説明

画像形成装置

【課題】インクを再利用するための構成が複雑で、再処理したインクを新しいインクと混合することでインクの特性が変化(劣化)する。
【解決手段】YMCKのインクが混合したXカラーインクを使用可能な状態に再処理する再処理ユニット4と、再処理されたXカラーインクを貯留する貯留タンク5と、Xカラーインクを吐出するヘッド1xと、ヘッド1xからのインクを回収して廃棄する回収ユニット8及びメンテナンスユニット9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、記録ヘッド(液体吐出ヘッド)の状態を維持するために定期的あるいは不定期に画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作を行ない、あるいは、ヘッドをキャッピング等してノズルからインクを強制吸引して排出し、あるいは、ヘッドを加圧してノズルからインクを排出するなどの動作(メンテナンス動作、クリーニング動作)を行い、吐出不良を防止するようにしている。
【0005】
このような空吐出動作やメンテナンス動作(以下「維持回復動作」という。)によって消費されたインクは通常破棄されるが、この破棄されるインクを再処理(ゴミや気泡の除去、濃度調整)し、再び利用することが知られている。
【0006】
例えば、空吐出により破棄されたインクを、色別に貯留し、再処理して元の色のインクのタンクに戻すことで再利用するものがある(特許文献1)。同様に、メンテナンスにて破棄されたインクの混色を再処理し、黒として再利用するものがある(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−014253号公報
【特許文献2】特開平11−170573号公報
【特許文献3】特開2005−212990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した破棄されるインクを再利用するために、色別に貯留、再処理をする手段を設ける構成では、構成が複雑になるという課題がある。また、再処理したインクを元の新しいインクと混合する構成では、再処理されたインクと新しいインクとが混合によってインクの特性が変化(劣化)するという課題がある。また、再処理されたインクが破棄されないまま次の再処理されたインクと混ざることで、古いインクがいつまでも破棄されずに本体内に残るという課題がある。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、新しい液体の特性劣化を招くことなく、複数色の液体が混合した液体で画像形成を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作で前記吐出された前記複数色の液体が混合した状態で回収する回収手段と、
前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから前記液体の排出を伴うメンテナンス動作を行うメンテナンス手段と、
前記回収手段に回収された前記複数色の液体が混合した混合色の液体及びメンテナンス手段で排出された液体を利用可能な状態に再処理する再処理手段と、
前記再処理手段で再処理された前記混合色の液体を貯留する貯留手段と、
前記再処理手段で処理された前記混合色の液体の液体を吐出する混合色用記録ヘッドと、
混合色用記録ヘッドによる画像形成が指示されたときに前記混合色用記録ヘッドを使用した画像形成動作を制御する手段と、
前記混合色用記録ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作で前記吐出された前記混合色の液体を回収して、廃棄する混合色用回収手段と、
前記混合色用記録ヘッドから前記混合色の液体の排出を伴うメンテナンス動作を行い、排出された前記混合色の液体を廃棄する混合色用メンテナンス手段と、を備えている
構成とした。
【0011】
ここで、
前記貯留手段に貯留されている混合色の液体の色を検出する手段と、
前記検出された混合色の液体の色を表示する手段と、
前記貯留手段に前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから前記複数色の液体のうちの少なくともいずれかを加える色調整を指示する手段と、
前記指示に応じて色調整を行なう手段と、を備えている
構成とできる。
【0012】
また、
前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから吐出されて前記前記貯留手段に貯留されている混合色の液体の色を推定する手段と、
前記推定結果に基づいて前記混合色の液体を黒に近づけるに必要な前記液体の色及び量を判別する手段と、
前記混合色の液体の色を黒に近づける色調整を指示する手段と、
前記指示に応じて、前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから前記判別結果に応じた色の液体を排出させて色調整を行なう手段と、を備えている
構成とできる。
【0013】
また、
前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドからの前記空吐出動作の履歴に基づいて前記貯留手段に貯留されている混合色の液体の色を推定する手段と、
前記推定結果に基づいて前記混合色の液体を黒に近づけるに必要な前記液体の色及び量を判別する手段と、
前記貯留手段に前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから前記空吐出動作で前記複数色の液体のうちの少なくともいずれかを加える色調整制御を指示する手段と、
前記指示に応じて前記判別結果に応じた空吐出動作で色調整制御を行なう手段と、を備えている
構成とできる。
【0014】
また、前記貯留手段に貯留される前記混合色の液体を所定保有期間が経過したときに廃棄する廃棄手段を備えている構成とできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作で吐出された複数色の液体が混合した状態で回収する回収手段と、複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから液体の排出を伴うメンテナンス動作を行うメンテナンス手段と、回収手段に回収された複数色の液体が混合した混合色の液体及びメンテナンス手段で排出された液体を利用可能な状態に再処理する再処理手段と、再処理手段で再処理された混合色の液体を貯留する貯留手段と、再処理手段で処理された混合色の液体の液体を吐出する混合色用記録ヘッドと、混合色用記録ヘッドによる画像形成が指示されたときに混合色用記録ヘッドを使用した画像形成動作を制御する手段と、混合色用記録ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作で吐出された混合色の液体を回収して、廃棄する混合色用回収手段と、混合色用記録ヘッドから混合色の液体の排出を伴うメンテナンス動作を行い、排出された混合色の液体を廃棄する混合色用メンテナンス手段とを備えている構成としたので、簡単な構成で、新しい液体の特性劣化を招くことなく、複数色の液体が混合した液体で画像形成を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るにおける空吐出時のインク再利用に係る部分の要部模式的説明図である。
【図2】同じくメンテナンス時のインク再利用係る部分の要部模式的説明図である。
【図3】同実施形態におけるインク貯留処理の説明に供するフロー図である。
【図4】同じくXカラーインクの再処理及び廃棄処理の説明に供するフロー図である。
【図5】同じくXカラーインクの色を黒に近づけるように変更(調整)する処理(色調整処理)の説明に供するフロー図である。
【図6】同じくXカラーインクを使用して画像形成動作を開始する(印刷ジョブを開始する)ときの処理の説明に供するフロー図である。
【図7】同じくXカラーインクを使用した画像形成動作中にインク残量が少なくなったときの処理の説明に供するフロー図である。
【図8】同じくXカラーインクを使用した画像形成処理の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置について図1及び2図を参照して説明する。なお、図1は同実施形態に係る画像形成装置における空吐出時のインク再利用に係る部分の要部模式的説明図、図2は同じくメンテナンス時のインク再利用係る部分の要部模式的説明図である。
【0018】
この画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の液体(インク)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなるヘッド1y、1m、1c、1k(区別しないときは「ヘッド1」という。)と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(YMCK)の各色の液体が混合した混合色の液体(以下「混合液体」又は「Xカラーインク」という。)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる混合色用記録ヘッドであるXカラーインク用ヘッド1xと備えている。
【0019】
回収ユニット2(図1)は、ヘッド1から画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を回収する。
【0020】
メンテナンスユニット3(図2)は、ヘッド1のノズル面をキャッピングするキャップ31、キャップ31に接続された吸引ポンプ32及び図示しないワイパ部材などを備え、メンテナンス動作を行うときにキャップ31でノズル面をキャッピングして吸引ポンプ32で吸引を行なうことでノズルからインクを吸引排出する。
【0021】
再処理ユニット4は、回収ユニット2内のXカラーインクを取り込んで利用可能な状態に再処理し、また、メンテナンスユニット3のK、C、M、Yの各吸引ポンプ32から送られるK、C、M、Yのインクを取り込んで利用可能な状態に再処理して、Xカラーインクタンク5に送液する。この再処理ユニット4は、インクをろ過するフィルタ41、濃度を調整する濃度調整部42、インクを送液するポンプ43などで構成される。
【0022】
また、この再処理ユニット4は、再処理手段であり、Xカラーインクタンク5内に貯留されているXカラーインクを取出して再処理を行ない、Xカラーインクタンク5に送液する。
【0023】
Xカラーインクタンク5は、貯留手段であり、再処理ユニット4から送られるXカラーインクが貯留される。
【0024】
残量検知センサ6は、Xカラーインクタンク5のXカラーインクの残量を検出する。
【0025】
Xカラーインク用色センサ7は、Xカラーインクタンク6のXカラーインクの色を検出する。
【0026】
Xカラーインク用回収ユニット8(図1)は、混合色用回収手段であり、Xカラーインク用ヘッド1xから空吐出動作で吐出される空吐出滴を回収し、廃液タンク10に廃棄する。
【0027】
Xカラーインク用メンテナンスユニット9(図2)は、混合色用メンテナンス手段であり、Xカラーインク用ヘッド1xのノズル面をキャッピングするキャップ91、キャップ91に接続された吸引ポンプ92及び図示しないワイパ部材などを備え、メンテナンス動作を行うときにキャップ91でノズル面をキャッピングして吸引ポンプ92で吸引を行なうことでノズルからXカラーインクを吸引排出し、廃液タンク10に廃棄する。なお、図1及び図2では、メンテナンスユニット3とXカラーインク用メンテナンスユニット9とを一体化した例で説明している。
【0028】
上述した各部の制御は図示しないマイクロコンピュータなどで構成される制御部(制御手段)によって行なわれる。
【0029】
次に、上記実施形態におけるインク貯留処理について図3のフロー図を参照して説明する。
まず、空吐出動作のよって生じるYMCKのインクが回収ユニット3にて回収される。この場合、YMCKの各色のヘッド1から空吐出によって回収ユニット3に空吐出滴が吐出される。回収ユニット3は、YMCKに対応する1つの受け部を有しているので、回収ユニット3に空吐出されたYMCKは混じり合う(このインクを「Xカラーインク」とする。)。この段階では、混合(混色)したインク(Xカラーインク)の色は、YMCKのインクが不均一に混ざっているので時々で色が変わる。
【0030】
そして、残量検知センサ6の検知結果をチェックしてXカラーインクタンク5が満杯か否かを判別する。
【0031】
このとき、Xカラーインクタンク5が満杯であれば、再処理を行なわないで、そのまま廃液タンク10に廃棄する。Xカラーインクタンク5が満杯でなければ、再処理ユニット4で、再処理(ゴミと気泡の除去、濃度の調整)を行い、再び印字できる状態にリフレッシュした後、再処理したXカラーインクをXカラーインクタンク5に貯留する。
【0032】
次に、メンテナンスの場合は、メンテナンス動作によって生じるYMCKのインクがメンテナンスユニット3に吸引(貯留)される。この場合、YMCK各色のヘッド1からメンテナンスによってメンテナンスユニット3にインクが吸引、貯留される。メンテナンスとは、ノズルの乾燥等による吐出できない状態を回復するために、ヘッドの加圧による強制吐出や、ヘッド表面の汚れを取るワイピング等の動作の総称である。この過程で、各ヘッド1からインクがキャップ31に吐出される。そして、メンテナンスユニット3から再処理ユニット4までのインクの経路は1つであるので、メンテナンスにてメンテナンスユニット3が回収した各色のインクはここで混色される。
【0033】
そして、空吐出の場合の同様に、残量検知センサ6の検知結果をチェックしてXカラーインクタンク5が満杯か否かを判別する。
【0034】
このとき、Xカラーインクタンク5が満杯であれば、再処理を行なわないで、メンテナンスユニット3で吸引されたインクは、そのまま廃液タンク10に廃棄する。Xカラーインクタンク5が満杯でなければ、再処理ユニット4で、再処理(ゴミと気泡の除去、濃度の調整)を行い、再び印字できる状態にリフレッシュした後、再処理したXカラーインクをXカラーインクタンク5に貯留する。
【0035】
なお、Xカラーインク用ヘッド1xからの空吐出動作でXカラーインク用回収ユニット8で回収されたXカラーインクの廃液、Xカラーインク用ヘッド1xのメンテナンス動作で吸引されたXカラーインクは、YMCK等の他の色と混ざることなく、廃インクとして廃インクタンク10に破棄される。
【0036】
次に、Xカラーインクの再処理及び廃棄処理について図4のフロー図を参照して説明する。
この処理は、Xカラーインクタンク5にXカラーインクが貯留されている状態において行われる。まず、Xカラーインクタンク5にXカラーインクが貯留されていると、貯留時間タイマがカウントを開始し、このタイマの値が予め定めた一定値以上になったか否かを判別する。
【0037】
そして、一定時間以上が経過したときには、Xカラーインクタンク5内部のXカラーインクを再処理した回数をカウントする再処理回数カウンタを参照し、カウント値が一定値以上であれば、Xカラーインクタンク5内部のXカラーインクが、再処理ユニット4を通してもリフレッシュできないほど劣化していると判断されるので、Xカラーインクタンク5内部のXカラーインクは廃液タンク10に破棄する。
【0038】
これに対し、再処理回数カウンタのカウント値が一定値未満のときには、Xカラーインクタンク5内部のXカラーインクを再処理することにより、再度印字できる状態にリフレッシュできると判断されるので、再処理ユニット4で再処理を行ない、貯留時間タイマをクリアし、貯留時間タイマを開始して、上述した処理を繰り返す。
【0039】
貯留時間タイマ及び再処理回数カウンタと比較する一定値は、インクの特性や使用条件によってある程度変化するが、これらの値による時間(所定保有時間)が経過したときには、定期的にXカラーインクタンク5内部のXカラーインクは全て破棄されるので、Xカラーインクが内部で溜まり続けることはない(循環を防止できる)。
【0040】
次に、Xカラーインクの色を黒に近づけるように変更(調整)する処理(色調整処理)について図5のフロー図を参照して説明する。
まず、Xカラーインクの色検知モードを動作させると、Xカラーインクタンク5に貯留されているXカラーインクの色を色センサ7で検知する。そして、装置本体の図示しない操作部或いはこの画像形成装置に接続される情報処理装置側のプリンタドライバによる印刷プロパティなどで、検知した色で画像形成を行ったときの色を表示する。
【0041】
そして、操作部或いはこの画像形成装置に接続される情報処理装置側のプリンタドライバによる印刷プロパティなどで、Xカラーインクの色を黒に近づけるように色調整する処理が指示されたか否かを判別する。
【0042】
このとき、色調整が指示されなければ、そのまま処理を終了する。
【0043】
また、色調整が指示されれば、Kインク又は検知した色の補色(混ぜると黒色になるインク)及びその量を算出して、YMCKの各ヘッド1から、空吐出動作又はメンテンス動作によって排出させ、再処理を行なってXカラーインクタンク5に注ぎ足し、色調整が指示されなくなるまで、この処理を繰り返す。
【0044】
これにより、Xカラーインクタンク内のXカラーインクの色を黒色に近づけることができる。
【0045】
次に、Xカラーインクを使用して画像形成動作を開始する(印刷ジョブを開始する)ときの処理について図6のフロー図を参照して説明する。
まず、Xカラーインクタンク5の残量検知センサ6を参照して、Xカラーインクが少ない又は無い状態であるか否かを判別する。
【0046】
そして、Xカラーインクタンク5内のXカラーインクが少ない又は無い状態であるときには、Xカラーインクを使用せずにYMCKインクを使用して画像形成を行なう通常モードで印刷を行う。
【0047】
これに対し、Xカラーインクタンク5内のXカラーインクが残っているときには、Xカラーインクを使用して画像形成を行なう。
【0048】
次に、Xカラーインクを使用した画像形成動作中にインク残量が少なくなったときの処理について図7のフロー図を参照して説明する。
Xカラーインクを使用した画像形成中(印刷ジョブ中)に、一定の印刷枚数又は時間でこの処理がエントリイされ、残量検知センサ6を参照してXカラーインクタンク5内のXカラーインクのインク残量が少ない(予め定めた所定量以下)であるか否かを判別する。
【0049】
そして、Xカラーインクタンク5内のXカラーインクのインク残量が所定量を超えていれば、そのままXカラーインクを使用した印字を継続する。
【0050】
これに対し、Xカラーインクタンク5内のXカラーインクのインク残量が所定量以下であれば、現在印字している次の用紙からXカラーインクに変えてKインクを使用して印字するモードに変更する。なお、実際にインクを切り替えるタイミングは、転写紙単位で実行する。このため、1ジョブの半分でXカラーインクとKインクの切り替わりが発生した場合、印刷された紙の前半分はXカラーの色、後半分は黒色となる。
【0051】
なお、これらの図6及び図7で説明した処理をそれぞれ独立して行なうことで、納入時やXカラーインクを使い切った場合などの、XカラーインクタンクにXカラーインクが無い場合や、Xカラーインクを使用している最中にXカラーインクが少なくなった場合についても対応できる。
【0052】
次に、Xカラーインクを使用した画像形成処理について図8のフロー図を参照して説明する。
PC等からホストからの指示で印刷動作を実行する場合、印刷するイメージを選択する。次に、印刷に使用するインクの種類を選択する。ここでは、Kインクだけを使用するモノクロ印刷モード、YMCKインクを使用するカラー印刷モード、Xカラーインクだけを使用するモードと、カラー印刷をするときKインクに代えてXカラーインクを使用するモード(YMCXモード)を選択することができる。
【0053】
Xカラーインクだけを使用するモードでは、従前のモノクロ印刷を、Xカラーインクを使用して行なう。YMCXモードでは、従前のカラー印刷のKインクの代わりにXカラーインクを使用する。
【0054】
上述したようなXカラーインクの生成、再処理、印刷などに係る制御はROMなどに格納されたプログラムによってコンピュータに行なわせることができ、このプログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができ、或はインターネットネットなどのネットワークを通じてダウンロードすることで提供される。また、上記実施形態で説明した画像形成装置とホスト側(情報処理装置)とを組みあせて画像形成システムを構成することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1y、1m、1c、1k ヘッド
1x Xカラーインク用ヘッド
2 回収ユニット
3 メンテナンスユニット
4 再処理ユニット
5 Xカラーインクタンク
6 残量検知センサ
7 Xカラーインク色センサ
8 Xカラーインク用回収ユニット
9 Xカラーインク用メンテナンスユニット
10 廃液タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作で前記吐出された前記複数色の液体が混合した状態で回収する回収手段と、
前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから前記液体の排出を伴うメンテナンス動作を行うメンテナンス手段と、
前記回収手段に回収された前記複数色の液体が混合した混合色の液体及びメンテナンス手段で排出された液体を利用可能な状態に再処理する再処理手段と、
前記再処理手段で再処理された前記混合色の液体を貯留する貯留手段と、
前記再処理手段で処理された前記混合色の液体の液体を吐出する混合色用記録ヘッドと、
混合色用記録ヘッドによる画像形成が指示されたときに前記混合色用記録ヘッドを使用した画像形成動作を制御する手段と、
前記混合色用記録ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作で前記吐出された前記混合色の液体を回収して、廃棄する混合色用回収手段と、
前記混合色用記録ヘッドから前記混合色の液体の排出を伴うメンテナンス動作を行い、排出された前記混合色の液体を廃棄する混合色用メンテナンス手段と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記貯留手段に貯留されている混合色の液体の色を検出する手段と、
前記検出された混合色の液体の色を表示する手段と、
前記貯留手段に前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから前記複数色の液体のうちの少なくともいずれかを加える色調整を指示する手段と、
前記指示に応じて色調整を行なう手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから吐出されて前記前記貯留手段に貯留されている混合色の液体の色を推定する手段と、
前記推定結果に基づいて前記混合色の液体を黒に近づけるに必要な前記液体の色及び量を判別する手段と、
前記混合色の液体の色を黒に近づける色調整を指示する手段と、
前記指示に応じて、前記複数色の液体の液滴を吐出する1又は複数の記録ヘッドから前記判別結果に応じた色の液体を排出させて色調整を行なう手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記貯留手段に貯留される前記混合色の液体を所定保有期間が経過したときに廃棄する廃棄手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−173315(P2011−173315A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38830(P2010−38830)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】