説明

画像形成装置

【課題】トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなったときでも、トナー補給動作の回数を低減し、安定した画質で円滑な画像出力動作を確保することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】復帰時間が基準時間よりも長いときは、トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなっていると判断し、ステップS9で画像出力速度を基準値より低減する。これにより、トナーコンテナ内のトナー量が少なくなって、単位時間当たりのトナーコンテナからのトナー補給量が少なくなったときでも、復帰時間の長さに応じて、復帰後に再開する画像出力動作における画像出力速度を低減変更するため、単位時間当たりの現像器内のトナー消費量が低下する。従って、(現像器内のトナー消費量)≦(トナーコンテナからのトナー補給量)の関係が確保され、現像器内のトナー量を基準値以上に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーコンテナから現像器内にトナーを補給する方法としては、センサにより現像器内のトナー濃度を検知し、トナー濃度が基準値以下になると、トナーコンテナからトナーを補給するトナー濃度センサ方式(例えば特許文献1参照)や、出力画像の印字画素数に応じたトナーを補給するドットカウント方式などがある。ここで、通常、トナーコンテナ内に充分なトナーがあるときは、単位時間当たりの現像器のトナー消費量とトナーコンテナからのトナー補給量との関係は、(現像器内のトナー消費量)≦(トナーコンテナからのトナー補給量)である。従って、現像器内のトナー量は基準値以上に維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−25106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、トナーコンテナ内のトナー量が少なくなってくると、また特にそのような状態で高濃度画像印刷を連続して行うと、前記単位時間当たりの現像器のトナー消費量とトナーコンテナからのトナー補給量との関係が崩れ、(現像器内のトナー消費量)>(トナーコンテナからのトナー補給量)となる。このため、現像器内のトナー量は低下して基準値未満になる。現像器内のトナー量が基準値未満になると、画像出力動作を中断し、トナー補給動作を開始する必要がある。従来の画像形成装置では、このトナー補給動作が頻繁に行われることにより、円滑な画像出力動作が妨げられるという不具合があった。
【0005】
それゆえに、本発明の主たる目的は、トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなったときでも、トナー補給動作の回数を低減し、安定した画質で円滑な画像出力動作を確保することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、現像器内のトナー量が予め定めたトナー量より少なくなったとき、画像出力動作を一旦中断してトナーコンテナから現像器内にトナーを補給するトナー補給動作を行う画像形成装置であって、トナー補給動作を開始してから現像器内のトナー量が所定のトナー量に復帰するまでの復帰時間を測定し、復帰時間の長さに応じて、復帰後に再開する画像出力動作における画像出力速度を低減変更することを特徴とする、画像形成装置である。
【0007】
請求項1の発明では、トナーコンテナ内のトナー量が少なくなって、単位時間当たりのトナーコンテナからのトナー補給量が少なくなったときでも、復帰時間の長さに応じて、復帰後に再開する画像出力動作における画像出力速度を低減変更するため、単位時間当たりの現像器内のトナー消費量が低下する。従って、単位時間当たりの現像器のトナー消費量とトナーコンテナからのトナー補給量は、(現像器内のトナー消費量)≦(トナーコンテナからのトナー補給量)の関係が確保され、現像器内のトナー量は基準値以上に維持される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、現像器内のトナー量はトナー量検知センサによって測定されることを特徴とする、画像形成装置である。
【0009】
請求項2の発明では、現像器内のトナー量がトナー量検知センサによって直接測定されるため、復帰時間の長さを正確に検知することができ、より一層円滑な画像出力動作が確保される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、復帰時間の長さに応じて、復帰後に再開する画像出力動作における画像出力速度を低減変更するので、単位時間当たりの現像器のトナー消費量とトナーコンテナからのトナー補給量との正常な関係が維持される。この結果、トナーコンテナ内のトナー残量が少なくなったときでも、トナー補給動作の回数を低減し、安定した画質で円滑な画像出力動作を確保することができる画像形成装置が得られる。
【0011】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】現像器およびトナーコンテナの概略構成図である。
【図3】現像器の平面断面図である。
【図4】トナー補給の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置1を示す概略構成図である。画像形成装置1は、画像形成装置本体2と画像読取装置3とを備えている。
【0014】
画像形成装置本体2の内部に配設されている感光体ドラム24は駆動手段によって図示矢印の時計回り方向に所定速度で駆動される。感光体ドラム24の外周近傍には、帯電器32、現像器22、転写ローラ23、クリーニング部材30が設けられている。感光体ドラム24は帯電器32にて表面が帯電される。感光体ドラム24の回転方向における帯電器32の下流側には、レーザースキャニングユニット26が配置されている。レーザースキャニングユニット26から放射されたレーザ光Lは、感光体ドラム24上に照射され、静電潜像が形成される。
【0015】
レーザースキャニングユニット26の下流側には、現像器22が配置されている。現像器22は、トナーを感光体ドラム24に付与するためのものである。現像器22に対して、トナーコンテナ20が配設されている。
【0016】
現像器22の下流側には、転写ローラ23が配置されている。さらに、転写ローラ23の下流側には、感光体ドラム24に残ったトナーを除去するためのクリーニング部材30が配置されている。
【0017】
一方、ピックアップローラ42はトナー像と同期して給紙カセット4から被記録材としての用紙を引き出し、分離ローラ18と給紙ローラ44とを介して給紙する。用紙には感光体ドラム24上に形成されたトナー像が転写され、定着装置46に搬入される。トナー画像を転写された用紙は、定着装置46で定着され、印刷物として機外に排出されて排紙トレイ50上に積載される。
【0018】
次に、現像器22およびトナーコンテナ20について、図2および図3を参照して詳説する。図2は現像器22およびトナーコンテナ20の概略構成図であり、図3は現像器22の平面断面図である。現像器22は、トナーを感光体ドラム24に付与するための現像スリーブ10と、現像スリーブ10の裏面側に隔離並行して配置された2本の撹拌パドル12a,12bとを備えている。一方、トナーコンテナ20は、補給ローラ16と、トナーコンテナ20内のトナーを撹拌して補給ローラ16に搬送するための撹拌羽根18a,18bとを備えている。補給ローラ16の下部には開口14が設けられ、補給ローラ16が回転することにより、トナーコンテナ20内のトナーが開口14を通して現像器22に供給される。なお、トナーコンテナ20は現像器22に固定されていてもよいし、着脱自在であってもよい。
【0019】
現像器22に供給されたトナーは、撹拌パドル12a,12bによって撹拌され、現像スリーブ10に搬送される。現像スリーブ10の表面に付着したトナーは、規制ブレード11によって搬送量を調整された後、感光体ドラム24と対向する現像領域へ搬送される。現像領域では、感光体ドラム24上の静電潜像へトナーが移動し、感光体ドラム24上にトナー画像が形成される。
【0020】
現像スリーブ10上のトナーが感光体ドラム24上の静電潜像に移動することによって、現像器22内のトナー量は徐々に少なくなる。現像器22内のトナー量は、現像器22の側壁に取り付けられたトナー量検知センサSで測定される。そして、トナー量検知センサSの測定値が、予め定めた所定の基準値より小さくなると、トナーコンテナ20の補給ローラ16が回転し、現像器22にトナーを補給する。ここで、トナーコンテナ20内に充分なトナーがあるときは、単位時間当たりの現像器22のトナー消費量とトナーコンテナ20からのトナー補給量との関係は、(現像器22内のトナー消費量)≦(トナーコンテナ20からのトナー補給量)である。従って、現像器22内のトナー量は基準値以上に維持される。
【0021】
しかし、トナーコンテナ20内のトナー量が少なくなってくると、また特にそのような状態で高濃度画像印刷を連続して行うと、前記単位時間当たりの現像器22のトナー消費量とトナーコンテナ20からのトナー補給量との関係が崩れ、(現像器22内のトナー消費量)>(トナーコンテナ20からのトナー補給量)となる。このため、現像器22内のトナー量は低下して基準値未満になる。現像器22内のトナー量が基準値未満になると、画像出力動作を中断し、トナー補給動作を開始する必要がある。従来の画像形成装置では、このトナー補給動作が頻繁に行われることにより、円滑な画像出力動作が妨げられていた。そこで、本発明の画像形成装置1は、トナー補給動作を開始してから現像器22内のトナー量が所定のトナー量に復帰するまでの復帰時間を測定し、復帰時間の長さに応じて、復帰後に再開する画像出力動作における画像出力速度を低減変更するようにした。
【0022】
図4はトナー補給の制御例を示すフローチャートである。ステップS1で画像出力動作が開始されると、トナー量検知センサSによって現像器22内のトナー量が測定される。次に、ステップS2で、トナー量検知センサSの測定値が、予め定めた所定のトナー量(基準値)以下であるか否かが判断される。トナー量検知センサSの測定値が基準値以下でないときは、現像器22内に充分な量のトナーが存在していると判断し、ステップS3で画像出力動作が続行される。
【0023】
一方、ステップS2で、トナー量検知センサSの測定値が基準値以下であるときは、現像器22内のトナー量が不足していると判断し、画像出力動作が一旦停止され、ステップS4で補給ローラ16を回転させて現像器22にトナーを補給開始する。
【0024】
次に、所定の時間経過した後、ステップS5で、トナー量検知センサSによって現像器22内のトナー量が測定され、現像器22内のトナー量が基準値に達したか否かが判断される。現像器22内のトナー量が基準値に達していないときは、トナーコンテナ20内のトナーが殆ど存在しない状態(空の状態)であると判断し、ステップS6で画像形成装置1の操作盤に設けた液晶表示部に「トナーエンプティ」と表示し、トナーコンテナ20の交換をユーザに促す。
【0025】
現像器22内のトナー量が基準値に達しているときは、ステップS7で、トナー補給開始から現像器22内のトナー量が基準値に達するまでの復帰時間が、予め定めた基準時間(基準復帰時間)以下であるか否かが判断される。復帰時間が基準時間以下のときは、トナーコンテナ20内に充分なトナーが存在していると判断し、ステップS8で画像出力速度を基準値に維持したまま、画像出力動作を再開する。
【0026】
一方、トナーコンテナ20内のトナー残量が少なくなってくると、補給ローラ16の回転時間とトナー補給量との相関関係が崩れ、補給ローラ16を基準時間回転させても、それに見合ったトナー量が補給されなくなる。このため、補給ローラ16の回転時間が長くなり、トナー補給開始から現像器22内のトナー量が基準値に達するまでの復帰時間が基準時間より長くなる。従って、復帰時間が基準時間よりも長いときは、トナーコンテナ20内のトナー残量が少なくなっていると判断し、ステップS9で画像出力速度を基準値より低減する。すなわち、制御部から感光体ドラム24の駆動モータ25(図2参照)やレーザースキャニングユニット26などに制御信号を送信して、感光体ドラム24の回転速度やスキャン速度を遅らせる。その後、画像出力動作を再開する。
【0027】
これにより、トナーコンテナ20内のトナー量が少なくなって、単位時間当たりのトナーコンテナ20からのトナー補給量が少なくなったときでも、復帰時間の長さに応じて、復帰後に再開する画像出力動作における画像出力速度を低減変更するため、単位時間当たりの現像器22内のトナー消費量が低下する。従って、単位時間当たりの現像器22のトナー消費量とトナーコンテナ20からのトナー補給量は、(現像器22内のトナー消費量)≦(トナーコンテナ20からのトナー補給量)の関係が確保され、現像器22内のトナー量を基準値以上に維持することができる。その結果、トナーコンテナ20内のトナー残量が少なくなったときでも、トナー補給動作の回数を低減し、安定した画質で円滑な画像出力動作を確保することができる画像形成装置1を得ることができる。
【0028】
より具体的に説明する。例えば、画像形成装置1の基準画像出力速度を30枚/分とし、トナーコンテナ20内に充分なトナーが存在する時の基準復帰時間を、10秒間とする。ここで、トナーコンテナ20内のトナー残量が少なくなりトナー補給動作が開始されたとすると、トナーコンテナ20内に充分なトナーが存在する時には、単位時間当たりの現像器22のトナー消費量とトナーコンテナ20からのトナー補給量との関係は、(現像器22のトナー消費量)≦(トナーコンテナ20からのトナー補給量)である。しかし、トナーコンテナ20内のトナー残量が少なくなると、単位時間当たりのトナーコンテナ20からのトナー補給量が減少し、前記単位時間当たりの現像器22のトナー消費量とトナーコンテナ20からのトナー補給量との関係が崩れ、(現像器22のトナー消費量)>(トナーコンテナ20からのトナー補給量)となる。そして、復帰時間が基準の10秒間から20秒間になったとすると トナーコンテナ20からのトナー補給能力が半減したと推認できる。そこで、この状態でトナー消費量と補給量のバランスを再度戻すにはトナー消費量を、半減すればよい。すなわち、画像出力速度を半分の15枚/分に低減変更すればよい。これにより、トナーコンテナ20内のトナー残量が少なくなったときでも、現像器22のトナー消費量とトナーコンテナ20からのトナー補給量とがバランスし、トナー補給動作の回数を低減し、安定した画質で円滑な画像出力動作を確保することができる。
【0029】
なお、表1は復帰時間による画像出力速度の低減変更の一例を示す表である。表中のB1は基準復帰時間、BTはトナー補給動作時復帰時間、A1は基準画像出力速度、ATは低減変更画像出力速度である。
【0030】
【表1】

【0031】
また、現像器22内のトナー量がトナー量検知センサSによって直接測定されるため、復帰時間の長さを正確に検知することができ、より一層円滑な画像出力動作を確保することができる。
【0032】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。
【符号の説明】
【0033】
1 画像形成装置
20 トナーコンテナ
22 現像器
S トナー量検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像器内のトナー量が予め定めたトナー量より少なくなったとき、画像出力動作を一旦中断してトナーコンテナから前記現像器内にトナーを補給するトナー補給動作を行う画像形成装置であって、
トナー補給動作を開始してから前記現像器内のトナー量が所定のトナー量に復帰するまでの復帰時間を測定し、前記復帰時間の長さに応じて、復帰後に再開する画像出力動作における画像出力速度を低減変更することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記現像器内のトナー量はトナー量検知センサによって測定されることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−175792(P2010−175792A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17903(P2009−17903)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】