説明

画像形成装置

【課題】作像する画像の画像面積率や感光体の疲労状況が変化しても異常画像の残像現象を生じることなく、長期にわたって良好な画像を形成する画像形成装置を提供することである。
【解決手段】感光体11と、感光体11の表面を帯電する帯電装置12と、感光体11表面電位を計測する表面電位計測手段111と、記録媒体6にトナーの帯電極性と逆極性の電荷を付与してトナー像を転写させる転写装置20と、を有する画像形成装置において、転写電圧制御手段は、定電圧制御であり、所定の電位を印加して画像形成を行う画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置及び、これに採用されるプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、表面移動する感光体表面をマイナス極性に帯電させた後、露光して静電潜像を形成し、現像装置で静電潜像にマイナス極性のトナーを供給することで感光体表面上にトナー像を形成するものが知られている。
そして、感光体表面上に形成されたトナー像を、中間転写体や記録体など転写部材が、記録紙等の記録媒体を挟んで転写部材と感光体とが対向する転写部で、記録媒体の表面に転写する。
トナー像を記録媒体に転写した後の感光体表面はクリーニング装置で転写残トナーを除去し、次の画像形成に備えられる。
転写部を形成する転写部材を備える転写装置は、プラス極性の転写電圧を転写部材に印加する転写電圧制御手段を備える。そして、転写部材にプラス極性の転写電圧を印加することにより、転写部では感光体と転写部材との間に転写電界が形成され、マイナス極性のトナーが感光体表面から記録媒体に移動し、トナー像の転写が成立する。
【0003】
しかし、電子写真方式で画像を形成する画像形成装置では、感光体上のトナー像を形成しているトナーの全部が完全に転写するのは困難であり、感光体上には未転写のトナー像が残る残像現象が表れる。
図1は、残像現象が表れやすい原稿のパターンの一例を示す図である。例えば、図1に示すように、原稿のパターンは、明暗のはっきりしたベタ画像(ここでは「R」で表している。)に次いで、一定の大きさのハーフトーン画像(ここでは矩形で表している。)を有している。
図2は、残像現象が表れた画像パターンの一例を示す模式図である。図2に示すように、ハーフトーン画像が本来なら一様で均一な画像とならなければならない画像の中に、ハーフトーン画像の前にプリントした画像パターン「R」が浮き出てしまうことがある。このような残像現象が表れた画像劣化の異常画像は、「ポジ残像」あるいは「ポジゴースト」と称されている。特に、高画質の品質が要求されるフルカラー画像を形成する画像形成装置では、このような画像劣化を抑制する必要がある。さもないと、ベタ画像、ハーフトーン画像が繰り返し表れるフルカラー画像では、このような画像劣化が高い頻度で表れることになる
図3は、残像現象が表れた画像パターンの他の例を示す模式図である。これとは逆に、ハーフトーン画像部に、この前に画像形成された画像パターンが薄い濃度で識別される画像劣化の異常画像を「ネガ残像」または「ネガゴースト」と称されている。同様に、高画質の品質が要求されるフルカラー画像を形成する画像形成装置では、このような画像劣化を抑制する必要がある。
【0004】
残像現象は、幾つかの機構が考えられる。一つとして、例えば特許文献1(段落番号:[0002]〜[0006])では、感光体表面電位の不均一によってもたらされると解釈することができる。
図4は、潜像形成、現像、転写後、再帯電後の各工程における感光体表面電位の変化を模式的に示す図である。この場合、図4(a)の潜像形成時に、感光体表面を一様に−700Vに帯電した後、画像情報を露光させる(矢印は露光箇所を示す)。露光部分の電位を大凡0Vとしている。
そして、図4(b)の現像時に、現像ポテンシャルと感光体表面との電位差に応じて、トナーを感光体表面に付着させて現像する。次いで、転写時には記録媒体側をプラスに帯電させてトナー像を感光体から記録媒体へ転写させる。
図4(c)または図4(d)のように、転写手段によって感光体に逆バイアスが印加された場合、転写後の感光帯表面電位は全体にプラス方向に遷移するが、トナーが付着している画像部と、トナーが存在しない非画像部の感光帯表面電位は均一とはならない。その原因は、露光の有無によって転写前の感光体表面電位が異なること、トナーの有無によって転写電流の流れ易さが異なること、露光部分は内部に電荷キャリアが発生していることなどである。
【0005】
その結果として、図4(c)のように画像部がプラス寄りとなった場合は、帯電手段によって感光帯表面を一様にマイナス帯電しても、プラス寄りとなった部分の表面電位が帯電後も図4(e)のようにプラス寄りとなる。プラス方向に遷移した部分は他の部分よりも現像ポテンシャル差が大きくなるため、見かけ上の増感が生じて濃いトナー像が形成されてしまう。この部分がポジ残像として識別されることとなる。
一方、図4(d)のように画像部がマイナス寄りとなった場合は、マイナス寄りとなった部分の表面電位が次の帯電後も図4(f)のようにマイナス寄りとなるため、現像ポテンシャル差が小さくなり、他の部分よりも薄いトナー像が形成されてしまう。この部分はネガ残像として識別される。なお、帯電極性が逆の場合でも正負が入れ替わるだけなので原理は同じである。
【0006】
残像現象は多くの要因が存在するが、最も大きな要因は転写バイアスである。そこで、転写電流を制御することで残像を抑制しようという試みがなされている。(例えば特許文献2〜5)。しかしこれらの方法で残像の良好な値へと転写電流を制御しても、作像する画像面積率が変化すると、転写時に感光体と記録媒体との間に介在するトナーの量が変わるため、画像部および非画像部へ流入する転写電流の量も変動して画像部及び非画像部の電位が変わってしまい、残像の発生してしまうことがある。また、温湿度環境や感光体の疲労状況によっても残像の発生条件が変わるため、残像を十分に抑制することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の問題を鑑み、本発明の目的は、作像する画像の画像面積率や感光体の疲労状況が変化しても異常画像の残像現象を生じることなく、長期にわたって良好な画像を形成する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、像担持体の表面を帯電する帯電手段と、像担持体表面電位を計測する表面電位計測手段と、像担持体の表面を露光し静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像を像担持体の帯電極性と同極性に帯電されたトナーで可視化し、トナー像を形成させる現像手段と、記録媒体にトナーの帯電極性と逆極性の電荷を付与してトナー像を転写させる転写手段と、該転写手段の転写部材に印加する転写電圧を制御する転写電圧制御手段を有する画像形成装置において、前記転写電圧制御手段は、定電圧制御であり、転写電圧を所定の値ずつ増加または減少させながら、それぞれの転写電圧で、黒ベタ画像を形成した像担持体表面領域の再帯電後の帯電電位VD1と、画像を形成しなかった像担持体表面領域の再帯電後の帯電電位VD2を、前記表面電位計測手段により計測し、式(I)で表される電位差ΔVDの値の正負が変わる場合、
その変わる前後の二点の転写電圧VTi、VTjが存在し、その時の電位差ΔVDがΔVDi、ΔVDjであった場合、転写電圧VTは式(II)で表される値に制御され、
電位差ΔVDの正負の変化がない場合、電位差ΔVDの絶対値が最小となる転写電圧VTに制御されることを特徴とする。
(I)ΔVD=VD1−VD2
(II)VT=(VTi×ΔVDj−ΔVDi×VTj)/(ΔVDj−ΔVDi)
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記転写部材が、転写ローラであることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記転写手段が、像担持体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー像を記録媒体上に二次転写することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記画像形成装置が複数の像担持体を配設し、それぞれの像担持体上に現像されたトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、さらに、少なくとも像担持体と像担持体表面電位を計測する表面電位計測手段を一体に支持し、画像形成装置に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の画像形成装置によれば、長期にわたり残像の発生しない高画質な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】残像現象が表れやすい原稿のパターンの一例を示す図である。
【図2】残像現象が表れた画像パターンの一例を示す模式図である。
【図3】残像現象が表れた画像パターンの他の例を示す模式図である。
【図4】潜像形成、現像、転写後、再帯電後の各工程における感光体表面電位の変化を模式的に示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、画像形成装置の主要部分を示す図である。
【図6】転写電圧VTとメモリ電位ΔVDの関係を示す図である。
【図7】本発明のプロセスカートリッジの構成を示す概略図である。
【図8】本発明の画像形成装置の別の構成を示す概略図である。
【図9】本発明の画像形成装置の別の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の画像形成装置の別の構成を示す概略図である。
【図11】本発明の画像形成装置の全体の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0013】
以下、図面に沿って本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図5は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、画像形成装置の主要部分を示す図である。
図5に示すように、本発明の画像形成装置では、像担持体である感光体11の周囲に、感光体11を帯電させるための帯電手段である帯電装置12、帯電した感光体11に静電潜像を形成する露光装置19からのレーザ光、感光体11上の静電潜像をトナーで可視化する現像装置13、感光体11上の可視化されたトナー像を記録媒体6又は中間転写体である中間転写ベルト21に転写する転写ローラ23、感光体11上に残っている未転写のトナーをクリーニングするクリーニング装置14、次の画像形成工程のためにクリーニングされた感光体11の残留した電荷又は電位を消去する除電装置15が設けられている。この他に、本発明の画像形成装置では、帯電した感光体11の表面電位を計測する表面電位計測手段111が設けられている。
【0014】
さらに、詳細には、感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
また、帯電装置12は、コロトロン、スコロトロン固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
露光手段19、除電手段15等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。特に、潜像を形成するための光源には、半導体レーザー(LD)が好ましい。発光等の制御が容易であり、光の指向性が高く精度の高い潜像を形成することができる。また、除電手段15には、エレクトロルミネッセンス(EL)が好ましい。消費電力が小さく、耐久性がある。
現像手段である現像装置13により感光体11上に現像されたトナー131は、記録紙等の記録媒体6に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体11上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング手段であるクリーニング装置14により、感光体11より除去される。クリーニング装置14は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。
【0015】
転写手段である転写装置20には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の帯電部材を使用できる。特に、転写部材としては、帯電ローラが好ましい。オゾンの発生が少なく、また、耐久性が長く、長期にわたって安定して感光体11を帯電させることができる。
これらには、転写電源26が接続されている。転写装置20における転写バイアスの印加方式としては、電圧値を一定にする定電圧制御と、電流値を一定にする定電流制御とがある。しかし、本発明の画像形成装置1では、図示しない画像形成装置1内部の制御部からの信号によって、定電圧制御手段261で転写電源26を定電圧制御とすることで、作像する画像面積に依らず感光体表面電位を一定にできるため好ましい。また、定電流制御に比べて、用いる装置が低コストにできるというメリットもある。なお、定電圧制御手段261は独立して設けられるのではなく、画像形成装置1の制御部に含まれ、また、制御部の一部で同じ基板に設けられるものであってもよい。
また、表面電位計測手段111を有しており、制御部(図示せず)において、表面電位計測手段111から得られた情報を元に定電圧制御手段261で転写電源26の転写電圧を制御する。この制御は通常の印刷動作時以外で行われる。
【0016】
この制御においてはまず通常の印刷動作同様、感光体11を帯電工程、露光工程、現像工程における現像で、黒ベタの一定の面積を有するソリッド部(以下、「パッチ」と記す。)を感光体11上に形成し、直接転写方式の場合には直接に紙搬送手段で搬送されてくる記録媒体6上に、中間転写方式の場合には無端状のベルト、または、回転する円筒状のドラム等で構成される中間転写体に転写する。
この動作により表面電位計測手段111においては、図4(e)または図4(f)の様な電位を得る。ここから、パッチを形成した部分の表面電位VD1と形成しなかった部分の表面電位VD2の電位差(メモリ電位)ΔVDを測定する。
(I) ΔVD=VD1−VD2
パッチを形成した部分と形成しなかった部分は、露光装置19のレーザ光が照射する感光体11の位置と表面電位計測手段111の角度及び感光体11の回転速度により、露光のタイミングからの時間を計算することで導きだし、感光体11上の所定の部分の表面電位を測定することができる。
【0017】
図6は、転写電圧VTと電位差ΔVDとの関係を示すグラフである。
この動作を所定の範囲内の複数の転写電圧で行うことで、図6のような、転写電圧VTに対する電位差ΔVDのグラフを得ることができる。したがって、この場合には、小さい面積のパッチを形成する露光部とレーザ光を露光しない非露光部を繰り返し設け、さらに、帯電装置12の帯電電圧と露光部/非露光部との位置関係を捉えながら、定電圧制御手段261で転写電圧を変化させる。したがって、感光体11を少なくとも2回転させることで、図6に示すグラフを作成することができる。
図6に示すように、転写電圧VTを大きくしていくと、電位差ΔVDの値が正から負へ(または負から正へ)変化する点が存在する。このように、電位差ΔVDの値の正負が反転する前後の二点の転写電圧がVTi、VTjとする場合、転写電圧VTiの時の電位差ΔVDをΔVDi、転写電圧VTjの時の電位差ΔVDをΔVDjとすると、転写電圧VTは(II)式で表される値に制御される。
(II)VT=(VTi×ΔVDj−ΔVDi×VTj)/(ΔVDj−ΔVDi)
また、電位差ΔVDの正負の変化がない場合は、電位差ΔVDの絶対値が最小となる転写電圧VTに設定する。
(II)式で表される転写電圧VTは、電位差ΔVDをゼロ近傍にする転写電圧を示していて、この転写電圧VTに制御することで、露光部の再帯電後の表面電位VD1と非露光部の再帯電後の表面電位VD2を均一にし、ポジ残像、ネガ残像のいずれも発生させることなく、良好な画像を得ることができる。
さらに、(I)式で表される電位差ΔVDに、正負の変化がない場合は、電位差ΔVDの絶対値が最小となる転写電圧VTに設定する。この転写電圧VTに制御することで、露光部と非露光部の再帯電後の電位のムラを最小にし、ネガ残像、ポジ残像の発生を最小限に抑制することができる。
このように転写電圧VTを、定電圧制御手段261で最適値に制御することによって、ネガ残像/ポジ残像のいずれも発生することなく、また温湿度環境の変動や感光体の疲労により状況が変化しても、残像の発生を最小限に抑えることが可能となる。
このような制御は、画像形成装置1の起動時又は画像形成装置1の外部からの指示があった時に実行することが望ましく、また所定間隔毎(所定の印刷枚数毎など)に行っても良い。これによって、ポジ残像/ネガ残像のような異常画像の発生を防止して、高品位の画像を得ることができる。。
【0018】
以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジ10の形で、画像形成装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジ10とは、感光体11を備えていて、画像形成装置1に対して着脱可能になっている。さらに、本発明のプロセスカートリッジ10は、像担持体表面電位を計測する表面電位計測手段111を一体に支持している。感光体11と表面電位計測手段111とを一体にすることで、精度の高い表面電位の測定をすることができる。
また、本発明のプロセスカートリッジ10は、他に帯電装置12、露光装置19、現像装置13、転写装置20、クリーニング装置14、除電装置15を有することがある。
図7は、本発明のプロセスカートリッジの構成を示す概略図である。プロセスカートリッジ10の形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図7に示すものが挙げられる。感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。図7のプロセスカートリッジにおいても表面電位計測手段111を有しており、定電圧制御手段261で転写電源26の転写電圧制御を行う。
【0019】
図8は、本発明の画像形成装置の別の構成を示す概略図である。この画像形成装置1では、感光体11の周囲に帯電装置12、露光装置19、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の各色トナー毎の現像装置13Bk,13C,13M,13Y、中間転写体である中間転写ベルト21、クリーニング装置14が順に配置されている。ここで、図中に示すBk、C、M、Yの添字は上記のトナーの色に対応し、必要に応じて添字を付けたり適宜省略する。表面電位計測手段111を露光された後に、設けて有しており、前述の転写電圧制御を行う。
【0020】
各色の現像装置13Bk,13C,13M,13Yは各々独立に制御可能となっており、画像形成を行なう色の現像装置13Bk,13C,13M,13Yのみが駆動される。感光体11上に形成されたトナー像は中間転写ベルト21の内側に配置された第1の転写手段である一次転写ローラ23により、中間転写ベルト21上に転写される。一次転写ローラ23は、感光体11に対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト21を感光体11に当接させる。各色の画像形成を順次行ない、中間転写ベルト21上で重ね合わされたトナー像は第2の転写手段である二次転写ローラ25により、記録媒体6に一括転写された後、定着手段となる定着装置50により定着されて画像が形成される。二次転写ローラ25も中間転写ベルト21に対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト21に当接する。
【0021】
転写ドラム方式の画像形成装置1では、転写ドラム21aに静電吸着させた記録媒体6に各色のトナー像を順次転写するため、厚紙にはプリントできないという記録媒体6の制限があるのに対し、中間転写ベルト21を備える中間転写方式の画像形成装置1では中間転写体21上で各色のトナー像を重ね合わせるため、記録媒体6の制限を受けない。このような中間転写方式は、いずれの画像方式の画像形成装置に適用することができる。
【0022】
図9は、本発明の画像形成装置の別の構成を示す概略図である。
この画像形成装置は、いわゆるタンデム型と呼ばれ、トナーとしてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色を用いるタイプとされ、各色毎に画像形成部が並列に配設されている。
また、各色毎の感光体11Y,11M,11C,11Bkが設けられている。各感光体11Y,11M,11C,11Bkの周りには、帯電装置12Y,12M,12C,12Bk、露光装置19Y,19M,19C,19Bk、現像装置13Y,13M,13C,13Bk、クリーニング装置14Y,14M,14C,14Bk等が配設されている。また、直線上に配設された各感光体11Y,11M,11C,11Bkの各転写位置に接離する転写材担持体としての搬送転写ベルト24が駆動手段となっている駆動ローラ211とそれらを支持する支持ローラ212にて掛け渡されている。この搬送転写ベルト24を挟んで各感光体11Y,11M,11C,11Bkに対向する転写位置には一次転写ローラ23Y,23M,23C,23Bkが配設されている。
【0023】
図10は、本発明の画像形成装置の別の構成を示す概略図である。
この画像形成装置は、いわゆるタンデム型と呼ばれ、さらに、中間転写体として中間転写ベルト21を有する中間転写方式である。各色毎の感光体11M,11C,11Y,11Bkが設けられている。各感光体11M,11C,11Y,11Bk上に形成されたトナー像は中間転写ベルト21の内側に配置された一次転写ローラ23により、中間転写ベルト21上に転写される。各感光体毎11M,11C,11Y,11Bkに配置されている一次転写ローラ23は、感光体11M,11C,11Y,11Bkに対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト21を感光体11M,11C,11Y,11Bkに当接させる。各色の画像形成を順次行ない、中間転写ベルト21上で重ね合わされたトナー像は二次転写ローラ25により、記録媒体6に一括転写された後、定着装置50により定着されて画像が形成される。二次転写ローラ25も中間転写ベルト21に対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト21に当接する。
図9、図10の装置においても表面電位計測手段111を有しており、各感光体11M,11C,11Y,11Bk毎に前述の転写電圧制御を行う。
【0024】
図11は、本発明の画像形成装置の構成を表す概略図である。
本発明の画像形成装置1の画像形成動作に関して説明する。画像形成の主要部は、図10に示している。なお、最下部には画像形成する記録媒体6を収納する給紙部2、画像形成手段10等を備えて画像を形成する画像形成部3、原稿を読み取るスキャナ部4、原稿を自動的に搬送する原稿自動搬送装置(ADF)5を備えている。画像形成部3には、中央に、中間転写体としての中間転写ベルト21を設ける転写装置20を備える。この中間転写ベルト21は、3つのローラのうち、図示しないモータからの駆動を受けて中間転写ベルト21を駆動する駆動ローラ211と、中間転写ベルト21を支持する支持ローラ212、213に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのなかで支持ローラ213の左に、画像転写後に中間転写ベルト21上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置22を設ける。
また、3つのなかで第2の支持ローラ212と第3の支持ローラ213間に張り渡した中間転写ベルト21上には、その搬送方向に沿って、イエロー・マゼンタ・シアン・黒色の4つの画像形成手段10Y,10M,10C,10Bkを横に並べて配置してタンデム型の画像形成部3を構成する。但し、これら4つのカラー順は一例であり、これに限定されるものではない。
個々の画像形成手段10Y,10M,10C,10Bkは、それぞれプロセスカートリッジ10として、画像形成装置10に着脱可能になっており、感光体11Y,11M,11C,11Bkのまわりに、帯電装置12Y,12M,12C,12Bk、現像装置13Y,13M,13C,13Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ23、感光体クリーニング装置14Y,14M,14C,14Bk、除電装置15Y,15M,15C,15Bkなど一体に支持して備えている。
【0025】
上記構成のカラー複写機を用いてフルカラー画像のコピーをとるときは、原稿自動搬送装置5の原稿トレイ31上に原稿をセットする。
または、原稿自動搬送装置5を開いてスキャナ4のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置5を閉じてそれで押さえる。
そして、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置5に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後に、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちに、スキャナ4を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。
そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
そして、個々の画像形成手段となるプロセスカートリッジ10Y,10M,10C,10Bkで、感光体11Y,11M,11C,11Bkを回転し、感光体11Y,11M,11C,11Bkの回転とともに、まず帯電装置12Y,12M,12C,12Bkで感光体11Y,11M,11C,11Bkの表面を一様に帯電し、転写電圧VTを決定するためのパッチ画像を形成する。
【0026】
ここで、図10に示すように、プロセスカートリッジ10Y,10M,10C,10Bkにおける各感光体11Y,11M,11C,11Bkを回転させて、各プロセスカートリッジ10の表面電位計測手段111で、小さい面積のパッチを形成する露光部とレーザ光を露光しない非露光部を繰り返し設け、さらに、帯電装置12の帯電電圧と露光部/非露光部との位置関係を捉えながら、転写電圧VTを変化させる。そして、感光体11を少なくとも2回転させることで、図6に示すグラフを作成する。
そして、転写電圧VTを所定の値ずつ増加または減少させながら、それぞれの転写電圧VTで、黒ベタ画像を形成した感光体11のパッチ部の再帯電後の帯電電位VD1と、画像を形成しなかった感光体11のの再帯電後の帯電電位VD2を前記表面電位計測手段111により計測し、式(I)で表される電位差ΔVD電位差ΔVDの値が正から負へ(または負から正へ)変化する点を検知して、その前後の二点の転写電圧がVTi、VTjとして、最適な転写電圧VTを(II)式で決定する。その後、画像形成装置1では、図示しない制御部からの信号で定電圧電源26から、決定した転写電圧VTを印加しながら、画像形成を行って行く。
【0027】
次ぎに、再度、同様の工程で感光体11Y,11M,11C,11Bkを帯電して、次いで、実際の画像形成を行うために、スキャナ4の読取り内容に応じて上述した露光装置19からレーザやLED等による書込み光Lを照射して感光体11Y,11M,11C,11Bk上に静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光体11Y,11M,11C,11Bkを、それぞれの現像装置13Y,13M,13C,13Bkによりトナーが付着され静電潜像を可視像化することで各感光体11Y,11M,11C,11Bk上にそれぞれ、シアン・マゼンタ・イエロー・黒色の単色のトナー像を形成する。不図示の駆動モータで支持ローラ211,212,213の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト21を回転搬送する。そして、各感光体11Y,11M,11C,11Bk上のトナー像を一次転写ローラ23に、転写電源26から定電圧を印加して中間転写ベルト21上に順次転写する。これによって、異常画像のないトナー像を中間転写ベルト21上に形成し、各色のトナー像が重ね合わされたフルカラー画像を形成する。
画像転写後の感光体11Y,11M,11C,11Bkの表面は、感光体クリーニング装置14Y,14M,14C,14Bkで残留トナーを除去して清掃し、除電装置15Y,15M,15C,15Bkで除電して再度の画像形成に備える。
一方、図示しないスタートスイッチを押すと、給紙部2に備えられている給紙装置40における給紙カセット41の1つを選択回転し、記録媒体6を給紙ローラ42で繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送してレジストローラ49に突き当てて止める。
または、給紙ローラを回転して手差しトレイ411上の記録媒体6を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して手差し給紙路46に入れ、同じくレジストローラ44に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト21上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ44を回転し、中間転写ベルト21と二次転写ローラ25との間に記録媒体6を送り込み、二次転写ローラ25で転写して記録媒体6上にカラー画像を記録する。
画像転写後の記録媒体6は、二次転写ローラ25で搬送して定着装置50へと送り込み、定着装置50で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪491で切り換えて排出ローラ47で排出し、排紙トレイ48上にスタックする。
または、切換爪491で切り換えて反転搬送装置49に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ47で排紙トレイ48上に排出する。
【0028】
(評価例)
タンデム方式、中間転写方式のフルカラー電子写真装置(リコー製Imagio MPC5000)を用いて、転写電圧を種々変更した条件で黒ベタのパッチを画像形成を行い、転写電圧と電位差ΔVDの関係を測定した。またそれぞれの転写電圧で図1のような評価用画像を出力し、残像の評価を行った。帯電ローラの印加電圧は感光体の帯電電位が−600Vになるように設定し、現像バイアスは−450Vとした。また除電は行っていない。
試験環境は23℃、55%RHである。
【0029】
残像評価:図1に示すような黒ベタ部「R」とハーフトーン部のある評価用画像を出力し、残像の評価を行った。評価はランク評価を行った。
評価ランクは表1の通りである。
【表1】

【0030】
電位差ΔVDとランク評価の結果を表2に示す。
【表2】

【0031】
(実施例)
評価例で用いた装置を用いて、書き込み率5%チャート(A4全面に対して、画像面積として5%相当の文字が平均的に書かれている)を用い通算1万枚印刷する耐刷試験を行った。帯電ローラの印加電圧は試験開始時に感光体の帯電電位が−600Vになるように設定し、現像バイアスは−450Vとした。転写電圧は表2においてΔVDの絶対値が最小となった1000Vに設定した。これらの条件は耐刷試験終了および終了後の残像評価に至るまで変更せずに試験を行った。
試験環境は23℃、55%RHである。
耐刷試験後に評価例と同様に転写電圧とメモリ電位ΔVDの関係、及び残像評価を行った。同時に、表2の結果を元に(II)式を適用して計算した転写電圧の最適値1029Vでのメモリ電位ΔVDの測定と残像評価も行った。
【0032】
ΔVDとランク評価の結果を表3に示す。
【表3】

耐刷試験による感光体の静電疲労に伴うメモリ電位の変化により、転写電圧1000Vではポジ残像が発生し、残像ランクは2ポイント悪化しているが、転写電圧を1029Vに制御してあれば1ポイントの悪化で抑えることができる。このように、転写電圧を最適値に設定することで、感光体の静電疲労によりメモリ電位が変化しても、残像の発生を最小限で抑制することができる。また、この後適宜転写電圧を最適値に制御することで、残像をより低減させることが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
6 記録媒体
10 画像形成手段(プロセスカートリッジ)
11 感光体
111 表面電位計測手段
12 帯電装置
13 現像装置
14 クリーニング装置
15 除電装置(有機EL)
19 露光装置
20 転写装置
21 中間転写ベルト
21a 転写ドラム
211 駆動ローラ
212、213 支持ローラ
22 ベルトクリーニング装置
23 一次転写ローラ
24 搬送ベルト
25 二次転写ローラ
26 転写電源
261 転写電圧制御手段
31 原稿トレイ
32 コンタクトガラス
33 ランプ
34 第1走行体
35 第2走行体
36 レンズ
37 CCD
40 給紙装置
41 給紙カセット
411 手差しトレイ
42 ピックアップローラ
43 搬送ローラ
44 レジストローラ
45 分離ローラ
46 給紙路
47 排出ローラ
48 排紙トレイ
49 反転搬送装置
491 切換爪
50 定着装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開平11−133825号公報
【特許文献2】特開2006−251204号公報
【特許文献3】特開2006−78678号公報
【特許文献4】特開2003−295527号公報
【特許文献5】特開2008−224785公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
像担持体表面電位を計測する表面電位計測手段と、
像担持体の表面を露光し静電潜像を形成する像露光手段と、
前記静電潜像を像担持体の帯電極性と同極性に帯電されたトナーで可視化し、トナー像を形成させる現像手段と、
記録媒体にトナーの帯電極性と逆極性の電荷を付与してトナー像を転写させる転写手段と、
該転写手段の転写部材に印加する転写電圧を制御する転写電圧制御手段を有する画像形成装置において、
前記転写電圧制御手段は、定電圧制御であり、
転写電圧を所定の値ずつ増加または減少させながら、それぞれの転写電圧で、黒ベタ画像を形成した像担持体表面領域の再帯電後の帯電電位VD1と、
画像を形成しなかった像担持体表面領域の再帯電後の帯電電位VD2を、
前記表面電位計測手段により計測し、
式(I)で表される電位差ΔVDの値の正負が変わる場合、
その変わる前後の二点の転写電圧VTi、VTjが存在し、その時の電位差ΔVDがΔVDi、ΔVDjであった場合、転写電圧VTは式(II)で表される値に制御され、
電位差ΔVDの正負の変化がない場合、電位差ΔVDの絶対値が最小となる転写電圧VTに制御される
ことを特徴とする画像形成装置。
(I)ΔVD=VD1−VD2
(II)VT=(VTi×ΔVDj−ΔVDi×VTj)/(ΔVDj−ΔVDi)
【請求項2】
前記転写部材が、転写ローラである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写手段が、像担持体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー像を記録媒体上に二次転写する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置が複数の像担持体を配設し、それぞれの像担持体上に現像されたトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、少なくとも像担持体と像担持体表面電位を計測する表面電位計測手段を一体に支持し、画像形成装置に対して着脱可能なプロセスカートリッジを備える
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−141345(P2011−141345A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−865(P2010−865)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】