説明

画像形成装置

【課題】現像装置内で発生した高帯電トナー等の劣化現像剤を確実に回収して廃棄する手段を提供する。
【解決手段】画像形成装置が、潜像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像剤担持体と、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給手段と、現像剤担持体上の現像剤を回収すると共に劣化現像剤を蓄積する現像剤回収手段と、潜像担持体上に残留した現像剤を潜像担持体から除去する潜像担持体クリーニング部材とを備え、画像形成動作を行わない非画像形成時に、現像剤回収手段に蓄積された劣化現像剤を現像剤担持体に移動させ、現像剤担持体に移動させた劣化現像剤を潜像担持体に付着させ、潜像担持体に付着させた劣化現像剤を、潜像担持体クリーニング部材によって除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式によるプリンタは、帯電ローラにより、回転する感光体ドラムの表面を一様均一に帯電させた後、帯電された感光体ドラムの表面に露光ヘッドから画像情報に従った光照射を行って静電潜像を形成し、現像装置により、所定の帯電量を与えられたトナーを静電気力を利用して静電潜像に付着させてトナー画像を形成し、そのトナー画像を転写ローラにより用紙へ転写した後に、定着装置により定着させて画像を用紙に印刷している。
また、用紙への転写後に、感光体ドラムに残留した少量の残留トナーは、感光体ドラムに摺接するように設けられたドラムクリーニングブレードにより感光体ドラムから掻き取られ、廃トナー搬送スパイラルにより回収される。
【0003】
この画像形成時に現像装置においては、トナーカートリッジからトナー室に補給された未使用トナーは、供給ローラにより現像ローラに供給され、供給ローラと現像ローラとの間および層規制ブレードと現像ローラとの間での摩擦帯電により荷電され、層規制ブレードによって現像ローラ上に均一なトナー薄層として形成され、現像ローラ上に形成されたトナー薄層の中で、静電潜像の現像に用いられずに残った未現像トナーは、供給ローラによって掻き落されて一旦トナー室に回収され、再び未使用トナーと共に供給ローラから現像ローラに供給されようになっている。
【0004】
このため、プリンタを長期に亘って使用すると、トナーが劣化し、その帯電量が著しく増加した高帯電トナーが発生する場合があり、高帯電トナーは、現像装置から感光体ドラム上の非露光領域に移動しやすいため、汚れ印刷の原因となり、印刷品質を低下させてしまうという問題が生ずる。
この印刷品質の低下を防止するため、電子写真方式のプリンタにおいて、画像形成を行わない非画像形成時に層規制ブレードに印加する電圧や、感光体ドラム、現像ローラおよび供給ローラに印加する電圧の組合わせを、画像形成時の電圧の組合わせから変更し、高帯電トナーを感光体ドラムに付着させて廃棄しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−98631号公報(段落0030−0035、0123−0129、0167、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、層規制ブレードにより現像ローラ上に形成されたトナー薄層の中で、現像に用いられずに残った未現像トナーは、供給ローラによってトナー室に回収しているため、トナー室内に回収された高帯電トナーの中で供給ローラの近傍を除くトナー室内に存在する高帯電トナーを確実に現像ローラを経由して感光体ドラムに付着させて廃棄することが難しく、近年のプリンタの高速化に伴って、汚れ印刷が発生してしまう場合があるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、現像装置内で発生した高帯電トナー等の劣化現像剤を確実に回収して廃棄する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、画像形成装置が、潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給手段と、前記現像剤担持体上の前記現像剤を回収すると共に劣化現像剤を蓄積する現像剤回収手段と、前記潜像担持体上に残留した前記現像剤を前記潜像担持体から除去する潜像担持体クリーニング部材とを備え、画像形成動作を行わない非画像形成時に、前記現像剤回収手段に蓄積された前記劣化現像剤を前記現像剤担持体に移動させ、前記現像剤担持体に移動させた前記劣化現像剤を前記潜像担持体に付着させ、前記潜像担持体に付着させた前記劣化現像剤を、前記潜像担持体クリーニング部材によって除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、現像装置内で発生した劣化現像剤を現像剤回収手段で確実に回収して非画像形成時に自動的に廃棄することができ、高速印刷における汚れ印刷の発生を防止して、その印刷品質を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の画像形成部の概略構成の断面を示す説明図
【図2】実施例1の印刷機構の断面を示す説明図
【図3】実施例1の回収ローラの断面を示す説明図
【図4】実施例1のプリンタの制御システムを示すブロック図
【図5】実施例1の画像形成時および非画像形成時の各部の電圧を示す説明図
【図6】実施例1の制御動作のタイミングを示すタイムチャ−ト
【図7】実施例1の評価試験の評価結果を示す説明図
【図8】実施例2の画像形成時および非画像形成時の各部の電圧を示す説明図
【図9】実施例2の制御動作のタイミングを示すタイムチャ−ト
【図10】実施例2の評価試験の評価結果を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による画像形成装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
以下の説明においては、画像形成装置としてのプリンタは、非磁性1成分方式の電子写真方式のカラープリンタとして説明する。
図1において、1はプリンタの画像形成部であり、印刷用の媒体としての用紙2上に4色の現像剤としてのトナーによる現像剤画像としてのトナー画像を重ね合わせてカラー画像を形成し、そのカラー画像を用紙2上に転写して定着させ、用紙2に画像を形成する。
【0012】
本実施例の画像形成部1には、ブラック(K)、イエロ−(Y)、マゼンク(M)およびシアン(C)からなる各色の画像を形成する4つの印刷機構4k、4y、4m、4cが設けられており、各印刷機構4はそれぞれ同一の構造であるため、以下に一つの印刷機構4について説明する。
【0013】
印刷機構4は、図2に示すように、感光体ドラム5と、その周囲に配置された、帯電ローラ6、露光ヘッド7、現像装置8、転写ローラ9、ドラムクリーニングブレード10、除電装置11等を備えている。
また、現像装置8は、現像ローラ13、供給ローラ14、層規制ブレード15、回収ローラ16、トナーカートリッジ17、トナー室18等を備えている。
【0014】
潜像担持体としての感光体ドラム5は、アルミニウム等のドラム形状の導電体の外周面に光導電層が形成された円筒状部材であって、その光導電層上に静電潜像およびそれをトナーで現像したトナー画像が形成される。
また、感光体ドラム5の一端には、駆動モータ5aから回転駆動力を得るための図示しないギアが設けられており、図1に矢印Aで示す用紙2の搬送方向(用紙搬送方向Aという。)に用紙2を搬送する回転方向(図2において時計方向、搬送回転方向という。)に回転するように駆動される。
【0015】
帯電手段としての帯電ローラ6は、感光体ドラム5に接触して感光体ドラム5と逆方向(図2において反時計方向)に回転し、帯電ローラ6の電圧印加手段である帯電電圧電源6b(図4参照)から印加された帯電電圧Vchによって感光体ドラム5の表面を一様均一に帯電する。
露光手段としての露光ヘッド7は、感光体ドラム5の上方に対向配置され、複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)を備えており、画像情報に基づいて感光体ドラム5の表面を露光して静電潜像を形成する。
【0016】
現像剤担持体としての現像ローラ13は、ステンレス等の導電体を軸とし、その軸の外周面にゴム硬度70(アスカーC)のウレタンゴムの弾性体を被覆した円柱状部材であって、感光体ドラム5に接触して感光体ドラム5と逆方向(図2において反時計方向)に感光体ドラム5の周速度より速い周速度で回転し、現像ローラ13の電圧印加手段である現像電圧電源13bから印加された現像電圧Vdvによって感光体ドラム5の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。
【0017】
現像剤供給手段としての供給ローラ14は、ステンレス等の導電体を軸とし、その軸の外周面にゴム硬度50(アスカーF)のシリコーンの発泡性の弾性体を被覆した円柱状部材であって、現像ローラ13の表面に接触して現像ローラ13と同方向(図2において反時計方向)に回転し、供給ローラ14の電圧印加手段である供給電圧電源14bから印加された供給電圧Vspによって、現像剤収容器としてのトナーカートリッジ17から現像剤室としてのトナー室18に補給されたトナーを現像ローラ13に供給する。
【0018】
現像剤層規制部材としての層規制ブレード15は、弾性を有する金属である厚さ0.1mmのステンレス鋼からなる板状部材であって、図2に示すように、その一方の端部が現像装置8のフレームに固定され、他方の自由端を現像ローラ13に接触させて、供給ローラ14の、現像ローラ13の回転方向の下流側で、感光体ドラム5との間に設置され、供給ローラ14から現像ローラ13に供給されたトナーを薄層化する機能を有しており、層規制ブレード15の電圧印加手段である層規制電圧電源15bから層規制電圧Vblが印加される。
【0019】
現像剤回収手段としての回収ローラ16は、図3に示すように、ステンレス等の導電体を回収ローラ軸20とし、その回収ローラ軸20の外周面にシリコーンの発泡体からなる発泡体層21を被覆し、この発泡体層21の外周面に開き目10μmの網状部材を一巻して形成したメッシュ層22を備えた円柱状部材であって、感光体ドラム5の、現像ローラ13の回転方向の下流側で、供給ローラ14との間のトナー室18内に現像ローラ13の表面に接触して配置され(図2参照)、駆動モータ16aにより回転駆動されて画像形成時は現像ローラ13と同方向(図2に示す矢印B方向、正回転方向Bという。)に回収ローラ軸20を回転中心として回転し、現像ローラ13上に層規制ブレード15により形成されたトナー薄層の中で、感光体ドラム5の静電潜像の現像に用いられずに残った未現像現像剤としての未現像トナーを掻き落してトナー室18内に回収する。
【0020】
また、回収ローラ16は、画像形成時に、回収ローラ16の電圧印加手段である回収電圧電源16bから回収ローラ軸20に印加された回収電圧Vreによって、高帯電トナーや小粒径トナー等の劣化現像剤としての劣化トナーを発泡体層21内に蓄積する機能を有している。この発泡体層21への劣化トナーの蓄積作用については後述する。
更に、回収ローラ16は、画像形成動作を行わない非画像形成時に正回転方向Bとは逆方向(逆回転方向Cという。)に現像ローラ13と同じ周速度で回転して、回収ローラ16内に蓄積した劣化トナーを現像ローラ13へ移動させる機能を有している。
【0021】
転写手段としての転写ローラ9は、図2に示すように、感光体ドラム5に接触して用紙2を搬送する搬送ベルト23を挟んで感光体ドラム5に対向配置され、転写ローラ9の電圧印加手段である転写電圧電源9bから印加された転写電圧Vtrによって、搬送ベルト23により搬送される用紙2上に感光体ドラム5上に形成されたトナー画像を転写する。
【0022】
潜像担持体クリーニング部材としてのドラムクリーニングブレード10は、その先端を感光体ドラム5の表面に摺接させて、転写ローラ9の、感光体ドラム5の搬送回転方向の下流側に配置されており、トナー画像の用紙2への転写後に感光体ドラム5の表面に残留したトナーを掻き取って除去する。
【0023】
この感光体ドラム5上からドラムクリーニングブレード10によって除去されたトナーは、これを搬送するための空間である廃トナー搬送路24内に一旦収容され、廃トナー搬送スパイラル25によって図示しない廃トナー収容室に収容される。
廃現像剤搬送手段としての廃トナー搬送スパイラル25は、外周面に螺旋状の溝を形成した軸状部材であって、感光体ドラム5の図示しないギアの回転に同期して回転し、廃トナー搬送路24内に一旦収容されたトナーを、螺旋溝の回転により図示しない廃トナー収容室へ搬送する。
【0024】
除電手段としての除電装置11は、ドラムクリーニングブレード10の、感光体ドラム5の搬送回転方向の下流側で、帯電ローラ6との間に感光体ドラム5に対向配置されたLEDを光源とする装置であって、感光体ドラム5の帯電電位を初期化する機能を有している。
【0025】
媒体搬送手段としての搬送ベルト23は、図1に示すように、駆動モータ27aにより回転駆動される駆動ローラ27と従動ローラ28との間に掛け渡された無端ベルトであって、搬送ベルト23の回転方向の下流側の、従動ローラ28の近傍には、搬送ベルト23の表面に残留しているトナーを掻き取るための媒体搬送手段クリーニング部材としてのベルトクリーニングブレード29が、搬送ベルト23の表面に摺接するように配置されており、ベルトクリーニングブレード29により除去されたトナーは廃トナータンク30内に収容される。
【0026】
31は定着装置であり、搬送ベルト23の用紙搬送方向Aの下流側に配置され、駆動モータ32aにより回転駆動される加熱ローラ32とそれに用紙2の搬送経路を挟んで対向配置された加圧ローラ33等が設けられており、用紙2に転写されたトナー画像を加熱および加圧することにより溶融させてトナー画像を用紙2に定着させる。
【0027】
本実施例で用いるトナーは、結着樹脂としてポリエステル、着色剤としてカーボンブラック、銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue15)、キナクリドン系顔料(C.I.Pigment Red122)、C.I.Pigment Yellow185等を用いた負帯電性の粉砕トナーであり、その体積平均粒子径は5.5μm、流動性および帯電性を調整するため各帯電特性を持ったシリカ等の添加剤を外添して形成されている。なお、「C.I.」は、英国染料染色学会(SDC)に登録された染料や顔料の名称であることを示す。
【0028】
図4において、35はプリンタの制御部であり、感光体ドラム5を駆動する駆動モータ5a、駆動ローラ27を駆動する駆動モータ27a、加熱ローラ32を駆動する駆動モータ32a、回収ローラ16を駆動する駆動モータ16a、帯電ローラ6に帯電電圧Vchを印加する帯電電圧電源6b、現像ローラ13に現像電圧Vdvを印加する現像電圧電源13b、供給ローラ14に供給電圧Vspを印加する供給電圧電源14b、層規制ブレード15に層規制電圧Vblを印加する層規制電圧電源15b、回収ローラ軸20に回収電圧Vreを印加する回収電圧電源16b、転写ローラ9に転写電圧Vtrを印加する転写電圧電源9b、および露光ヘッド7等を制御して、画像形成時における印刷処理、画像形成動作を行わない非画像形成時における劣化トナー廃棄処理等を実行する。
【0029】
36はプリンタの記憶部であり、制御部35が実行する印刷処理や劣化トナー廃棄処理等を行う機能を有するプログラムやそれらの処理に用いる各種のデータ等を格納する読出し専用のROMや、制御部35による処理結果等を格納するRAM等を備えている。
また、記憶部36のROM内には、印刷処理時の帯電電圧Vch0、現像電圧Vdv0、供給電圧Vsp0、層規制電圧Vbl0、回収電圧Vre0、転写電圧Vtr0を設定した印刷時電圧テーブル37、および劣化トナー廃棄処理時の帯電電圧Vch1、現像電圧Vdv1、供給電圧Vsp1、層規制電圧Vbl1、回収電圧Vre1、転写電圧Vtr1を設定した劣化トナー廃棄時電圧テーブル38が予め格納されている(各電圧の値については図5参照)。
【0030】
以下に図5、図6を用いて本実施例のプリンタの印刷処理時(画像形成時)の各部の印刷動作について説明する。
図示しないパーソナルコンピュータ等の上位装置から印刷命令を受信すると、プリンタの制御部35は、印刷命令に従って印刷工程を開始し(図6に示す時間t1)、各駆動モータに対して駆動指令を送信して各部を回転させる。
【0031】
すなわち、制御部35は、駆動モータ5aによって、感光体ドラム5、帯電ローラ6、現像ローラ13、供給ローラ14を図2に示す矢印方向へ、駆動モータ27a、駆動モータ32aによって駆動ローラ27、加熱ローラ32を図1に示す矢印方向へ回転させると共に、駆動モータ16aによって回収ローラ16を正回転方向B、つまり現像ローラ13と同方向へ所定の周速度で回転させる。
【0032】
これと同時に、制御部35は、記憶部36内に格納されている印刷時電圧テーブル37から印刷時における各部への印加電圧を読取り、回転駆動開始に同期して、帯電電圧電源6bによって帯電ローラ6に帯電電圧Vch0を、現像電圧電源13bによって現像ローラ13に現像電圧Vdv0を、供給電圧電源14bによって供給ローラ14に供給電圧Vsp0を、層規制電圧電源15bによって層規制ブレード15に層規制電圧Vbl0を、回収電圧電源16bによって回収ローラ軸20に回収電圧Vre0を印加し、転写電圧電源9bによって転写ローラ9に転写電圧Vtr0を印加する。
【0033】
本実施例の印刷動作時における、帯電電圧Vch0、感光体ドラム電位Vdr0、現像電圧Vdv0、供給電圧Vsp0、層規制電圧Vbl0、回収電圧Vre0の各極性は、トナーの帯電極性と同極性であり、帯電電圧Vch0は−1000V、現像電圧Vdv0は−200V、供給電圧Vsp0は−300V、層規制電圧Vbl0は−300V、回収電圧Vre0は−100V、転写電圧Vtr0は+3000Vに設定されている(図5参照)。
【0034】
上記した印刷時の帯電ローラ6への帯電電圧Vch0の印加によって、感光体ドラム5の表面は印刷時の感光体ドラム電位Vdr0(−500V)に一様均一に帯電される(図5参照)。
そして、制御部35は、印刷命令に基づく画像情報(ペ−ジ信号、画像デ−タ等)に従って露光ヘッド7を発光させ、その光を感光体ドラム5に照射して、感光体ドラム5上の露光部分の表面電位を潜像電圧Vdreとした静電潜像を形成する。
【0035】
このとき、現像装置8のトナー室18内に収容されているトナーは、供給ローラ14の現像ローラ13と同方向への回転と、現像電圧Vdv0と供給電圧Vsp0により形成される電界による供給ローラ14から現像ローラ13へ向かう静電気力によって現像ローラ13へ供給され、現像ローラ13に供給されたトナーは、現像ローラ13の、感光体ドラム5の搬送回転方向と反対方向の回転により搬送され、現像ローラ13の回転方向下流側に接触して配置された層規制ブレード15により、均一な厚さのトナー薄層が現像ローラ13上に形成される。このトナー薄層の形成のときに、層規制電圧Vbl0によりトナー薄層中のトナーの帯電量が所定の値となる。
【0036】
層規制ブレード15を通過したトナーは、更に現像ローラ13の回転により感光体ドラム5の方向に搬送され、感光体ドラム5の潜像電圧Vdreと現像ローラ13の現像電圧Vdv0とによって発生させた電気力線の静電気力により現像ローラ13上のトナーが感光体ドラム5上の画像デ−タに応じて形成された静電潜像に付着し、静電潜像を現像したトナー画像が形成される。
【0037】
一方、用紙2が、搬送ベルト23の駆動ローラ27および従動ローラ28の図1に示す矢印方向への回転により用紙搬送方向Aへ搬送されて転写部へ達すると、感光体ドラム5に対向して設けられた転写ローラ9に印加されている転写電圧Vtr0により、用紙2上に感光体ドラム5上に形成されたトナー画像が転写され、その後に用紙2はさらに搬送ベルト23により定着装置31の方向へ搬送され、定着装置31において加熱ローラ32および加圧ローラ33によりトナーを溶融させてトナー画像を用紙2へ定着させ、トナー画像を定着させた用紙2はプリンタの外部へ排出される。
【0038】
そして、受信した印刷命令のペ−ジ分の露光ヘッド7の発光動作が完了し、対応するトナー画像が感光体ドラム5上に形成され、感光体ドラム5上のトナー画像が用紙2に転写され、用紙2上のトナー画像が定着装置31によって定着され、最後のページの用紙2がプリンタから排出された時点で印刷工程が終了し、その印刷工程時間はL0となる(図6参照)。
【0039】
上記したトナー画像の用紙2への転写のときに、転写後の感光体ドラム5上には若干のトナーが残留する場合があるが、この残留したトナーは、感光体ドラム5の搬送回転方向下流側に配置されたドラムクリーニングブレード10により除去され、除去されたトナーは廃トナー搬送スパイラル25の回転によって、廃トナー搬送路24中を図示しないトナー収容室へ向けて搬送され収容される。
【0040】
また、ドラムクリーニングブレード10を通過した感光体ドラム5の表面が感光体ドラム5の搬送回転方向の下流側に配置された除電装置11を通過すると、除電装置11からの光によって、感光体ドラム5上の未露光電荷等の残留電荷が除去され、感光体ドラム5の帯電電位が初期化される。こうして、感光体ドラム5は繰返し利用される。
また、搬送ベルト23上に残留したトナーは、搬送ベルト23の回転方向下流側に、搬送ベルト23に摺接して配置されたベルトクリーニングブレード29により除去され、除去されたトナーは廃トナータンク30に収容される。こうして、搬送ベルト23は繰返し利用される。
【0041】
更に、現像ローラ13上に形成されたトナー薄層で、感光体ドラム5の静電潜像の現像に用いられずに残った未現像トナーは、現像ローラ13と感光体ドラム5の接触部よりも現像ローラ13の回転方向の下流側に配置された回収ローラ18の正回転方向Bへの回転、つまり現像ローラ13と同方向への回転によって掻き取られ、トナー室18内に回収される。
【0042】
この未現像トナーの中には、供給ローラ14と現像ローラ13、層規制ブレード15と現像ローラ13、感光体ドラム5と現像ローラ13との間での摺擦により劣化したトナーが含まれている場合がある。なお、ここにいう劣化とは、トナーが摺擦による摩耗のため小粒径化したり、摺擦による添加剤はがれのために正常トナーより高電位に帯電したりすることをいう。
【0043】
このような小粒径トナーが、正常な大粒径トナー間の隙間に入り込むと、トナー薄層の密度が大きくなる結果、トナー薄層の表面電位が高くなって汚れ印刷の原因となる。
また、高帯電トナーは、その電位が感光体ドラム電位Vdr0よりも高くなってしまうことで非露光部に付着しやすくなり、小粒径トナーと同様に汚れ印刷の原因となる。
【0044】
本実施例では、これら小粒径トナーや高帯電トナーといった劣化トナーは、回収ローラ16によって未現像トナー中から選択的に回収して回収ローラ16の発泡体層21に蓄積することにより、未現像トナー中から劣化トナーを除去して、トナー室18内に劣化トナーが混入しないようにしている。
【0045】
すなわち、本実施例では、現像ローラ13に現像電圧Vdv0(本実施例では−200V)が、回収ローラ16の回収ローラ軸20に回収電圧Vre0(本実施例では−100V)が印加されているので、これらの電圧差により形成された電界により、現像ローラ13上のトナーは回収ローラ16側に向かう静電気力を受ける。
【0046】
中でも小粒径トナーは、回収ローラ16において、メッシュ層22と現像ローラ13の摺擦によりメッシュ層22を通り抜け、発泡体層21に蓄えられる。また、高帯電トナーは回収ローラ16において、現像ローラ13と回収ローラ軸20との間に形成された電界により、現像ローラ13から回収ローラ軸20へ向かうメッシュ層22を通り抜けることができるほど強い静電気力を受けるため、メッシュ層22を通り抜けて発泡体層21に蓄えられる。
【0047】
このように、本実施例の回収ローラ16には、メッシュ層22と発泡体層21が設けられているので、小粒径トナーと高帯電トナーを選択的に回収して回収ローラ16内に蓄積することができる。
また、劣化トナーが除去された未現像トナーは、トナー室18内へ戻され、供給ローラ14の回転によって未使用トナーと共に現像ローラ13へ供給され、静電潜像の現像に再び使用される。こうして、現像ローラ13は繰返し利用される。
上記のようにして、本実施例のプリンタによる印刷処理が実行される。
次に、本実施例のプリンタの劣化トナー廃棄処理の廃棄動作について説明する。
【0048】
以下に説明する劣化トナーを廃棄する劣化トナー廃棄工程は、上記した印刷動作(画像形成動作)以外の非印刷動作時(非画像形成時)に行われる。また、劣化トナーを廃棄するとは、少なくとも上記した劣化トナーを現像装置8から外部に排出することをいう。
【0049】
本実施例の劣化トナー廃棄処理においては、感光体ドラム5、帯電ローラ6、現像ローラ13、供給ローラ14は、駆動モータ5aによって図2に示す矢印方向へ、駆動ローラ27は駆動モータ27aによって図1に示す矢印方向へ回転し、回収ローラ16は駆動モータ16aによって逆回転方向C、つまり現像ローラ13と逆方向へ同じ周速度で回転する。なお、定着装置31は、待機状態へ移行する。
【0050】
また、各部への印加電圧は、記憶部36内に格納されている劣化トナー廃棄時電圧テーブル38に記録された各印加電圧が用いられ、帯電ローラ6には帯電電圧電源6bによって帯電電圧Vch1が、現像ローラ13には現像電圧電源13bによって現像電圧Vdv1が、供給ローラ14には供給電圧電源14bによって供給電圧Vsp1が、層規制ブレード15には層規制電圧電源15bによって層規制電圧Vbl1が、回収ローラ軸20には回収電圧電源16bによって回収電圧Vre1が印加され、転写ローラ9に転写電圧電源9bによって転写電圧Vtr1が印加される。
【0051】
本実施例の劣化トナー廃棄動作時における、帯電電圧Vch1、感光体ドラム電位Vdr1、現像電圧Vdv1、供給電圧Vsp1、層規制電圧Vbl1、回収電圧Vre1の各極性は、トナーの帯電極性と同極性であり、帯電電圧Vch1は0V、現像電圧Vdv1は−200V、供給電圧Vsp1は−200V、層規制電圧Vbl1は−300V、回収電圧Vre1は−1000V、転写電圧Vtr1は0Vに設定されている(図5参照)、上記した劣化トナー廃棄時の帯電ローラ6の帯電電圧Vch1=0Vによって、感光体ドラム5の表面の電位Vdr1=0Vになる(図5参照)。
【0052】
本実施例の劣化トナー廃棄時には、上記したように、供給電圧Vsp1の絶対値を現像電圧Vdv1の絶対値と同一に、回収電圧Vre1の絶対値を現像電圧Vdv1の絶対値よりも大きくしてその電圧差を+800Vとしている。また、層規制電圧Vbl1は印刷動作時と同じ−300Vであり、転写電圧Vtr1は印加せずに0Vになっている。
回収電圧Vre1の絶対値を現像電圧Vdv1の絶対値よりも大きくするのは、回収ローラ16内に蓄積された劣化トナーを現像ローラ13側へ移動させるためである。
【0053】
また、供給電圧Vsp1の絶対値と現像電圧Vdv1の絶対値を同一にするのは、トナー室18内の未使用トナーや正常に帯電された未現像トナーといった正常トナーが供給電圧Vsp1と現像電圧Vdv1とが形成する電界から受ける静電気力によって、現像ローラ13上のトナー薄層の形成に寄与しないようにするためである。また、現像ローラ13の表面上には、後述のように既に劣化トナーが付着しているため、現像ローラ13の回転と共に正常トナーが搬送される可能性が小さくなり、例え搬送できたとしても、その正常トナーは劣化トナー上に付着しているので、層規制ブレード15により掻き落とされ、層規制ブレード15を通過することはできない。
【0054】
本実施例の劣化トナー廃棄処理において、制御部35は上記した印刷処理で所定の枚数(本実施例では1000枚、この枚数設定については後述する。)の印刷を終えると(図6に示す時間t2)、記憶部36内に格納されている劣化トナー廃棄時電圧テーブル38から劣化トナー廃棄時における各部への印加電圧を読取り、帯電電圧電源6bによって帯電ローラ6に帯電電圧Vch1を、現像電圧電源13bによって現像ローラ13に現像電圧Vdv1を、供給電圧電源14bによって供給ローラ14に供給電圧Vsp1を、層規制電圧電源15bによって層規制ブレード15に層規制電圧Vbl1を、回収電圧電源16bによって回収ローラ軸20に回収電圧Vre1を印加し、転写電圧電源9bによって転写ローラ9の転写電圧Vtr1=0V(電源OFF)を印加する。
【0055】
また、制御部35は、時間t2において、駆動モータ5a、27aの回転を継続した状態で、駆動モータ16aに流す電流の向きを逆向きにして逆方向回転C、つまり現像ローラ13と逆方向の回転方向に切り替える。
【0056】
これにより、感光体ドラム5、現像ローラ13、供給ローラ14は図2の矢印方向に、駆動ローラ27は図1の矢印方向に、回収ローラ16は逆方向回転Cに現像ローラ13と回収ローラ16との周速度が同一になるように回転し、回収ローラ16の発泡体層21に蓄積されている劣化トナーは、回収ローラ16の回転に伴って、それらの接触部において回収ローラ軸20と現像ローラ13との電圧差によって、回収ローラ16から現像ローラ13へ向かう静電気力を受けて移動し、回収ローラ16と現像ローラ13とが摺擦せずに、劣化トナーが回収ローラ16から現像ローラ13へ移動する。
【0057】
この回収ローラ16の回転に伴って、その1周分の劣化トナーが現像ローラ13へ移り終えた時間が時間t3であり、この時間t3において回収電圧Vreは印刷時の回収電圧Vre0に切り替えられ、時間t4において、制御部35は露光ヘッド7の全ての発光素子を発光させて感光体ドラム5の露光を開始し、感光体ドラム5の全長に亘る表面上に静電潜像を形成し、時間t5においてその露光を終える。
【0058】
一方、現像ローラ13へ移動した劣化トナーは、現像ローラ13の回転に伴って、層規制ブレード15を通過し、層規制ブレード15を通過した劣化トナーは、更に現像ローラ13の回転により搬送され、時間t6において、回収ローラ16の1周分の劣化トナーの先頭が現像ローラ13と感光体ドラム5の接触部に到達すると、その接触部において感光体ドラム5の潜像電圧Vdreと現像ローラ13の現像電圧Vdv1とによって発生させた電気力線の静電気力によって、劣化トナーが現像ローラ13から感光体ドラム5へ移動し、時間t7において、回収ローラ16の1周分の劣化トナーが感光体ドラム5に移動し終える。
【0059】
感光体ドラム5上へ移動した劣化トナーは、感光体ドラム5の回転に伴って搬送され、ドラムクリーニングブレード10によって感光体ドラム5から掻き取られ、時間t8において、回収ローラ16の1周分の劣化トナーの除去を終える。
上記した時間t2から、回収ローラ16の1周分の劣化トナーがドラムクリーニングブレード10によって掻き取られるまでの時間が、本実施例の劣化トナー廃棄工程時間L1となる。
【0060】
この感光体ドラム5からドラムクリーニングブレード10によって除去された劣化トナーは、次回の印刷工程時間L0内に、廃トナー搬送スパイラル25によって廃トナー搬送路24を搬送され図示しないトナー収容部に収容される。
上記のようにして、本実施例のプリンタによる劣化トナー廃棄処理が実行される。
【0061】
本実施例の廃トナー廃棄処理における効果を確認するために、以下に示す評価試験を実施した。
【0062】
評価試験は、A4サイズの用紙に、印刷速度42ページ/分で0.3%dutyの連続印刷を行ったときに、何枚印刷する度に本実施例の劣化トナー廃棄工程を行えば汚れ印刷が発生しないかについて試験し、上記特許文献1のプリンタ(従来技術という。)と比較した。その評価結果を図7に示す。
なお、0.3%dutyとは、感光体ドラム5を露光ヘッド7で全面露光して用紙上の印刷可能面積の全てに印刷を行った場合を100%dutyとしたときに、印刷可能面積の0.3%の面積に相当する感光体ドラム5を露光して印刷を行った状態をいう。
【0063】
評価試験の印刷dutyを0.3%dutyしたのは、印刷部分において現像ローラ13上にトナー薄層が正常に形成されたことを確認すると共に、現像ローラ13上のトナー薄層の大部分を未現像トナーとして、劣化トナーの発生機会を増加させるためである。
図7に示すように、従来技術では、印刷速度を42ページ/分にして印刷を行うと汚れ印刷が発生してしまうが、本実施例ではA4サイズ用紙1000枚印刷毎に1回劣化トナー廃棄工程を行うことで、42ページ/分の印刷速度においても汚れのない良好な印刷品質が得られた。
【0064】
なお、上記評価試験において、印刷工程の終了毎に劣化トナー廃棄工程を行うと、必要以上にトナーの消費量が多くなってしまい、廃トナー搬送路24がトナーで詰まってしまうことがあったため、本実施例では、トナー廃棄処理を実行する所定の枚数を、用紙1000枚印刷毎に設定した。
【0065】
上記のように、本実施例では、著しく帯電量が高くなった高帯電トナーや小粒径トナーといった劣化トナーを、印刷工程において回収ローラ16内に一旦蓄積し、その蓄積した劣化トナーを、非画像形成時の劣化トナー廃棄工程において回収ローラ16から現像ローラ13を経由して感光体ドラム5上に移動させ、感光体ドラム5上に移動させた劣化トナーをドラムクリーニングブレード10によって除去して廃棄するので、回収ローラ16の劣化トナーの蓄積効率の低下を抑制することができ、その結果、汚れ印刷といった印刷不良の発生を防止して、常に良好な印刷品質の出力画像を得ることができる。
また、本実施例の劣化トナー廃棄工程においては、供給ローラ14と現像ローラ13に印加する電圧を同一に設定してあるので、正常トナーが供給ローラ14から現像ローラ13へ供給されることを防止することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施例では、プリンタの現像装置に、現像ローラ上の未現像トナーを回収すると共に劣化トナーを蓄積する回収ローラを設け、画像形成動作を行わない非画像形成時に、回収ローラに蓄積された劣化トナーを現像ローラに移動させ、現像ローラに移動させた劣化トナーを感光体ドラムに付着させ、感光体ドラムに付着させた劣化トナーを、ドラムクリーニングブレードによって除去するようにしたことによって、現像装置内で発生した劣化トナーを回収ローラで確実に回収して非画像形成時に自動的に廃棄することができ、高速印刷における汚れ印刷の発生を防止して、その印刷品質を向上させることができる。
【実施例2】
【0067】
以下に、図8ないし図10を用いて本実施例のプリンタについて説明する。なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0068】
本実施例の記憶部36のROM内には、上記実施例1と同様の各部の印刷処理時の印加電圧を設定した印刷時電圧テーブル37、および劣化トナー廃棄処理時における帯電電圧Vch1、現像電圧Vdv1、供給電圧Vsp1、層規制電圧Vbl1、回収電圧Vre1を上記実施例1と同様の印加電圧に設定し、劣化トナー廃棄処理時における転写電圧Vtr1を+3000Vに設定した劣化トナー廃棄時電圧テーブル38が予め格納されている(各電圧の値については図8参照)。
【0069】
本実施例のプリンタの印刷処理時(画像形成時)における各部の印刷動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
以下に図8、図9を用いて本実施例のプリンタの劣化トナー廃棄処理の廃棄動作について説明する。本実施例の劣化トナー廃棄処理は、上記実施例1と同様に、印刷動作(画像形成動作)以外の非印刷動作時(非画像形成時)に行われる。
【0070】
劣化トナー廃棄処理において、制御部35は印刷処理で所定の枚数(本実施例では1000枚)の印刷を終えると(図9に示す時間t2)、記憶部36内に格納されている劣化トナー廃棄時電圧テーブル38から劣化トナー廃棄時における各部への印加電圧を読取り、帯電電圧電源6bによって帯電ローラ6に帯電電圧Vch1を、現像電圧電源13bによって現像ローラ13に現像電圧Vdv1を、供給電圧電源14bによって供給ローラ14に供給電圧Vsp1を、層規制電圧電源15bによって層規制ブレード15に層規制電圧Vbl1を、回収電圧電源16bによって回収ローラ軸20に回収電圧Vre1を印加し、転写電圧電源9bによって転写ローラ9の転写電圧Vtr1として+3000Vを印加する。
【0071】
また、制御部35は、時間t2において、駆動モータ5aの回転を継続した状態で、駆動モータ16aに流す電流の向きを逆向きにして逆方向回転C、つまり現像ローラ13と逆方向の回転方向に切り替える。
その後の、時間t7までの各部の動作および劣化トナーの動きは、上記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
感光体ドラム5上へ移動した劣化トナーは、感光体ドラム5の回転に伴って搬送され、感光体ドラム5と搬送ベルト23の接触部に搬送されたトナーは、感光体ドラム5と転写ローラ9の電圧差によって感光体ドラム5から搬送ベルト23上へ転写されて移動し、時間t8aにおいて、回収ローラ16の1周分の劣化トナーが搬送ベルト23上へ移動し終える。
上記した時間t2から、回収ローラ16の1周分の劣化トナーが搬送ベルト23上へ移動し終えるまでの時間が、本実施例の劣化トナー廃棄工程時間L1aとなる。
【0073】
この感光体ドラム5から搬送ベルト23上へ移動した劣化トナーは、次回の印刷工程時間L0内に、搬送ベルト23の回転に伴ってベルトクリーニングブレード29へ搬送され、ベルトクリーニングブレード29によって掻き取られ、除去された劣化トナーは廃トナータンク30内に収容される。
【0074】
なお、搬送ベルト29への転写後に、感光体ドラム5上に残留したトナーは、上記実施例1と同様に、ドラムクリーニングブレード10により除去され、除去されたトナーは、次回の印刷工程時間L0内に廃トナー搬送スパイラル25によって、廃トナー搬送路24を搬送され図示しないトナー収容室に収容される。
このようにして、本実施例のプリンタによる劣化トナー廃棄処理が実行される。
【0075】
上記のように、本実施例では、劣化トナー廃棄処理において転写ローラ9に転写電圧Vtr1=+3000Vを印加して、感光体ドラム5上へ移動させた劣化トナーを搬送ベルト23上へ転写により移動させ、搬送ベルト23上へ移動させた劣化トナーをベルトクリーニングブレード29で除去して廃トナータンク30内に収容するので、劣化トナーが廃トナー搬送路24内で詰まることが防止される。
【0076】
本実施例の廃トナー廃棄処理における効果を確認するために、以下に示す評価試験を実施した。
評価試験は、A4サイズの用紙に、印刷速度42ページ/分で0.3%dutyの連続印刷を行ったときに、何枚印刷する度に本実施例の劣化トナー廃棄工程を行えば廃トナー搬送路24にトナー詰りが発生しないかについて試験し、上記実施例1のプリンタと比較した。その評価結果を図10に示す。
【0077】
図10に示すように、実施例1のプリンタでは、印刷速度を42ページ/分にしてA4サイズ用紙1000枚未満毎に実施例1の劣化トナー廃棄工程を行うと廃トナー搬送路24にトナー詰りが発生してしまうが、本実施例では42ページ/分の印刷速度においてA4サイズ用紙100枚印刷毎に1回、本実施例の劣化トナー廃棄工程を行っても、廃トナー搬送路24にトナー詰りが発生しないことが判った。
【0078】
なお、本実施例の劣化トナー廃棄工程を行った場合における汚れ印刷の発生についての評価試験の結果は、上記実施例1の場合と同様であった。
【0079】
上記のように、本実施例では、著しく帯電量が高くなった高帯電トナーや小粒径トナーといった劣化トナーを、印刷工程において回収ローラ16内に一旦蓄積し、その蓄積した劣化トナーを、非画像形成時の劣化トナー廃棄工程において回収ローラ16から現像ローラ13を経由して感光体ドラム5上に移動させ、感光体ドラム5上に移動させた劣化トナーを更に搬送ベルト23上に移動させてベルトクリーニングブレード29によって除去して廃棄するので、回収ローラ16の劣化トナーの蓄積効率の低下を抑制することができ、その結果、汚れ印刷といった印刷不良の発生を防止して、常に良好な印刷品質の出力画像を得ることができる。
【0080】
また、本実施例の劣化トナー廃棄工程においては、供給ローラ14と現像ローラ13に印加する電圧を同一に設定してあるので、正常トナーが供給ローラ14から現像ローラ13へ供給されることを防止することができる。
【0081】
更に、上記実施例1の劣化トナー廃棄工程では、高温、高湿、例えば温度28℃、湿度80%で、80%dutyでの連続印刷といったトナーの固まりやすい極端な環境下において、廃トナー搬送路24でトナー詰りが発生することがあったが、本実施例の劣化トナー廃棄工程では、劣化トナーを搬送ベルト23へ移動させてベルトクリーニングブレード29で除去し廃トナータンク30内に回収するので、前記のような極端な環境下であってもトナー詰りが発生することはない。
【0082】
以上説明したように、本実施例では、プリンタの現像装置に、現像ローラ上の未現像トナーを回収すると共に劣化トナーを蓄積する回収ローラを設け、画像形成動作を行わない非画像形成時に、回収ローラに蓄積された劣化トナーを現像ローラに移動させ、現像ローラに移動させた劣化トナーを感光体ドラムに付着させ、感光体ドラムに付着させた劣化トナーを、転写ローラによって搬送ベルトに転写し、搬送ベルトに転写された劣化トナーを、ベルトクリーニングブレードで除去するようにしたことによって、現像装置内で発生した劣化トナーを回収ローラで確実に回収して非画像形成時に自動的に廃棄することができ、高速印刷における汚れ印刷の発生を防止して、その印刷品質を向上させることができると共に、廃トナー搬送路におけるトナー詰りの発生を防止することができる。
【0083】
なお、上記各実施例においては、画像形成装置は、非磁性1成分方式の電子写真方式のカラープリンタあるとして説明したが、画像形成装置は前記に限らず、電子写真方式を用いた画像形成部を有するモノクロプリンタ、複写機等であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 画像形成部
2 用紙
4 現像装置
5 感光体ドラム
5a、16a、27a、32a 駆動モータ
6 帯電ローラ
6b 帯電電圧電源
7 露光ヘッド
8 現像装置
9 転写ローラ
9b 転写電圧電源
10 ドラムクリーニングブレード
11 除電装置
13 現像ローラ
13b 現像電圧電源
14 供給ローラ
14b 供給電圧電源
15 層規制ブレード
15b 層規制電圧電源
16 回収ローラ
16b 回収電圧電源
17 トナーカートリッジ
18 トナー室
20 回収ローラ軸
21 発泡体層
22 メッシュ層
23 搬送ベルト
24 廃トナー搬送路
25 廃トナー搬送スパイラル
27 駆動ローラ
28 従動ローラ
29 ベルトクリーニングブレード
30 廃トナータンク
31 定着装置
32 加熱ローラ
33 加圧ローラ
35 制御部
36 記憶部
37 印刷時電圧テーブル
38 トナー廃棄時電圧テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
前記潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給手段と、
前記現像剤担持体上の前記現像剤を回収すると共に劣化現像剤を蓄積する現像剤回収手段と、
前記潜像担持体上に残留した前記現像剤を前記潜像担持体から除去する潜像担持体クリーニング部材とを備え、
画像形成動作を行わない非画像形成時に、前記現像剤回収手段に蓄積された前記劣化現像剤を前記現像剤担持体に移動させ、
前記現像剤担持体に移動させた前記劣化現像剤を前記潜像担持体に付着させ、
前記潜像担持体に付着させた前記劣化現像剤を、前記潜像担持体クリーニング部材によって除去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
潜像担持体と、
前記潜像担持体上の潜像を現像剤で現像する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給手段と、
前記現像剤担持体上の前記現像剤を回収すると共に劣化現像剤を蓄積する現像剤回収手段と、
前記潜像担持体上の現像された潜像を媒体上に転写する転写手段と、
前記潜像担持体と接触し、前記媒体を搬送する媒体搬送手段と、
前記媒体搬送手段上に残留した前記現像剤を前記媒体搬送手段から除去する媒体搬送手段クリーニング部材とを備え、
画像形成動作を行わない非画像形成時に、前記現像剤回収手段に蓄積された前記劣化現像剤を前記現像剤担持体に移動させ、
前記現像剤担持体に移動させた前記劣化現像剤を前記潜像担持体に付着させ、
前記潜像担持体に付着させた前記劣化現像剤を、前記転写手段によって前記媒体搬送手段に転写し、
前記媒体搬送手段に転写された前記劣化現像剤を、前記媒体搬送手段クリーニング部材で除去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記現像剤回収手段は、前記非画像形成時に前記現像剤担持体の回転方向の逆方向に回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤回収手段は、前記現像剤の中から小粒径の現像剤を選択的に蓄積することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記現像剤回収手段は、回転中心となる軸と、前記軸の外周面に被覆され前記劣化現像剤を蓄積する発泡体層と、前記発泡体層の外周面に設けられたメッシュ層とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤担持体および前記現像剤回収手段に電圧を印加する電圧印加手段を備え、
前記電圧印加手段は、前記非画像形成時に、前記現像剤担持体および前記現像剤回収手段の電圧の極性を前記現像剤の帯電極性と同じ極性とし、かつ前記現像剤担持体の電圧の絶対値を、前記現像剤回収手段の電圧の絶対値未満として印加することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−141444(P2012−141444A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294018(P2010−294018)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】