画像形成装置
【課題】帯電装置全体として長寿命化を図る。
【解決手段】非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gを交互に切り替えて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作が実行される。このため、放電ワイヤ64B・64Gのそれぞれの放電時間が抑制される。これにより、例えば、非動作区間Bにおいて放電ワイヤ64B・64Gの両方の放電動作が実行される構成、非動作区間Bにおいて切り替えずに放電ワイヤ64Bのみの放電動作が実行される構成に比べて、帯電装置全体として長寿命化が図れる。
【解決手段】非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gを交互に切り替えて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作が実行される。このため、放電ワイヤ64B・64Gのそれぞれの放電時間が抑制される。これにより、例えば、非動作区間Bにおいて放電ワイヤ64B・64Gの両方の放電動作が実行される構成、非動作区間Bにおいて切り替えずに放電ワイヤ64Bのみの放電動作が実行される構成に比べて、帯電装置全体として長寿命化が図れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の画像形成装置では、一次帯電器に放電電流を流すことによって帯電した感光ドラムを露光手段によって露光し静電潜像を形成する。この静電潜像を、現像装置に現像バイアス電圧を印加することによって現像する。一次帯電器と現像装置とに制御装置を連結する。感光ドラムには、露光による静電潜像の形成の有無によって静電潜像形成区間と静電潜像非形成区間とが形成される。制御装置は、静電潜像非形成区間に対する放電電流値および現像バイアス電圧値を、静電潜像形成区間に対するこれらの値と異なる値に変更する。放電電流を少なくすることで放電生成物を低減する一方、これにより発生しがちな画像ムラ、かぶりを、現像バイアス電圧値の変更で防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−158296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置において帯電装置の長寿命化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、前記画像形成体に前記画像を形成する場合に、前記複数の放電部を動作させ、前記画像形成体に前記画像を形成しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、を備える画像形成装置である。
【0006】
請求項2の発明は、回転し、帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、前記画像形成体が第1回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部を動作させ、前記画像形成体が第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、を備える画像形成装置である。
【0007】
請求項3の発明は、帯電及び露光されることで静電潜像が形成される感光体と、複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記感光体を帯電させる帯電装置と、前記感光体の静電潜像を現像位置で現像する現像装置と、前記現像装置が現像位置に位置する場合に、前記複数の放電部を動作させ、前記現像装置が前記現像位置に位置しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、を備える画像形成装置である。
【0008】
請求項4の発明は、印加されるグリッド電圧によって前記複数の放電部から前記感光体への放電量を制御するグリッドと、前記複数の放電部の一部又は他の一部が動作する状態において、前記複数の放電部が動作する状態よりも前記グリッド電圧を高くするグリッド用制御部と、を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1〜3の構成によれば、制御部により、動作する放電部の切り替えを行わない構成に比べ、帯電装置の長寿命化を図ることができる。
【0010】
本発明の請求項4の構成によれば、複数の放電部の一部が動作する状態と複数の放電部が動作する状態とでグリッド電圧が変化しない構成に比べ、感光体の帯電電位の変動幅を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る感光体周辺の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図4】比較例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図5】比較例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図6】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図7】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図8】放電部を3つ備える帯電装置の構成を示す概略図である。
【図9】図8に示す帯電装置における画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図10】図8に示す帯電装置における画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図11】図8に示す帯電装置における画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図12】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図13】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0013】
画像形成装置10は、記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、水平方向を矢印H方向と記載する。
【0014】
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0015】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0016】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0017】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38へ記録用紙Pを搬送可能とされている。
【0018】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された搬送路55を有しており、搬送路55の一部は記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0019】
一方、画像形成部14には、帯電された状態において画像が形成される画像形成体の一例としての円筒状の感光体62が、装置本体10Aの中央部に設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図1における時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電装置64が設けられている。帯電装置64の具体的な構成については、後述する。
【0020】
感光体62の回転方向における帯電装置64よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、帯電装置64により帯電した感光体62の外周面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。
【0021】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像装置70が設けられている。
【0022】
図2に示すように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されており、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。この感光体62の外周面と対向する位置が、現像処理を行う現像位置となる。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0023】
現像器72Yは、その内部にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。現像器72Yは、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74を備えている。
【0024】
現像ロール74は、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層を、感光体62に対向する位置に搬送し、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)にトナーを付着させて現像を行う。
【0025】
なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0026】
感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図2における反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0027】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0028】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0029】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収する現像剤回収装置の一例としてのクリーニング装置100が設けられている。クリーニング装置100では、クリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触してトナーを掻き取るようになっている。このクリーニング装置100のクリーニングブレード106及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され且つ記録用紙P上に二次転写されるまで、中間転写ベルト68の外周面から離れるようになっている。
【0030】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0031】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62表面に接触するクリーニングブレード及びブラシロールにより残留トナー等を回収する構成となっている。また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面に放電により一次転写ロールの帯電履歴を除電する除電装置81が設けられている。除電装置81は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面にマイナス放電を行い、一次転写ロールによるプラス帯電の履歴を除去し、次の画像形成に影響を与えないようにするためのものである。また、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電装置64の上流側に、感光体62の外周面に光を照射してマイナス帯電の履歴をキャンセルする除電手段75を設けられている。
【0032】
図1に示すように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0033】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、K、E、Fの6色で画像形成を行う場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0034】
(帯電装置64の構成)
次に、帯電装置64の構成について説明する。
【0035】
帯電装置64は、図2に示すように、感光体62側が開口したアルミニウム製のシールドケース64Aを備えている。シールドケース64Aは、感光体62の回転軸方向に沿って延びる細長箱状とされている。シールドケース64A内には、シールドケース64A内を幅方向中央部で仕切っている仕切板64Dが設けられている。
【0036】
シールドケース64A内には、仕切板64Dを挟んだ両側に、複数の放電部の一例としての放電ワイヤ64B・64Gが、感光体62の回転軸方向に沿って設けられている。放電ワイヤ64B・64Gは、タングステン等の金属線で構成されている。なお、放電部としては、樹脂が被覆されたワイヤや板状の金属板等で構成された放電部材であってもよく、放電がなされるものであればよい。
【0037】
放電ワイヤ64B・64Gは、電源(図示省略)から電圧が印加されることで、マイナス電荷を発生させると共に感光体62の表面へこのマイナス電荷を供給する放電動作を行うようになっている。この放電動作により、感光体62が帯電するようになっている。
【0038】
放電ワイヤ64B・64Gには、それぞれ、放電ワイヤ64B・64Gへの電圧の印加及びその停止(ON・OFF)を制御する制御部の一例としての制御基板64Eが接続されている。制御基板64Eが、放電ワイヤ64B・64Gへの電圧の印加及びその停止(ON・OFF)を制御することで、放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の実行及びその停止が制御される。
【0039】
シールドケース64Aの開口側であって、かつ、放電ワイヤ64B・64Gと感光体62との間には、複数の開口を有するグリッド64Cが感光体62の回転軸方向に沿って配置されている。
【0040】
グリッド64Cには、制御基板64Eが接続されており、電源(図示省略)から印加されるグリッド電圧を制御する。すなわち、制御基板64Eは、グリッド電圧を制御するグリッド用制御部の一例として機能する。なお、グリッド電圧を制御するグリッド用制御部と、放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の実行及びその停止を制御する制御部は、別々に設けられていても良い。
【0041】
グリッド64Cでは、放電ワイヤ64B・64Gで発生したマイナス電荷が、グリッド64Cの開口を通過して感光体62に供給されるようになっており、制御基板64Eによって制御されるグリッド電圧により、グリッド64Cを通過するマイナス電荷の通過量が制御される。これにより、感光体62の帯電電位が制御される。
【0042】
具体的には、感光体62の電位に対してグリッド64Cの電圧(電位)が高い場合には、その電位差によりマイナス電荷が感光体62へ向かうのでマイナス電荷の通過量が多く、感光体62にマイナス電荷が供給されることで、感光体62とグリッド64Cとの電位差が小さくなると、マイナス電荷の通過量が減少するようになっている。従って、グリッド64Cのグリッド電圧を高く設定することで、グリッド電圧を低く設定した場合よりも、マイナス電荷の通過量が増加し、感光体62の帯電電位が高くなる。
【0043】
ここで、図3に示すように、本実施形態では、画像形成装置10が画像形成指令を取得し、その指令に基づく一連の画像形成動作の開始から終了するまでの間において、感光体62上にトナー画像が形成される画像形成動作区間A(以下、単に動作区間Aという)では、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gがともに放電動作を実行するようになっている。
【0044】
具体的には、例えば、記録用紙Pの複数ページに画像を形成する画像形成指令を取得した場合において、記録用紙Pの各ページに転写されるトナー画像が感光体62上に形成される区間が、動作区間Aである。なお、記録用紙Pの複数ページに画像を形成するとは、複数枚の記録用紙Pの片面に画像形成する場合と、1又は複数枚の記録用紙Pの両面に画像形成する場合と、が含まれる。
【0045】
画像形成指令に基づく画像形成動作の開始から終了するまでの間において、感光体62上にトナー画像を形成しない画像形成非動作区間B(以下、単に非動作区間Bという)では、制御基板64Eによって、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方のみが放電動作を実行するようになっている。この放電動作の実行では、非動作区間Bごとに、放電動作を実行する放電ワイヤ64B・64Gが交互に切り替わるようになっている。
【0046】
具体的には、複数枚の記録用紙Pの片面に画像を形成する画像形成指令を取得した場合において、特定の記録用紙Pに転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが終了し、その次の記録用紙Pに転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが開始されるまでの区間が、非動作区間Bである。
【0047】
また、複数枚の記録用紙Pの両面に画像を形成する画像形成指令を取得した場合において、記録用紙Pの表面に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが終了し、その記録用紙Pの裏面(又は次の記録用紙Pの表面)に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが開始されるまでの区間が、非動作区間Bであり、さらに、記録用紙Pの裏面に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが終了し、その次の記録用紙Pの表面に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが開始されるまでの区間が、非動作区間Bである。
【0048】
(放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の制御)
次に、画像形成装置10の画像形成動作における放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の制御の一例について説明する。ここでは、画像形成装置10が、記録用紙Pの3ページに画像を形成する画像形成指令を取得した場合について説明する。なお、記録用紙Pの3ページとは、ここでは、記録用紙Pの片面の3枚分を意味する。
【0049】
画像形成装置10が画像形成指令を取得すると、感光体62が回転を開始し、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行し、感光体62を帯電させる。
【0050】
露光装置66からイエローの画像データに応じて出射された光は、帯電装置64により帯電された感光体62の外周面(表面)を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像位置に位置する現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0051】
続いて、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62と対向する現像位置に移動する。次に、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行し、感光体62を帯電させる。そして、露光、現像の各工程が行われることで、感光体62の表面にマゼンタのトナー画像が形成される。この感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。
【0052】
シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像の形成においても、現像装置70が矢印+R方向に60°回転されると共に、帯電装置64が制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行し、感光体62を帯電させる。そして、上記と同様に、露光、現像の各工程が行われて、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像が感光体62上に形成される。この感光体62上の各色のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。これにより、記録用紙Pの1ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される。
【0053】
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた1枚目の記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた1枚目の記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
【0054】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排紙部15に排出される。
【0055】
このように、記録用紙Pの1ページ目の1ページ分に相当する6色のトナー画像が、感光体62上に順次形成される動作区間Aでは、図3に示すように、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行する。
【0056】
ここで、感光体62は、1ページ目のトナー画像が中間転写ベルト68に転写された後も、3ページ目のトナー画像が中間転写ベルト68に転写されるまで回転し続ける。
【0057】
そして、1ページ目の6色目のトナー画像が感光体62で形成された後、2ページ目の1色目のトナー画像が感光体62上に形成開始されるまでの非動作区間Bでは、現像装置70は、現像位置から退避して停止する。具体的には、現像装置70は、現像器72Fの現像ロール74が感光体62に対向している位置から、矢印+R方向に例えば、30°回転され、現像器72Fと現像器72Yとの間で、感光体62と対向する。すなわち、現像ロール74が感光体62からずれて対向しない退避位置で現像装置70が停止する。これにより、現像装置70の現像剤が感光体62へ静電吸着されることが抑制される。
【0058】
また、この非動作区間Bでは、定着装置80での定着速度(加熱ロール82及び加圧ロール84による搬送速度)の低下に応じて、感光体62の回転速度が低下する。これにより、帯電装置64から感光体62へ供給される単位面積あたりのマイナス電荷が増加する。なお、定着装置80での定着速度の低下は、具体的には、トナー画像が定着されにくい厚紙にトナー画像を定着する場合や、記録用紙Pに定着するトナー画像に光沢を出す場合に行われる。
【0059】
そして、この非動作区間Bでは、帯電装置64は、制御基板64Eによって、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうち、放電ワイヤ64Bの放電動作のみを実行し、感光体62を帯電させる。これにより、非動作区間Bでは、動作区間Aに比べて帯電装置64から感光体62へ供給されるマイナス電荷が低減される。しかしながら、感光体62の回転速度の低下により、帯電装置64から感光体62へ供給される単位面積あたりのマイナス電荷が増加するため、感光体62の帯電電位の低下が抑制される。
【0060】
また、非動作区間Bにおける感光体62の帯電電位が、動作区間Aに比べて低い場合でも、感光体62が帯電することにより、感光体62を帯電させない場合に比べて、現像装置70の現像剤や感光体62周辺で浮遊する現像剤が静電吸着されにくく、また、次の動作区間Aに対する予備帯電となり、生産性が向上する。また、非動作区間Bにおける感光体62の帯電電位が、動作区間Aに比べて低い場合でも、非動作区間Bでは、感光体62にトナー画像を形成せず、また、現像装置70の退避により現像剤が感光体62に静電吸着されにくいため、帯電電位が低いことによる影響はでにくい。
【0061】
次に、記録用紙Pの2ページ目の画像形成が開始されると、上記と同様に、帯電、露光、現像の各工程が行われて、順次、6色のトナー画像が、感光体62に形成される。この6色のトナー画像は、中間転写ベルト68上に順次多重転写される。これにより、記録用紙Pの2ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される。
【0062】
記録用紙Pの2ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される際の帯電工程においても、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行して感光体62を帯電させる。
【0063】
中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、用紙収容部12から送り出されて二次転写位置に搬送されてきた2枚目の記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。トナー画像が二次転写された記録用紙Pは、定着装置80によってトナー画像が定着され、排紙部15に排出される。
【0064】
2ページ目の6色目のトナー画像が感光体62で形成された後、3ページ目の1色目のトナー画像が感光体62上に形成開始されるまでの非動作区間Bでは、現像装置70は、上記と同様に、現像位置から退避して停止する。また、この非動作区間Bでは、定着装置80での定着速度(加熱ロール82及び加圧ロール84による搬送速度)の低下に応じて、感光体62の回転速度が低下する。
【0065】
そして、この非動作区間Bでは、帯電装置64は、制御基板64Eによって、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうち、放電ワイヤ64Gの放電動作のみを実行し、感光体62を帯電させる。すなわち、この非動作区間Bでは、前回の非動作区間Bで放電動作を実行していた放電ワイヤ64Bから、放電ワイヤ64Gに切り替えて放電動作が実行させる。
【0066】
次に、記録用紙Pの3ページ目の画像形成が開始されると、上記と同様に、帯電、露光、現像の各工程が行われて、順次、6色のトナー画像が、感光体62に形成される。この6色のトナー画像は、中間転写ベルト68上に順次多重転写される。これにより、記録用紙Pの3ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される。
【0067】
記録用紙Pの3ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される際の帯電工程においても、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行して感光体62を帯電させる。
【0068】
中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、用紙収容部12から送り出されて二次転写位置に搬送されてきた3枚目の記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。トナー画像が二次転写された記録用紙Pは、定着装置80によってトナー画像が定着され、排紙部15に排出される。これにより、画像形成指令の基づく画像形成が終了する。
【0069】
なお、記録用紙Pの3ページ分に画像を形成する画像形成指令が、記録用紙Pの両面に対する画像形成を含んでいる場合には、2ページ目又は3ページ目のトナー画像が、記録用紙Pの裏面に形成される。このとき、1ページ目又は2ページ目のトナー画像が片面に形成された記録用紙Pは、排紙部15ではなく、反転部33で反転されて二次転写位置に再び搬送される。
【0070】
以上のように、本実施形態では、非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gを交互に切り替えて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作が実行されるので、放電ワイヤ64B・64Gのそれぞれの放電時間が抑制される。これにより、例えば、非動作区間Bにおいて放電ワイヤ64B・64Gの両方の放電動作が実行される構成(図4参照)、非動作区間Bにおいて切り替えずに放電ワイヤ64Bのみの放電動作が実行される構成(図5参照)に比べて、帯電装置64が全体として長寿命化される。
【0071】
なお、本実施形態では、非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方が放電動作を実行し、他方が停止していたが、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方が放電動作を実行し、他方が出力を低下するように構成しても良い。放電ワイヤ64B・64Gの他方が出力を低下する状態とは、放電ワイヤ64B・64Gの他方に対する負荷が低減された状態であって、例えば、制御基板64Eによる制御によって、放電ワイヤ64B・64Gの印加される電圧又は、放電ワイヤ64B・64Gを流れるワイヤ電流が低減された場合である。
【0072】
また、図6に示すように、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行する非動作区間Bにおいて、制御基板64Eによって、動作区間Aよりも高いグリッド電圧をグリッド64Cに印加するように構成しても良い。これにより、放電ワイヤ64B・64Gから感光体62に向かってグリッド64Cを通過するマイナス電荷の通過量が増加し、感光体62の帯電電位が、非動作区間Bと動作区間Aとで差が小さくなる。
【0073】
また、本実施形態では、非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gを交互に切り替えて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行していたが、非動作区間Bが到来するごとに切り替える必要は無く、例えば、図7に示すように、1回目及び2回目の非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64Bの放電動作を実行し、3回目及び4回目の非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64Gの放電動作を実行するようにしてもよい。すなわち、全体として、放電ワイヤ64B・64Gの一方に偏らないように、切り替え動作がなされれば良い。
【0074】
また、本実施形態では、帯電装置64は、2つの放電ワイヤ64B・64Gを備える構成であったが、放電部としては、3つ以上の放電部で構成されていても良い。この場合では、動作区間Aにおいては、3つ以上の放電部の全ての放電動作が実行され、非動作区間Bにおいて、「3つ以上の放電部の一部」と「3つ以上の放電部の他の一部」とに切り替えられて、放電部の放電動作が実行される。
【0075】
なお、ここでいう「3つ以上の放電部の他の一部」の「他の」とは、「3つ以上の放電部の一部」と完全同一で無ければよいという意味であり、「3つ以上の放電部の一部」と「3つ以上の放電部の他の一部」とで共通の放電部が含まれていても良い。従って、例えば、図8に示すように、3つの放電ワイヤ64I・64B・64Gを備える帯電装置64である場合では、図9に示すように、1回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64I・64Bで放電動作を実行し、2回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64I・64Gで放電動作を実行し、3回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64B・64Gで放電動作を実行し、4回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64I・64Bで放電動作を実行してもよい。
【0076】
また、図10に示すように、1回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行し、2回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Bのみ放電動作を実行し、3回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Gのみ放電動作を実行し、4回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行してもよい。さらに、図11に示すように、1回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行し、2回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64B・64Gで放電動作を実行し、3回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行し、4回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64B・64Gで放電動作を実行してもよい。
【0077】
なお、図8に示す構成では、制御基板64Eが3つの放電ワイヤ64I・64B・64Gに対してそれぞれ接続されている。また、2つの仕切板64Dによって、シールドケース64A内が幅方向に3分割されており、それぞれの空間に各放電ワイヤ64I・64B・64Gが配置されている。
【0078】
また、本実施形態では、現像装置70は非動作区間Bにおいて退避していたが、現像装置70の退避タイミングと非動作区間Bが一致していなくても良い。この場合において、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行するタイミングを、非動作区間Bに合わせるのではなく、現像装置70の退避タイミングに合わせて行っても良い。例えば、図12に示すように、非動作区間Bの一部において、現像装置70が退避している場合には、このタイミングに合わせて、2つの放電ワイヤ64B・64Gが切り替えられて、その一方の放電動作が実行される。
【0079】
また、本実施形態では、感光体62の回転速度は、定着速度の低下に基づいて低下していたが、定着速度の低下に基づかなくてもよい。例えば、転写される記録用紙Pのサイズ(搬送方向に沿った長さ)に基づき中間転写ベルト68の回転速度を低下させる場合などでは、中間転写ベルト68の回転速度の低下に基づき、感光体62の回転速度を低下させてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、感光体62の回転速度は、非動作区間Bにおいて低下していたが、感光体62の回転速度の低下タイミングと非動作区間Bが一致していなくても良い。この場合において、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行するタイミングを、非動作区間Bに合わせるのではなく、感光体62の回転速度の低下タイミングに合わせて行っても良い。例えば、図13に示すように、動作区間Aにおいても、感光体62の回転速度が低下している場合には、このタイミングに合わせて、2つの放電ワイヤ64B・64Gが切り替えられて、その一方の放電動作が実行される。
【0081】
また、本実施形態では、現像装置70は、60°分割で6色の現像器を有する構成であったが、例えば、90°分割で4色の現像器を有する現像装置であっても設けてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、現像装置70は、現像ロール74が感光体62と対向しない位置に回転して停止することで、感光体62から退避していたが、現像装置70の退避は、現像装置70全体が感光体62から離れるように移動する構成であっても良い。
【0083】
また、画像形成装置10としては、各色毎に感光体・現像装置などを含んだ画像形成ユニットが記録用紙Pの進行方向に直列配置されたダンデム方式の画像形成装置であってもよい。
【0084】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0085】
62 感光体
64C グリッド
64E 制御基板(制御部の一例)
64F 制御基板(制御部の一例)
64 帯電装置
64B 放電ワイヤ(放電部の一例)
64G 放電ワイヤ(放電部の一例)
70 現像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の画像形成装置では、一次帯電器に放電電流を流すことによって帯電した感光ドラムを露光手段によって露光し静電潜像を形成する。この静電潜像を、現像装置に現像バイアス電圧を印加することによって現像する。一次帯電器と現像装置とに制御装置を連結する。感光ドラムには、露光による静電潜像の形成の有無によって静電潜像形成区間と静電潜像非形成区間とが形成される。制御装置は、静電潜像非形成区間に対する放電電流値および現像バイアス電圧値を、静電潜像形成区間に対するこれらの値と異なる値に変更する。放電電流を少なくすることで放電生成物を低減する一方、これにより発生しがちな画像ムラ、かぶりを、現像バイアス電圧値の変更で防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−158296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置において帯電装置の長寿命化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、前記画像形成体に前記画像を形成する場合に、前記複数の放電部を動作させ、前記画像形成体に前記画像を形成しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、を備える画像形成装置である。
【0006】
請求項2の発明は、回転し、帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、前記画像形成体が第1回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部を動作させ、前記画像形成体が第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、を備える画像形成装置である。
【0007】
請求項3の発明は、帯電及び露光されることで静電潜像が形成される感光体と、複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記感光体を帯電させる帯電装置と、前記感光体の静電潜像を現像位置で現像する現像装置と、前記現像装置が現像位置に位置する場合に、前記複数の放電部を動作させ、前記現像装置が前記現像位置に位置しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、を備える画像形成装置である。
【0008】
請求項4の発明は、印加されるグリッド電圧によって前記複数の放電部から前記感光体への放電量を制御するグリッドと、前記複数の放電部の一部又は他の一部が動作する状態において、前記複数の放電部が動作する状態よりも前記グリッド電圧を高くするグリッド用制御部と、を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1〜3の構成によれば、制御部により、動作する放電部の切り替えを行わない構成に比べ、帯電装置の長寿命化を図ることができる。
【0010】
本発明の請求項4の構成によれば、複数の放電部の一部が動作する状態と複数の放電部が動作する状態とでグリッド電圧が変化しない構成に比べ、感光体の帯電電位の変動幅を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る感光体周辺の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図4】比較例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図5】比較例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図6】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図7】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図8】放電部を3つ備える帯電装置の構成を示す概略図である。
【図9】図8に示す帯電装置における画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図10】図8に示す帯電装置における画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図11】図8に示す帯電装置における画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図12】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【図13】変形例に係る画像形成動作区間及び画像形成非動作区間における各部の動作状況を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0013】
画像形成装置10は、記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向を矢印V方向、水平方向を矢印H方向と記載する。
【0014】
用紙収容部12は、サイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。搬送路28における送り出しロール32よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール34及び搬送ロール36が設けられている。また、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール36よりも下流側には、記録用紙Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングで後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0015】
搬送路28の上流側部分は、画像形成装置10の正面視において、矢印V方向に向けて用紙収容部12の左側から画像形成部14の左側下部まで直線状に設けられている。また、搬送路28の下流側部分は、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。さらに、搬送路28には、記録用紙Pの両面に画像形成を行うために記録用紙Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0016】
両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側まで矢印V方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送された記録用紙Pの後端が進入するとともに矢印H方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には一対の搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には一対の搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0017】
第1切替部材31は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、記録用紙Pの搬送方向を切り替えるようになっている。なお、搬送部37の下流側端部は、搬送路28の上流側部分にある搬送ロール36の手前側に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38へ記録用紙Pを搬送可能とされている。
【0018】
原稿読取部16は、読取原稿Gを1枚ずつ搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール53が複数配置された搬送路55を有しており、搬送路55の一部は記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は矢印H方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0019】
一方、画像形成部14には、帯電された状態において画像が形成される画像形成体の一例としての円筒状の感光体62が、装置本体10Aの中央部に設けられている。感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図1における時計回り方向)に回転すると共に光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、感光体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電装置64が設けられている。帯電装置64の具体的な構成については、後述する。
【0020】
感光体62の回転方向における帯電装置64よりも下流側で且つ感光体62の外周面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、帯電装置64により帯電した感光体62の外周面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。
【0021】
感光体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体62の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像装置70が設けられている。
【0022】
図2に示すように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されており、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、感光体62の外周面と対向するようになっている。この感光体62の外周面と対向する位置が、現像処理を行う現像位置となる。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0023】
現像器72Yは、その内部にトナーカートリッジ78Y(図1参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。現像器72Yは、外周面が感光体62の外周面と対向する現像ロール74を備えている。
【0024】
現像ロール74は、現像スリーブ74Aの外周面の現像剤層を、感光体62に対向する位置に搬送し、感光体62の外周面に形成された潜像(静電潜像)にトナーを付着させて現像を行う。
【0025】
なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が感光体62の外周面と対向するようになっている。
【0026】
感光体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり且つ感光体62の下側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図2における反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0027】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の外周面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0028】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像を記録用紙Pに二次転写させる転写手段の一例としての二次転写ロール71が設けられており、二次転写ロール71と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で中間転写ベルト68のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。
【0029】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを回収する現像剤回収装置の一例としてのクリーニング装置100が設けられている。クリーニング装置100では、クリーニングブレード106が中間転写ベルト68に接触してトナーを掻き取るようになっている。このクリーニング装置100のクリーニングブレード106及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写され且つ記録用紙P上に二次転写されるまで、中間転写ベルト68の外周面から離れるようになっている。
【0030】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0031】
感光体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに感光体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。クリーニング装置73は、感光体62表面に接触するクリーニングブレード及びブラシロールにより残留トナー等を回収する構成となっている。また、感光体62の回転方向でクリーニング装置73の上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の外周面に放電により一次転写ロールの帯電履歴を除電する除電装置81が設けられている。除電装置81は、クリーニング装置73による残留トナー等の回収前に感光体62の外周面にマイナス放電を行い、一次転写ロールによるプラス帯電の履歴を除去し、次の画像形成に影響を与えないようにするためのものである。また、クリーニング装置73の下流側で且つ帯電装置64の上流側に、感光体62の外周面に光を照射してマイナス帯電の履歴をキャンセルする除電手段75を設けられている。
【0032】
図1に示すように、二次転写ロール71によるトナー画像の二次転写位置は、前述の搬送路28の途中に設定されており、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で二次転写ロール71よりも下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28における記録用紙Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0033】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、K、E、Fの6色で画像形成を行う場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0034】
(帯電装置64の構成)
次に、帯電装置64の構成について説明する。
【0035】
帯電装置64は、図2に示すように、感光体62側が開口したアルミニウム製のシールドケース64Aを備えている。シールドケース64Aは、感光体62の回転軸方向に沿って延びる細長箱状とされている。シールドケース64A内には、シールドケース64A内を幅方向中央部で仕切っている仕切板64Dが設けられている。
【0036】
シールドケース64A内には、仕切板64Dを挟んだ両側に、複数の放電部の一例としての放電ワイヤ64B・64Gが、感光体62の回転軸方向に沿って設けられている。放電ワイヤ64B・64Gは、タングステン等の金属線で構成されている。なお、放電部としては、樹脂が被覆されたワイヤや板状の金属板等で構成された放電部材であってもよく、放電がなされるものであればよい。
【0037】
放電ワイヤ64B・64Gは、電源(図示省略)から電圧が印加されることで、マイナス電荷を発生させると共に感光体62の表面へこのマイナス電荷を供給する放電動作を行うようになっている。この放電動作により、感光体62が帯電するようになっている。
【0038】
放電ワイヤ64B・64Gには、それぞれ、放電ワイヤ64B・64Gへの電圧の印加及びその停止(ON・OFF)を制御する制御部の一例としての制御基板64Eが接続されている。制御基板64Eが、放電ワイヤ64B・64Gへの電圧の印加及びその停止(ON・OFF)を制御することで、放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の実行及びその停止が制御される。
【0039】
シールドケース64Aの開口側であって、かつ、放電ワイヤ64B・64Gと感光体62との間には、複数の開口を有するグリッド64Cが感光体62の回転軸方向に沿って配置されている。
【0040】
グリッド64Cには、制御基板64Eが接続されており、電源(図示省略)から印加されるグリッド電圧を制御する。すなわち、制御基板64Eは、グリッド電圧を制御するグリッド用制御部の一例として機能する。なお、グリッド電圧を制御するグリッド用制御部と、放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の実行及びその停止を制御する制御部は、別々に設けられていても良い。
【0041】
グリッド64Cでは、放電ワイヤ64B・64Gで発生したマイナス電荷が、グリッド64Cの開口を通過して感光体62に供給されるようになっており、制御基板64Eによって制御されるグリッド電圧により、グリッド64Cを通過するマイナス電荷の通過量が制御される。これにより、感光体62の帯電電位が制御される。
【0042】
具体的には、感光体62の電位に対してグリッド64Cの電圧(電位)が高い場合には、その電位差によりマイナス電荷が感光体62へ向かうのでマイナス電荷の通過量が多く、感光体62にマイナス電荷が供給されることで、感光体62とグリッド64Cとの電位差が小さくなると、マイナス電荷の通過量が減少するようになっている。従って、グリッド64Cのグリッド電圧を高く設定することで、グリッド電圧を低く設定した場合よりも、マイナス電荷の通過量が増加し、感光体62の帯電電位が高くなる。
【0043】
ここで、図3に示すように、本実施形態では、画像形成装置10が画像形成指令を取得し、その指令に基づく一連の画像形成動作の開始から終了するまでの間において、感光体62上にトナー画像が形成される画像形成動作区間A(以下、単に動作区間Aという)では、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gがともに放電動作を実行するようになっている。
【0044】
具体的には、例えば、記録用紙Pの複数ページに画像を形成する画像形成指令を取得した場合において、記録用紙Pの各ページに転写されるトナー画像が感光体62上に形成される区間が、動作区間Aである。なお、記録用紙Pの複数ページに画像を形成するとは、複数枚の記録用紙Pの片面に画像形成する場合と、1又は複数枚の記録用紙Pの両面に画像形成する場合と、が含まれる。
【0045】
画像形成指令に基づく画像形成動作の開始から終了するまでの間において、感光体62上にトナー画像を形成しない画像形成非動作区間B(以下、単に非動作区間Bという)では、制御基板64Eによって、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方のみが放電動作を実行するようになっている。この放電動作の実行では、非動作区間Bごとに、放電動作を実行する放電ワイヤ64B・64Gが交互に切り替わるようになっている。
【0046】
具体的には、複数枚の記録用紙Pの片面に画像を形成する画像形成指令を取得した場合において、特定の記録用紙Pに転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが終了し、その次の記録用紙Pに転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが開始されるまでの区間が、非動作区間Bである。
【0047】
また、複数枚の記録用紙Pの両面に画像を形成する画像形成指令を取得した場合において、記録用紙Pの表面に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが終了し、その記録用紙Pの裏面(又は次の記録用紙Pの表面)に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが開始されるまでの区間が、非動作区間Bであり、さらに、記録用紙Pの裏面に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが終了し、その次の記録用紙Pの表面に転写されるトナー画像が感光体62上に形成される動作区間Aが開始されるまでの区間が、非動作区間Bである。
【0048】
(放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の制御)
次に、画像形成装置10の画像形成動作における放電ワイヤ64B・64Gの放電動作の制御の一例について説明する。ここでは、画像形成装置10が、記録用紙Pの3ページに画像を形成する画像形成指令を取得した場合について説明する。なお、記録用紙Pの3ページとは、ここでは、記録用紙Pの片面の3枚分を意味する。
【0049】
画像形成装置10が画像形成指令を取得すると、感光体62が回転を開始し、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行し、感光体62を帯電させる。
【0050】
露光装置66からイエローの画像データに応じて出射された光は、帯電装置64により帯電された感光体62の外周面(表面)を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、感光体62の表面に形成された静電潜像は、現像位置に位置する現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0051】
続いて、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが感光体62と対向する現像位置に移動する。次に、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行し、感光体62を帯電させる。そして、露光、現像の各工程が行われることで、感光体62の表面にマゼンタのトナー画像が形成される。この感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。
【0052】
シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像の形成においても、現像装置70が矢印+R方向に60°回転されると共に、帯電装置64が制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行し、感光体62を帯電させる。そして、上記と同様に、露光、現像の各工程が行われて、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、及び第2特別色(F)のトナー画像が感光体62上に形成される。この感光体62上の各色のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。これにより、記録用紙Pの1ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される。
【0053】
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた1枚目の記録用紙Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた1枚目の記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。
【0054】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで記録用紙Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排紙部15に排出される。
【0055】
このように、記録用紙Pの1ページ目の1ページ分に相当する6色のトナー画像が、感光体62上に順次形成される動作区間Aでは、図3に示すように、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行する。
【0056】
ここで、感光体62は、1ページ目のトナー画像が中間転写ベルト68に転写された後も、3ページ目のトナー画像が中間転写ベルト68に転写されるまで回転し続ける。
【0057】
そして、1ページ目の6色目のトナー画像が感光体62で形成された後、2ページ目の1色目のトナー画像が感光体62上に形成開始されるまでの非動作区間Bでは、現像装置70は、現像位置から退避して停止する。具体的には、現像装置70は、現像器72Fの現像ロール74が感光体62に対向している位置から、矢印+R方向に例えば、30°回転され、現像器72Fと現像器72Yとの間で、感光体62と対向する。すなわち、現像ロール74が感光体62からずれて対向しない退避位置で現像装置70が停止する。これにより、現像装置70の現像剤が感光体62へ静電吸着されることが抑制される。
【0058】
また、この非動作区間Bでは、定着装置80での定着速度(加熱ロール82及び加圧ロール84による搬送速度)の低下に応じて、感光体62の回転速度が低下する。これにより、帯電装置64から感光体62へ供給される単位面積あたりのマイナス電荷が増加する。なお、定着装置80での定着速度の低下は、具体的には、トナー画像が定着されにくい厚紙にトナー画像を定着する場合や、記録用紙Pに定着するトナー画像に光沢を出す場合に行われる。
【0059】
そして、この非動作区間Bでは、帯電装置64は、制御基板64Eによって、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうち、放電ワイヤ64Bの放電動作のみを実行し、感光体62を帯電させる。これにより、非動作区間Bでは、動作区間Aに比べて帯電装置64から感光体62へ供給されるマイナス電荷が低減される。しかしながら、感光体62の回転速度の低下により、帯電装置64から感光体62へ供給される単位面積あたりのマイナス電荷が増加するため、感光体62の帯電電位の低下が抑制される。
【0060】
また、非動作区間Bにおける感光体62の帯電電位が、動作区間Aに比べて低い場合でも、感光体62が帯電することにより、感光体62を帯電させない場合に比べて、現像装置70の現像剤や感光体62周辺で浮遊する現像剤が静電吸着されにくく、また、次の動作区間Aに対する予備帯電となり、生産性が向上する。また、非動作区間Bにおける感光体62の帯電電位が、動作区間Aに比べて低い場合でも、非動作区間Bでは、感光体62にトナー画像を形成せず、また、現像装置70の退避により現像剤が感光体62に静電吸着されにくいため、帯電電位が低いことによる影響はでにくい。
【0061】
次に、記録用紙Pの2ページ目の画像形成が開始されると、上記と同様に、帯電、露光、現像の各工程が行われて、順次、6色のトナー画像が、感光体62に形成される。この6色のトナー画像は、中間転写ベルト68上に順次多重転写される。これにより、記録用紙Pの2ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される。
【0062】
記録用紙Pの2ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される際の帯電工程においても、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行して感光体62を帯電させる。
【0063】
中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、用紙収容部12から送り出されて二次転写位置に搬送されてきた2枚目の記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。トナー画像が二次転写された記録用紙Pは、定着装置80によってトナー画像が定着され、排紙部15に排出される。
【0064】
2ページ目の6色目のトナー画像が感光体62で形成された後、3ページ目の1色目のトナー画像が感光体62上に形成開始されるまでの非動作区間Bでは、現像装置70は、上記と同様に、現像位置から退避して停止する。また、この非動作区間Bでは、定着装置80での定着速度(加熱ロール82及び加圧ロール84による搬送速度)の低下に応じて、感光体62の回転速度が低下する。
【0065】
そして、この非動作区間Bでは、帯電装置64は、制御基板64Eによって、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうち、放電ワイヤ64Gの放電動作のみを実行し、感光体62を帯電させる。すなわち、この非動作区間Bでは、前回の非動作区間Bで放電動作を実行していた放電ワイヤ64Bから、放電ワイヤ64Gに切り替えて放電動作が実行させる。
【0066】
次に、記録用紙Pの3ページ目の画像形成が開始されると、上記と同様に、帯電、露光、現像の各工程が行われて、順次、6色のトナー画像が、感光体62に形成される。この6色のトナー画像は、中間転写ベルト68上に順次多重転写される。これにより、記録用紙Pの3ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される。
【0067】
記録用紙Pの3ページ目の1ページ分のトナー画像が形成される際の帯電工程においても、帯電装置64は、制御基板64Eによって2つの放電ワイヤ64B・64Gが放電動作を実行して感光体62を帯電させる。
【0068】
中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、用紙収容部12から送り出されて二次転写位置に搬送されてきた3枚目の記録用紙P上に二次転写ロール71によって二次転写される。トナー画像が二次転写された記録用紙Pは、定着装置80によってトナー画像が定着され、排紙部15に排出される。これにより、画像形成指令の基づく画像形成が終了する。
【0069】
なお、記録用紙Pの3ページ分に画像を形成する画像形成指令が、記録用紙Pの両面に対する画像形成を含んでいる場合には、2ページ目又は3ページ目のトナー画像が、記録用紙Pの裏面に形成される。このとき、1ページ目又は2ページ目のトナー画像が片面に形成された記録用紙Pは、排紙部15ではなく、反転部33で反転されて二次転写位置に再び搬送される。
【0070】
以上のように、本実施形態では、非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gを交互に切り替えて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作が実行されるので、放電ワイヤ64B・64Gのそれぞれの放電時間が抑制される。これにより、例えば、非動作区間Bにおいて放電ワイヤ64B・64Gの両方の放電動作が実行される構成(図4参照)、非動作区間Bにおいて切り替えずに放電ワイヤ64Bのみの放電動作が実行される構成(図5参照)に比べて、帯電装置64が全体として長寿命化される。
【0071】
なお、本実施形態では、非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方が放電動作を実行し、他方が停止していたが、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方が放電動作を実行し、他方が出力を低下するように構成しても良い。放電ワイヤ64B・64Gの他方が出力を低下する状態とは、放電ワイヤ64B・64Gの他方に対する負荷が低減された状態であって、例えば、制御基板64Eによる制御によって、放電ワイヤ64B・64Gの印加される電圧又は、放電ワイヤ64B・64Gを流れるワイヤ電流が低減された場合である。
【0072】
また、図6に示すように、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行する非動作区間Bにおいて、制御基板64Eによって、動作区間Aよりも高いグリッド電圧をグリッド64Cに印加するように構成しても良い。これにより、放電ワイヤ64B・64Gから感光体62に向かってグリッド64Cを通過するマイナス電荷の通過量が増加し、感光体62の帯電電位が、非動作区間Bと動作区間Aとで差が小さくなる。
【0073】
また、本実施形態では、非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64B・64Gを交互に切り替えて、放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行していたが、非動作区間Bが到来するごとに切り替える必要は無く、例えば、図7に示すように、1回目及び2回目の非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64Bの放電動作を実行し、3回目及び4回目の非動作区間Bにおいて、放電ワイヤ64Gの放電動作を実行するようにしてもよい。すなわち、全体として、放電ワイヤ64B・64Gの一方に偏らないように、切り替え動作がなされれば良い。
【0074】
また、本実施形態では、帯電装置64は、2つの放電ワイヤ64B・64Gを備える構成であったが、放電部としては、3つ以上の放電部で構成されていても良い。この場合では、動作区間Aにおいては、3つ以上の放電部の全ての放電動作が実行され、非動作区間Bにおいて、「3つ以上の放電部の一部」と「3つ以上の放電部の他の一部」とに切り替えられて、放電部の放電動作が実行される。
【0075】
なお、ここでいう「3つ以上の放電部の他の一部」の「他の」とは、「3つ以上の放電部の一部」と完全同一で無ければよいという意味であり、「3つ以上の放電部の一部」と「3つ以上の放電部の他の一部」とで共通の放電部が含まれていても良い。従って、例えば、図8に示すように、3つの放電ワイヤ64I・64B・64Gを備える帯電装置64である場合では、図9に示すように、1回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64I・64Bで放電動作を実行し、2回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64I・64Gで放電動作を実行し、3回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64B・64Gで放電動作を実行し、4回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64I・64Bで放電動作を実行してもよい。
【0076】
また、図10に示すように、1回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行し、2回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Bのみ放電動作を実行し、3回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Gのみ放電動作を実行し、4回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行してもよい。さらに、図11に示すように、1回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行し、2回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64B・64Gで放電動作を実行し、3回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64Iのみ放電動作を実行し、4回目の非動作区間Bで放電ワイヤ64B・64Gで放電動作を実行してもよい。
【0077】
なお、図8に示す構成では、制御基板64Eが3つの放電ワイヤ64I・64B・64Gに対してそれぞれ接続されている。また、2つの仕切板64Dによって、シールドケース64A内が幅方向に3分割されており、それぞれの空間に各放電ワイヤ64I・64B・64Gが配置されている。
【0078】
また、本実施形態では、現像装置70は非動作区間Bにおいて退避していたが、現像装置70の退避タイミングと非動作区間Bが一致していなくても良い。この場合において、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行するタイミングを、非動作区間Bに合わせるのではなく、現像装置70の退避タイミングに合わせて行っても良い。例えば、図12に示すように、非動作区間Bの一部において、現像装置70が退避している場合には、このタイミングに合わせて、2つの放電ワイヤ64B・64Gが切り替えられて、その一方の放電動作が実行される。
【0079】
また、本実施形態では、感光体62の回転速度は、定着速度の低下に基づいて低下していたが、定着速度の低下に基づかなくてもよい。例えば、転写される記録用紙Pのサイズ(搬送方向に沿った長さ)に基づき中間転写ベルト68の回転速度を低下させる場合などでは、中間転写ベルト68の回転速度の低下に基づき、感光体62の回転速度を低下させてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、感光体62の回転速度は、非動作区間Bにおいて低下していたが、感光体62の回転速度の低下タイミングと非動作区間Bが一致していなくても良い。この場合において、2つの放電ワイヤ64B・64Gのうちの一方の放電動作を実行するタイミングを、非動作区間Bに合わせるのではなく、感光体62の回転速度の低下タイミングに合わせて行っても良い。例えば、図13に示すように、動作区間Aにおいても、感光体62の回転速度が低下している場合には、このタイミングに合わせて、2つの放電ワイヤ64B・64Gが切り替えられて、その一方の放電動作が実行される。
【0081】
また、本実施形態では、現像装置70は、60°分割で6色の現像器を有する構成であったが、例えば、90°分割で4色の現像器を有する現像装置であっても設けてもよい。
【0082】
また、本実施形態では、現像装置70は、現像ロール74が感光体62と対向しない位置に回転して停止することで、感光体62から退避していたが、現像装置70の退避は、現像装置70全体が感光体62から離れるように移動する構成であっても良い。
【0083】
また、画像形成装置10としては、各色毎に感光体・現像装置などを含んだ画像形成ユニットが記録用紙Pの進行方向に直列配置されたダンデム方式の画像形成装置であってもよい。
【0084】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、複数を組み合わせて構成しても良い。
【符号の説明】
【0085】
62 感光体
64C グリッド
64E 制御基板(制御部の一例)
64F 制御基板(制御部の一例)
64 帯電装置
64B 放電ワイヤ(放電部の一例)
64G 放電ワイヤ(放電部の一例)
70 現像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、
複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、
前記画像形成体に前記画像を形成する場合に、前記複数の放電部を動作させ、
前記画像形成体に前記画像を形成しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
回転し、帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、
複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、
前記画像形成体が第1回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部を動作させ、
前記画像形成体が第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項3】
帯電及び露光されることで静電潜像が形成される感光体と、
複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記感光体を帯電させる帯電装置と、
前記感光体の静電潜像を現像位置で現像する現像装置と、
前記現像装置が現像位置に位置する場合に、前記複数の放電部を動作させ、
前記現像装置が前記現像位置に位置しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項4】
印加されるグリッド電圧によって前記複数の放電部から前記感光体への放電量を制御するグリッドと、
前記複数の放電部の一部又は他の一部が動作する状態において、前記複数の放電部が動作する状態よりも前記グリッド電圧を高くするグリッド用制御部と、
を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、
複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、
前記画像形成体に前記画像を形成する場合に、前記複数の放電部を動作させ、
前記画像形成体に前記画像を形成しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
回転し、帯電された状態において画像が形成される画像形成体と、
複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記画像形成体を帯電させる帯電装置と、
前記画像形成体が第1回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部を動作させ、
前記画像形成体が第1回転速度よりも遅い第2回転速度で回転する場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項3】
帯電及び露光されることで静電潜像が形成される感光体と、
複数の放電部を有し、その複数の放電部の放電により前記感光体を帯電させる帯電装置と、
前記感光体の静電潜像を現像位置で現像する現像装置と、
前記現像装置が現像位置に位置する場合に、前記複数の放電部を動作させ、
前記現像装置が前記現像位置に位置しない場合に、前記複数の放電部の一部を動作させると共に前記一部以外を停止又は出力低下させた状態と、前記複数の放電部の他の一部を動作させると共に前記他の一部以外を停止又は出力低下させた状態と、に切り替える制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項4】
印加されるグリッド電圧によって前記複数の放電部から前記感光体への放電量を制御するグリッドと、
前記複数の放電部の一部又は他の一部が動作する状態において、前記複数の放電部が動作する状態よりも前記グリッド電圧を高くするグリッド用制御部と、
を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−257710(P2011−257710A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134337(P2010−134337)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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