説明

画像形成装置

【課題】特別な電源を設けることなく、静電メモリに起因する感光体の表面電位のムラを除去する。
【解決手段】画像形成装置で静電メモリの除去を行うときには、ドラムモータを駆動して感光ドラムの予備回転を行うときに、一次転写ロールへの一次転写バイアスの印加及びイレーサによる除電動作を停止した状態で、帯電ロールへ帯電バイアスを印加する。これにより、感光ドラムの表面電位が電位Tvまで低下し、濃度ムラが抑えられる。この後、一次転写バイアスを印加する前にイレーサによる除電動作を行うことにより、感光ドラムの表面から電位ムラを確実に除去される。これにより、画像形成処理を開始するときには、静電メモリに起因する感光ドラムの表面の電位ムラがなくなっているので、画像デフェクトのない高品質の画像形成を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光ドラムなどの像保持体に帯電ロールが接触している状態で、装置はプロセスカートリッジの搬送により振動が加えられると、感光ドラムの感光層に電荷が注入されてしまう。ここから、画像形成時に帯電ロールに印加する電圧を発生する電源と別の電源を用いて、像保持体から電荷を除去する提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、帯電ロールに、画像形成時とは逆極性の電界を印加するように提案している。
【0004】
また、特許文献2では、像保持体の回転開始又は回転開始前に、像保持体の帯電極性と同極性の直流電圧を帯電ロールに印加すると共に、回転開始直後に直流電圧に交流電圧を重畳して印加するように提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−301272号公報
【特許文献2】特開平10−171213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、帯電ロールなどの帯電部材に、画像形成時とは異なる電圧を印加することなく、像保持体から不要な電荷を除去する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、電子写真プロセスによる画像の形成に用いられる接触部材が接触され、前記画像を保持する像保持体と、直流電圧とされた帯電電圧が印加されることにより前記像保持体を帯電する帯電部材と、前記帯電部材へ前記帯電電圧を印加する第1の印加手段と、転写電圧が印加されることにより前記像保持体の前記画像を転写媒体へ転写する転写部材と、前記転写部材へ前記転写電圧を印加する第2の印加手段と、前記像保持体への前記画像の形成に先立って、前記像保持体を回転しながら、前記第2の印加手段による前記転写部材への前記転写電圧の印加を停止し、前記第1の印加手段により前記帯電電圧を前記帯電部材へ印加して前記像保持体の帯電処理を行う帯電制御手段と、を含む。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記像保持体を除電する除電手段を含み、前記帯電制御手段が、前記帯電部材により前記像保持体を帯電しながら、前記除電手段によって前記像保持体の除電を行う。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2において、予め設定された検知画像を前記像保持体上に形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって形成された前記検知画像の濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度検出手段の検出結果から前記検知画像に濃度ムラが生じているか否かを判定する判定手段と、を含む。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3において、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記帯電制御手段が前記前記像保持体の前記帯電処理を実行する。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項3において、前記帯電制御手段による前記前記像保持体の前記帯電処理に先立って、前記判定手段による判定を行なう。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5の何れかにおいて、前記帯電制御手段による前記像保持体の帯電処理の実行を指示する指示手段を含む。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6の何れかにおいて、装置設置時に、前記帯電制御手段が前記像保持体の帯電処理を行う。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、第1の印加手段と別に電源を設けることなく、像保持体の帯電ムラを除去することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、像保持体の電位を画像形成時の電位に戻すことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、像保持体の表面電位のムラの有無を的確に判定することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、表面電位のムラを解消するための帯電処理が実行されるのを抑制することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、表面電位のムラを確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】画像形成装置の要部を示す構成図である。
【図3】画像形成装置の制御部を示す構成図である。
【図4】(A)は転写ベルトに形成する検知チャートの一例を示す転写ベルトの要部の平面図、(B)は静電メモリにより記録紙上に生じる画像デフェクトを示す記録紙の平面図である。
【図5】静電メモリの除去の開始判定の一例を示す流れ図である。
【図6】本実施の形態に係る静電メモリの除去処理を示す流れ図である。
【図7】検知チャートの出力を示す流れ図である。
【図8】(A)は本実施の形態に係るバイアス印加を示すタイムチャート、(B)は(A)のバイアス印加に応じた感光ドラムの表面電位の変化を示す線図である。
【図9】(A)は本実施の形態の構成を適用しない場合のバイアス印加を示すタイムチャート、(B)は(A)のバイアス印加に応じた感光ドラムの表面電位の変化を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10には、筐体12の内部に、作像ユニット14が設けられている。画像形成装置10では、プロセスカラーであるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(クロ)のトナーを用いた画像を記録紙16に形成する。ここから、作像ユニット14として、Y色の作像ユニット14Y、M色の作像ユニット14M、C色の作像ユニット14C及びK色の作像ユニット14K(以下、総称するときは作像ユニット14とする)を有している。画像形成装置10では、作像ユニット14Y、14M、14C、14Kが並べられて配置されている。
【0021】
図1及び図2に示されるように、各作像ユニット14は、像保持体とされる感光ドラム18を備えている。この感光ドラム18の周囲には、感光ドラム18に静電潜像を形成するために帯電する帯電器20、感光ドラム18の周面にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を形成する現像器22(現像器22Y、22M、22C、22K)、感光ドラム18の周面に残ったトナーを除去するクリーナ24及び、感光ドラム18の表面の電位を除去するイレーサ104(図1では図示省略、図2参照)が配置されている。
【0022】
図1に示されるように、画像形成装置10の筐体12の内部には、Y、M、C、Kの各色のトナーが収容されたトナーカートリッジ26(トナーカートリッジ26Y、26M、26C、26K)が設けられている。現像器22Y、22M、22C、22Kには、トナーカートリッジ26Y、26M、26C、26Kからトナーが供給される。
【0023】
また、筐体12の内部には、感光ドラム18のそれぞれを露光する露光ユニット28が設けられている。露光ユニット28は、作像ユニット14Y、14M、14C、14Kの感光ドラム18に対応する半導体レーザ(図示省略)、ポリゴンミラー30を含む走査光学系を含んでいる。
【0024】
露光ユニット28では、半導体レーザから発せられるレーザ光LB(LB−Y、LB−M、LB−C、LB−K)が画像情報に応じて変調され、ポリゴンミラー30によって偏向走査されながら感光ドラム18へ照射する。これにより、感光ドラム18には、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0025】
なお、露光ユニット28は、フレーム32に収容されており、レーザ光LBは、このフレーム32に透明ガラス32を嵌めこんで形成されたウインド34を通過する。
【0026】
また、露光ユニット28は、半導体レーザに限らず、LEDなどの複数の発光素子を配列して、画像情報に基づいて発光素子を発光することにより感光ドラム18を走査露光する構成など、公知の構成を適用することができる。
【0027】
図1及び図2に示されるように、画像形成装置10には、無端の転写ベルト36が設けられている。この転写ベルト36は、ドライブロール38、クリーナバックアップロール(以下、バックアップロールとする)40、張架ロール42、44に巻き掛けられている。また、転写ベルト36は、バックアップロール40に付与される付勢手段46(図2参照)の付勢力によって一定の張力が付与され、ドライブロール38の回転駆動によって予め設定された線速で移動される。
【0028】
この転写ベルト36には、張架ロール42、44の間で作像ユニット14Y、14M、14C、14Kの各感光ドラム18が接触されている。また、画像形成装置10には、感光ドラム18のそれぞれに対向して一次転写ロール48が設けられている。
【0029】
画像形成装置10では、感光ドラム18に形成されたトナー像が、感光ドラム18と一次転写ロール48に挟まれた転写ベルト36に接触したときに、一次転写ロール48に転写電圧が印加されることにより、転写ベルト36に転写される。画像形成装置10では、Y、M、C、Kの各色のトナー像が転写ベルト36に重ねて転写される。
【0030】
また、画像形成装置10には、ドライブロール38に対向して二次転写ロール50が設けられている。転写ベルト36に転写されたトナー像は、ドライブロール38と二次転写ロール50との接触位置である転写位置へ送られる。また、画像形成装置10では、転写ベルト36のトナー像の移動に同期されて、この転写位置に記録紙16が送り込まれる。このときに、二次転写ロール50に転写電圧(二次転写電圧)が印加されることにより、転写ベルト36上のトナー像が記録紙16に転写される。
【0031】
なお、画像形成装置10には、バックアップロール40に対向してクリーナ100が設けられており、転写ベルト36上に残ったトナーは、クリーナ100のブレード102によって除去されて回収される。
【0032】
一方、図1に示されるように、画像形成装置10には、筐体12の下部に給紙ユニット52が配置され、この給紙ユニット52に記録紙16が収容される。また、画像形成装置10には、筐体12の上部に用紙受54が形成され、筐体12の内部に、給紙ユニット52から用紙受54に至る記録紙16の搬送路56が形成されている。
【0033】
給紙ユニット52内の記録紙16は、フィードロール58によって給紙ユニット52から1枚ずつ送り出され、給紙ロール60によってレジストロール62へ送られる。また、レジストロール62は、転写ベルト36に転写されたトナー像の移動に同期して駆動され、記録紙16を転写位置へ送り込む。これにより、記録紙16にトナー像が転写される。
【0034】
画像形成装置10には、二次転写ロール50の下流側に定着器64が設けられている。トナー像が転写された記録紙16は、定着器64に送り込まれることにより、定着ロール66によって加圧及び加熱され、トナー像が溶融定着される。
【0035】
これにより、画像情報に応じた画像が形成された記録紙16は、排紙ロール68によって用紙受54上に排出される。
【0036】
図3に示されるように、画像形成装置10の作動を制御する制御部70には、制御コントローラ72が設けられている。制御コントローラ72は、CPU74、ROM76、RAM78及び入出力ポート(I/O80)がバス82によって接続されている。
【0037】
制御コントローラ72には、露光ユニット28及び定着器64が接続されている。また、制御部70には、記録紙16の搬送を担うデバイスが含まれる搬送処理部84、各作像ユニット14でトナー現像を担うデバイスが含まれる現像処理部86、感光ドラム18に形成されたトナー像の転写ベルト36への転写及び記録紙16への転写を担うデバイスが含まれる転写処理部88が形成されており、これらが制御コントローラ72に接続されている。
【0038】
また、画像形成装置10には、各種の情報の表示及び表示情報に応じた操作入力が行われるユーザインターフェイス(UI)90、画像情報が格納されるHDD(ハードディスクドライブ)92が設けられ、このUI90及びHDD92が、制御コントローラ72に接続されている。
【0039】
さらに、制御コントローラ72には、通信インターフェイス(通信I/F)94が接続されている。この通信I/F94には、通信回線96を介して、各種の画像処理を行う画像処理端末98が接続されている。
【0040】
制御コントローラ72では、RAM78をワークメモリとして、CPU74がROM76に記憶された制御プログラムを実行することにより、各種のデバイスの作動を制御する。これにより、画像形成装置10での記録紙16への画像形成処理が行われる。
【0041】
このときに、制御コントローラ72では、画像処理端末98から出力される画像形成指示を受け付けると、受けつた画像形成指示及び画像形成指示に含まれる画像情報をHDD92に格納する。また、制御コントローラ72は、HDD92に格納された画像形成指示に基づいた画像形成処理が実行される。
【0042】
ところで、図1及び図2に示される転写ベルト36は、ポリイミド、ポリアミドイミド、アミドからなるベルト又は、クロロプレン等を用いた弾性ベルトが用いられる。この転写ベルト36が巻き掛けられる張架ロール42、44は金属ロールが用いられる。
【0043】
また、ドライブロール38は、金属又は金属の表面に厚さ0.5mmのゴム層が形成されたロールが用いられ、二次転写ロール50に圧接されており、二次転写ロール50は、金属シャフトに弾性層を積層したロールを用いることができる。このときに、二次転写ロール50は、転写ベルト36との接線に対して、記録紙16の搬送方向上流側へ10度程度傾けられて取り付けられている。
【0044】
各作像ユニット14には、感光ドラム18の周囲に、帯電器20、現像器22、クリーナ24及びイレーサ104が配置されている。イレーサ104は、例えば、チップLEDを並べて配置した基板や、レンズバー形状で感光ドラム18の軸方向の一端側からLEDの発する光を入射する構成が適用される。
【0045】
クリーナ24には、クリーニングブレード106が設けられている。このクリーニングブレード106は、例えば、ウレタンゴムによって形成されて、保持金具によって保持されている。クリーナ24では、このクリーニングブレード106の先端が感光ドラム18の周面に接触され、感光ドラム18の周面に付着しているトナーを除去する。
【0046】
作像ユニット14には、感光ドラム18の周面に対向して、現像スリーブ108が設けられ、この現像スリーブ108が、トナーを保持すると共に、保持しているトナーを感光ドラム18の周面に供給して現像処理を行う。
【0047】
帯電器20としては、例えば、感光ドラム18の表面に接触しながら回転して、感光ドラム18の周面を帯電させる帯電ロール110が用いられる。このときの帯電ロール110は、例えば、金属などの導電性を有する芯材を、導電性ゴム層によって被覆した構成が適用され、感光ドラム18が負極性となるように帯電する。
【0048】
一方、感光ドラム18は、金属管の周面に電荷発生層と電荷輸送層が積層された構成が適用され、この感光ドラム18に対向される一次転写ロール48は、金属又は、金属シャフトに弾性層を積層したロールが用いられる。
【0049】
画像形成装置10では、作像ユニット14に設けられているこの感光ドラム14の周面に、クリーニングブレード106や帯電ロール110が常に接触した状態となっている。
【0050】
ここで、画像形成装置10に振動が加わったり、作像ユニット14に振動が加わると、感光ドラム18とクリーニングブレード106、帯電ロール110に設けられるゴム部材との摩擦により、感光ドラム18の周面に電荷が残ってしまう所謂静電メモリ(電荷履歴)が生じる。
【0051】
感光ドラム18に生じる電荷メモリは、一次転写ロール48に転写電圧が印加された状態で帯電ロール110によって感光ドラム18を帯電したときに、感光ドラム18に帯電ムラなどの帯電不良を生じさせる。
【0052】
このような静電メモリによる感光ドラム18の帯電ムラは、感光ドラム18に形成するトナー像に濃度ムラを生じさせ、この濃度ムラが記録紙16に形成する画像の画質低下を生じさせる。
【0053】
このような記録紙16に形成される画像の画質低下は、例えば、図4(B)に示されるように、記録紙16上にピッチPtの間隔でスジ状に濃度ムラが現れる画像デフェクト(濃度ムラ)132による。この画像デフェクト132のピッチDpは、感光ドラム18の外周長さLとなる。
【0054】
ここで、画像形成装置10に設けている制御コントローラ72は、感光ドラム18から静電メモリを除去する帯電制御を行う。
【0055】
図3に示されるように、転写処理部88には、二次転写ロール50に二次転写電圧(二次転写バイアス)を印加する転写バイアス回路112と共に、各作像ユニット14の感光ドラム18に対向される一次転写ロール48に一次転写電圧(一次転写バイアス)を印加する転写バイアス回路114が設けられている。
【0056】
また、転写処理部88には、転写ベルト36(ドライブロール38)を回転するベルトモータ116及び、このベルトモータ116を駆動する駆動回路118が設けられている。
【0057】
現像処理部86には、各作像ユニット14(14Y、14M、14C、14K)に設けられている帯電ロール110に帯電電圧(帯電バイアス)を印加する帯電バイアス回路120、イレーサ104を動作させて感光ドラム18の除電動作を行う除電動作回路122が設けられている。ここで、帯電バイアス回路120は、負極性の帯電バイアスを帯電ロール110に印加することにより、感光ドラム18を負極性に帯電する。
【0058】
また、各作像ユニット14には、感光ドラム18を回転駆動するドラムモータ124が設けられており、現像処理部86には、このドラムモータ124を駆動する駆動回路126が設けられている。
【0059】
制御コントローラ72は、記録紙16への画像形成を行うときに、ベルトモータ116及び各ドラムモータ124を作動させると共に、イレーサ104による除電動作、帯電ロール110による感光ドラム18の帯電動作を行いながら、一次転写ロール48に印加する一次転写バイアス及び二次転写ロール50に印加する二次転写バイアスによるトナー像の転写を行う。
【0060】
一方、制御コントローラ72は、画像形成処理に先立って感光ドラム18等の予備回転を行う。このときに、制御コントローラ72は、帯電ドラム18から静電メモリを除去が指示されていると、この予備回転中に感光ドラム18の帯電状態を制御する帯電制御を行う。
【0061】
この帯電制御を行うときに、制御コントローラ72は、感光ドラム18を回転しながら、一次転写ロール48への一次転写バイアスの印加を停止した状態で、帯電ロール110に帯電バイアスを印加して感光ドラム18が負極性となるように帯電を行う。
【0062】
また、制御コントローラ72は、帯電ロール110への帯電バイアスの印加中に、イレーサ104を用いた感光ドラム18の除電動作を行うようにしている。
【0063】
一方、図2に示されるように、画像形成装置10には、作像ユニット14を通過して転写位置へ向けて移動する転写ベルト36に対向して、光学反射式の濃度センサ128が配置されている。図3に示されるように、濃度センサ128は、制御コントローラ72に接続されている。
【0064】
制御コントローラ72は、予め設定されている画像を転写ベルト36に形成し、画像デフェクト132が生じているか否かを判定する。図4(A)には、このときに用いる画像(以下、検知チャート130とする)の一例を示している。この検知チャート130は、例えば、予め設定されている濃度の画像となっており、副走査方向(転写ベルト36の移動方向)に沿った長さが、感光ドラム18の1周分の長さLよりも長く、好ましくは、2周分以上の長さとしている。
【0065】
また、検知チャート130を形成する主走査方向(転写ベルト36の幅方向)に沿った位置は、濃度センサ128に対向する領域で、濃度センサ128の検知範囲よりも20%以上広い範囲に形成されることが好ましい。
【0066】
ここで、感光ドラム18に静電メモリが生じていると、ピッチDpで画像デフェクト132が現れる。
【0067】
制御コントローラ72は、転写ベルト36上に転写された検知チャート130の濃度を濃度センサ128によって検出し、濃度に応じて濃度センサ128が出力する信号(出力電圧)を予め設定されているしきい値と比較し、画像デフェクト132が検出されるか否かを判定する。
【0068】
このような検知チャート130は、その画像情報(画像データ)がHDD92に記憶されており、制御コントローラ72は、この画像情報に基づいた感光ドラム18の走査露光、トナー現像、転写ベルト36への転写を行う。なお、転写ベルト36上の検知チャート130は、記録紙16へ転写されずに、クリーナ100によって転写ベルト36上から除去される。
【0069】
ここで、画像形成装置10で実行される静電メモリの除去(帯電制御)を説明する。
【0070】
図5には、処理開始判定の一例を示している。このフローチャートは、例えば、画像形成装置10に電源供給が開始され、かつ、図示しない電源スイッチがオンされた場合、及び、感光ドラム18の交換(ドラムカートリッジの交換)が行われたときに実行される。
【0071】
このフローチャートでは、最初のステップ200で、画像形成装置10の設置か否かを確認する。また、ステップ202では、画像形成装置10の移動、運搬が行われた直後か否かを確認し、ステップ204では、ドラムカートリッジ(感光ドラム18)の交換が行われたか否かを確認する。さらに、ステップ206では、UI90から静電メモリ除去の実行指示が入力されたか否かを確認し、また、ステップ208では、画像処理端末98から静電メモリ除去の実行指示が入力されたか否かを確認する。
【0072】
一般に、画像形成装置10には、画像形成を行ったページ数をカウントするページカウンタが設けられており、このページカウンタは、画像形成装置10の製造時(出荷時)には、カウント値がリセット(0ページ)されている。画像形成装置10では、稼動開始時に、ページカウンタのカウント値が0ページであるか否かを確認することにより、設置時か否かを判断することができる。
【0073】
ここから、画像形成装置10の設置か否かの確認は、ページカウンタのカウント値を用いることができる。
【0074】
なお、これに限らず、例えば、設置のための初期設定が行われているか否か、予め製造時や出荷時の日時を記憶させておき、その日時から運搬、納品に要する時間として設定している時間が経過したかなどによって判定するようにしてもよい。また、装置の運搬、移動が行われたか否かは、最後の電源供給が遮断されてからの経過時間を計測し、この経過時間が予め設定している時間以上となっているか否かから判定することができる。
【0075】
感光ドラム18が含まれるドラムカートリッジが交換されたか否かの判定は、例えば、ドラムカートリッジにドラムカートリッジを特定するIDなどの識別子を付与しておき、この識別子を検出して、識別子が変更されたか否かによって判定することができる。
【0076】
ここで、ステップ200からステップ208の何れかで肯定判定されると、ステップ210へ移行して、静電メモリ除去を行うように設定する。なお、ステップ202、208を用いた確認を省略し、ステップ200、204、206の何れかで肯定判定された場合に、静電メモリ除去を行うようにしても良い。
【0077】
図6には、静電メモリ除去を示している。このフローチャートは、最初のステップ220で静電メモリの除去が設定されているか否かを確認し、静電メモリ除去の実行が設定されると、ステップ220で肯定判定して、記録紙16への画像形成処理に先立って実行される。なお、このフローチャートは、例えば、画像形成に先立って感光ドラム18の予備回転を行うときに実行されるものであっても良い。
【0078】
次のステップ222では、ドラムモータ124を駆動して、各作像ユニット14の感光ドラム18の回転(予備回転)を開始する。なお、ドラムモータ124の駆動と共に、ベルトモータ116を駆動し、感光ドラム18の予備回転と共に、転写ベルト36の予備回転が開始される。
【0079】
次のステップ224では、検知チャート130の出力処理を行う。
【0080】
図7には、検知チャート130の出力処理を示している。このフローチャートでは、ステップ240で、帯電ロール110への帯電バイアスの印加、イレーサ104による除電動作及び、一次転写ロール48への一次転写バイアスの印加を開始する。
【0081】
次のステップ242では、検知チャート130の画像情報に基づいた感光ドラム18の走査露光及びトナー現像を行う。これにより、検知チャート130に応じたトナー像が形成され、転写ベルト36に転写される。
【0082】
この後、ステップ244では、転写ベルト36に転写された検知チャート130に応じた濃度センサ128の出力電圧vを読み込み、ステップ246では、出力電圧vが予め設定されたしきい値Vsを越えたか否かを確認する。また、ステップ248では、検知チャート130が濃度センサ128に対向する位置を通過したか否かを確認する。
【0083】
ここで、検知チャート130上に画像デフェクト132が生じ、濃度センサ128の出力電圧vがしきい値Vsを超える(v≧Vs)と、ステップ246で肯定判定してステップ250へ移行し、静電メモリが発生していると判定する。
【0084】
一方、図6のフローチャートでは、ステップ226で静電メモリが発生していると判定されたか否かを確認し、静電メモリが発生していると判定されると、ステップ226で肯定判定してステップ228へ移行し、静電メモリ除去を開始する。なお、静電メモリが発生していないと判定されているときには、ステップ226で否定判定して静電メモリ除去を終了する。
【0085】
静電メモリ除去が開始されると、ステップ228では、一次転写ロール48への一次転写バイアスの印加を停止すると共に、イレーサ104の除電動作を停止する。
【0086】
これにより、画像形成装置10の各作像ユニット14では、感光ドラム18の回転が継続されながら、この感光ドラム18へ帯電ロール110により負極性となるように帯電が行われる。
【0087】
次のステップ230では、所定時間が経過したか否かを確認する。なお、時間に変えて感光ドラム18の回転数を用いて、帯電ロール110のみを用いた帯電がなされた状態で感光ドラム18の回転数が予め設定した回転数に達したか否かを確認しても良い。
【0088】
ここで、ステップ230で肯定判定されるとステップ232へ移行する。このステップ232では、イレーサ104を用いた除電動作を開始する。すなわち、帯電ロール110を用いた感光ドラム18の帯電と、イレーサ104による感光ドラム18の除電を繰り返す。
【0089】
この後、ステップ234では、除電動作を開始してからの時間が予め設定されている時間が経過したか否かを確認する。なお、このステップ234においても、経過時間に変えて感光ドラム18の回転数(帯電−除電の繰り返し回数)が予め設定している回転数に達したか否かを確認するものであってもよい。
【0090】
ここで、ステップ234で肯定判定されると、ステップ224へ移行して、検知チャート130を用いた判定を行ない、これにより、ステップ226で静電メモリが除去されたと判定(ステップ226で否定判定)されることにより、静電メモリ除去を終了する。なお、ここでは、ステップ234で肯定判定されたときに、再度、検知チャート130の出力を行うようにしているが、ステップ234で肯定判定されたときに、静電メモリ除去を終了するようにしても良い。
【0091】
ここで、静電メモリ除去を行わずに、画像形成処理の開始に先立った感光ドラムの予備回転のみが行われるときには、図9(A)に示されるように、ドラムモータ124の駆動開始と共に、一次転写ロール48への一次転写バイアスの印加、帯電ロール110への帯電バイアスの印加及び、イレーサ104による除電動作が開始され、予備回転の終了と共に画像形成処理が開始される。
【0092】
このときに、感光ドラム18に静電メモリが生じていると、図9(B)に示されるように、感光ドラム18の表面電位は、転写バイアスに応じた電位Evから、イレーサ104による除電電位に応じた電位Cvまで下がるが、電位にムラが残る。この状態で、画像形成処理を開始すると、感光ドラム18の表面電位は電位Evまで高くなるが、画像デフェクト132を生じさせるムラが残す。このときのムラは、画像デフェクト132のピッチDpに応じた時間Tpの間隔で生じる。なお、図9(B)及び次に示す図8(B)では、現像位置での感光ドラム18の表面電位を示している。
【0093】
これに対して、制御コントローラ72では、感光ドラム18の予備回転を行うときに、図8(A)に示されるように、先ず、帯電ロール110への帯電バイアスの印加を行い、一次転写ロール48への一次転写バイアスの印加及びイレーサ104の除電動作を停止する。
【0094】
これにより、図8(B)に示されるように、感光ドラム18の表面電位は、帯電ロール110から受ける負極性の帯電バイアスによって電位Cvよりもさらに下がり、感光ドラム18に電位のムラが生じていても、この電位のムラに拘わらず、帯電バイアスに応じた電位Tvまで低下する。
【0095】
この状態でイレーサ104による除電動作が開始されると、感光ドラム18の電位は、除電電位に応じた電位Cvまで復帰する。このときには、既に、電位ムラが解消されているので、感光ドラム18の表面は、電位ムラが生じていない状態となる。
【0096】
この後に、画像形成処理が開始されれば、感光ドラム18の表面に電位ムラが生じていない状態で画像形成を行うことができる。
【0097】
このように画像形成装置10では、画像形成処理に先立って、帯電ロール110に負極性の帯電バイアスを印加しながら、感光ドラム18を回転するので、感光ドラム18は、表面電位が帯電バイアスに応じた電位まで低下する。これにより、回転ドラム18の表面電位のムラを除去することができる。
【0098】
また、画像形成装置10では、一次転写ロール48へ一次転写バイアスを印加するのに先立って、イレーサ104による除電動作を行うので、感光ドラム18の表面電位を、通常のバイアス電位まで戻すことができる。
【0099】
さらに、画像形成装置10では、予め設定されている検知チャート130に基づいたトナー像を形成し、このトナー像に対する濃度測定を行うことにより、感光ドラム18の表面電位にムラが生じているか否かを的確に判断することができる。
【0100】
また、画像形成装置10では、記録紙16への画像形成に先立って、検知チャート130から得られる判定結果に基づいて感光ドラム18の表面電位のムラを解消するので、記録紙16へ形成する画像に仕上がり品質の低下が生じてしまうのを防止することができる。
【0101】
なお、以上説明した本実施の形態では、作像ユニット14Y、14M、14C、14Kを区別せずに説明したが、作像ユニット14Y、14M、14C、14Kごとに、それぞれの感光ドラム18に対して、静電メモリの有無の判定、静電メモリの除去を個別に行うものであっても良い。
【0102】
また、以上説明した本実施の形態は、本発明の構成を限定するものではない。本発明は、感光体などの像保持体に弾性部材が接触している構成であれば、公知の構成の画像形成装置に適用することが出来る。
【符号の説明】
【0103】
10 画像形成装置10
14(14Y、14M、14C、14K) 作像ユニット
18 感光ドラム
24 クリーナ
28 露光ユニット
36 転写ベルト
48 一次転写ロール
50 二次転写ロール
70 制御部
72 制御コントローラ
90 UI
98 画像処理端末
104 イレーサ
106 クリーニングブレード
110 帯電ロール
112 転写バイアス回路
116 ベルトモータ
118 駆動回路
120 帯電バイアス回路
122 除電動作回路
124 ドラムモータ
126 駆動回路
128 濃度センサ
130 検知チャート
132 画像デフェクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真プロセスによる画像の形成に用いられる接触部材が接触され、前記画像を保持する像保持体と、
直流電圧とされた帯電電圧が印加されることにより前記像保持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材へ前記帯電電圧を印加する第1の印加手段と、
転写電圧が印加されることにより前記像保持体の前記画像を転写媒体へ転写する転写部材と、
前記転写部材へ前記転写電圧を印加する第2の印加手段と、
前記像保持体への前記画像の形成に先立って、前記像保持体を回転しながら、前記第2の印加手段による前記転写部材への前記転写電圧の印加を停止し、前記第1の印加手段により前記帯電電圧を前記帯電部材へ印加して前記像保持体の帯電処理を行う帯電制御手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記像保持体を除電する除電手段を含み、
前記帯電制御手段が、前記帯電部材により前記像保持体を帯電しながら、前記除電手段によって前記像保持体の除電を行う、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
予め設定された検知画像を前記像保持体上に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって形成された前記検知画像の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記濃度検出手段の検出結果から前記検知画像に濃度ムラが生じているか否かを判定する判定手段と、
を含む請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記帯電制御手段が前記前記像保持体の前記帯電処理を実行する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電制御手段による前記前記像保持体の前記帯電処理に先立って、前記判定手段による判定を行なう、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電制御手段による前記像保持体の帯電処理の実行を指示する指示手段を含む、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
装置設置時に、前記帯電制御手段が前記像保持体の帯電処理を行う、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−230876(P2010−230876A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76993(P2009−76993)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】