説明

画像形成装置

【課題】結露による画像品位の低下を防ぐことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着部とシート搬送装置の再搬送通路との間にシート排出装置29を設け、一面に画像が形成された後、再度、画像形成部に搬送する際、シートを一旦、再搬送通路に搬送した後、反転させて画像形成部に搬送する。そして、シート排出装置29に、一旦、再搬送通路に搬送されるシートと当接するシャッタ30を設け、シートSに当接したシャッタ30によってトナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の再搬送通路への流入を規制する規制空間G1を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にトナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の結露を防ぐための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、電子写真方式により画像を形成するものがある。そして、このような画像形成装置では、シートに画像を形成する場合は、まず像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を転写部によりシートに転写した後、シートを定着部に導き、シート上の未定着トナーをシートに定着させるようにしている。
【0003】
このような定着部として、定着ローラと加圧ローラとを備え、定着ローラ及び加圧ローラによって熱と圧力を同時にシートに加えることにより、トナー像をシートに定着させる熱圧定着方式の定着部がある。この定着部の場合、トナー像をシートに定着させる際、シートを加熱する定着ローラからシートへ相当量の熱が付与されるため、トナー像をシートに定着する際、シートに含まれる水分が水蒸気となって蒸発してしまう。ここで、このように水蒸気が発生した場合、この後、画像形成装置本体が比較的低温状態となると、水蒸気がシート搬送路内で結露することがあり、結露が生じると、シートがシート搬送路を通過する際、シートに水滴が付着してしまう。
【0004】
そこで、従来の画像形成装置においては、結露を防ぐため、定着部の気密性を高め、水蒸気を定着部内で吸収するようにする他、例えば発生した水蒸気を、画像形成装置上部に備えたルーバーを通して機外に排出するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、従来の画像形成装置において、近年のデジタル化や複合化に伴い、例えば画像形成装置本体の上方に画像読取装置を配し、画像形成装置本体と画像読取装置との間の空間にシートを排出する、いわゆる胴内排出方式のものがある。さらに、このような胴内排出方式の画像形成装置において、画像形成装置本体のシート排出方向下流側にシート処理装置を配置するものがあり、この場合、画像形成後のシートをシート処理装置へ搬送する中継搬送装置を胴内排出空間に配置するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−254938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような画像形成装置本体上部に画像読取装置及び中継搬送装置を設けた従来の画像形成装置の場合、画像読取装置及び中継搬送装置は定着部の上方に位置することから、既述したようなルーバーによる水蒸気の排出が困難になる。また、近年の高速化に伴い、定着ローラからシートへ伝わる熱量も増加するため水蒸気の発生量自体も増加している。このため、既述したように定着部の機密性を高めることにより定着部内で水蒸気を吸収するという構成においても水蒸気の吸収には限界があり、水蒸気の回収が困難になって来ている。
【0008】
ここで、水蒸気の排出及び回収が不十分の場合、画像形成装置本体が比較的低温状態となると、例えば水蒸気が中継搬送装置に設けられ、シートの両面に画像を形成するための両面反転路に結露が生じる。そして、このように結露が生じると、例えばコールドスタート時のように画像形成装置本体が比較的低温状態にある場合には、両面反転路を通過する際、シートに水滴が付着してしまう。この結果、シート表面が低抵抗化してしまい、この後、シートが転写部に達し、トナー像を転写する際、画像抜けが発生し、画像品位が低下するおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、結露による画像品位の低下を防ぐことのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、トナー像を形成する画像形成部及び前記画像形成部で形成された後、シートに転写されたトナー像をシートに定着させる定着部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体と上部装置との間の空間に設けられ、一面に画像が形成されたシートを再度、前記画像形成部に搬送する再搬送通路を有するシート搬送装置と、を備えた画像形成装置において、前記定着部と前記シート搬送装置の再搬送通路との間に設けられ、一面に画像が形成された後、再度、前記画像形成部に搬送されるシートを、前記再搬送通路に搬送した後、反転させて前記画像形成部に搬送するシート再搬送部を備え、前記シート再搬送部に、前記再搬送通路を搬送されるシートと当接し、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の前記再搬送通路への流入を規制する規制部材を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
また本発明は、トナー像を形成する画像形成部及び前記画像形成部で形成された後、シートに転写されたトナー像をシートに定着させる定着部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体と上部装置との間の空間に設けられ、一面に画像が形成されたシートを再度、前記画像形成部に搬送する再搬送通路を有するシート搬送装置と、を備えた画像形成装置において、前記定着部と前記シート搬送装置の再搬送通路との間に設けられ、一面に画像が形成された後、再度、前記画像形成部に搬送されるシートを、前記再搬送通路に搬送した後、反転させて前記画像形成部に搬送するシート再搬送部を備え、前記シート再搬送部に、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の前記再搬送通路への流入を規制する規制部材を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シートと、シートに当接した規制部材及びシート再搬送部の筐体と共に、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の再搬送通路への流入を規制する規制空間を形成することにより、結露による画像品位の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるフルカラーレーザープリンタの斜視図、図2は、その概略構成を示す図である。
【0015】
図1及び2において、1はフルカラーレーザービームプリンタ、1Aはフルカラーレーザービームプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。1Bはトナー像を形成する画像形成部、2はシートSを画像形成部1Bへと給送するシート給送装置、18は定着部を構成する定着装置である。
【0016】
また、3はプリンタ本体1Aの上方に略水平に設置された画像読取装置、4はプリンタ本体1Aの一側面に配置され、画像形成後のシートに対し、大量積載、仕分け積載、穿孔、針綴じ、製本処理等の処理を行うシート処理装置である。5はプリンタ本体1Aから画像形成済のシートSを受け取り、シート処理装置4まで搬送するシート搬送装置である中継搬送装置である。この中継搬送装置5は画像形成装置本体であるプリンタ本体1Aの上面と、上部装置である画像読取装置3との間の空間Gに配置されている。
【0017】
画像形成部1Bは、4ドラムフルカラー方式のものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ11(11Y、11M、11C、11K)を着脱可能に備えている。なお、このプロセスカートリッジ11は、不図示の感光体ドラム、感光体ドラムに所定の電圧を印加して帯電させる帯電手段、感光体ドラム上に形成された潜像にトナーを付着させて現像するための現像手段等を備えている。また、画像形成部1Bは、レーザスキャナ12(12YM,12CK)と、プロセスカートリッジ11の上方に配された中間転写ユニット13を備えている。
【0018】
中間転写ユニット13は、駆動ローラ13b及びテンションローラ13cに巻き掛けられた中間転写ベルト13aを備えている。また、中間転写ユニット13は、中間転写ベルト13aの内側に設けられ、プロセスカートリッジ11に設けられた不図示の感光体ドラムに対向した位置で中間転写ベルト13aに当接する1次転写ローラ13dを備えている。
【0019】
ここで、中間転写ベルト13aは、フィルム状部材で構成されると共に各感光体ドラムに接するように配置され、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ13bにより矢印方向に回転するようになっている。そして、この中間転写ベルト13aに1次転写ローラ13dによって正極性の転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の負極性を持つ各色トナー像が順次中間転写ベルト13aに多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0020】
なお、中間転写ユニット13の駆動ローラ13bと対向する位置には、中間転写ベルト上に形成されたフルカラー画像をシートSに転写する2次転写部を構成する2次転写ローラ16が設けられている。
【0021】
さらに、この2次転写ローラ16の上部に定着装置18が配置され、この定着装置18の左上部には排紙ローラ対19及び両面反転部1Cが配置されている。そして、この両面反転部1Cは、正逆転可能な反転ローラ対26及び一面に画像が形成されたシートを再度、画像形成部1Bに搬送する再搬送通路R3等が設けられている。
【0022】
次に、このように構成されたフルカラーレーザービームプリンタ1の画像形成動作について説明する。
【0023】
まず、原稿の画像情報を画像読取装置3によって読み取ると、この画像情報は画像処理された後、電気信号に変換されて画像形成部1Bのレーザスキャナ12に伝送される。なお、画像情報は不図示のパソコン等の外部機器から画像形成部1Bに入力される場合もある。
【0024】
そして、画像形成部1Bでは、感光体ドラムの表面をレーザスキャナ12から射出された画像情報に対応するレーザ光により走査し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラムの表面を順次露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
【0025】
例えば、まずプロセスカートリッジ11Yの感光体ドラムに、レーザスキャナ12Yからイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を照射し、感光体ドラム上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像器からのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。
【0026】
次に、このイエロートナー像が感光体ドラムの回転に伴って感光体ドラムと中間転写ベルト13aとが当接する1次転写部に到来すると、1次転写ローラ13dに印加した1次転写バイアスにより、イエロートナー像が中間転写ベルト13aに転写される。
【0027】
次に、中間転写ベルト13aのイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法でプロセスカートリッジ11Mの感光体ドラム上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト13aに転写される。同様に、中間転写ベルト13aが移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト13a上にフルカラートナー画像が形成される。
【0028】
また、このトナー画像形成動作に並行して不図示の給紙カセットに収容されたシートがピックアップローラ35により送り出され、このシートSは、フィード・リタードローラ対14により1枚ずつに分離されてレジストローラ対15まで搬送される。そして、このレジストローラ対15により斜行が補正されると共に、2次転写部で中間転写ベルト上のフルカラートナー像とシートSの位置を合わせるように2次転写部まで搬送される。この後、2次転写部にて、2次転写ローラ16に印加した2次転写バイアスにより、フルカラートナー像がシートS上に一括して転写される。なお、このとき、シートSに二次転写されなかった廃トナーは、中間転写ベルト上に備えたクリーニング手段としてのクリーニング装置17により回収される。
【0029】
次に、このようにフルカラートナー像が転写されたシートSは、定着装置18に搬送され、この定着装置18において熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートSにフルカラーの画像として定着される。この後、画像が定着されたシートSは、定着装置18の下流に設けられた排出ローラ対19によって中継搬送装置5に搬送される。
【0030】
次に、シートSは、中継搬送装置5の上部に略水平に設けられた排紙搬送路R1を通過し、この排紙搬送路R1に設けられた第1搬送ローラ対21、第2搬送ローラ対22、中継排出ローラ対23によりシート処理装置4に受け渡される。そして、このシート処理装置4において所定の処理が施された後、排出トレイ(積載トレイ)8に画像形成面を下にして排出される。
【0031】
ところで、本実施の形態のフルカラーレーザービームプリンタ1は、シートの両面に画像を形成することができるようになっている。そして、シートの両面に画像を形成する場合、片面(一面)に画像が形成されたシートは、定着装置18を通過した後、切替部材20及び反転ローラ対26により、画像読取装置3と中継搬送装置5の間に設置された再搬送通路である反転搬送路R2に導入される。
【0032】
次に、シートSの後端が定着装置18を通過すると、所定のタイミングで反転ローラ対26が逆転すると共に切替部材20が回動し、これによりシートSは、図3に示すように反転して再搬送通路R3に搬送される。この後、再搬送通路R3に設けられた第1再給紙ローラ対27及び第2再給紙ローラ対28により、その搬送方向を上下反転して再びレジストローラ対15へと搬送される。そして、再度裏面に対する画像形成及び定着がなされ、この後、排紙搬送路R1を通過してシート処理装置3に受け渡される。
【0033】
また、本フルカラーレーザービームプリンタ1は、シート処理装置4の替わりに図4に示すように、印字済シートSを大量積載するための排出トレイ6を取り付けることも可能である。そして、この場合には、中継搬送装置5により搬送された印字済シートSは、印字面を下にして排出トレイ6上に整列積載される。
【0034】
なお、本実施の形態において、中継排出ローラ対23を構成する各ローラは幅方向でシートSに交互に接し、シートSを波打ち状態に立たせてカールを避けた搬送を可能にしている。このため、中継排出ローラ対23は、シート処理装置4を用いない場合、蹴り出しローラとして動作して排出トレイ6へシートSを排出する。
【0035】
ところで、画像読取装置3は、図5に示すように画像読取装置本体3aと、その上方に配置され、画像読取装置本体背面側に不図示のヒンジを介して開閉可能に設けられた自動原稿給送装置3bとにより構成されている。また、この画像読取装置2は、装置本体1正面側が開口するよう設置されている。
【0036】
一方、図5に示すように、画像読取装置本体3aの下面には、中継搬送装置5の上面を構成する上ガイド8と共に開閉可能な反転搬送路R2を構成するシートガイド9が一体的に形成されている。そして、このシートガイド9の、矢印に示すシート搬送方向の略中央部には画像読取装置3の回動時の補強部材も兼ねたガイド板金10がシート搬送方向と直交する形で設置されている。つまり、反転搬送路R2は、画像読取装置3のシートガイド9、ガイド板金10及び中継搬送装置5の上ガイド8の上面により形成される。
【0037】
また、中継搬送装置5は、上面が反転搬送路R2の下面を構成する上ガイド8と、上ガイド8と共に開閉可能なシート搬送路である排出搬送路R1を構成する下ガイド7とを備えている。なお、上ガイド8は、シートガイド9及びガイド板金10と対をなすガイド形状を具備すると共に、下ガイド7に対して不図示の回動軸を中心に開閉回動可能となっている。このように、中継搬送装置5は、上ガイド8と下ガイド7とを、シート処理装置4または排出トレイ6へ搬送する排出搬送路で分割して開閉可能であり、画像読取装置3と同様、装置本体1正面側が開口するよう設置されている。
【0038】
ところで、図2及び図3に示すように、中継搬送装置5の内部には送風部である冷却ファン24が設置されている。そして、冷却ファン24により、排出ローラ対19の近傍、例えば定着装置18と、後述するシャッタ30との間に矢印25に示すように冷却風を吹き付けることにより、定着後のシートSの冷却及び定着装置18から発生した水蒸気を飛散除去するようにしている。
【0039】
また、本実施の形態において、排出ローラ対19、切替部材20、反転ローラ対26は、図6及び図7に示すようにシート排出装置29としてユニット化されている。そして、このシート排出装置29により、画像形成部1Bに搬送されるシートを一旦、反転搬送路R2に搬送した後、反転させて画像形成部1Bに搬送するようにしている。つまり、本実施の形態において、シート排出装置29により、画像形成部1Bに搬送されるシートを一旦、反転搬送路R2に搬送した後、反転させて画像形成部1Bに搬送するシート再搬送部が構成される。
【0040】
なお、本実施の形態において、反転ローラ対26は、軸261上に複数の弾性体ゴムを圧入した反転ローラ26aと、軸262上に反転ローラ26aの弾性体ゴムと夫々に対向する剛体コロを圧入したコロ26bとによってニップを形成している。
【0041】
図6において、29aはシート排出装置29の筐体、図7において、30はシート排出装置29の、反転ローラ対26近傍下流に回動自在(移動自在)に設けられた規制部材であるシャッタである。このシャッタ30は、反転ローラ対26の軸261に回動可能に保持されると共に、既述したようにシートSを一旦、反転搬送路R2に搬送した後、反転させて画像形成部1Bに搬送する際、シートSの幅方向全域に渡って当接するよう平板形状となっている。
【0042】
これにより、シャッタ30は、シートSの通過の有無に応じて矢印31に示す方向に回動すると共に、シートの両面に画像を形成する際には、反転搬送路R2に搬送されるシートに押圧されてシートの幅方向の全域にわたってシートに当接しながら上方回動する。
【0043】
また、切替部材20は、コロ26bの軸262に回動可能に支持され、片面印字時及び両面反転時にシートSをガイドするため矢印36に示す方向に回動する。
【0044】
次に、このように構成されたシート排出装置29のシート反転時の動作について説明する。
【0045】
既述したように両面印字時、シートSは、シート排出装置29内の反転ローラ対26によって、一旦反転搬送路R2に搬送される。このとき、図8に示すように、既に印字された面を下にしつつ、次に印字する面を画像読取装置3の下面に設けられたシート搬送ガイド9及びガイド板金10に押し付けた状態で矢印32方向に搬送される。
【0046】
ここで、定着装置18から発生した水蒸気は上方に拡散する性質を持つが、定着装置18の上方には画像読取装置3及び中継搬送装置5が設置されているため、上方への水蒸気の逃げ場が無い。一方、このようにシートが矢印32方向に搬送される際、図9に示すように反転ローラ対26によって搬送されたシートSは矢印31方向に回動可能なシャッタ30を回動しつつ、反転搬送路内を搬送される。
【0047】
このとき、シャッタ30は位置Pにおいて、シートSの幅方向略全域に渡って接触しているため、シートSと、シャッタ30と、シート排出装置29の筐体29aとにより、反転ローラ対26の上流には規制空間G1が形成される。
【0048】
定着装置18から発生した水蒸気は、その性質から矢印33方向に拡散していくが、シャッタ30により位置Pにおいて拡散が規制されるため、その下流側のシート搬送ガイド9及びガイド板金10に水蒸気が結露することが無い。このため、シートの両面に画像を形成する両面印字において、シート表面に水滴が付着してシート表面が低抵抗化してしまい、二次転写部におけるトナー像の転写時に、画像抜けが発生するのを防ぐことができる。
【0049】
このように、シートSと、シャッタ30と、シート排出装置29の筐体29aとにより、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の反転搬送路R2への流入を規制する規制空間G1を形成することにより、結露による画像品位の低下を防ぐことができる。なお、本実施の形態のように構成した場合、定着装置18からシート排出装置29までの空間を水蒸気を回収する空間として使用できるため、定着装置内で水蒸気を回収するようにした場合でも、従来に較べて水蒸気が回収できる容量が増加する。この結果、高速化に伴う水蒸気量の増加にも容易に対応できる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0051】
図10は本実施の形態に係る画像形成装置に設けられたシート排出装置の構成を説明する斜視図、図11は上記シート排出装置のシートを反転搬送する際の状態を示す斜視図である。なお、図10及び図11において、既述した図6及び図7と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0052】
図10及び図11において、34は反転ローラ対である。この反転ローラ対34を構成する上部及び下部ローラ34a,34bは、ローラシャフト341,342上に弾性体ゴムを圧入もしくは接着したゴムローラ同士によってニップNを形成しており、ニップNによってシートSを挟持搬送する。ここで、この上部及び下部ローラ34a,34bは、シートSの幅方向略全域に渡ってニップNを有する全幅ローラ構成となっている。
【0053】
そして、このように構成された反転ローラ対34により、シートを搬送する際、反転ローラ対34は位置Pにおいて、シートSの幅方向略全域に渡ってシートSを挟持搬送することができる。これにより、反転ローラ対34と、シート排出装置29の筐体29aとにより、反転ローラ対26の上流には図12に示す規制空間G2が形成される。
【0054】
ここで、定着装置18から発生した水蒸気は、その性質から矢印33方向に拡散していくが、反転ローラ対26により位置Pにおいて拡散が規制されるため、その下流側のシート搬送ガイド9及びガイド板金10に水蒸気が結露することが無い。
【0055】
すなわち、本実施の形態においても、両面印字においてシート表面に水滴が付着してシート表面が低抵抗化し、二次転写部でのトナー像の転写時に画像抜けが発生するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるフルカラーレーザープリンタの斜視図。
【図2】上記フルカラーレーザープリンタの概略構成を示す図。
【図3】上記フルカラーレーザープリンタのシートの両面に画像を形成するときの状態を示す図。
【図4】上記フルカラーレーザープリンタの、排出トレイを取り付けたときの状態を示す斜視図。
【図5】上記フルカラーレーザープリンタに設けられた中継搬送装置の構成を説明する斜視図。
【図6】上記フルカラーレーザープリンタに設けられたシート排出装置の構成を説明する斜視図。
【図7】上記シート排出装置のシートを反転搬送する際の状態を示す斜視図。
【図8】上記シート排出装置により反転搬送されるシートの状態を示す斜視図。
【図9】シートを反転搬送する際の、上記シート排出装置の状態を示す断面図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置に設けられたシート排出装置の構成を説明する斜視図。
【図11】上記シート排出装置のシートを反転搬送する際の状態を示す斜視図。
【図12】シートを反転搬送する際の、上記シート排出装置の状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0057】
1 フルカラーレーザービームプリンタ
1A フルカラーレーザービームプリンタ本体
1B 画像形成部
3 画像読取装置
4 シート処理装置
5 中継搬送装置
18 定着装置
19 排出ローラ対
24 冷却ファン
26 反転ローラ対
29 シート排出装置
29a シート排出装置の筐体
30 シャッタ
34 反転ローラ対
G 空間
G1 規制空間
G2 規制空間
R2 反転搬送路
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する画像形成部及び前記画像形成部で形成された後、シートに転写されたトナー像をシートに定着させる定着部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体と上部装置との間の空間に設けられ、一面に画像が形成されたシートを再度、前記画像形成部に搬送する再搬送通路を有するシート搬送装置と、を備えた画像形成装置において、
前記定着部と前記シート搬送装置の再搬送通路との間に設けられ、一面に画像が形成された後、再度、前記画像形成部に搬送されるシートを、前記再搬送通路に搬送した後、反転させて前記画像形成部に搬送するシート再搬送部を備え、
前記シート再搬送部に、前記再搬送通路を搬送されるシートと当接し、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の前記再搬送通路への流入を規制する規制部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート再搬送部は、シートを前記再搬送通路に搬送した後、反転させて前記画像形成部に搬送する正逆転可能な反転ローラを備え、
前記規制部材は、前記反転ローラの近傍に移動自在に設けられ、前記再搬送通路を搬送されるシートに押圧されてシートの幅方向の全域にわたってシートに当接しながら移動するシャッタであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、搬送されるシート及び前記シート再搬送部の筐体と共に、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の前記再搬送通路への流入を規制する規制空間を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー像を形成する画像形成部及び前記画像形成部で形成された後、シートに転写されたトナー像をシートに定着させる定着部を有する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体と上部装置との間の空間に設けられ、一面に画像が形成されたシートを再度、前記画像形成部に搬送する再搬送通路を有するシート搬送装置と、を備えた画像形成装置において、
前記定着部と前記シート搬送装置の再搬送通路との間に設けられ、一面に画像が形成された後、再度、前記画像形成部に搬送されるシートを、前記再搬送通路に搬送した後、反転させて前記画像形成部に搬送するシート再搬送部を備え、
前記シート再搬送部に、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の前記再搬送通路への流入を規制する規制部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記規制部材は、シートを前記再搬送通路に搬送した後、反転させて前記画像形成部に搬送すると共に、シートの幅方向の全域に渡ってシートを挟持するように構成された正逆転可能な反転ローラであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記規制部材は、前記シート再搬送部の筐体と共に、トナー像の定着の際、シートから発生した水蒸気の前記再搬送通路への流入を規制する規制空間を形成することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着部と前記規制部材との間に送風し、シートから発生した水蒸気を飛散除去する送風部を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−155682(P2010−155682A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334038(P2008−334038)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】