向となる。
【0065】
そこで、本実施形態では、一対のレジストローラ26A、26Bから送出された用紙を搬送ベルト33側に案内(転向)する第1ガイド27A及び第2ガイド27Bを設けている。
【0066】
すなわち、第1ガイド27Aは、給紙トレイ21からベルトユニット30に至る略U字状に湾曲した用紙搬送経路Lを挟んで、その曲率中心と反対側に配置されて搬送されてくる用紙の搬送方向を曲率中心側に転向させる案内手段であり、この第1ガイド27Aは、開閉ドア3Aに組み付けられている。このため、第1ガイド27Aは、図5及び図6に示すように、開閉ドア3Aの開閉作動に機械的に連動して変位する。
【0067】
また、第2ガイド27Bは、図4に示すように、用紙搬送経路Lを挟んで第1ガイド27Aと対向する部位に配設され、第1ガイド27Aと協働して一対のレジストローラ26A、26Bから送出された用紙を搬送ベルト33に案内する案内手段であり、この第2ガイド27Bは、図3に示すように、ベルトユニット30に設けられている。
【0068】
ところで、レジストローラ26A、26Bの周速は、搬送ベルト33の移動速より大きくなるように設定されているため、搬送されてきた用紙の搬送方向先端側が搬送ベルト33に到達すると、一対のレジストローラ26A、26Bから付与される搬送力により、用紙は、用紙搬送経路Lに対して曲率中心と反対側に凸となるように湾曲(座屈)しようとする。
【0069】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、第1ガイド27Aの少なくとも一部を仮想平面S1に対して感光ユニット12と同一側に位置させるとともに、仮想平面S1より感光ユニット12側にて用紙を搬送ベルト33側に転向させる構成としている。
【0070】
つまり、一対のレジストローラ26A、26Bから送出された用紙は、図4の破線で示す矢印Aのように、仮想平面S1を超えて感光ユニット12側に到達した後、その搬送方向が、第1ガイド27Aによって仮想平面S1側に転向させられて搬送ベルト33に到達する。
【0071】
なお、レジストローラ26A、26Bの周速を搬送ベルト33の移動速より大きくなるように設定する理由は、一対のレジストローラ26A、26Bと搬送ベルト33との間において、用紙を弛ませるように湾曲させて用紙を搬送ベルト33に密着させるためである。
【0072】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、一対のレジストローラ26A、26Bは、装置本体2に保持されているとともに、仮想平面S1に対して感光ユニット12と反対側に配設されているので、画像形成装置1の大型化を招くことなく、一対のレジストローラ26A、26B間の位置精度を高精度とすることが可能となる。
【0073】
また、一対のレジストローラ26A、26Bが仮想平面S1に対して感光ユニット12と反対側に配設されているので、図5に示すように、感光ユニット12を取り外す際にレジストローラ26A、26Bと感光ユニット12とが干渉することはない。
【0074】
また、一対のレジストローラ26A、26Bのニップ点Pが、図4に示すように、張架方向(前後方向)から見て、ベルトユニット30と重なる部位に位置しているので、一対のレジストローラ26A、26Bが、感光ユニット12の近傍に位置することとなる。
【0075】
このため、感光ユニット12に供給される用紙の斜行を確実に矯正することが可能となるとともに、感光ユニット12に用紙を供給するタイミングを高精度に制御することが可能となる。
【0076】
したがって、本実施形態では、画像形成装置1の大型化を抑制しつつ、一対のレジストローラ26A、26B間の位置精度を高精度としながら、感光ユニット12を容易に取り外し可能とすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、一対のレジストローラ26A、26Bから送出された用紙を搬送ベルト33に案内する第1ガイド27A及び第2ガイド27Bを有しているので、用紙を確実に感光ユニット12に搬送することができる。
【0078】
また、第1ガイド27Aが、開閉ドア3Aの開閉作動に連動して変位するので、感光ユニット12を取り外す際に第1ガイド27Aと感光ユニット12とが干渉してしまうことを防止できる。
【0079】
また、本実施形態では、開閉ドア3Aを開くことにより、第1ガイド27Aを第2ガイド27Bから離間させることができるので、第1ガイド27A周囲で用紙の詰まり(ジャム)が発生した場合であっても、詰まった用紙を容易に除去することができる。
【0080】
因みに、第1ガイド27Aは、用紙の搬送方向を感光ユニット12側に転向・案内するものであり、レジストローラ26A、26Bのような位置精度を必要としないので、開閉ドア3Aの開閉作動に連動して変位する構成としても画像形成に影響を与えることは殆ど無い。
【0081】
なお、第2ガイド27Bはベルトユニット30に設けられているので、開閉ドア3Aが開かれても第2ガイド27Bの位置は変位しないが、第2ガイド27Bは、図4に示すように、仮想平面S1を挟んで感光ユニット12と反対側、つまり仮想平面S1より下方側に配設されているので、感光ユニット12を着脱する際に第2ガイド27Bと感光ユニット12とが干渉することはない。
【0082】
また、本実施形態では、一対のレジストローラ26A、26Bは、仮想平面S1に対して交差する方向に用紙を送出し、第1ガイド27Aは、仮想平面S1より感光ユニット12側にて一対のレジストローラ26A、26Bから送出された用紙を搬送ベルト33側に転向させるので、一対のレジストローラ26A、26Bから送出された用紙の搬送経路(図4の破線矢印A)は、一旦、仮想平面S1を超え、その後、搬送ベルト33の第1張架部33Aに鋭角的に進入する構成となる。したがって、用紙と搬送ベルト33との間に存在する空気を効果的に排出させることができるので、用紙を搬送ベルト33に確実に密着させることができる。
【0083】
5.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、感光ユニット12が特許請求の範囲に記載された感光ドラム13Dユニットに相当し、装置本体2が特許請求の範囲に記載されたフレームに相当し、開閉ドア3Aが特許請求の範囲に記載された開閉カバーに相当する。
【0084】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、感光ユニット12が前後方向(略水平方向)に移動(着脱)可能であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
また、上述の実施形態に係るベルトユニット30は、用紙を搬送するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間転写用のベルトユニットであってもよい。
また、上述の実施形態では、露光装置としてレーザ光を走査するスキャナを用いたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば多数個のLEDの点灯制御することにより感光ドラム13Dを露光するものであってもよい。
【0086】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の要部を示す中央断面図である。
【図2】画像形成装置1の装置本体(フレーム)2の左斜視図である。
【図3】ベルトユニット30の斜視図である。
【図4】レジストローラ26A、26ベルトユニット30との配置関係を示す模式図である。
【図5】感光ユニット12の着脱を示す図である。
【図6】ベルトユニット30の着脱を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1…画像形成装置、2…装置本体、2A、2B…サイドフレーム、2C…天板部、
2E…収容空間、2F…開口部、2G…案内レール、2H…係合部、3…筐体、
3A…開閉ドア、4…排紙トレイ、10…画像形成部、11…露光器、
12…感光ユニット、12A…ドロワーケーシング、12B…ガイドローラ、
13…現像剤カートリッジ、13A…現像剤収容部、13B…現像剤収容室、
13C…現像剤カートリッジ、13D…感光ドラム、13E…供給ローラ、
13F…現像ローラ、13G…層厚規制ブレード、13H…帯電器、
13J…転写ローラ、14…定着装置、14A…加熱ローラ、20…フィーダ部、
21…給紙トレイ、22…ピックアップローラ、23…給紙ローラ、
24…分離パッド、25A、25B…搬送ローラ、
26A、26B…レジストローラ、27A…第1ガイド、27B…第2ガイド、
30…ベルトユニット、31…駆動ローラ、32…従動ローラ、33…搬送ベルト、
33A…第1張架部、33B…第2張架部、34…ベルトユニットフレーム、
34A…突起部、36…テンションレバー、41…排出ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
複数個の感光ドラムが、その軸方向と直交する方向に直列に配設されたドラムユニットと、
複数本のローラにより張架され、その張架された張架部が前記複数個の感光ドラムと対向するベルトを有するベルトユニットと、
側壁に開口部を有し、前記ドラムユニットを前記張架部の張架方向に移動可能に収容するフレームと、
前記開口部を開閉する開閉カバーと、
搬送されてくる記録シートを挟んだ状態で回転することより、記録シートを前記ベルトユニットに送出するとともに、搬送されてくる記録シートの斜行を矯正する一対のレジストローラとを備え、
前記一対のレジストローラは、前記フレームに保持されているとともに、前記ベルトの前記張架部を含む仮想平面に対して前記ドラムユニットと反対側に配設されており、
さらに、前記一対のレジストローラが記録シートを挟持するニップ点は、前記張架方向から見て、前記ベルトユニットと重なる部位に位置していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記一対のレジストローラから送出された記録シートを前記ベルトに案内する第1ガイドを備え、
前記第1ガイドは、少なくとも一部が前記仮想平面に対して前記ドラムユニットと同一側に位置しているとともに、前記開閉カバーの開閉作動に連動して変位することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一対のレジストローラは、前記仮想平面に対して交差する方向に前記記録シートを送出し、
さらに、第1ガイドは、前記仮想平面より前記ドラムユニット側にて前記一対のレジストローラから送出された記録シートを前記ベルト側に転向させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ガイドに対向する位置には、前記第1ガイドと協働して前記一対のレジストローラから送出された記録シートを前記ベルトに案内する第2ガイドが設けられており、
さらに、前記第2ガイドは、前記ベルトユニットに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一対のレジストローラの周速は、前記ベルトの移動速より大きいことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−180790(P2009−180790A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17602(P2008−17602)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】