説明

画像形成装置

【課題】現像装置内の温度上昇を抑制する。
【解決手段】定着装置と、現像装置と、定着装置と現像装置との間に設けられた隔壁とを備え、前記隔壁が、現像装置側から定着装置側へ熱を移動させるペルチェ素子を有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電電子写真方式を利用した画像形成装置は、一般に帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電、及び定着の各工程を実行することで画像を形成する。画像を形成する工程は、例えば、帯電装置によって回転駆動される感光体ドラムの表面を均一に帯電され、露光装置によって帯電した感光体表面にレーザ光を照射され静電潜像が形成される。続いて、現像装置によって感光体上の静電潜像が現像され感光体表面上にトナー像が形成される。転写装置によって感光体上のトナー像は転写材上に転写され、その後、定着装置によって加圧、加熱されることによって、トナー像は転写材上に固定される。また感光体表面上に残った転写残留トナーはクリーニング装置により除去され所定の回収部に回収されると共に、クリーニングされた後の感光体表面は除電装置により残留電荷が除去され次の画像形成に備える。
【0003】
感光体上の静電潜像を現像する現像剤としては、トナーのみからなる一成分現像剤やトナーとキャリアとからなる二成分現像剤が一般に用いられる。一成分現像剤は、キャリアを用いないため、トナーとキャリアを均一に混合するための攪拌機構などを必要とせず、現像装置がシンプルになるといった利点を有するが、トナーの帯電量が安定しにくい等の欠点がある。二成分現像剤は、トナーとキャリアを均一に混合するための攪拌機構などを必要とすることから、現像装置が複雑になるといった欠点を有するが、帯電量の安定性に優れることから、高速画像形成装置やカラー画像形成装置によく使用されている。
【0004】
二成分現像剤においては、印刷速度の高速化やカラー化、さらには省エネルギー化に対応するため、トナーの小粒径化や低軟化点化が進んできており、このようなトナーは、熱により凝集しやすいという欠点を有する。そのため、現像装置内で攪拌される時の摩擦熱により現像装置内の温度が上昇すると、現像剤の温度が上がり、現像剤の凝集や現像剤の流動性低下により画像濃度にムラが生じるなどの問題があった。
【0005】
この問題に対して、定着装置と現像装置との間に、断熱および冷却を行うダクトを設けることにより、現像装置内の現像剤の昇温を抑制するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−24352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、風を送って現像剤を冷却する方法においては、画像形成装置の周囲温度が高いと冷却能力が低下する課題があった。また、画像形成後、直ぐに電源を切ると、冷却風を送るファンも停止するため、定着装置側の熱が画像形成装置内にこもり、現像装置が温まり、現像剤の凝集や現像剤の流動性が低下する課題があった。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、画像形成装置の周囲温度が高くても、あるいは、画像形成直後に電源を切った場合であっても、現像剤の凝集や現像剤の流動性低下が起こりにくい画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、定着装置と、現像装置と、定着装置と現像装置との間に設けられた隔壁とを備え、前記隔壁が、現像装置側から定着装置側へ熱を移動させるペルチェ素子を有することを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、定着装置から現像装置への熱伝導を遮断する隔壁現像装置側の熱を定着装置側に移動させるペルチェ素子を用いることにより、効率的に現像装置の冷却と、定着装置の加熱や保温ができるので、現像剤の過熱により生じる現像剤の凝集や現像剤の流動性低下による画像濃度ムラを防止できると同時に、定着装置の放冷を抑え、画像形成再開時の定着装置の加熱時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施形態に係る現像装置が用いられた画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置のトナー補給装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2のC−C矢視断面図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】図4のA−A矢視断面図である。
【図6】図4のB−B矢視断面図である。
【図7】図1の隔壁の概略構成を示す正面図である。
【図8】隔壁の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の画像形成装置は、定着装置と、現像装置と、定着装置と現像装置との間に設けられた隔壁とを備え、前記隔壁が、現像装置側から定着装置側へ熱を移動させるペルチェ素子を有することを特徴とする。
ここで、ペルチェ素子とは、2種類の金属の接合部に電流を流すと一方の金属から他方の金属へ熱が移動するというペルチェ効果(Peltier effect)を利用した板状の半導体素子であり、素子の低温側から高温側へ熱を移動させるヒートポンプとして利用される。
前記隔壁が、保冷用蓄熱部材を備え、保冷用蓄熱部材がペルチェ素子に対して現像装置側に設けられてもよい。
前記隔壁が、保温用蓄熱部材とを備え、保温用蓄熱部材がペルチェ素子に対して定着装置側に設けられてもよい。
【0013】
前記保冷用蓄熱部材が、融点が35℃以上45℃以下の結晶性材料を含むことが好ましい。
前記保温用蓄熱部材が、融点が60℃以上100℃以下の結晶性材料を含むことが好ましい。
結晶性材料が、銅板またはアルミニウム板からなる容器に収容されてもよい。
前記容器が、容積可変構造であることが好ましい。
【0014】
以下、図面に示す実施形態を用いてこの発明を詳述する。
[画像形成装置]
図1はこの発明の実施形態に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
画像形成装置100は、外部から伝達される画像データに応じて所定のシート(記録用紙,記録媒体)に多色または単色の画像を形成するものである。なお、画像形成装置100の上方にスキャナ等を備えてもよい。
画像形成装置100は、定着装置12が収容される定着装置収容部100Aと、現像装置2a,2b,2c,2d(以下、現像装置2という)が収容される現像装置収容部100Bとを含み、その間に隔壁30が設けられている。
【0015】
[隔壁]
図7は、図1における隔壁30の概略構成を示す正面図である。隔壁30は、ペルチェ素子33と、ペルチェ素子33の定着装置収容部100A側に設けられる保温用蓄熱部材31と、ペルチェ素子33の現像装置収容部100B側に設けられる保冷用蓄熱部材32からなるサンドイッチ構造の板状の部材で、定着装置12から現像装置2への熱伝導を遮断する。
【0016】
ペルチェ素子33には、図示しない電源が電気配線で接続されており、保温用蓄熱部材31側を加熱し、保冷用蓄熱部材32を冷却する向きに電流が流れるようになっている。ペルチェ素子33により現像装置2側から定着装置12側へ熱を移動させることにより、定着装置12の加熱および保温、並びに現像装置2の冷却および保冷を効率的に行ことができる。
【0017】
保温用蓄熱部材31の表面には、2つの保温用蓄熱部材温度センサ41が設けられ、保温用蓄熱部材31の温度を検知し、また、保冷用蓄熱部材32の表面には、2つの保冷用蓄熱部材温度センサ42が設けられ、保冷用蓄熱部材32の温度を検知する。保温用蓄熱部材31および保冷用蓄熱部材32の温度をモニタしながら、ペルチェ素子33への電流量を制御することにより、過度の加熱や冷却を防止できる。
【0018】
保温用蓄熱部材31は、融点が60℃以上100℃以下の結晶性材料が、銅板またはアルミニウム板からなる中空の薄箱状の結晶性材料収容器に収容されている。保冷用蓄熱部材32は、融点が35℃以上45℃以下の結晶性材料が、銅板またはアルミニウム板からなる中空の薄箱状の結晶性材料収容器に収容されている。各結晶性材料収容器は、ペルチェ素子33の反対側(外側)へ膨らむ(あるいは凹む)ことのできるフレキシブルな構造つまり容積可変構造となっており、結晶性材料が膨張(あるいは収縮)した際の内圧を吸収できるようになっている。
なお、フレキシブルな構造を有する容器は、例えば、厚みが0.5mm〜1mmのアルミニウム板を用いて蛇腹構造とすることにより形成することができる。
【0019】
隔壁30には、現像装置収容部100Bから定着装置収容部100Aへとシートが通過するための隙間34が形成されている。
ペルチェ素子33により、加熱される保温用蓄熱部材31の制御温度としては、内部に収容される結晶性材料(融点が60℃以上100℃以下)が融解している状態(すなわち結晶化エネルギーを蓄えている状態)になるように、結晶性材料の融点より高い温度に制御するのが好ましい。ただし、あまり高すぎるとエネルギーロスが大きくなるので、融点より1〜10℃程度高いことが好ましい。
【0020】
ペルチェ素子33により、冷却される保冷用蓄熱部材32の制御温度としては、内部に収容される結晶性材料(融点が35℃以上45℃以下)が結晶化している状態(すなわち融解エネルギーを吸収できる状態)になるように、結晶性材料の融点より低い温度に制御するのが好ましい。ただし、あまり低すぎるとエネルギーロスが大きくなるので、融点より1〜10℃程度低いことが好ましい。
【0021】
保冷用蓄熱部材32に収容される融点が35℃以上45℃以下の結晶性材料としては、公知の有機化合物や無機化合物が使用できる。具体的な化合物例としては、パルミチン酸メチル(融点30℃)、マルガリン酸メチル(融点30℃)、ステアリン酸アミル(融点30℃)、1,13−トリデカンジカルボン酸ジエチル(融点30℃)、塩化カルシウム6水塩(融点30℃)、硝酸リチウム3水塩(融点30℃)、ステアリン酸プロピル(融点31℃)、n−ノナデカン(融点32℃)、ミリスチン酸テトラデシル(融点32℃)、ステアリン酸オクチル(融点32℃)、ステアリルメチルポリシロキサン(融点32℃)、硫酸ナトリウム10水塩(融点32℃)、ラウリン酸テトラデシル(融点33℃)、炭酸ナトリウム10水塩(融点33℃)、ミリスチルアルコール(融点35℃)、ミリスチン酸ドデシル(融点35℃)、α-テルピネオール (融点36℃)、燐酸水素2ナトリウム12水和物(融点36℃)、ラウリン酸オクタデシル(融点37℃)、n−エイコサン(融点37℃)、ステアリン酸メチル(融点38℃)、1−テトラデカノール(融点38℃)、ミリスチルアルコール(融点38℃)、ミリスチン酸テトラデシル(融点39℃)、フェノール(融点41℃)、パルミチン酸ドデシル(融点41℃)、ドコサン(融点44℃)、N−オクチル−4−メチルピリジニウム(融点44℃)、ヘキサフルオロホスフェート(融点44℃)、アラキジン酸メチル(融点45℃)、N−ヘキシルピリジニウム(融点45℃)、ヘキサフルオロホスフェート(融点45℃)などが使用できる。
保温用蓄熱部材31に収容される融点が60℃以上100℃以下の結晶性材料としては、公知の有機化合物や無機化合物が使用できる。
【0022】
具体的な化合物例としては、オクタデカノール(融点60℃)、エイコサノール(融点60℃)、ドコサノール(融点67℃)、ステアリルアルコール(融点61℃)、パルミチン酸(融点63℃)、ステアリン酸(融点70℃)、フタル酸ジシクロヘキシル(融点65℃)、グリセリンステアレート(融点65℃)、二安息香酸エチレングリコール(融点70℃)、三安息香酸トリメチロールエタン(融点73℃)、1,2−ヒドロキシステアリン酸(融点73℃)、四安息香酸ペンタエリトリット(融点95℃)、八酢酸スクロース(融点89℃)、カテコールジベンゾエート(融点86℃)、フタル酸ジフェニル(融点73℃)、イコサン酸(融点75℃)、オレイン酸アミド(融点75℃)、トリアコンタン酸(融点95℃)、安息香酸スクロース(融点98℃)、ローゼ合金(融点100℃)、ニュートン合金(融点95℃)、ウッド合金(融点65℃)、リポビッツ合金(融点72℃)、ジヘプタデシルケトン(融点80℃)、ステアリン酸アミド(融点100℃)、硝酸亜鉛7水和物(融点100℃)などが使用できる。
【0023】
また、具体的な市販品としては、東ソー社製エチレン酢酸ビニル共重合体ウルトラセン681(融点70℃)日本精蝋社製パラフィンワックスHNP9(融点70℃)、日本精蝋社製パラフィンワックスHNP10(融点75℃)、日本精蝋社製パラフィンワックスHNP190(融点80℃)、加藤洋行社製カルナウバロウワックス(融点85℃)などが使用できる。
【0024】
[定着装置収容部]
定着装置収納部100Aは、図1に示すように、定着装置12と、定着されたシートを排紙トレイ15上に排出する搬送ローラ25bと排紙ローラ25cを収容する。
【0025】
定着装置12は、ヒートローラ81及び加圧ローラ82を備え、これらヒートローラ81及び加圧ローラ82はシートを挟んで回転する。ヒートローラ81は、所定の定着温度となるように制御部(図示せず)によって制御される。この制御部は温度検出器(図示せず)からの検出信号に基づいてヒートローラ81の温度を制御する。
【0026】
ヒートローラ81は、加圧ローラ82とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写されているトナー像を溶融させながら圧接し、シート上に定着させる。なお、トナー像(各色トナー像)が定着されたシートは、搬送ローラ25bと排紙ローラ25cによって反転状態(トナー像を下側に向けた状態)で排紙トレイ15上に排出される。
【0027】
[現像装置収容部]
現像装置収容部100Bは、図1に示すように表面に静電潜像が形成される感光体ドラム3a、3b、3c、3d(以下、感光体ドラム3という)と、感光体ドラム3の表面を帯電させる帯電器5a、5b、5c、5d(以下、帯電器5という)と、感光体ドラム3表面に静電潜像を形成する露光ユニット1と、感光体ドラム3の表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置2と、現像装置2にトナーを補給するトナー補給装置22a、22b、22c、22d(以下、トナー補給装置22という)と、感光体ドラム3の表面のトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルトユニット8を収容している。なお、上記a〜dの符号は、aが黒画像形成用の部材、bがシアン画像形成用の部材、cがマゼンタ画像形成用の部材、dがイエロー画像形成用の部材であることを示したものである。
【0028】
画像形成装置100に入力される黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の色成分毎の画像データに基づいて、4つ感光体ドラム3の各表面に、黒トナー画像、シアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像が形成され、形成された各トナー画像は、中間転写ベルトユニット8上で重ねられ、カラー画像が形成されるようになっている。
また、画像形成装置100には、給紙トレイ10、シート搬送路S、排紙トレイ15が備えられている。
【0029】
感光体ドラム3は、帯電、露光による潜像形成を担う円筒状部材で、光の照射によって導電性を示し、その表面に静電潜像とよばれる電気的な画像を形成する。
感光体ドラム3は、軸線回りに回転駆動が可能となるよう図示しない駆動手段により支持され、図示しない導電性基体と、その表面に形成される感光層とから構成されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるもので、図1に示す接触ローラ型の帯電器の他、接触ブラシ型の帯電器、或いは非接触チャージャー型の帯電器などが使用されることもある。
【0030】
露光ユニット1は、帯電装置5と現像装置2との間を通って感光体ドラム3の表面に、画像データに応じた光を照射するもの露光装置である。この実施形態においては、レーザ照射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を使用しているが、レーザスキャニングユニット以外に、発光素子をアレイ状に並べたEL(エレクトロルミネッセンス)やLED書込みヘッドを露光ユニット1とすることもできる。
【0031】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
現像装置2は、感光体ドラム3に形成された静電潜像をK,C,M,Yのいずれかのトナーにより顕像化する(現像する)ものである。現像装置2は、上部にトナー補給装置22からトナーを受入れるトナー搬送パイプ102(図4)を備えている。なお、詳細については後述する。
【0032】
トナー補給装置22は、現像槽111(図4)よりも上方に配され、未使用トナー(粉体状のトナー)を貯蔵している。トナー補給装置22から現像槽111へトナー搬送パイプ102を介してトナーが供給されるようになっている。なお、詳細については後述する。
クリーナユニット4a,4b,4c,4d(以下、クリーナユニット4という)は、現像及び画像転写工程後に感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。
【0033】
感光体ドラム3の上方には中間転写ベルトユニット8が配置されている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6a,6b,6c,6d(以下、中間転写ローラ6という)、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、図示しない中間転写ベルトテンション機構、及び中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0034】
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構は、中間転写ベルト7を張架し、図1の矢印B方向に中間転写ベルト7を回転駆動させるものである。
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。中間転写ローラ6には感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスが印加されている。
【0035】
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。中間転写ベルト7上には、感光体ドラム3に形成された各色成分のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト7は、厚さが例えば100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0036】
中間転写ローラ6は、直径が例えば8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では、転写電極としてローラ形状のもの(中間転写ローラ6)を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0037】
上述のように各感光体ドラム3上の静電潜像は各色成分に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト7上に重ねて合わされ積層される。このように、積層されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって、搬送されてきた用紙と中間転写ベルト7との接触位置(転写部)に移動し、この位置に配置されている転写ローラ11によって用紙上に転写される。この場合、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナー像を用紙に転写させるための電圧が印加される。この電圧は、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
【0038】
上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方は金属等の硬質材料から形成され、他方は弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)から形成される。
中間転写ベルト7と感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、及び中間転写ベルト7から用紙へのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。
【0039】
中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触するクリーニングブレード(クリーニング部材)が備えられている。中間転写ベルト7におけるクリーニングブレードに接触している部分は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72にて支持されている。
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシート(例えば記録用紙)を蓄積しておくためのものであり、画像形成部及び露光ユニット1の下側に設けられている。一方、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのものである。
【0040】
図2はトナー補給装置の概略構成を示す断面図、図3は図2のC−C矢視断面図である。
トナー補給装置22は、図2に示すように、トナー収容容器121、トナー攪拌部材125、トナー排出部材122およびトナー排出口123を含む。トナー補給装置22は、現像槽111(図4)の上側に配され、未使用トナー(粉体状のトナー)を貯蔵している。トナー補給装置22内のトナーはトナー排出部材(排出スクリュー)122を回転させることによって、トナー排出口123からトナー搬送パイプ102を介して現像槽111(図4)へ供給されるようになっている。
【0041】
トナー収容容器121は、内部空間を有するほぼ半円筒状の容器部材であり、トナー攪拌部材125、トナー排出部材122を回転自在に支持し、トナーを収容する。トナー排出口123は、トナー排出部材122の下部、軸方向中央部よりに設けられる略長方形の開口部であり、トナー搬送パイプ102を臨む位置に配置される。
【0042】
トナー攪拌部材125は、回転軸125aを中心に回転することにより、トナー収容容器121内に収容されるトナーを攪拌しながら、トナー収容容器121内のトナーを汲み上げてトナー排出部材122へ搬送する板状の部材で、先端にトナー汲み上げ部材125bを備える。トナー汲み上げ部材125bは、可撓性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)シートからなり、トナー攪拌部材125の両端に取付けられる。
【0043】
トナー排出部材122は、トナー収容容器121内のトナーをトナー排出口123から現像槽111(図4)に供給するもので、図3に示すように、トナー搬送羽根122aとトナー排出部材回転軸122bとを含むオーガスクリュー、並びにトナー排出部材回転ギア122cで構成されている。トナー排出部材122は、図示しないトナー排出部材駆動モータによって回転駆動されるようになっている。オーガスクリューの向きは、トナー排出部材122の軸方向両端からトナー排出口123側に向けて、トナーが搬送されるように設定されている。
【0044】
トナー排出部材122とトナー攪拌部材125との間には、トナー排出部材隔壁124が設けられる。これによって、トナー攪拌部材125によって汲み上げられたトナーがトナー排出部材122の周辺に適量のトナーを保持できる。
トナー攪拌部材125は、図2に示すように、矢印Z方向に回転してトナーを攪拌し、トナー排出部材122の方へ汲み上げる。このとき、トナー汲み上げ部材125bは、その可撓性によって、トナー収容容器121の内壁に沿って摺動して変形しつつ回転し、トナーをトナー排出部材122側に供給する。そして、トナー排出部材122が回転することにより、供給されたトナーをトナー排出口123へと導くようになっている。
【0045】
(現像装置)
図4は現像装置の構成を示す断面図、図5は図4のA−A矢視断面図、図6は図4のB−B矢視断面図である。
現像装置2は、図4に示すように、現像槽111内に、感光体ドラム3と対向するように配置された現像ローラ114を有し、現像ローラ114によって感光体ドラム3の表面にトナーを供給して、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を顕像化する(現像する)装置である。
【0046】
現像装置2は、現像ローラ114の他に、現像槽111、現像槽カバー115、トナー補給口115a、ドクターブレード116、第1攪拌搬送部材112、第2攪拌搬送部材113、仕切り板(仕切り壁)117、トナー濃度検知センサ(透磁率センサ)119を備えている。
【0047】
現像槽111は、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤(以下、単に「現像剤」と称する)を収容する槽である。また、現像槽111には、現像ローラ114、第1攪拌搬送部材112、第2攪拌搬送部材113等が配設されている。なお、この実施形態のキャリアは、磁性を有する磁性キャリアである。
【0048】
現像ローラ114は、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動するマグネットローラであり、現像槽111の現像剤を表面に汲み上げて担持し、表面に担持している現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム3に供給するものである。
また、現像ローラ114は、感光体ドラム3に対向し、感光体ドラム3に対して間隙を有して離隔するように設けられる。現像ローラ114で搬送される現像剤は最近接部分で感光体ドラム3と接触する。この接触領域が現像ニップ部Nであり、現像ニップ部Nでは、現像ローラ114に接続される図示しない電源から現像ローラ114に対して現像バイアス電圧が印加され、現像ローラ114表面の現像剤から感光体ドラム3表面の静電潜像へトナーが供給される。
【0049】
現像ローラ114の表面に近接する位置にはドクターブレード116が配されている。ドクターブレード116は、現像ローラ114の軸線方向に平行に延びる長方形の板状部材であり、その短手方向の一端が現像槽111によって支持され、先端が現像ローラ114表面に対して間隙を有して離隔している。ドクターブレード116の材料としては、ステンレス鋼が使用できるが、アルミニウムや合成樹脂なども使用できる。
【0050】
第1攪拌搬送部材112は、図5に示すように、螺旋状の第1搬送羽根(螺旋羽根)112aと第1回転軸112bからなる螺旋状のオーガスクリューと、第1搬送ギア112cにより構成されている。第1攪拌搬送部材112は、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動することにより現像剤を攪拌すると共に搬送するようになっている。
第1搬送羽根112aは、第1A螺旋羽根112aaと、第1B螺旋羽根112abからなる2重螺旋構造の2重螺旋羽根である。
【0051】
第1A螺旋羽根112aaと第1B螺旋羽根112abは、ともに同じ螺旋ピッチで形成されている。また、第1A螺旋羽根112aaと第1B螺旋羽根112abとの位相差は180度となっている。ここで、位相差とは、第1攪拌搬送部材112を現像剤搬送方向上流側から第1回転軸112bの軸線方向を見て、第1A螺旋羽根112aaを時計回りに回転させる時、第1B螺旋羽根112abに重なる時の角度をいう。
【0052】
第2攪拌搬送部材113は、図5に示すように、螺旋状の第2搬送羽根(螺旋羽根)113aと第2回転軸113bからなる螺旋状のオーガスクリューと、第2搬送ギア113cにより構成されている。第2攪拌搬送部材113は、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動することにより現像剤を攪拌すると共に搬送するようになっている。
【0053】
第2搬送羽根113aは、第2A螺旋羽根113aaと、第2B螺旋羽根113abからなる2重螺旋構造の2重螺旋羽根である。
第2A螺旋羽根113aaと第2B螺旋羽根113abは、ともに同じ螺旋ピッチで形成されている。また、第2螺旋羽根113aaと第2第1B螺旋羽根113abとの位相差は180度となっている。
【0054】
トナー濃度検知センサ119は、第2攪拌搬送部材113の鉛直方向下方の現像槽111の底面の現像剤搬送方向の略中央部に装着され(図4参照)、センサ面が現像槽111の内部に露出するように設けられる。トナー濃度検知センサ119は図示しないトナー濃度制御手段に電気的に接続される。トナー濃度制御手段は、トナー濃度検知センサ119が検知するトナー濃度測定値に応じて、図3に示すように、トナー排出部材122を回転駆動させ、トナー排出口123を介して現像槽111内部にトナーを供給するように制御する。
【0055】
トナー濃度検知センサ119によるトナー濃度測定値がトナー濃度設定値よりも低いと判定すると、トナー排出部材122を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送り、トナー排出部材122を回転駆動させる。トナー濃度検知センサ119には一般的なトナー濃度検知センサを使用でき、たとえば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどが挙げられる。この実施形態では、透磁率検知センサが用いられる。
【0056】
透磁率検知センサには図示しない電源が接続される。電源は、透磁率検知センサを駆動させるための駆動電圧およびトナー濃度の検知結果を制御手段に出力するための制御電圧を透磁率検知センサに印加する。電源による透磁率検知センサへの電圧の印加は、制御手段によって制御される。透磁率検知センサは、制御電圧の印加を受けてトナー濃度の検知結果を出力電圧値として出力する型式のセンサであり、基本的に出力電圧の中央値近傍の感度がよいため、その付近の出力電圧が得られるような制御電圧を印加して用いられる。このような型式の透磁率検知センサは市販されており、たとえば、TS−L、TS−A、TS−K(いずれも商品名、TDK(株)社製)などが挙げられる。
【0057】
また、現像槽111の上側には、図4に示すように、取り外し可能な現像槽カバー115が設けられている。さらに、現像槽カバー115には、現像槽111内に未使用のトナーを補給するためのトナー補給口115aが形成されている。
そして、図1に示すように、トナー補給装置22に収容されているトナーは、トナー搬送パイプ102及びトナー補給口115aを介して現像槽111内に移送され、これにより現像槽111にトナーが補給されるようになっている。
【0058】
図4,図5に示すように、現像槽111には、第1攪拌搬送部材112と第2攪拌搬送部材113との間に仕切り板117が配設されている。仕切り板117は、第1攪拌搬送部材112及び第2攪拌搬送部材113の各軸方向(各回転軸方向)に平行に延設されている。現像槽111の内部は、仕切り板117によって、第1攪拌搬送部材112が配されている第1搬送路Pと、第2攪拌搬送部材113が配されている第2搬送路Qとに区画される。
【0059】
仕切り板117は、第1攪拌搬送部材112及び第2攪拌搬送部材113の各軸方向の両端部において、現像槽111の内側の壁面から離間して配置されている。これにより、現像槽111には、第1攪拌搬送部材112及び第2攪拌搬送部材113の各軸方向の両端部付近において、第1搬送路Pと第2搬送路Qとを連通する連通路が形成されている。以下では、図5に示されるように、矢印X方向側に形成されている連通路を第1連通路a、矢印Y方向側に形成されている連通路を第2連通路bと称する。
【0060】
第1攪拌搬送部材112及び第2攪拌搬送部材113は、互いの周面同士が仕切り板117を介して対向するように且つ互いの軸同士が平行になるように並列され、互いに逆方向に回転するように設定されている。そして、第1攪拌搬送部材112は、図5に示すように、矢印X方向に現像剤を搬送し、第2攪拌搬送部材113は、矢印X方向とは逆の矢印Y方向に現像剤を搬送するように設定されている。
トナー補給口115aは第1搬送路P内の領域であり且つ第2連通路bよりも矢印X方向側の位置に形成されている。つまり、第1搬送路Pにおいて、第2連通路bの下流側にトナーが補給されることになる。
【0061】
現像槽111において、第1攪拌搬送部材112及び第2攪拌搬送部材113は、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動し、現像剤を搬送する。
具体的には、第1搬送路Pにおいて、現像剤は、第1攪拌搬送部材112によって攪拌されながら矢印X方向へ搬送され、第1連通路aに到達する。第1連通路aに到達した現像剤は、第1連通路aを通過して第2搬送路Qへ搬送される。
【0062】
一方、第2搬送路Qにおいて、現像剤は、第2攪拌搬送部材113によって、攪拌されながら矢印Y方向へ搬送され、第2連通路bに到達する。そして、第2連通路bに到達した現像剤は、第2連通路bを通過して第1搬送路Pへ搬送される。
つまり、第1攪拌搬送部材112と第2攪拌搬送部材113とは、互いに逆方向に現像剤を攪拌しながら搬送する。
【0063】
このようにして、現像剤は、現像槽111において、第1搬送路Pと第1連通路aと第2搬送路Qと第2連通路bとを、第1搬送路P→第1連通路a→第2搬送路Q→第2連通路b、という順序にて循環移動することになる。そして、現像剤は、第2搬送路Qにて搬送されている間に、現像ローラ114の回転にてその表面に担持されて汲み上げられ、汲み上げられた現像剤中のトナーが感光体ドラム3へと移動して、順次消費されていく。
このように消費されるトナーを補うべく、未使用のトナーがトナー補給口115aから第1搬送路Pへ補給される。補給されたトナーは第1搬送路Pにおいて従前より存在する現像剤と混合攪拌される。
【0064】
(シート搬送路)
図1に示すように、画像形成装置100には、給紙トレイ10のシート及び手差しトレイ20のシートを転写部や定着装置12を経由させて排紙トレイ15に案内するためのシート搬送路Sが設けられている。なお、転写部は中間転写ベルト駆動ローラ71と転写ローラ11との間に位置する。
さらに、シート搬送路Sには、ピックアップローラ16a,16b、レジストローラ14、転写部、定着装置12、搬送ローラ25a〜25f等が配置されている。
【0065】
搬送ローラ25a〜25fは、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16aは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。ピックアップローラ16bは、手差しトレイ20の近傍に備えられ、手差しトレイ20からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持し、中間転写ベルト7上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写部に搬送するものである。
次に、シート搬送路Sによるシート搬送動作について説明する。
【0066】
画像形成装置100には、図1に示すように、上述したように予めシートを収納する給紙トレイ10、及び少数枚の印字を行う場合等に使用される手差しトレイ20が配置されている。これら両トレイには各々ピックアップローラ16a,16bが配置され、これらピックアップローラ16a,16bによってシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給するようになっている。
【0067】
給紙トレイ10から搬送されるシートは、シート搬送路S中の搬送ローラ25aによってレジストローラ14まで搬送され、レジストローラ14によりシートの先端と中間転写ベルト7上の積層されたトナー像の先端とが整合するタイミングで転写部(転写ローラ11と中間転写ベルト7との接触位置)に搬送される。転写部ではシート上にトナー像が転写され、このトナー像は定着装置12にてシート上に定着される。その後、シートは、搬送ローラ25bから排紙ローラ25cを経て、排紙トレイ15上に排出される。
【0068】
また、手差しトレイ20から搬送されるシートは、複数の搬送ローラ25(25f,25e,25d)によってレジストローラ14まで搬送される。それ以降のシート搬送動作は、上述した給紙トレイ10から供給されるシートと同様の経過を経て排紙トレイ15に排出される。
【0069】
[変形例]
図8は、前述の隔壁30(図7)の変形例としての隔壁230を示す断面図である。隔壁230は、6個のペルチェ素子233と、ペルチェ素子233の定着装置収容部100A側に設けられる保温用蓄熱部材231と、ペルチェ素子233の現像装置収容部100B側に設けられる保冷用蓄熱部材232からなるサンドイッチ構造の板状の部材で、6個のペルチェ素子233に対して交互に7個の断熱材234が配列されている。断熱材234の作用により、ペルチェ素子233への通電停止後において、定着装置12から現像装置2への熱伝導の遮断効果を高めることができる。
【0070】
ペルチェ素子233には、図示しない電源が電気配線で接続されており、保温用蓄熱部材231側を加熱し、保冷用蓄熱部材232を冷却する向きに電流が流れるようになっている。ペルチェ素子233により現像装置側から定着装置側へ熱を移動させることにより、定着装置12の加熱および保温、並びに現像装置2の冷却および保冷を効率的に行ことができる。
【0071】
保温用蓄熱部材231の表面には、2つの保温用蓄熱部材温度センサ241が設けられ、保温用蓄熱部材231の温度を検知し、また保冷用蓄熱部材232の表面には、2つの保冷用蓄熱部材温度センサ242が設けられ、保冷用蓄熱部材232の温度を検知する。保温用蓄熱部材231および保冷用蓄熱部材232の温度をモニタしながら、ペルチェ素子233への電流量を制御することにより、過度の加熱や冷却を防止できる。
【0072】
保温用蓄熱部材231は、融点が60℃以上100℃以下の結晶性材料が、銅板またはアルミニウム板からなる中空の薄箱状の結晶性材料収容器に収容されている。保冷用蓄熱部材232は、融点が35℃以上45℃以下の結晶性材料が、銅またはアルミニウムからなる中空の板状の結晶性材料収容器に収容されている。結晶性材料収容器が、ペルチェ素子233の反対側(外側)へ膨らむ(あるいは凹む)ことのできる前述のフレキシブルな構造となっており、結晶性材料が膨張(あるいは収縮)した際の内圧を吸収できるようになっている。また、断熱材234には、発泡スチロールなどを使用することができる。
【0073】
隔壁230には、現像装置収容部100Bから定着装置収容部100Aへとシートが通過するための隙間234が形成されている。
ペルチェ素子233により、加熱される保温用蓄熱部材231の制御温度としては、内部に収容される結晶性材料(融点が60℃以上100℃以下)が融解している状態(すなわち結晶化エネルギーを蓄えている状態)になるように、結晶性材料の融点より高い温度に制御するのが好ましい。ただし、あまり高すぎるとエネルギーロスが大きくなるので、融点より1〜10℃程度高いことが好ましい。
【0074】
ペルチェ素子233により、冷却される保冷用蓄熱部材232の制御温度としては、内部に収容される結晶性材料(35℃以上45℃以下)が結晶化している状態(すなわち融解エネルギーを吸収できる状態)になるように、結晶性材料の融点より低い温度に制御するのが好ましい。ただし、あまり低すぎるとエネルギーロスが大きくなるので、融点より1〜10℃程度低いことが好ましい。
【符号の説明】
【0075】
1 露光ユニット
2 現像装置
3 感光体ドラム
5 帯電器
8 中間転写ベルトユニット
12 定着装置
22 トナー補給装置
30 隔壁
31、231 保温用蓄熱部材
32、232 保冷用蓄熱部材
33、233 ペルチェ素子
234 断熱材
100 画像形成装置
111 現像槽
112 第1攪拌搬送部材
113 第2攪拌搬送部材
D 現像剤
P 第1搬送路
Q 第2搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着装置と、現像装置と、定着装置と現像装置との間に設けられた隔壁とを備え、
前記隔壁が、現像装置側から定着装置側へ熱を移動させるペルチェ素子を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記隔壁が、保冷用蓄熱部材を備え、保冷用蓄熱部材がペルチェ素子に対して現像装置側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記隔壁が、保温用蓄熱部材とを備え、保温用蓄熱部材がペルチェ素子に対して定着装置側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記保冷用蓄熱部材が、融点が35℃以上45℃以下の結晶性材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保温用蓄熱部材が、融点が60℃以上100℃以下の結晶性材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
結晶性材料が、銅板またはアルミニウム板からなる容器に収容されていることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記容器が、容積可変構造であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−133643(P2011−133643A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292578(P2009−292578)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】