画像形成装置
【課題】簡単な制御で、かつ低コストで濃度むらやピッチむらのない高品位な画像を形成することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、回転する像担持体11の表面に画像データに応じた光を照射して該像担持体11の表面を露光する露光制御手段10を備える。露光制御手段10は、複数の発光部が主走査方向に等間隔で配置された列LDが、副走査方向に複数列配置され、かつ各列の複数の発光部が、該複数の発光部の間隔αの距離を前記列の数で除した距離βだけ互いに主走査方向にずれて配置された駆動部200と、複数の発光部を同時に駆動する点灯信号を前記列ごとに生成するとともに、該点灯信号を駆動部200に出力するタイミング、及び複数の発光部の点灯時間を像担持体11の回転情報に基づき制御する点灯信号生成部203と、を備える。
【解決手段】画像形成装置は、回転する像担持体11の表面に画像データに応じた光を照射して該像担持体11の表面を露光する露光制御手段10を備える。露光制御手段10は、複数の発光部が主走査方向に等間隔で配置された列LDが、副走査方向に複数列配置され、かつ各列の複数の発光部が、該複数の発光部の間隔αの距離を前記列の数で除した距離βだけ互いに主走査方向にずれて配置された駆動部200と、複数の発光部を同時に駆動する点灯信号を前記列ごとに生成するとともに、該点灯信号を駆動部200に出力するタイミング、及び複数の発光部の点灯時間を像担持体11の回転情報に基づき制御する点灯信号生成部203と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタル複写機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図17は、従来の画像形成装置の露光制御部の一例を示す図である。図17において、半導体レーザ31の内部にはレーザ光の一部を検出するPD(フォトダイオード)43が設けられ、PD43の検出信号を基に半導体レーザ31のAPC(AutoPowerControl)を行う。
【0003】
半導体レーザ31から発したレーザ光は、コリメータレンズ35及び絞り32によりほぼ平行光となり、回転多面鏡33に入射する。回転多面鏡33は、図の矢印方向に等角速度で回転駆動され、この回転に伴って、入射したレーザ光が連続的に角度を変える偏向レーザ光となって反射され、該偏向レーザ光は、f−θレンズ34により集光される。
【0004】
一方、f−θレンズ34は、同時に走査の時間的な直線性を保証するような歪曲収差の補正を行う。このため、レーザ光は、像担持体としての感光体11上に図の上向きの矢印の方向に等速で結合走査される。
【0005】
なお、BD(ビームディテクト)センサ36は、回転多面鏡33からの反射光を検出するセンサであり、BDセンサ36の検出信号は、回転多面鏡33の回転とデータの書き込みとの同期をとるための同期信号として用いられる。このBDセンサ36からの検出信号が常に一定周期になるよう制御することで、回転多面鏡33が一定速度で回転制御される。
【0006】
感光体11は、走査光の走査方向(主走査方向)と垂直な副走査方向(図の右向きの矢印方向)に一定速度で回転することで、副走査方向に等間隔に走査線を形成する。
【0007】
しかし、上記従来の画像形成装置では、感光体11を一定速度で回転制御しても、感光体11の偏心成分による走査線の粗密が発生し、濃度むらやピッチむら等の画質の劣化を引き起こす問題があった。
【0008】
そこで、感光体の回転速度を検出し、検出した回転速度に応じてレーザ光による感光体の露光強度を増減補正する技術が提案されている(特許文献1)。
【0009】
また、感光体の回転速度を検出し、検出した回転速度に基づき、回転速度むらによる感光面の位置ずれ量を求めて、該位置ずれ量に応じてレーザ光による感光体の走査位置を偏位させる技術が提案されている(特許文献2)。
【0010】
この提案では、レーザ光を感光体上へ導光する反射ミラーの角度を感光体の回転速度に応じて可変にして走査線間隔を均一にするか、或いは音響光学偏向器等を用いて感光体への照射位置を可変にして走査線間隔を均一にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−002317号公報
【特許文献2】特開平5−119587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1では、検出した感光体の回転速度に応じて露光強度を補正しているため、感光体上の単位面積当りの露光量を一定にして画像の濃度むらは改善できるが、ピッチむらは改善されない。
【0013】
一方、上記特許文献2では、画像形成中に反射ミラーや音響光学偏向器等を高精度に制御する必要があるため、制御が困難であるとともにコストアップになってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、簡単な制御で、かつ低コストで濃度むらやピッチむらのない高品位な画像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、回転する像担持体の表面に画像データに応じた光を照射して該像担持体の表面を露光する露光制御手段を備える画像形成装置であって、前記露光制御手段は、複数の発光部が主走査方向に等間隔で配置された列が、副走査方向に複数列配置され、かつ各列の前記複数の発光部が、該複数の発光部の間隔の距離を前記列の数で除した距離だけ互いに主走査方向にずれて配置された駆動部と、前記複数の発光部を同時に駆動する点灯信号を前記列ごとに生成するとともに、該点灯信号を前記駆動部に出力するタイミング、及び前記複数の発光部の点灯時間を前記像担持体の回転情報に基づき制御する点灯信号生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な制御で、かつ低コストで濃度むらやピッチむらのない高品位な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の一例である画像形成装置を説明するための概略断面図である。
【図2】露光制御部の構成例について説明するための図である。
【図3】マルチビーム駆動部の構成例について説明するための図である。
【図4】レーザ群のレーザ発光部の配置例を示す図である。
【図5】1ラインの主走査画像を感光体上に形成する動作を説明するためのタイムチャート図である。
【図6】感光体上のドット状態図である。
【図7】感光体上のドット状態図である。
【図8】感光体上のドット状態図である。
【図9】感光体上のドット状態図である。
【図10】感光体上のドット状態図である。
【図11】(a)は感光体に偏心成分がない場合のエンコーダ出力を示すグラフ図、(b)は感光体に偏心成分がある場合のエンコーダ出力を示すグラフ図である。
【図12】(a)は感光体の軸ずれを説明するための説明図、(b)は感光体に軸ずれがあった場合の主走査線密度を示す図である。
【図13】点灯信号生成部の構成例を説明するためのブロック図である。
【図14】点灯信号生成部の動作例を説明するためのタイムチャート図である。
【図15】本発明の他の実施形態である画像形成装置を説明するための図である。
【図16】本発明の他の実施形態である画像形成装置を説明するための概略断面図である。
【図17】従来の画像形成装置の露光制御部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態の一例である画像形成装置を説明するための概略断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置は、原稿給紙装置1に積載された原稿が1枚ずつ原稿台ガラス2上に搬送される。原稿が原稿台ガラス2上に搬送されると、スキャナユニット4がランプ3を点灯して原稿面を照射しながら該原稿面に沿って移動する。
【0021】
原稿面での反射光は、ミラー5,6,7を介してレンズ8を通過し、その後、イメージセンサ部9に入力される。イメージセンサ部9から出力された画像信号は、露光制御部10に入力される。
【0022】
露光制御部10は、画像信号に応じたレーザ光を発生させ、該レーザ光は、反射ミラー10aを介して像担持体としての感光体11に照射される。これにより、感光体11の表面に潜像が形成される。
【0023】
感光体11の表面に形成された潜像は、電位センサ100によって電位が所望の値になっているか監視され、次いで現像器13によって現像されて、トナー像として可視化される。
【0024】
上記潜像の形成とタイミングを合わせて給紙カセット14或いは15からシートが転写部16に搬送され、該転写部16にて現像されたトナー像が感光体11からシートに転写される。
【0025】
トナー像が転写されたシートは、定着部17にてトナー像が定着された後、搬送路21を通り排出ローラ18により装置外に排出される。
【0026】
トナー像をシートに転写した後の感光体11の表面は、クリーナ25で清掃され、清掃された感光体11の表面は、除電器26で除電される。
【0027】
次いで、感光体11上の残留電荷が前露光ランプ27で消去され後、1次帯電器28で感光体11の表面が帯電され、この工程を繰り返すことで複数枚の画像形成が行われる。
【0028】
なお、両面プリント時には、センサ19によりシートの後端が検知されると、排出ローラ18が逆回転されてフラッパ20がシートを搬送路22,23,24に導く方向に切り替えられる。
【0029】
搬送路22,23,24に導かれたシートは、転写部16に搬送されて、反対面に上記同様にして感光体11からトナー像が転写される。
【0030】
次に、図2を参照して、露光制御部10の構成例について説明する。
【0031】
図2において、マルチビーム駆動部200は、点灯信号生成部203からの点灯信号S203に応じて、複数のレーザを発光させる。
【0032】
マルチビーム駆動部200から発光された複数のレーザ光は、拡大光学系のレンズ201を通って、感光体11の軸線と平行な方向である主走査方向に拡大されて、感光体11の表面に照射される。
【0033】
感光体11の回転軸には、エンコーダ202が設けられ、エンコーダ202は、感光体11が副走査方向(同図の矢印の方向)に回転することで、回転速度に応じたパルス信号S201を感光体11の回転情報として出力する。
【0034】
点灯信号生成部203は、エンコーダ202から出力されたパルス信号S201、並びに不図示の画像処理部から出力された画像信号及び副走査開始信号に基づき、感光体11の回転速度に応じた点灯信号S203を生成してマルチビーム駆動部200に出力する。また、点灯信号生成部203は、画像データS205及び同期クロックS206をマルチビーム駆動部200に出力する。
【0035】
マルチビーム駆動部200は、点灯信号S203、画像データS205及び同期クロックS206を入力して、感光体11の回転に同期して各レーザを発光する。このようにして、感光体11の表面に画像信号に応じてON/OFFされた光ビームによる静電潜像が形成される。
【0036】
図3は、マルチビーム駆動部200の構成例を示す図である。
【0037】
図3において、Nビットシフトレジスタ300は、点灯信号生成部203からの画像データS205が入力されて、同期クロックS206に同期して画像データS205をシフトさせる。
【0038】
Nビットラッチ304は、Nビットシフトレジスタ300からのNビットの画像データを点灯信号生成部203からの点灯信号S203−1でラッチする。
【0039】
論理素子群301は、Nビットラッチ304から出力されるNビットの画像データを、点灯信号生成部203からの点灯信号S203(S203−1,S203−2,S203−3,S203−4)に応じてゲートする。
【0040】
論理素子群301には、それぞれの点灯信号S203−1〜S203−4に対応してアドレス((1,1)…(4,n))が表示してある。
【0041】
定電流源群302は、論理素子群301からのゲート後の画像データに応じて駆動電流をON/OFFさせる。レーザ群303は、定電流源群302からの駆動電流に応じてレーザ光を発光させる。
【0042】
図4は、レーザ群303のレーザ発光部の配置例を示す図である。
【0043】
図4において、レーザ群303は面発光レーザであり、レーザ列LD(1)は、主走査方向に等間隔αでn個のレーザ発光部(以下、レーザという)が配置される。
【0044】
レーザ列LD(2)は、レーザ列LD(1)に対して副走査方向にγ離れ、且つ主走査方向にβずれた位置に主走査方向に等間隔αでn個のレーザが配置される。
【0045】
レーザ列LD(3)は、レーザ列LD(2)に対して副走査方向にγ離れ、且つ主走査方向にβずれた位置に主走査方向に等間隔αでn個のレーザが配置される。
【0046】
レーザ列LD(4)は、レーザ列LD(3)に対して副走査方向にγ離れ、且つ主走査方向にβずれた位置に主走査方向に等間隔αでn個のレーザが配置される。
【0047】
各レーザ列の主走査方向のずらし量βは、間隔αの距離をレーザ列の数で除した距離であり、β=α/4となる。また、レーザの総数Nは、N=n×4になる。
【0048】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、レーザ列の数をLD(1)〜LD(4)までの4列としているが、列数は限定されず、任意のm列まで複数列配置してもよい。その場合は、各列のレーザ列の主走査方向のずらし量βは、β=α/mになり、レーザの総数Nは、N=n×mになる。
【0049】
なお、各レーザ列LD(1)〜LD(4)のレーザ番号1〜Nは、図3のレーザ番号に対応し、また、各レーザ番号の横には、図3の論理素子群のアドレスに対応するアドレスを括弧付の数字で付している。
【0050】
例えば、主走査/副走査方向の解像度が600dpi(42μmピッチ)、主走査方向の画素数が8000画素(主走査方向の画像幅=336mm)、副走査速度が336mm/sの画像形成装置を例に挙げると、N=8000、n=2000、(m=4)となる。
【0051】
また、レーザ列LD(1)〜LD(4)の各レーザの主走査方向の間隔α=21μm、レーザ列LD(1)〜LD(4)の主走査方向のずらし量β=α/4=5.25μmとすると、レーザ群303の主走査方向の長さはn×α=42mmとなる。
【0052】
このため、拡大光学系の倍率を8倍(=主走査方向の画像幅/レーザ群303の主走査方向長さ)に設計すれば、主走査方向に所望の画像幅が得られる。
【0053】
また、レーザ列LD(1)〜LD(4)の副走査方向の間隔γ=10.5μm、光学系の副走査方向の倍率を等倍として、感光体11が副走査方向に42μm進む間にレーザ列LD(1)〜LD(4)のn個のレーザを列ごとに順次同時発光させる。これにより、感光体11上に1ラインの主走査画像が形成される。
【0054】
図5〜図10を用いて具体的に説明する。図5は、マルチビーム駆動部200において1ラインの主走査画像を感光体11上に形成する動作を説明するためのタイムチャート図、図6〜図10は、感光体11上のドット状態図である。
【0055】
図5の各信号は、各レーザ列LD(1)〜LD(4)に対する点灯信号生成部203からの点灯信号S203−1〜S203−4、画像データS205及びNビットラッチ304の出力データとそれに伴って駆動されるレーザ列を示している。
【0056】
また、図6〜図10は、図5のX1〜X5の状態のときに、感光体11上のドットがどのように形成されていくかを時系列で示している。
【0057】
まず、図5において、不図示の画像処理部からの副走査開始信号によりNビットラッチ304をクリアした後、画像データS205が入力される。
【0058】
画像データS205は、同期クロックS206でシフトされ、1主走査時間Tの間に全主走査画素数(ここでは8000画素)分シフトする。
【0059】
シフトされた画像データは、次の点灯信号S203−1の立ち上がりのタイミング(同図A)でNビットラッチ304にてラッチされる。
【0060】
ラッチされた画像データは、点灯信号S203−1がHiの間だけ論理素子群301のアドレス(1,1)〜(1,2000)をイネーブルにし、アドレスに対応した画像データのみを定電流源群302に出力する。
【0061】
定電流源群302は、画像データが1の場合に駆動電流をレーザ群303に出力する。このようにして、図5のX1の状態のときは、図6に示すように、感光体11の主走査方向に168μmピッチでドットが形成される。
【0062】
次に、T/4時間経過後、点灯信号S203−1はLowになり、論理素子群301のアドレス(1,1)〜(1,2000)をディスイネーブルにし、アドレスに対応した定電流源群302をOFFにする。
【0063】
そして、Nビットラッチ304でラッチされた画像データは、点灯信号S203−2がHiの間だけ論理素子群301のアドレス(2,1)〜(2,2000)をイネーブルにし、アドレスに対応した画像データのみを定電流源群302に出力する。
【0064】
定電流源群302は、画像データが1の場合に駆動電流をレーザ群303に出力する。
【0065】
このようにして、図5のX2の状態のときは、図7に示すように、図6で形成したドットがT/4時間後移動したタイミングで隣合わせに主走査方向に168μmピッチで形成される。
【0066】
以降、同様にして、図5のX3,X4と状態が進むと、主走査方向に600dpiの主走査線が形成される(図8,図9)。
【0067】
従って、感光体11が一定速度で回転していれば、感光体11の表面にずれのない主走査線を形成することができる。更に、この主走査線を形成している間に、シフトレジスタ300は次の主走査線の画像データを入力して、順次シフトしている。
【0068】
従って、最初にレーザ列LD(1)のレーザが駆動されてからT時間経過後には次の主走査線のレーザ列LD(1)のレーザが駆動されて感光体11の表面にドットが形成される(図10)。
【0069】
そして、上述したシーケンスを繰り返すことにより、主走査/副走査方向ともに600dpiの画像が感光体11の表面に形成される。
【0070】
次に、図11及び図12を参照して、感光体11が偏心成分により一定速度で回転していない場合について説明する。
【0071】
図11(a)及び図11(b)の各上段は、感光体11の回転軸に設けられたエンコーダ202の出力パルス信号S201を示すグラフ図である。
【0072】
図11(a)及び図11(b)の各下段は、横軸が感光体11の副走査方向の移動距離、縦軸がパルス信号S201の周期で、感光体11の偏心成分を示すグラフ図である。
【0073】
ここでは説明を簡単にするために、エンコーダ202に、感光体11の表面上で600dpi(42μm)単位になるようにマークを付け、感光体11の回転に応じてパルス信号S201を出力するものとする。
【0074】
図11(a)は、感光体11に偏心成分がない場合の例であり、感光体11が副走査方向に42μm移動する間に出力されるパルス信号S201の周期は、常に一定時間Tのままである。このことから、感光体11は一定速度で回転しており、偏心成分がないことがわかる。
【0075】
一方、図11(b)は、感光体11に偏心成分がある場合の例であり、感光体11が1周する間にエンコーダ202の出力パルス信号S201の周期が変動している。
【0076】
1周の最初の部分では、感光体11が副走査方向に42μm移動する間にパルス信号S201の周期が、T+t1、T+t2、T+t3…と長くなり、1周の最後の部分ではT−ta、T−tb…と短くなっている。
【0077】
パルス信号S201の周期が長くなるときは、感光体11の回転速度が遅くなり、パルス信号S201の周期が短くなるときは、感光体11の回転速度が速くなる。
【0078】
図12を参照して、具体的に説明する。感光体11の回転軸は、製造上の精度の誤差から感光体11の中心から若干ずれた位置に配置される場合がある。この場合、回転軸から感光体11の表面までの距離(半径)は均一ではなく、図12(a)に示すように、最短Xから最長Yまで存在する。
【0079】
感光体11を駆動するモータは、一定速度で制御されるため、角度θだけ感光体11を回転させた場合、半径が最短のXのとき、移動する距離が短くなり、半径が最長のYのとき、移動する距離が長くなる。
【0080】
つまり、感光体11の表面の半径Xの領域は回転速度が遅く、半径Yの領域は回転速度が速くなり、エンコーダ202の出力パルス信号S201は、半径Xで周期が長くなり、半径Yで周期が短くなる。
【0081】
このとき、感光体11の表面に形成されるドットは、図12(b)に示すように、半径X付近では密に、半径Y付近では粗になり、走査線密度が不均一になる。
【0082】
そこで、本実施形態では、点灯信号生成部203により、変動するエンコーダ202のパルス信号S201の周期に応じてマルチビーム駆動部200のレーザ群303の点灯信号S203を生成し、レーザ群303を駆動する。
【0083】
つまり、エンコーダ202のパルス信号S201の周期が長くなれば、レーザ列LD(1)〜LD(4)の点灯信号S203−1〜S203−4を均等に長くするように制御する。
【0084】
また、エンコーダ202のパルス信号S201の周期が短くなれば、レーザ列LD(1)〜LD(4)の点灯信号S203−1〜S203−4を均等に短くするように制御する。
【0085】
図13及び図14を参照して、具体的に説明する。図13は、点灯信号生成部203の構成例を示すブロック図、図14は、点灯信号生成部203の動作例を説明するためのタイムチャート図である。
【0086】
図13及び図14において、立ち上がり検出部810は、エンコーダ202の出力パルス信号S201の立ち上がり検出信号S810をクロックCLKで生成する。
【0087】
周期カウント部800は、パルス信号S201の立ち上がり信号S810でリセットされ、パルス信号S201の周期をCLKでカウントする。
【0088】
周期ラッチ部801は、周期カウント部800が出力するカウント値S800を立ち上がり信号S810でラッチする。
【0089】
算出部802は、シフトレジスタ・加算器等で構成され、周期ラッチ部801でラッチされた周期の1/4周期、2/4周期、3/4周期を算出する。
【0090】
比較器803〜805は、それぞれ1/4周期、2/4周期、3/4周期の算出値であるS802−1、S802−2、S802−3と周期カウント部800が出力するカウント値S800とを比較し、一致した場合に、1CLKの間Hiを出力する。
【0091】
JKフリップフロップ806は、エンコーダ202の出力パルス信号S201の立ち上がり信号S810でHiになり、比較器803の一致信号S803でLowになる信号S203−1を出力する。
【0092】
JKフリップフロップ807は、比較器803の一致信号S803でHiになり、比較器804の一致信号S804でLowになる信号S203−2を出力する。
【0093】
JKフリップフロップ808は、比較器804の一致信号S804でHiになり、比較器805の一致信号S805でLowになる信号S203−3を出力する。
【0094】
JKフリップフロップ809は、比較器805の一致信号S805でHiになり、エンコーダ202の出力パルス信号S201の立ち上がり信号S810でLowになる信号S203−4を出力する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、前の主走査線から現在の主走査線までのエンコーダ202の出力パルス信号の周期変動に応じて、次の主走査線を露光するタイミングを変更している。このため、感光体11に偏心成分による回転速度の変動があってもほぼリアルタイムに補正することができ、ピッチむらのない高品位な画像を形成することができる。
【0096】
また、変更した周期に対して、ほぼ均等に4等分した周期でレーザ列LD(1)〜LD(4)のレーザを駆動することができる。このため、主走査線内の全てのレーザの点灯時間もほぼ等しくなって、単位面積当たりの光量も一定になり、感光体11の主走査方向に濃度差のない高品位な画像を形成することができる。
【0097】
このように、本実施形態では、簡単な制御で、かつ低コストで濃度むらやピッチむらのない高品位な画像を形成することができる。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0099】
例えば、上記実施形態では、レーザ群303からの出射光を拡大光学系201に通して感光体11上に照射して露光する露光制御部10を例示したが、これに限定されない。
【0100】
例えば、図15に示すように、LEDアレイや1次元レーザアレイ等の露光素子900−1〜900−2000を感光体11近傍に並べて配置し、セルフォックレンズ等の等倍光学系にて、図16に示すように、感光体11の表面を露光するようにしても良い。また、LEDアレイや1次元レーザアレイ等の露光素子900−1〜900−2000を1つの露光装置900として構成しても良い。
【符号の説明】
【0101】
10 露光制御部
11 感光体
200 マルチビーム駆動部
202 エンコーダ
203 点灯信号生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタル複写機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図17は、従来の画像形成装置の露光制御部の一例を示す図である。図17において、半導体レーザ31の内部にはレーザ光の一部を検出するPD(フォトダイオード)43が設けられ、PD43の検出信号を基に半導体レーザ31のAPC(AutoPowerControl)を行う。
【0003】
半導体レーザ31から発したレーザ光は、コリメータレンズ35及び絞り32によりほぼ平行光となり、回転多面鏡33に入射する。回転多面鏡33は、図の矢印方向に等角速度で回転駆動され、この回転に伴って、入射したレーザ光が連続的に角度を変える偏向レーザ光となって反射され、該偏向レーザ光は、f−θレンズ34により集光される。
【0004】
一方、f−θレンズ34は、同時に走査の時間的な直線性を保証するような歪曲収差の補正を行う。このため、レーザ光は、像担持体としての感光体11上に図の上向きの矢印の方向に等速で結合走査される。
【0005】
なお、BD(ビームディテクト)センサ36は、回転多面鏡33からの反射光を検出するセンサであり、BDセンサ36の検出信号は、回転多面鏡33の回転とデータの書き込みとの同期をとるための同期信号として用いられる。このBDセンサ36からの検出信号が常に一定周期になるよう制御することで、回転多面鏡33が一定速度で回転制御される。
【0006】
感光体11は、走査光の走査方向(主走査方向)と垂直な副走査方向(図の右向きの矢印方向)に一定速度で回転することで、副走査方向に等間隔に走査線を形成する。
【0007】
しかし、上記従来の画像形成装置では、感光体11を一定速度で回転制御しても、感光体11の偏心成分による走査線の粗密が発生し、濃度むらやピッチむら等の画質の劣化を引き起こす問題があった。
【0008】
そこで、感光体の回転速度を検出し、検出した回転速度に応じてレーザ光による感光体の露光強度を増減補正する技術が提案されている(特許文献1)。
【0009】
また、感光体の回転速度を検出し、検出した回転速度に基づき、回転速度むらによる感光面の位置ずれ量を求めて、該位置ずれ量に応じてレーザ光による感光体の走査位置を偏位させる技術が提案されている(特許文献2)。
【0010】
この提案では、レーザ光を感光体上へ導光する反射ミラーの角度を感光体の回転速度に応じて可変にして走査線間隔を均一にするか、或いは音響光学偏向器等を用いて感光体への照射位置を可変にして走査線間隔を均一にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−002317号公報
【特許文献2】特開平5−119587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1では、検出した感光体の回転速度に応じて露光強度を補正しているため、感光体上の単位面積当りの露光量を一定にして画像の濃度むらは改善できるが、ピッチむらは改善されない。
【0013】
一方、上記特許文献2では、画像形成中に反射ミラーや音響光学偏向器等を高精度に制御する必要があるため、制御が困難であるとともにコストアップになってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、簡単な制御で、かつ低コストで濃度むらやピッチむらのない高品位な画像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、回転する像担持体の表面に画像データに応じた光を照射して該像担持体の表面を露光する露光制御手段を備える画像形成装置であって、前記露光制御手段は、複数の発光部が主走査方向に等間隔で配置された列が、副走査方向に複数列配置され、かつ各列の前記複数の発光部が、該複数の発光部の間隔の距離を前記列の数で除した距離だけ互いに主走査方向にずれて配置された駆動部と、前記複数の発光部を同時に駆動する点灯信号を前記列ごとに生成するとともに、該点灯信号を前記駆動部に出力するタイミング、及び前記複数の発光部の点灯時間を前記像担持体の回転情報に基づき制御する点灯信号生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な制御で、かつ低コストで濃度むらやピッチむらのない高品位な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の一例である画像形成装置を説明するための概略断面図である。
【図2】露光制御部の構成例について説明するための図である。
【図3】マルチビーム駆動部の構成例について説明するための図である。
【図4】レーザ群のレーザ発光部の配置例を示す図である。
【図5】1ラインの主走査画像を感光体上に形成する動作を説明するためのタイムチャート図である。
【図6】感光体上のドット状態図である。
【図7】感光体上のドット状態図である。
【図8】感光体上のドット状態図である。
【図9】感光体上のドット状態図である。
【図10】感光体上のドット状態図である。
【図11】(a)は感光体に偏心成分がない場合のエンコーダ出力を示すグラフ図、(b)は感光体に偏心成分がある場合のエンコーダ出力を示すグラフ図である。
【図12】(a)は感光体の軸ずれを説明するための説明図、(b)は感光体に軸ずれがあった場合の主走査線密度を示す図である。
【図13】点灯信号生成部の構成例を説明するためのブロック図である。
【図14】点灯信号生成部の動作例を説明するためのタイムチャート図である。
【図15】本発明の他の実施形態である画像形成装置を説明するための図である。
【図16】本発明の他の実施形態である画像形成装置を説明するための概略断面図である。
【図17】従来の画像形成装置の露光制御部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態の一例である画像形成装置を説明するための概略断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置は、原稿給紙装置1に積載された原稿が1枚ずつ原稿台ガラス2上に搬送される。原稿が原稿台ガラス2上に搬送されると、スキャナユニット4がランプ3を点灯して原稿面を照射しながら該原稿面に沿って移動する。
【0021】
原稿面での反射光は、ミラー5,6,7を介してレンズ8を通過し、その後、イメージセンサ部9に入力される。イメージセンサ部9から出力された画像信号は、露光制御部10に入力される。
【0022】
露光制御部10は、画像信号に応じたレーザ光を発生させ、該レーザ光は、反射ミラー10aを介して像担持体としての感光体11に照射される。これにより、感光体11の表面に潜像が形成される。
【0023】
感光体11の表面に形成された潜像は、電位センサ100によって電位が所望の値になっているか監視され、次いで現像器13によって現像されて、トナー像として可視化される。
【0024】
上記潜像の形成とタイミングを合わせて給紙カセット14或いは15からシートが転写部16に搬送され、該転写部16にて現像されたトナー像が感光体11からシートに転写される。
【0025】
トナー像が転写されたシートは、定着部17にてトナー像が定着された後、搬送路21を通り排出ローラ18により装置外に排出される。
【0026】
トナー像をシートに転写した後の感光体11の表面は、クリーナ25で清掃され、清掃された感光体11の表面は、除電器26で除電される。
【0027】
次いで、感光体11上の残留電荷が前露光ランプ27で消去され後、1次帯電器28で感光体11の表面が帯電され、この工程を繰り返すことで複数枚の画像形成が行われる。
【0028】
なお、両面プリント時には、センサ19によりシートの後端が検知されると、排出ローラ18が逆回転されてフラッパ20がシートを搬送路22,23,24に導く方向に切り替えられる。
【0029】
搬送路22,23,24に導かれたシートは、転写部16に搬送されて、反対面に上記同様にして感光体11からトナー像が転写される。
【0030】
次に、図2を参照して、露光制御部10の構成例について説明する。
【0031】
図2において、マルチビーム駆動部200は、点灯信号生成部203からの点灯信号S203に応じて、複数のレーザを発光させる。
【0032】
マルチビーム駆動部200から発光された複数のレーザ光は、拡大光学系のレンズ201を通って、感光体11の軸線と平行な方向である主走査方向に拡大されて、感光体11の表面に照射される。
【0033】
感光体11の回転軸には、エンコーダ202が設けられ、エンコーダ202は、感光体11が副走査方向(同図の矢印の方向)に回転することで、回転速度に応じたパルス信号S201を感光体11の回転情報として出力する。
【0034】
点灯信号生成部203は、エンコーダ202から出力されたパルス信号S201、並びに不図示の画像処理部から出力された画像信号及び副走査開始信号に基づき、感光体11の回転速度に応じた点灯信号S203を生成してマルチビーム駆動部200に出力する。また、点灯信号生成部203は、画像データS205及び同期クロックS206をマルチビーム駆動部200に出力する。
【0035】
マルチビーム駆動部200は、点灯信号S203、画像データS205及び同期クロックS206を入力して、感光体11の回転に同期して各レーザを発光する。このようにして、感光体11の表面に画像信号に応じてON/OFFされた光ビームによる静電潜像が形成される。
【0036】
図3は、マルチビーム駆動部200の構成例を示す図である。
【0037】
図3において、Nビットシフトレジスタ300は、点灯信号生成部203からの画像データS205が入力されて、同期クロックS206に同期して画像データS205をシフトさせる。
【0038】
Nビットラッチ304は、Nビットシフトレジスタ300からのNビットの画像データを点灯信号生成部203からの点灯信号S203−1でラッチする。
【0039】
論理素子群301は、Nビットラッチ304から出力されるNビットの画像データを、点灯信号生成部203からの点灯信号S203(S203−1,S203−2,S203−3,S203−4)に応じてゲートする。
【0040】
論理素子群301には、それぞれの点灯信号S203−1〜S203−4に対応してアドレス((1,1)…(4,n))が表示してある。
【0041】
定電流源群302は、論理素子群301からのゲート後の画像データに応じて駆動電流をON/OFFさせる。レーザ群303は、定電流源群302からの駆動電流に応じてレーザ光を発光させる。
【0042】
図4は、レーザ群303のレーザ発光部の配置例を示す図である。
【0043】
図4において、レーザ群303は面発光レーザであり、レーザ列LD(1)は、主走査方向に等間隔αでn個のレーザ発光部(以下、レーザという)が配置される。
【0044】
レーザ列LD(2)は、レーザ列LD(1)に対して副走査方向にγ離れ、且つ主走査方向にβずれた位置に主走査方向に等間隔αでn個のレーザが配置される。
【0045】
レーザ列LD(3)は、レーザ列LD(2)に対して副走査方向にγ離れ、且つ主走査方向にβずれた位置に主走査方向に等間隔αでn個のレーザが配置される。
【0046】
レーザ列LD(4)は、レーザ列LD(3)に対して副走査方向にγ離れ、且つ主走査方向にβずれた位置に主走査方向に等間隔αでn個のレーザが配置される。
【0047】
各レーザ列の主走査方向のずらし量βは、間隔αの距離をレーザ列の数で除した距離であり、β=α/4となる。また、レーザの総数Nは、N=n×4になる。
【0048】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、レーザ列の数をLD(1)〜LD(4)までの4列としているが、列数は限定されず、任意のm列まで複数列配置してもよい。その場合は、各列のレーザ列の主走査方向のずらし量βは、β=α/mになり、レーザの総数Nは、N=n×mになる。
【0049】
なお、各レーザ列LD(1)〜LD(4)のレーザ番号1〜Nは、図3のレーザ番号に対応し、また、各レーザ番号の横には、図3の論理素子群のアドレスに対応するアドレスを括弧付の数字で付している。
【0050】
例えば、主走査/副走査方向の解像度が600dpi(42μmピッチ)、主走査方向の画素数が8000画素(主走査方向の画像幅=336mm)、副走査速度が336mm/sの画像形成装置を例に挙げると、N=8000、n=2000、(m=4)となる。
【0051】
また、レーザ列LD(1)〜LD(4)の各レーザの主走査方向の間隔α=21μm、レーザ列LD(1)〜LD(4)の主走査方向のずらし量β=α/4=5.25μmとすると、レーザ群303の主走査方向の長さはn×α=42mmとなる。
【0052】
このため、拡大光学系の倍率を8倍(=主走査方向の画像幅/レーザ群303の主走査方向長さ)に設計すれば、主走査方向に所望の画像幅が得られる。
【0053】
また、レーザ列LD(1)〜LD(4)の副走査方向の間隔γ=10.5μm、光学系の副走査方向の倍率を等倍として、感光体11が副走査方向に42μm進む間にレーザ列LD(1)〜LD(4)のn個のレーザを列ごとに順次同時発光させる。これにより、感光体11上に1ラインの主走査画像が形成される。
【0054】
図5〜図10を用いて具体的に説明する。図5は、マルチビーム駆動部200において1ラインの主走査画像を感光体11上に形成する動作を説明するためのタイムチャート図、図6〜図10は、感光体11上のドット状態図である。
【0055】
図5の各信号は、各レーザ列LD(1)〜LD(4)に対する点灯信号生成部203からの点灯信号S203−1〜S203−4、画像データS205及びNビットラッチ304の出力データとそれに伴って駆動されるレーザ列を示している。
【0056】
また、図6〜図10は、図5のX1〜X5の状態のときに、感光体11上のドットがどのように形成されていくかを時系列で示している。
【0057】
まず、図5において、不図示の画像処理部からの副走査開始信号によりNビットラッチ304をクリアした後、画像データS205が入力される。
【0058】
画像データS205は、同期クロックS206でシフトされ、1主走査時間Tの間に全主走査画素数(ここでは8000画素)分シフトする。
【0059】
シフトされた画像データは、次の点灯信号S203−1の立ち上がりのタイミング(同図A)でNビットラッチ304にてラッチされる。
【0060】
ラッチされた画像データは、点灯信号S203−1がHiの間だけ論理素子群301のアドレス(1,1)〜(1,2000)をイネーブルにし、アドレスに対応した画像データのみを定電流源群302に出力する。
【0061】
定電流源群302は、画像データが1の場合に駆動電流をレーザ群303に出力する。このようにして、図5のX1の状態のときは、図6に示すように、感光体11の主走査方向に168μmピッチでドットが形成される。
【0062】
次に、T/4時間経過後、点灯信号S203−1はLowになり、論理素子群301のアドレス(1,1)〜(1,2000)をディスイネーブルにし、アドレスに対応した定電流源群302をOFFにする。
【0063】
そして、Nビットラッチ304でラッチされた画像データは、点灯信号S203−2がHiの間だけ論理素子群301のアドレス(2,1)〜(2,2000)をイネーブルにし、アドレスに対応した画像データのみを定電流源群302に出力する。
【0064】
定電流源群302は、画像データが1の場合に駆動電流をレーザ群303に出力する。
【0065】
このようにして、図5のX2の状態のときは、図7に示すように、図6で形成したドットがT/4時間後移動したタイミングで隣合わせに主走査方向に168μmピッチで形成される。
【0066】
以降、同様にして、図5のX3,X4と状態が進むと、主走査方向に600dpiの主走査線が形成される(図8,図9)。
【0067】
従って、感光体11が一定速度で回転していれば、感光体11の表面にずれのない主走査線を形成することができる。更に、この主走査線を形成している間に、シフトレジスタ300は次の主走査線の画像データを入力して、順次シフトしている。
【0068】
従って、最初にレーザ列LD(1)のレーザが駆動されてからT時間経過後には次の主走査線のレーザ列LD(1)のレーザが駆動されて感光体11の表面にドットが形成される(図10)。
【0069】
そして、上述したシーケンスを繰り返すことにより、主走査/副走査方向ともに600dpiの画像が感光体11の表面に形成される。
【0070】
次に、図11及び図12を参照して、感光体11が偏心成分により一定速度で回転していない場合について説明する。
【0071】
図11(a)及び図11(b)の各上段は、感光体11の回転軸に設けられたエンコーダ202の出力パルス信号S201を示すグラフ図である。
【0072】
図11(a)及び図11(b)の各下段は、横軸が感光体11の副走査方向の移動距離、縦軸がパルス信号S201の周期で、感光体11の偏心成分を示すグラフ図である。
【0073】
ここでは説明を簡単にするために、エンコーダ202に、感光体11の表面上で600dpi(42μm)単位になるようにマークを付け、感光体11の回転に応じてパルス信号S201を出力するものとする。
【0074】
図11(a)は、感光体11に偏心成分がない場合の例であり、感光体11が副走査方向に42μm移動する間に出力されるパルス信号S201の周期は、常に一定時間Tのままである。このことから、感光体11は一定速度で回転しており、偏心成分がないことがわかる。
【0075】
一方、図11(b)は、感光体11に偏心成分がある場合の例であり、感光体11が1周する間にエンコーダ202の出力パルス信号S201の周期が変動している。
【0076】
1周の最初の部分では、感光体11が副走査方向に42μm移動する間にパルス信号S201の周期が、T+t1、T+t2、T+t3…と長くなり、1周の最後の部分ではT−ta、T−tb…と短くなっている。
【0077】
パルス信号S201の周期が長くなるときは、感光体11の回転速度が遅くなり、パルス信号S201の周期が短くなるときは、感光体11の回転速度が速くなる。
【0078】
図12を参照して、具体的に説明する。感光体11の回転軸は、製造上の精度の誤差から感光体11の中心から若干ずれた位置に配置される場合がある。この場合、回転軸から感光体11の表面までの距離(半径)は均一ではなく、図12(a)に示すように、最短Xから最長Yまで存在する。
【0079】
感光体11を駆動するモータは、一定速度で制御されるため、角度θだけ感光体11を回転させた場合、半径が最短のXのとき、移動する距離が短くなり、半径が最長のYのとき、移動する距離が長くなる。
【0080】
つまり、感光体11の表面の半径Xの領域は回転速度が遅く、半径Yの領域は回転速度が速くなり、エンコーダ202の出力パルス信号S201は、半径Xで周期が長くなり、半径Yで周期が短くなる。
【0081】
このとき、感光体11の表面に形成されるドットは、図12(b)に示すように、半径X付近では密に、半径Y付近では粗になり、走査線密度が不均一になる。
【0082】
そこで、本実施形態では、点灯信号生成部203により、変動するエンコーダ202のパルス信号S201の周期に応じてマルチビーム駆動部200のレーザ群303の点灯信号S203を生成し、レーザ群303を駆動する。
【0083】
つまり、エンコーダ202のパルス信号S201の周期が長くなれば、レーザ列LD(1)〜LD(4)の点灯信号S203−1〜S203−4を均等に長くするように制御する。
【0084】
また、エンコーダ202のパルス信号S201の周期が短くなれば、レーザ列LD(1)〜LD(4)の点灯信号S203−1〜S203−4を均等に短くするように制御する。
【0085】
図13及び図14を参照して、具体的に説明する。図13は、点灯信号生成部203の構成例を示すブロック図、図14は、点灯信号生成部203の動作例を説明するためのタイムチャート図である。
【0086】
図13及び図14において、立ち上がり検出部810は、エンコーダ202の出力パルス信号S201の立ち上がり検出信号S810をクロックCLKで生成する。
【0087】
周期カウント部800は、パルス信号S201の立ち上がり信号S810でリセットされ、パルス信号S201の周期をCLKでカウントする。
【0088】
周期ラッチ部801は、周期カウント部800が出力するカウント値S800を立ち上がり信号S810でラッチする。
【0089】
算出部802は、シフトレジスタ・加算器等で構成され、周期ラッチ部801でラッチされた周期の1/4周期、2/4周期、3/4周期を算出する。
【0090】
比較器803〜805は、それぞれ1/4周期、2/4周期、3/4周期の算出値であるS802−1、S802−2、S802−3と周期カウント部800が出力するカウント値S800とを比較し、一致した場合に、1CLKの間Hiを出力する。
【0091】
JKフリップフロップ806は、エンコーダ202の出力パルス信号S201の立ち上がり信号S810でHiになり、比較器803の一致信号S803でLowになる信号S203−1を出力する。
【0092】
JKフリップフロップ807は、比較器803の一致信号S803でHiになり、比較器804の一致信号S804でLowになる信号S203−2を出力する。
【0093】
JKフリップフロップ808は、比較器804の一致信号S804でHiになり、比較器805の一致信号S805でLowになる信号S203−3を出力する。
【0094】
JKフリップフロップ809は、比較器805の一致信号S805でHiになり、エンコーダ202の出力パルス信号S201の立ち上がり信号S810でLowになる信号S203−4を出力する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、前の主走査線から現在の主走査線までのエンコーダ202の出力パルス信号の周期変動に応じて、次の主走査線を露光するタイミングを変更している。このため、感光体11に偏心成分による回転速度の変動があってもほぼリアルタイムに補正することができ、ピッチむらのない高品位な画像を形成することができる。
【0096】
また、変更した周期に対して、ほぼ均等に4等分した周期でレーザ列LD(1)〜LD(4)のレーザを駆動することができる。このため、主走査線内の全てのレーザの点灯時間もほぼ等しくなって、単位面積当たりの光量も一定になり、感光体11の主走査方向に濃度差のない高品位な画像を形成することができる。
【0097】
このように、本実施形態では、簡単な制御で、かつ低コストで濃度むらやピッチむらのない高品位な画像を形成することができる。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0099】
例えば、上記実施形態では、レーザ群303からの出射光を拡大光学系201に通して感光体11上に照射して露光する露光制御部10を例示したが、これに限定されない。
【0100】
例えば、図15に示すように、LEDアレイや1次元レーザアレイ等の露光素子900−1〜900−2000を感光体11近傍に並べて配置し、セルフォックレンズ等の等倍光学系にて、図16に示すように、感光体11の表面を露光するようにしても良い。また、LEDアレイや1次元レーザアレイ等の露光素子900−1〜900−2000を1つの露光装置900として構成しても良い。
【符号の説明】
【0101】
10 露光制御部
11 感光体
200 マルチビーム駆動部
202 エンコーダ
203 点灯信号生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像担持体の表面に画像データに応じた光を照射して該像担持体の表面を露光する露光制御手段を備える画像形成装置であって、
前記露光制御手段は、複数の発光部が主走査方向に等間隔で配置された列が、副走査方向に複数列配置され、かつ各列の前記複数の発光部が、該複数の発光部の間隔の距離を前記列の数で除した距離だけ互いに主走査方向にずれて配置された駆動部と、
前記複数の発光部を同時に駆動する点灯信号を前記列ごとに生成するとともに、該点灯信号を前記駆動部に出力するタイミング、及び前記複数の発光部の点灯時間を前記像担持体の回転情報に基づき制御する点灯信号生成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の回転速度を検出する検出手段を備え、前記点灯信号生成部は、前記検出手段により検出された信号を前記回転情報として用いる、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項1】
回転する像担持体の表面に画像データに応じた光を照射して該像担持体の表面を露光する露光制御手段を備える画像形成装置であって、
前記露光制御手段は、複数の発光部が主走査方向に等間隔で配置された列が、副走査方向に複数列配置され、かつ各列の前記複数の発光部が、該複数の発光部の間隔の距離を前記列の数で除した距離だけ互いに主走査方向にずれて配置された駆動部と、
前記複数の発光部を同時に駆動する点灯信号を前記列ごとに生成するとともに、該点灯信号を前記駆動部に出力するタイミング、及び前記複数の発光部の点灯時間を前記像担持体の回転情報に基づき制御する点灯信号生成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の回転速度を検出する検出手段を備え、前記点灯信号生成部は、前記検出手段により検出された信号を前記回転情報として用いる、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−148213(P2011−148213A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11976(P2010−11976)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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