説明

画像形成装置

【課題】画像データ処理部と露光装置制御部を接続する配線を短くすることにより、画像品質の低下を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、並列配置された複数の感光体ドラム51を支持し、上面に開口が形成された本体筐体10と、本体筐体10の上部に設けられ、開口を開閉するアッパーカバー11と、アッパーカバー11に設けられ、複数の感光体ドラム51を露光するLEDユニット40と、入力された画像データを記憶処理する画像データ処理部110と、画像データ処理部110で処理された画像データに基づいてLEDユニット40を制御するLED制御部120(露光装置制御部)とを備える。画像データ処理部110とLED制御部120が形成された回路基板(メイン基板100)は、アッパーカバー11に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理する画像データ処理部と、露光装置を制御する露光装置制御部とを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタなどの画像形成装置として、パーソナルコンピュータなどの外部装置から入力された画像データを画像形成装置で扱える画像データに変換処理する画像データ処理部と、画像データ処理部で処理された画像データに基づいて画像形成装置内の露光装置を制御する露光装置制御部とを備えたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、露光装置制御部が形成された回路基板(LED制御基板)が、露光装置(LEDユニット)が設けられたアッパーカバーに固定された画像形成装置が開示されている。このような構成によれば、露光装置制御部と露光装置を接続するケーブル(配線)を短くすることができるので、例えば、配線にノイズが入ることによって生じる画像品質の低下などを抑制することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−157138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の画像形成装置では、画像データ処理部が形成された回路基板は、画像形成装置の本体筐体に固定されていたため、本体筐体の画像データ処理部と、アッパーカバーの露光装置制御部とを接続する配線が長くなっていた。そのため、画像データ処理部と露光装置制御部を接続する配線にノイズが入ることにより、依然として画像品質が低下する可能性が生じていた。これに対し、シールド効果の高い配線を使用することで、配線にノイズが入ることを抑制することも可能であるが、そのような配線は高価であるため、装置全体のコストが高くなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、画像データ処理部と露光装置制御部を接続する配線を短くすることにより、画像品質の低下を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、並列配置された複数の感光体を支持し、上面に開口が形成された本体筐体と、前記本体筐体の上部に設けられ、前記開口を開閉するカバーと、前記カバーに設けられ、複数の前記感光体を露光する露光装置と、入力された画像データを記憶処理する画像データ処理部と、前記画像データ処理部で処理された画像データに基づいて前記露光装置を制御する露光装置制御部と、を備え、前記画像データ処理部が形成された回路基板と前記露光装置制御部が形成された回路基板は、前記カバーに固定されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された画像形成装置によれば、画像データ処理部が形成された回路基板と露光装置制御部が形成された回路基板がともにカバーに固定されているので、画像データ処理部と露光装置制御部を近づけて配置することができる。これにより、画像データ処理部と露光装置制御部を接続する配線を短くすることができるので、画像データ処理部と露光装置制御部を接続する配線にノイズが入ることによって生じうる画像品質の低下を抑制することができる。また、本体筐体の上部に設けられたカバーに画像データ処理部が配置されることで、画像データ処理部のインターフェースに対してアクセスしやすい構成の画像形成装置を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像データ処理部が形成された回路基板と露光装置制御部が形成された回路基板がともにカバーに固定されているので、画像データ処理部と露光装置制御部を接続する配線を短くすることができる。これにより、画像品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す図である。
【図2】アッパーカバーを開いた状態のカラープリンタを示す図である。
【図3】カラープリンタの基板配置と配線構造を模式的に示す図である。
【図4】アッパーカバーの上面前寄り部分の構成を示す拡大断面図(a)〜(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細な構成について説明する。
【0012】
また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0013】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10と、アッパーカバー11(カバー)と、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部20と、供給された用紙Sに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部90とを主に備えている。
【0014】
アッパーカバー11は、本体筐体10の上部(上側)に設けられ、図2に示すように、本体筐体10の上面に形成された開口10Aを開閉する。より詳細に、アッパーカバー11は、後側(一端側)に設けられた回動軸12を中心として、前側が本体筐体10に対して上下に回動することで、本体筐体10の開口10Aを開閉可能に設けられている。このアッパーカバー11の上面には、本体筐体10内から排出された用紙Sが載置される排紙トレイ13が設けられており、下面には、後述するLEDユニット40を保持する4つの保持部14が設けられている。
【0015】
図1に戻り、給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Sを画像形成部30に供給する用紙供給機構22とを主に備えている。給紙トレイ21内の用紙Sは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
【0016】
画像形成部30は、露光装置の一例としての4つ(複数)のLEDユニット40と、4つのプロセスユニット50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0017】
LEDユニット40は、アッパーカバー11の下部に設けられ、露光ヘッドの一例としてのヘッド部41と、ヘッド部41を支持する支持部42とを主に備えている。
【0018】
ヘッド部41は、感光体の一例としての感光体ドラム51の軸方向(左右方向)に沿って延びており、アッパーカバー11を閉じたときに、その先端(下端)が感光体ドラム51の上面にそれぞれ対向して配置される。このヘッド部41は、先端に左右方向に配列された複数の発光部(LED)を備えており、後述するLED制御部120からの信号の入力により、発光部が明滅することで帯電後の感光体ドラム51を露光する。
【0019】
支持部42は、ヘッド部41をアッパーカバー11に保持するための部材であり、その下部でヘッド部41を支持しつつ、上部が保持部14を介してアッパーカバー11に取り付けられている。これにより、LEDユニット40は、アッパーカバー11を開くことで、感光体ドラム51から離間する構成となっている(図2参照)。
【0020】
プロセスユニット50は、アッパーカバー11と給紙トレイ21との間で前後方向に沿って並列配置されており、アッパーカバー11を開いたときに露出する本体筐体10の開口10Aから、本体筐体10に対し着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスユニット50は、感光体ドラム51と、帯電器52と、現像ローラ53と、供給ローラ54と、層厚規制ブレード55と、トナー収容部56とを主に備えている。本体筐体10は、各プロセスユニット50が本体筐体10に装着されることで、4つ(複数)の感光体ドラム51を前後に並列配置された状態で支持している。
【0021】
転写ユニット70は、給紙トレイ21とプロセスユニット50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設された無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを主に備えている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光体ドラム51に接しており、その内側には各転写ローラ74が各感光体ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0022】
定着ユニット80は、プロセスユニット50および転写ユニット70の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0023】
画像形成部30では、回転駆動する感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット40により露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部56内のトナーは、供給ローラ54を介して現像ローラ53に供給され、現像ローラ53と層厚規制ブレード55との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ53上に担持される。
【0024】
そして、現像ローラ53上に担持されたトナーが感光体ドラム51に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、給紙部20から供給された用紙Sが、感光体ドラム51と搬送ベルト73(転写ローラ74)の間を搬送されることで、各感光体ドラム51上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0025】
排紙部90は、定着ユニット80から搬出された用紙Sを案内するための排紙経路91と、用紙Sを搬送する複数の搬送ローラ92とを主に備えている。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ92によって排紙経路91を搬送され、本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ13上に載置される。
【0026】
<カラープリンタの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分に係るカラープリンタ1の詳細な構成について説明する。
図3に示すように、カラープリンタ1は、メイン基板100と、操作パネル制御基板130と、モータ制御基板140と、モータMとを備えている。
【0027】
メイン基板100は、画像データ処理部110と、露光装置制御部の一例としてのLED制御部120とが形成された回路基板(プリント基板)である。言い換えると、本実施形態においては、画像データ処理部110が形成された回路基板とLED制御部120が形成された回路基板が、1つの回路基板(メイン基板100)として形成されている。
【0028】
このメイン基板100(画像データ処理部110が形成された回路基板とLED制御部120が形成された回路基板)は、アッパーカバー11の上面(排紙トレイ13)と下面(保持部14)との間の空間、すなわち、アッパーカバー11内に配置されており、アッパーカバー11に固定されている。
【0029】
画像データ処理部110は、主にパーソナルコンピュータ(パソコン)などの外部装置から入力された画像データを記憶処理する機能部である。より具体的に、画像データ処理部110は、外部装置から入力された、圧縮された画像データを記憶して展開(解凍)し、この画像データをカラープリンタ1で扱える形式の画像データ(例えば、ビットマップ(画素)のデータなど)に変換する処理を実行する。その後、画像データ処理部110は、処理後の画像データをLED制御部120に出力する。
【0030】
また、画像データ処理部110は、外部装置から、画像データとともに入力された画像形成の指示に基づくモータMの駆動タイミングの情報(信号)をモータ制御基板140に出力し、モータ制御基板140を介して、用紙搬送系(用紙供給機構22や搬送ローラ92など)や画像形成部30を制御する。
【0031】
画像データ処理部110は、上記したような処理を実行するため、演算処理を実行するCPUや、各種プログラムや設定値などが記憶されたROM、画像データなどを記憶するRAMなどを有している(いずれも図示省略)。また、画像データ処理部110(メイン基板100)は、メモリ装着部の一例としてのメモリソケット111と、外部装置から画像データなどを受け取るインターフェースとしてのコネクタ112を有している。
【0032】
メモリソケット111は、例えば、DIMMやSIMMなどの増設メモリ(図示省略)の追加や交換などができるように、増設メモリが着脱可能に装着されるソケットであり、メイン基板100(画像データ処理部110が形成された回路基板)に設けられている。このメモリソケット111は、メイン基板100に形成された配線T2により画像データ処理部110に接続されている。
【0033】
ここで、図4(a)に示すように、アッパーカバー11の上面(排紙トレイ13)のうちメモリソケット111の上側に相当する部分には、板状部材の一例としての排紙ストッパ15と、開閉部材の一例としての内カバー16が設けられている。
【0034】
排紙ストッパ15は、画像が形成されて本体筐体10から排出された用紙Sの排出方向における下流側(前側)を中心としてアッパーカバー11に対し回動可能に構成されている。そして、排紙ストッパ15は、図4(a)に示す、用紙Sが載置される載置面(排紙トレイ13の上面)と略面一となる収納位置と、図4(b)に示す、収納位置から所定の角度をなす位置まで回動した使用位置との間で変位可能となっている。
【0035】
この排紙ストッパ15は、図4(b)に示すように、使用位置にあるときには、本体筐体10内から排出される用紙S(図4では図示省略)の先端(前端)が当接することで、用紙Sの先端を規制する。これにより、複数の用紙Sの先端を揃えたり、排紙トレイ13からの用紙Sの脱落を抑制したりすることが可能となっている。
【0036】
内カバー16は、図4(a)に示すように、収納位置にある排紙ストッパ15の内側(下)に設けられており、図4(c)に示すように、排紙ストッパ15が使用位置にあるとき、排紙ストッパ15とは逆に、用紙Sの排出方向における上流側(後側)を中心としてアッパーカバー11に対し回動可能(開閉可能)に構成されている。
【0037】
この内カバー16は、図4(a)に示すように、収納位置にある排紙ストッパ15によって覆い隠され、図4(b)に示すように、排紙ストッパ15を使用位置に回動させることで外部に露出するようになっている。さらに、内カバー16は、図4(c)に示すように、開いたときに、メイン基板100のメモリソケット111を露出させる。
【0038】
このようなアッパーカバー11の構成により、本実施形態においては、ユーザは、カラープリンタ1の前側から容易に増設メモリ(DIMMやSIMMなど)を追加したり、交換したりすることができるようになっている。また、内カバー16を設けたことにより、排紙ストッパ15の使用時においても、アッパーカバー11内に塵埃などが侵入することを抑制することができるようになっている。
【0039】
図3に戻り、コネクタ112は、画像データ処理部110に印字ジョブ(画像形成の指示や画像データなど)を入力する外部装置が接続される雌型のコネクタであり、メイン基板100(画像データ処理部110が形成された回路基板)に設けられている(固定されている)。このコネクタ112は、メイン基板100に形成された配線T3により画像データ処理部110に接続されている。なお、図3では、配線T3を図示するために、便宜上、メイン基板100の上を通る破線で示している。
【0040】
図1に示すように、コネクタ112は、コネクタ面(後面)を外部に露出させた状態で設けられており、雄型コネクタC1およびケーブルC2を介してパソコンなどの外部装置(図示省略)に接続される。このようなコネクタ112の具体例としては、USBコネクタやLANコネクタ、パラレルコネクタなどを挙げることができる。
【0041】
本実施形態において、コネクタ112は、コネクタ面を後方に向けるように設けられており、コネクタ112に接続されたケーブルC2がアッパーカバー11の後端面11Aから後側に引き出されるように接続されている。
【0042】
回動軸12が設けられたアッパーカバー11の後側は、前側と比較して、アッパーカバー11を開いたときに大きく変位しないので、アッパーカバー11の後部からケーブルC2を引き出すことで、アッパーカバー11を開いたときのケーブルC2の変位を小さくすることができる。これにより、アッパーカバー11の開閉時に、ケーブルC2(雄型コネクタC1)がコネクタ112から抜けてしまうことを抑制することができる。
【0043】
図3に示すように、アッパーカバー11は、外部記憶媒体接続部の一例としてのUSBコネクタ113を有している。USBコネクタ113は、外部記憶装置の一例としてのUSBメモリ(図示省略)が接続される雌型のコネクタであり、アッパーカバー11の前側(前面)に設けられ、配線H1により画像データ処理部110に接続されている。本実施形態のカラープリンタ1は、USBコネクタ113にUSBメモリが接続されることで、USBメモリに保存された画像データに基づいて画像形成を実行することができるように構成されている。
【0044】
このように、アッパーカバー11がUSBコネクタを有することで、USBコネクタ113を本体筐体10に設けた場合よりも、ユーザは自然な姿勢でUSBメモリの装着や取り外しを行うことが可能となる。また、本実施形態では、画像データの処理を行う画像データ処理部110が形成された回路基板(メイン基板100)がアッパーカバー11に固定されているので、従来の構成(画像データ処理部が形成された回路基板が本体筐体に固定された構成)と比較して、画像データ処理部110とUSBコネクタ113を接続する配線H1を短くすることができる。
【0045】
LED制御部120は、画像データ処理部110で処理された画像データに基づいて各LEDユニット40(ヘッド部41)に信号を出力し、発光部(LED)の明滅を制御する機能部である。このLED制御部120と画像データ処理部110は、メイン基板100に形成された配線T1により互いに接続されている。
【0046】
操作パネル制御基板130は、ユーザの操作を受け付ける操作パネル制御部(図示省略)が形成された回路基板であり、アッパーカバー11内の前側に固定されている。この操作パネル制御基板130には、図1に示すように、複数の操作ボタン131(図1では1つのみ図示)と、液晶パネル132とが主に設けられている。操作ボタン131は、その上部がアッパーカバー11の前面パネル11Bから突出しており、ユーザによる操作を受け付け可能となっている。また、液晶パネル132は、アッパーカバー11の前面パネル11Bに設けられた窓部11Cから視認可能となっている。
【0047】
図3に示すように、操作パネル制御基板130(操作パネル制御部)は、配線H2により画像データ処理部110に接続されており、ユーザが操作ボタン131を操作して入力した指示を画像データ処理部110に出力する。また、操作パネル制御基板130(操作パネル制御部)は、操作内容やカラープリンタ1の状態などの情報を液晶パネル132に表示する。
【0048】
本実施形態では、メイン基板100(画像データ処理部110が形成された回路基板)がアッパーカバー11に固定されているので、従来の構成(画像データ処理部が形成された回路基板が本体筐体に固定された構成)と比較して、画像データ処理部110と操作パネル制御部を接続する配線H2を短くすることができる。
【0049】
モータMは、本体筐体10内の適宜な位置に設けられ、カラープリンタ1の用紙搬送系(用紙供給機構22、搬送ローラ92など)や画像形成部30(感光体ドラム51、現像ローラ53、供給ローラ54、転写ローラ74、加圧ローラ82など)を駆動する。
【0050】
モータ制御基板140は、モータMの駆動を制御するモータ制御部(図示省略)が形成された回路基板であり、本実施形態においては、本体筐体10内の後部左側において鉛直に立てられた状態で固定されている。このモータ制御基板140(モータ制御部)は、配線H3により画像データ処理部110に接続されており、画像データ処理部110から出力されたモータMの駆動タイミングの情報などに基づいて、モータMのON・OFFや回転速度、回転方向などを制御することで、用紙搬送系や画像形成部30の駆動を制御する。
【0051】
本実施形態においては、モータ制御基板140(モータ制御部が形成された回路基板)が、モータMが設けられた本体筐体10に固定されていることで、モータMとモータ制御部を接続する配線H4を短くすることができるとともに、本体筐体10内の配線構造を簡略化することができる。
【0052】
以上説明した本実施形態のカラープリンタ1によれば、画像データ処理部110が形成された回路基板とLED制御部120が形成された回路基板がともにアッパーカバー11に固定されているので、画像データ処理部110とLED制御部120を近づけて配置することができる。これにより、画像データ処理部110とLED制御部120を接続する配線T1を短くすることができるので、画像データ処理部110とLED制御部120を接続する配線T1にノイズが入ることによって生じうる画像品質の低下を抑制することが可能となる。
【0053】
特に、本実施形態では、画像データ処理部110が形成された回路基板とLED制御部120が形成された回路基板が、1つの回路基板(メイン基板100)として形成されているので、画像データ処理部110とLED制御部120を最小距離で配置することが可能となり、配線T1を最短とすることができる。その結果、ノイズが入ることによって生じうる画像品質の低下をより確実に抑制することができるようになっている。
【0054】
また、本体筐体10の上部に設けられたアッパーカバー11に画像データ処理部110が配置されることで、アッパーカバー11の上面に内カバー16を設け、内カバー16を開くことで、画像データ処理部110のインターフェースであるメモリソケット111を露出させる構成、すなわち、メモリソケット111にアクセスしやすい構成(増設メモリを追加したり、交換したりしやすい構成)を実現することが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態では、内カバー16が収納位置にある排紙ストッパ15の下に設けられているので、内カバー16(開閉部材)と排紙ストッパ15が別に設けられた構成と比較して、アッパーカバー11の表面の切れ目(隙間)が少なくなる。これにより、カラープリンタ1の美観を高めることができる。
【0056】
操作パネル制御基板130がアッパーカバー11に固定されているので、画像データ処理部110と操作パネル制御部を接続する配線H2を短くすることができる。また、アッパーカバー11がUSBコネクタ113を有するので、画像データ処理部110とUSBコネクタ113を接続する配線H1を短くすることができる。さらに、コネクタ112がメイン基板100に設けられているので、画像データ処理部110とコネクタ112を接続する配線T3を短くすることができる。
【0057】
これらによれば、装置全体(本体筐体10およびアッパーカバー11)について配線を配置するためのスペースを小さくできるので、他の部材の配置の自由度を高めたり、装置の小型化を図ったりすることが可能となる。
【0058】
また、コネクタ112がメイン基板100に設けられていることで、アッパーカバー11に対して、コネクタ112をメイン基板100とともに取り付けることができるので、画像形成装置の組立工程を簡略化することができる。
【0059】
なお、カラープリンタ1は、露光装置としてのLEDユニット40が、感光体ドラム51にそれぞれ対向して配置される複数のヘッド部41を有しているので、露光装置として、例えば、プロセスユニット50の上方に配置される1つのレーザスキャナ(レーザ光を感光体の表面で高速走査することにより感光体を露光する露光装置)を備える構成と比較して、LED制御部120(露光装置制御部)とヘッド部41(露光装置)を接続する配線H5の数が多くなる。
【0060】
そのため、1つのレーザスキャナを備える構成と比較してノイズの影響を受けやすくなるが、本実施形態においては、画像データ処理部110とLED制御部120を接続する配線T1を短くできることで、装置全体としてノイズの影響を抑制することができるようになっている。すなわち、本発明は、露光装置が感光体ドラム51にそれぞれ対向して配置される複数のヘッド部41(露光ヘッド)を有する構成において特に有効である。
【0061】
また、本実施形態では、LED制御部120が形成された基板(メイン基板100)が、LEDユニット40(ヘッド部41)が設けられたアッパーカバー11に固定されているので、LED制御部120とヘッド部41を接続する配線H5を短くすることができる。これにより、LED制御部120とヘッド部41を接続する配線H5へのノイズの影響を低減することが可能となる。
【0062】
ちなみに、念のために述べておくと、カラープリンタ1においては、画像データ処理部110が形成された基板(メイン基板100)がアッパーカバー11に固定され、モータ制御基板140が本体筐体10に固定されているので、画像データ処理部110とモータ制御基板140(モータ制御部)を接続する配線H3は長くなる。しかしながら、この配線H3にノイズが入ったとしても、その影響は、画像データ処理部110とLED制御部120を接続する配線T1や、LED制御部120とヘッド部41を接続する配線H5と比べると、無視できるほど小さいので、画像品質の低下はほとんど問題とはならない。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0064】
前記実施形態では、画像データ処理部110が形成された回路基板とLED制御部120(露光装置制御部)が形成された回路基板が1つの回路基板(メイン基板100)として形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像データ処理部が形成された回路基板(メイン基板)と、露光装置制御部が形成された回路基板(露光装置制御基板)とは別に設けられていてもよい。
【0065】
前記実施形態では、板状部材として、本体筐体10内から排出される用紙Sの先端を規制する排紙ストッパ15を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、板状部材として、図4(b),(c)において鎖線で示すように、収納位置(図4(a)参照)から使用位置への回動角度が排紙ストッパ15よりも大きい、延長トレイ(符号省略)を採用してもよい。延長トレイは、使用位置にあるときには、排出方向に長い用紙Sが排紙トレイ13から脱落しないように、用紙Sの先端側を下から支持する。
【0066】
前記実施形態では、内カバー16(開閉部材)が収納位置にある板状部材(前記実施形態の排紙ストッパ15や上記した延長トレイ)の下に設けられ、板状部材を使用位置に回動させることで外部に露出するように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、開閉部材は、カバーの上面などにおいて、外部に直接露出するように設けられていてもよい。
【0067】
前記実施形態では、内カバー16(開閉部材)が後側を中心としてアッパーカバー11(カバー)に対し回動することで開閉可能に構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、開閉部材は、カバーに対しスライド移動することで開閉可能に構成されていてもよい。
【0068】
前記実施形態では、外部記憶媒体としてUSBメモリを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、スマートメディア(登録商標)やコンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、SDメモリーカード(登録商標)、ハードディスク装置などであってもよい。なお、外部記憶媒体接続部は、外部記憶媒体の種類に応じて適切なものを採用すればよい。また、同種、異種を問わず、複数の外部記憶媒体が接続できるように、1台の画像形成装置が複数の外部記憶媒体接続部を有していてもよい。
【0069】
前記実施形態では、USBコネクタ113(外部記憶媒体接続部)がメイン基板100(画像データ処理部110が形成された回路基板)とは別に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、外部記憶媒体接続部は、画像データ処理部が形成された回路基板に設けられていてもよい(固定されていてもよい)。
【0070】
前記実施形態では、増設メモリとしてDIMMやSIMMなどを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明において、増設メモリは、DIMMやSIMMなどと同様に、画像データ処理部が形成された回路基板に対して追加・交換可能であり、いわゆる主記憶装置として利用することができる記憶媒体(メモリ)であれば、その種類は特に問わない。なお、メモリ装着部は、増設メモリの種類に応じて適切なものを採用すればよい。
【0071】
前記実施形態では、コネクタ112がメイン基板100(画像データ処理部110が形成された回路基板)に設けられていた(固定されていた)が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コネクタは、画像データ処理部が形成された回路基板とは別に設けられていてもよい。
【0072】
なお、前記実施形態では、外部装置から画像データを受け取るインターフェースの一例としてLANを挙げたが、本発明において、LANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。
【0073】
前記実施形態では、操作パネル制御部が形成された回路基板(操作パネル制御基板130)として、複数の操作ボタン131と液晶パネル132が設けられたものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、操作パネル制御基板は、複数の操作ボタンと液晶パネルの代わりに、タッチパネルが設けられたものであってもよい。また、操作パネル制御部が形成された回路基板は、当該回路基板とは別に設けられた、操作ボタンと液晶パネルを有する操作用基板や、タッチパネルを有する操作用基板などに接続され、これらの操作用基板を制御する基板であってもよい。
【0074】
前記実施形態では、操作パネル制御部が、画像データ処理部110が形成された回路基板とは別に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、画像データ処理部と操作パネル制御部が1つの回路基板に形成されていてもよい。言い換えると、本発明において、画像データ処理部が形成された回路基板は、ユーザの操作を受け付ける機能部を有していてもよい。
【0075】
前記実施形態では、メイン基板100と操作パネル制御基板130がアッパーカバー11(カバー)に固定され、モータ制御基板140が本体筐体10に固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、すべての回路基板がカバーに固定されていてもよい。
【0076】
前記実施形態では、モータ制御部が、画像データ処理部110が形成された回路基板とは別に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、画像データ処理部とモータ制御部が1つの回路基板に形成されていてもよい。言い換えると、本発明において、画像データ処理部が形成された回路基板は、モータの駆動を制御する機能部を有していてもよい。
【0077】
前記実施形態では、露光装置としてLEDユニット40を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ヘッド部41(露光ヘッド)は、発光部として、LEDの代わりに、EL素子や蛍光体などを備えていてもよい。また、露光ヘッドは、蛍光灯やLEDなどのバックライトの出射側に、液晶素子やPLZT素子などの光学シャッタが配列された構成であってもよい。さらに、露光装置は、露光ヘッドを有するものに限定されず、例えば、レーザスキャナなどであってもよい。
【0078】
前記実施形態では、アッパーカバー11(カバー)が、回動軸12を中心として本体筐体10に対して回動可能(開閉可能)に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カバーは、上下に平行移動することで、本体筐体の開口を開閉するように構成されていてもよい。
【0079】
前記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ1(プリンタ)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。なお、原稿読取装置を備える場合、画像データ処理部が形成された回路基板は、原稿読取装置を制御する機能部を有していてもよい。
【0080】
前記実施形態では、記録シートとして、いわゆる普通紙や厚紙などの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 カラープリンタ
10 本体筐体
10A 開口
11 アッパーカバー
13 排紙トレイ
15 排紙ストッパ
16 内カバー
40 LEDユニット
41 ヘッド部
51 感光体ドラム
100 メイン基板
110 画像データ処理部
111 メモリソケット
112 コネクタ
113 USBコネクタ
120 LED制御部
130 操作パネル制御基板
140 モータ制御基板
M モータ
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置された複数の感光体を支持し、上面に開口が形成された本体筐体と、
前記本体筐体の上部に設けられ、前記開口を開閉するカバーと、
前記カバーに設けられ、複数の前記感光体を露光する露光装置と、
入力された画像データを記憶処理する画像データ処理部と、
前記画像データ処理部で処理された画像データに基づいて前記露光装置を制御する露光装置制御部と、を備え、
前記画像データ処理部が形成された回路基板と前記露光装置制御部が形成された回路基板は、前記カバーに固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記露光装置は、前記カバーを閉じたときに前記感光体にそれぞれ対向して配置される複数の露光ヘッドを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像データ処理部が形成された回路基板には、増設メモリが着脱可能に装着されるメモリ装着部が設けられ、
前記カバーの上面には、開閉可能に構成され、開いたときに前記メモリ装着部を露出させる開閉部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カバーの上面には、画像が形成されて前記本体筐体から排出された記録シートが載置される載置面と略面一となる収納位置と、当該収納位置から所定の角度をなす位置まで回動した使用位置との間で変位可能な板状部材が設けられており、
前記開閉部材は、収納位置にある前記板状部材の下に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記本体筐体に設けられ、前記感光体を駆動するモータと、
前記モータの駆動を制御するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部が形成された回路基板は、前記本体筐体に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ユーザの操作を受け付ける操作パネル制御部を備え、
前記操作パネル制御部が形成された回路基板は、前記カバーに固定されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カバーは、外部記憶媒体が接続される外部記憶媒体接続部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像データ処理部が形成された回路基板と前記露光装置制御部が形成された回路基板は、1つの回路基板として形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像データ処理部に画像形成の指示を入力する外部装置が接続されるコネクタを備え、
前記コネクタは、前記画像データ処理部が形成された回路基板に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−121198(P2012−121198A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272953(P2010−272953)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】