説明

画像形成装置

【課題】印刷データを特定可能なコード画像を印刷データと共に印刷する画像形成装置において、コード画像と保存された印刷データとの整合性を保証でき、かつ、印刷の遅延を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置を搭載したネットワーク複合機1は、印刷データを含む印刷ジョブを受信すると共に、印刷データを構成するページデータを保存フォルダ41へ出力するLANインターフェース10と、ページデータを特定する特定情報を含むQRコードを生成する制御部11と、受信されたページデータと生成されたQRコードとを用紙に印刷する印刷部12を備える。印刷部12は、LANインターフェース10によって行われるページデータの出力処理と並行して、ページデータの印刷処理を実行し、全てのページデータが保存フォルダ41へ出力された後、最後に印刷する用紙にQRコードを印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、紙文書をコピーする際、紙文書がスキャナで読み取られ、その読み取られたデータが用紙に印刷される。この場合、コピーを繰り返すうちに、印刷される文字や画像が劣化する。そこで、最初に電子データ(印刷データ)を用いて紙文書を印刷する際に、その印刷データを保存しておき、紙文書をコピーする際に、保存してある印刷データを印刷する画像形成装置が知られている。この場合、スキャンしたデータを印刷するのではなく、保存してある印刷データを印刷するので、画像等の劣化を防止できる(下記特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、最初にパーソナルコンピュータ(PC)から入力された印刷データを用紙へ印刷する際に印刷データが保存される。続けて、保存された印刷データを特定するためのQRコード(登録商標、以下同様)と共に用紙に印刷データが印刷される。そして、紙文書をコピーする際には、QRコードが読み取られ、このQRコードによって特定された印刷データが用紙に印刷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の画像形成装置では、最初に印刷データが保存され、次に印刷データを特定するためのQRコードが生成され、その後印刷データと共にQRコードが用紙に印刷される。このため、印刷のみを行う場合と比較して、処理時間が長くなる。
【0006】
一方、印刷データを保存する前にQRコード及び印刷データの印刷を行うと、QRコードと印刷データの整合がとれなくなる場合がある。例えば、印刷データの保存場所として予定した場所を示すQRコードを印刷した後、予定した保存場所に印刷データを保存できなければ、QRコードと印刷データとの整合がとれなくなる。この場合は、QRコードによって印刷データを特定することができなくなる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、印刷データを特定可能なコード画像を印刷データと共に印刷する画像形成装置において、コード画像と保存された印刷データとの整合性を保証でき、かつ、印刷の遅延を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、文書の印刷データを受け付ける受付手段と、受付手段によって受け付けられた印刷データを保存フォルダへ出力する出力手段と、印刷データを特定可能な特定情報を含むコード画像を生成する生成手段と、印刷データ及びコード画像を用紙に印刷する印刷手段と、を備え、印刷手段は、出力手段によって行われる印刷データの出力処理と並行して、印刷データの印刷処理を実行し、出力手段によって全ての印刷データが保存フォルダへ出力された後、最後に印刷する用紙にコード画像を印刷することを特徴とすることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置では、印刷データが受け付けられると、受け付けられた印刷データを保存フォルダへ出力する処理が行われる。この出力処理と並行して、印刷データの印刷処理が行われる。そして、全ての印刷データが保存フォルダへ出力された後、最後に印刷する用紙にコード画像が印刷される。これにより、全ての印刷データの保存が完了した後に、コード画像が印刷されるので、保存された印刷データとコード画像との整合性を保証することが可能となる。また、印刷データの保存処理と印刷処理とが並行して行われ、最後に印刷する用紙にコード画像が印刷されるので、印刷の遅延を抑制することが可能となる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、印刷手段が、全ての印刷データを印刷した後、当該印刷データを印刷した用紙とは別の用紙に、コード画像を印刷することが好ましい。この場合、全ての印刷データが印刷された後、最後に、別の用紙へコード画像が印刷される。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、受付手段によって受け付けられた印刷データに含まれる、文書の先頭ページの印刷データを記憶する記憶手段を備え、印刷手段が、コード画像と併せて、記憶手段に記憶されている先頭ページの印刷データを印刷することが好ましい。この場合、文書の先頭ページの印刷データが一時的に記憶され、全ての印刷データが印刷された後、最後に、コード画像が印刷されると共に記憶手段に記憶されている先頭ページも印刷される。
【0012】
本発明に係る画像形成装置では、印刷手段が、文書の最終ページの印刷データを印刷する用紙に、コード画像を併せて印刷することが好ましい。この場合、最後に印刷される文書の最終ページにコード画像が印刷される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷データを特定可能なコード画像を印刷データと共に印刷する画像形成装置において、コード画像と保存された印刷データとの整合性を保証でき、かつ、印刷の遅延を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る画像形成装置が搭載されたネットワーク複合機を含むネットワークの構成を示す図である。
【図2】ネットワーク複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】ネットワーク複合機による印刷ジョブの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ここでは、実施形態に係る画像形成装置が、ネットワーク複合機に搭載された場合を例にして説明する。
【0016】
図1及び図2を併せて用いて、ネットワーク複合機1の構成について説明する。図1は、ネットワーク複合機1を含むネットワークの構成を示す図である。図2は、ネットワーク複合機1の構成を示すブロック図である。
【0017】
ネットワーク複合機1は、PC3から入力された印刷データをコード画像61によって特定可能に保存すると共に印刷データを印刷し、最後の用紙にコード画像61を印刷する機能を有する。また、ネットワーク複合機1は、文書60をコピーする際に、印刷されたコード画像61を読み取り、得られた情報を用いて保存されている印刷データを特定し、特定した印刷データを用いて印刷を行う機能を有する。なお、コード画像とは、数字、文字列などのコード情報を変換して得られる画像であり、例えば、バーコード等の1次元コード、QRコード等の2次元コードなどが含まれる。本実施形態ではコード画像61としてQRコードを採用している。
【0018】
図1に示されるように、ネットワーク複合機1は、LAN(ローカルエリアネットワーク)50に接続されている。LAN50には、PC(パーソナルコンピュータ)3及びファイルサーバ4が接続されている。PC3には、ネットワーク複合機1のプリンタドライバ31が搭載され、ネットワーク複合機1は、PC3から出力される印刷データを印刷可能に構成されている。また、ネットワーク複合機1は、LAN50を介してファイルサーバ4内の保存フォルダ41へアクセス可能に構成されている。
【0019】
図2に示されるように、ネットワーク複合機1は、LANインターフェース10、制御部11、印刷部12、操作部13、表示部14、読取部15、コーデック16、画像記憶部17、モデム18、NCU(Network Control Unit)19、IFAX制御部20等を備えている。なお、各部は通信線21で相互に通信可能に接続されている。
【0020】
LANインターフェース10は、LAN50に接続され、信号変換及びプロトコル変換等のインターフェース処理を実行し、PC3及びファイルサーバ4との間で、信号及びデータの送受信を行う。また、LANインターフェース10は、PC3から印刷ジョブを受け付ける。印刷ジョブは、用紙に印刷する印刷データと印刷設定等の情報とを含み、印刷を指示する印刷指示情報である。すなわち、LANインターフェース10は、特許請求の範囲に記載の受付手段として機能する。
【0021】
また、LANインターフェース10は、受け付けた印刷ジョブに含まれる印刷データをページデータ毎にファイルサーバ4の保存フォルダ41へ出力する。すなわち、LANインターフェース10は、特許請求の範囲に記載の出力手段として機能する。なお、ページデータは、文字、図表等を含む文書の1ページ分の印刷データを示すデータである。LANインターフェース10によって保存フォルダ41へ出力されたページデータは、保存フォルダ内41に保存される。なお、ページデータを保存するための保存フォルダは、ネットワーク複合機1内のストレージに設定されていてもよい。
【0022】
制御部11は、演算を行うマイクロプロセッサ、プログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びバックアップRAM等により構成されている。制御部11は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、以下に説明するネットワーク複合機1を構成する各部の機能を実現するとともに、ネットワーク複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0023】
また、制御部11は、保存フォルダ41に出力されたページデータを特定可能な特定情報を生成し、この特定情報を含むQRコードを生成する。すなわち、制御部11は、特許請求の範囲に記載の生成手段として機能する。特定情報は、ページデータの保存先の情報であって、例えば、保存フォルダ41のパス情報等が含まれる。
【0024】
印刷部12は、電子写真方式のプリンタであり、PC3又はファイルサーバ4等から入力された印刷データ、読取部15により読み取られた画像データ、及び、ファクシミリで受信された画像データ等を用紙に印刷する。また、印刷部12は、PC3から入力された印刷ジョブに含まれるページデータと、保存されたページデータを特定するQRコードとを用紙に印刷する。
【0025】
印刷部12は、印刷ジョブが入力された際に、LANインターフェース10によって行われるページデータの出力処理と並行して、ページデータの印刷処理を実行する。また、ページデータがネットワーク複合機1内に保存される場合、印刷部12は、ページデータの保存処理と並行して、ページデータの印刷処理を実行する。すなわち、印刷部12は、特許請求の範囲に記載の印刷手段として機能する。
【0026】
そして、印刷部12は、全てのページデータが保存フォルダ41へ出力された後、最後に印刷する用紙にQRコードを印刷する。より具体的には、印刷部12は、全てのページデータを用紙に印刷した後、文書の先頭ページのページデータとQRコードとを用紙に印刷する。例えば、印刷部12は、QRコードが印刷される用紙に、縮小した文書の先頭ページを印刷する。これにより、1部数の文書と、QRコードを用いたコピー用のカバーページとが出力される。
【0027】
操作部13は、ネットワーク複合機1を操作するために用いられる複数の操作ボタンを備えている。表示部14は、設定内容等を表示するディスプレイである。ユーザは、表示部14の表示を参照しながら、操作部13を利用してQRコードを用いたコピーの指示をネットワーク複合機1に入力することができる。
【0028】
読取部15は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を読み取り、画像データを生成する。また、読取部15は、QRコードを用いたコピー指示があった場合には、読取対象となる紙文書に印刷されたQRコードを読み取る。これにより、保存されたページデータが特定され、特定されたページデータが印刷部12によって印刷される。
【0029】
コーデック16は、読取部15で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。画像記憶部17は、DRAM等で構成されており、コーデック16で符号化圧縮された画像データ、及びファクシミリ受信された画像データ等を記憶する。また、画像記憶部17は、テンポラリ領域内に、文書の先頭ページのページデータを一時的に記憶する。すなわち、画像記憶部17は、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。NCU19は、モデム18と公衆交換電話網(PSTN)51との接続を制御し、FAXの送受信機能を有する。IFAX制御部20は、インターネットFAX(IFAX)機能を司る部分である。
【0030】
引き続いて、図3を参照し、ネットワーク複合機1における印刷ジョブの処理手順を説明する。図3は、ネットワーク複合機1による印刷ジョブの処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
ユーザがPC3において作成した文書の印刷指示をPC3に入力すると、印刷ジョブがネットワーク複合機1のLANインターフェース10によって受信される。すなわち、ページデータが、先頭ページから順に受信される。ステップS101において受信されたページデータが1ページ目である場合(ステップS102でYES)、そのページデータが画像記憶部17のテンポラリ領域にコピーされ、記憶される(ステップS103)。
【0032】
その後、ページデータが、ファイルサーバ4の保存フォルダ41へ出力される(ステップS104)。受信されたページデータが、1ページ目以外のページデータである場合(ステップS102でNO)は、受信されたページデータは、そのまま保存フォルダ41へ出力される(ステップS104)。ページデータは、保存フォルダ41へ出力された後、印刷部12へ出力され、用紙に印刷される(ステップS105)。
【0033】
このように、ネットワーク複合機1では、保存処理(ステップS104)と印刷処理(ステップS105)とを1ページ分のページデータが受信される度に行うことにより、1文書分の複数のページデータの保存処理と印刷処理とを並行して行う。これにより、全ての複数のページデータが保存されるのを待つことなく、印刷処理が実行される。
【0034】
そして、全ページについてページデータが保存フォルダ41へ出力されると(ステップS106でYES)、保存先の情報を示す特定情報が、制御部11によってQRコード化される(ステップS107)。続いて、ステップS103においてテンポラリ領域にコピーされた1ページ目のページデータが取得され(ステップS108)、1ページ目のページデータにQRコードが貼り付けられ(ステップS109)、最後の用紙に印刷される印刷データが生成される。そして、最後の用紙に1ページ目のページデータとQRコードとが、印刷部12によって印刷される(ステップS110)。
【0035】
以上説明したネットワーク複合機1では、ページデータが受け付けられると、受け付けられたページデータを保存フォルダ41へ出力する処理が開始される。この出力処理と並行して、受け付けられたページデータの印刷処理が開始される。そして、全てのページデータが保存フォルダ41へ出力された後、最後に印刷される用紙にQRコードが印刷される。これにより、全てのページデータが保存された後に、QRコードが印刷されるので、保存された印刷データとQRコードとの整合性を保証することが可能となる。また、ページデータの保存処理と印刷処理とを並行して行い、最後に印刷する用紙にQRコードを印刷するので、印刷の遅延を抑制することが可能となる。
【0036】
また、ネットワーク複合機1では、印刷ジョブに含まれる全てのページデータが印刷された後、当該ページデータを印刷した用紙とは別の用紙に、コード画像が印刷される。この場合、文書とは別に、QRコードを用いたコピー用のカバーページが出力されるので、文書とカバーページを別々に利用することができ、利便性が向上する。また、ネットワーク複合機1では、先頭ページのページデータがテンポラリ領域に保存され、最後に、コード画像と併せて、文書の先頭ページのページデータが印刷される。この場合、カバーページに文書の先頭ページも印刷されるので、どの文書のQRコードなのか、一見して把握することができる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、印刷部12が、カバーページにQRコードと共に先頭ページも印刷することとしたが、これに限られない。カバーページには、QRコードのみが印刷されていてもよく、文書の他のページが印刷されていてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、印刷部12が、文書とは別にカバーページを印刷したが、これに限られない。例えば、印刷部12が、文書の最終ページにQRコードを印刷してもよい。この場合、印刷部12が、印刷ジョブに含まれるページデータのうち文書の最終ページを除く全てのページデータを印刷した後、文書の最終ページのページデータを印刷する用紙に、QRコードを併せて印刷する。また、例えば、上記実施形態では、文書の印刷データが、ページデータ毎に保存されることとしたが、文書の全てのページの印刷データが1ファイルとして保存されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ネットワーク複合機
3 PC
4 ファイルサーバ
10 LANインターフェース
11 制御部
12 印刷部
13 操作部
14 表示部
15 読取部
17 画像記憶部
41 保存フォルダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書の印刷データを受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた印刷データを保存フォルダへ出力する出力手段と、
前記印刷データを特定可能な特定情報を含むコード画像を生成する生成手段と、
前記印刷データ及び前記コード画像を用紙に印刷する印刷手段と、
を備え、
前記印刷手段は、前記出力手段によって行われる前記印刷データの出力処理と並行して、前記印刷データの印刷処理を実行し、前記出力手段によって全ての前記印刷データが保存フォルダへ出力された後、最後に印刷する用紙に前記コード画像を印刷することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記全ての印刷データを印刷した後、当該印刷データを印刷した用紙とは別の用紙に、前記コード画像を印刷することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受付手段によって受け付けられた印刷データに含まれる、前記文書の先頭ページの印刷データを記憶する記憶手段を備え、
前記印刷手段は、前記コード画像と併せて、前記記憶手段に記憶されている前記先頭ページの印刷データを印刷することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷手段は、前記文書の最終ページの印刷データを印刷する用紙に、前記コード画像を併せて印刷することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−61329(P2011−61329A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206402(P2009−206402)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】