説明

画像形成装置

【課題】分離除電部材に紙粉やトナーが付着して汚れた際に、その汚れ状況を判別して的確にメンテナンスを可能とした画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム102と、感光体ドラムを帯電させる帯電ローラ103と、感光体ドラムに形成されたトナー像を記録媒体に転写するための転写ローラ105と、記録媒体を感光体ドラムから分離するための分離除電部材108と、帯電ローラに帯電電圧を印加した状態で電流検出手段によって検出される第1検知電流値と、転写ローラに転写電圧を印加した状態で電流検出手段によって検出した第2検知電流値に基づいて、前記分離除電部材に関する報知を行う制御手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成された現像剤像を記録媒体に転写した後、この記録媒体を像担持体から分離するための分離除電部材を備えた電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、像担持体と、像担持体を帯電する帯電手段と、像担持体上に静電像を形成する露光手段と、前記静電像を現像剤(トナー)により現像する現像装置と、前記現像装置によって前記像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段とを備えている。
【0003】
前記転写手段である転写ローラは、前記像担持体(感光体ドラム)に接触して配置され、この接触している領域で転写ニップを形成している。転写ローラにトナー像と逆極性の転写電圧を印加することで記録媒体上に感光体ドラム上のトナー像が転写される。しかしながら、転写後における記録媒体の極性に対して感光体ドラム表面の電位の極性が逆極性であるため、記録媒体が転写ローラと感光体ドラムが接触する転写ニップを通過した際に、静電的に記録媒体が感光体ドラム側に引き寄せられる場合がある。これにより、記録媒体が感光体ドラムに静電的に吸着し、記録媒体上の画像品質低下や記録媒体の搬送不良(ジャム)の問題が発生する。
【0004】
この問題を解決するために、従来から、記録媒体が転写ニップを通過した直後に、記録媒体を除電する分離除電部材を転写手段に近接する位置に設けることが提案されている。この分離除電部材に対しては、転写後における記録媒体の極性とは反対の極性である分離電圧が印加される。
【0005】
上記のような記録媒体を像担持体から分離する方法を採用する画像形成装置において、装置内が紙粉や飛散トナーで汚れたときの不具合の1つとして、前記分離除電部材の汚れがある。分離除電部材に紙粉やトナーが付着して汚れると電気抵抗が増加し、分離電圧が定電圧の場合、分離除電電流が低下する。これにより、分離除電部材の除電の効果が低下するため、記録媒体が感光体ドラムから分離しなくなり、記録媒体のジャムや画像品位低下が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載されている画像形成装置は、転写電圧を転写手段に印加し、転写手段から分離除電部材に放電によって流れ込む電流値を検出する。そして、この検出した電流値に応じて分離除電部材への分離電圧を制御することで、画像品質低下やジャム発生を軽減するようにした提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−241947
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、画像形成装置に使用される記録媒体は、さまざまな種類が流通しており、記録媒体搬送時に紙粉が多く発生する記録媒体もある。この紙粉が多い記録媒体を数多く使用する場合、画像形成装置の使用を開始してから早い段階で分離除電部材を覆うように分離除電部材周辺に紙粉が堆積していく。
【0009】
特許文献1に記載されている技術を用いると、分離除電部材の記録媒体搬送方向の上流側に位置する転写手段から分離除電部材への電流の流れ込む方向のみ堆積された紙粉等の汚れを検知することになる。よって、像担持体に対向して配置された分離除電部材の先端周辺で分離除電部材から像担持体の方向に堆積している紙粉等を検知することができないおそれがある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用によって分離除電部材に紙粉やトナーが付着して汚れた際に、その汚れ状況を判別して的確にメンテナンスを可能とした画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、像担持体と、前記像担持体を帯電させるために帯電電圧が印加される帯電手段と、前記像担持体に形成された静電像をトナーによって現像する現像手段と、前記現像手段によって像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写するために転写電圧が印加される、前記像担持体に対向して配置された転写手段と、転写後の記録媒体を前記像担持体から分離するためのに前記像担持体に対向して配置された分離除電部材と、前記分離除電部材に流れる分離電流を検出する電流検出手段と、前記帯電手段に前記帯電電圧を印加した状態で前記電流検出手段によって検出された前記分離電流の第1検知電流値と、前記転写手段に前記転写電圧を印加した状態で前記電流検出手段によって検出された前記分離電流の第2検知電流値とに基づいて、前記分離除電部材に関する報知を行う制御手段、を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、分離除電部材に流れる電流値によって分離除電部材の先端や周囲に紙粉やトナー等が付着した状態を検知することにより、分離除電部材のクリーニングや交換等のメンテナンスの時期を的確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の構成説明図である。
【図2】分離除電部材周辺の部分拡大断面図である。
【図3】分離除電部材における除電針を記録媒体搬送方向に直交する方向からみた図である。
【図4】分離除電部材の汚れ検知構成を示す第1実施形態で用いるブロック図である。
【図5】分離電流値の閾値テーブルの一例を示す表図である。
【図6】分離除電部材の交換報知手順を示すフローチャート図である。
【図7】分離除電部材をクリーニングするクリーニング手段の動作説明図である。
【図8】分離除電部材をクリーニングする前後の分離電流値の関係を表したグラフ図である。
【図9】第2実施形態に係るクリーニング部材の交換報知手順を示すフローチャートである。
【図10】分離除電部材の汚れ検知構成を示す第2実施形態で用いるブロック図である。
【図11】第2実施形態に係る分離除電部材のクリーニング動作手順を示すフローチャートである。
【図12】分離除電部材の汚れ検知構成を示す第3実施形態で用いるブロック図である。
【図13】第3実施形態に係る分離除電部材の汚れ検知手順を示すフローチャートである。
【図14】第3実施形態に係る分離電流値の閾値テーブルの一例を示す表図である。
【図15】第3実施形態に係るドラム−分離除電部材間における流れ込み電流の耐久推移である。
【図16】第3実施形態に係る転写−分離除電部材間における流れ込み電流の耐久推移である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
<画像形成装置の全体構成>
まず、図1を参照して第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。本実施形態の画像形成装置は、電子写真方式のレーザプリンタ101であり、像担持体としての感光体ドラム102が回転可能に設けられている。その感光体ドラム102の周囲には感光体ドラム102の回転方向aに沿って順に、帯電手段である帯電ローラ103、現像スリーブ111を有する現像装置104、転写手段である転写ローラ105、クリーニング装置106が配設されている。また、前記帯電ローラ103と現像装置104との間の上方位置には露光装置107が配設されている。さらに、前記感光体ドラム102と転写ローラ105との対向領域に形成される転写ニップ部における記録媒体の搬送方向の下流側には定着装置109が配設されている。
【0016】
次に、画像形成に関して説明する。前記感光体ドラム102は矢印a方向に所定の周速で回転駆動され、帯電ローラ103に印加される帯電電圧により一様に負極性の所定電位に帯電される。そして、帯電された感光体ドラム102上に露光装置107から画像信号に応じた走査露光Lが照射されて静電像が形成される。この静電像は、現像領域において負極性の現像電圧が印加された現像スリーブ111により、反転現像によって現像剤であるトナーが付着されて感光体ドラム上に静電像が顕像化される。
【0017】
一方、装置本体の下部のカセット116内にセットされた用紙やプラスチックシートなどの記録媒体Pは、ピックアップローラ117により給送され、レジストローラ対115まで搬送される。そして、感光体ドラム102上のトナー像が感光体ドラム102と転写ローラ105間の転写ニップ部に到達するタイミングに合わせて記録媒体Pがレジストローラ対115から転写ニップ部に搬送される。そして、転写手段である転写ローラ105に転写電圧電源208(図4参照)からトナーと逆極性(本例では正極性)の転写電圧が印加され、感光体ドラム102上のトナー像が記録媒体Pに転写される。
【0018】
なお、ジャムが発生して感光体ドラム102に当接している転写ローラ105にトナーが付着することがあり、付着したトナーを転写ローラ105から感光体ドラム102に戻すために転写電圧電源208から転写ローラ105にトナーと同極性(本例では負極性)の転写電圧を印加することが可能である。
【0019】
上記のようにしてトナー像を記録媒体Pに転写した後、分離除電部材108と記録媒体Pとの間の電位差により放電を生じさせることにより、正極性に帯電している記録媒体は除電される。その結果、記録媒体は感光体ドラム102から静電的に剥離して、記録媒体搬送方向cに沿って定着装置109へと搬送される。
【0020】
定着装置109に搬送された記録媒体Pは、加熱、加圧されてトナー像が熱定着された後、排出ローラ対119によって装置上部の排出部113に排出される。
【0021】
また、分離除電部材108は、後述するように金属製の薄板部材で構成された除電針108aと、これを保持する樹脂製の除電針ホルダ301とで構成されている(図2参照)。そして、記録媒体を感光体ドラム102に搬送する記録媒体搬送方向において、転写ローラ下流側に転写ローラに近接する位置(転写ローラ表面から分離除電針108aの先端までで最も近接する距離は2〜5mm程度であって、本実施形態では3mm)に分離除電部材108が配置されている。
【0022】
<分離除電部材の汚れ検知構成>
次に、トナー像が転写された記録媒体を感光体ドラム102から静電的に剥離するための分離除電部材の汚れ状態を検知することで、分離除電部材108による除電能力を判別する構成について説明する。
【0023】
分離除電部材108は、飛散しているトナーや紙粉等が付着して汚れると、電気抵抗値が高くなって電流が流れ難くなり、記録媒体を除電する機能が低下する。そこで、本実施形態では帯電手段に帯電電圧あるいは転写手段に転写電圧を印加して分離除電部材108に流れる電流値を検知することで分離除電部材108にどの程度トナー等が付着しているかを判別する。そして、判別した分離除電部材108の汚れの状態から分離除電部材108の除電能力がどの程度かを判別し、分離除電部材108の交換あるいはクリーニングが必要か否かの要否を判別し、これを報知する表示を行うものである。
【0024】
本実施形態の画像形成装置は、感光体ドラム102と感光体ドラム102に接触した転写ローラ105のニップ部から記録媒体搬送方向cに沿って、下流側に分離除電部材108が配置されている。
【0025】
図2(a)と図2(b)は、本実施形態における分離除電部材108周辺の部分拡大断面図である。図3は、本実施形態における分離除電部材108における除電針108aの単品図である。
【0026】
図3に示すように、本実施形態の分離除電部材108における除電針108aは、先端が尖った針形状の金属製薄板材の除電針が用いられ、除電針ホルダ301にビスで固定するためのビス穴303が形成されている。また、帯電ローラ103に帯電電圧を印加すると感光体ドラム102から感光体ドラム102に対向した位置に針形状の分離除電部材108の先端(除電針108a先端)に放電現象によって電流が流れ込む構成となっている。
【0027】
図2に示すように、上記分離除電部材108は、前記ニップ部から記録媒体搬送方向下流側で5mm〜10mmの位置に配置され、且つ転写ローラ105に近接する位置に配置されている。前記分離除電部材108の先端から感光体ドラム102表面への最短距離HY2(第2の距離)は、前記分離除電部材108の先端から転写ローラ105表面への最短距離HY1(第1の距離)よりも長い構成となっている。本実施形態では、最短距離HY1は3mm、最短距離HY2は6mmである。
【0028】
(分離除電部材に流れる電流量と紙粉等との関係)
帯電ローラ103に帯電電圧、あるいは転写ローラ105に転写電圧を印加したときに放電現象によって分離除電部材108に流れる電流量が、分離除電部材108に紙粉やトナーが付着することにより変化する。具体的には、前記分離除電部材108の先端周辺に紙粉や装置内に飛散したトナー等302が付着すると、付着しない場合よりも感光体ドラム102から分離除電部材108へ流れ込む分離電流量が減少する。
【0029】
すなわち、帯電ローラ103に帯電電圧を印加して感光体ドラム102とこれに対向した分離除電部材108の先端との間で放電(コロナ放電)が生じたときに、分離除電部材108の先端に表面抵抗が約1.0×1010〜1.0×1013Ωの高抵抗な紙粉やトナーが付着していると、電流が流れ難くなって感光体ドラム102から分離除電部材108に流れ込む電流量が減少する。この電流値の変化によって分離除電部材108の先端の汚れ状態を検知することができる。
【0030】
また、同様に除電針108aを保持している除電針ホルダ301の除電針108aと転写ローラ105の間の領域(除電針ホルダ301の表面に沿った領域)に紙粉やトナー等302が堆積すると、付着しない場合よりも放電現象によって転写ローラ105から分離除電部材108へ流れ込む分離電流量が減少する。
【0031】
すなわち、転写ローラ105に転写電圧を印加したときに転写ローラ105とその側方に位置する分離除電部材108との間で生ずる放電は、転写ローラ105から除電針ホルダ301の表面を通って該ホルダ301から突出した除電針108aに至る沿面放電となる。このとき、前述のように電気的に高抵抗な紙粉やトナーが除電針ホルダ301に付着していると、放電により転写ローラ105から分離除電部材108へ流れ込む電流が流れ難くなって減少する。
【0032】
本実施形態では、この現象を利用して分離除電部材の先端周辺に付着した異物(紙粉やトナー等)の量と、分離除電部材周辺に付着した異物の量を推測するものである。
【0033】
以下、分離除電部材108の周辺に紙粉やトナー等の異物が堆積した場合における、転写ローラ105に転写電圧を印加した場合と、帯電ローラ103に帯電電圧を印加した場合との関係について図2(a)(b)を用いて更に説明する。
【0034】
(感光体ドラムから分離除電部材に流れる電流値)
先ず、帯電ローラ103から負極性の帯電電圧を印加したときに分離除電部材108に電流が流れ込む現象について図2(b)を用いて説明する。尚、この方法を用いることにより、分離除電部材108の先端周辺の汚れ量を推測することが可能となる。
【0035】
帯電電圧を印加したときに感光体ドラム102から分離除電部材108の先端に放電により流れる電流値(第1検知電流値)は、分離除電部材108に付着した紙粉等が少ないときは大きく、付着した紙粉等が多くなると小さくなる。これは、前述したように、分離除電部材108に紙粉等が付着するにしたがって分離除電部材108の電気抵抗が大きくなるためである。ここで、印加する帯電電圧は画像形成時と同じ電圧(本実施形態ではDC−550V、AC1300V)である。
【0036】
これにより、感光体ドラム102から分離除電部材108の先端に放電現象によって流れ込む電流を検知することで分離除電部材108の先端周辺の汚れ量を推測することが可能となる。このとき、転写ローラ105に正極性の転写電圧を印加すると、感光体ドラム102から分離除電部材108に流れ込む電流だけではなく、転写ローラ105から分離除電部材108に流れ込む電流も生じ、正確に第1検知電流値の測定ができなくなる。このため、第1検知電流値を測定するときには、転写ローラ105と分離除電部材108との間で放電が発生しないように転写ローラ105に転写電圧を印加していない。
【0037】
(転写ローラから分離除電部材に流れる電流値)
次に、転写ローラ105に正極性の転写電圧を印加した場合について図2(a)を参照して説明する。この方法を用いることにより、分離除電部材周辺の汚れ量を推測することが可能となる。
【0038】
転写電圧を印加したときに分離除電部材108に流れる電流値(第2検知電流値)も、除電針ホルダ301の除電針108aと転写ローラ105の間の領域(除電針ホルダ301の表面に沿った領域)に付着した紙粉等が少ないときは大きく、付着した紙粉等が多くなると小さくなる。これは、前述したように電気抵抗が高い紙粉等が付着することで電流が流れ込み難くなるからである。
【0039】
これにより、転写ローラ105から分離除電部材108への電流の流れ込み量によって分離除電部材周辺の汚れ量を推測することが可能となる。ここで、印加する転写電圧は画像形成時と同じ電圧(本実施形態ではDC500V)である。
【0040】
このとき、帯電ローラ103に帯電電圧を印加すると、転写ローラ105から分離除電部材108に流れ込む電流だけではなく、帯電電圧を印加された感光体ドラム102から分離除電部材108に流れ込む電流が発生するおそれが有り、流れ込む電流が発生すると正確に第2検知電流値の測定ができなくなる。このため、第2検知電流値を測定するときには、感光体ドラム102と分離除電部材108との間で放電が発生しないように感光体ドラム102に帯電電圧を印加していない。
【0041】
以上から、本実施形態の画像形成装置は、上記現象を数値化し、これを閾値テーブルとして作成しておき、各環境における帯電電圧又は転写電圧を印加したときに、分離除電部材108を流れる電流値を前記閾値テーブルの電流値と比較する。そして、分離除電部材108を流れる電流値が前記閾値テーブルの閾値より小さくなったとき、分離除電部材108の周辺に装置内に飛散したトナーや紙粉等が多く付着していると判別する。本実施形態の場合は、前記第1及び第2検知電流値が各々の閾値として設定した値より小さくなったときは、分離性能が低下するおそれがあるため、ユーザに対して分離除電部材の交換やクリーニングを促す報知を出すものである。
【0042】
(汚れ検知のブロック図)
図4は上記動作を実現するための本実施形態に係る画像形成装置の構成を示したブロック図である。
【0043】
図4に示すように、制御手段400内のCPUが、帯電電圧電源201から帯電ローラ103に印加する帯電電圧を制御し、転写電圧電源208から転写ローラ105に印加する転写電圧を制御している。接地(グランド)された分離除電部材108に流れる電流を電流検出手段202により検知するように構成されている。この電流検出手段202によって検知された電流値は制御手段400内のメモリ204に記憶される。
【0044】
本実施形態では画像形成装置本体内の温度を検知する温度検知手段及び相対湿度を検知する湿度検知手段を兼ねる温湿度センサ203(環境検知手段)が設けられており、前記閾値テーブル205は検知された装置内の温度及び相対湿度に対応して区分され、閾値が設定されている。
【0045】
そして、帯電電圧を印加したときに電流検出手段202で検知された第1検知電流値と、転写電圧を印加したときに電流検出手段202で検知された第2検知電流値の2種類のそれぞれの数値が各々設定された閾値より小さくなったとき、制御手段内のCPUから制御信号が操作部に設けられた報知手段206に出力され、ユーザ(使用者)に対して分離除電部材108の交換やクリーニングを促すことが表示される。
【0046】
(閾値テーブル)
ここで、本実施形態で用いられている閾値テーブルの例を図5に示す。なお、本実施形態では装置環境、特に装置内湿度を考慮して閾値テーブルを設定している。これは、装置内湿度が高い場合は、低い場合に比べて水分量が多くなるために同じ電圧を印加しても分離除電部材108に電流が流れ易くなる。そこで、図5に示すように、装置内の温湿度が高い場合(HH環境)、通常の場合(NN環境)、低い場合(NL環境)の3通りに分けて閾値を設定している。ここで、本実施形態における装置内の温湿度が高い場合(HH環境)とは温度30°以上、相対湿度80%RH(絶対水分量16kg/kgD.A.以上)以上とする。また、低い場合(NL環境)とは温度23°未満、相対湿度50%RH未満(絶対水分量2kg/kgD.A以下)とし、それ以外の環境を通常の場合(NN環境)(絶対水分量2〜16kg/kgD.A)としている。
【0047】
そして、装置内環境がHH環境の場合は、帯電電圧を印加したときに電流検出手段202で検知した電流値(第1検知電流値)が−4μA(第1閾値)以下になり、転写電圧を印加したときに電流検出手段202で検知した電流値(第2検知電流値)が+8μA(第2閾値)以下となったとき、分離除電部材108のクリーニングあるいは交換が必要と判別する。なお、+記号は電流の流れる方向が感光体ドラム102又は転写ローラ105から分離除電部材108に流れ、−記号は分離除電部材108から感光体ドラム102又は転写ローラ105へ流れることを意味している。
【0048】
同様に、装置内環境がNN環境の場合は、第1検知電流値が−3μA以下、第2検知電流値が+5μA以下となったとき、装置内環境がNL環境の場合は第1検知電流値が−1μA以下、第2検知電流値が+2μA以下になったとき、分離除電部材108のクリーニングあるいは交換が必要と判断する。
【0049】
なお、本実施形態においては、分離除電部材108の汚れ量に対応した前記分離電流量の閾値を閾値テーブルを用いて設定している。ここで、第1検知電流値に対する閾値が第1閾値であり、第2検知電流値に対する閾値が第2閾値である。
【0050】
(分離除電部材の汚れ量)
次に、分離除電部材108の汚れ量について説明する。
【0051】
先ず、分離除電部材108近傍に付着したトナー量や紙粉量を測定する測定方法に関して説明する。例えば、トナーに含まれる物質(本発明においてはTiを測定)を蛍光X線分析装置(堀場製作所社製「XGT−5000」)を用いて、分離除電部材108近傍の長手を5分割して各点を周方向に90°毎に回転させて4点の合計で20点を測定している。XGT−5000の設定は、印加電圧が30kV、電流が0.16mA、測定時間が100秒である。また、この蛍光X線分析装置によって出力される値はcpsで表示され、このcpsの値が大きければ汚れ量も大きいこと意味する。
【0052】
この汚れ量を鑑みて、第1及び第2検知電流値に対応する第1及び第2閾値を設定し、分離不良を抑え、画像品質への影響を低減させる。
【0053】
(汚れ検知手順)
次に、上記分離除電部材108の汚れ検知制御について、図6を用いて説明する。図6は上記分離除電部材の汚れ検知制御の手順を示すフローチャートである。この処理は制御手段400内のCPU(図4)がメモリ204内に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。尚、上記汚れ検知制御は、記録媒体上に画像を形成する印刷動作前におこなう。
【0054】
以下に汚れ検知制御について説明する。先ず、CPUは温湿度センサ203で装置内の環境検知を行い(S401)、帯電電圧電源201から画像形成時と同じ電圧(本実施形態ではDC−550V、AC1300V)を帯電手段103に印加した時における第1検知電流値を、電流検出手段202によって検知する(S402、S403)。続いて、帯電電圧をOFFまたは画像形成時より低い帯電電圧を印加し、転写電圧電源208から画像形成時と同じ電圧(本実施形態ではDC500V)を転写ローラ105に印加し(S404)、転写電圧を印加した時の分離除電部材108に流れる第2検知電流値を検知し、転写電圧をOFFにする(S405、S406)。
【0055】
上記のように汚れ検知のときにもCPUが画像形成時と同じ電圧印加とすることで制御が容易となる。なお、汚れ検知のときに画像形成時と異なった分離除電部材の汚れ検知専用電圧を印加するようにしてもよい。例えば、第1検知電流値を検知するときに帯電電圧電源201からDC−2000V、AC1300Vを印加し、第2検知電流値を検知するときは転写電圧電源208からDC+2000Vを印加する。このように、汚れ検知専用の電圧を印加することで、感光体ドラム102や転写ローラ105と分離除電部材108間の電位差を制御し、精度良く検知電流を検知することが可能となる。
【0056】
また、CPUが第1検知電流値を検知するとき、転写電圧をOFFしたのは前述したように転写ローラ105と分離除電部材108間で放電を生じさせないためである。しかし、この転写電圧は必ずしもOFFでなくてもよい。例えば、帯電電圧を印加すると転写ローラ105に電圧を印加しなくても帯電電圧の影響で転写ローラ105には多少の電圧がかかる。このとき、転写ローラ105と分離除電部材108間の電位差を小さくするような転写電圧を印加した場合には、転写ローラ105と分離除電部材108間の放電が確実に抑制され、第1検知電流の検知が正確に行える。同様に、CPUが第2検知電流値を検知するとき、帯電電圧は必ずしもOFFにしなくてもよく、感光体ドラム102と分離除電部材108間の電位差が小さくなるような帯電電圧を印加してもよい。すなわち、CPUが第1検知電流値を検知するときは、感光体ドラム102と分離除電部材108間の放電量が転写ローラ105と分離除電部材108間の放電量よりも大きくなるように、帯電電圧、転写電圧を設定すればよい。同様に、CPUが第2検知電流値を検知するときは、転写ローラ105と分離除電部材108間の放電量が感光体ドラム102と分離除電部材間の放電量よりも大きくなるように、帯電電圧、転写電圧を設定すればよい。
【0057】
次に、CPUが現在の環境(温度及び湿度)に応じて閾値テーブルを参照して処理を変更する。前記第1検知電流値が第1閾値よりも小さい場合(S408A)又は前記第1検知電流値が第1閾値以上で第2検知電流値が第2閾値よりも小さい場合(S408B)CPU、報知手段に所定の制御信号を出力し、分離除電部材108を交換するようユーザーに報知させる(A407〜409)。その後、CPUはメモリ204内の所定領域に格納されている交換回数のカウント数をインクリメントする(S410)。
【0058】
一方、CPUは第1検知電流値が第1閾値以上の場合であり、且つ第2検知電流値が第2閾値以上の場合は、そのまま待機状態に戻る(S408)。
【0059】
以上のように、本実施形態の画像形成装置にあっては、CPUが各環境における帯電電圧、転写電圧を印加した時の分離除電部材108に流れる電流値をそれぞれ検知し、分離能力が低下する電流値になった場合、分離除電部材108の周辺が紙粉等で汚れていると判断する。
【0060】
これにより、分離除電部材の汚れの検知は、分離除電部材108の先端が汚れるにしたがって電流値が小さくなる第1検知電流値と、除電針ホルダ周辺が汚れるにしたがって電流値が小さくなる第2検知電流値を用い、これらをそれぞれ設定した閾値と比較することで、単に転写電圧を印加したときに流れる電流値(第2検知電流値)のみで汚れを判断する場合に比べ、より正確に分離除電部材108の汚れを検知することができる。
【0061】
また、ユーザーの使用した記録媒体や環境に適したタイミングで除電針ホルダ301と一体的な分離除電部材108の交換を促す報知を出すことができる。これにより、定期的に分離除電部材108を交換する場合に比べて適時に交換することが可能となるため、交換効率が向上する効果が得られる。
【0062】
尚、報知手段をプリンタ側に設けた実施形態で説明したが、PC側にあっても同様に報知することが可能である。
【0063】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る装置について図7乃至図11を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の構成は前述した第1実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる分離除電部材のクリーニング構成について説明する。
【0064】
前述した第1実施形態では帯電電圧、転写電圧を印加したときの分離電流値が所定の閾値を超えた時に、制御手段内のCPUから報知手段に制御信号が出力され、この制御信号に基づいて報知手段より所定の報知を出すようにしていたが、第2実施形態では分離除電部材をクリーニングする例を示す。
【0065】
本実施形態では分離除電部材108をクリーニングするためのクリーニング手段207が設けられている。このクリーニング手段は、図7に示すように、分離除電部材108をクリーニングするクリーニング部材として、除電針ホルダ301から突出した分離除電部材108の長手方向長さと略同じ長さを有する回転ブラシ207aが回転可能に設けられている。そして、この回転ブラシ207aは、図示しない駆動機構により、待機位置とクリーニング位置とに移動可能に設けられている。
【0066】
クリーニング手段207は、制御部からクリーニング信号が送出されると、待機位置にある回転ブラシ207aが図7(a)の矢印b1方向に移動してクリーニング位置に移動する。そして、図7(b)に示すように、回転ブラシ207aが分離除電部材108に接触した状態で回転することで分離除電部材108に付着した紙粉等を除去する。クリーニングが終了すると、クリーニング部材207aは図7(c)の矢印b2方向へ移動して待機位置へ戻るように構成されている。
【0067】
上記のように、分離除電部材108をクリーニングする機構を設けることにより、分離除電部材108を交換することなく使用可能期間を延ばすことが可能となる。さらには、クリーニング部材を交換可能な構成にすることで、さらに部材の使用可能期間を延ばすことが可能となる。
【0068】
図8は分離除電部材108をクリーニング部材207aでクリーニングするタイミングと、帯電電圧を印加した時の放電電流値の関係を表したグラフの一例である。
【0069】
前述したように、プリント枚数が増加するにつれて分離除電部材108の周辺が紙粉等で汚れ、これにともなって分離除電部材108の電気抵抗が上昇して帯電電圧を印加したときに流れる電流が低下する。
【0070】
前述した第1実施形態では、第1検知電流値と第2検知電流値が閾値テーブルに設定された第1及び第2閾値を超えたとき、分離除電部材108の交換を促す報知を発するようにしたが、本実施形態では交換を促す代わりに、前記クリーニング手段207を動作させ分離除電部材108をクリーニングする。そして、分離除電部材108は、クリーニングされると紙粉等が除去されるためにクリーニング前よりも電気抵抗が小さくなる。このため、同じ帯電電圧を印加した場合、流れる電流はクリーニング前よりも大きくなる。
【0071】
しかし、上記クリーニングを繰り返すうちにクリーニング部材が少しずつ汚れてくるため、クリーニング能力が低下する。したがって、図8に示すように、クリーニング(CL)の回数が増えるにつれて、クリーニング後に流れる電流の戻りが小さくなり、やがてクリーニング効果が出なくなる。
【0072】
そこで、本実施形態では前述のように第1検知電流値と第2検知電流値は、設定した閾値を超えたときに分離除電部材をクリーニングすることを繰り返し、クリーニングごとにクリーニング前に帯電電圧を印加したときに分離除電部材を流れる第1検知電流値と、クリーニング後に帯電電圧を印加したときに分離除電部材を流れるクリーニング後における第1検知電流値とを比較する。そして、前記クリーニング前後の電流値の変化量が第3閾値以下であるときは、クリーニング部材207aが寿命に達していると判別し、制御手段内のCPUから報知手段に制御信号が出力され、制御信号に基づいて報知手段によりクリーニング部材の交換を促す報知をする構成としている。
【0073】
図9、図11は、第2実施形態に係る分離除電部材のクリーニング動作手順を示すフローチャートである。図10は、前記フローチャートに沿った動作を実現するための本実施形態に係る画像形成装置の構成を示したブロック図である。本実施形態の構成で前述した第1実施形態と同一の機能を有する構成には同一符号を付し、重複する説明は省略し、ここでは前述した実施形態と異なる構成について説明する。
【0074】
先ず、図9、図11を用いて分離除電部材のクリーニング動作手順を説明する。この処理は制御手段400内のCPU(図10)がメモリ204内に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。尚、前述した第1実施形態に記載されている処理と同一の部分は、重複するため省略する。よって、図11に記載されているクリーニング動作S501について、図9を用いて説明する。
【0075】
CPUは分離除電部材108をクリーニングした後に帯電電圧を印加し、分離除電部材108に流れる電流値(第1検知電流値)Cを検知し、メモリに格納する(S604、S605)。クリーニング前後の電流値の差分(A−C)が第3閾値(ΔI)以下(例えば、差分が2μA)の場合、クリーニング部材が寿命に達してクリーニング能力が落ちていると判断し、CPUは報知手段に制御信号を出力し、制御信号に基づいて報知手段よりクリーニング部材を交換する報知を出させる(S606、S607)。
【0076】
以上のように、クリーニング前後の分離除電部材108に流れる電流値を比較することによってクリーニング部材207aのクリーニング能力が低下したと判別した場合、クリーニング部材の交換を促す報知を行う。これにより、ユーザーが紙粉の発生の多い記録媒体を使用しても装置本体側で記録媒体種類を検知し複雑な分離制御等をすることなく、本体側で適切な分離除電能力を維持することが可能となる。
【0077】
なお、本実施形態にあっては分離除電部材が汚れたと判別したときは、クリーニング手段により分離除電部材を自動的にクリーニングする例を示した。しかし、自動クリーニングする構成でなく、分離除電部材が汚れたと判別されたとき、報知手段は、ユーザーに分離除電部材をクリーニングする必要がある旨の報知を出し、ユーザーによってクリーニング手段を手動操作させてクリーニングするようにしてもよい。
【0078】
また、前記分離除電部材又はクリーニング部材の交換回数をカウントして記憶し、交換回数により装置の寿命を検知可能とするようにしてもよい。
【0079】
そのために、図10に示す分離除電部材又はクリーニング部材の交換回数を検知する交換回数検知手段220を有する。前記第1検知電流値及び第2検知電流値が第1及び第2閾値を超えると前述したように報知手段が分離除電部材108又はクリーニング部材207aの交換を促す報知を発する。このとき、分離除電部材108を交換し、あるいはクリーニング部材207aを交換して分離除電部材108をクリーニングすると、分離除電部材108の紙粉等が除去されるため、第1検知電流値及び第2検知電流値が前記第1及び第2閾値を超えない状態に戻る。
【0080】
そこで、交換回数検知手段220は、前記報知手段が前記分離除電部材又はクリーニング部材の交換を促す報知を発しているときに、前記第1検知電流値及び前記第2検知電流値が前記第1及び第2閾値を超えない状態に戻ることで、分離除電部材又は前記クリーニング部材が1回交換されたと検知する。
【0081】
また、前記交換回数が多い場合(例えば、10回以上)は、前記交換回数が所定の回数以上になったとき、報知手段は装置が寿命であると報知を発するようにしている。
【0082】
これにより、装置本体内に特別なセンサ等の機構を設けることなく、装置本体内の汚れを検知し、また装置の寿命を検知することが可能となる。
【0083】
〔第3実施形態〕
次に第3実施形態に係る装置について説明する。なお、本実施形態の装置の構成も前述した第1実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは前述した実施形態と異なる構成について説明する。
【0084】
前述した第1実施形態では、分離除電部材108が汚れたときにクリーニングする例を示した。しかし、分離除電部材108の先端周辺は針形状であり、この先端部分のクリーニングを行うと針の変形により分離除電部材108の機能が損なわれるおそれがある。そこで、本実施形態では分離除電部材108に紙粉やトナーが付着したときに、分離除電部材108に流れる分離電流が閾値を超えた位置によってユーザやサービスマンにクリーニングを促す場合と、分離除電部材の交換を促す場合とに表示を変えるものである。
【0085】
また、前述した第1実施形態では分離除電部材108を接地(グランド)した例を示したが、本実施形態では画像形成時の記録媒体の除電や分離除電部材108の汚れ検知に際して分離除電部材108に負極性の除電電圧を印加する。除電電圧を印加する構成は、分離除電部材108をグランドする場合に比べて制御が複雑になるが、ドラム−分離除電部材、転写ローラ−分離除電部材間の放電を行わせるための電位差の設定が容易となる。ここで、印加する除電電圧は画像形成時と同じ電圧(本実施形態ではDC−2000V)であり、帯電電圧と転写電圧は前述した第1実施形態と同様に画像形成時と同じ電圧(本実施形態ではDC−550V、AC1300VとDC500V)である。
【0086】
また、本実施形態では分離除電部材108の汚れ検知の際の電圧印加にあたり、感光体ドラム102にメモリ現象を発生させないようにするものである。
【0087】
すなわち、本実施形態にあっても分離除電部材の汚れ状態の判別として転写ローラ105に転写電圧を印加せずに帯電ローラ103に帯電電圧を印加して電流検出手段によって第1検知電流値を検知し、転写ローラ105に転写電圧を印加して電流検出手段によって第2検知電流値を検知して分離除電部材108の汚れを検知する。前記第2検知電流値を検出するときに、転写ローラ105に正極性の転写電圧を印加することで、感光体ドラム102を転写電圧の印加による+帯電にしたまま放置すると、次に画像形成するときに感光体ドラム102を帯電で−帯電しきれなくなるいわゆるメモリ現象が発生するおそれがある。
【0088】
そこで、本実施形態ではメモリ現象を防止するために第2検知電流値を検知する場合は転写電圧の印加だけではなく、帯電電圧を印加しつつ、転写電圧を印加するものである。
【0089】
上記のように感光体ドラム102のメモリ現象を防止するために帯電電圧を印加して感光体ドラムが−帯電していても、−極性の分離除電電圧−2000Vに対し、転写電圧は逆極性の+500Vのため、転写ローラ105と分離除電部材108間の電位差が2500Vになり、帯電された−極性の感光体ドラム102の−500Vと分離除電電圧−2000Vとの電位差1500Vより充分大きい。更に転写ローラ105から分離除電部材108の先端までの距離は前述したように3mmであり、前述した感光体ドラム102から分離除電部材108の先端までの距離6mmより小さい。
【0090】
このように、感光体ドラム102と分離除電部材108の関係は、転写ローラ105と分離除電部材108の関係と比較して電位差が小さく、距離も離れている。このため、メモリ現象を防ぐために帯電電圧を印加された感光体ドラム102から分離除電部材108への流れ込み電流は充分小さい値となり、求めたい転写ローラ105から分離除電部材108の流れ込み電流による第2検知電流値が精度良く検知できる。
【0091】
(汚れ検知のブロック図)
図12は本実施形態に係る汚れ検知のブロック図である。本実施形態の構成で前述した第1実施形態と同一の機能を有する構成には同一符号を付し、重複する説明は省略し、ここでは前述した実施形態と異なる構成について説明する。図に示すように、制御手段400内のCPUが帯電電圧電源201により帯電ローラ103に印加する帯電電圧を制御し、分離除電制御手段240により分離除電部材108に印加する除電電圧を制御する。また、分離除電部材108に流れる電流を電流検出回路によって構成された電流検出手段202により検知するように構成されている。この電流検出手段202は、帯電電圧を印加したときに分離除電部材108に流れる電流値を検知し、また帯電電圧及び転写電圧を印加したときに分離除電部材108に流れる電流を検知するものである。そして、電流検出手段202によって検知された電流値は制御手段400内のメモリ204に記憶される。
【0092】
また、通紙枚数カウンタ230と、分離除電部材108が交換もしくはクリーニングされた履歴を残す記憶手段231が設けられている。そして、電流値検知のタイミングとして、分離除電部材108が交換もしくはクリーニングされてから、画像形成が規定した所定枚数に達したら第1検知電流値及び 第2検知電流値を検知する。加えて、ジャム処理が行われたことを検知するジャム処理検知手段232を設け、汚れ検知のタイミングとして通紙枚数に関係なくトナー等が飛散して機内に堆積するおそれがあるジャム処理後は、必ず第1検知電流値及び 第2検知電流値を検知する。
【0093】
(汚れ検知手順)
以下に本実施形態の汚れ検知制御手順について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。この処理は制御手段400内のCPU(図12)がメモリ204内に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0094】
先ず、CPUは温湿度センサ203で装置内の環境検知を行い(S701)、検知した環境より図14で示したテーブルから閾値を参照して処理を変更する(S702)。その後、前回のメンテナンス(分離除電部材のクリーニングもしくは交換)からの通紙枚数が3万枚に達しているか通紙枚数カウントから判断する(S703)。
【0095】
CPUは前回メンテナンスからの通紙枚数カウントが3万枚未満の場合は、ジャム検知後ジャム処理が行われているか判断し(S712)、ジャム処理の履歴もなければ、処置せずとする。
【0096】
一方、CPUは前回メンテナンスからの通紙枚数カウントが3万枚に達している、もしくはジャム処理後であれば、分離除電部材108の汚れ検知を実行する。具体的には、帯電電圧電源201からマイナスの電圧(本実施形態では、DC=−550V、 AC=1300V)を帯電ローラ103に印加する(S704)。また、帯電電圧の印加とともに、分離除電部材108に分離除電を印加する(S705)。そして、帯電を印加した時の分離除電部材108に流れる第1検知電流値を、電流検出手段202によって検知する(S706)。
【0097】
このとき、分離除電部材108に−2000Vの電圧を印加しているために、第1検知電流値を検知するために、帯電電圧−550Vを印加したとき、感光体ドラム102は−500Vとなり、感光体ドラム102と分離除電部材108間の電位差は−1500Vであって、転写ローラ105と分離除電部材108間の電位差(転写ローラ105には転写電圧は印加されていないので電位差が−2000Vとなる)より小さく、かつ、両者間の距離も転写ローラ105と分離除電部材108間の距離が3mmであるのに対して、感光体ドラム102と分離除電部材108の先端までの距離は6mmと長い。
【0098】
しかし、分離除電部材108と感光体ドラム102または転写ローラ105間の放電は、両者間の電位差、距離のみならず分離除電部材108の除電針108aが向いている方向が影響する。すなわち、放電は部材間の電位差が大きいほど、距離が短いほど、また除電針108aの先端部の方向が対象部材に向いているほど放電がし易い。そして、前記除電針108aは感光体ドラム102の方向に向かって配置され、先端が感光体ドラム102と対向するように配置されている。さらに、除電針108aは転写ローラ105の方向を向いていない。そのため、分離除電部材108と感光体ドラム102及び転写ローラ105との電位差及び距離が前述したような関係にあっても、第1検知電流値を検知するために帯電電圧を印加すると、感光体ドラム102と分離除電部材108との間の放電が、転写ローラ105と分離除電部材108との間の放電より支配的になる。その結果、感光体ドラム102から分離除電部材108の先端に放電するが、転写ローラ105から分離除電部材108への放電は生じない。よって、転写ローラ105から分離除電部材108に流れ込む電流はなく、第1検知電流値を検知することができる。
【0099】
次に、CPUはステップS702で決定した閾値テーブルから、前記第1検知電流値が第1閾値以上の場合は、感光体ドラムから分離除電部材への放電により流れ込む電流が適切で報知が不要であると判別する。すなわち、分離除電部材108の先端周辺に一定以上の異物(紙粉やトナー)の付着がないために、閾値以上の電流が流れていると判断する(S707)。
【0100】
さらに、CPUは除電針108aを保持している除電針ホルダ301の除電針108aと転写ローラ105の間の領域(除電針ホルダ301の表面に沿った領域)に異物が付着していないかを判別する。そのために、帯電電圧はONしたまま、転写電圧電源210からプラスの電圧(本実施形態では、+500V)を転写ローラ105に印加する(S708)。そして、転写電圧を印加した時の分離除電部材108に流れる本実施形態の第2検知電流値を、電流検出手段202によって検知する(S709)。
【0101】
次に、CPUはステップS702で決定した閾値テーブルから、本実施形態の前記第2検知電流値が第2閾値以上の場合は、転写ローラ105から分離除電部材108への放電により流れ込む電流が適切で報知が不要であると判別する。すなわち、転写ローラと分離除電部材間に一定以上の異物の付着がないために、閾値以上の電流が流れていると判断する(S710)。
【0102】
このように、第1検知電流値が第1閾値以上の場合であり、且つ第2検知電流値が第2閾値以上の場合は、分離除電部材108の先端周辺及び 転写ローラ105との間ともに異物の付着はないと判断できるため、報知が不要であるとする。
【0103】
一方、CPUは前記第1検知電流値が第1閾値よりも大きくない場合(S707)は、分離除電部材108と感光体ドラム間放電により流れる電流が適切でないと判別する。すなわち、分離除電部材108の先端周辺に一定以上の異物(紙粉やトナー)の付着があり、その結果、分離除電部材108を流れる電流値が閾値以下になったと判断する。
【0104】
なお、分離除電部材108の先端周辺は針形状であり、異物のクリーニングを行うと針の変形により分離除電部材108の機能が損なわれるおそれがある。そのため、本実施形態では前記第1検知電流値が第1閾値よりも大きくない場合は、CPUは分離除電部材108が交換時期であると判別し、報知手段206に所定の制御信号を出力し、分離除電部材108を交換するようユーザもしくはサービスマン(使用者)へ報知させる(S713)。
【0105】
さらに、CPUは前記第2検知電流値が第2閾値よりも大きくない場合(S710)は、分離除電部材108と転写ローラ105間の放電により流れる電流が適切でないと判別する。すなわち、転写ローラ105と分離除電部材108間に一定以上の異物の付着があり、その結果、分離除電部材108を流れる電流値が閾値以下になったと判断する。
【0106】
転写ローラ105と分離除電部材108間の、分離除電部材108の先端以外や除電針ホルダ301はクリーニングを行っても変形等は無く機能は損なわれない。そのため、前記第2検知電流値が第2閾値よりも大きくない場合は、CPUは分離除電部材108がクリーニング時期であると判別し、報知手段206に所定の制御信号を出力し、転写ローラ105と分離除電部材108間をクリーニングするようユーザもしくはサービスへ報知させる(S711)。そして、帯電電圧、転写電圧、分離除電電圧をOFFして判別手順を終了する(S714)。
【0107】
以上のように、本実施形態の画像形成装置にあっては、各環境において帯電電圧、転写電圧を印加した時の分離除電部材108に流れる電流値をそれぞれ検知する。その電流値により、分離除電部材108の先端周辺に異物が付着し分離除電部材108の交換が必要なのか、もしくは、転写ローラ105と分離除電部材108間に異物が付着し、転写ローラ105と分離除電部材108間をクリーニングするのみで良いのか判断する。
【0108】
すなわち、分離除電部材108が汚れるにしたがって電流値が小さくなる第1検知電流値と、第2検知電流値を用い、これらをそれぞれ設定した閾値と比較することで、分離除電部材108の交換が必要か、クリーニングのみでよいのかを、判別することができる。
【0109】
また、分離除電部材108の交換もしくは、クリーニングを促す報知をプリンタの操作部等に出すことができる。これにより、定期的に分離除電部材108を交換する場合に比べて適時に交換することができ、さらには不必要な交換を減らすことが可能となるため、メンテナンス効率が向上する効果が得られる。
【0110】
尚、報知手段をプリンタ側に設けた実施形態で説明したが、パソコン側にあっても同様にモニタ等に表示することで報知することが可能である。
【0111】
図13のフローチャート中におけるS707(分離除電部材と感光体ドラム間の放電により流れる電流が適切かを判断する手段)での判断結果から、分離除電部材の交換を行った場合と、行わなかった場合での分離除電電流の耐久推移を図15に示す。
【0112】
図15は分離除電部材108の交換を行った場合と行わない場合に帯電電圧を印加した時の電流値の関係を表したグラフの一例である。
【0113】
図15に示す、帯電電圧を印加することで感光体ドラム102から分離除電部材108に流れ込む電流量(第1検知電流値)を検知する条件は、NN環境(絶対水分量2〜16kg/kgD.A)において帯電電圧DC=−550V、AC=1300Vを印加し感光体ドラムが−500Vに帯電されている。さらに、分離除電を−2000V印加することで、感光体ドラム102と分離除電部材108との間(以下「ドラム−分離除電間」という)の電位差が1500Vになることで放電が開始され、分離除電部材から感光体ドラムに電流が流れ込む。図は、この流れ込み電流値を縦軸に示している。横軸は通紙耐久枚数を示している。
【0114】
また、ドラム−分離除電間の電位差をつけ、分離除電部材から感光体ドラムへの流れ込みを大きくするために、感光体ドラム電位を+側に近づけると、記録媒体が通紙されない場合では、感光体ドラムにトナーが現像され、機内や転写ローラにトナーが飛散する弊害がある。そのため、図15では、通常画像形成時のベタ白画像形成時の条件と同じ帯電電圧DC=−550V、AC=1300Vを印加し、感光体ドラムベタ白電位であるドラム電位Vd=−500Vにしている。分離除電電圧も通常画像形成時と同じ条件である。なお、記録媒体が通紙されない場合において、本実施形態に係る感光体ドラムは−極性に帯電して露光されることで感光体ドラム表層の電位を調整する性質を有するので、−極性の分離除電電圧を印加しても、メモリ現象といった感光体ドラムへのダメージはない。
【0115】
この実施形態では、前述したように転写−分離除電間に電流の流れ込みを生じさせないため転写電圧は印加していない。但し、感光体ドラム102と分離除電部材108の除電針先端との電位差による放電の方が、転写手段と分離除電部材との電位差による放電より支配的になる状態であれば転写電圧を印加しても良い。
【0116】
NN環境でのドラム−分離除電間の流れ込み電流の閾値は、図14で示したように+4μAであり、図15のように+4μA以下になると感光体ドラムから記録媒体を分離できなくなる分離不良が発生する可能性がある。
【0117】
本実施形態の汚れ検知を行わない場合(分離除電部材の交換を行わない場合)は、分離除電部材の汚れによる電気抵抗の増加で、6万枚以上の耐久枚数で、分離不良の発生する可能性がある分離流れ込み電流の閾値+4μA以下になる。その際は、図13のフローチャート中におけるS707の判断により分離除電部材の交換を促す報知を行う。交換が行われることで分離流れ込み電流は、初期時の+7μAとなる。その後、耐久枚数がすすむにつれ、再び閾値+4μA以下になった際は交換を促す報知を発する。
【0118】
一方、分離不良が発生する閾値に達しているかを判断するドラム−分離除電間の流れ込み電流は、3万枚では閾値の+4μA以下に達していないため、交換の必要はない。そこで、図13のフローチャート中におけるS710(転写ローラから分離除電部材への放電により流れ込む電流が適切かを判断する手段)の判断に進む。
【0119】
図16は、分離除電部材108における除電針108aと転写ローラ105の間に位置するホルダ301のクリーニングを行った場合と、行わなかった場合での分離除電電流の耐久推移を表したグラフの一例である。
【0120】
図16に示す、転写電圧を印加することで転写ローラ105から分離除電部材108に流れ込む電流量(第2検知電流値)を検知する条件は、NN環境(絶対水分量2〜16kg/kgD.A)において帯電電圧DC=−550V、AC=1300Vを印加し感光体ドラムが−500Vに帯電されている。さらに、転写電圧=+500Vを印加し、分離除電電圧を−2000V印加することで、転写ローラ105と分離除電部材108との間(以下「転写−分離除電間」という)の電位差が2500Vになることで放電が開始され、転写ローラから分離除電部材に流れ込む。図は、この流れ込む電流値を縦軸に示している。横軸は通紙耐久枚数を示している。
【0121】
また、図16の場合も印加する帯電電圧は負極性であれば良いが、感光体ドラムへのトナー飛翔を防止するため、通常画像形成時の条件であるベタ白画像形成時の条件と同じ帯電DC=−550V、AC=1300Vを印加し、感光体ドラムベタ白電位であるドラム電位Vd=−500Vにしている。分離除電電圧も通常画像形成時と同じ条件である。
【0122】
なお、記録媒体が通紙されない場合において、本実施形態に係る感光体ドラム102は−極性に帯電して露光されることで感光体ドラム表層の電位を調整する性質を有するので、−極性の分離除電電圧を印加しても、メモリ現象といった感光体ドラム102へのダメージはない。
【0123】
上記のように、感光体ドラム102にダメージを与えないためには本例のときも帯電電圧を印加して感光体ドラム102を−極性に帯電することが必要となる。
【0124】
ただし、(転写−分離除電間の電位差をつけ、転写ローラから分離除電部材への流れ込みを大きくするために、)転写電圧を+2000V以上にすると、感光体ドラムが転写電圧により+帯電し、帯電電圧で−帯電しきれなくなるメモリ現象が発生するため、転写電圧=+500V印加としている。
【0125】
また、転写電圧=+500Vを印加したとしても帯電電圧を印加せずに感光体ドラム102を転写電圧印加による+帯電にしたまま放置すると、画像形成するときに感光体ドラムを帯電電圧で−帯電しきれなくなるメモリ現象が発生するおそれがある。このため、本実施形態ではメモリ現象の発生を防止するために、前述したように転写電圧だけではなく、帯電電圧を印加しつつ、転写電圧を印加する。
【0126】
なお、上記分離除電電圧は印加しなくても第1電流値、第2電流値を検知することは可能であるが、上記のように分離除電電圧を印加することによってより精度良く電流値検知を行うことができる。
【0127】
NN環境での転写−分離除電間の流れ込み電流の閾値は、図14で示したように+10μAであり、図16のように+10μA以下になると、転写プラス電荷の分離除電部材への流れ込み量が減り、画像不良が発生する可能性がある。
【0128】
本実施形態による汚れ検知を行わない場合(分離除電部材のクリーニングを行わない場合)は、分離除電部材108における転写−分離除電間ホルダの汚れによる電気抵抗の増加で、3万枚以上の耐久枚数で、画像不良の発生する可能性がある分離流れ込み電流の閾値+10μA以下になる。その際は、図13のフローチャート中におけるS710の判断により分離除電部材108における転写−分離除電間のホルダのクリーニングを促す報知を行う。クリーニングが行われることで分離流れ込み電流は、初期時の+12μAとなる。その後、耐久枚数がすすむにつれ、再び閾値+10μA以下になった際はクリーニングを促す報知を発する。
【0129】
このように、S707で、ドラム−分離除電間流れ込み電流が閾値以下か判断することで、クリーニングでは分離除電部材の破損の可能性があるため、交換の必要性を報知する。
【0130】
また、S710で、転写−分離除電間の流れ込み電流が閾値以下か判断することで、破損の可能性がない転写−分離除電間ホルダのクリーニングのみの必要性を報知する。
【0131】
このことで、不要な分離除電部材の交換や分離除電部材の破損を防ぎ、分離除電部材の汚れ状態に適したメンテナンスを報知することができる。
【0132】
なお、本実施形態では第1検知電流値、第2検知電流値を検知するときに、印加する帯電電圧、転写電圧を第1実施形態と同様に画像形成時に印加する帯電電圧、転写電圧の値とした例を示した。しかし、これも分離除電部材の汚れ検知専用の電圧値を設定するようにしてもよい。すなわち、第1検知電流値を検知するときは、感光体ドラム102と分離除電部材108との放電が転写ローラ105と分離除電部材108間の放電よりも支配的になるように、逆に第2検知電流値を検知するときは転写ローラ105と分離除電部材108間の放電が感光体ドラム102と分離除電部材108との間の放電よりも支配的になるように、それぞれに電圧を印加(OFFの場合も含む)すればよい。
【0133】
例えば、第1検知電流値を検知するときは、画像形成時よりも帯電電圧を−200V上げて、帯電電圧DC=−750V、AC=1300Vを印加し、感光体ドラムが−700Vに帯電されている場合は、分離除電電圧を−2200V印加し、転写ローラ105には転写電圧を印加しないことで、感光体ドラム102と分離除電部材108との間の電位差が1500Vになることで放電が開始され、感光体ドラムから分離除電部材に電流が流れ込み第1検知が可能としてもよい。
【0134】
また、帯電電圧を−200V下げて、帯電電圧DC=−350V、AC=1300Vを印加し感光体ドラムが−300Vに帯電されている場合は、分離除電電圧を−1800V印加し、転写ローラ105には転写電圧を印加しないことで、感光体ドラム102と分離除電部材108との間の電位差が1500Vになることで放電が開始され、感光体ドラムから分離除電部材に電流が流れ込み第1検知が可能としてもよい。
【0135】
第2検知電流値を検知する場合も同様に前述した値に限定する必要はなく、相互の放電状態が的確に行われるような検知用の帯電電圧、転写電圧、分離除電電圧をそれぞれ印加(OFFを含む)すればよい。
【符号の説明】
【0136】
P …記録媒体
101 …レーザプリンタ
102 …感光体ドラム
103 …帯電ローラ
104 …現像装置
105 …転写ローラ
106 …クリーニング装置
107 …露光装置
108 …分離除電部材
108a …除電針
109 …定着装置
111 …現像スリーブ
113 …排出部
115 …レジストローラ
116 …カセット
117 …ピックアップローラ
119 …排出ローラ対
201 …帯電電圧電源
202 …電流検出手段
203 …温湿度センサ
204 …メモリ
205 …閾値テーブル
206 …報知手段
207 …クリーニング手段
207a …クリーニング部材
210 …転写電圧電源
220 …交換回数検知手段
230 …通紙枚数カウンタ
231 …記憶手段
232 …ジャム処理検知手段
240 …分離除電電圧制御手段
301 …除電針ホルダ
400 …制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体を帯電させるために帯電電圧が印加される帯電手段と、
前記像担持体に形成された静電像をトナーによって現像する現像手段と、
前記現像手段によって像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写するために転写電圧が印加される、前記像担持体に対向して配置された転写手段と、
転写後の記録媒体を前記像担持体から分離するためのに前記像担持体に対向して配置された分離除電部材と、
前記分離除電部材に流れる分離電流を検出する電流検出手段と、
前記帯電手段に前記帯電電圧を印加した状態で前記電流検出手段によって検出された前記分離電流の第1検知電流値と、前記転写手段に前記転写電圧を印加した状態で前記電流検出手段によって検出された前記分離電流の第2検知電流値とに基づいて、前記分離除電部材に関する制御信号を出力する制御手段と、を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電流検出手段によって前記第1検知電流値を検出する場合は、前記像担持体と前記分離除電部材間の放電量が前記転写手段と前記分離除電部材間の放電量よりも大きくなるように、前記帯電電圧、前記転写電圧を設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段が前記電流検出手段によって前記第1検知電流値を検出する場合は、
前記帯電手段に前記帯電電圧が印加された前記像担持体と、該像担持体に先端が対向するように配置された前記分離除電部材との間に発生する放電量が前記転写電圧を印加した前記転写手段と該転写手段に隣合うように配置された前記分離除電部材との間に発生する放電量より大きくなるように転写電圧を印加しつつ、前記帯電手段に前記帯電電圧を印加した状態で前記第1検知電流値を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段が前記電流検出手段によって前記第1検知電流値を検出する場合は、前記転写手段に前記転写電圧を印加せずに、前記帯電手段に前記帯電電圧を印加した状態で前記第1検知電流値を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電流検出手段によって前記第2検知電流値を検出する場合は、前記転写手段と前記分離除電部材間の放電量が前記像担持体と前記分離除電部材間の放電量よりも大きくなるように、前記帯電電圧、前記転写電圧を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段が前記電流検出手段によって前記第2検知電流値を検出する場合は、
前記転写手段に前記転写電圧を印加したときの前記転写手段と前記分離除電部材との間に生ずる放電量が前記帯電手段に前記帯電電圧を印加したときの前記像担持体と前記分離除電部材との間に生ずる放電量より大きくなるように帯電電圧を印加しつつ、前記転写手段に前記転写電圧を印加した状態で前記第2検知電流値を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段が前記電流検出手段によって前記第2検知電流値を検出する場合は、前記帯電手段に画像形成時と同様の前記帯電電圧を印加しつつ前記転写手段に前記転写電圧を印加した状態で前記第2検知電流値を検出することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段が前記電流検出手段によって前記第2検知電流値を検出する場合は、前記帯電手段に前記帯電電圧を印加せずに、前記転写手段に前記転写電圧を印加した状態で前記第2検知電流値を検出することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段が出力した前記制御信号に基づいて、使用者に報知するために設けられた報知手段が前記分離除電部材に関する報知を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段が出力した前記制御信号に基づいて、前記分離除電部材をクリーニングするために設けられたクリーニング手段が前記分離除電部材をクリーニングすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1検知電流値に基づいて前記分離除電部材の交換要否を判別し、交換を不要と判別した場合には、前記第2検知電流値に基づいて前記分離除電部材のクリーニングの要否を判別することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
画像形成装置本体内の相対湿度と温度を検知する環境検知手段を備え、前記制御手段は、前記環境検知手段によって検知された相対湿度と温度に応じて前記第1検知電流値及び前記第2検知電流値に関するそれぞれの閾値を設定する閾値テーブルを有していることを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段の判別結果に基づいて前記分離除電部材を交換、又はクリーニングする旨の報知表示をおこなう表示手段とを備えることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段による前記第1検知電流値及び前記第2検知電流値の検出タイミングは、所定枚数の画像形成が実行された後、またはジャム処理が実行された後であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記分離除電部材をクリーニングするクリーニング手段を有し、
前記第2検知電流値に基づいて前記クリーニング手段が前記分離除電部材をクリーニングすることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−137754(P2012−137754A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269859(P2011−269859)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】