画像形成装置
【課題】簡素かつ小型な構成でありながら、被回転体と駆動軸との間に軸芯ずれが生じても、被回転体の回転速度むらを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体回転駆動装置100は、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じている状態では、第4のギヤ124の回転軸線Laとカップリング部110の回転軸線Lcとは、ずれ量eを有して偏心し、連結部130の軸131の回転軸線Lbは、他の回転軸線La,Lcに対して傾斜している。この場合は、第4のギヤ124の角速度は、連結部130の第4のギヤ124側では、軸131の傾斜角度に応じて角速度変動が生じるが、連結部130のカップリング部110側で第4のギヤ124側で生じた角速度変動を相殺する角速度変動が生じてカップリング部110は、一定の角速度となる。
【解決手段】感光体回転駆動装置100は、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じている状態では、第4のギヤ124の回転軸線Laとカップリング部110の回転軸線Lcとは、ずれ量eを有して偏心し、連結部130の軸131の回転軸線Lbは、他の回転軸線La,Lcに対して傾斜している。この場合は、第4のギヤ124の角速度は、連結部130の第4のギヤ124側では、軸131の傾斜角度に応じて角速度変動が生じるが、連結部130のカップリング部110側で第4のギヤ124側で生じた角速度変動を相殺する角速度変動が生じてカップリング部110は、一定の角速度となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯車やベルトを用いて駆動モータからの駆動力を回転体としての感光体に伝達する駆動伝達装置を備えた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、濃度むら等の画像劣化を抑制するため、駆動軸と感光体軸との間に軸芯ずれが生じても、感光体表面の周速度が一定になるようにした駆動伝達装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この駆動伝達装置は、一方の端部が感光体軸に嵌合し、他方の端部に複数のボールが環状に配列されたジョイント挿入部を有する感光体側オスジョイントと、一方の端部が駆動軸に嵌合し、他方の端部に複数のボールが環状に配列されたジョイント挿入部を有する駆動軸側オスジョイントと、それぞれのジョイント挿入部が挿入されるジョイント保持部を両端に有して感光体側オスジョイントと駆動軸側オスジョイントとを連結するメスジョイントとを備える。
【0004】
この構成によれば、駆動軸と感光体軸との間に軸芯ずれ(偏角)が生じても、駆動軸とメスジョイントとの間で発生する偏角による回転速度変動は、駆動軸側のジョイント保持部内をボールが軸方向に往復運動することで除去され、感光体軸とメスジョイントとの間で発生する偏角による回転速度変動は、感光体軸側のジョイント保持部内をボールが軸方向に往復運動することで除去され、感光体軸が等速回転することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−139230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡素かつ小型な構成でありながら、被回転体と駆動軸との間に軸芯ずれが生じても、被回転体の回転速度むらを抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の画像形成装置を提供する。
【0008】
[1]被回転体と、前記被回転体に係脱可能に係合される係合部材と、駆動源によって回転駆動される駆動力伝達部材と、前記係合部材と前記駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する連結部とを備え、前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、を備えた画像形成装置。
【0009】
[2]前記係合部材と前記駆動力伝達部材との間に配置され、前記係合部材を前記駆動力伝達部材から遠ざける方向に付勢する弾性部材を、さらに備えた前記[1]に記載の画像形成装置。
【0010】
[3]前記連結部材は、棒状部材であり、前記固定部材は、前記棒状部材から径方向に突出するように両端に設けられた突出部材であり、前記球状体は、前記突出部材の長さよりも小さい外径を有し、前記棒状部材の両端に装着したとき、前記球状体の表面から前記突出部材が突出するように構成された前記[1]に記載の画像形成装置。
【0011】
[4]複数の感光体と、前記複数の感光体に係脱可能に係合される複数の係合部材と、駆動源によって回転駆動される複数の駆動力伝達部材と、前記複数の係合部材と前記複数の駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する複数の連結部とを備え、前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、を備えた画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、簡素かつ小型な構成でありながら、被回転体と駆動軸との間に軸芯ずれが生じても、被回転体の回転速度むらを抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、被回転体と駆動力伝達部材との間の距離が変動しても、弾性部材によって吸収することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、棒状部材の両端に球状体を装着するだけの簡素な構造で連結部を構成することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、複数の感光体の表面の周速度を一定にさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】図2は、画像形成ユニットの要部を示す斜視図である。
【図3】図3は、感光体回転駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図4】図4は、感光体回転駆動装置のカップリング部材の正面図である。
【図5】図5は、カップリング側ケースの内側を後方から見た正面図である。
【図6】図6は、図3のA−A線断面図である。
【図7】図7は、連結部の分解斜視図である。
【図8】図8は、第4のギヤの正面図である。
【図9】図9は、図3に示すカップリング部材をケース側から見た正面図である。
【図10】図10は、第4のギヤとカップリング部との間に軸芯ずれが生じていない状態を示す図3のB−B線断面図である。
【図11】図11は、第4のギヤとカップリング部との間に軸芯ずれが生じている状態を示す図3のB−B線断面図である。
【図12】図12は、本実施の形態と比較例についてレジずれ量を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。この画像形成装置10は、例えば、デジタルカラープリンタであり、パーソナルコンピュータ等の上位装置から送信された画像データに図示しない画像処理部で画像処理を施してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データに変換した後、各色の画像データに基づいてカラー画像を用紙に形成するように構成されている。なお、画像形成装置10は、複写機やファイクシミリ、又は複写機、プリンタ、スキャナ、ファックシミリ等の複数の機能を有する複合機であってもよい。
【0018】
画像形成装置10は、略箱型状の筐体11を有し、この筐体11内の下部に、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙トレイ12を着脱可能に設け、筐体11の上部に、記録済みの用紙Pが排出される用紙排出部13を配設し、給紙トレイ12から用紙排出部13に至るように用紙搬送路14を形成している。用紙搬送路14上には、給紙トレイ12から用紙Pを用紙搬送路14に1枚ずつ取り込むピックアップロール14a、用紙Pのスキューを補正する補正ロール14b、及び用紙Pを搬送する搬送ロール14cが配設されている。
【0019】
また、画像形成装置10は、筐体11内の中央部に画像形成部20を有する。画像形成部20は、駆動ロール30、バックアップロール31及び従動ロール32に張架され、図中の矢印方向に循環移動する中間転写ベルト33と、中間転写ベルト33の外側に一定の間隔を有して着脱可能に配置され、図中の矢印方向に回転しながら、YMCKの各色用のトナー画像が形成される被回転体としての感光体22を有する画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kと、中間転写ベルト33の内側に配置され、感光体22の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト33に転写する一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kとを備える。
【0020】
画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ同様に構成されており、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、上記感光体22と、感光体22の表面を一様に帯電する帯電器23と、感光体22の表面に露光器27によって形成された静電潜像をトナーで現像することにより感光体22の表面にトナー画像を形成する現像器24と、感光体22の表面に残留しているトナーを回収する感光体クリーニング部25とを備える。
【0021】
現像器24は、トナーを収容するハウジング24aを有し、このハウジング24a内に、感光体22にトナーを供給して感光体22上の静電潜像をトナーで現像する現像ロール24bと、現像ロール24bにトナーを供給する供給オーガー24cと、トナーを攪拌するとともに供給オーガー24cにトナーを供給する攪拌オーガー24dとを配設している。現像器24は、トナーボックス35Y、35M、35C、35Kから各色のトナーが供給されるようになっている。
【0022】
露光器27は、YMCK各色の画像データで変調されたレーザ光を出射する図示しない4つの半導体レーザと、各半導体レーザから出射されたレーザ光を分岐するポリゴンミラー27aと、ポリゴンミラー27aによって分岐されたレーザ光を反射して感光体22に照射して感光体22の表面に静電潜像を形成する複数のミラー27bとを備える。露光器27は、トナー等で汚れないようにフレーム27cによって密閉されている。フレーム27cの上部は透明ガラスにより構成されている。
【0023】
画像形成部20は、中間転写ベルト33を挟んでバックアップロール31の反対側に、二次転写ロール34を設けており、バックアップロール31と形成するニップ領域において、中間転写ベルト33上のトナー画像を用紙Pに二次転写する。
【0024】
また、画像形成部20は、画像形成ユニット21Yの上流側であって、中間転写ベルト33を挟んで駆動ロール30の反対側にベルトクリーニング部40を配設している。ベルトクリーニング部40は、駆動ロール30側へ押圧され、中間転写ベルト33上に残留しているトナーを掻き取って回収する。
【0025】
図2は、画像形成ユニットの要部を示す斜視図である。画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ同様に構成されているため、代表として画像形成ユニット21Yについて説明する。画像形成ユニット21Yは、後述する感光体回転駆動装置のカップリング部材と接続されるカップリング部材210と、感光体22を保護するカバー211と、トナーボックス35Yからトナーが供給される開口部212とを有する。カバー211は、画像形成ユニット21Yを筐体11内に装着する際にスライドして画像形成ユニット21Yから取り外せるように構成されている。カップリング部材210は、感光体22の回転軸に取り付けられ、感光体22の回転中心と一致する軸210aと、軸210aの周囲に配置された一対の係止部210bとを有する。
【0026】
図3は、感光体回転駆動装置の外観を示す斜視図である。感光体回転駆動装置100は、カップリング側ケース101A及び反カップリング側ケース101Bからなるケース101を有し、ケース101のカップリング側に、駆動源としてのモータ102と、感光体22のカップリング部材210が接続される4つのカップリング部110とを設けている。この感光体回転駆動装置100は、カップリング側ケース101Aの取り付け穴101aを介して螺子により画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの反カップリング側の筐体11に取り付けられている。カップリング部110は、カップリング部材111Y,111M,111C,111Kと、後述するばね受け部材とを備える。なお、以下の説明において、カップリング部材111Y,111M,111C,111Kを総称してカップリング部材111という。
【0027】
図4は、感光体回転駆動装置100のカップリング部材111の正面図である。カップリング部材111は、図2に示すカップリング部材210の軸210aが嵌合する長穴111aが内側に形成された楕円状突部111bを備える。また、カップリング部材210の係止部210bが係合する係合部111cと、楕円状突部111bの外側に形成された突部111dとでL字状に形成されている。カップリング部材111が図4の矢印方向に回転することで、感光体22側の係止部210bが係合部111cに係止する。
【0028】
図5は、カップリング側ケース101Aの内側を反カップリング側から見た正面図である。ケース101の内部には、同図に示すように、モータ102によって回転駆動されるギヤ列120が収納されている。ギヤ列120は、モータ102の出力軸に設けられた出力ギヤ102aに噛み合う左右一対の第1のギヤ121と、一対の第1のギヤ121にそれぞれ噛み合う左右一対の第2のギヤ122と、一対の第2のギヤ122に噛み合う左右一対の第3のギヤ123と、一対の第3のギヤ123の一方に噛み合う左右一対の駆動力伝達部材としての第4のギヤ124と、一対の第3のギヤ123の他方に噛み合う左右一対の第4のギヤ124とから構成されている。第4のギヤ124は、後述する連結部を介して図3に示すカップリング部110に連結されている。
【0029】
図6は、図3のA−A線断面図である。カップリング部110と第4のギヤ124とは、連結部130によって偏心及び軸方向に移動可能に連結されている。カップリング部110と第4のギヤ124との間には、コイルスプリング103及びワッシャ104が配置されている。
【0030】
連結部130は、連結部材又は棒状部材としての軸131と、軸131の両端に設けられ、カップリング部材111及び第4のギヤ124に対して軸方向に移動可能な一対の球状体132と、一対の球状体132をカップリング部材111及び第4のギヤ124の回転方向に対して固定する一対の固定部材又は突出部材としてのピン133とを備える。球状体132は後述するカップリング部材111と第4のギヤ124の回転軸心が偏心した場合に、カップリング部材111、及び第4のギヤ124と接触する箇所が球状であれば、その他の箇所の形状については適宜選定して差支えない。
【0031】
第4のギヤ124は、周面に歯124aが形成され、回転中心軸上に、カップリング側ケース101A側で回転可能に支持される軸部124bと、反カップリング側ケース101B側で回転可能に支持される軸部124cと、球状体132が軸方向に移動可能に収容される球状体収容部124dとが形成されている。球状体収容部124dには、球状体132の外径より僅かに大きい内径を有する穴124eが形成されている。
【0032】
第4のギヤ124は、カップリング側ケース101A側の軸部124bが支持部材105Aによって回転可能に支持され、反カップリング側ケース101B側の軸部124cが支持部材105Bによって回転可能に支持されている。支持部材105Aは、ねじ106によりカップリング側ケース101Aに取り付けられ、支持部材105Bは、ねじ106により反カップリング側ケース101Bに取り付けられている。
【0033】
カップリング部110は、上記カップリング部材111と、カップリング部材111に固定され、弾性部材としてのコイルスプリング103を受けるばね受け112とから構成されている。コイルスプリング103は、カップリング部110をケース101から遠ざける方向に付勢する。
【0034】
カップリング部材111は、回転軸上に、球状体132が軸方向に移動可能に収容される球状体収容部111eを備える。球状体収容部111eには、球状体132の外径より僅かに大きい内径を有する穴111fが形成されている。
【0035】
図7は、連結部130の分解斜視図である。球状体132は、表面の一部132aが球状の曲面の一部で構成されており、軸131が嵌合する穴132bと、ピン133が嵌り込む溝132cとが形成されている。軸131は、円柱状を有し、両端部に貫通穴131aが形成されている。連結部130は、軸131の両端の貫通穴131aにピン133をそれぞれ嵌め込み、球状体132を軸131の端部及びピン133に嵌め込むことで組み立てられる。球状体132は、ピン133の軸方向の長さよりも小さい外径を有し、軸131の端部及びピン133への嵌め込みが容易に行えるようにするため、樹脂から形成されている。なお、本実施の形態では、軸131、ピン133及び球状体132は、異なる3つの部材で構成されているが、これらの3つの部材のうち2つの部材又は3つの部材は、1つの部材で一体的に形成されていてもよい。
【0036】
図8は、第4のギヤ124の正面図である。第4のギヤ124は、球状体収容部124dに連結部130のピン133が嵌合する一対の溝124fが形成されている。第4のギヤ124の溝124fに連結部130のピン133を嵌合させることにより、第4のギヤ124の回転力がピン133を介して軸131に伝達される。
【0037】
図9は、図3に示すカップリング部材111をケース101側から見た正面図である。カップリング部材111は、球状体収容部111eに連結部130のピン133が嵌合する溝111gが形成されている。カップリング部材111の溝111gに連結部130のピン133を嵌合させることにより、軸131の回転力がピン133を介してカップリング部材111に伝達される。
【0038】
(感光体回転駆動装置の動作)
図10は、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じていない状態を示す図3のB−B線断面図、図11は、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じている状態を示す図3のB−B線断面図である。以下に図10及び図11を参照して感光体回転駆動装置100の動作を参照して説明する。
【0039】
感光体回転駆動装置100のモータ102が図示しない制御部の制御によって駆動されると、モータ102の回転力は、モータ102の出力軸に設けられた出力ギヤ102aからギヤ列120の第1のギヤ121に伝達し、さらに第2のギヤ122、第3のギヤ123を介して4つの第4のギヤ124に伝達する。第4のギヤ124に伝達した回転力は、連結部130を介してカップリング部110に伝達する。カップリング部110に接続された画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、同一方向に同時に回転する。
【0040】
各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体22に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト33上に転写され、さらに用紙Pに転写され、レジずれ量の少ないカラー画像が形成される。
【0041】
図10に示すように、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じていない状態では、第4のギヤ124、連結部130の軸131、及びカップリング部110のそれぞれの回転軸線La,Lb,Lcは、一致している。この場合は、第4のギヤ124の角速度は、一定のまま連結部130の軸131、及びカップリング部110に伝達される。
【0042】
図11に示すように、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じている状態では、第4のギヤ124の回転軸線Laとカップリング部110の回転軸線Lcとは、ずれ量eを有して偏心している。連結部130の軸131の回転軸線Lbは、他の回転軸線La,Lcに対して傾斜している。この場合は、第4のギヤ124の角速度は、連結部130の第4のギヤ124側では、軸131の傾斜角度に応じて角速度変動が生じるが、連結部130のカップリング部110側で第4のギヤ124側で生じた角速度変動を相殺する角速度変動が生じてカップリング部110は、一定の角速度となる。
【0043】
図12は、本実施の形態と比較例についてレジずれ量を測定した結果を示す。比較例は、本実施の形態において、球状体を省き、軸131の両端をそれぞれ1つのピポット軸でカップリング部材と第4のギヤに連結したものである。レジずれ量は、YMCKのトナー画像の色ずれ量である。同図から、比較例では、軸芯ずれが大きくなるに従ってレジずれ量が大きくなるが、本実施の形態では、軸芯ずれが大きくなってもレジずれ量はほとんど変化していないことが分かる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々に変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、被回転体として感光体について説明したが、本発明は、被回転体として現像器における現像ロールや、用紙を搬送する搬送ロール、中間転写ベルトを移動させるロール、又はその他の回転部材に適用してもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、一対の球状体132の両方をカップリング部材111及び第4のギヤ124に対して軸方向に移動可能な構成としたが、カップリング部材111及び第4のギヤ124の一方に対して軸方向に移動可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…画像形成装置、11…筐体、12…給紙トレイ、13…用紙排出部、14…用紙搬送路、14a…ピックアップロール、14b…補正ロール、14c…搬送ロール、20…画像形成部、21Y,21M,21C,21K…画像形成ユニット、22…感光体、23…帯電器、24…現像器、24a…ハウジング、24b…現像ロール、24c…供給オーガー、24d…攪拌オーガー、25…感光体クリーニング部、26Y,26M,26C,26K…一次転写ロール、27…露光器、27a…ポリゴンミラー、27b…ミラー、27c…フレーム、30…駆動ロール、31…バックアップロール、32…従動ロール、33…中間転写ベルト、34…二次転写ロール、35Y,35M,35C,35K…トナーボックス、40…ベルトクリーニング部、100…感光体回転駆動装置、101…ケース、101A…カップリング側ケース、101a…穴、101B…反カップリング側ケース、102…モータ、102a…出力ギヤ、103…コイルスプリング、104…ワッシャ、105A,105B…支持部材、110…カップリング部、111…カップリング部材、111a…長穴、111b…楕円状突部、111c…係合部、111d…L字状突部、111e…球状体収容部、111f…穴、111g…溝、112…ばね受け部材、120…ギヤ列、121…第1のギヤ、122…第2のギヤ、123…第3のギヤ、124…第4のギヤ、124a…歯、124b…軸部、124c…軸部、124d…球状体収容部、124e…穴、124f…溝、130…連結部、131…軸、131a…貫通穴、132…球状体、132a…表面の一部、132b…穴、132c…溝、133…ピン、210…カップリング部材、210a…軸、210b…係止部、211…カバー、212…開口部、La,Lb,Lc…回転軸線、P…用紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯車やベルトを用いて駆動モータからの駆動力を回転体としての感光体に伝達する駆動伝達装置を備えた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、濃度むら等の画像劣化を抑制するため、駆動軸と感光体軸との間に軸芯ずれが生じても、感光体表面の周速度が一定になるようにした駆動伝達装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この駆動伝達装置は、一方の端部が感光体軸に嵌合し、他方の端部に複数のボールが環状に配列されたジョイント挿入部を有する感光体側オスジョイントと、一方の端部が駆動軸に嵌合し、他方の端部に複数のボールが環状に配列されたジョイント挿入部を有する駆動軸側オスジョイントと、それぞれのジョイント挿入部が挿入されるジョイント保持部を両端に有して感光体側オスジョイントと駆動軸側オスジョイントとを連結するメスジョイントとを備える。
【0004】
この構成によれば、駆動軸と感光体軸との間に軸芯ずれ(偏角)が生じても、駆動軸とメスジョイントとの間で発生する偏角による回転速度変動は、駆動軸側のジョイント保持部内をボールが軸方向に往復運動することで除去され、感光体軸とメスジョイントとの間で発生する偏角による回転速度変動は、感光体軸側のジョイント保持部内をボールが軸方向に往復運動することで除去され、感光体軸が等速回転することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−139230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡素かつ小型な構成でありながら、被回転体と駆動軸との間に軸芯ずれが生じても、被回転体の回転速度むらを抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の画像形成装置を提供する。
【0008】
[1]被回転体と、前記被回転体に係脱可能に係合される係合部材と、駆動源によって回転駆動される駆動力伝達部材と、前記係合部材と前記駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する連結部とを備え、前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、を備えた画像形成装置。
【0009】
[2]前記係合部材と前記駆動力伝達部材との間に配置され、前記係合部材を前記駆動力伝達部材から遠ざける方向に付勢する弾性部材を、さらに備えた前記[1]に記載の画像形成装置。
【0010】
[3]前記連結部材は、棒状部材であり、前記固定部材は、前記棒状部材から径方向に突出するように両端に設けられた突出部材であり、前記球状体は、前記突出部材の長さよりも小さい外径を有し、前記棒状部材の両端に装着したとき、前記球状体の表面から前記突出部材が突出するように構成された前記[1]に記載の画像形成装置。
【0011】
[4]複数の感光体と、前記複数の感光体に係脱可能に係合される複数の係合部材と、駆動源によって回転駆動される複数の駆動力伝達部材と、前記複数の係合部材と前記複数の駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する複数の連結部とを備え、前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、を備えた画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、簡素かつ小型な構成でありながら、被回転体と駆動軸との間に軸芯ずれが生じても、被回転体の回転速度むらを抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、被回転体と駆動力伝達部材との間の距離が変動しても、弾性部材によって吸収することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、棒状部材の両端に球状体を装着するだけの簡素な構造で連結部を構成することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、複数の感光体の表面の周速度を一定にさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。
【図2】図2は、画像形成ユニットの要部を示す斜視図である。
【図3】図3は、感光体回転駆動装置の外観を示す斜視図である。
【図4】図4は、感光体回転駆動装置のカップリング部材の正面図である。
【図5】図5は、カップリング側ケースの内側を後方から見た正面図である。
【図6】図6は、図3のA−A線断面図である。
【図7】図7は、連結部の分解斜視図である。
【図8】図8は、第4のギヤの正面図である。
【図9】図9は、図3に示すカップリング部材をケース側から見た正面図である。
【図10】図10は、第4のギヤとカップリング部との間に軸芯ずれが生じていない状態を示す図3のB−B線断面図である。
【図11】図11は、第4のギヤとカップリング部との間に軸芯ずれが生じている状態を示す図3のB−B線断面図である。
【図12】図12は、本実施の形態と比較例についてレジずれ量を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略の構成を示す図である。この画像形成装置10は、例えば、デジタルカラープリンタであり、パーソナルコンピュータ等の上位装置から送信された画像データに図示しない画像処理部で画像処理を施してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データに変換した後、各色の画像データに基づいてカラー画像を用紙に形成するように構成されている。なお、画像形成装置10は、複写機やファイクシミリ、又は複写機、プリンタ、スキャナ、ファックシミリ等の複数の機能を有する複合機であってもよい。
【0018】
画像形成装置10は、略箱型状の筐体11を有し、この筐体11内の下部に、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙トレイ12を着脱可能に設け、筐体11の上部に、記録済みの用紙Pが排出される用紙排出部13を配設し、給紙トレイ12から用紙排出部13に至るように用紙搬送路14を形成している。用紙搬送路14上には、給紙トレイ12から用紙Pを用紙搬送路14に1枚ずつ取り込むピックアップロール14a、用紙Pのスキューを補正する補正ロール14b、及び用紙Pを搬送する搬送ロール14cが配設されている。
【0019】
また、画像形成装置10は、筐体11内の中央部に画像形成部20を有する。画像形成部20は、駆動ロール30、バックアップロール31及び従動ロール32に張架され、図中の矢印方向に循環移動する中間転写ベルト33と、中間転写ベルト33の外側に一定の間隔を有して着脱可能に配置され、図中の矢印方向に回転しながら、YMCKの各色用のトナー画像が形成される被回転体としての感光体22を有する画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kと、中間転写ベルト33の内側に配置され、感光体22の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト33に転写する一次転写ロール26Y、26M、26C、26Kとを備える。
【0020】
画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ同様に構成されており、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、上記感光体22と、感光体22の表面を一様に帯電する帯電器23と、感光体22の表面に露光器27によって形成された静電潜像をトナーで現像することにより感光体22の表面にトナー画像を形成する現像器24と、感光体22の表面に残留しているトナーを回収する感光体クリーニング部25とを備える。
【0021】
現像器24は、トナーを収容するハウジング24aを有し、このハウジング24a内に、感光体22にトナーを供給して感光体22上の静電潜像をトナーで現像する現像ロール24bと、現像ロール24bにトナーを供給する供給オーガー24cと、トナーを攪拌するとともに供給オーガー24cにトナーを供給する攪拌オーガー24dとを配設している。現像器24は、トナーボックス35Y、35M、35C、35Kから各色のトナーが供給されるようになっている。
【0022】
露光器27は、YMCK各色の画像データで変調されたレーザ光を出射する図示しない4つの半導体レーザと、各半導体レーザから出射されたレーザ光を分岐するポリゴンミラー27aと、ポリゴンミラー27aによって分岐されたレーザ光を反射して感光体22に照射して感光体22の表面に静電潜像を形成する複数のミラー27bとを備える。露光器27は、トナー等で汚れないようにフレーム27cによって密閉されている。フレーム27cの上部は透明ガラスにより構成されている。
【0023】
画像形成部20は、中間転写ベルト33を挟んでバックアップロール31の反対側に、二次転写ロール34を設けており、バックアップロール31と形成するニップ領域において、中間転写ベルト33上のトナー画像を用紙Pに二次転写する。
【0024】
また、画像形成部20は、画像形成ユニット21Yの上流側であって、中間転写ベルト33を挟んで駆動ロール30の反対側にベルトクリーニング部40を配設している。ベルトクリーニング部40は、駆動ロール30側へ押圧され、中間転写ベルト33上に残留しているトナーを掻き取って回収する。
【0025】
図2は、画像形成ユニットの要部を示す斜視図である。画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ同様に構成されているため、代表として画像形成ユニット21Yについて説明する。画像形成ユニット21Yは、後述する感光体回転駆動装置のカップリング部材と接続されるカップリング部材210と、感光体22を保護するカバー211と、トナーボックス35Yからトナーが供給される開口部212とを有する。カバー211は、画像形成ユニット21Yを筐体11内に装着する際にスライドして画像形成ユニット21Yから取り外せるように構成されている。カップリング部材210は、感光体22の回転軸に取り付けられ、感光体22の回転中心と一致する軸210aと、軸210aの周囲に配置された一対の係止部210bとを有する。
【0026】
図3は、感光体回転駆動装置の外観を示す斜視図である。感光体回転駆動装置100は、カップリング側ケース101A及び反カップリング側ケース101Bからなるケース101を有し、ケース101のカップリング側に、駆動源としてのモータ102と、感光体22のカップリング部材210が接続される4つのカップリング部110とを設けている。この感光体回転駆動装置100は、カップリング側ケース101Aの取り付け穴101aを介して螺子により画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの反カップリング側の筐体11に取り付けられている。カップリング部110は、カップリング部材111Y,111M,111C,111Kと、後述するばね受け部材とを備える。なお、以下の説明において、カップリング部材111Y,111M,111C,111Kを総称してカップリング部材111という。
【0027】
図4は、感光体回転駆動装置100のカップリング部材111の正面図である。カップリング部材111は、図2に示すカップリング部材210の軸210aが嵌合する長穴111aが内側に形成された楕円状突部111bを備える。また、カップリング部材210の係止部210bが係合する係合部111cと、楕円状突部111bの外側に形成された突部111dとでL字状に形成されている。カップリング部材111が図4の矢印方向に回転することで、感光体22側の係止部210bが係合部111cに係止する。
【0028】
図5は、カップリング側ケース101Aの内側を反カップリング側から見た正面図である。ケース101の内部には、同図に示すように、モータ102によって回転駆動されるギヤ列120が収納されている。ギヤ列120は、モータ102の出力軸に設けられた出力ギヤ102aに噛み合う左右一対の第1のギヤ121と、一対の第1のギヤ121にそれぞれ噛み合う左右一対の第2のギヤ122と、一対の第2のギヤ122に噛み合う左右一対の第3のギヤ123と、一対の第3のギヤ123の一方に噛み合う左右一対の駆動力伝達部材としての第4のギヤ124と、一対の第3のギヤ123の他方に噛み合う左右一対の第4のギヤ124とから構成されている。第4のギヤ124は、後述する連結部を介して図3に示すカップリング部110に連結されている。
【0029】
図6は、図3のA−A線断面図である。カップリング部110と第4のギヤ124とは、連結部130によって偏心及び軸方向に移動可能に連結されている。カップリング部110と第4のギヤ124との間には、コイルスプリング103及びワッシャ104が配置されている。
【0030】
連結部130は、連結部材又は棒状部材としての軸131と、軸131の両端に設けられ、カップリング部材111及び第4のギヤ124に対して軸方向に移動可能な一対の球状体132と、一対の球状体132をカップリング部材111及び第4のギヤ124の回転方向に対して固定する一対の固定部材又は突出部材としてのピン133とを備える。球状体132は後述するカップリング部材111と第4のギヤ124の回転軸心が偏心した場合に、カップリング部材111、及び第4のギヤ124と接触する箇所が球状であれば、その他の箇所の形状については適宜選定して差支えない。
【0031】
第4のギヤ124は、周面に歯124aが形成され、回転中心軸上に、カップリング側ケース101A側で回転可能に支持される軸部124bと、反カップリング側ケース101B側で回転可能に支持される軸部124cと、球状体132が軸方向に移動可能に収容される球状体収容部124dとが形成されている。球状体収容部124dには、球状体132の外径より僅かに大きい内径を有する穴124eが形成されている。
【0032】
第4のギヤ124は、カップリング側ケース101A側の軸部124bが支持部材105Aによって回転可能に支持され、反カップリング側ケース101B側の軸部124cが支持部材105Bによって回転可能に支持されている。支持部材105Aは、ねじ106によりカップリング側ケース101Aに取り付けられ、支持部材105Bは、ねじ106により反カップリング側ケース101Bに取り付けられている。
【0033】
カップリング部110は、上記カップリング部材111と、カップリング部材111に固定され、弾性部材としてのコイルスプリング103を受けるばね受け112とから構成されている。コイルスプリング103は、カップリング部110をケース101から遠ざける方向に付勢する。
【0034】
カップリング部材111は、回転軸上に、球状体132が軸方向に移動可能に収容される球状体収容部111eを備える。球状体収容部111eには、球状体132の外径より僅かに大きい内径を有する穴111fが形成されている。
【0035】
図7は、連結部130の分解斜視図である。球状体132は、表面の一部132aが球状の曲面の一部で構成されており、軸131が嵌合する穴132bと、ピン133が嵌り込む溝132cとが形成されている。軸131は、円柱状を有し、両端部に貫通穴131aが形成されている。連結部130は、軸131の両端の貫通穴131aにピン133をそれぞれ嵌め込み、球状体132を軸131の端部及びピン133に嵌め込むことで組み立てられる。球状体132は、ピン133の軸方向の長さよりも小さい外径を有し、軸131の端部及びピン133への嵌め込みが容易に行えるようにするため、樹脂から形成されている。なお、本実施の形態では、軸131、ピン133及び球状体132は、異なる3つの部材で構成されているが、これらの3つの部材のうち2つの部材又は3つの部材は、1つの部材で一体的に形成されていてもよい。
【0036】
図8は、第4のギヤ124の正面図である。第4のギヤ124は、球状体収容部124dに連結部130のピン133が嵌合する一対の溝124fが形成されている。第4のギヤ124の溝124fに連結部130のピン133を嵌合させることにより、第4のギヤ124の回転力がピン133を介して軸131に伝達される。
【0037】
図9は、図3に示すカップリング部材111をケース101側から見た正面図である。カップリング部材111は、球状体収容部111eに連結部130のピン133が嵌合する溝111gが形成されている。カップリング部材111の溝111gに連結部130のピン133を嵌合させることにより、軸131の回転力がピン133を介してカップリング部材111に伝達される。
【0038】
(感光体回転駆動装置の動作)
図10は、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じていない状態を示す図3のB−B線断面図、図11は、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じている状態を示す図3のB−B線断面図である。以下に図10及び図11を参照して感光体回転駆動装置100の動作を参照して説明する。
【0039】
感光体回転駆動装置100のモータ102が図示しない制御部の制御によって駆動されると、モータ102の回転力は、モータ102の出力軸に設けられた出力ギヤ102aからギヤ列120の第1のギヤ121に伝達し、さらに第2のギヤ122、第3のギヤ123を介して4つの第4のギヤ124に伝達する。第4のギヤ124に伝達した回転力は、連結部130を介してカップリング部110に伝達する。カップリング部110に接続された画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kは、同一方向に同時に回転する。
【0040】
各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kの感光体22に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト33上に転写され、さらに用紙Pに転写され、レジずれ量の少ないカラー画像が形成される。
【0041】
図10に示すように、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じていない状態では、第4のギヤ124、連結部130の軸131、及びカップリング部110のそれぞれの回転軸線La,Lb,Lcは、一致している。この場合は、第4のギヤ124の角速度は、一定のまま連結部130の軸131、及びカップリング部110に伝達される。
【0042】
図11に示すように、第4のギヤ124とカップリング部110との間に軸芯ずれが生じている状態では、第4のギヤ124の回転軸線Laとカップリング部110の回転軸線Lcとは、ずれ量eを有して偏心している。連結部130の軸131の回転軸線Lbは、他の回転軸線La,Lcに対して傾斜している。この場合は、第4のギヤ124の角速度は、連結部130の第4のギヤ124側では、軸131の傾斜角度に応じて角速度変動が生じるが、連結部130のカップリング部110側で第4のギヤ124側で生じた角速度変動を相殺する角速度変動が生じてカップリング部110は、一定の角速度となる。
【0043】
図12は、本実施の形態と比較例についてレジずれ量を測定した結果を示す。比較例は、本実施の形態において、球状体を省き、軸131の両端をそれぞれ1つのピポット軸でカップリング部材と第4のギヤに連結したものである。レジずれ量は、YMCKのトナー画像の色ずれ量である。同図から、比較例では、軸芯ずれが大きくなるに従ってレジずれ量が大きくなるが、本実施の形態では、軸芯ずれが大きくなってもレジずれ量はほとんど変化していないことが分かる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々に変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態では、被回転体として感光体について説明したが、本発明は、被回転体として現像器における現像ロールや、用紙を搬送する搬送ロール、中間転写ベルトを移動させるロール、又はその他の回転部材に適用してもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、一対の球状体132の両方をカップリング部材111及び第4のギヤ124に対して軸方向に移動可能な構成としたが、カップリング部材111及び第4のギヤ124の一方に対して軸方向に移動可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…画像形成装置、11…筐体、12…給紙トレイ、13…用紙排出部、14…用紙搬送路、14a…ピックアップロール、14b…補正ロール、14c…搬送ロール、20…画像形成部、21Y,21M,21C,21K…画像形成ユニット、22…感光体、23…帯電器、24…現像器、24a…ハウジング、24b…現像ロール、24c…供給オーガー、24d…攪拌オーガー、25…感光体クリーニング部、26Y,26M,26C,26K…一次転写ロール、27…露光器、27a…ポリゴンミラー、27b…ミラー、27c…フレーム、30…駆動ロール、31…バックアップロール、32…従動ロール、33…中間転写ベルト、34…二次転写ロール、35Y,35M,35C,35K…トナーボックス、40…ベルトクリーニング部、100…感光体回転駆動装置、101…ケース、101A…カップリング側ケース、101a…穴、101B…反カップリング側ケース、102…モータ、102a…出力ギヤ、103…コイルスプリング、104…ワッシャ、105A,105B…支持部材、110…カップリング部、111…カップリング部材、111a…長穴、111b…楕円状突部、111c…係合部、111d…L字状突部、111e…球状体収容部、111f…穴、111g…溝、112…ばね受け部材、120…ギヤ列、121…第1のギヤ、122…第2のギヤ、123…第3のギヤ、124…第4のギヤ、124a…歯、124b…軸部、124c…軸部、124d…球状体収容部、124e…穴、124f…溝、130…連結部、131…軸、131a…貫通穴、132…球状体、132a…表面の一部、132b…穴、132c…溝、133…ピン、210…カップリング部材、210a…軸、210b…係止部、211…カバー、212…開口部、La,Lb,Lc…回転軸線、P…用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被回転体と、
前記被回転体に係脱可能に係合される係合部材と、
駆動源によって回転駆動される駆動力伝達部材と、
前記係合部材と前記駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する連結部とを備え、
前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記係合部材と前記駆動力伝達部材との間に配置され、前記係合部材を前記駆動力伝達部材から遠ざける方向に付勢する弾性部材を、
さらに備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記連結部材は、棒状部材であり、
前記固定部材は、前記棒状部材から径方向に突出するように両端に設けられた突出部材であり、
前記球状体は、前記突出部材の長さよりも小さい外径を有し、前記棒状部材の両端に装着したとき、前記球状体の表面から前記突出部材が突出するように構成された請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の感光体と、
前記複数の感光体に係脱可能に係合される複数の係合部材と、
駆動源によって回転駆動される複数の駆動力伝達部材と、
前記複数の係合部材と前記複数の駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する複数の連結部とを備え、
前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、
を備えた画像形成装置。
【請求項1】
被回転体と、
前記被回転体に係脱可能に係合される係合部材と、
駆動源によって回転駆動される駆動力伝達部材と、
前記係合部材と前記駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する連結部とを備え、
前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記係合部材と前記駆動力伝達部材との間に配置され、前記係合部材を前記駆動力伝達部材から遠ざける方向に付勢する弾性部材を、
さらに備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記連結部材は、棒状部材であり、
前記固定部材は、前記棒状部材から径方向に突出するように両端に設けられた突出部材であり、
前記球状体は、前記突出部材の長さよりも小さい外径を有し、前記棒状部材の両端に装着したとき、前記球状体の表面から前記突出部材が突出するように構成された請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の感光体と、
前記複数の感光体に係脱可能に係合される複数の係合部材と、
駆動源によって回転駆動される複数の駆動力伝達部材と、
前記複数の係合部材と前記複数の駆動力伝達部材とを偏心及び軸方向に移動可能に連結する複数の連結部とを備え、
前記連結部は、連結部材と、前記連結部材の両端に設けられ、前記係合部材及び前記駆動力伝達部材に対して少なくとも一方が軸方向に移動可能な一対の球状体と、前記一対の球状体を前記係合部材及び前記駆動力伝達部材の回転方向に対して固定する一対の固定部材と、
を備えた画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−191027(P2010−191027A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33480(P2009−33480)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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