説明

画像形成装置

【課題】印刷用紙の種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置100は、印刷用紙の搬送経路Rに配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段24と、記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段27と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段23と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段28を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機、スキャナ及びそれらの複合機からなり、さらには大容量給紙装置や用紙後処理装置などの周辺機器も含む画像形成装置に関し、特に、搬送経路における印刷用紙の搬送(給紙部の給紙も含む)品質判断制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に画像形成装置では、普通紙や樹脂シートなどの印刷用紙の搬送経路に設置されている検知手段となるタイミングセンサで検知される実印刷用紙到達時間tと、機械制御のために予め設定された設定時間Tとを比較して搬送品質を判断し、搬送不良の場合、機械停止制御を行い、かつ表示部への印刷用紙停止位置などの表示を行うようになっている。
【0003】
図12は従来例の用紙搬送制御のタイミングチャート、図13は従来例の用紙搬送制御のフローチャートである。ここでTは事前設定時間であり、TKはスタートから給紙センサ到達までの設定時間、TMはスタートから中間フィードセンサ到達までの設定時間、TRはスタートからレジストセンサ到達までの設定時間、Trはスタートからレジストローラ回転開始までの設定時間、THはスタートから排紙センサ到達までの設定時間をそれぞれ示す。また、tはTに対応する実際の所要時間(測定値)を表す。
【0004】
図13において、給紙センサが所要時間tK(給紙センサまでの所要時間;以下同様)を検知し(ステップS1)、tK<TKならば(ステップS2でY)、設定時間TK内に印刷用紙が通過したものとして次のステップS3に進む。また、tK<TKでなければ(ステップS2でN)、不給紙(搬送不良;ジャム)と判断して(ステップS4)、機械を停止させる。
【0005】
同様に中間フィードセンサが所要時間tMを検知し(ステップS3)、tM<TMを判断する(ステップS5)。そして上記と同様にして実搬送時間tMが所定時間TM内であればステップS6に進み、そうでなければ不給紙となる(ステップS7)。ステップS6では、レジストセンサで所要時間tRを検知し、tR<TRを判断する(ステップS8)。そして実搬送時間tRが所定時間TR内であればステップS9に進み、そうでなければ不給紙となる(ステップS10)。ステップS9でも同様にして前排紙センサで実搬送時間tHを検知し、tH<THを判断する(ステップS11)。そして実搬送時間tHが所定時間TH内であれば次のステップに進み、そうでなければ不給紙となる(ステップS12)。
【0006】
また、搬送ユニット(給紙コロユニット、中間フィードコロユニット、レジストローラユニット等)が経時劣化することにより、搬送性能も劣化する。例えば、給紙コロユニットを例にとってその経時劣化について説明する。
【0007】
給紙コロユニットは、給紙コロと給紙開始及び停止信号を受けて駆動機構からの回転をオン、オフする電磁クラッチより構成されているが、給紙コロは摩耗によってその外径が減少して、印刷用紙の搬送速度が遅れ気味になり、電磁クラッチはクラッチ伝達摺動面の摩擦抵抗値の低下による切り替え時間が延長気味(遅れ気味)になる。この二つの現象が相まって給紙コロユニットの経時劣化が生じる。なお、電磁クラッチの代わりに、ステッピングモータなど搬送コロを直接駆動する方式のものでは、搬送遅れ(ユニットの劣化)は、ほぼ、給紙コロの摩耗によるものに原因が絞られる。
【0008】
この経時劣化により、給紙コロユニットにおける印刷用紙の搬送時間(所要時間)tKが経時的に大きくなり(遅くなり)、搬送性能の劣化を引き起こす。そして事前に設定した設定時間TKを超えるようになると、不給紙(ジャム)と判断し機械を停止させる。
【0009】
上述したように従来は、印刷用紙が搬送不良(図13の不給紙)にあって初めて搬送性能の劣化が検知されるので、突然に機械が停止してしまうため、ユーザの業務に支障をきたすという問題がある。また、サービス区への搬送ユニット交換コールも突然のものとなり、直ちに対処できない場合がある。
【0010】
こうした問題を解決するために、特許文献1では実印刷用紙到達時間tと、機械制御のために予め設定された設定時間Tとを比較して搬送品質を判断し、搬送不良の場合、機械停止制御を行い、かつ表示部への印刷用紙停止位置などの表示を行う画像形成装置において、設定時間Tに対して微小時間ΔTだけ減じた劣化判定用設定時間T’と、実印刷用紙到達時間tとを比較する比較判定手段と、この比較判定を所定回数(N)分行って、t>T’となる回数(n)をカウントし、該回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えた場合に警告情報を表示部に表示し、あるいは電話回線などを利用した遠隔診断システムに伝える制御手段とを備えた画像形成装置を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来構成では、劣化判定用設定時間T’はユーザが自由に決めることになっているが、実際には劣化判定用設定時間T’を適切に決めるのは容易ではない。なぜなら劣化判定用設定時間T’は紙種毎に設定しなければならないからである。給紙ローラ劣化に対する搬送スピードの変化は一律ではなく印刷用紙の表面性や剛性などに依存する。したがって、同じ劣化度でも搬送スピードが著しく遅くなる紙種もあれば、ほとんど変化しない紙種もある。これを考慮せずに、劣化判定用設定時間T’を一定値にすると、大きく影響を受ける紙種については、ユニットの限界よりかなり早い段階で交換することになるので、無駄が発生し、影響を少ししか受けない紙種に関しては、劣化判定用設定時間T’よりも短い時点で故障に達してしまうので検知することが難しくなる。
【0012】
通過時間を計測する経路間にカーブがある場合、例えば、印刷用紙の紙厚さが薄いものと厚いものでは、搬送ローラへの巻き付き度合いが異なることから、通過経路も微妙に異なることがわかっている。厚さだけでなく、印刷用紙の表面状態や剛性によっても巻きつき度合いが異なるので、これらの違いによっても通過経路が異なる。この通過経路の違いは当然通過時間に影響を与えるので、印刷用紙によっては給紙コロが劣化した場合と同程度の通過時間になることがあり、このような場合、誤った警告が出てしまう。
【0013】
本発明の目的は、印刷用紙の種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定可能な画像形成装置及びそれを用いた画像形成管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段に、記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、ジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
本発明に係る画像形成装置において、装置の運転スタートから所定枚数までの実印刷用紙到達時間tの平均値から微小時間ΔTだけ加えたものを劣化判定用設定時間T’として設定することを特徴としている。このため、簡易な計算で劣化判定用設定時間T’を算出することができ、コスト低減につながる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置において、検知手段が用紙ジャム検知センサを兼ねていることを特徴としている。このため、新たなセンサを追加する必要がないので、コスト削減につながる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置において、装置で使用する紙種情報を指定するための紙種設定手段を有することを特徴としている。このため、ユーザの手入力により紙種を設定できる。
【0019】
本発明に係る、画像形成装置と、画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムでは、画像形成装置が、印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、少なくとも、記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと実印刷用紙到達時間tの情報を前記管理装置に向けて送信する情報送信手段を備え、管理装置が、画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、情報記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴としている。
【0020】
本発明に係る、画像形成装置と、画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムでは、画像形成装置が、印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段と、少なくとも、記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと劣化判定用設定時間T’の情報を管理装置に向けて送信する情報送信手段を備え、管理装置が、画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴としている。
【0021】
本発明に係る、画像形成装置と、画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムでは、画像形成装置が、印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、少なくとも記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと実印刷用紙到達時間tの情報を前記管理装置に向けて送信する情報送信手段と、ジャムが発生したことを示す情報を紙種情報と一緒に管理装置に向けて通知するためのジャム発生通知手段とを備え、管理装置が、画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、画像形成装置側から通知されたジャム発生通知を受信するジャム発生通知受信手段と、ジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴としている。
本発明に係る、画像形成装置と、画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムでは、画像形成装置が、印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、ジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段と、少なくとも記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと劣化判定用設定時間T’を管理装置に向けて送信する情報送信手段と、管理装置が、画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴としている。
【0022】
本発明に係る画像形成管理システムにおいて、画像形成装置の運転スタートから所定枚数までの実印刷用紙到達時間tの平均値から微小時間ΔTだけ加えたものを劣化判定用設定時間T’として設定することを特徴としている。
【0023】
本発明に係る画像形成管理システムにおいて、検知手段が用紙ジャム検知センサを兼ねていることを特徴としている。
【0024】
本発明に係る画像形成管理システムにおいて、画像形成装置で使用する紙種を指定するための紙種設定手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、算出手段で劣化判定用設定時間T’を算出する際に、記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tを用い、比較判定手段による実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’との比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えた場合に、劣化判定手段で劣化判定するので、従来構成に比べて紙種毎の実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、紙種毎の劣化判定用設定時間T’を算出することができる。このため、このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができる。
【0026】
本発明によれば、劣化判定用設定時間算出手段で劣化判定用設定時間T’を算出する際に、ジャム発生頻度が高くなったときの紙種毎の到達時間tを用い、比較判定手段による到達時間tと劣化判定用設定時間T’との比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えた場合に、劣化判定手段で劣化判定するので、従来構成に比べて紙種毎のジャム発生頻度が高くなった実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、搬送不良による装置停止の前に予め搬送ユニットの劣化状態を、紙種による到達時間のばらつきの弊害をうけずに把握することができる。このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができる。
【0027】
本発明によれば、画像形成装置と管理装置とがネットワークを介して通信可能に接続されている場合において、画像形成装置側ではなく、管理装置側にも記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段の少なくとも1つを備える構成とすることで、従来構成に比べて紙種毎の実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、紙種毎の劣化判定用設定時間T’を算出することができる。このため、このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができるとともに、リソースが必要な統計処理を管理装置側、あるいは画像形成装置と管理装置の双方で分担して行うことができる。
【0028】
本発明によれば、画像形成装置と管理装置とがネットワークを介して通信可能に接続されている場合において、画像形成装置側ではなく、管理装置側にも、ジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段と、実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段の少なくとも1つを備える構成とすることで、従来構成に比べて紙種毎のジャム発生頻度が高くなった実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、搬送不良による装置停止の前に予め搬送ユニットの劣化状態を、紙種による到達時間のばらつきの弊害をうけずに把握することができる。このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができるとともに、リソースが必要な統計処理を管理装置側、あるいは画像形成装置と管理装置の双方で分担して行うことができ、ネットワークにつながるすべての情報を用いて、より正確に劣化判定用設定時間T’を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る画像形成装置の用紙搬送系を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成管理システムの構成と制御系の関係を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の用紙搬送制御のタイミングチャートである。
【図4】本発明に係る画像形成装置の用紙搬送制御のフローチャートである。
【図5】画像形成装置が備える操作パネルの第1の表示例を示す図である。
【図6】画像形成装置が備える操作パネルの第2の表示例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る画像形成管理システムの構成と制御系の関係を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る画像形成管理システムの構成と制御系の関係を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る画像形成管理システムの構成と制御系の関係を示すブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る画像形成管理システムの構成と制御系の関係を示すブロック図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る画像形成管理システムの構成と制御系の関係を示すブロック図である。
【図12】従来の用紙搬送制御のタイミングチャートである。
【図13】従来の用紙搬送制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。図1は本発明に係る画像形成装置100の用紙搬送系を示す構成図である。給紙部となる給紙トレイ1から排紙部まで延びる搬送経路Rには、印刷用紙2の搬送方向上流側から順に、給紙コロ3、中間フィードコロ5、レジストローラ8、転写・分離ユニット10、定着ユニット11、前排紙ローラ13、後排紙ローラ15が設けられている。用紙搬送経路Rには、印刷用紙Pの実印刷用紙到達時間(以下「到達時間」と記す)tを検知するための給紙センサ4、中間フィードセンサ6、レジストセンサ7、前排紙センサ12、後排紙センサ14等の各種検知手段が各コロ、ローラ近傍に配置されている。用紙搬送経路Rを間において転写・分離ユニット10との対向部には、像担持体となる感光体、帯電手段、現像手段を備えた周知の作像部9が配置されている。
【0031】
次に画像形成装置100の用紙搬送動作を説明する。給紙開始信号を受けて、給紙コロ3が回転すると、給紙トレイ1に収納されている印刷用紙2は1枚だけ中間フィードコロ5に向かって分離、搬送される。給紙センサ4は印刷用紙2の先端が通過するとこれを検知してオフからオン状態となり、信号(0→1)を発する。
【0032】
中間フィードコロ5を通過した印刷用紙2は、中間フィードセンサ6とレジストセンサ7により到達時間tが検知される。画像形成装置100は、レジストセンサ7の用紙先端検知により中間フィードコロ5を停止させる。停止タイミングは、通常、停止しているレジストローラ8へ印刷用紙2の先端が少し突き当たって止まるタイミングに設定するのが普通である。
【0033】
レジストされた印刷用紙2は、レジストローラ回転開始信号を受けて回転し始めたレジストローラ8により再び搬送され、転写・分離ユニット10、定着ユニット11のプロセスを経て、前排紙ローラ13に導かれる。このとき、印刷用紙2は、前排紙センサ12により到達時間tが検知され、次いで後排紙ローラ15に到達し、後排紙センサ14で到達時間tが検知される。各センサで検知される到達時間tと実用紙到達時間となる設定時間Tの関係から、用紙搬送の良/不良を判断する制御は、従来の前述した図13に示すフローチャートの通りである。
(第1の実施形態)
本形態では従来の制御を基に、後述する図4に示すフローチャートに示すように新たな処理ステップA,B,Cを付加している。図2は本発明の画像形成装置100と管理装置となる遠隔診断システム270を備えた画像形成管理システム200の構成と制御系の関係を示すブロック図である。この制御系は、司令部となる制御部21を中心に、タイミングセンサ22、比較判定手段23、メモリで構成された記憶手段24、タッチパネルなどのスイッチ機能と表示機能を備えた表示手段25を備えている。制御部21には、ネットワーク26を通じて遠隔診断システム270が接続されている。ネットワーク26としては、インターネット、電話回線、LANやWANなどが挙げられる。
【0034】
ここで、制御部21は全体の制御を司るものであり、周知のコンピュータで構成されている。タイミングセンサ22は、図1に示す各センサ4,6,7,12,14をここでは総称する。比較判定手段23は、後述する劣化判定用設定時間T’と到達時間tとを比較判定する。つまり、タイミングセンサ22は用紙ジャム検知センサも兼用することになる。記憶手段24は、タイミングセンサ22で検知される印刷用紙Pの通過タイミング(到達時間)tをデータログとして記憶する。この記憶は、設定枚数毎に自動的にあるいは随時(製造時、設置時、所定枚数使用時、メンテナンス時など)手動にて行われる。本形態において、記憶手段24には、予め紙種毎の設定時間T(実用紙到達時間)が記憶されている。
【0035】
本形態において、制御部21は、記憶手段24に記憶された紙種毎の設定時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段27と、比較判定手段23による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段28を備えている。
【0036】
本形態に係る画像形成管理システム200では、これら制御部21、タイミングセンサ22、比較判定手段23、記憶手段24、表示手段25、算出手段27及び劣化判定手段28が、画像形成装置100側に備えた形態としている。このため、画像形成装置100は、ネットワーク26を介して各種情報を遠隔診断システム270へ送信する情報送信手段29を備えている。また、遠隔診断システム270には、画像形成装置100から送信された情報を受信する情報受信手段271と、情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段274を備えている。
【0037】
本形態に係る画像形成管理システム200では、自己診断情報として適宜(メンテナンス時あるいはネットワーク26を利用した遠隔診断で)検索できるようになっている。表示手段25は、搬送不良に至る前の状態を警告情報として表示する。またこの警告情報は遠隔診断システム270にも伝えられる。
【0038】
図3は本形態における用紙搬送制御のタイミングチャート、図4は本形態における用紙搬送制御のフローチャートをそれぞれ示す。
【0039】
本形態では画像形成装置100の初期状態における、平均用紙通過時間Tから微小時間ΔTだけ減じた劣化判定時間T’を新たに設定している。例えば事前設定時間TKに対して、T’Kは、T’K=TK−ΔTKとなる。他も同様である。微小時間ΔTは、判定したユニットや部品の劣化傾向に応じて設定することができる。やや大きめに設定すれば、早くからの劣化が検知され、やや小さめに設定すれば、当該ユニット、部品のダウン直前の品質情報が得られることになる。
【0040】
ここで平均用紙通過時間Tとは、着荷直後の言わば初期状態の画像形成装置100における、到達時間tの紙種毎の平均値のことである。これは装置の運転スタートから所定枚数までの間に蓄積した到達時間tから各紙種毎に平均値を求めれば良い。紙種毎に平均値を算出するためには、画像形成装置100が紙種を認識する必要がある。そのためには、画像形成装置100が備える操作パネル(図2の表示手段25)に、給紙部に配置されるトレイ1に入れる紙種を指定し、紙種情報を設定する紙種情報設定手段20を設けてもよいし、あるいは特開2004−280004号公報あるいは特開平04−345447号公報に示されるセンサなどの検知手段で、自動的に紙種を検知して、検知した紙種情報を設定するようにしてもよい。この場合、検知手段が紙種情報設定手段となる。
【0041】
以下、図4のフローチャートの内容を説明する。ステップS1からステップS12に示す内容は、図13に示す従来例のフローチャートと同じであるので、説明は省略する。本形態では、ユニットの劣化情報を得るために、劣化判定/警告フローを、給紙コロユニット、中間フィードコロユニット、レジストローラユニットに対応して3個所(A,B,C)に設けている。各ユニットの構成、動作は同じであるので、給紙コロユニットを例にとって説明する。この判定は比較判定手段23によって行なわれる。
【0042】
給紙センサ4によって検知、測定された印刷用紙2の先端到達時間tK情報は、従来のフローであるジャム判定フローと共に、新たに設定された劣化判定/警告フローAにも同時にインプットされる。
【0043】
この劣化判定/警告フローAの内容を説明する。図4のステップA−1では、先端到達時間tKとT’Kを所定回数N(回)比較判定する。つまり、tKとT’KをN(回)測定し、それぞれ比較判定する。そして、tK≧T’Kが成立した回数n(回)をカウントする。そしてステップA−2において、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えないn>m場合にはステップA−3に進んでカウンタはリセットされ、これを繰り返し、n>mの場合にはステップA−4に進んでアウトプットとして警告を表示する。
【0044】
この警告の表示方法は、
(1)画像形成装置の操作パネル31(図2の表示手段25)に表示する(ユーザにも判るようにする)。
【0045】
(2)サービス区のサービスマンが訪問時に自己診断機能を用いて操作パネルに表示する(ユーザには判らないようにする)。
【0046】
(3)ネットワーク26などを利用して遠隔診断システム270により遠隔診断システム270側のモニターに表示する。
【0047】
など、適宜選択することができる。この警告情報により、サービス区は当該画像形成装置100の品質状態を容易、かつ正確に把握することができる。
【0048】
図5は操作パネル31の第1の表示例を、図6は操作パネル31の第2の表示例をそれぞれ示す図である。図5の例では、操作パネル(図2の表示手段25に相当)31の画面には、マシンNo.、累積枚数、日付の各情報と共に、交換ユニット名の後にマーキング部32が設けられている。この場合、レジストローラユニットのところに黒丸のマーキングが施されており、一目でレジストローラ8が寿命要注意ユニットであることが判る。
【0049】
図6の例では、マーキングの代わりに経時劣化グラフと、ユニット名及び余命枚数が表示されている。TKは給紙開始から印刷用紙2の先端が給紙センサ4に到達するまでの事前設定時間であり、tKはその実測時間である。本形態において、TKは紙種毎にそれぞれ記憶手段24に設定されている。tKの測定データは予め設定された枚数に達すると自動的に記録される。例えば、50K枚毎とか100K枚毎などである。
【0050】
ここで品質情報を検索するためにグラフを表示させると、図6に示すように、N−tK(枚数−搬送時間)グラフ33に、100K枚毎の実測点×とそれを結んだ実測カーブ(実線)と共に、それを延長した予測カーブ(破線)が表示される。該予測カーブ(破線)と事前設定時間TKとの交点Mx(K枚)がこの交換ユニットの予測寿命枚数であり、検索時の累積枚数をNoとすると、余命枚数Nxは、Nx=Mx−Noで求められる。
【0051】
この算出は予め組み込んだプログラムによって自動的に行われ、操作パネル31には余命枚数が何枚と表示されるので、一目で認識することができる。なお、図5、図6における操作パネル31の代わりに遠隔診断システム270のCRT画面を利用してもよい。
【0052】
このように、本形態によると、算出手段27で劣化判定用設定時間T’を算出する際に、記憶手段24に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tを用い、比較判定手段23による実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’との比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えた場合に、劣化判定手段28で劣化判定するので、従来構成に比べて紙種毎の実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、紙種毎に対応した劣化判定用設定時間T’を算出することができる。このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができる。
(第2の実施形態)
図7は、本形態に係る画像形成管理システム200Aを示す。本形態では、画像形成装置100側でのジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段27Aを備えている点が、第1の実施形態と違う部分である。これ以外の構成は、第1の実施形態と同様の構成と機能を備えているともに、同様の制御を行なう。つまり、本形態では紙種毎に搬送不良が多発しだす到達時間を劣化判定時間T’として新たに設定している。この劣化判定時間T’は、搬送不良が発生した直前の到達時間である。劣化判定時間T’としては直前の何回かの到達時間tの平均値でもよい。紙種毎に劣化判定時間T’を算出するためには画像形成装置100が紙種を認識する必要がある。そのため、本形態においても画像形成装置100が備える操作パネル(図7の表示手段25)に、給紙部に配置されるトレイ1に入れる紙種を指定し、紙種情報を設定する紙種情報設定手段20を設けている。紙種情報設定手段としては、特開2004−280004号公報あるいは特開平04−345447号公報に示されるセンサなどの検知手段を用いて、自動的に紙種を検知し、検知した紙種情報を画像形成装置100側に設定するようにしてもよい。
【0053】
本形態において、比較判定手段23は、劣化判定用設定時間算出手段27Aで算出した劣化判定用設定時間T’と到達時間tとを比較判定する。また、劣化判定手段28は、比較判定手段23による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する。なお、制御フローについては、図4と同一内容となるので、ここでは省略する。
【0054】
このように、本形態によると、劣化判定用設定時間算出手段27Aで劣化判定用設定時間T’を算出する際に、ジャム発生頻度が高くなったときの紙種毎の到達時間tを用い、比較判定手段23による到達時間tと劣化判定用設定時間T’との比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えた場合に、劣化判定手段28で劣化判定するので、従来構成に比べて紙種毎のジャム発生頻度が高くなった実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、搬送不良による装置停止の前に予め搬送ユニットの劣化状態を紙種による到達時間のばらつきの弊害をうけずに把握することができる。このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができる。
【0055】
上記形態では、劣化判定用設定時間T’の算出や、劣化判定用設定時間T’と到達時間tとの比較判定を画像形成装置100側で行なっていたが、これらの処理は、遠隔診断システム270で行なってもよい。
(第3の実施形態)
図8に示す画像形成管理システム200Bは、遠隔診断システム270が、第1の実施形態で用いた算出手段、比較判定手段、劣化判定手段と同一機能を備えた算出手段276、比較判定手段273、劣化判定手段275を備えている。
【0056】
本形態において、画像形成装置100は、タイミングセンサ22、記憶手段24、表示手段25を備えていて、情報送信手段29を介して到達時間tと、記憶手段24に記憶された紙種毎の設定時間T(実用紙到達時間)をそれぞれ遠隔診断システム270に送信する。
【0057】
遠隔診断システム270は、画像形成装置100から送信された情報を受信する情報受信手段271と、管理制御部272と、情報受信手段271により受信した情報を記憶する情報記憶手段274と、記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段276と、到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段273と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段275を備えている。管理制御部272は、画像形成装置100の制御部21と同一の制御機能を備えていて、図4に示すフローチャートの内容を実行するように構成されている。
【0058】
このように、遠隔診断システム270が比較判定手段273、劣化判定手段275、算出手段276、を備えていると、算出手段276で劣化判定用設定時間T’を算出する際に、情報記憶手段274に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tを用い、比較判定手段273による実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’との比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えた場合に、劣化判定手段275で劣化判定するので、従来構成に比べて紙種毎の実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、紙種毎に対応した劣化判定用設定時間T’を算出することができる。このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができるとともに、リソースが必要な統計処理を遠隔診断システム270で行うことができる。
(第4の実施形態)
図9に示す画像形成管理システム200Cでは、遠隔診断システム270が、第1の実施形態で用いた比較判定手段、劣化判定手段と同一機能を備えた比較判定手段273、劣化判定手段275を備えている。つまり、第3の実施形態に対して算出機能となる算出手段27は画像形成装置100側に残し、画像形成装置100側で算出した劣化判定用設定時間T’を、到達時間t及び記憶手段24に記憶された紙種毎の設定時間Tとともに情報受信手段271で受信し、受信した情報に基づいて、到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定手段273で比較判定し、劣化判定手段275で、比較判定手段273による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する。本形態においても、管理制御部272は、画像形成装置100の制御部21と同一の制御機能を備えていて、図4に示すフローチャートの内容を実行するように構成されている。
【0059】
このように、画像形成装置100と遠隔診断システム270の双方に、分割して制御機能を備えるようにしても、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができるとともに、画像形成装置100と遠隔診断システム270に対しする制御負担を低減することができるとともに、ネットワークにつながるすべての情報を用いて、より正確に劣化判定用設定時間T’を算出できる。
(第5の実施形態)
図10に示す画像形成管理システム200Dでは、遠隔診断システム270が、第2の実施形態で用いた劣化判定用設定時間算出手段、比較判定手段、劣化判定手段と同一機能を備えた劣化判定用設定時間算出手段276A、比較判定手段273、劣化判定手段275を備えている。
【0060】
この形態において、画像形成装置100は、タイミングセンサ22、記憶手段24、表示手段25を備えていて、情報送信手段29Aを介してジャムが発生したことを示す情報と、紙種情報と、到達時間tと、記憶手段24に記憶された紙種毎の設定時間T(実用紙到達時間)とがそれぞれ遠隔診断システム270に送信する。このため、情報送信手段29Aは、ジャム発生通知手段としても機能する。
【0061】
なお、ここでは、情報送信手段271Aとジャム発生通知手段と同一としたが、個別な構成であってもよい。
【0062】
遠隔診断システム270は、画像形成装置100から送信されたジャム情報を含む各種情報を受信する情報受信手段271Aと、管理制御部272と、情報受信手段271により受信した情報を記憶する情報記憶手段274と、記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段276Aと、到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段273と、比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段275を備えている。管理制御部272は、画像形成装置100の制御部21と同一の制御機能を備えていて、図4に示すフローチャートの内容を実行するように構成されている。本形態において、情報受信手段271Aは、ジャム発生通知を受信するジャム発生通知受信手段としても機能する。なお、ここでは、情報受信手段271Aとジャム発生通知受信手段と同一としたが、個別な構成であってもよい。
【0063】
このように、遠隔診断システム270が比較判定手段273、劣化判定手段275、劣化判定用設定時間算出手段276Aを備えていると、劣化判定用設定時間算出手段276Aで劣化判定用設定時間T’を算出する際に、ジャム発生頻度が高くなったときの紙種毎の到達時間tを用い、比較判定手段273による到達時間tと劣化判定用設定時間T’との比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えた場合に、劣化判定手段275で劣化判定するので、従来構成に比べて紙種毎のジャム発生頻度が高くなった実用紙到達時間Tが劣化鑑判定に用いられるため、搬送不良による装置停止の前に予め搬送ユニットの劣化状態を、紙種による到達時間のばらつきの弊害をうけずに把握することができる。このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができるとともに、リソースが必要な統計処理を遠隔診断システム270で行うことができる。
(第6の実施形態)
図11に示す画像形成管理システム200Eでは、遠隔診断システム270が、第2の実施形態で用いた比較判定手段、劣化判定手段と同一機能を備えた比較判定手段273、劣化判定手段275を備えている。つまり、第5の実施形態に対して算出機能となる劣化判定用設定時間算出手段27Aは画像形成装置100側に残し、画像形成装置100側で算出した劣化判定用設定時間T’を、到達時間t及び記憶手段24に記憶された紙種毎の設定時間Tとともに情報受信手段271A(ジャム発生通知受信手段)で受信し、受信した情報に基づいて、到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定手段273で比較判定し、劣化判定手段275で、比較判定手段273による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する。本形態においても、管理制御部272は、画像形成装置100の制御部21と同一の制御機能を備えていて、図4に示すフローチャートの内容を実行するように構成されている。
【0064】
このように、画像形成装置100と遠隔診断システム270の双方に、分割して制御機能を備えるようにしても、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができるとともに、画像形成装置100と遠隔診断システム270に対しする制御負担を低減することができるとともに、ネットワーク26につながるすべての情報を用いて、より正確に劣化判定用設定時間T’を算出できる。
【0065】
上記各形態において、劣化判定用設定時間T’は、装置の運転スタートから所定枚数までの到達時間tの平均値から微小時間ΔTだけ加えたものとして設定するので、簡易な計算で劣化判定用設定時間T’を算出することができ、コスト低減につながる。
【0066】
上記各形態において、タイミングセンサ22が用紙ジャム検知センサを兼ねているので、新たなセンサを追加する必要がなく、コスト削減につながる。
【0067】
上記各形態では、画像形成装置100で使用する紙種を指定するための紙種設定手段20を備えているので、ユーザの手入力により紙種を設定でき、ユーザの使用する紙種に対応した劣化判定用設定時間T’を算出することができる。このため、印刷用紙Pの種差、機差、トレイ差による速度ばらつきがある場合でも、より搬送ローラの劣化を検知して印刷用紙の遅れを適切に設定することができる。
【0068】
上述した各形態の内容は、画像形成装置のみならず、大容量給紙トレイ、ADF、用紙後処理装置、増設トレイ等、画像形成装置の周辺機器にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
2 印刷用紙
4,6,7,12,14 検知手段
20 紙種設定手段
23 比較判定手段
24 記憶手段
26 ネットワーク
27 算出手段
27A,276A 劣化判定用設定時間算出手段
28 劣化判定手段
29 情報送信手段
29A ジャム発生通知手段
200(A〜E) 画像形成管理システム
270 管理装置
271 情報受信手段
271A ジャム発生通知受信手段
273 比較判定手段
274 情報記憶手段
275 劣化判定手段
276 算出手段
R 搬送経路
t 実印刷用紙到達時間
T 紙種毎の実用紙到達時間
T’ 劣化判定用設定時間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2000−307786号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、
予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段と、
前記実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、
予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、
ジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段と、
前記実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
装置の運転スタートから所定枚数までの実印刷用紙到達時間tの平均値から微小時間ΔTだけ加えたものを劣化判定用設定時間T’として設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段が用紙ジャム検知センサを兼ねていることを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置で使用する紙種情報を指定するための紙種設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置と、前記画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムにおいて、
前記画像形成装置は、
前記印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、
予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、
少なくとも、前記記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと実印刷用紙到達時間tの情報を前記管理装置に向けて送信する情報送信手段を備え、
前記管理装置は、
前記画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段と、
前記実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする画像形成管理システム。
【請求項7】
画像形成装置と、前記画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムにおいて、
前記画像形成装置は、
前記印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、
予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された紙種毎の実用紙到達時間Tから劣化判定用設定時間T’を算出する算出手段と、
少なくとも、前記記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと劣化判定用設定時間T’の情報を前記管理装置に向けて送信する情報送信手段を備え、
前記管理装置は、
前記画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、
前記実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする画像形成管理システム。
【請求項8】
画像形成装置と、前記画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムにおいて、
前記画像形成装置は、
前記印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、
予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、
少なくとも前記記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと前記実印刷用紙到達時間tの情報を前記管理装置に向けて送信する情報送信手段と、
ジャムが発生したことを示す情報を紙種情報と一緒に前記管理装置に向けて通知するためのジャム発生通知手段とを備え、
前記管理装置は、
前記画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、
前記画像形成装置側から通知されたジャム発生通知を受信するジャム発生通知受信手段と、
ジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段と、
前記実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする画像形成管理システム。
【請求項9】
画像形成装置と、前記画像形成装置とネットワークを介して接続する管理装置をと備えた画像形成管理システムにおいて、
前記画像形成装置は、
前記印刷用紙の搬送経路に配設されていて、実印刷用紙到達時間tを検知する検知手段と、
予め紙種毎の実用紙到達時間Tが記憶された記憶手段と、
ジャム発生頻度が高くなったときの到達時間から紙種毎に劣化判定用設定時間T’を算出する劣化判定用設定時間算出手段と、
少なくとも前記記憶手段に記憶された実用紙到達時間Tと前記劣化判定用設定時間T’を前記管理装置に向けて送信する情報送信手段と、
前記管理装置は、
前記画像形成装置から送信された情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段により受信した情報を記憶する情報記憶手段と、
前記実印刷用紙到達時間tと劣化判定用設定時間T’とを比較判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段による比較判定を所定回数(N)分行って、t≧T’となる回数(n)をカウントし、t≧T’となる回数(n)が予め設定した判定回数(m)を超えたことによって劣化を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする画像形成管理システム。
【請求項10】
前記画像形成装置の運転スタートから所定枚数までの実印刷用紙到達時間tの平均値から微小時間ΔTだけ加えたものを劣化判定用設定時間T’として設定することを特徴とする請求項7記載の画像形成管理システム。
【請求項11】
前記検知手段が用紙ジャム検知センサを兼ねていることを特徴とする請求項7ないし10の何れか1つに記載の画像形成管理システム。
【請求項12】
前記画像形成装置で使用する紙種を指定するための紙種設定手段を有することを特徴とする請求項7ないし11の何れか1つに記載の画像形成管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−133021(P2012−133021A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283535(P2010−283535)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】