説明

画像形成装置

【課題】帯電器に関する複数の異常を判定することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、帯電ワイヤ41A及びグリッド電極41Bを有する帯電器41と、印加回路51と、グリッド電圧VGレベルをグリッド目標レベルに近づけるための帯電制御信号SG1を印加回路に出力する制御部53と、グリッド電圧レベル、帯電電圧VCレベル、及び、帯電制御信号レベルのうち少なくとも2つの組み合わせパターンに基づき、帯電器に関する複数の異常の有無を判定する判定部53と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、感光体を有して画像形成装置本体に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジと、感光体を帯電するための帯電器とを備えるものがある。そして、従来より、この種の画像形成装置において、帯電器の出力電流を検出し、その検出値に基づき上記プロセスカートリッジの装着の有無を判定する機能を備えたものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−73084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、帯電器に関する異常は、プロセスカートリッジの装着の有無以外にもある。それにもかかわらず、上記従来の画像形成装置では、帯電器に関する電気的変化から、プロセスカートリッジの装着の有無、という1種類の異常しか判定しない構成であり、更なる改良が望まれていた。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、帯電器に関する複数の異常を判定することが可能な画像形成装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、適用例1に係る画像形成装置は、帯電ワイヤ及びグリッド電極を有する帯電器と、前記帯電ワイヤに帯電電圧を印加する印加回路と、前記グリッド電極に生じるグリッド電圧レベルをグリッド目標レベルに近づけるための帯電制御信号を前記印加回路に出力する制御部と、前記グリッド電圧レベル、前記帯電電圧レベル、及び、前記帯電制御信号レベルのうち少なくとも2つの組み合わせパターンに基づき、前記帯電器に関する複数の異常の有無を判定する判定部と、を備える。
【0006】
何ら異常が発生していない正常時は、グリッド電圧の検出レベルはグリッド目標レベルに近づき、帯電電圧は上記グリッド目標レベルに対応した所定レベルに近づき、帯電制御信号レベルは上記グリッド目標レベルに対応する所定レベルに近づく。
これに対し、帯電器に関する種々の異常が発生すると、グリッド電圧、前記帯電電圧、及び、前記帯電制御信号は正常時とは異なるレベルになり得る。そして、発生し得る複数の異常の中には、グリッド電圧レベル、前記帯電電圧レベル、及び、前記帯電制御信号レベルのうち少なくとも2つの組み合わせパターンが互い異なるものがある。
そこで、本適用例では、グリッド電圧レベル、前記帯電電圧レベル、及び、前記帯電制御信号レベルのうち少なくとも2つを判定要素とし、これらの組合せパターンが相違する複数の異常の有無を判定する構成とした。
【0007】
適用例2は、適用例1において、前記グリッド電圧レベルを検出するグリッド電圧検出回路を備え、前記判定部は、前記グリッド電圧検出回路による前記グリッド電圧の検出レベル、及び、前記帯電制御信号レベルの組み合わせパターンに基づき前記複数の異常の有無を判定する。
【0008】
例えば印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生すると、グリッド電圧の検出レベルは略ゼロ[v]になり、帯電制御信号レベルは最大値に近づく。また、帯電ワイヤとグリッド電極とが短絡する異常が発生すると、グリッド電圧レベルは略グリッド目標レベルに近づくものの、帯電制御信号レベルは正常時とは異なるレベルになる。このように、本適用例によれば、グリッド電圧レベル、及び、帯電制御信号レベルの組み合わせパターンに基づき、帯電器に関する複数の異常の有無を判定することができる。
【0009】
適用例3は、適用例2において、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回る場合に、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常の有無を判定できる。
【0010】
適用例4は、適用例2において、前記帯電器は、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、且つ、当該カートリッジが前記画像形成装置本体に正常に装着された状態で前記印加回路に電気的に接続される構成であり、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回る場合に、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常、及び、前記カートリッジが正常に装着されていない異常の少なくとも一方が発生したと判定する。
【0011】
適用例5は、適用例2から4のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づき、且つ、前記帯電制御信号レベルが正常時よりも低い場合に、前記印加回路の出力側が前記グリッド電極に短絡する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、印加回路の出力側がグリッド電極に短絡する異常の有無を判定できる。
【0012】
適用例6は、適用例1から5のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが正常時よりも低く、且つ、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回る場合に、前記グリッド電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、グリッド電圧検出回路が故障する異常の有無を判定できる。
【0013】
適用例7は、適用例1から6のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1上限値を上回る場合に、前記印加回路が故障する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、印加回路が故障する異常の有無を判定できる。
【0014】
適用例8は、適用例1から7のいずれか一つにおいて、前記帯電電圧レベルを検出する帯電電圧検出回路を備え、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベル、前記帯電制御信号レベル、及び、前記帯電電圧の検出レベルの組み合わせパターンに基づき前記複数の異常の有無を判定する。
本適用例によれば、判定要素がグリッド電圧の検出レベル及び帯電制御信号レベルの2つだけの場合に比べて、異常判定の精度向上や、判定する異常の種類数の増加が可能になる。
【0015】
適用例9は、適用例8において、前記帯電器は、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、且つ、当該カートリッジが前記画像形成装置本体に正常に装着された状態で前記印加回路に電気的に接続される構成であり、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回ることを前提として、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合には、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生したと判定し、前記帯電電圧の検出レベルが第3上限値を上回る場合には、前記カートリッジが正常に装着されていない異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、帯電電圧の検出レベルを判定要素に加えることにより、印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常と、カートリッジが正常に装着されていない異常とを判別することができる。
【0016】
適用例10は、適用例8または9において、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づき、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合に、前記帯電電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、帯電電圧レベルを判定要素に加えることにより、帯電電圧検出回路が故障する異常の有無を判定できる。
【0017】
適用例11は、適用例1において、前記グリッド電圧レベルを検出するグリッド電圧検出回路と、前記帯電電圧レベルを検出する帯電電圧検出回路と、を備え、前記判定部は、前記グリッド電圧検出回路による前記グリッド電圧の検出レベル、及び、前記帯電電圧検出回路による前記帯電電圧の検出レベルの組み合わせパターンに基づき前記複数の異常の有無を判定する。
例えば印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生すると、グリッド電圧の検出レベルは略ゼロ[v]になり、帯電電圧レベルも正常時よりも低いレベルになる。また、帯電ワイヤとグリッド電極とが短絡する異常が発生すると、グリッド電圧の検出レベルは略グリッド目標レベルに近づくものの、帯電電圧レベルも当該グリッド目標レベルとほぼ同じレベルになる。このように、本適用例によれば、グリッド電圧レベル、及び、帯電電圧レベルの組み合わせパターンに基づき、帯電器に関する複数の異常の有無を判定することができる。
【0018】
適用例12は、適用例11において、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合に、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常の有無を判定できる。
【0019】
適用例13は、適用例11または12において、前記帯電器は、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、且つ、当該カートリッジが前記画像形成装置本体に正常に装着された状態で前記印加回路に電気的に接続される構成であり、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3上限値を上回る場合に、前記カートリッジが正常に装着されていない異常が発生したと判定する。
【0020】
適用例14は、適用例11から13のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベル及び前記帯電電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づく場合に、前記印加回路の出力側が前記グリッド電極に短絡する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、印加回路の出力側がグリッド電極に短絡する異常の有無を判定できる。
【0021】
適用例15は、適用例11から14のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが正常時よりも低く、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3上限値を上回る場合に、前記グリッド電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、グリッド電圧検出回路が故障する異常の有無を判定できる。
【0022】
適用例16は、適用例11から15のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1上限値を上回る場合に、前記印加回路が故障する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、印加回路が故障する異常の有無を判定できる。
【0023】
適用例17は、適用例11から16のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づき、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合に、前記帯電電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
本適用例によれば、帯電電圧検出回路が故障する異常の有無を判定できる。
【0024】
適用例18は、適用例5から7、10、14、15、17のいずれか一つにおいて、前記判定部は、前記グリッド目標レベルを変更した後の前記グリッド電圧レベル及び前記帯電電圧レベルの少なくとも一方の変化を判定要素に加えて判定する。
本適用例によれば、グリッド目標レベルを変更した後のグリッド電圧レベル及び帯電電圧レベルの少なくとも一方の変化を判定要素に加えることにより、異常判定の精度を向上させることができる。
【0025】
適用例19は、適用例1から18のいずれか一つにおいて、前記帯電器の帯電対象としての感光体と、前記感光体に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記印加回路の出力側と前記現像剤担持体との間に接続されて、前記現像剤担持体に現像電圧を印加するシャント回路と、を備え、前記制御部は、前記現像電圧を現像目標レベルに近づけるための現像制御信号を前記シャント回路に出力する構成であり、前記判定部は、前記現像電圧レベル及び前記現像制御信号レベルの少なくとも一方を判定要素に加えて判定する。
本適用例によれば、現像電圧レベル及び現像制御信号レベルの少なくとも一方を判定要素に加えることにより、異常判定の精度を向上させることができる。
【0026】
適用例20は、適用例1から19のいずれか一つにおいて、前記帯電器の帯電対象としての感光体と、前記感光体に現像剤を供給する現像剤担持体と、前記感光体と前記現像剤担持体との離間させる離間機構と、を備え、前記判定部は、前記離間機構により前記感光体と前記現像剤担持体とが離間した状態で判定を行う。
本適用例によれば、離間機構により感光体と現像剤担持体とを離間させた状態で異常判定を行うから、この異常判定処理中に発生した異常により、感光体に誤って現像剤が供給されてしまう事態を抑制できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、帯電器に関する複数の異常を判定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の一実施形態を図1〜図10を参照しつつ説明する。
[プリンタの全体構成]
図1は、本実施形態のプリンタ1(本発明の「画像形成装置」の一例)の内部構成を表す概略断面図である。以下の説明では、各構成要素について、色毎に区別する場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の添え字を付し、区別しない場合は添え字を省略する。
【0029】
プリンタ1は、給紙部3と、画像形成部5と、搬送機構7と、定着部9と、高圧制御装置11、を備え、例えば外部から入力される画像データに応じた1または複数色(本実施形態ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のトナーからなるトナー像を、シート材15(用紙、OHPシートなど)に形成する。
【0030】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、シート材15を収容するトレイ17と、ピックアップローラ19とを備える。トレイ17に収容されたシート材15は、ピックアップローラ19により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ21,レジストレーションローラ23を介して搬送機構7に送られる。
【0031】
搬送機構7は、シート材15を搬送するためのものであり、ベルト27が、駆動ローラ29と従動ローラ31との間に架け渡された構成になっている。駆動ローラ29が回動すると、ベルト27は、感光体39と対向する側の表面が、図1中の右方向から左方向へ移動する。これにより、レジストレーションローラ23から送られてきたシート材15が、画像形成部5下へと搬送される。また、搬送機構7は、4つの転写ローラ33を備える。
【0032】
画像形成部5は、各トナー色に対応する4個のプロセスカートリッジ37Y,37M,37C,37B(本発明の「カートリッジ」の一例)、及び、4つの露光装置43を有する。各プロセスカートリッジ37は、プリンタ1に対して着脱可能であり、感光体39、帯電器41と、露光装置43と、ユニットケース45とを備える。
【0033】
感光体39は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものであり、このアルミニウム製の基材がプリンタ1のグランドラインに接地されている。帯電器41は、いわゆるスコロトロン型の帯電器であり、帯電ワイヤ41A及びグリッド電極41Bを有する(図2参照)。この帯電ワイヤ41Aに高電圧を印加し、グリッド電極41Bにグリッド電圧VGを印加することにより、感光体39の表面がほぼグリッド電圧と同電位(例えば+700V)に帯電される。
【0034】
露光装置43は、感光体39の回転軸方向に沿って一列状に並んだ複数の発光素子(例えばLED)を有し、これらの複数の発光素子を、外部より入力される画像データの1色分に応じて発光制御することにより、感光体39の表面に静電潜像を形成する。
【0035】
ユニットケース45は、各色のトナー(本実施形態では、例えば正帯電性の非磁性1成分トナー)を収納するとともに、現像ローラ47(本発明の「現像剤担持体」の一例)を有する。現像ローラ47が、トナーを「+」(正極性)に帯電させ、均一な薄層として感光体39上へ供給することにより上記静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0036】
上記各転写ローラ33は、上記各感光体39との間でベルト27を挟む位置に配置されている。各転写ローラ33は、図示しない負電圧の電源により、感光体39との間にトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧(例えば−500〜−7000V)が印加されて、感光体39上に形成された上記トナー像をシート材15に転写する。その後、当該シート材15は、搬送機構7により定着部9へと搬送され、この定着部9にてトナー像が熱定着され、プリンタ1の上面に排出される。
【0037】
また、プリンタ1には、現像ローラ47と感光体39とを離間させる離間機構48が設けられている。現像ローラ47と感光体39は、画像形成動作時には圧接状態で接触しているが、例えば画像形成動作をしていない時や、後述するエラー判定処理の実行時には、上記離間機構48によって離間する。
【0038】
[高圧制御装置の構成]
上記高圧制御装置11は、転写ローラ33、現像ローラ47、帯電器41など、プリンタ1に備えられた各電気的負荷への印加電圧を生成する。
【0039】
図2は、高圧制御装置11のうち、帯電器41の帯電ワイヤ41A及びグリッド電極41Bへの印加電圧(帯電電圧VC、グリッド電圧VG)、現像ローラへの印加電圧(現像電圧VD)を生成する構成部分が図示されている。高圧制御装置11は、帯電回路51、PWM制御回路53、及び、現像回路55を備える。なお、PWM制御回路53は、CPUを内蔵して構成されたものでも、特定用途向け集積回路(ASIC)として構成されたものでもよい。
【0040】
(1)帯電回路
帯電回路51(本発明の「印加回路」の一例)は、PWM信号平滑回路57、グリッド電圧設定回路59、トランスドライブ回路61、昇圧・平滑整流回路63を備えている。PWM信号平滑回路57は、PWM制御回路53のPWMポート53AからのPWM信号SG1を受けて平滑しトランスドライブ回路61に与える。トランスドライブ回路61は、自励巻線61Aを有し、受けたPWM信号SG1に基づき、昇圧・平滑整流回路63のトランス65に発振電流を流す。このような構成により、トランス65の発振電圧が昇圧及び整流され、第1接続端子TB1を介して帯電ワイヤ41Aに帯電電圧VCとして印加される。
【0041】
また、グリッド電圧設定回路59は、オペアンプ67を有し、このオペアンプ67の正端子に、PWM信号平滑回路57からのPWM信号SG1が与えられ、負端子に分圧回路69による所定の分圧電圧が与えられている。また、オペアンプ67の出力は、コンデンサ71及び抵抗73を介して負端子に帰還するようになっている。グリッド電極41Bは、第2接続端子TB2、グリッド電圧検出回路74を構成するフィードバック抵抗75を介してグランドラインに接続されている。
【0042】
PWM制御回路53(本発明の「制御部、判定部」の一例)は、フィードバック抵抗75の端子電圧に応じた検出信号SG2を、A/Dポート53Bから読み取り、グリッド電圧VGを把握する。そして、このグリッド電圧VGをグリッド目標レベル(例えば+700V)に近付けるように、上記PWM信号SG1(本発明の「帯電制御信号」)の一例)のPWM値(デューティ比)を適宜変更して、定電圧制御を実行する。なお、本実施形態では、このPWM値が大きいほど帯電電圧VCレベルが高くなる構成である。
【0043】
更に、帯電回路51は帯電電圧検出回路77を備える。この帯電電圧検出回路77は、フィードバック抵抗79,81を有し、それらフィードバック抵抗79,81の分圧電圧に応じた検出信号SG3をA/Dポート53Cから読み取り、帯電電圧VCレベルを把握する。なお、この帯電電圧検出回路77は、後述するエラー判定処理のために設けたものである。
【0044】
(2)現像回路
現像回路55は、シャント回路83を有する。シャント回路83は、上記現像電圧VDを、帯電回路51による帯電電圧VCに基づき生成する。シャント回路83は、主として、電流制御回路85、及び、スイッチ素子の一例としてのフォトカプラ87を備える。
【0045】
電流制御回路85は、上記第1接続端子TB1と、現像ローラ47に電気的に接続される第3接続端子TB3との間に接続された、電流調整素子としてのトランジスタ89を有する。より具体的には、トランジスタ89は、pnp型であり、エミッタが第1接続端子TB1側に接続され、コレクタが第3接続端子TB3側に接続され、ベースが入力抵抗91を介してフォトカプラ87に接続されている。これにより、フォトカプラ87がオフのときトランジスタ89はオンし、フォトカプラ87がオンするとトランジスタ89はオフする。
【0046】
また、トランジスタ89のコレクタには、現像電圧VDを検出するためのフィードバック抵抗93,95が設けられており、この分圧電圧に応じた検出信号SG4がPWM制御回路53のA/DポートDに与えられる。
【0047】
電流制御回路85は、フォトカプラ87を介してPWM制御回路53のPWMポート53Eに接続されている。電流制御回路85は、このPWMポート53Eから出力されるPWM信号SG5に応じてトランジスタ89のベース電位が変更されることで、トランジスタ89に流れる電流の電流量、換言すれば、トランジスタ89の抵抗値を調整する。PWM制御回路53は、上記検出信号SG4に基づき、現像電圧VDが設定された現像目標レベルになるように上記PWM信号SG5(本発明の「現像制御信号」の一例)のPWM値(デューティ比)を適宜変更して、定電圧制御を実行する。なお、本実施形態では、このPWM値が大きいほど現像電圧VDレベルが高くなる構成である。
【0048】
[エラーの種類、各エラー発生時における電気レベル]
プリンタ1は、画像形成動作などを実行する通常モードと、エラー(異常)判定を行う検査モードとを有する。この検査モードでは、PWM制御回路53が、帯電電圧VCの検出レベル、グリッド電圧VGの検出レベル、及び、PWM信号SG1のPWM値の組み合わせパターンに基づき、帯電器41に関する各種エラーの有無を判定する。また、現像電圧VDの検出レベル、及び、PWM信号SG5のPWM値に基づき、現像ローラ47に関するエラーの有無を判定する。
【0049】
図3は、エラーの種類と、各エラー発生時における電気レベルを示した一覧表である。以下、各エラーについて説明する。なお、(1)〜(7)のエラーが帯電器41に関するものであり、(8)のエラーが現像ローラ47に関するものである。
【0050】
(1)プロセスカートリッジ無し
このエラーは、プロセスカートリッジ37がプリンタ1に正常に装着されておらず、上記第1〜第3の接続端子TB1〜TB3が帯電ワイヤ41A等に電気的に接続されていない状態である。この状態では、帯電回路51を駆動しても、そこから出力される帯電電圧VCは帯電ワイヤ41Aに印加されないため、グリッド電圧VGは略ゼロ[v]のまま上昇しない。その結果、PWM制御回路53は、グリッド電圧VGをグリッド目標レベルに近づけるようにPWM信号SG1のPWM値を上昇させ続けることになり、そのPWM値は最終的に最大値となって第2上限値DCmaxを超える。それとともに、帯電電圧VCも最大値となって第3上閾値VCmaxを超える。
【0051】
一方、現像電圧VDは、シャント回路83により上記帯電電圧VCに基づき生成され、PWM信号SG5に基づき正常に定電圧制御が実行され得る。
【0052】
(2)グリッド電圧検出異常
このエラーは、何らかの原因でグリッド電圧検出回路74が故障して、グリッド電圧VGの実際レベルよりも低いレベルを示す検出信号SG2しか出力できない状態である。この状態では、仮に、グリッド電圧VGの実際レベルがグリッド目標レベルに達していたとしても、PWM制御回路53は、検出信号SG2に基づき、グリッド電圧VGが未だグリッド目標レベルに達していないと認識する。その結果、PWM制御回路53は、グリッド電圧VGをグリッド目標レベルに近づけるようにPWM信号SG1のPWM値を上昇させ続けることになり、そのPWM値は最終的に最大値となって第2上限値DCmaxを超える。それとともに、帯電電圧VCも最大値となって第3上限値VCmaxを超える。一方、現像回路55はほぼ正常に動作する。
【0053】
(3)帯電制御異常
このエラーは、例えばトランスドライブ回路61が備える駆動用のトランジスタ61Bが、何らかの原因でオン固定してしまい、PWM信号SG1に基づき帯電電圧VCを制御することができなくなった状態である。この状態では、トランジスタ61Bに常時大電流が流れることになり、帯電電圧VCは第3上限値を超え、グリッド電圧VGもグリッド目標レベル、更には第1上限値VGmaxを超える。すると、PWM制御回路53は、グリッド電圧VGをグリッド目標レベルまで下げるためにPWM信号SG1のPWM値を減少させ続けることになり、そのPWM値は最終的に最小値となって第2下限値DCmin未満になる。一方、現像回路55はほぼ正常に動作する。
【0054】
(4)ワイヤ−グランド短絡
このエラー(本発明の「印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常」の一例)は、何らかの原因で、帯電ワイヤ41Aや帯電電圧VCの供給ラインがグランドラインに短絡した状態である。この状態では、帯電回路51を駆動しても、帯電電圧VCは略ゼロ[v]のまま上昇せず、帯電ワイヤ41Aにてコロナ放電が起きない。このため、グリッド電圧VGの検出レベルも略ゼロ[v]のまま上昇しない。その結果、PWM制御回路53は、グリッド電圧VGをグリッド目標レベルに近づけるようにPWM信号SG1のPWM値を上昇させ続けることになり、そのPWM値は最終的に最大値となって第2上限値DCmaxを超える。
【0055】
一方、帯電電圧VCが略ゼロ[v]であるため、現像電圧VDの検出レベルも略ゼロ[v]となる。その結果、PWM制御回路53は、現像電圧帯電VDを現像目標レベルに近づけるようにPWM信号SG5のPWM値を上昇させ続けることになり、そのPWM値は最終的に最大値となって第5上限値DDmaxを超える。
【0056】
(5)帯電電圧検出異常
このエラーは、何らかの原因で帯電電圧検出回路77が故障して、帯電電圧VCの実際レベルよりも低いレベル(グランド目標レベルよりも更に低いレベル)を示す検出信号SG3しか出力できない状態である。この状態では、仮に、帯電回路55から正常に帯電電圧VCが出力されていても、PWM制御回路53は、検出信号SG3に基づき、帯電電圧VCが正常時よりも低いと認識する。但し、グリッド電圧VGは正常にグリッド目標レベルになり、PWM信号SG1のPWM値も正常時とほぼ同等レベルになる。また、現像回路55もほぼ正常に動作する。
【0057】
(6)帯電出力異常
このエラーは、何らかの原因で例えばトランス65が故障し、PWM信号SG1を与えても、そのPWM値に応じたレベルの帯電電圧VCが出力できない状態である。この状態では、帯電電圧VCは極めて低く、グリッド電圧VGはグリッド目標レベルに達することができない。その結果、PWM制御回路53は、グリッド電圧VGをグリッド目標レベルに近づけるようにPWM信号SG1のPWM値を上昇させ続けることになり、そのPWM値は最終的に最大値となって第2上限値DCmaxを超える。
【0058】
一方、帯電電圧VCが極めて低いため、現像電圧VDも極めて低くなる。その結果、PWM制御回路53は、現像電圧帯電VDを現像目標レベルに近づけるようにPWM信号SG5のPWM値を上昇させ続けることになり、そのPWM値は最終的に最大値となって第5上限値DDmaxを超える。
【0059】
(7)ワイヤ−グリッド短絡
このエラー(本発明の「印加回路の出力側が前記グリッド電極に短絡する異常」の一例)は、何らかの原因で例えば帯電ワイヤ41Aが切れて、当該帯電ワイヤ41Aとグリッド電極41Bとが短絡した状態である。この状態では、PWM制御回路53は、PWM信号SG1のPWM値を調整してグリッド電圧VGをグリッド目標レベルに近づけるよう、ほぼ正常に定電圧制御を実行可能である。但し、グリッド電圧VGがグリッド目標レベルになっているとき、帯電電圧VCもグリッド目標レベルとほぼ同等になっており、そのときのPWM信号SG1のPWM値は、エラーが生じていない正常時よりも低い値になっている。一方、現像回路55はほぼ正常に動作する。
【0060】
(8)現像回路異常
このエラーは、何らかの原因で例えば現像回路55が故障し、現像電圧VDを正常に制御できなくなった状態である。この状態では、帯電電圧VC、PWM信号SG1のPWM値は正常時と同等レベルとなり、グリッド電圧VGはグリッド目標レベルに達する。一方、現像回路55については、現像電圧VD及びPWM信号SG5のPWM値のうち少なくとも一方が正常時の範囲を超える異常レベルになる。
【0061】
[エラー判定処理]
図4はエラー判定処理を示すフローチャートである。上記検査モードに設定されると、PWM制御回路53はこのエラー判定処理を実行する。なお、プリンタ1が起動される度に、自動で検査モードを実行し、いずれのエラーも発生していないと判定された場合に限り、通常モードに移行する構成であってもよい。
まずS101で上記離間機構48を駆動して感光体39と現像ローラ47とを離間させる。これにより検査モード中に、トナーが感光体39に付着されて無駄に消費されることを防止できる。
【0062】
S103では、グリッド目標レベルを第1目標レベルVtg1[v](例えば+700[v])に設定し、現像目標レベルを第1目標レベルVtd1[v](例えば+400[v])に設定する。S105では、帯電バイアス制御を実行する。具体的には、PWM制御回路53は、検出信号SG2を所定時間間隔で取得する。そして、その取得した検出信号SG2に基づくグリッド電圧VGの検出レベルが、第1目標レベルVtg1よりも低ければ、現在のPWM信号SG1のPWM値に単位PWM値ずつを加算していき、第1目標レベルVtg1よりも高ければ、現在のPWM信号SG1のPWM値から単位PWM値ずつを減算していく。
【0063】
その後、所定時間(正常時であれば、グリッド電圧VGが第1目標レベルVtg1に達して安定状態に入るのに十分な時間)だけ待機した後に、S107で、検出信号SG3に基づく帯電電圧VCが第3上限値VCmaxを超えているかどうかを判断する。第3上限値VCmaxを超えていれば(S107:YES)、S109に進む。前述したように、「プロセスカートリッジ無し」、「グリッド電圧検出異常」、「帯電制御異常」(以下、これらのエラーをまとめて「第1エラーグループ」という)の発生時に、帯電電圧VCが第3上限値VCmaxを超える。
【0064】
(1)第1エラーグループ判定処理
図5は、第1エラーグループ判定処理を示すフローチャートである。この第1グループエラー判定処理は、第1エラーグループに属する「(1)プロセスカートリッジ無し」、「(2)グリッド電圧検出異常」、「(3)帯電制御異常」を判別するための処理である。
【0065】
(1−1)「プロセスカートリッジ無し」判定
まずグリッド電圧VGが略ゼロ[v]であり(S201:YES)、且つ、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmaxを超えていれば(S203:YES)、S205で「プロセスカートリッジ無し」を通知し、図4のS123に進む。なお、エラーの通知方法としては、例えばプリンタ1が備える図示しない表示装置にエラー内容を表示させたり、プリンタ1に接続された外部制御装置(たとえばパーソナルコンピュータなど)にエラー信号を出力したりする方法が考えられる。他のエラーも同様の通知方法で行うことができる。
【0066】
一方、グリッド電圧VGが略ゼロ[v]でなければ(S201:NO)、第1エラーグループに属する他のエラーの可能性があるとして、S207に進む。また、グリッド電圧VGは略ゼロ[v]である(S201:YES)が、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmax以下であれば(S203:NO)、第1エラーグループに属する他のエラーの可能性はないとして、図4のS111に進む。
【0067】
(1−2)「グリッド電圧検出異常」判定
S207では、グリッド電圧VGが、ゼロ[v]ではないが、第1目標レベルVtg1の下限値未満かどうかを判断し、下限値未満であり(S207:YES)、且つ、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmaxを超えていれば(S209:YES)、「グリッド電圧検出異常」の可能性が高いと考えられる(図3参照)。しかし、本実施形態では、この時点では、「グリッド電圧検出異常」とは断定しない。S211に進み、グリッド電圧変更処理1を試みる。
【0068】
図6は、グリッド電圧変更処理1を示すフローチャートである。まずS301で、グリッド目標レベルを、第1目標レベルVtg1から第2目標レベルVtg2[v](例えば+600[v])に変更し、上述のS105と同様の帯電バイアス制御を、所定の基準時間(例えば帯電バイアス制御の開始時点から100[ms])経過するまで繰り返し実行する。その後、その基準時間が経過すると(S305:YES)、S307で、再度、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmaxを超えているかどうかを判断する。第2上限値DCmaxを超えていれば、「グリッド電圧検出異常」であると断定し、S309でそのエラー通知をし、図4のS123に進む。
【0069】
PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmax以下であれば(S307:NO)、エラー通知をせずに図4のS123に進む。但し、この場合、「グリッド電圧検出異常」ではないとしても、帯電電圧VCが第3上限値VCmaxを超えるなど、正常とはいえない。これは、例えば、帯電ワイヤ41Aに汚れなどが付着して、帯電電圧VCが上昇してもグリッド電圧VGがグリッド目標レベルまで上昇しないことが考えられる。そこで、そのような状態を、エラーの1つとして通知するようにしてもよい。
【0070】
一方、図5でグリッド電圧VGが第1目標レベルVtg1の下限値以上であれば(S207:NO)、第1エラーグループに属する他のエラーの可能性があるとして、S213に進む。また、グリッド電圧VGが、第1目標レベルVtg1の下限値未満である(S207:YES)が、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmax以下であれば(S209:NO)、第1エラーグループに属する他のエラーの可能性はないとして、図4のS111に進む。
【0071】
(1−3)「帯電制御異常」判定
S213では、グリッド電圧VGが、第1上限値VGmaxを超えているかどうかを判断し、超えていて(S213:YES)、且つ、PWM信号SG1のPWM値が第2下限値DCmin未満であれば(S215:YES)、S217で「帯電制御異常」を通知し、図4のS123に進む。
【0072】
一方、グリッド電圧VGが第1上限値VGmax以下である場合(S213:NO)や、グリッド電圧VGは第1上限値VGmaxを超えている(S213:YES)が、PWM信号SG1のPWM値が第2下限値DCmin以上である場合(S215:NO)、第1エラーグループに属する他のエラーの可能性はないとして、図4のS111に進む。
【0073】
(2)第2エラーグループ判定処理
図4のS107で、帯電電圧VCが第3上限値VCmax以下であれば(S107:NO)、S111で、帯電電圧VCが第1目標レベルVtg1の下限値未満かどうかを判断し、下限値未満であればS113に進む。前述したように、「ワイヤ−グランド短絡」、「帯電電圧検出異常」、「帯電出力異常」(以下、これらのエラーをまとめて「第2エラーグループ」という)の発生時に、帯電電圧VCが第1目標レベルVtg1の下限値未満になる。
【0074】
図7は、第2エラーグループ判定処理を示すフローチャートである。この第2グループエラー判定処理は、第2エラーグループに属する「(4)ワイヤ−グランド短絡」、「(5)帯電電圧検出異常」、「(6)帯電出力異常」を判別するための処理である。
【0075】
(2−1)「ワイヤ−グランド短絡」判定
まずグリッド電圧VGが略ゼロ[v]であり(S401:YES)、且つ、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmaxを超えていれば(S403:YES)、S405で「ワイヤ−グランド短絡」を通知し、図4のS123に進む。
【0076】
一方、グリッド電圧VGが略ゼロ[v]でなければ(S401:NO)、第2エラーグループに属する他のエラーの可能性があるとして、S407に進む。また、グリッド電圧VGは略ゼロ[v]である(S401:YES)が、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmax以下であれば(S403:NO)、第2エラーグループに属する他のエラーの可能性はないとして、図4のS115に進む。
【0077】
(2−2)「帯電電圧検出異常」判定
S407では、グリッド電圧VGが、ゼロ[v]ではないが、第1目標レベルVtg1の許容範囲(上限値と下限値との間)内かどうかを判断し、許容範囲内であり(S407:YES)、且つ、PWM信号SG1のPWM値が第2範囲(第2上限値DCmaxと第2下限値DCminとの間)内であれば(S409:YES)、「帯電電圧検出異常」の可能性が高いと考えられる(図3参照)。しかし、本実施形態では、この時点では、「帯電電圧検出異常」とは断定しない。S411に進み、グリッド電圧変更処理2を試みる。
【0078】
図8は、グリッド電圧変更処理2を示すフローチャートである。なお、図6のグリッド電圧変更処理1と異なるステップはS507、S509であり、他のステップは同符号を付して説明を割愛する。S507では、グリッド目標レベルの変更(S301)後も、グリッド電圧VCが第2目標レベルVtg2の許容範囲(上限値と下限値との間)内にあるかどうかを判断する。許容範囲内であれば「帯電電圧検出異常」であると断定し、S509でそのエラー通知をし、図4のS123に進む。
【0079】
グリッド電圧VCが第2目標レベルVtg2の許容範囲外であれば(S507:NO)、エラー通知をせずに図4のS123に進む。但し、この場合、「帯電電圧検出異常」ではないとしても、帯電電圧VCが第1目標レベルVtg1の下限値未満であるなど、正常とはいえない。このため、そのような状態を、エラーの1つ(高圧電源エラー)として通知するようにしてもよい。
【0080】
一方、図7で、グリッド電圧VGが第1目標レベルVtg1の下限値以上であれば(S407:NO)、第2エラーグループに属する他のエラーの可能性があるとして、S413に進む。また、グリッド電圧VGが、第1目標レベルVtg1の下限値未満である(S407:YES)が、PWM信号SG1のPWM値が第2範囲外であれば(S409:NO)、第2エラーグループに属する他のエラーの可能性はないとして、図4のS115に進む。
【0081】
(2−3)「帯電出力異常」判定
S413では、グリッド電圧VGが、ゼロ[v]ではないが、第1目標レベルVtg1の下限値未満かどうかを判断し、下限値未満であり(S413:YES)、且つ、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmaxを超えていれば(S415:YES)、S417で「帯電出力異常」を通知し、図4のS123に進む。
【0082】
一方、グリッド電圧VGが第1目標レベルVtg1の上限値超である場合(S413:NO)や、グリッド電圧VGが第1目標レベルVtg1の下限値未満である(S413:YES)が、PWM信号SG1のPWM値が第2上限値DCmax以下である場合(S415:NO)、第2エラーグループに属する他のエラーの可能性はないとして、図4のS115に進む。
【0083】
(3)第3エラーグループ判定処理
図4で、帯電電圧VCが第1目標レベルVtg1の許容範囲内であればS117に進む。前述したように、「ワイヤ−グリッド短絡」(以下、このエラーが属するグループを「第3エラーグループ」という)の発生時に、帯電電圧VCが第1目標レベルVtg1の許容範囲内になる。
【0084】
図9は、第3エラーグループ判定処理を示すフローチャートである。この第3グループエラー判定処理は、「ワイヤ−グリッド短絡」を判別するための処理である。
【0085】
まずグリッド電圧VGが第1目標レベルVtg1の許容範囲内であり(S601:YES)、且つ、PWM信号SG1のPWM値が第2範囲内であれば(S603:YES)、「ワイヤ−グリッド短絡」の可能性が高いと考えられる(図3参照)。しかし、本実施形態では、この時点では、「ワイヤ−グリッド短絡」とは断定しない。S605に進み、グリッド電圧変更処理3を試みる。
【0086】
図10は、グリッド電圧変更処理3を示すフローチャートである。なお、図6のグリッド電圧変更処理1と異なるステップはS707、S709であり、他のステップは同符号を付して説明を割愛する。S707では、グリッド目標レベルの変更(S301)後も、グリッド電圧VCが第2目標レベルVtg2の許容範囲内にあるかどうかを判断する。許容範囲内であれば「ワイヤ−グリッド短絡」であると断定し、S709でそのエラー通知をし、図4のS123に進む。
【0087】
グリッド電圧VCが第2目標レベルVtg2の許容範囲外であれば(S707:NO)、エラー通知をせずに図4のS123に進む。但し、この場合、「帯電電圧検出異常」ではないとしても、帯電電圧VCが第1目標レベルVtg1と同等レベルであるなど、正常とはいえない。このため、そのような状態を、エラーの1つ(高圧電源エラー)として通知するようにしてもよい。
【0088】
一方、図9で、グリッド電圧VGが第1目標レベルVtg1の許容範囲外である場合(S601:NO)や、グリッド電圧VGが、第1目標レベルVtg1の許容範囲内である(S601:YES)が、PWM信号SG1のPWM値が第2範囲外であれる場合(S603:NO)には、第3エラーグループに属する他のエラーの可能性はないとして、図4のS119に進む。
【0089】
(4)現像エラー判定処理
図4のS119では、現像回路異常が発生しているかどうかを判定する。具体的には、現像電圧VDが第4範囲(第4上限値VDmaxと第4下限値VDminとの間)外にあること、PWM信号SG5のPWM値が第5範囲(第5上限値DDmaxと第5下限値DDminとの間)外にあることの少なくとも一方を満たすかどうかを判断する。
【0090】
そして、満たす場合には、「現像回路異常」が発生していると判定し(S119:YES)、S121でそのエラー通知をし、図4のS123に進む。一方、「現像回路異常」が発生していないと判定した場合には(S119:NO)、エラー通知をせずにS123に進む。S123では高圧制御装置11による印加電圧の生成を停止させ、検査モードを終了する。
【0091】
[本実施形態の効果]
以上のように、本実施形態によれば、帯電電圧VCの検出レベル、グリッド電圧VGの検出レベル、及び、PWM信号SG1のPWM値の組み合わせパターンに基づき、帯電器41に関する7つのエラーの有無を判定することができる。
【0092】
しかも、グリッド電圧検出異常、帯電電圧検出異常、ワイヤ−グリッド短絡については、グリッド目標レベルを変更し、その変更前後で、PWM信号SG1のPWM値やグリッド電圧VCが正常時とは異なるレベルにあった場合に限り、異常が発生したと断定する構成とした。これにより、異常判定の精度を向上させることができる。
【0093】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記実施形態では、帯電電圧VCの検出レベル、グリッド電圧VGの検出レベル、及び、PWM信号SG1のPWM値の、3つの判定要素に基づき異常判定をする構成であったが、本発明はこれに限らない。これらの3つのうち、少なくとも2つを判定要素として用いればよい。例えば、次のものがある。
(1−1)帯電電圧VCの検出レベル及びグリッド電圧VGを判定要素とする構成。この構成でも、図3に示す(1)〜(7)のエラーを判別することが可能である。
(1−2)グリッド電圧VGの検出レベル及びPWM信号SG1を判定要素とする構成。この構成では、図3に示す(1)(4)の少なくとも一方を含むエラーと、(2)(6)の少なくとも一方を含むエラーと、(3)のエラーと、(5)のエラーと、(7)のエラーとを判別することが可能である。
(1−3)帯電電圧VCの検出レベル及びPWM信号SG1のPWM値を判定要素とする構成。この構成では、図3に示す(1)(2)の少なくとも一方を含むエラーと、(4)(6)の少なくとも一方を含むエラーと、(3)のエラーと、(5)のエラーと、(7)のエラーとを判別することが可能である。
但し、上記実施形態であれば、判定精度を向上させることができる。
【0094】
(2)また、帯電器に関する異常の判定要素に、現像電圧VD及びPWM信号SG5のPWM値の少なくとも一方を加えてもよい。これにより、図3からも分かるように、(1)〜(3)のエラーと、(4)(6)のエラーと、(5)(7)のエラーとの間の判別精度を向上させることができる。
【0095】
(3)上記実施形態では、感光体39を帯電するための帯電器41に本発明を適用した例を説明したが、本発明の適用例はこれに限らない。例えばベルト27表面を除電するために使用する帯電器に、本発明を適用してもよい。要するに、スコロトロン型の帯電器であれば、本発明を適用することができる。また、負極性帯電用の帯電器であっても適用できる。要するに、本発明でいう、「ある値(上限値や下限値など)を下回る、上回る」などは、グランドレベルを基準とする絶対値の大小を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタ1の内部構成を表す概略断面図
【図2】高圧制御装置11の部分的構成図
【図3】エラーの種類と、各エラー発生時における電気レベルを示した一覧表
【図4】エラー判定処理を示すフローチャート
【図5】第1エラーグループ判定処理を示すフローチャート
【図6】グリッド電圧変更処理1を示すフローチャート
【図7】第2エラーグループ判定処理を示すフローチャート
【図8】グリッド電圧変更処理2を示すフローチャート
【図9】第3エラーグループ判定処理を示すフローチャート
【図10】グリッド電圧変更処理3を示すフローチャート
【符号の説明】
【0097】
1...プリンタ(画像形成装置)
37...プロセスカートリッジ(カートリッジ)
39...感光体
41...帯電器
41A...帯電ワイヤ
41B...グリッド電極
47...現像ローラ(現像剤担持体)
48...離間機構
51...帯電回路(印加回路)
53...PWM制御回路(制御部、判定部)
74...グリッド電圧検出回路
77...帯電電圧検出回路
VC...帯電電圧
VG...グリッド電圧
SG1...PWM信号(帯電制御信号)
SG5...PWM信号(現像制御信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電ワイヤ及びグリッド電極を有する帯電器と、
前記帯電ワイヤに帯電電圧を印加する印加回路と、
前記グリッド電極に生じるグリッド電圧レベルをグリッド目標レベルに近づけるための帯電制御信号を前記印加回路に出力する制御部と、
前記グリッド電圧レベル、前記帯電電圧レベル、及び、前記帯電制御信号レベルのうち少なくとも2つの組み合わせパターンに基づき、前記帯電器に関する複数の異常の有無を判定する判定部と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記グリッド電圧レベルを検出するグリッド電圧検出回路を備え、
前記判定部は、前記グリッド電圧検出回路による前記グリッド電圧の検出レベル、及び、前記帯電制御信号レベルの組み合わせパターンに基づき前記複数の異常の有無を判定する。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回る場合に、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生したと判定する。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記帯電器は、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、且つ、当該カートリッジが前記画像形成装置本体に正常に装着された状態で前記印加回路に電気的に接続される構成であり、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回る場合に、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常、及び、前記カートリッジが正常に装着されていない異常の少なくとも一方が発生したと判定する。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づき、且つ、前記帯電制御信号レベルが正常時よりも低い場合に、前記印加回路の出力側が前記グリッド電極に短絡する異常が発生したと判定する。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが正常時よりも低く、且つ、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回る場合に、前記グリッド電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1上限値を上回る場合に、前記印加回路が故障する異常が発生したと判定する。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記帯電電圧レベルを検出する帯電電圧検出回路を備え、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベル、前記帯電制御信号レベル、及び、前記帯電電圧の検出レベルの組み合わせパターンに基づき前記複数の異常の有無を判定する。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置であって、
前記帯電器は、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、且つ、当該カートリッジが前記画像形成装置本体に正常に装着された状態で前記印加回路に電気的に接続される構成であり、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、前記帯電制御信号レベルが第2上限値を上回ることを前提として、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合には、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生したと判定し、前記帯電電圧の検出レベルが第3上限値を上回る場合には、前記カートリッジが正常に装着されていない異常が発生したと判定する。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づき、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合に、前記帯電電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
【請求項11】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記グリッド電圧レベルを検出するグリッド電圧検出回路と、
前記帯電電圧レベルを検出する帯電電圧検出回路と、を備え、
前記判定部は、前記グリッド電圧検出回路による前記グリッド電圧の検出レベル、及び、前記帯電電圧検出回路による前記帯電電圧の検出レベルの組み合わせパターンに基づき前記複数の異常の有無を判定する。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合に、前記印加回路の出力側がグランドラインに短絡する異常が発生したと判定する。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の画像形成装置であって、
前記帯電器は、画像形成装置本体に着脱可能に装着されるカートリッジに収納され、且つ、当該カートリッジが前記画像形成装置本体に正常に装着された状態で前記印加回路に電気的に接続される構成であり、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1下限値を下回り、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3上限値を上回る場合に、前記カートリッジが正常に装着されていない異常が発生したと判定する。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベル及び前記帯電電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づく場合に、前記印加回路の出力側が前記グリッド電極に短絡する異常が発生したと判定する。
【請求項15】
請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが正常時よりも低く、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3上限値を上回る場合に、前記グリッド電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
【請求項16】
請求項11から請求項15のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが第1上限値を上回る場合に、前記印加回路が故障する異常が発生したと判定する。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド電圧の検出レベルが前記グリッド目標レベルに近づき、且つ、前記帯電電圧の検出レベルが第3下限値を下回る場合に、前記帯電電圧検出回路が故障する異常が発生したと判定する。
【請求項18】
請求項5から請求項7、請求項10、請求項14、請求項15、請求項17のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記判定部は、前記グリッド目標レベルを変更した後の前記グリッド電圧レベル及び前記帯電電圧レベルの少なくとも一方の変化を判定要素に加えて判定する。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記帯電器の帯電対象としての感光体と、
前記感光体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
前記印加回路の出力側と前記現像剤担持体との間に接続されて、前記現像剤担持体に現像電圧を印加するシャント回路と、を備え、
前記制御部は、前記現像電圧を現像目標レベルに近づけるための現像制御信号を前記シャント回路に出力する構成であり、
前記判定部は、前記現像電圧レベル及び前記現像制御信号レベルの少なくとも一方を判定要素に加えて判定する。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記帯電器の帯電対象としての感光体と、
前記感光体に現像剤を供給する現像剤担持体と、
前記感光体と前記現像剤担持体との離間させる離間機構と、を備え、
前記判定部は、前記離間機構により前記感光体と前記現像剤担持体とが離間した状態で判定を行う。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−60663(P2010−60663A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223995(P2008−223995)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】