説明

画像形成装置

【課題】印字指示の操作をやり直す手間や用紙の無駄を省くことができるユーザにとって使いやすい画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙Pに画像を形成するレーザプリンタ1(画像形成装置)である。レーザプリンタ1は、本体筐体2に設けられ、外部から用紙Pを供給するための手差し供給口130と、用紙Pを収容し、本体筐体2に対して前後にスライドして引出可能な給紙カセット100とを備えている。給紙カセット100は、本体筐体2に装着されたときに手差し供給口130を覆い、本体筐体2から引き出されたときに手差し供給口130を外部に露出させるカバー部120を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙などの記録シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙に画像を形成するプリンタなどの画像形成装置には、装置本体の側面に手差し用の用紙を供給するための開口(手差し供給口)が設けられているものがある。例えば、特許文献1には、筐体の前側に手差し供給口を開閉する揺動可能なトレイが設けられており、このトレイを開くことで手差し供給口からの用紙の供給(手差し印字)が可能となるプリンタが開示されている。一般的に、手差し供給口を開閉するトレイは、開いたときに手差し用の用紙を載置する部分となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−297054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記したような従来の画像形成装置は、トレイを開いておけばいつでも手差し供給口に用紙をセットすることができるので、印字を実行したときにユーザにとって予定外の用紙が使用されることがある。例えば、あるユーザが給紙カセットに収容された用紙を使用するつもりで印字を実行している最中に、別のユーザが手差し供給口に予め用紙をセットすることで手差し供給口から用紙が供給されて印字に使用されたり、トレイ上の用紙がなくなったときに、給紙カセットの用紙が自動的に供給されて印字に使用されたりすることがある。
【0005】
そして、このような場合には、印字指示の操作をやり直したり、手差し供給口に用紙を追加したりする必要が生じるため、手間がかかったり、用紙が無駄になったりして、ユーザにとって使いにくいことがあった。
【0006】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、操作をやり直す手間や記録シートの無駄を省くことができるユーザにとって使いやすい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、装置本体に設けられ、外部から記録シートを供給するための手差し供給口と、記録シートを収容し、装置本体に対してスライドして引出可能なシート収容部とを備え、前記シート収容部は、装置本体に装着されたときに前記手差し供給口を覆い、装置本体から引き出されたときに前記手差し供給口を外部に露出させるカバー部を有することを特徴とする。
【0008】
このように構成された画像形成装置によれば、記録シートの択一的な使用が可能となる。具体的に、シート収容部が装置本体に装着されているときには、カバー部が手差し供給口を覆っているので、手差し供給口に記録シートをセットすることができず、シート収容部に収容された記録シートが使用されることとなる。一方、シート収容部が装置本体から引き出されているときには、手差し供給口が外部に露出するので、手差し供給口に記録シートをセットすることが可能となる。この場合には、シート収容部内の記録シートは供給されないので、手差し供給口にセットされた記録シートが使用されることとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シート収容部に、装着されたときに手差し供給口を覆い、引き出されたときに手差し供給口を露出させるカバー部を設けたので、記録シートの択一的な使用が可能となる。これにより、操作をやり直す手間や記録シートの無駄を省くことができ、画像形成装置をユーザにとって使いやすいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】給紙カセットを手差し引出位置まで引き出したレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図3】レーザプリンタの正面図(a)と、カバー部に用紙が載置されたときの説明図(b)である。
【図4】載置トレイとその周辺の構成を示す図であり、レーザプリンタの正面図(a)と、載置トレイが収容位置にあるときの平面図(b)と、載置トレイが載置位置にあるときの平面図(c)である。
【図5】規制部材の説明図であり、給紙カセットを引き出し始めたときの図(a)と、給紙カセットを手差し引出位置まで引き出したときの図(b)である。
【図6】給紙カセットを用紙セット位置まで引き出したレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図7】変形例に係るカバー部を示す図である。
【図8】変形例に係る載置トレイの説明図であり、収容位置にあるときの図(a)と、載置位置にあるときの図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、シート収容部の一例としての給紙カセット100の詳細な構成と、本発明の特徴部分に係るレーザプリンタ本体側の詳細な構成について説明する。
【0012】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、記録シートの一例としての用紙Pにトナー像(画像)を形成する装置であり、装置本体を構成する本体筐体2内に、用紙Pを収容する給紙カセット100と、用紙Pを供給する給紙機構3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0013】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0014】
給紙カセット100は、本体筐体2内の下部に配置され(装着時)、本体筐体2に対して前後にスライドして引出可能に構成されている(図2、図6参照)。
【0015】
給紙機構3は、用紙Pをプロセスカートリッジ5に供給する機構であり、送出ローラ31と、分離ローラ32と、分離パッド33と、一対の第1搬送ローラ34と、一対の第2搬送ローラ35とを主に備えている。本体筐体2に装着された給紙カセット100内の用紙Pは、送出ローラ31によって送り出され、分離ローラ32および分離パッド33で1枚ずつ分離された後、第1搬送ローラ34および第2搬送ローラ35により、感光体ドラム61と転写ローラ63との間に向けて搬送される。
【0016】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。露光装置4では、レーザ光源から出射される画像データに基づくレーザ光が、ポリゴンミラーや反射鏡で反射されたり、レンズを通過したりして、感光体ドラム61の表面で高速走査される(鎖線参照)。
【0017】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっており、感光体ユニット6と、感光体ユニット6に着脱可能に装着される現像ユニット7とを主に備えている。感光体ユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備え、現像ユニット7は、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0018】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0019】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63との間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0020】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81との間で用紙Pを挟持する加圧ローラ82とを主に備えている。用紙P上に転写されたトナーは、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を用紙Pが搬送されることで熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0021】
<給紙カセットの詳細構成>
次に、給紙カセット100の詳細な構成について説明する。
図1および図2に示すように、給紙カセット100は、用紙Pを収容する用紙収容部110と、カバー部120とを主に有している。
【0022】
用紙収容部110には、収容された用紙Pの前側を持ち上げて最上位置の用紙Pを送出ローラ31に接触させる用紙押圧板111が設けられている。用紙押圧板111は、後端部を中心として前端部が上下に揺動可能となっており、公知の構成によって、給紙カセット100を本体筐体2から引き出したときに下方に揺動して用紙Pの持ち上げを解除し(図2参照)、給紙カセット100を本体筐体2に装着したときに上方に揺動して用紙Pを持ち上げるように構成されている(図1参照)。このような構成により、図2に示すように、給紙カセット100を本体筐体2から引き出したときには、用紙P(最上位置の用紙P)が送出ローラ31から離間して非接触状態となる。
【0023】
カバー部120は、給紙カセット100の前部に設けられ、上方に向けて延出している。このようなカバー部120は、図1に示すように、給紙カセット100が本体筐体2に装着されたときには、後述する手差し供給口130を覆うこととなる。また、図2に示すように、給紙カセット100の一部を構成するカバー部120は、給紙カセット100が本体筐体2から引き出されたときには、本体筐体2の前面から離間するため、手差し供給口130を外部に露出させる。
【0024】
なお、図2に示す位置(手差し引出位置)まで給紙カセット100を本体筐体2から引き出し、手差し供給口130に用紙Pをセットしたとき、カバー部120の上端縁は用紙Pを載置する部位として利用することができる。
【0025】
ここで、図3(a)に示すように、カバー部120の上端縁(一対の上端部121、一対の凹部側部122および凹部底部123)は、給紙カセット100の引出方向(前側)から見て、左右方向中央に略U字形の凹部を有する凹形状をなしている。これにより、図3(b)に示すように、左右の幅が凹部の幅より小さい用紙PSをセットした場合には、凹部側部122をガイドとして利用できるので、用紙PSの斜行を抑制することができる。また、左右の幅が凹部の幅より大きい用紙PLをセットした場合には、用紙PLの幅方向両端が上端部121や凹部側部122によって持ち上げられ、用紙PLが略U字形をなすことで用紙PLの前端部の垂れ下がりが抑制されるので、用紙PLをレーザプリンタ1に良好に供給可能となる。
【0026】
<レーザプリンタ本体の詳細構成>
次に、本発明の特徴部分に係るレーザプリンタ本体側の詳細な構成について説明する。
図2に示すように、レーザプリンタ1の本体筐体2の前側には、外部から用紙Pを供給するための手差し供給口130と、シート載置部の一例としての載置トレイ140とが設けられている。また、本体筐体2内には、給紙カセット100の本体筐体2からの引き出し量を規制する規制部材150が設けられている。さらに、レーザプリンタ1の給紙機構3は、給紙カセット100が本体筐体2から引き出された状態であっても、印字指示が入力された場合には駆動するように構成されている。
【0027】
手差し供給口130は、本体筐体2の前側壁に設けられており、正面視において左右方向(用紙Pの幅方向)に長い略矩形状をなしている(図3(a)参照)。画像形成時、手差し供給口130にセットされた用紙Pは、給紙機構3(第2搬送ローラ35)により、感光体ドラム61と転写ローラ63との間に向けて搬送され、感光体ドラム61と転写ローラ63との間で感光体ドラム61上に形成されたトナー像が転写される。その後、用紙Pは、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を搬送されることでトナー像が熱定着され、排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0028】
載置トレイ140は、手差し供給口130にセットされた用紙Pが載置されるトレイである。補足すると、本実施形態において、手差し供給口130にセットされた用紙Pは、載置トレイ140と、給紙カセット100のカバー部120の上端縁に載置されることとなる。
【0029】
この載置トレイ140は、本体筐体2内に収容された収容位置(図1参照)と、手差し供給口130から供給される用紙Pを載置可能な載置位置(図2参照)との間で、スライドして変位可能に構成されている。具体的には、図4(a)に示すように、載置トレイ140は、左右両端が本体筐体2によって略前後にスライド移動可能に支持されている。
【0030】
載置トレイ140は、図4(b),(c)に示すように、バネ142によって常時前方に向けて付勢されている。そして、給紙カセット100を本体筐体2に装着することで、載置トレイ140はカバー部120により後方に向けて押されるので収容位置に変位する。一方、給紙カセット100を本体筐体2から引き出すことで、カバー部120による規制がなくなると、載置トレイ140はバネ142の付勢力により載置位置に変位する。
【0031】
これによれば、給紙カセット100を引き出した後に手動で載置トレイ140を変位させる構成と比較して、給紙カセット100からの給紙と手差し供給口130からの給紙とを迅速に切り替えることができ、レーザプリンタ1をユーザにとって使いやすいものとすることができる。
【0032】
なお、本実施形態の載置トレイ140には、載置される用紙Pの幅方向(左右)にスライド移動して用紙Pの幅を規制する公知の用紙ガイド141が設けられている。
【0033】
このような載置トレイ140は、手差し供給口130に用紙Pをセットするときに用紙Pのガイドとなるので、用紙Pを容易にセットすることができる。また、載置トレイ140は、手差し供給口130にセットされた用紙Pの載置面となるので、載置トレイ140を備えない構成と比較して、手差し供給口130にセットされた用紙Pを安定させることができる。
【0034】
図5(a),(b)に示すように、規制部材150は、後端部が本体筐体2に固定され、前端部が上下に撓曲可能な板バネ状の部材であり、本体筐体2内の前寄り下部(本体筐体2に装着された給紙カセット100の前寄り下方。図1参照)に設けられている。この規制部材150の前端部には、上方に向けて突出した突出部151が形成されている。
【0035】
このように構成された規制部材150は、突出部151が用紙収容部110の下面に設けられた第1係合溝112に係合することで、給紙カセット100の本体筐体2からの引き出し量を規制する。
【0036】
具体的には、図5(a)に示すように、給紙カセット100が前方に向けて引かれると、突出部151が後述する第2係合溝113から外れ、規制部材150が撓んだ状態となる。そして、給紙カセット100が前方へ移動していき、図5(b)に示すように、給紙カセット100の第1係合溝112が突出部151に到達すると、規制部材150が撓みを回復させて、突出部151が第1係合溝112に係合する。これによって、給紙カセット100の移動が規制され、給紙カセット100の引き出し量が規制される。
【0037】
本実施形態において、突出部151が第1係合溝112に係合して給紙カセット100の引き出し量が規制されたとき(このときの給紙カセット100の位置を「手差し引出位置」という。)、給紙カセット100のカバー部120の上端縁(凹部底部123)は、載置位置にある載置トレイ140の上面(用紙Pの載置面)が延びる方向の延長面PL上に位置するようになっている。
【0038】
このような規制部材150を備えることで、常に一定の位置(手差し引出位置)に給紙カセット100を引き出すことができるので、ユーザによる引き出し量のばらつきがなくなり、レーザプリンタ1をユーザにとって使いやすいものとすることができる。また、手差し引出位置では、載置トレイ140の載置面と、カバー部120の上端縁(凹部底部123)とが側面視において直線上に位置することになるので、用紙Pをさらに容易にセットすることができる。また、載置された用紙Pが、カバー部120の上端縁によって極端に持ち上げられたり、カバー部120に支持されずに垂れ下がったりすることがなくなるので、用紙Pをレーザプリンタ1に良好に供給可能となる。
【0039】
なお、図5(b)に示す手差し引出位置にある給紙カセット100がさらに前方に向けて引かれると、突出部151が第1係合溝112から外れることで、給紙カセット100をさらに前方へ引き出すことができる。そして、図6に示すように、給紙カセット100を所定の位置まで引き出すことで、給紙カセット100(用紙収容部110)に用紙Pをセットすることが可能となる(このときの給紙カセット100の位置を「用紙セット位置」という。なお、給紙カセット100は本体筐体2から着脱(取り外し)可能に構成されていてもよい)。
【0040】
第2係合溝113は、用紙収容部110の下面の第1係合溝112より前側に設けられており、給紙カセット100が本体筐体2に装着されたときに突出部151が係合する部位である(図1参照)。このように、第2係合溝113と突出部151とが係合することで、給紙カセット100を本体筐体2に装着された状態にロックすることができるとともに、規制部材150の塑性変形を防止することができる。
【0041】
<画像形成時の用紙供給>
次に、以上のように構成されたレーザプリンタ1において、画像形成時(印字指示が入力されたとき)の用紙Pの供給について説明する。
【0042】
図1に示すように、給紙カセット100が本体筐体2に装着されているときには、カバー部120が手差し供給口130を覆っているので、手差し供給口130に用紙Pをセットすることはできない。そのため、画像形成時には、給紙機構3によって給紙カセット100に収容された用紙Pが、感光体ドラム61と転写ローラ63との間に供給されてトナー像が形成される。
【0043】
一方、図2に示すように、給紙カセット100が本体筐体2から引き出されているときには、手差し供給口130が外部に露出するので、手差し供給口130に用紙Pをセットすることが可能となる。このとき、給紙カセット100に収容された用紙Pは、用紙押圧板111が下方に揺動することで送出ローラ31に対して非接触となっている。そのため、画像形成時には、給紙カセット100に収容された用紙Pが送り出されることはなく、給紙機構3(第2搬送ローラ35)によって手差し供給口130にセットされた用紙Pが、感光体ドラム61と転写ローラ63との間に供給されてトナー像が形成される。
【0044】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
給紙カセット100に、本体筐体2に装着されたときに手差し供給口130を覆い、本体筐体2から引き出されたときに手差し供給口130を露出させるカバー部120を設けたので、用紙Pを機械的かつ択一的に選択して使用することが可能となる。具体的には、給紙カセット100が装着されているときには給紙カセット100に収容された用紙Pを画像形成に使用することができ、給紙カセット100が引き出されているときには手差し供給口130に用紙Pをセットすることが可能となるので、この用紙Pを画像形成に使用することができる。これにより、印字指示の操作をやり直す手間や用紙Pの無駄を省くことができるので、レーザプリンタ1をユーザにとって使いやすいものとすることができる。
【0045】
給紙カセット100が本体筐体2に装着されたときにカバー部120が手差し供給口130を覆うので、レーザプリンタ1の動作音が手差し供給口130から外部に漏れることを抑制することができる。言い換えると、カバー部120が手差し供給口130を覆うことで防音効果を得ることができる。
【0046】
カバー部120は、給紙カセット100の前部に設けられて上方に向けて延出しているので、給紙カセット100を本体筐体2に装着することで、給紙カセット100(用紙収容部110)と本体筐体2との間の隙間を覆うことができる。これにより、給紙カセット100と本体筐体2との間の隙間からの音漏れを抑制することができる。また、カバー部120によって、給紙カセット100と本体筐体2との間の隙間が隠されることになるので、レーザプリンタ1の外観(見た目)を良くすることができる。
【0047】
カバー部120が設けられた給紙カセット100で手差し供給口130を覆ったり、外部に露出させたりする(開閉する)ことができるので、手差し供給口を開閉するトレイと給紙カセットとを個別に備える従来の画像形成装置と比較して、部品点数を削減することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0049】
前記実施形態では、カバー部120の凹部底部123が、載置位置にある載置トレイ140が延びる方向の延長面PL上に位置するように、規制部材150によって給紙カセット100の引き出し量を規制する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、カバー部120の上端部121が、載置位置にある載置トレイ140が延びる方向の延長面上に位置するように、規制部材150によって給紙カセット100の引き出し量を規制する(そのような位置に第1係合溝112を設ける)構成としてもよい。
【0050】
前記実施形態では、カバー部120の上端縁が、1つの略U字形の凹部を有する凹形状をなしている例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、カバー部120’の上端縁が、幅が異なる複数種類の用紙を載置可能なように、左右の幅が異なる複数の凹部を有する凹形状をなしていてもよい。また、カバー部の上端縁は、凹部を有しない形状(正面視直線形状)であってもよい。
【0051】
前記実施形態では、規制部材150を本体筐体2に装着された給紙カセット100(シート収容部)の下方に設けた構成を例示したが、これに限定されず、例えば、規制部材を装置本体に装着されたシート収容部の左右に設ける構成としてもよい。また、前記実施形態では、規制部材150を本体筐体2内(装置本体側)に設けたが、これに限定されず、規制部材をシート収容部側に設けてもよい。さらに、前記実施形態で示した規制部材150の構成は一例であり、同様の作用を得ることができる構成であれば、広く公知の構成を採用することができる。
【0052】
前記実施形態では、収容位置と載置位置との間でスライドして変位可能な載置トレイ140を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図8(a)に示す収容位置と、図8(b)に示す載置位置との間で揺動(回動)して変位可能な載置トレイ140’を採用してもよい。
【0053】
前記実施形態では、載置トレイ140(シート載置部)が、給紙カセット100(シート収容部)を本体筐体2から引き出すことで載置位置に変位し、給紙カセット100を本体筐体2に装着することで収容位置に変位するように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、シート収容部を引き出した後に、手動でシート載置部を変位させる構成としてもよい。
【0054】
前記実施形態では、給紙カセット100が本体筐体2から引き出されたとき、用紙押圧板111が下方に揺動して、給紙カセット100に収容された用紙Pと送出ローラ31とが非接触となることで、給紙カセット100に収容された用紙Pが送り出されない構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、本体筐体2内に給紙カセット100の装着(または引き出し)を検知するセンサを設け、このセンサが給紙カセット100が引き出されたことを検知した場合に、送出ローラ31への駆動力の伝達を切断するように制御する(または、そのような機械的構成とする)ことで、給紙カセット100に収容された用紙Pが送り出されない構成としてもよい。また、用紙押圧板を備えずに、送出ローラ31が上下に移動することで給紙カセット100に収容された用紙Pと離間・接触する構成の画像形成装置では、センサが給紙カセット100が引き出されたことを検知した場合に、送出ローラ31の移動を停止するように制御する(または、そのような機械的構成とする)ことで、給紙カセット100に収容された用紙Pが送り出されない構成としてもよい。これによれば、給紙カセット100が本体筐体2から引き出されているときには、手差し供給口130にセットされた用紙Pが供給される構成を実現できる。
【0055】
前記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、LEDによって露光を行うLEDプリンタであってもよいし、プリンタ以外の複写機や複合機などであってもよい。また、カラー画像を形成するプリンタや複写機、複合機などであってもよい。
【0056】
前記実施形態では、記録シートとして、いわゆる普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、これに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 レーザプリンタ
2 本体筐体
3 給紙機構
100 給紙カセット
110 用紙収容部
111 用紙押圧板
112 第1係合溝
120 カバー部
121 上端部
122 凹部側部
123 凹部底部
130 手差し供給口
140 載置トレイ
142 バネ
150 規制部材
151 突出部
P 用紙
PL 延長面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
装置本体に設けられ、外部から記録シートを供給するための手差し供給口と、
記録シートを収容し、装置本体に対してスライドして引出可能なシート収容部とを備え、
前記シート収容部は、装置本体に装着されたときに前記手差し供給口を覆い、装置本体から引き出されたときに前記手差し供給口を外部に露出させるカバー部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
装置本体に設けられ、前記手差し供給口から供給される記録シートを載置可能な載置位置と、収容された収容位置との間で変位可能なシート載置部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート載置部は、前記シート収容部を装置本体から引き出すことで前記載置位置に変位し、前記シート収容部を装置本体に装着することで前記収容位置に変位するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート載置部が前記載置位置にあるときにおいて、前記シート載置部が延びる方向の延長面上に前記カバー部の上端縁が位置するように、前記シート収容部の装置本体からの引き出し量を規制する規制部材を備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カバー部の上端縁は、前記シート収容部の引出方向から見て凹形状をなしていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−37544(P2011−37544A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184383(P2009−184383)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】