画像形成装置
【課題】 簡単な構成で濃度検知装置のトナー汚れを防止する。
【解決手段】 像担持体上のトナー像を転写位置において転写材に転写する転写装置と、転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され像担持体から転写材を分離するための分離部材と、転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され像担持体上に形成された濃度検知用画像の濃度を検知するための濃度検知装置と、像担持体の回転軸方向に沿って、画像形成装置内の空気を移動させる空気移動装置と、を有し、濃度検知装置は、分離部材よりも、空気移動装置による空気移動方向における上流側となるように配置される。
【解決手段】 像担持体上のトナー像を転写位置において転写材に転写する転写装置と、転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され像担持体から転写材を分離するための分離部材と、転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され像担持体上に形成された濃度検知用画像の濃度を検知するための濃度検知装置と、像担持体の回転軸方向に沿って、画像形成装置内の空気を移動させる空気移動装置と、を有し、濃度検知装置は、分離部材よりも、空気移動装置による空気移動方向における上流側となるように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、感光体に当接して、転写材を剥離するための分離爪を有する画像形成装置がある。この分離爪は、感光体上の転写手段よりも下流位置でクリーニング手段との間に、像坦持体の回転軸方向に横一列状に複数個配列されている。
【0003】
また近年、写真画質にも迫る高画質化や、印刷機にも迫るような高速化に対応した技術が求められている。高速化かつ高画質化の達成のために、色味安定性、濃度均一性などの維持が課題となる。
【0004】
この課題に対し、特許文献2のように、濃度検出用の検出画像を感光ドラムに形成し、この検出画像の反射濃度を濃度検知手段を用いて光学的に検知し、検知結果を画像制御条件にフィードバックして安定した画像を維持する技術が用いられている。濃度検知手段の構成としては、例えば、光を発光する発光部と、この発光部から出た光の反射光を受ける受光部と、を有し、この受光部の検知光量によって濃度を判断するように構成されている。
【0005】
この特許文献2の構成では、この濃度検知手段を、感光ドラム上のトナー像が転写される転写位置よりも感光体の回転方向に対して下流位置で、かつ転写残トナーを回収するクリーニング手段よりも上流位置に配置している。このような配置の理由は、様々である。例えば、転写位置よりも回転方向上流位置に、トナーへの電荷極性を強めるための転写前帯電手段を配置した際に、濃度検知手段の配置スペースがなくなってしまう場合である。あるいは、転写位置に転写材を誘導するための転写前ガイド等を配置した際、やはり濃度検知手段の配置スペースがなくなってしまう場合である。
【0006】
ところで、このような分離爪と濃度検知手段の両方を、転写位置よりも下流側でかつクリーニング手段よりも上流側に配置すると、濃度検知手段の検知面のトナー汚れが激しくなり、正確な濃度検知が行えなくなるという課題を生じる事があった。
【0007】
それは以下のような理由によるものである。
【0008】
通常、転写時のトナー画像は、自分自身の摩擦帯電極性とは逆極性の放電を受けるため、転写後に感光体表面に残留する転写残トナーには、帯電量が減少したトナーが多く存在する。そのため転写残トナーは、感光体との鏡映力が弱く、回転による遠心力や近傍の空気流によって感光体表面から剥がれやすく、転写後でクリーニング手段よりも前の領域では飛散トナーが浮遊しやすい状況にある。よって、濃度検知手段を転写位置よりも回転方向上流側に配置する構成に比べて、トナー汚れが生じ易くなっている。そのうえ、転写残トナーが分離爪との当接部分を通過することによって感光ドラム上からはがされ、一部は飛散トナーとなって分離爪近傍を浮遊する。このようにして生じた大量の浮遊あるいは飛散トナーが、その近傍に配置された濃度検知手段の検知面に付着し、正確な濃度検知が行えなくなるという課題が生じることになる。
【0009】
そこで、濃度検知手段へのトナー付着を防止するものとして、特許文献3のような構成がある。特許文献3は、検討動作以外の時には濃度検知手段の検知面を遮蔽部材(シャッター)で覆う機構を有することで、トナー付着を防止しようとする構成がある。
【特許文献1】特開平3−238482
【特許文献2】特開2002−62697
【特許文献3】特開2001−100597
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3の構成では、シャッターの開閉を制御するためのソレノイドやモータ、もしくはこれらを制御するための回路基板を配置するスペースやコストが余分に発生してしまう。また、シャッターが何らかの原因により動作不良に陥った場合においては、短期間で濃度検知手段に飛散トナーが付着してしまい、制御不良を引き起こしてしまう可能性があった。
【0011】
そこで本発明は、簡単な構成で濃度検知装置のトナー汚れを防止できる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記トナー像を転写位置において転写材に転写する転写装置と、前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側において前記像担持体に接触するように配置され、前記像担持体から前記転写材を分離するための分離部材と、前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され、前記像担持体上に形成された濃度検知用画像の濃度を検知するための濃度検知装置と、像担持体の回転軸方向に沿って、画像形成装置内の空気を移動させる空気移動装置と、を有し、前記濃度検知装置は、前記分離部材よりも、前記空気移動装置による空気移動方向における上流側となるように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成で濃度検知装置のトナー汚れを防止できる画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において画像形成装置の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。すなわち、特段の記載がない限り、後述する実施形態に記載された構成だけに限定する意図はない。
【0015】
(実施例1)
図2は、本発明の実施例1に係る画像形成装置(本実施の形態では、電子写真方式のレーザプリンタなどの画像形成装置)を示す概略構成図である。
【0016】
本画像形成装置は、矢印方向(時計方向)に回転可能に構成された像担持体としての感光ドラム2を備えている。
【0017】
感光ドラム2は、本実施の形態では直径80mmのa−Si(アモルファスシリコン)であり、不図示の駆動装置の駆動によって所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向(時計方向)に回転駆動される。感光ドラム2は、図4に示すように、導電性材料のアルミニウムからなる円筒状の基体2e上に、阻止層2d、光導電層(I,II)2c、2b及び表面層2aを順次積層して構成されている。
【0018】
光導電層(I,II)2c、2bは、シリコン原子が水素原子及びハロゲン原子を含むアモルファスシリコン材料を主体にして形成されている。また、感光ドラム2の表面硬度は約2000kg/mm2であり、更に1次帯電器10、転写前帯電器4がコロナ帯電器であることから、感光ドラム2の耐久寿命としては30万枚以上を実現している。
【0019】
次に、上記した画像形成装置による画像形成動作について説明する。
【0020】
画像形成時には、感光ドラム2は駆動装置の駆動により回転駆動され、帯電バイアスが印加された1次帯電器(帯電装置)10によりその表面を所定の極性、電位に帯電する。そして、帯電された感光ドラム2表面に、露光装置1による画像情報に応じた画像露光Lが行われ、感光ドラム2表面の電位は画像露光Lされた部分の電位が低下して、入力される画像情報に応じた静電像が形成される。
【0021】
そして、現像装置3により、感光ドラム2の帯電極性と同極性に帯電したトナーを静電像に付着させてトナー像として可視像化する。そして、トナー像は、転写前帯電装置4により帯電され、トナー像の電荷極性がさらに強められる。そして、転写入り口ガイド12により形成された搬送路に従って、転写材14が感光ドラム1と転写ローラ(転写装置)7の間で形成された転写ニップ内(転写位置7a)に搬送される。そして、転写ローラ7に、トナーと逆極性の転写バイアスが印加されることで、像担持体上のトナー像は転写材14上に転写される。
【0022】
トナー像が転写された転写材14は、回転ベルトを備える搬送装置13により定着装置11に搬送される。定着器11は、定着ローラ15、加圧ローラ17からなり、定着ローラ15内に熱源となるハロゲンヒータ16を配置している。ハロゲンヒータ16によって定着ローラ15は一定温度に温調される。そして、定着ローラと加圧ローラで形成された定着ニップに搬送された転写材14は、加熱、加圧され、トナー像は転写材14上に定着された後、転写材14は外部に排出される。
【0023】
一方、トナー像転写後の感光ドラム2表面に残留している転写残トナーは、クリーニング部材8aが当接するクリーニング位置8bにおいて、クリーニング装置8によって除去され、回収される。また、感光ドラム2表面の残留電荷は、除電露光ランプ(除電装置)9で除去され、次の画像形成動作に備える。
【0024】
また、分離爪(分離部材)22は、図3に示すように、感光ドラムの回転方向における、転写位置7aよりも下流側で、かつクリーニング位置8bよりも上流側の位置に、その先端部が接触するように配置される。分離爪(分離部材)は、回転軸33を中心に回転可能に設けられ、その一端にバネ(付勢部材)34が取り付けられ、分離爪先端部が感光ドラム2表面に付勢するように構成されている。このような構成を有する分離爪22によって、転写位置を通過後に感光ドラム2に静電気力により張り付いた転写材14は、感光ドラム2から引き剥がされる。
【0025】
また、感光ドラム1に形成された画像制御のための濃度検知用画像の濃度を検知する濃度検知装置23が、感光ドラムの回転方向における、転写位置よりも下流側で、かつクリーニング位置よりも上流側の位置に、配置されている。
【0026】
図1は、本発明における、実施例1の画像形成装置を、上方から見た概略構成図である。
【0027】
分離爪(分離部材)22は、感光ドラム2の回転軸方向において、各々が所定間隔を有して、計3個が配設されている。尚、分離爪の少なくとも一つは、通紙可能最小幅(この装置で通紙可能な最も幅の狭い紙の幅)内に配置されている。またすべての分離爪は、通紙可能最大幅(この装置で通紙可能な最も幅の広い紙の幅)内に配置されている。
【0028】
本実施例では、画像形成装置内の冷却、または装置内の空気の排気等を目的として、装置内の空気を移動させる空気移動装置(吸気ファン24あるいは排気ファン25)を備えている。吸気ファン(送風装置)24は画像形成装置本体の側板51に設けられ、吸気ファン24により吸気された外気は、吸気ファン24に接続するエアダクト(空気搬送路)26内に送り込まれる。エアダクト26は、クリーニング装置8と定着装置11との間の空間に、感光ドラム回転軸方向に沿って設けられている。エアダクト26内の空気は、図1中の矢印70の向きに流れていく。このエアダクト26により、定着装置11からの熱がクリーニング装置8に伝わるのを抑制できる。これにより、クリーニング装置8の温度上昇を防止し、クリーニング装置8内の回収トナーが凝集してしまうことを防ぐ。そして、エアダクト26を抜けた空気は、装置本体の側板52に設けられた排気ファン(送風装置)25によって、装置外部に排出される。
【0029】
排気ファン25の作用により、クリーニング装置8の底面よりも下方の、分離爪22が配置された領域の空気も、感光ドラム回転軸方向に沿った図1に示した矢印71の方向に流れていき、排気ファン25によって装置外部に排出される。排気ファン25に向かう空気は、途中でフィルタ29を通過する際に、オゾンやトナー等が除かれる。
【0030】
次に、本実施例での濃度検知装置23を用いた制御について説明する。
【0031】
図5は、濃度検知装置23が、濃度検知用画像77の濃度を検知する様子を表した図である。濃度検知装置23は、光を発する発光部78と、反射した光を受光する受光部79とを有した構成となっている。そして、受光部79により検知した光量によって、濃度検知用画像77の濃度の検知を行う。本実施例の画像形成装置は、連続画像動作形成中に、所定枚数目の画像形成終了後において、階調制御用の画像(濃度検知用画像)の形成を行っている。この濃度検知用画像は、所定の静電像を感光ドラム上に形成し、この静電像を現像装置によりトナーで現像することで形成する。この階調制御の前には、感光ドラム2に当接していた転写ローラ7は感光ドラムから離間し、転写ローラの影響をなくした状態で制御を開始する。
【0032】
続いて、その画像制御の構成を、図6に示す階調画像再現過程のブロック図を用いて説明する。
【0033】
画像の輝度信号がCCD入力69で得られ、その輝度信号をA/D変換回路70によってデジタルの輝度信号に変換する。輝度信号は、個々のCCD素子の感度バラツキを修正するシェーディング回路71を通り、修正された輝度信号を濃度信号に変換するために、LOG変換器72に通す。
【0034】
LOG変換器72によって得られた濃度信号は、初期設定時のプリンタのγ特性が原画像濃度と出力画像濃度が一致するように補正するためにLUT73で変換する。このLUT73は、後述する演算結果で形成されるLUT補正テーブル84によって補正される。
【0035】
上記LUT73で変換された信号を、パルス幅変換回路75によって信号をドット幅に対応した信号に変換し、レーザードライバ76に送る。このようなデジタル信号処理をもって、レーザー走査により感光体ドラム上にドットの面積変化による階調特性を有した静電像を形成し、これを現像して、階調制御画像(濃度検知用画像)を得る。
【0036】
本実施例の上記濃度信号レベルは8ビット、即ち、256階調もっている。そして、テストパターンジェネレータにより40H、80H、COH、FFHの4つのレベルについて静電像を形成する。そして図7に示すように、この4つのレベルの階調パターン像77を、感光ドラム1上に25mm×25mmの正方形のパターン画像で順次形成する。尚、この画像形成装置は、感光ドラム2上に濃度信号レベルを数段変えて出力するテストパターンジェネレータを内蔵している。感光ドラム上に形成された制御画像77は、タイミングを同期させて、濃度検知装置23内により、階調制御パターンの各トナー光学濃度に対応した出力を検出する。階調制御パターンの形成位置は、最大画像形成幅内に収まるように配置されており、これに対応した感光ドラム2上に濃度検知装置23を配置している。
【0037】
図8は、本実施例の出力画像濃度と、受光素子(受光部)79の出力の関係を示すグラフである。受光素子出力が大きくなるほど、検出された画像の濃度は高い傾向があることがわかる。
【0038】
次に、受光素子79によって読み取られた検出信号を処理し、LUT補正テーブル84を作成する構成を、図9のブロック図を参照して説明する。受光素子79で読み取った信号を、A/D変換器70によってデジタル信号に変換し、濃度換算回路81により濃度信号に変換する。
【0039】
階調制御パターン像77の各濃度レベルに対する濃度は、初期設定時では図10に示す曲線CとなるようにLUT73によって設定している。しかしながら、トナーの補給状態、環境、或いは経時変化等により、現像特性や感光ドラムの感度等が変化し、濃度レベルに対する画像濃度が初期に設定された図10の曲線Cから曲線Aや曲線Bのように変動する事がある。
【0040】
そこで仮に、受光素子79から得られた濃度の検出結果が、図10の曲線Aのように初期設定値Cよりも高かった場合には、図11の曲線A′に示すように、高くなった分だけ設定から下げるように補正演算する。逆に、上記検出結果が図10の曲線Bのように初期設定値よりも低かった場合には、図11の曲線B′に示すように、低くなった分だけ設定から上げるように補正演算する。
【0041】
そのため、図9に示す濃度換算回路81によって算出された濃度から、上記のように補正値演算を行う補正値演算回路82を介して、LUT73を補正するLUT補正テーブル84を作成する。
【0042】
上記のようにして得たLUT補正テーブル84により、LUT73を補正することにより、変動したプリンタ階調特性を補正し、常時一定のプリンタ階調特性を得ることが出来る。尚、上記補正値は図示しない制御部のRAMに格納しておき、階調特性が異常と判断したときに、再度上記補正が行われるまで使用される。
【0043】
このような、濃度検出装置23を用いた画像制御を実施した場合、濃度検出装置近傍に存在する浮遊トナーの影響を受けて、誤作動をしてしまう場合がある。トナーが受光部近傍に付着した場合、実際は図10の曲線Cのような正常な濃度を維持しているのに関わらず、濃度検知装置23は実際の濃度よりも低いと判定してしまう。その結果、曲線Bのような濃度レベルと誤った判断を行ってしまい、曲線B’に示すように補正演算を実施してしまう。これにより、実際に出力される画像は想定よりも濃い画像となってしまう。
【0044】
このような誤作動を起こさない為に、本実施例では、図1に示すように、濃度検知手装置23を、分離爪22よりも、画像形成装置内の空気移動方向上流側に配置する構成とした。なお本実施例では、濃度検知装置23は、分離爪22と、ほぼ同様な高さに配置されている。
【0045】
ここで、本実施例とその他の比較例に対して、実際に通紙耐久を行ったときの検討結果を図12に示す。図12は、横軸が耐久枚数、縦軸が濃度検知装置の受光素子の出力を表したグラフである。
【0046】
本比較実験の概要は以下のようである。各構成につき、A4サイズで印字率が5%の画像を連続して形成し、100000(100K)枚まで耐久試験を行った。そしてこの耐久試験の間の、濃度検知装置23の受光素子の出力変化を調べた。
【0047】
比較例1は、図13(a)に示すように、濃度検知装置23を、中央の分離爪と右側の分離爪との間の位置に配置した。それ以外は実施例1と同じ構成である。
【0048】
比較例2は、図13(b)に示すように、濃度検知装置23を、3つの分離爪22よりも、空気移動方向下流側に配置した。それ以外は実施例1と同じ構成である。
【0049】
比較例3は、実施例1と同じ個所に濃度検知装置23を配置した状態で、排気ファン25の動作を停止して、装置内の空気が移動しないようにし、耐久試験を実施した。
【0050】
比較例4は、濃度検知装置23を比較例2と同じ位置に配置し、かつ図14に示すような遮蔽部材30を濃度検知装置23に設けた構成とした。この遮蔽部材30は、画像形成中は、濃度検知装置23の発光部及び受光部を、スポンジ部材31を備えた面で覆う構成となっている。そして、濃度検知動作を行なう際には、遮蔽部材30は退避し、発光部及び受光部が露出するように構成されている。
【0051】
図12のグラフから、装置構成によって、耐久枚数に応じた受光素子出力の変化が異なることがわかる。そして、耐久試験後の濃度検知装置23の表面(検知面80)をそれぞれ観察すると、検知面にトナーが付着している程度に応じて受光素子出力が低下していることが分かった。すなわち、受光素子出力と濃度検知手段のセンサー表面へのトナー付着には、相関があることが分かった。
【0052】
図12のグラフから、排気ファン25が動作している時は、実施例1、比較例1、比較例3の結果から、濃度検知装置23の位置は、分離爪22に対して、空気の移動方向下流側よりも上流側の方が有利であることがわかる。例えば、比較例2のように分離爪の間に濃度検知装置23を配置すると、その上流側の分離爪から飛散するトナーの影響を受けてしまうので、本実施例と比較しても不利であった。
【0053】
なお、比較例3が、濃度検知装置23の汚れが最も悪い結果となった。これは、装置内の空気が動かないと、装置内の浮遊トナーが外部に出ることなく増える一方となり、かつ浮遊トナーがセンサー付近から移動することがない為と考えられる。
【0054】
また、実施例1と比較例4との比較から、本実施例によれば、比較例4の遮蔽部材を配置した時とほぼ同等の能力を発揮できることが判明した。ただし、比較例4は遮蔽部材やその駆動機構が必要になり、装置構成が複雑になってしまう。これに対し本実施例構成は、簡単な構成で汚れ防止を行うことができた。
【0055】
このように、濃度検知装置を分離爪よりも空気移動方向上流側に配置することで、分離爪からの飛散トナーは、濃度検知装置には向かわず、空気の移動方向下流側へと移動する。これにより、濃度検知装置近傍に浮遊するトナーは大きく減少し、センサー面へのトナーの付着を減少させ、これにより、センサーの耐久寿命を大きく伸ばすことが可能となった。
【0056】
(実施例2)
以下、本発明に係る他の実施例を、図面に基づいて詳しく説明する。
【0057】
本実施例において、実施例1の画像形成装置と同様の構成とされるので、同一機能を有する部材には同一符号を付し、必要の無い限り重複する説明を省略する。
【0058】
本実施例では、実施例1の構成に加えて、図15に示すように、分離爪22を保持する回転支持部材33を、往復移動装置90によって、感光ドラム2の回転軸方向(図15中の矢印92)に往復移動可能に構成している。往復移動装置90は、例えば偏心カムや偏心クランク等によって構成することができ、例えば特開昭63−28687号公報のような構成を用いることができる。
【0059】
画像形成中は、常に一定距離を往復運動する構成とした。感光ドラム2の表面に当接している分離爪22を往復運動させることで、一箇所で摺擦していたために起きる感光ドラム2の表面の傷を減少させることができる。
【0060】
このような構成による分離爪の往復運動によって、分離爪に蓄積したトナーは、一層剥れ易くなる。そして、剥れて浮遊したトナーは、転写残トナーからの飛散トナーに比べて粒径が大きく、濃度検知装置23の表面に付着した場合には、受光素子出力を著しく低下させる原因となりうる。そこで、このような構成においても、実施例1の構成を用いることで、濃度検知装置のトナー汚れを効果的に防止することができる。
【0061】
(実施例3)
以下、本発明に係る実施例3を、図面に基づいて詳しく説明する。
【0062】
本実施例において、実施例1の構成と同一機能を有する部材には、同一符号を付し、必要の無い限り重複する説明を省略する。
【0063】
本実施例3では、実施例1と同様に、空気移動方向において、濃度検知装置は、分離爪よりも空気移動方向上流側の位置に配置する。これにより、濃度検知装置のトナー汚れを効果的に防止できる。そして本実施例3では更に、図17に示すように、濃度検知装置23の下面23aを、分離爪の下面22aよりも感光ドラム(像担持体)2の回転方向に対して下流側の位置となるように配置した。すなわち、像担持体回転方向において、濃度検知装置23における像担持体回転方向上流側の面23aを、分離爪22における像担持体回転方向上流側の面22aよりも、像担持体回転方向下流側となるように配置した。
【0064】
通常、転写位置とクリーニング位置との間の領域の浮遊トナーは、感光ドラム2の回転によって発生する空気の流れにより、回転方向下流側へ向かって移動しようとする。浮遊トナーの付着を避けるためには、濃度検知装置23は、分離爪22よりも感光ドラム2の回転方向に対してなるべく上流位置に配置する事が、汚れ付着に対しては有効と思われる。
【0065】
しかしながら、濃度検知装置23を、分離爪22よりも感光ドラム2の回転方向上流側に配置すると、以下のような問題が発生することが判明した。
【0066】
薄紙等の剛性が低い紙で画像形成を行った場合、分離爪を用いたとしても感光ドラムからの分離性が悪い状況が生じる。この場合、図16のような配置だとすると、分離不良状態の紙の先端が、濃度検知装置23に当接して引っ掛かり、紙詰りを生じてしまう。
【0067】
このような問題は、本実施例3の構成を用いることで解決できる。
【0068】
すなわち図17のように、像担持体回転方向において、濃度検知装置23における像担持体回転方向上流側の面23aを、分離爪22における像担持体回転方向上流側の面22aよりも、像担持体回転方向下流側となるように配置した。この構成により、紙が分離しづらい状況が生じたとしても、紙の先端が濃度検知装置23に引っ掛かることはないので、紙詰りの発生を防止できる。
【0069】
このように、実施例3の構成のよれば、濃度検知装置の汚れを防止しつつ、紙詰りの防止も同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1を適用した画像形成装置を上面からみた概略構成図である
【図2】実施例1における画像形成装置の側面からみた概略構成図である
【図3】実施例1における分離爪の概略構成図である。
【図4】実施例1における感光ドラムの構成を示す概略構成図である。
【図5】実施例1における濃度検知用画像の濃度検出の様子を説明する図である。
【図6】実施例1における階調制御のブロック図である。
【図7】実施例1における階調パターン像を示す図である。
【図8】実施例1における出力画像濃度と受光素子の出力関係を示すグラフである。
【図9】実施例1におけるLUT補正テーブルを作成する構成ブロック図である。
【図10】実施例1における入力濃度レベルに対する出力濃度レベルの関係を示すグラフである。
【図11】実施例1における入力濃度レベルに対する出力濃度レベルの関係を示すグラフである
【図12】実施例1と比較例における耐久枚数に応じた濃度検知手段の受光感度を確認したグラフである。
【図13】(a)比較例1の構成を示す概略構成図である、(b)比較例2の構成を示す概略構成図である。
【図14】比較例4の遮蔽部材を示す概略構成図である。
【図15】実施例2における分離爪の構成を示す概略構成図である。
【図16】実施例3に対する比較例における分離爪と濃度検知手段の配置を示す概略構成図である。
【図17】本実施例3における分離爪と濃度検知手段の配置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0071】
1 露光装置
2 像担持体(感光ドラム)
3 現像装置
7 転写装置
8 クリーニング装置
10 帯電装置
22 分離部材
23 濃度検知装置
24 空気移動装置(吸気ファン24)
25 空気移動装置(排気ファン25)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、感光体に当接して、転写材を剥離するための分離爪を有する画像形成装置がある。この分離爪は、感光体上の転写手段よりも下流位置でクリーニング手段との間に、像坦持体の回転軸方向に横一列状に複数個配列されている。
【0003】
また近年、写真画質にも迫る高画質化や、印刷機にも迫るような高速化に対応した技術が求められている。高速化かつ高画質化の達成のために、色味安定性、濃度均一性などの維持が課題となる。
【0004】
この課題に対し、特許文献2のように、濃度検出用の検出画像を感光ドラムに形成し、この検出画像の反射濃度を濃度検知手段を用いて光学的に検知し、検知結果を画像制御条件にフィードバックして安定した画像を維持する技術が用いられている。濃度検知手段の構成としては、例えば、光を発光する発光部と、この発光部から出た光の反射光を受ける受光部と、を有し、この受光部の検知光量によって濃度を判断するように構成されている。
【0005】
この特許文献2の構成では、この濃度検知手段を、感光ドラム上のトナー像が転写される転写位置よりも感光体の回転方向に対して下流位置で、かつ転写残トナーを回収するクリーニング手段よりも上流位置に配置している。このような配置の理由は、様々である。例えば、転写位置よりも回転方向上流位置に、トナーへの電荷極性を強めるための転写前帯電手段を配置した際に、濃度検知手段の配置スペースがなくなってしまう場合である。あるいは、転写位置に転写材を誘導するための転写前ガイド等を配置した際、やはり濃度検知手段の配置スペースがなくなってしまう場合である。
【0006】
ところで、このような分離爪と濃度検知手段の両方を、転写位置よりも下流側でかつクリーニング手段よりも上流側に配置すると、濃度検知手段の検知面のトナー汚れが激しくなり、正確な濃度検知が行えなくなるという課題を生じる事があった。
【0007】
それは以下のような理由によるものである。
【0008】
通常、転写時のトナー画像は、自分自身の摩擦帯電極性とは逆極性の放電を受けるため、転写後に感光体表面に残留する転写残トナーには、帯電量が減少したトナーが多く存在する。そのため転写残トナーは、感光体との鏡映力が弱く、回転による遠心力や近傍の空気流によって感光体表面から剥がれやすく、転写後でクリーニング手段よりも前の領域では飛散トナーが浮遊しやすい状況にある。よって、濃度検知手段を転写位置よりも回転方向上流側に配置する構成に比べて、トナー汚れが生じ易くなっている。そのうえ、転写残トナーが分離爪との当接部分を通過することによって感光ドラム上からはがされ、一部は飛散トナーとなって分離爪近傍を浮遊する。このようにして生じた大量の浮遊あるいは飛散トナーが、その近傍に配置された濃度検知手段の検知面に付着し、正確な濃度検知が行えなくなるという課題が生じることになる。
【0009】
そこで、濃度検知手段へのトナー付着を防止するものとして、特許文献3のような構成がある。特許文献3は、検討動作以外の時には濃度検知手段の検知面を遮蔽部材(シャッター)で覆う機構を有することで、トナー付着を防止しようとする構成がある。
【特許文献1】特開平3−238482
【特許文献2】特開2002−62697
【特許文献3】特開2001−100597
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3の構成では、シャッターの開閉を制御するためのソレノイドやモータ、もしくはこれらを制御するための回路基板を配置するスペースやコストが余分に発生してしまう。また、シャッターが何らかの原因により動作不良に陥った場合においては、短期間で濃度検知手段に飛散トナーが付着してしまい、制御不良を引き起こしてしまう可能性があった。
【0011】
そこで本発明は、簡単な構成で濃度検知装置のトナー汚れを防止できる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記トナー像を転写位置において転写材に転写する転写装置と、前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側において前記像担持体に接触するように配置され、前記像担持体から前記転写材を分離するための分離部材と、前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され、前記像担持体上に形成された濃度検知用画像の濃度を検知するための濃度検知装置と、像担持体の回転軸方向に沿って、画像形成装置内の空気を移動させる空気移動装置と、を有し、前記濃度検知装置は、前記分離部材よりも、前記空気移動装置による空気移動方向における上流側となるように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構成で濃度検知装置のトナー汚れを防止できる画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において画像形成装置の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。すなわち、特段の記載がない限り、後述する実施形態に記載された構成だけに限定する意図はない。
【0015】
(実施例1)
図2は、本発明の実施例1に係る画像形成装置(本実施の形態では、電子写真方式のレーザプリンタなどの画像形成装置)を示す概略構成図である。
【0016】
本画像形成装置は、矢印方向(時計方向)に回転可能に構成された像担持体としての感光ドラム2を備えている。
【0017】
感光ドラム2は、本実施の形態では直径80mmのa−Si(アモルファスシリコン)であり、不図示の駆動装置の駆動によって所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向(時計方向)に回転駆動される。感光ドラム2は、図4に示すように、導電性材料のアルミニウムからなる円筒状の基体2e上に、阻止層2d、光導電層(I,II)2c、2b及び表面層2aを順次積層して構成されている。
【0018】
光導電層(I,II)2c、2bは、シリコン原子が水素原子及びハロゲン原子を含むアモルファスシリコン材料を主体にして形成されている。また、感光ドラム2の表面硬度は約2000kg/mm2であり、更に1次帯電器10、転写前帯電器4がコロナ帯電器であることから、感光ドラム2の耐久寿命としては30万枚以上を実現している。
【0019】
次に、上記した画像形成装置による画像形成動作について説明する。
【0020】
画像形成時には、感光ドラム2は駆動装置の駆動により回転駆動され、帯電バイアスが印加された1次帯電器(帯電装置)10によりその表面を所定の極性、電位に帯電する。そして、帯電された感光ドラム2表面に、露光装置1による画像情報に応じた画像露光Lが行われ、感光ドラム2表面の電位は画像露光Lされた部分の電位が低下して、入力される画像情報に応じた静電像が形成される。
【0021】
そして、現像装置3により、感光ドラム2の帯電極性と同極性に帯電したトナーを静電像に付着させてトナー像として可視像化する。そして、トナー像は、転写前帯電装置4により帯電され、トナー像の電荷極性がさらに強められる。そして、転写入り口ガイド12により形成された搬送路に従って、転写材14が感光ドラム1と転写ローラ(転写装置)7の間で形成された転写ニップ内(転写位置7a)に搬送される。そして、転写ローラ7に、トナーと逆極性の転写バイアスが印加されることで、像担持体上のトナー像は転写材14上に転写される。
【0022】
トナー像が転写された転写材14は、回転ベルトを備える搬送装置13により定着装置11に搬送される。定着器11は、定着ローラ15、加圧ローラ17からなり、定着ローラ15内に熱源となるハロゲンヒータ16を配置している。ハロゲンヒータ16によって定着ローラ15は一定温度に温調される。そして、定着ローラと加圧ローラで形成された定着ニップに搬送された転写材14は、加熱、加圧され、トナー像は転写材14上に定着された後、転写材14は外部に排出される。
【0023】
一方、トナー像転写後の感光ドラム2表面に残留している転写残トナーは、クリーニング部材8aが当接するクリーニング位置8bにおいて、クリーニング装置8によって除去され、回収される。また、感光ドラム2表面の残留電荷は、除電露光ランプ(除電装置)9で除去され、次の画像形成動作に備える。
【0024】
また、分離爪(分離部材)22は、図3に示すように、感光ドラムの回転方向における、転写位置7aよりも下流側で、かつクリーニング位置8bよりも上流側の位置に、その先端部が接触するように配置される。分離爪(分離部材)は、回転軸33を中心に回転可能に設けられ、その一端にバネ(付勢部材)34が取り付けられ、分離爪先端部が感光ドラム2表面に付勢するように構成されている。このような構成を有する分離爪22によって、転写位置を通過後に感光ドラム2に静電気力により張り付いた転写材14は、感光ドラム2から引き剥がされる。
【0025】
また、感光ドラム1に形成された画像制御のための濃度検知用画像の濃度を検知する濃度検知装置23が、感光ドラムの回転方向における、転写位置よりも下流側で、かつクリーニング位置よりも上流側の位置に、配置されている。
【0026】
図1は、本発明における、実施例1の画像形成装置を、上方から見た概略構成図である。
【0027】
分離爪(分離部材)22は、感光ドラム2の回転軸方向において、各々が所定間隔を有して、計3個が配設されている。尚、分離爪の少なくとも一つは、通紙可能最小幅(この装置で通紙可能な最も幅の狭い紙の幅)内に配置されている。またすべての分離爪は、通紙可能最大幅(この装置で通紙可能な最も幅の広い紙の幅)内に配置されている。
【0028】
本実施例では、画像形成装置内の冷却、または装置内の空気の排気等を目的として、装置内の空気を移動させる空気移動装置(吸気ファン24あるいは排気ファン25)を備えている。吸気ファン(送風装置)24は画像形成装置本体の側板51に設けられ、吸気ファン24により吸気された外気は、吸気ファン24に接続するエアダクト(空気搬送路)26内に送り込まれる。エアダクト26は、クリーニング装置8と定着装置11との間の空間に、感光ドラム回転軸方向に沿って設けられている。エアダクト26内の空気は、図1中の矢印70の向きに流れていく。このエアダクト26により、定着装置11からの熱がクリーニング装置8に伝わるのを抑制できる。これにより、クリーニング装置8の温度上昇を防止し、クリーニング装置8内の回収トナーが凝集してしまうことを防ぐ。そして、エアダクト26を抜けた空気は、装置本体の側板52に設けられた排気ファン(送風装置)25によって、装置外部に排出される。
【0029】
排気ファン25の作用により、クリーニング装置8の底面よりも下方の、分離爪22が配置された領域の空気も、感光ドラム回転軸方向に沿った図1に示した矢印71の方向に流れていき、排気ファン25によって装置外部に排出される。排気ファン25に向かう空気は、途中でフィルタ29を通過する際に、オゾンやトナー等が除かれる。
【0030】
次に、本実施例での濃度検知装置23を用いた制御について説明する。
【0031】
図5は、濃度検知装置23が、濃度検知用画像77の濃度を検知する様子を表した図である。濃度検知装置23は、光を発する発光部78と、反射した光を受光する受光部79とを有した構成となっている。そして、受光部79により検知した光量によって、濃度検知用画像77の濃度の検知を行う。本実施例の画像形成装置は、連続画像動作形成中に、所定枚数目の画像形成終了後において、階調制御用の画像(濃度検知用画像)の形成を行っている。この濃度検知用画像は、所定の静電像を感光ドラム上に形成し、この静電像を現像装置によりトナーで現像することで形成する。この階調制御の前には、感光ドラム2に当接していた転写ローラ7は感光ドラムから離間し、転写ローラの影響をなくした状態で制御を開始する。
【0032】
続いて、その画像制御の構成を、図6に示す階調画像再現過程のブロック図を用いて説明する。
【0033】
画像の輝度信号がCCD入力69で得られ、その輝度信号をA/D変換回路70によってデジタルの輝度信号に変換する。輝度信号は、個々のCCD素子の感度バラツキを修正するシェーディング回路71を通り、修正された輝度信号を濃度信号に変換するために、LOG変換器72に通す。
【0034】
LOG変換器72によって得られた濃度信号は、初期設定時のプリンタのγ特性が原画像濃度と出力画像濃度が一致するように補正するためにLUT73で変換する。このLUT73は、後述する演算結果で形成されるLUT補正テーブル84によって補正される。
【0035】
上記LUT73で変換された信号を、パルス幅変換回路75によって信号をドット幅に対応した信号に変換し、レーザードライバ76に送る。このようなデジタル信号処理をもって、レーザー走査により感光体ドラム上にドットの面積変化による階調特性を有した静電像を形成し、これを現像して、階調制御画像(濃度検知用画像)を得る。
【0036】
本実施例の上記濃度信号レベルは8ビット、即ち、256階調もっている。そして、テストパターンジェネレータにより40H、80H、COH、FFHの4つのレベルについて静電像を形成する。そして図7に示すように、この4つのレベルの階調パターン像77を、感光ドラム1上に25mm×25mmの正方形のパターン画像で順次形成する。尚、この画像形成装置は、感光ドラム2上に濃度信号レベルを数段変えて出力するテストパターンジェネレータを内蔵している。感光ドラム上に形成された制御画像77は、タイミングを同期させて、濃度検知装置23内により、階調制御パターンの各トナー光学濃度に対応した出力を検出する。階調制御パターンの形成位置は、最大画像形成幅内に収まるように配置されており、これに対応した感光ドラム2上に濃度検知装置23を配置している。
【0037】
図8は、本実施例の出力画像濃度と、受光素子(受光部)79の出力の関係を示すグラフである。受光素子出力が大きくなるほど、検出された画像の濃度は高い傾向があることがわかる。
【0038】
次に、受光素子79によって読み取られた検出信号を処理し、LUT補正テーブル84を作成する構成を、図9のブロック図を参照して説明する。受光素子79で読み取った信号を、A/D変換器70によってデジタル信号に変換し、濃度換算回路81により濃度信号に変換する。
【0039】
階調制御パターン像77の各濃度レベルに対する濃度は、初期設定時では図10に示す曲線CとなるようにLUT73によって設定している。しかしながら、トナーの補給状態、環境、或いは経時変化等により、現像特性や感光ドラムの感度等が変化し、濃度レベルに対する画像濃度が初期に設定された図10の曲線Cから曲線Aや曲線Bのように変動する事がある。
【0040】
そこで仮に、受光素子79から得られた濃度の検出結果が、図10の曲線Aのように初期設定値Cよりも高かった場合には、図11の曲線A′に示すように、高くなった分だけ設定から下げるように補正演算する。逆に、上記検出結果が図10の曲線Bのように初期設定値よりも低かった場合には、図11の曲線B′に示すように、低くなった分だけ設定から上げるように補正演算する。
【0041】
そのため、図9に示す濃度換算回路81によって算出された濃度から、上記のように補正値演算を行う補正値演算回路82を介して、LUT73を補正するLUT補正テーブル84を作成する。
【0042】
上記のようにして得たLUT補正テーブル84により、LUT73を補正することにより、変動したプリンタ階調特性を補正し、常時一定のプリンタ階調特性を得ることが出来る。尚、上記補正値は図示しない制御部のRAMに格納しておき、階調特性が異常と判断したときに、再度上記補正が行われるまで使用される。
【0043】
このような、濃度検出装置23を用いた画像制御を実施した場合、濃度検出装置近傍に存在する浮遊トナーの影響を受けて、誤作動をしてしまう場合がある。トナーが受光部近傍に付着した場合、実際は図10の曲線Cのような正常な濃度を維持しているのに関わらず、濃度検知装置23は実際の濃度よりも低いと判定してしまう。その結果、曲線Bのような濃度レベルと誤った判断を行ってしまい、曲線B’に示すように補正演算を実施してしまう。これにより、実際に出力される画像は想定よりも濃い画像となってしまう。
【0044】
このような誤作動を起こさない為に、本実施例では、図1に示すように、濃度検知手装置23を、分離爪22よりも、画像形成装置内の空気移動方向上流側に配置する構成とした。なお本実施例では、濃度検知装置23は、分離爪22と、ほぼ同様な高さに配置されている。
【0045】
ここで、本実施例とその他の比較例に対して、実際に通紙耐久を行ったときの検討結果を図12に示す。図12は、横軸が耐久枚数、縦軸が濃度検知装置の受光素子の出力を表したグラフである。
【0046】
本比較実験の概要は以下のようである。各構成につき、A4サイズで印字率が5%の画像を連続して形成し、100000(100K)枚まで耐久試験を行った。そしてこの耐久試験の間の、濃度検知装置23の受光素子の出力変化を調べた。
【0047】
比較例1は、図13(a)に示すように、濃度検知装置23を、中央の分離爪と右側の分離爪との間の位置に配置した。それ以外は実施例1と同じ構成である。
【0048】
比較例2は、図13(b)に示すように、濃度検知装置23を、3つの分離爪22よりも、空気移動方向下流側に配置した。それ以外は実施例1と同じ構成である。
【0049】
比較例3は、実施例1と同じ個所に濃度検知装置23を配置した状態で、排気ファン25の動作を停止して、装置内の空気が移動しないようにし、耐久試験を実施した。
【0050】
比較例4は、濃度検知装置23を比較例2と同じ位置に配置し、かつ図14に示すような遮蔽部材30を濃度検知装置23に設けた構成とした。この遮蔽部材30は、画像形成中は、濃度検知装置23の発光部及び受光部を、スポンジ部材31を備えた面で覆う構成となっている。そして、濃度検知動作を行なう際には、遮蔽部材30は退避し、発光部及び受光部が露出するように構成されている。
【0051】
図12のグラフから、装置構成によって、耐久枚数に応じた受光素子出力の変化が異なることがわかる。そして、耐久試験後の濃度検知装置23の表面(検知面80)をそれぞれ観察すると、検知面にトナーが付着している程度に応じて受光素子出力が低下していることが分かった。すなわち、受光素子出力と濃度検知手段のセンサー表面へのトナー付着には、相関があることが分かった。
【0052】
図12のグラフから、排気ファン25が動作している時は、実施例1、比較例1、比較例3の結果から、濃度検知装置23の位置は、分離爪22に対して、空気の移動方向下流側よりも上流側の方が有利であることがわかる。例えば、比較例2のように分離爪の間に濃度検知装置23を配置すると、その上流側の分離爪から飛散するトナーの影響を受けてしまうので、本実施例と比較しても不利であった。
【0053】
なお、比較例3が、濃度検知装置23の汚れが最も悪い結果となった。これは、装置内の空気が動かないと、装置内の浮遊トナーが外部に出ることなく増える一方となり、かつ浮遊トナーがセンサー付近から移動することがない為と考えられる。
【0054】
また、実施例1と比較例4との比較から、本実施例によれば、比較例4の遮蔽部材を配置した時とほぼ同等の能力を発揮できることが判明した。ただし、比較例4は遮蔽部材やその駆動機構が必要になり、装置構成が複雑になってしまう。これに対し本実施例構成は、簡単な構成で汚れ防止を行うことができた。
【0055】
このように、濃度検知装置を分離爪よりも空気移動方向上流側に配置することで、分離爪からの飛散トナーは、濃度検知装置には向かわず、空気の移動方向下流側へと移動する。これにより、濃度検知装置近傍に浮遊するトナーは大きく減少し、センサー面へのトナーの付着を減少させ、これにより、センサーの耐久寿命を大きく伸ばすことが可能となった。
【0056】
(実施例2)
以下、本発明に係る他の実施例を、図面に基づいて詳しく説明する。
【0057】
本実施例において、実施例1の画像形成装置と同様の構成とされるので、同一機能を有する部材には同一符号を付し、必要の無い限り重複する説明を省略する。
【0058】
本実施例では、実施例1の構成に加えて、図15に示すように、分離爪22を保持する回転支持部材33を、往復移動装置90によって、感光ドラム2の回転軸方向(図15中の矢印92)に往復移動可能に構成している。往復移動装置90は、例えば偏心カムや偏心クランク等によって構成することができ、例えば特開昭63−28687号公報のような構成を用いることができる。
【0059】
画像形成中は、常に一定距離を往復運動する構成とした。感光ドラム2の表面に当接している分離爪22を往復運動させることで、一箇所で摺擦していたために起きる感光ドラム2の表面の傷を減少させることができる。
【0060】
このような構成による分離爪の往復運動によって、分離爪に蓄積したトナーは、一層剥れ易くなる。そして、剥れて浮遊したトナーは、転写残トナーからの飛散トナーに比べて粒径が大きく、濃度検知装置23の表面に付着した場合には、受光素子出力を著しく低下させる原因となりうる。そこで、このような構成においても、実施例1の構成を用いることで、濃度検知装置のトナー汚れを効果的に防止することができる。
【0061】
(実施例3)
以下、本発明に係る実施例3を、図面に基づいて詳しく説明する。
【0062】
本実施例において、実施例1の構成と同一機能を有する部材には、同一符号を付し、必要の無い限り重複する説明を省略する。
【0063】
本実施例3では、実施例1と同様に、空気移動方向において、濃度検知装置は、分離爪よりも空気移動方向上流側の位置に配置する。これにより、濃度検知装置のトナー汚れを効果的に防止できる。そして本実施例3では更に、図17に示すように、濃度検知装置23の下面23aを、分離爪の下面22aよりも感光ドラム(像担持体)2の回転方向に対して下流側の位置となるように配置した。すなわち、像担持体回転方向において、濃度検知装置23における像担持体回転方向上流側の面23aを、分離爪22における像担持体回転方向上流側の面22aよりも、像担持体回転方向下流側となるように配置した。
【0064】
通常、転写位置とクリーニング位置との間の領域の浮遊トナーは、感光ドラム2の回転によって発生する空気の流れにより、回転方向下流側へ向かって移動しようとする。浮遊トナーの付着を避けるためには、濃度検知装置23は、分離爪22よりも感光ドラム2の回転方向に対してなるべく上流位置に配置する事が、汚れ付着に対しては有効と思われる。
【0065】
しかしながら、濃度検知装置23を、分離爪22よりも感光ドラム2の回転方向上流側に配置すると、以下のような問題が発生することが判明した。
【0066】
薄紙等の剛性が低い紙で画像形成を行った場合、分離爪を用いたとしても感光ドラムからの分離性が悪い状況が生じる。この場合、図16のような配置だとすると、分離不良状態の紙の先端が、濃度検知装置23に当接して引っ掛かり、紙詰りを生じてしまう。
【0067】
このような問題は、本実施例3の構成を用いることで解決できる。
【0068】
すなわち図17のように、像担持体回転方向において、濃度検知装置23における像担持体回転方向上流側の面23aを、分離爪22における像担持体回転方向上流側の面22aよりも、像担持体回転方向下流側となるように配置した。この構成により、紙が分離しづらい状況が生じたとしても、紙の先端が濃度検知装置23に引っ掛かることはないので、紙詰りの発生を防止できる。
【0069】
このように、実施例3の構成のよれば、濃度検知装置の汚れを防止しつつ、紙詰りの防止も同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1を適用した画像形成装置を上面からみた概略構成図である
【図2】実施例1における画像形成装置の側面からみた概略構成図である
【図3】実施例1における分離爪の概略構成図である。
【図4】実施例1における感光ドラムの構成を示す概略構成図である。
【図5】実施例1における濃度検知用画像の濃度検出の様子を説明する図である。
【図6】実施例1における階調制御のブロック図である。
【図7】実施例1における階調パターン像を示す図である。
【図8】実施例1における出力画像濃度と受光素子の出力関係を示すグラフである。
【図9】実施例1におけるLUT補正テーブルを作成する構成ブロック図である。
【図10】実施例1における入力濃度レベルに対する出力濃度レベルの関係を示すグラフである。
【図11】実施例1における入力濃度レベルに対する出力濃度レベルの関係を示すグラフである
【図12】実施例1と比較例における耐久枚数に応じた濃度検知手段の受光感度を確認したグラフである。
【図13】(a)比較例1の構成を示す概略構成図である、(b)比較例2の構成を示す概略構成図である。
【図14】比較例4の遮蔽部材を示す概略構成図である。
【図15】実施例2における分離爪の構成を示す概略構成図である。
【図16】実施例3に対する比較例における分離爪と濃度検知手段の配置を示す概略構成図である。
【図17】本実施例3における分離爪と濃度検知手段の配置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0071】
1 露光装置
2 像担持体(感光ドラム)
3 現像装置
7 転写装置
8 クリーニング装置
10 帯電装置
22 分離部材
23 濃度検知装置
24 空気移動装置(吸気ファン24)
25 空気移動装置(排気ファン25)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される回転可能な像担持体と、
前記トナー像を転写位置において転写材に転写する転写装置と、
前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側において前記像担持体に接触するように配置され、前記像担持体から前記転写材を分離するための分離部材と、
前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され、前記像担持体上に形成された濃度検知用画像の濃度を検知するための濃度検知装置と、
像担持体の回転軸方向に沿って、画像形成装置内の空気を移動させる空気移動装置と、
を有し、
前記濃度検知装置は、前記分離部材よりも、前記空気移動装置による空気移動方向における上流側となるように配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度検知装置における像担持体回転方向上流側の面は、前記分離部材における像担持体回転方向上流側の面よりも、像担持体回転方向における下流側となるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体上の転写残トナーをクリーニング位置において回収するクリーニング装置を更に有し、
前記分離部材及び前記濃度検知装置は、前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側でかつ前記クリーニング位置よりも像担持体回転方向上流側となるように配置される事を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー像が転写された転写材を加熱する定着装置を更に有し、
前記空気移動装置は、前記像担持体と前記定着装置との間の空気を移動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像が形成される回転可能な像担持体と、
前記トナー像を転写位置において転写材に転写する転写装置と、
前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側において前記像担持体に接触するように配置され、前記像担持体から前記転写材を分離するための分離部材と、
前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側に配置され、前記像担持体上に形成された濃度検知用画像の濃度を検知するための濃度検知装置と、
像担持体の回転軸方向に沿って、画像形成装置内の空気を移動させる空気移動装置と、
を有し、
前記濃度検知装置は、前記分離部材よりも、前記空気移動装置による空気移動方向における上流側となるように配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度検知装置における像担持体回転方向上流側の面は、前記分離部材における像担持体回転方向上流側の面よりも、像担持体回転方向における下流側となるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体上の転写残トナーをクリーニング位置において回収するクリーニング装置を更に有し、
前記分離部材及び前記濃度検知装置は、前記転写位置よりも像担持体回転方向下流側でかつ前記クリーニング位置よりも像担持体回転方向上流側となるように配置される事を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー像が転写された転写材を加熱する定着装置を更に有し、
前記空気移動装置は、前記像担持体と前記定着装置との間の空気を移動させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−85840(P2010−85840A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256415(P2008−256415)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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