説明

画像形成装置

【課題】リストアを行うときに、必要な情報が誤って上書きされてしまうのを防止する。
【解決手段】HDD118は、画像形成に関する各種情報を記憶する。そして、制御部111は、HDD118に記憶されている情報をバックアップデータとして外部記憶装置40又はPC30に記憶させるバックアップ制御を行う。そして、制御部111は、HDD118の状態を判定し、該判定結果に基づいてリストアを行うか否かを決定し、リストアを行うと決定したときに、外部記憶装置40又はPC30に記憶されたバックアップデータをHDD118に書き戻すリストア制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、画像形成装置を新規に設置する場合、あるいは、異常動作後に画像形成装置を復帰させる場合等に、画像形成装置の元の設定(例えば、レジスト値や印刷枚数のカウンタ値等)を反映するため、その設定情報を画像処理装置の不揮発メモリに書き込むリストア処理が行われている。
【0003】
また、このような画像形成装置には、適切なリストアを行うために、接続あるいは交換された機器やユーザの操作に応じてリストアするデータを選択するものがある(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−210369号公報
【特許文献2】特開2008−109574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記各特許文献に記載の発明では、不揮発メモリに記憶されたデータは、リストアされるデータによって上書きされるため、ジョブの履歴情報など、特定のデータについては、誤って操作されて上書きしてしまうと、元のデータに復元することはできず、上書き前の情報を利用できなくなり、大変不便となる場合がある。
【0006】
本発明の課題は、リストアを行うときに、必要な情報が誤って上書きされてしまうのを防止できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、
画像形成に関する各種情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている情報をバックアップデータとして外部記憶装置に記憶させるバックアップ制御と、前記記憶部の状態を判定し、該判定結果に基づいてリストアを行うか否かを決定し、リストアを行うと決定したときに、前記外部記憶装置に記憶された前記バックアップデータを前記記憶部に書き戻すリストア制御と、を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記リストア制御において、前記記憶部が該記憶部に記憶される情報のうちの少なくとも所定の情報が記憶されたものであるか否かを判定することにより前記記憶部の状態を判定し、前記記憶部が前記所定の情報が記憶されたものでないと判定したときに、リストアを行うと決定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、前記リストア制御において、前記記憶部が該記憶部に記憶される情報のうちの少なくとも所定の情報が記憶されたものであるか否かを判定することにより前記記憶部の状態を判定し、前記記憶部が前記所定の情報が記憶されたものであると判定したときは、前記バックアップデータのうちの少なくとも所定の情報を除く情報を前記記憶部に書き戻すことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、ジョブの実行履歴を前記所定の情報として前記記憶部に記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記外部記憶装置に記憶されるバックアップデータは複数種類の情報を含んで構成され、
前記制御部は、前記リストア制御において、所定の選択要求に応じて、前記記憶部に書き戻す対象となった情報から、前記記憶部への書き戻しを実行する情報を種類毎に選択し、該選択された種類の情報を前記記憶部に書き戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リストアを行うときに、必要な情報が誤って上書きされてしまうのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態におけるメンテナンスシステムのシステム構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の内部構成を示す図である。
【図3】ユーザ履歴情報について説明する図である。
【図4】画像処理装置において実行されるバックアップ実行処理について説明するフローチャートである。
【図5】画像処理装置において実行されるHDD初期化処理について説明するフローチャートである。
【図6】画像処理装置において実行されるリストア実行処理について説明するフローチャートである。
【図7】画像処理装置において実行されるHDD交換確認処理について説明するフローチャートである。
【図8】画像処理装置において実行されるユーザ履歴書込判定処理について説明するフローチャートである。
【図9】バックアップ実行処理に際して表示される操作画面例を示す図である。
【図10】リトライ実行処理に際して表示される操作画面例を示す図である。
【図11】リトライ実行処理に際して表示される操作画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0015】
本実施の形態におけるメンテナンスシステム100は、図1に示すように、例えば、画像形成装置10、PC(Personal Computer)30、外部記憶装置40等から構成されている。メンテナンスシステム100は、PC30又は外部記憶装置40を用いて画像形成装置10のメンテナンスを行うシステムである。PC30は、ネットワークを介して画像形成装置10に接続可能であり、外部記憶装置40は、USB(Universal Serial Bus)等により画像形成装置10に接続可能である。
【0016】
画像形成装置10は、入力画像に画像処理を施して出力画像を生成し、当該出力画像の印刷出力を行うものである。画像形成装置10は、ADF(Auto Document Feeder)20a、フィニッシャ20b、給紙ユニット20cの各種オプション機器(以下、オプション機器20a〜20cと総称する)が接続可能であり、用途に応じてこれらオプション機器20a〜20cの追加又は削除が可能である。
【0017】
画像形成装置10は、図2に示すように、本体部11、画像読取部12、操作表示部13、画像形成部16、通信部17を備えて構成されている。
また、本体部11は、制御部111、不揮発メモリ112、画像処理部113、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御部114、DRAM115、I/F(Interface)116,117、HDD(Hard Disk Drive)118を備えて構成されている。
【0018】
制御部111は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部111は、不揮発メモリ112に記憶されている制御プログラムを読み出してRAMに展開し、当該制御プログラムとの協働により各部の動作を集中制御し、あるいは、各種演算を行う。
【0019】
不揮発メモリ112は、制御プログラムやプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する内部記憶手段であり、ROM(Read Only Memory)等が適用可能である。また、不揮発メモリ112は、画像形成装置10の各種設定に係る設定情報を記憶しており、例えば、本体固有情報、基本情報、調整情報、オプション構成情報等を記憶している。
【0020】
画像処理部113は、画像読取部12から入力される読取画像や、PC30等から送信されるジョブデータに基づき、出力用の出力画像を生成する。画像処理としては、色変換処理、平均化処理、γ補正処理、解像度変換処理、スクリーン処理等が含まれる。生成した出力画像はDRAM制御部114に出力される。
【0021】
DRAM制御部114は、DRAM115に記憶された出力画像の入出力を制御する。
DRAM115は、出力画像を記憶する画像メモリである。
【0022】
I/F116は、オプション機器20a〜20cと制御部111間で制御情報等をやり取りするためのインターフェイスである。
【0023】
I/F117は、外部記憶装置40内に記憶されているデータのやり取り(読み出し又は書き込み)を行うインターフェイスである。
【0024】
記憶部の一例としてのHDD118は、未だ実行されていない残ジョブのジョブデータ、ジョブデータに基づいて生成された画像データ、画像形成装置10の機種を特定するための機種情報、画像形成装置の各種調整値等を記憶する不揮発メモリである。また、HDD118には、画像形成装置10において実行されたジョブの実行履歴やデータの送受信履歴等が記録されたユーザ履歴情報が記憶されている。ユーザ履歴情報は、例えば、図3に示すように、タスクが実行される毎に実行されたタスクの情報が実行順にテーブルに登録される。このテーブルには、タスク名とともに、タスクの実行日時、タスクの実行において使用されたファイル名、ファイルの送り先等が登録される。
また、HDD118には、個体を識別するためのシリアル番号(シリアルNo.)が記憶されている。
なお、HDD118に限定されず、電源の供給が遮断されても記憶情報を保持可能な不揮発メモリ等の記憶媒体を適用してもよい。
【0025】
画像読取部12は、光源、CCD(Charge Coupled Device)、A/D変換器等を備え、光源から原稿へ照明走査した光の反射光を結像してCCDにより光電変換することにより原稿画像を読み取り、読み取った画像信号にA/D変換器によりデジタル画像データに変換する。ここで、画像は図形や写真等のイメージに限らず、文字や記号等のキャラクタイメージ等も含む。なお、画像形成装置10にADF20aが接続されている場合、ADF20aによって画像読取部12に原稿が自動搬送されるので、画像読取部12はこの搬送された原稿の読み取りを行う。
【0026】
操作表示部13は、操作部131、表示部132及びタッチパネル133を備えて構成されている。
【0027】
操作部131は、プリント開始を指示するためのスタートキーや数字キー等の各種機能キーを備え、これら機能キーやタッチパネル133が操作されると、対応する操作信号を制御部111に出力する。
【0028】
表示部132は、タッチパネル133と一体に設けられたLCD(Liquid Crystal Display)を備え、このLCDの表示領域上にプリント操作や後述するバックアップ操作を行うための各種操作画面を表示させる。
【0029】
画像形成部16は、本体部11の画像処理部113から入力される出力画像に基づいて電子写真方式により画像形成を行う。電子写真方式では、レーザ光源から感光体ドラム上にレーザ光を照射して露光を行い、静電潜像を形成する。これに現像部がトナーを吹き付けてできたトナー像を記録用紙に転写する。なお、画像形成装置10に給紙ユニット20cが接続されている場合には、当該給紙ユニット20cから記録用紙の給紙を行う。トナー像が転写された記録用紙は定着処理が施された後、外部の排出トレイに出力される。このとき、画像形成装置10にフィニッシャ20aが接続される場合には、トナー像が転写された記録用紙はフィニッシャ20aに出力される。
【0030】
通信部17は、ネットワークインターフェイスカード等の通信用のインターフェイスを備え、PC30等の外部装置とネットワークを介して通信を行う。
【0031】
PC30は、例えば、HDD等の記憶装置を備えており、画像形成装置10のバックアップを行う際に、HDD118に記憶されている情報を記憶する外部記憶装置として機能するものである。
【0032】
外部記憶装置40は、画像形成装置10のバックアップを行う際に、HDD118に記憶されている情報を記憶する外部記憶装置である。外部記憶装置40としては、例えば、HDD、CD−R(Compact Disk-Recordable)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ、USBメモリ等を用いることができる。
【0033】
次に、画像形成装置10において行われるバックアップ実行処理について図4を参照しながら説明する。この処理は、ユーザが操作部131及びタッチパネル133を操作してバックアップモードへの移行操作がなされたことが検出されたときに実行される処理である。
【0034】
先ず、制御部111は、図9(a)に示すようなバックアップ設定画面d1を表示部132に表示させる(ステップS101)。図9(a)は表示部132のディスプレイに表示されたバックアップ設定画面d1と操作表示部13の操作部131の操作キーの概観を示す図である。バックアップ設定画面d1は、バックアップデータの保存先を選択操作するための操作画面である。バックアップ設定画面d1では、バックアップデータの保存先として「外部メディア」と「ネットワーク」のアイコンd11、d12が選択的に表示されている。なお、「外部メディア」のアイコンd11は保存先が外部記憶装置40であることを示し、「ネットワーク」のアイコンd12は保存先がPC30であることを示している。
【0035】
そして、制御部111は、バックアップ設定画面d1においてユーザにより何れかの保存先が選択されたか否かを判定する(ステップS102)。制御部111は、保存先が選択されたと判定したときは(ステップS102:Y)、HDD118の所定の記憶領域からHDDシリアルナンバーを取得する(ステップS103)。一方、制御部111は、保存先が選択されたと判定しないときは(ステップS102:N)、再度ステップS102の処理を実行する。
【0036】
そして、制御部111は、取得したHDDシリアルナンバーをHDDシリアルナンバー(B)として不揮発メモリ112に保存する(ステップS104)。そして、制御部111は、バックアップを実行して、HDD118に記憶された各種データをバックアップデータとして選択された保存先に転送する(ステップS105)。具体的には、選択された保存先が外部記憶装置40である場合、I/F117を介してHDD118に記憶された各種データを外部記憶装置40に転送して当該データの書込処理を行う。一方、選択された保存先がPC30である場合、通信部17を介してPC30にHDD118に記憶された各種データを送信する。PC30では、HDD118からのバックアップデータを所定の記録媒体に記憶する。
なお、転送の間、制御部111の表示制御によって、図9(b)に示す通知画面d2が表示部132上に表示される。通知画面d2はバックアップ中である旨を示す通知メッセージを表示するものである。
【0037】
このようにしてPC30又は外部記憶装置40にバックアップされたバックアップデータは、バックアップを行った元の画像形成装置10又は他の画像形成装置10においてリストアすることによりメンテナンスに利用することが可能である。リストアを行う場面としては様々なものが考えられる。例えば、定期的にバックアップ処理を実行して画像形成装置10に係るデータをバックアップしておき、HDD118に異常が発生したときに、HDD118を新品に交換した場合や、HDD118をフォーマット等して初期化した場合等にバックアップデータのリストア処理を行う場合である。また、新規に画像形成装置10を導入する際に、既存の画像形成装置10のバックアップデータを新規の画像形成装置10に反映させるため、バックアップ処理により既存の画像形成装置10のバックアップデータをバックアップしておき、リストア処理により新規の画像形成装置10に対してバックアップデータの書き込みを行う場合も考えられる。また、顧客毎にジョブデータ等を管理するために、顧客毎にまとめてデータのバックアップを行い、顧客からの依頼を受けて、バックアップデータのリストアを行う場合も考えられる。すなわち、バックアップデータをリストア対象の画像形成装置10のHDD118に書き込む(リストア)ことにより、画像形成装置10の設定を容易に行うことができる。
【0038】
次に、画像形成装置10において行われるHDD初期化処理について図5を参照しながら説明する。この処理は、ユーザが操作部131及びタッチパネル133を操作してHDD118の初期化操作がなされたことが検出されたときに実行される処理である。
【0039】
先ず、制御部111は、HDD118の各種情報を初期状態にする初期化処理を行う(ステップS201)。具体的には、HDD118をフォーマットして、HDD118に記憶されたジョブデータ、画像データ、ユーザ履歴情報、機種情報、調整値等の各種データをクリアする。そして、制御部111は、HDDの初期化を行った旨を示すHDD初期化フラグをセットし(ステップS202)、この処理を終了する。
【0040】
次に、画像形成装置10において行われるリストア実行処理について図6を参照しながら説明する。この処理は、ユーザが操作部131及びタッチパネル133を操作してリストアモードへの移行操作がなされたことが検出されたときに実行される処理である。
【0041】
先ず、制御部111は、図10に示すようなリストア設定画面d3を表示部132に表示させる(ステップS301)。図10に示すリストア設定画面d3では、書込対象のバックアップデータの読出元として「外部メディア」と「ネットワーク」のアイコンd11、d12が選択的に表示されている。なお、バックアップ設定画面d1と同様、「外部メディア」のアイコンd11は読出元が外部記憶装置40であることを示し、「ネットワーク」のアイコンd12は読出元がPC30であることを示している。
【0042】
そして、制御部111は、リストア設定画面d3においてユーザにより何れかの読出元が選択されたか否かを判定する(ステップS302)。制御部111は、読出元が選択されたと判定したときは(ステップS302:Y)、HDD118が交換されたか否かを判定するためのHDD交換確認処理を実行する(ステップS303)。HDD交換確認処理の詳細については、後述する。一方、制御部111は、読出元が選択されたと判定しないときは(ステップS302:N)、再度ステップS302の処理を実行する。
【0043】
次に、制御部111は、ステップS304において、HDD118が交換されたと判定したときは(ステップS304:Y)、画像データ、ユーザ履歴、機種情報及び調整値の全てについてリストア選択可能として、図11(a)に示すようなリストア項目選択画面d4を表示部132に表示させる(ステップS305)。リストア項目選択画面d4には、画像データ、ユーザ履歴、機種情報及び調整値のそれぞれについてリストアを行うか否かを選択するためのリストア項目d13が表示されており、ユーザの操作によりリストアを実行するか否かについて項目毎に選択できるようになっている。すなわち、制御部111は、HDD118が交換されたと判定した場合には、HDD118が新品に交換されたとして、HDD118が初期状態であると判断する。そして、制御部111は、HDD118が初期状態であるときは、当該HDD118は、少なくともユーザ履歴が記憶されたものでないとして、ユーザ履歴をリストア可能に制御するのである。
【0044】
一方、制御部111は、ステップS304において、HDD118が交換されたと判定しないときは(ステップS304:N)、HDD初期化フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS306)。すなわち、制御部111は、図5に示される、HDD初期化処理が実行されることにより、HDD118が初期化されたか否かを判定する。
【0045】
制御部111は、HDD初期化フラグがセットされていると判定したときは(ステップS306:Y)、ステップS305の処理に移行し、HDD初期化フラグがセットされていると判定しないときは(ステップS306:N)、画像データ、ユーザ履歴、機種情報及び調整値のうち、ユーザ履歴と機種情報については、リストアの実行を制限するように、図11(b)に示すようなリストア項目設定画面d4を表示部132に表示させる(ステップS307)。すなわち、制御部111は、HDD118が初期化されていないため、当該HDD118は、ユーザ履歴が記憶されたものであると判断して、リストア項目d13に表示された項目のうち、ユーザ履歴及び機種情報に網掛け表示を行い、リストアを行う対象でない項目であることを認識可能に表示する。
【0046】
そして、制御部111は、ステップS305又はステップS307を実行した後、リストアする項目をユーザの操作に基づいて判断するリストア項目選択処理を実行する(ステップS308)。具体的には、図11(a)及び図11(b)に示すように、リストアを実行することを示す「する」ボタンと、リストアを実行しないことを示す「しない」ボタンとが項目毎に表示されており、ユーザがタッチパネル133を操作することにより、何れかを選択することができる。なお、各項目の選択結果は、図11(a)及び図11(b)に示されるように、所定の色による着色表示がなされる。また、図11(b)に示すように、リストアを行う対象でない項目(すなわち、網掛け表示された項目)については、リストアを行うか否かの選択操作が行われても操作を受け付けないよう、制御部111によって制御される。
【0047】
そして、制御部111は、リストア項目設定画面d4に表示された「実行」ボタンd14が操作されたことを検出すると、リストアを実行して、読出元に記憶されたバックアップデータをHDD118に転送する(ステップS309)。具体的には、選択された読出元が外部記憶装置40である場合、I/F117を介して外部記憶装置40に記憶された各種データをHDD118に転送して当該データの書込み処理を行う。一方、選択された読出元がPC30である場合、通信部17を介してHDD118にPC30における所定の記録媒体に記憶された各種データを送信する。ここで、HDD118に転送されるデータは、ステップS308において、リストアを行う対象である項目の中から、ユーザによって選択された項目に対応するデータである。
【0048】
以上の処理が実行されることによれば、HDD118に記憶された画像データやジョブデータ等について過去の状態に戻すような通常のリストアのときは、ジョブ履歴情報のリストアを制限し、HDD118が新品に交換されたり、初期化されるなどして、HDD118にジョブ履歴情報が残っていないような場合には、ジョブ履歴情報をリストアすることにより、ユーザによって誤って最新のジョブ履歴情報が削除されずに残しておくことができるようになる。
【0049】
次に、ステップS303において実行されるHDD交換確認処理について、図7を参照しながら説明する。
【0050】
先ず、制御部111は、HDD118の所定の記憶領域からHDDシリアル番号を読み出し、これをHDDシリアルNo(A)として、例えば、所定のレジスタにセットする(ステップS401)。次に、制御部111は、バックアップ実行処理(図4参照)において不揮発メモリ112に記憶されたHDDシリアルNo(B)を読み出す(ステップS402)
【0051】
そして、制御部111は、HDDシリアルNo(A)とHDDシリアルNo(B)が同一であるか否かを判定する(ステップS403)。制御部111は、HDDシリアルNo(A)とHDDシリアルNo(B)が同一であると判定しないときは(ステップS403:N)、HDD118が交換されたとして、例えば、所定のフラグをセットした後(ステップS404)、この処理を終了する。一方、制御部111は、HDDシリアルNo(A)とHDDシリアルNo(B)が同一であると判定したときは(ステップS403:Y)、HDD118は交換されたものでないとして、ステップS404の処理を実行することなくこの処理を終了する。
【0052】
次に、画像形成装置10において行われるユーザ履歴書込判定処理について図8を参照しながら説明する。この処理は、所定時間毎に実行される割込処理である。
【0053】
先ず、制御部111は、HDD初期化フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS501)。制御部111は、HDD初期化フラグがセットされていると判定したときは(ステップS501:Y)、HDD118のユーザ履歴情報が記憶される領域を検出し、ユーザ履歴情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS502)。すなわち、制御部111は、HDD118が初期化された後、タスクが実行されるか、リストアが実行されて新たにユーザ履歴情報が記憶されたか否かを判定する。
【0054】
制御部111は、ユーザ履歴情報が記憶されていると判定したときは(ステップS502:Y)、HDD初期化フラグをクリアし(ステップS503)、この処理を終了する。これにより、図6に示されるリストア実行処理において、ユーザ履歴情報のリストアを制限するので、最新のユーザ履歴情報がリストアによって上書き消去されるのが防止できる。
【0055】
一方、制御部111は、ステップS501において、HDD初期化フラグがセットされていると判定しないとき、及び、ステップS502において、ユーザ履歴情報が記憶されていると判定しないときは、何れもこの処理を終了する。
【0056】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、HDD118は、画像形成に関する各種情報を記憶する。そして、制御部111は、HDD118に記憶されている情報をバックアップデータとして外部記憶装置40又はPC30に記憶させるバックアップ制御を行う。そして、制御部111は、HDD118の状態を判定し、該判定結果に基づいてリストアを行うか否かを決定し、リストアを行うと決定したときに、外部記憶装置40又はPC30に記憶されたバックアップデータをHDD118に書き戻すリストア制御を行う。その結果、HDDの状態を判定してリストアを行うか否かを自動的に判断し、これを実行するので、リストアを行うときに、ユーザによって、HDDに記憶された必要な情報が誤って上書きされ、大事なデータが削除されてしまうことを防止することができる。
【0057】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部111は、リストア制御において、HDD118がこのHDD118に記憶される情報のうちの少なくとも所定の情報が記憶されたものであるか否かを判定することによりHDD118の状態を判定する。そして、制御部111は、HDD118が所定の情報が記憶されたものでないと判定したときに、リストアを行うと決定する。その結果、所定の情報が記憶されていない場合には当該情報をリストアし、これを利用して画像形成を行うことができるので、生産性を高めることができる。
【0058】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部111は、リストア制御において、HDD118がこのHDD118に記憶される情報のうちの少なくとも所定の情報が記憶されたものであるか否かを判定することによりHDD118の状態を判定する。そして、制御部111は、HDD118が所定の情報が記憶されたものであると判定したときは、バックアップデータのうちの少なくとも所定の情報を除く情報をHDD118に書き戻す。その結果、ユーザのリストア操作ミス等によって最新の情報が上書きされて、これを画像形成に利用できなくなって、生産性が低下するのを防止できる。
【0059】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部111は、ユーザ履歴情報を所定の情報としてHDD118に記憶するので、リストアが行われても、最新のユーザ履歴情報が誤って上書きされずに確保することができるので、タスク管理等を容易に行うことができ、生産性を高めることができる。
【0060】
また、本発明の実施の形態によれば、外部記憶装置40又はPC30に記憶されるバックアップデータは複数種類の情報を含んで構成されている。そして、制御部111は、リストア制御において、所定の選択要求に応じて、HDD118に書き戻す対象となった情報から、HDD118への書き戻しを実行する情報を種類毎に選択する。そして、制御部111は、選択された種類の情報をHDD118に書き戻す。その結果、ユーザの必要に応じたデータのリストアが可能となり、利便性が向上する。
【0061】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の一例であり、これに限定されるものではない。画像形成装置を構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、ユーザ履歴情報がHDDに記憶されているときに、ユーザ履歴情報と機種情報のリストアを制限するようにしたが、ユーザ履歴情報のみリストアを制限するようにしてもよく、また、ユーザ履歴情報とその他の情報のリストアを制限するようにしてもよい。また、全ての情報についてリストアを制限するようにしてもよい。
【0063】
また、本実施の形態では、HDDに記憶された情報の全てについてバックアップを行うようにしたが、一部の情報のみバックアップするようにしてもよい。この場合、ユーザの選択によりバックアップする情報を決定するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、ユーザ履歴情報がHDDに記憶されているときに、リストアする情報の制限を行うようにしたが、他の情報がHDDに記憶されたことに基づいてリストアする情報に制限を設けるようにしてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、リストアを行う対象の項目からリストアを実行する項目を、ユーザによって選択可能にしたが、このような機能を備えないようにしてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0067】
100 メンテナンスシステム
10 画像形成装置
11 本体部
111 制御部
112 不揮発メモリ
118 HDD
13 操作表示部
131 操作部
132 表示部
133 タッチパネル
30 PC
40 外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に関する各種情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている情報をバックアップデータとして外部記憶装置に記憶させるバックアップ制御と、前記記憶部の状態を判定し、該判定結果に基づいてリストアを行うか否かを決定し、リストアを行うと決定したときに、前記外部記憶装置に記憶された前記バックアップデータを前記記憶部に書き戻すリストア制御と、を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記リストア制御において、前記記憶部が該記憶部に記憶される情報のうちの少なくとも所定の情報が記憶されたものであるか否かを判定することにより前記記憶部の状態を判定し、前記記憶部が前記所定の情報が記憶されたものでないと判定したときに、リストアを行うと決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記リストア制御において、前記記憶部が該記憶部に記憶される情報のうちの少なくとも所定の情報が記憶されたものであるか否かを判定することにより前記記憶部の状態を判定し、前記記憶部が前記所定の情報が記憶されたものであると判定したときは、前記バックアップデータのうちの少なくとも所定の情報を除く情報を前記記憶部に書き戻すことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、ジョブの実行履歴を前記所定の情報として前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外部記憶装置に記憶されるバックアップデータは複数種類の情報を含んで構成され、
前記制御部は、前記リストア制御において、所定の選択要求に応じて、前記記憶部に書き戻す対象となった情報から、前記記憶部への書き戻しを実行する情報を種類毎に選択し、該選択された種類の情報を前記記憶部に書き戻すことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−194846(P2011−194846A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67146(P2010−67146)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】