説明

画像形成装置

【課題】ガイド清掃部材の表面を常に清掃に適した状態を維持しつつ、上ガイドのガイド面に対しても清掃を可能にして、上ガイドのガイド面に転写紙が接触しても、転写紙への塵埃付着を防止できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】転写紙を搬送させる無端状の転写ベルト9の表面に付着された塵埃を回収させる転写ベルト清掃部14と、転写紙の搬送をガイドさせる上ガイド23のガイド面23aに付着された塵埃を、転写ベルト9の表面に付着させる付着部Aとを設ける。この付着部Aは、ローラ状のガイド清掃部材25と、そのガイド清掃部材25を両持ち支持させ転写ベルト9と上ガイド23のガイド面23aとに同時に当接させる当接位置まで移動させると共にその当接位置から離間した待機位置まで移動させる上下方向揺動可能な一対のアーム部材36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラムや現像スリーブ等に付着しているトナーや転写紙を搬送する構成部に付着している紙粉等の塵埃が、作像時における遠心力や慣性力等が作用して装置内に飛散しやすい。特に、この塵埃のうちトナーの場合は、トナー濃度が適正時より高い場合や、キャリアの劣化(トナーとキャリア等とからなる2成分現像剤の場合)等によりトナーの帯電量が小さくなった場合に飛散しやすい。
装置内で飛散した塵埃は、現像部や、現像部の周りに配設された各構成部材、例えば、転写紙の搬送をガイドさせるガイド部材に付着しやすい。当然のことながら、ガイド部材に塵埃が付着すると、搬送中の転写紙を汚してしまう。
【0003】
そこで、かかる問題を解決せん、とした画像形成装置が既に提案されている。
例えば、転写位置の上流側あるいは下流側に設けられた転写材搬送ガイドの表面を清掃するガイド清掃部材を設けた画像形成装置がある(例えば特許文献1参照)。
他の例としては、転写材の画像形成面に対応した転写前上ガイドの飛散トナーによる画像汚れ発生の問題に対して、転写前下ガイドの最上点を通る感光ドラムに対する接線の転写前上ガイドと交わる位置を、転写前上ガイドの感光ドラム側の端部から少なくともd=5mm以上、感光ドラムの反対側にくるように、感光ドラム、転写前上ガイド、及び転写前下ガイドを配置した画像形成装置がある(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002―365929公報
【特許文献2】特開平10−319742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された画像形成装置は、転写材搬送ガイドの表面を清掃するガイド清掃部材を設けて、強制的に塵埃を排除する構成にしたことから、極めて好適なものであるが、しかしながら、ガイド清掃部材の表面は汚れが溜まる一方であることから、常に清掃に適した状態を維持することが困難であった。
また、特許文献2で開示された画像形成装置のように、転写前上ガイドと転写前下ガイドとの配設レイアウトをいかに最適化したとしても、上述したトナーや紙粉等の塵埃は、上ガイドのガイド面(下向きの面)にも回り込んで付着してしまうのが実状であった。そのため、特許文献2の図2で開示されているように、転写紙の後端が上ガイドのガイド面に接することで、転写紙を汚してしまう場合があった。
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ガイド清掃部材の表面を常に清掃に適した状態を維持しつつ、上ガイドのガイド面に対しても清掃を可能にして、上ガイドのガイド面に転写紙が接触しても、転写紙への塵埃付着を防止できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、下記の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1にかかる画像形成装置は、転写紙を搬送させる無端状の搬送ベルトの表面に付着された塵埃を回収させる搬送ベルト清掃部と、前記転写紙の搬送をガイドさせるガイド部材に付着された塵埃を、前記搬送ベルトの表面に付着させる付着部とを設けたことを特徴とする。
請求項2にかかる画像形成装置は、請求項1において、前記付着部は、ローラ状のガイド清掃部材と、該ガイド清掃部材を、前記搬送ベルトと前記ガイド部材とに同時に当接させる当接位置まで移動させると共にその当接位置から離間した待機位置まで移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項3にかかる画像形成装置は、請求項2において、前記ガイド清掃部材を回動させる回動部を設けたことを特徴とする。
請求項4にかかる画像形成装置は、請求項2または3において、前記ガイド部材は、前記搬送ベルトの一部と前記転写紙に転写させるトナー像を形成させる感光体とを対向させて形成された転写ニップに前記転写紙を通紙可能に設けられた上ガイドと下ガイドとの一対で構成されると共に、該下ガイドは、前記感光体から離れた一方の端部が機枠に軸支されて他方の端部側が前記上ガイドの配設方向に揺動可能に設けられてなり、前記移動機構は、前記ガイド清掃部材を押し上げると同時に前記下ガイドを押し開いて前記ガイド清掃部材を前記当接位置まで移動可能に、且つ、前記ガイド清掃部材を引き下げると同時に前記下ガイドを引き閉じて前記ガイド清掃部材を前記待機位置まで移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項5にかかる画像形成装置は、請求項1乃至4の何れか1項において、前記ガイド清掃部材の回動時の線速と前記搬送ベルトの線速とに、線速差を設けたことを特徴とする。
請求項6にかかる画像形成装置は、請求項1乃至5の何れか1項において、前記転写紙に転写させるトナー像を形成させるトナーの消費量に関する情報を検出するトナー消費量情報検出手段と、前記ガイド清掃部材による前記ガイド部材の清掃を、前記トナー消費量情報検出手段により検出されたトナー消費量情報に基づいて実行させる第1清掃タイミング制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項7にかかる画像形成装置は、請求項1乃至6の何れか1項において、前記転写紙の種類または印刷モードを受け付ける紙種類受付手段と、前記ガイド清掃部材による前記ガイド部材の清掃を、前記紙種類受付手段により受け付けた前記転写紙の種類または印刷モードに基づいて実行させる第2清掃タイミング制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、付着部が、ガイド部材に付着した塵埃を無端状ベルトの表面に付着し、無端状ベルトの表面を清掃する清掃部が、その塵埃を清掃及び回収するから、ガイド部材の清掃をしつつ、常に、ガイド清掃部材を清掃に適した状態を維持することができる。しかも、この種の画像形成装置において従来からの構成体である無端状ベルト清掃用の清掃部を利用したことで、新たにクリーニング機構を設けることなく、ガイド清掃部材の表面を常に清掃に適した状態を維持することができる。
また、ローラ状のガイド清掃部材を搬送ベルトとガイド部材とに同時に当接させる当接位置まで移動させたり、その当接位置から離間した待機位置まで移動させたりする移動機構とを備えて付着部を構成したから、上述した効果に加え、上ガイドのガイド面に対しても清掃が可能となり、上ガイドのガイド面に転写紙が接触しても、転写紙への塵埃付着を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態を説明する。本発明にかかる画像形成装置の実施の形態は、所謂、レーザプリンタに適用したものが例示されており、各実施の形態を詳述する前に、このレーザプリンタの概略を説明する。
本実施の形態にかかる画像形成装置1は、図1に示すように、静電潜像とトナー像が形成される回転可能なドラム状の感光体2と、その感光体2の表面を一様に帯電させる帯電部3と、画像情報に基づいて感光体2の表面に静電潜像を形成させる露光部(図示せず:露光部から光37を図示)と、感光体2上に形成された静電潜像をトナー像に現像させる現像部4と、一対のレジストローラ8により給紙された転写紙Pを感光体2と後述する転写ベルト9(搬送ベルト)との間に導かせる上ガイド23及び下ガイド24と、その導かされた転写紙Pに感光体2上に現像されたトナー像を転写させ感光体2の速度と同一速度で搬送させる転写搬送部5と、感光体2上に残留したトナーを払拭させるブレード状の感光体清掃部6と、定着入口ガイド板20を介して転写搬送部5より搬送方向下流に設けられ、定着ローラ21及び加圧ローラ22で転写紙P上の未定着のトナー像を転写紙Pに固定像として定着させる定着部7と、上ガイド23に付着された塵埃を転写ベルト9の表面に付着させる付着部A(詳細は後述する)と、画像形成装置1の動作制御を行なう制御手段(図示せず)とを備えて構成されている。
【0010】
このうち、上述した転写搬送部5を詳述すると、この転写搬送部5は、搬送方向下流側端部に定着入口ガイド板20と近接させた転写出口ガイド板19が延設されると共に搬送方向上流側端部に、帯板状の下ガイド24の一端が軸支されて感光体2寄りの他端側が上下方向揺動可能に設けられた所要形状の機枠Mと、その機枠M内の搬送方向下流側端部に軸支され回転駆動可能な駆動ローラ10と、機枠M内の搬送方向上流側端部に軸支された従動ローラ11と、その従動ローラ11と駆動ローラ10とに掛架されたゴムベルトからなる転写ベルト9と、感光体2と転写ベルト9とが衝合されてなる転写ニップNよりも搬送方向下流で、且つ、転写ベルト9の上側のベルト裏面で感光体2近傍に設けられ、転写ベルト9の裏面からトナーとは逆極性の電荷を付与させる転写バイアスローラ12と、機枠M底面に支持され転写ベルト9略中央の下側のベルト表面に圧接させて転写ベルト9の張架状態を調整させるテンションレバー13と、機枠M内の搬送方向下流側端部の底側に設けられ転写ベルト9の表面を清掃させる転写ベルト清掃部14(搬送ベルト清掃部)とを備えて構成されている。
【0011】
さらにこの転写ベルト清掃部14は、転写ベルト9上に付着したトナーや紙粉等の塵埃を払拭させるクリーニングブレード15と、そのクリーニングブレード15で払拭されなかった残留の塵埃を静電吸着させるクリーニングバイアスローラ16と、そのクリーニングバイアスローラ16上の塵埃を払拭させるバイアスローラクリーニングブレード18と、底面が断面視略V字状に凹設された機枠凹部に塵埃を留める回収コイル17とを備えて構成されている。
以上のように構成された画像形成装置1の動作の概略を説明すると、まず、感光体2は、図中矢印で示すように時計回りに回転駆動しながら、帯電部3により一様に帯電した後、露光部が画像情報に基づき強度が変化した光37を照射して、感光体2表面に静電潜像を形成する。現像部4は、トナーを用いてその静電潜像をトナー像に現像し、感光体2上に顕像としてのトナー像を形成する。
【0012】
一方、レジストローラ8が所定のタイミングで回転を開始して、上ガイド23と下ガイド24との間に転写紙Pを送り出す。送り出された転写紙Pは、転写ニップNで感光体2上のトナー像と重畳し、そのトナー像が転写紙Pに転写する。このようにしてトナー像を担持した転写紙Pは、そのまま転写ベルト9により搬送方向下流に移動し、転写出口ガイド板19、定着入口ガイド板20を介して、定着ローラ21と加圧ローラ22との間を転写紙Pが通過して、熱と圧力により転写紙Pにトナー像が固定像として定着する。このようにしてトナー像が定着した転写紙Pは、図示しない搬出部に移動・搬出して、作像プロセスに関する一連の動作が終了する。
【0013】
ここで、上述した上ガイド23と転写紙Pとの当接のプロセスについて説明する。
この画像形成装置1は、図7に示すように、上述した一般的な厚さの転写紙や、腰の弱い薄手の転写紙などの転写紙P1の場合は、転写紙P1は下ガイド24のガイド面に倣って摺接しながら移動するため、転写紙P1の後端が上ガイド23のガイド面23aに触れることは、通常、起こり得ないようになっている。したがって、そのガイド面が塵埃で汚れていても転写紙P1が汚れる恐れはない。
しかしながら、図8に示すように、腰の強い厚手の転写紙P2の場合には、上述したように、下ガイド24のガイド面に倣って摺接しながら移動するものの、その腰の強さゆえに、後端が跳ね上がり、上ガイド23のガイド面23aに触れる恐れがある。したがって、塵埃で汚れている状態の上ガイド23のガイド面23aに後端が触れると、紙後端にこの塵埃が付着して転写紙P2を汚してしまう。
また、この腰の強い厚手の転写紙P2のみならず、一般的な厚さの転写紙や、腰の弱い薄手の転写紙等の転写紙P1でも、紙後端がカールしている場合(特に、A3等の大サイズ用紙が、両面印刷などにより、紙後端が大きくカールしている場合)も、紙後端が上ガイド23のガイド面23aに触れることがある。
【0014】
そこで、本実施の形態にかかる画像形成装置1は、以下の技術手段を備えている。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる画像形成装置1は、上述した各構成のうち、付着部Aと、上ガイド23及び下ガイド24と、転写搬送部5と、転写ベルト清掃部14と、制御手段とを備えて構成されている。なお、これらの構成のうち、転写搬送部5と転写ベルト清掃部14は、上述した説明と重複するため省略する。
付着部Aは、ガイド清掃部材25と、移動機構とを備えてなる。
ガイド清掃部材25は、図1及び図2に示すように、外観形状がローラ状に形成されると共にその表層がスポンジ状またはブラシ状に構成されている。
【0015】
移動機構は、図2に示すように、テンションレバー13近傍の機枠M底面から立設された一対のブラケットm1に軸支された支軸26と、一端が支軸26の端部に軸支されると共に他端がガイド清掃部材25の端部から突出された支軸部25aに軸支され、ガイド清掃部材25を従動ローラ11と搬送方向上流の立壁部m2との間から上下方向揺動可能に両持ち支持させた一対のアーム部材36と、そのアーム部材36の内側で且つ支軸26の一方の端部が挿嵌された第1ギア27と、その第1ギア27よりアーム部材36寄りの機枠M底面に止着されたステッピングモータ28と、そのステッピングモータ28の回転軸が嵌着されると共に第1ギア27と噛合された第2ギア29とを備えて構成されている。
この移動機構は、図3に示すように、さらに、一対の帯板状部材からなる連結部材30と、下ガイド24に形成された長孔24aに両端が突出するように遊挿された軸31とを備え、連結部材30の一端が、その軸31の端部に軸支されると共に、連結部材30の他端が、ガイド清掃部材25の端部から突出された支軸部25aに軸支されて、支軸26を回動支点にしたアーム部材36と下ガイド24とが連係可能になっている。
【0016】
上ガイド23は、図1に示すように、感光体2寄りとなる先端側が下方に向かって”く”の字状に形成された帯板状に形成され、上述したガイド清掃部材25の直上となる位置に固定されている。
下ガイド24は、図1に示すように、転写ベルト9幅方向の側面に長孔24aが形成された帯板状に形成され、搬送方向上流に形成された立壁部m2の頂部に一端が軸支されると共に、軸31を介して連結部材30に連結されている。この頂部は、支軸26の高さ位置より高い位置になっている。
制御手段は、画像形成装置1の作像に関する基本的な動作制御に加え、所要のタイミングでステッピングモータ28の回転制御を行なうようになっている。詳細は後述の動作説明で詳述する。
【0017】
次に、以上のように構成された実施の形態1にかかる画像形成装置1における付着部A廻りの一連の動作を説明する。なお、作像プロセスに関する一連の動作は、上述したため省略する。
まず、転写可能な状態、すなわち、ガイド清掃部材25の待機位置の状態について説明する。
図1に示すように、支軸26を支点にしたアーム部材36が略水平に位置して、そのアーム部材36と軸着したガイド清掃部材25が、従動ローラ11と搬送方向上流の立壁部m2との間に位置しており、この位置が待機位置となっている。
このガイド清掃部材25がこの待機位置に位置することで、支軸26の高さ位置より高い軸支部分を回動支点にした下ガイド24が、軸31及び連結部材30を介して、固定された上ガイド23と略平行に位置して、転写ニップNへ転写紙Pを送り込ませるための搬送路を、この下ガイド24と上ガイド23とで形成する。なお、ガイド清掃部材25が待機位置に位置している際、アーム部材36と連結部材30とのなす角度(感光体2側寄りの開き角度)は鈍角になっている。
このように上ガイド23と下ガイド24とで、転写ニップNへ転写紙Pを送り込ませるための搬送路を形成したときに、上述した転写が実行可能になる。
【0018】
次に、ガイド清掃部材25の待機位置から当接位置への移動動作及び上ガイド23のガイド面23aの清掃動作について説明する。なお、移動動作及び清掃動作は、制御手段が動作制御している。
まず、予め設定された条件になったら、図1において所定の回転角度だけ時計回りに第2ギア29が回転するようにステッピングモータ28の回転軸の回転制御を開始する。
第2ギア29が時計回りに回転を開始すると、この第2ギア29と噛合した第1ギア27が反時計回りに回転を開始し、この回転に伴ってアーム部材36が反時計回りに回転を開始する。このアーム部材36の回転により、ガイド清掃部材25が、転写ベルト9の従動ローラ11と接している領域のベルト表面に沿うように上方への移動を開始する。
このガイド清掃部材25の上方への移動に伴って、図4に示すように、連結部材30及び軸31が、立壁部m2の頂部を回動支点にした下ガイド24を略垂直に起立するまで押し開いていく。連結部材30が水平状態になったときが下ガイド24の最も起立した状態となる。
【0019】
そして、上ガイド23のガイド面23a(下向きの面)とガイド清掃部材25が当接する位置に(当接位置)達したら、ステッピングモータ28の回転軸の回転を停止する。このとき、ガイド清掃部材25は、図5に示すように、上ガイド23のガイド面23aと転写ベルト9のベルト表面とに当接している。
このようにしてガイド清掃部材25が当接位置に位置したら、転写ベルト9は、反時計回りに回転を開始する(なお、転写ベルト9を最初から回転させておいても良い)。この転写ベルト9の反時計回りの回転によりガイド清掃部材25は時計回りに従動回転し、上ガイド23のガイド面23a(下向きの面)に付着したトナーや紙粉等の塵埃を払拭していくと同時に、ガイド清掃部材25に付着した塵埃が、転写ベルト9の表面に付着していく。
転写ベルト9に付着した塵埃は、転写ベルト9により反時計回りに移動し、機枠M内の搬送方向下流側端部の底側に設けた転写ベルト清掃部14がその塵埃を清掃及び回収する。この清掃動作は、上ガイド23のガイド面23aが綺麗になる所要の時間に達するまで行なう。
【0020】
このようにして、ガイド清掃部材25による上ガイド23のガイド面23aの清掃が完了したら、制御部は、第2ギア29が反時計回りに回転するようにステッピングモータ28の回転軸の回転制御を開始して、ガイド清掃部材25を、当接位置から上述した待機位置へ移動すると同時に、下ガイド24が上ガイド23と略平行の初期位置に引き閉じて、一連の動作が終了する。
このように、実施の形態1にかかる画像形成装置1は、ガイド清掃部材25が、上ガイド23のガイド面23aに付着した塵埃を転写ベルト9の表面に付着し、転写ベルト9の表面を清掃する転写ベルト清掃部14で、その塵埃を清掃及び回収するから、上ガイド23のガイド面23aを綺麗にしつつ、ガイド清掃部材25の表面を常に清掃に適した状態を維持できる。
したがって、腰の強い厚手の紙P2や、紙後端がカールしている転写紙Pが、転写ニップNへ突入する際に、紙後端が上ガイド23のガイド面23aに触れても汚れる恐れを払拭できる。しかも、この種の画像形成装置1において、従来からの構成体である転写ベルト清掃部14を利用したことで、新たにクリーニング機構を設けることなく、ガイド清掃部材25の表面を常に清掃に適した状態を維持することができる。
【0021】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる画像形成装置1は、実施の形態1で例示した構成に、ガイド清掃部材25を自転させる回動部32を加えた例であり、実施の形態1と共通する構成は同一符号を付して詳細な説明は省略する。
すなわち、ガイド清掃部材25を自転させる回動部32は、図6に示すように、第1ギア27の配設側と反対側のアーム部材36の内面で支軸26近傍に固着されると共にアーム部材36外面から回転軸を突出させたステッピングモータ33と、その回転軸を挿嵌させた第3ギア34と、アーム部材36に枢設された支軸38に挿嵌されガイド清掃部材25側で第3ギア34と噛合された第4ギア35と、その第4ギア35の上に重なるように支軸38に挿嵌された第1プーリー39と、アーム部材36を介して突出されたガイド清掃部材25の支軸部25aに挿嵌された第2プーリー40と、その第2プーリー40と第1プーリー39とに掛架された歯付きベルト41とを備えて構成されている。
この回動部32は、第3ギア34を挿嵌したステッピングモータ33の回転軸が回転することにより、その第3ギア34と噛合した第4ギア35及びその第4ギア35と同軸上の第1プーリー39が回転し、その第1プーリー39の回転が歯付きベルト41を介して第2プーリー40に伝達して、この第2プーリー40と接続したガイド清掃部材25が回転(自転)するようになっている。
【0022】
このように構成された実施の形態2にかかる画像形成装置1は、移動機構がガイド清掃部材25を当接位置に移動し、回動部32がガイド清掃部材25を時計回りに回転することで、実施の形態1で例示したように、上ガイド23のガイド面23a(下向きの面)に付着したトナーや紙粉等の塵埃を払拭していくと同時に、ガイド清掃部材25に付着した塵埃が、転写ベルト9の表面に付着する。
このように、実施の形態2にかかる画像形成装置1は、ガイド清掃部材25を回転させる回動部32を設けて、ガイド清掃部材25の回転をより確実なものにしたから、実施の形態1で例示した効果をより信頼性のあるものにできる。
また、ガイド清掃部材25と転写ベルト9との摺擦力を高めることで、上ガイド23のガイド面23aに付着した塵埃の清掃効果の向上が期待できることから、ガイド清掃部材25の回動時の線速と転写ベルト9の線速とに線速差を設けることが好ましい。この場合、ガイド清掃部材25の回転速度を調整することになるが、転写ベルト9の速度に対して、高速、低速の何れでも良いものである。
【0023】
上述した実施の形態1及び2は、上ガイド23のガイド面23aの清掃タイミングについて特に例示していないが、以下に説明する実施の形態3及び4は、好適な清掃タイミングを例示している。したがって、機構的な構成部は実施の形態1及び2と同じであり、ガイド清掃部材25の移動動作、清掃動作を司る制御手段のみ相違している。
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる画像形成装置1の制御手段は、トナー消費量情報検出手段と、第1清掃タイミング制御手段とを備えて構成されている。
トナー消費量情報検出手段は、転写紙Pに転写させるトナー像を形成させるトナーの消費量に関する情報を検出するもので、例えば、従来、この種の画像形成装置に用いられているトナーエンド検出手段が利用できる。
すなわち、そのトナーエンド検出手段は、トナーが充填される現像部4内に回転可能に設けられたトナー攪拌レバー(下死点から上死点に向かう回転はピン係合による強制回転、上死点から下死点に向かう回転はピン係合が解かれ自重による自然落下:材質は鉄)と、一端に磁石が止着された略L字状に形成されると共に、その略L字のコーナー部が現像部4の底壁を挟んで枢支され、トナー攪拌レバーが下死点に位置したときに磁石を止着した一端が引き寄せられて揺動可能なトナーセンスレバーと、そのトナーセンスレバーの揺動状態を検出させるフォトセンサとを備え、現像部4内のトナー嵩に応じて変化するトナー攪拌レバーの上死点から下死点までの自然落下時間をトナーセンスレバーの揺動変化を介してフォトセンサで検出(電気的なON・OFFのタイミング変化を検出)するようになっている。もちろん、フォトセンサの検出が所定の閾値に達すればトナーエンドとしている。
【0024】
このトナーエンド検出手段は、その名の如く、トナーエンドを検出して、トナーの補充やトナーカートリッジの交換を促すものであるが、上述した閾値を複数用意しておけば、トナーの消費量情報としてのトナー消費量情報検出手段となる。そして、このトナー消費量情報検出手段で検出したトナーの消費量情報に基づいて、上ガイド23のガイド面23aに付着する塵埃状態を予測するようになっている。
また、トナー消費量情報検出手段の他の態様としては、画像データ情報からトナー消費量を算出し積算することが挙げられる。
第1清掃タイミング制御手段は、ガイド清掃部材25による上ガイド23の清掃が、トナー消費量情報検出手段により検出されたトナー消費量情報に基づいて実行させるようになっている。
この場合、トナーの消費量が所定量に達する度に、上ガイド23のガイド面23aに仮に転写紙Pが触れたらその転写紙Pを汚す恐れが生じる直前に達したと判断して清掃を実行させる場合と、トナーの消費量が所定量に達する前であっても、トナーの消費量が一時的に大きくなった場合に清掃を実行させる場合とが挙げられる。特に後者の場合、印刷面積率が高いもの(トナーが載る領域が多い)を続けて印刷すると、当然ことながら、現像部4から感光体2に移るトナーの量も多くなるため、トナー飛散量も多くなりやすく、その結果、上ガイド23が汚れやすくなることから極めて効果的である。
このように実施の形態3にかかる画像形成装置1は、ガイド清掃部材25による上ガイド23の清掃タイミングを、トナー消費量情報検出手段により検出されたトナー消費量情報に基づいて実行させるから、上述した実施の形態1及び2の効果に加え、上ガイド23のガイド面23aの清掃をより効率的に信頼性のあるものにできる。
【0025】
(実施の形態4)
実施の形態4にかかる画像形成装置1の制御手段は、紙種類受付手段と、第2清掃タイミング制御手段とを備えて構成されている。
紙種類受付手段は、薄手の転写紙P、通常の転写紙P、腰の強い厚手の転写紙P、転写紙Pのサイズ、両面印刷または片面印刷などの印刷モード等を受け付けるもので、使用者の手入力や、搬送路中に設けたセンサなどによって、転写紙Pの種類や印刷モードを判別し、その情報を第2清掃タイミング制御手段に送信するようになっている。
第2清掃タイミング制御手段は、ガイド清掃部材25による上ガイド23の清掃が、紙種類受付手段により受け付けた転写紙Pの種類に基づいて実行させるようになっている。
すなわち、一般的な厚さの転写紙Pや、腰の弱い薄手の転写紙Pなどの場合は、転写紙Pは下ガイド24のガイド面に倣って摺接しながら移動するため、転写紙Pの後端が上ガイド23のガイド面23aに触れることは、通常、起こり得ないようになっているが、腰の強い厚手の転写紙Pや、両面印刷などにより紙後端が大きくカールしている転写紙Pの場合は、上ガイド23のガイド面23aに触れる恐れがあるため、それらの情報が紙種類受付手段から送信された場合、即座にガイド清掃部材25による上ガイド23の清掃を実行させるようになっている。
【0026】
このように実施の形態4にかかる画像形成装置1は、ガイド清掃部材25による上ガイド23の清掃が、紙後端の画像汚れが発生しやすい、腰の強い厚手の紙の通紙や、両面印刷時等がされた場合などにおいても、印刷開始直前の清掃動作により転写紙Pへの画像汚れを確実に防止できる。
以上、本実施の形態にかかる画像形成装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態1にかかる画像形成装置の模式化した正面図である。
【図2】付着部の模式化した斜視図である。
【図3】下ガイド廻りを模式化した斜視図である。
【図4】図1に続く動作説明図である。
【図5】図4に続く動作説明図である。
【図6】実施の形態2にかかる画像形成装置の付着部及び回動部の模式化した斜視図である。
【図7】上ガイドと転写紙との当接のプロセスを示した説明図その1である。
【図8】上ガイドと転写紙との当接のプロセスを示した説明図その2である。
【符号の説明】
【0028】
1 画像形成装置、2 感光体、3 帯電部、4 現像部、5 転写搬送部、6 感光体清掃部、7 定着部、8 レジストローラ、9 転写ベルト、10 駆動ローラ、11 従動ローラ、12 転写バイアスローラ、13 テンションレバー、14 転写ベルト清掃部、15 クリーニングブレード、16 クリーニングバイアスローラ、17 回収コイル、18 バイアスローラクリーニングブレード、19 転写出口ガイド板、20 定着入口ガイド板、21 定着ローラ、22 加圧ローラ、23 上ガイド、23a ガイド面、24 下ガイド、24a 長孔、25 ガイド清掃部材、25a 支軸部、26 支軸、27 第1ギア、28 ステッピングモータ、29 第2ギア、30 連結部材、31 軸、32 回動部、33 ステッピングモータ、34 第3ギア、35 第4ギア、36 アーム部材、37 光、38 支軸、39 第1プーリー、40 第2プーリー、41 歯付きベルト、P 転写紙、A 付着部、M 機枠、m1 ブラケット、m2 立壁部、N 転写ニップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写紙を搬送させる無端状の搬送ベルトの表面に付着された塵埃を回収させる搬送ベルト清掃部と、前記転写紙の搬送をガイドさせるガイド部材に付着された塵埃を、前記搬送ベルトの表面に付着させる付着部とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記付着部は、ローラ状のガイド清掃部材と、該ガイド清掃部材を、前記搬送ベルトと前記ガイド部材とに同時に当接させる当接位置まで移動させると共にその当接位置から離間した待機位置まで移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド清掃部材を回動させる回動部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記搬送ベルトの一部と前記転写紙に転写させるトナー像を形成させる感光体とを対向させて形成された転写ニップに前記転写紙を通紙可能に設けられた上ガイドと下ガイドとの一対で構成されると共に、該下ガイドは、前記感光体から離れた一方の端部が機枠に軸支されて他方の端部側が前記上ガイドの配設方向に揺動可能に設けられてなり、
前記移動機構は、前記ガイド清掃部材を押し上げると同時に前記下ガイドを押し開いて前記ガイド清掃部材を前記当接位置まで移動可能に、且つ、前記ガイド清掃部材を引き下げると同時に前記下ガイドを引き閉じて前記ガイド清掃部材を前記待機位置まで移動可能に構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ガイド清掃部材の回動時の線速と前記搬送ベルトの線速とに、線速差を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写紙に転写させるトナー像を形成させるトナーの消費量に関する情報を検出するトナー消費量情報検出手段と、
前記ガイド清掃部材による前記ガイド部材の清掃を、前記トナー消費量情報検出手段により検出されたトナー消費量情報に基づいて実行させる第1清掃タイミング制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写紙の種類または印刷モードを受け付ける紙種類受付手段と、
前記ガイド清掃部材による前記ガイド部材の清掃を、前記紙種類受付手段により受け付けた前記転写紙の種類または印刷モードに基づいて実行させる第2清掃タイミング制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−216830(P2009−216830A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58525(P2008−58525)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】