説明

画像形成装置

【課題】画像形成の複数同時露光の際の信号線数を抑制することが可能な画像形成装置を実現する。
【解決手段】画像処理クロックに基づいて画像データを処理してシリアル伝送で出力する画像処理回路と、前記画像データを受けて書き込みクロックに基づいて処理して発光素子駆動用の発光駆動信号を生成する発光素子駆動部と、を備えて発光素子から感光体への露光を行う画像形成装置であって、前記画像処理回路と前記発光素子駆動部とは異なる基板上もしくは異なる回路素子群上に構成され、前記画像処理クロックと前記書き込みクロックとは独立したクロックである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理する画像処理基板と、画像データを受けて発光駆動信号を生成する発光素子駆動基板とを備えた画像形成装置において、画像処理基板と発光素子駆動基板とにおけるデータ処理およびデータ転送技術の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、画像データに応じた主走査方向の1ラインの画像形成を行うと共に、主走査方向の1ライン毎の画像形成を副走査方向に繰り返して1頁分の画像形成を行うものが知られている。その一例として、電子写真方式の画像形成装置では、画像データに応じて変調したレーザビームをポリゴンミラーによって主走査方向に走査し、これと並行して、副走査方向に回転する像担持体上に、前記レーザビームによって画像を形成している。なお、画像形成を高速に行うため、あるいは、解像度を高めるため、複数のレーザビームを用いて複数ライン毎の画像形成を実行する画像形成装置も存在している。
【0003】
この種の画像形成装置において、たとえば、図5のように、画像処理部110と、LD駆動部120とを備える。
【0004】
この場合、画像処理部110は、画像データに画像処理を施す画像処理回路111と、インデックス信号により主走査方向画素位置調整の制御を行う主走査位置制御部112と、主走査位置制御部112により主走査方向画素位置調整を行うと共に複数の並行した露光を行うように画像データを振り分ける変換部113と、を備え、画像形成装置内の任意の位置に配置されている。
【0005】
また、LD駆動部120は、1画素あたり複数ビット階調の画像データから画素毎の発光時間に応じたパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調部124と、パルス幅変調信号からレーザダイオード駆動用の発光駆動信号を生成するLD駆動回路125と、発光駆動信号により感光体に対して露光するレーザダイオード126と、を備え、画像形成装置内で感光体400近傍の光学系(ポリゴンミラー310、シリンドリカルレンズ330)近くの所定位置に配置されている(図7参照)。
【0006】
以上の図5の構成においては、複数ビット数×発光数の本数の画像データを画像処理部110からLD駆動部120へ束線130(図7参照)を介して転送する必要があり、基板間の束線数が多くなる不具合があった。
【0007】
そこで、図6のように、複数ビット階調を1ビットパルス幅に変換するパルス幅変調部114を画像処理部110側に備えて、1ビット×発光数のパルス幅変調信号を画像処理部110からLD駆動部120へ転送することで、基板間の束線数を(1/ビット数)に減らすことが可能になる。
【0008】
なお、画像形成装置における基板間のデータ転送に関連しては、たとえば、以下の特許文献1や特許文献2などにも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−284130号公報
【特許文献2】特開2000−288791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図5に示した画像形成装置の場合、高解像度化、高速化、カラー化などに伴い、上述した画像処理部とLD駆動部間の束線数は益々増加する傾向にある。また、図6に示した画像形成装置の場合、図5のものよりは若干束線数が減るものの、発光数の増加に伴って、画像処理部とLD駆動部間の束線数は増加する傾向にある。
【0011】
また、図5に示した画像形成装置でも図6に示した画像形成装置でも、全体の回路構成がレーザダイオードの発光に特化したものになっているため、発光素子をレーザダイオードからLEDなど異なる素子に変更した場合には、LD駆動部120だけではなく、画像処理部110についても作り替える必要が生じる。
【0012】
また、図5と図6の回路構成では、変換部113を画像処理部110に備えているため、感光体400近傍に設けられたインデックスセンサ340(図7参照)で得られたインデックス信号を画像処理部110に入力する必要がある。この場合、インデックス信号の信号線を画像処理部110まで単独で引き回してもよいが、一般的には、インデックスセンサに近い位置に置かれたLD駆動部120を経由して画像処理部110に入力するようにしている。いずれにしても、インデックス信号を画像処理部110まで転送する必要がある。
【0013】
このため、インデックス信号の信号線から発生するノイズが近傍の信号線に影響を与えたり、逆に、インデックス信号の信号線が周囲の信号線からの影響を受けたりと、EMIの問題が発生する可能性がある。なお、インデックス信号が周囲の影響を受けると、変換部113における主走査方向画素位置調整に誤差が生じ、画質が悪化する可能性もある。
【0014】
また、図5の構成と図6の構成のいずれの場合も、画像処理部110で画像処理クロックだけでなく、LD駆動部120と同じ書き込みクロックも必要とする。このため、LD駆動部120から画像処理部110に対して、書き込みクロックを伝送する必要がある。このため、束線数が増加し、書き込みクロックの束線経由の伝送によるEMIの問題、書き込みクロックの束線経由の伝送によるクロック精度低下の問題など、各種の問題が発生する可能性がある。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、画像形成の複数同時露光の際の信号線数を抑制することが可能な画像形成装置を実現することにある。
【0016】
また、本発明は、異なる基板間や回路素子群間で信号数を抑制可能な画像形成装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、課題を解決する手段としての本発明は以下に説明するようなものである。
【0018】
(1)第1の画像形成装置の発明は、画像データを処理する画像処理部と、画像データに基づいて発光素子駆動信号を生成する発光素子駆動部と、を備え、発光素子から感光体への露光を行う画像形成装置であって、前記画像処理部は、画像処理クロックに基づいて画像データを処理してパラレル形式で入出力する画像処理回路と、前記画像処理回路で処理されたパラレル形式の画像データを差動シリアル形式に変換する(シリアル形式に変換し更に差動化する)と共に前記画像処理クロックを差動化し、前記差動シリアル形式に変換された前記画像データと前記差動化された前記画像処理クロックとを出力する出力伝送部と、を備え、前記発光素子駆動部は、前記出力伝送部から差動シリアル伝送される画像データをパラレル形式の画像データに変換する入力伝送部と、前記画像データを受けて書き込みクロックに基づいて処理して発光素子駆動用の発光駆動信号を生成する発光素子駆動信号生成部と、を備え、前記画像処理部と前記発光素子駆動部とは異なる基板上もしくは異なる回路素子群上に構成され、前記画像処理クロックと前記書き込みクロックとは独立したクロックである、ことを特徴とする。
【0019】
(2)第2の画像形成装置の発明は、(1)において、前記発光素子を複数備え、これら複数の発光素子から前記感光体へ並行して露光を行う画像形成装置であって、前記発光素子駆動部は、前記画像データを複数の前記発光素子用に振り分ける変換部を備える、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
【0020】
(3)第3の画像形成装置の発明は、(1)−(2)において、前記発光素子駆動部では、所定のタイミング信号に応じて画像データの主走査方向画素位置を調整する機能を有する、ことを特徴とする。
【0021】
(4)第4の画像形成装置の発明は、(3)において、前記発光素子駆動部は、1画素当たり複数ビットに量子化された前記画像データに対応して画素毎の発光時間に応じたパルス幅変調信号を前記発光駆動信号として生成するパルス幅変調部を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上の画像形成装置の発明では、画像処理部においてパラレル形式の画像データを差動シリアル形式に変換して発光素子駆動部へ出力し、発光素子駆動部ではシリアル形式の画像データをパラレル形式に戻して書き込みクロックに基づいて処理して発光素子駆動用の発光駆動信号を生成し、発光素子から感光体への露光を行うようにしている。この際に、画像処理部と発光素子駆動部とは異なる基板上もしくは異なる回路素子群上に構成されていて差動シリアル伝送で画像データが伝送されるため、EMIの問題が解消され、画像形成の複数同時露光の際の信号線数を抑制することが可能になる。
【0023】
また、画像処理部と発光素子駆動部とは異なる基板上もしくは異なる回路素子群上に構成され、画像処理部側の画像処理クロックと発光素子駆動部側の書き込みクロックとは独立したクロックであるため、発光素子駆動部側から画像処理部側へ書き込みクロックを伝送する必要がなくなる。
【0024】
また、インデックス信号などの所定のタイミング信号に応じた主走査画素位置の調整を発光素子駆動部にて実行するため、タイミング信号を画像処理部に伝送する必要がなくなり、タイミング信号を画像処理部まで伝送する場合におけるタイミング信号の信号線から発生するノイズが近傍の信号線に影響を与える問題やタイミング信号のタイミングがずれる問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態を適用した画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態を適用した画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態を適用した画像形成装置の動作を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態を適用した画像形成装置の他の構成を示す構成図である。
【図5】従来の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図6】従来の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図7】従来の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置を実施するための形態(実施形態)を詳細に説明する。
【0027】
〔第一実施形態〕
ここで、第一実施形態の電子写真方式の画像形成装置100の構成を、図1−図2に基づいて詳細に説明する。なお、画像形成装置100として既知であって、第一実施形態の特徴的な動作や制御に直接に関係しない一般的な部分についての説明は省略してある。ここで、図1は本実施形態の原理的構成を示す構成図、図2は本実施形態の具体的な構成例とデータのビット数の一例とを示す構成図である。
【0028】
図1−図2に示される画像形成装置100は、画像処理部110と、LD駆動部120とを備えている。
【0029】
ここで、画像処理部110は、請求項における画像処理部を搭載する回路基板であり、画像処理クロックを生成する画像処理クロック生成部110cと、画像処理クロックに基づいてパラレル形式の画像データを処理してパラレル形式の画像処理データを生成する画像処理回路111と、画像処理回路111で処理されたパラレル形式の画像処理データを差動シリアル形式に変換する(シリアル形式に変換し更に差動化する)と共に画像処理クロックを差動化し、差動シリアル形式に変換された画像処理データと差動化された画像処理クロックとを出力する出力伝送部としてのシリアライザ115と、を備えた回路基板であり、画像形成装置100内の任意の位置に配置されている。
【0030】
なお、差動化するとは、2本の信号線を使用し、1本の線に元の信号を、もう1本の線に位相が反転した(逆位相の)信号を送るようにすることである。
【0031】
なお、画像処理部110には、後述するLD駆動部120に搭載されるべき回路(書き込みクロックにより処理する回路)以外であれば、他の回路を備えていてもよい。
【0032】
LD駆動部120は、請求項における発光素子駆動部を搭載する回路基板であり、シリアライザ115から差動伝送される画像処理クロックを受信すると共に差動シリアル伝送される画像処理データとを受信してパラレル形式の画像処理データに変換する入力伝送部としてのデシリアライザ127と、インデックスセンサ340(図7参照)で生成されたインデックス信号(請求項における所定のタイミング信号)により主走査方向画素位置調整の制御を行う主走査位置制御部122と、主走査位置制御部122からの指示と画像処理回路111からの画像処理データとを受けて露光時における主走査方向画素位置調整を行うと共に複数の並行した露光を行うように画像処理データを振り分ける変換部123と、1画素あたり複数ビット階調の画像処理データから画素毎の発光時間に応じたパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調部124と、パルス幅変調信号からレーザダイオード駆動用の発光駆動信号を生成するLD駆動回路125と、発光駆動信号により感光体に対して複数の並行した露光(図3参照)をするレーザダイオード126と、を備えた回路基板であり、画像形成装置100内で感光体400近傍の光学系(ポリゴンミラー310、シリンドリカルレンズ330)近くの所定位置に配置されている(図7参照)。特に、LD駆動部120のレーザダイオード126は、ポリゴンミラー310(図7参照)に対してレーザビームを照射できる位置に配置されている。なお、LD駆動部120は、感光体400への画像データに応じた露光のタイミングに合わせた書き込みクロックで各部が駆動されてており、書き込みクロック生成部120cが書き込みクロックを生成している。
【0033】
なお、この実施形態では、シリアル形式でデータを伝送することをシリアル伝送、差動シリアル形式でデータを伝送することを差動シリアル伝送と呼ぶ。また、差動化された信号を差動信号と呼ぶ。
【0034】
また、以上の説明において、図1ではLD126で4ラインの並行した露光を行う場合の構成を原理的に示している。ここで、具体的には図2に示されるように、パルス幅変調部124はパルス幅変調部124_1〜124_4で構成され、LD駆動回路125はLD駆動回路125_1〜125_4で構成され、LD126はLD126_1〜126_4で構成されることになる。
【0035】
以上の構成において、画像処理部110の画像処理回路111は、スキャナや外部PCあるいは記憶部などからの画像データを受けて、画像処理クロックに基づいて画像形成に必要な各種の画像処理を施す。この段階では、画像処理回路111の入力の画像データも出力の画像処理データも、1画素あたり複数ビット階調のパラレル形式のデータである。
【0036】
ここで、シリアライザ115は、画像処理回路111で処理されたパラレル形式の画像処理データを差動シリアル形式に変換して、この差動シリアル形式に変換された画像処理データをLD駆動部120に出力する。また、シリアライザ115は、画像処理クロック生成部110cからの画像処理クロックを差動化して、差動化された画像処理クロックをLD駆動部120に出力する。なお、以上の画像処理部110での各処理は画像処理クロックに基づいており、書き込みクロックは使用されない。
【0037】
なお、以上の構成において、説明のために画像データのビット数などの具体的数値を示すと、一例として、図2中に示された値をとることができる。たとえば、パラレル形式で14ビット(制御:3ビット+画像:11ビット)の画像データを、クロックを7倍に変換しつつ7ビットパラレルを1ビットシリアルに変換するシリアライザ115により、1ビットの差動シリアル形式のデータを2組生成する。
【0038】
ここで、LD駆動部120において、デシリアライザ127は、シリアライザ115から差動伝送される画像処理クロックに基づいて、差動シリアル伝送される画像処理データをパラレル形式の画像処理データに変換する。
【0039】
図2の具体例の場合、デシリアライザ127では、1ビットの差動シリアル形式のデータを2組受けて、クロックを1/7に再変換しつつ1ビットシリアルを7ビットパラレル形式に戻し、2組の7ビットパラレル形式のデータから14ビット(制御:3ビット+画像:11ビット)パラレル形式の画像処理データを生成する。
【0040】
ここで、変換部123では、レーザダイオード126での複数並行露光に合わせて、複数並行露光数に応じた主走査方向複数本のラインバッファに画像処理データを蓄積した上で、これら複数本のラインバッファから同時に読み出しを行うことにより、複数の並行した露光に合わせて画像処理データを振り分ける。
【0041】
また、変換部123では、主走査位置制御部122からの主走査方向画素位置制御の指示信号を受け、主走査方向の露光開始位置もしくは終了位置の少なくとも一方が所定の位置に合致するように、画像処理データのタイミングを調整することで主走査方向画素位置調整を実行する。
【0042】
そして、パルス幅変調部124では、1画素あたり複数ビット階調のパラレル形式の画像処理データから、画素毎の発光時間に応じた1ビットのパルス幅変調信号を生成する。
【0043】
なお、このパルス幅変調部124は、具体的には図2に示されるようにパルス幅変調部124_1〜124_4で構成されることで、複数並行露光数に応じて複数の画像処理データから並行してパルス幅変調信号を生成する。
【0044】
さらに、LD駆動回路125では、パルス幅変調部124からのパルス幅変調信号を増幅し、レーザダイオード126を駆動するための発光駆動信号を生成して、レーザダイオード126に供給する。なお、このLD駆動回路125は、具体的には図2に示されるように、LD駆動回路125_1〜125_4で構成されることで、複数並行露光数に応じて複数のパルス幅変調信号から並行して発光駆動信号を生成する。
【0045】
そして、LD駆動回路125からの複数並行露光数に応じた発光駆動信号によりレーザダイオード126は複数の並行したレーザビームを発生する。ここで、レーザダイオード126からのレーザビームは、ポリゴンミラー310により主走査方向の走査光に変換され、感光体400に対して複数の並行した露光が実行される。この際に、感光体400は主走査方向と直交する副走査方向に回転しており、感光体400の表面には二次元の像が形成される。なお、この際の走査光とされたレーザビームの一部がインデックスセンサ340で受光され、インデックス信号として主走査位置制御部122に供給され、主走査方向画素位置調整の制御がなされる。
【0046】
以上の構成において、画像処理クロックと書き込みクロックとを独立したクロックとして用意しておき、画像処理部110では画像処理クロックに基づいて画像データを処理して画像処理データとしてパラレル形式からシリアル形式に変換してLD駆動部120へ出力し、LD駆動部120ではシリアル伝送の画像処理データを受けてパラレル形式に戻して書き込みクロックに基づいて処理して発光素子駆動用の発光駆動信号を生成し、レーザダイオード126から感光体400への露光を行っており、画像処理部110とLD駆動部120とは異なる基板上に構成されていて画像処理データがシリアル伝送されるため、画像形成の複数同時露光の際の信号線数を抑制することが可能になる。すなわち、変換部123はLD駆動部120側であるため、並行して露光する発光数が増加した場合であっても、画像処理部110からLD駆動部120への信号線数が増加することはない。
【0047】
また、画像処理部110からLD駆動部120へ送る画像処理クロックとシリアル形式の画像処理データとを差動信号にしているため、EMIのレベルを低減することが可能になる。
【0048】
また、画像処理部110とLD駆動部120とは異なる基板上に構成され、画像処理部110側の画像処理クロックとLD駆動部120側の書き込みクロックとは独立したクロックであるため、LD駆動部120側から画像処理部110側へ書き込みクロックを伝送する必要がなくなり、束線数増加の問題、クロック伝送によるEMIの問題、クロック伝送による精度低下の問題などが解消される。
【0049】
また、インデックス信号に応じた主走査画素位置の調整をLD駆動部120側の主走査位置制御部122にて実行するため、インデックス信号を画像処理部110に伝送する必要がなくなり、インデックス信号を画像処理部110まで伝送する場合におけるインデックス信号の信号線から発生するノイズが近傍の信号線に影響を与える問題やインデックス信号のタイミングがずれる問題が解消される。
【0050】
また、従来例として示した図5や図6などと比較すると、この第一実施形態では、画像処理部110側で複数のクロックが混在することがなくなるため、EMI特性を向上させることが可能になる。
【0051】
なお、画像処理部110とLD駆動部120との間で画像処理データを伝送しているため、書き込みクロックで処理可能な画像処理機能についてはLD駆動部120側に設けることが可能である。
【0052】
また、以上の第一実施形態の画像形成装置100では、発光素子をレーザダイオードからLEDなど異なる素子に変更した場合には、LD駆動部120側を変更すればよく、画像処理部110については作り替える必要が生じない。
【0053】
なお、以上の構成においてデシリアライザ127と変換部123とをASICなどで一体構成すると、LD駆動部120側の基板上に画像処理クロックが存在しない状態を実現できる。
【0054】
〔第二実施形態〕
ここで、第二実施形態の電子写真方式の画像形成装置100の構成を、図4に基づいて詳細に説明する。なお、画像形成装置100として既知であって、第二実施形態の特徴的な動作や制御に直接に関係しない一般的な部分についての説明は省略してある。
【0055】
図4に示される画像形成装置100は、画像処理ASIC110’と、LD駆動ASIC120’と、LD126と、を備えている。
【0056】
ここで、画像処理ASIC110’は、請求項における画像処理部を搭載する回路素子群であり、画像処理クロックを生成する画像処理クロック生成部110cと、画像処理クロックに基づいてパラレル形式の画像データを処理してパラレル形式の画像処理データを生成する画像処理回路111と、画像処理回路111で処理されたパラレル形式の画像処理データを差動シリアル形式に変換する(シリアル形式に変換し更に差動化する)と共に画像処理クロックを差動化し、差動シリアル形式に変換された画像処理データと差動化された画像処理クロックとを出力する出力伝送部としてのシリアライザ115と、を備えたASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、画像形成装置100内の任意の位置に配置されている。
【0057】
なお、画像処理ASIC110’には、後述するLD駆動ASIC120’に搭載されるべき回路(書き込みクロックにより処理する回路)以外であれば、他の回路を備えていてもよい。
【0058】
LD駆動ASIC120’は、請求項における発光素子駆動部を搭載する回路素子群であり、シリアライザ115から差動伝送される画像処理クロックを受信すると共に差動シリアル伝送される画像処理データとを受信してパラレル形式の画像処理データに変換する入力伝送部としてのデシリアライザ127と、インデックスセンサ340(図7参照)で生成されたインデックス信号(請求項における所定のタイミング信号)により主走査方向画素位置調整の制御を行う主走査位置制御部122と、主走査位置制御部122からの指示と画像処理回路111からの画像処理データとを受けて露光時における主走査方向画素位置調整を行うと共に複数の並行した露光を行うように画像処理データを振り分ける変換部123と、1画素あたり複数ビット階調の画像処理データから画素毎の発光時間に応じたパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調部124と、パルス幅変調信号からレーザダイオード駆動用の発光駆動信号を生成するLD駆動回路125と、発光駆動信号により感光体に対して複数の並行した露光(図3参照)をするレーザダイオード126と、を備えたASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、画像形成装置100内で感光体400近傍の光学系(ポリゴンミラー310、シリンドリカルレンズ330)近くの所定位置に配置されている(図7参照)。なお、LD駆動ASIC120’は、感光体400への画像データに応じた露光のタイミングに合わせた書き込みクロックで各部が駆動されてており、書き込みクロック生成部120cが書き込みクロックを生成している。
【0059】
ここで、画像処理ASIC110’の構成及び動作は、第一実施形態の画像処理部110の構成及び動作と基本的に同じである。また、LD駆動ASIC120’の構成及び動作は、第一実施形態のLD駆動部120からLD126を分離した構成及び動作と基本的に同じである。
【0060】
以上の構成において、画像処理クロックと書き込みクロックとを独立したクロックとして用意しておき、画像処理ASIC110’では画像処理クロックに基づいて画像データを処理して画像処理データとしてパラレル形式からシリアル形式に変換してLD駆動ASIC120’へ出力し、LD駆動ASIC120’ではシリアル伝送の画像処理データを受けてパラレル形式に戻して書き込みクロックに基づいて処理して発光素子駆動用の発光駆動信号を生成し、レーザダイオード126から感光体400への露光を行っており、画像処理ASIC110’とLD駆動ASIC120’とは異なる基板上に構成されていて画像処理データがシリアル伝送されるため、画像形成の複数同時露光の際の信号線数を抑制することが可能になる。すなわち、変換部123はLD駆動ASIC120’側であるため、並行して露光する発光数が増加した場合であっても、画像処理ASIC110’からLD駆動ASIC120’への信号線数が増加することはない。
【0061】
また、画像処理ASIC110’からLD駆動ASIC120’へ送る画像処理クロックとシリアル形式の画像処理データとを差動信号にしているため、EMIのレベルを低減することが可能になる。
【0062】
また、画像処理ASIC110’とLD駆動ASIC120’とは異なる回路素子群として構成され、画像処理ASIC110’側の画像処理クロックとLD駆動ASIC120’側の書き込みクロックとは独立したクロックであるため、LD駆動ASIC120’側から画像処理ASIC110’側へ書き込みクロックを伝送する必要がなくなり、束線数増加の問題、クロック伝送によるEMIの問題、クロック伝送による精度低下の問題などが解消される。
【0063】
また、インデックス信号に応じた主走査画素位置の調整をLD駆動ASIC120’側の主走査位置制御部122にて実行するため、インデックス信号を画像処理ASIC110’に伝送する必要がなくなり、インデックス信号を画像処理ASIC110’まで伝送する場合におけるインデックス信号の信号線から発生するノイズが近傍の信号線に影響を与える問題やインデックス信号のタイミングがずれる問題が解消される。
【0064】
また、従来例として示した図5や図6などと比較すると、この第二実施形態では、画像処理ASIC110’側で複数のクロックが混在することがなくなるため、EMI特性を向上させることが可能になる。
【0065】
なお、画像処理ASIC110’とLD駆動ASIC120’との間で画像処理データを伝送しているため、書き込みクロックで処理可能な画像処理機能についてはLD駆動ASIC120’側に設けることが可能である。
【0066】
また、以上の第二実施形態の画像形成装置では、発光素子をレーザダイオードからLEDなど異なる素子に変更した場合には、LD駆動ASIC120’側を変更すればよく、画像処理ASIC110’については作り替える必要が生じない。
【0067】
なお、この第二実施形態では、回路素子群としてASICを具体例にしたが、他の形式の各種プロセッサを回路素子群として構成することも可能である。
【0068】
〈その他の実施形態〉
以上の第一実施形態、第二実施形態では、レーザビームを用いた電子写真方式の画像形成装置100について説明してきたが、これに限定されるものではない。たとえば、レーザビームを用いて印画紙に露光を行うレーザイメージャなど、各種の画像形成装置に本発明の各実施形態を適用することが可能であり、良好な結果を得ることが可能である。
【0069】
また、図2中に示した各部のデータのビット数などは一例であり、適用する装置において各種の変更が可能であり、各種変更を加えた場合であっても本実施形態を適用することで良好な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
100 画像形成装置
110 画像処理基板
110’ 画像処理ASIC
111 画像処理回路
120 LD駆動部
120’ LD駆動ASIC
122 主走査位置制御部
123 変換部
124 パルス幅変調部
125 LD駆動回路
126 レーザダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを処理する画像処理部と、画像データに基づいて発光素子駆動信号を生成する発光素子駆動部と、を備え、発光素子から感光体への露光を行う画像形成装置であって、
前記画像処理部は、
画像処理クロックに基づいて画像データを処理してパラレル形式で入出力する画像処理回路と、
前記画像処理回路で処理されたパラレル形式の画像データを差動シリアル形式に変換し、前記差動シリアル形式に変換された前記画像データを出力する出力伝送部と、を備え、
前記発光素子駆動部は、
前記出力伝送部から差動シリアル伝送される画像データをパラレル形式の画像データに変換する入力伝送部と、
前記画像データを受けて書き込みクロックに基づいて処理して発光素子駆動用の発光駆動信号を生成する発光素子駆動信号生成部と、を備え、
前記画像処理部と前記発光素子駆動部とは異なる基板上もしくは異なる回路素子群上に構成され、前記画像処理クロックと前記書き込みクロックとは独立したクロックである、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発光素子を複数備え、これら複数の発光素子から前記感光体へ並行して露光を行う画像形成装置であって、
前記発光素子駆動部は、前記画像データを複数の前記発光素子用に振り分ける変換部を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記発光素子駆動部は、所定のタイミング信号に応じて画像データの主走査方向画素位置を調整する機能を有する、
ことを特徴とする請求項1−2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光素子駆動部は、1画素当たり複数ビットに量子化された前記画像データに対応して画素毎の発光時間に応じたパルス幅変調信号を前記発光駆動信号として生成するパルス幅変調部を備える、
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−11655(P2012−11655A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149825(P2010−149825)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】