説明

画像形成装置

【課題】画像形成手段と記録媒体との接触防止を図る。
【解決手段】各浮き上がり量検出センサ204によって検出された複数の第1浮き上がり量に基づいて、インクジェットヘッド172と対向する位置における記録媒体124の第2浮き上がり量を予測する予測手段と、予測手段が予測した第2浮き上がり量に基づいて、描画ドラム170の搬送速度を下げる又はインクジェットヘッド172を描画ドラム170から退避させる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置として、多数のノズルを配列させた液滴吐出ヘッドを有し、この液滴吐出ヘッドに対して記録媒体を相対的に搬送し、ノズルから記録媒体に向けてインク等の液滴を吐出することにより、記録媒体上に画像(文字を含む)を形成する液体吐出記録方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような液体吐出記録方式の画像形成装置は、液滴吐出ヘッドのノズル面が記録媒体に近接して液滴を吐出するため、記録媒体の姿勢によっては、記録媒体がノズルに接触し、記録媒体に汚れが付着したり、逆にノズル面が傷ついたり、あるいは紙粉がノズルに詰まったりして不吐出等の不具合が発生することがある。
【0004】
また、液体吐出記録方式以外の画像形成装置においても、記録媒体が液滴吐出ヘッドに代わる画像形成手段に接触し、画像の品質を低下させる懸念がある。
【0005】
このような問題に対して、特許文献1には、記録媒体の浮き上がり量を検出する浮き上がり検出器(浮き上がり量検出手段)が、記録媒体の所定量以上の浮き上がりを検出した場合には、液滴吐出ヘッドを記録媒体から退避させて記録を停止する画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、搬送機構で搬送される記録媒体までの距離を検出するセンサ(浮き上がり量検出手段)の検出結果に基づいて、記録媒体の搬送の異常を検出する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許2733927号公報
【特許文献2】特許3951858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の構成の場合、浮き上がり検出器等の浮き上がり量検出手段を通過した後に、記録媒体に浮き上がりが発生すると、浮き上がり浮き上がり量検出手段通過時には浮き上がりが検出されなかったにもかかわらず、記録媒体が画像形成手段に接触することがある。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、画像形成手段と記録媒体との接触防止を図ることのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段と対向する位置へ前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記画像形成手段よりも前記記録媒体の搬送方向上流側で、前記搬送方向の異なる箇所にそれぞれ配置され、前記記録媒体が通過する時の前記搬送手段からの第1浮き上がり量を検出する複数の浮き上がり量検出手段と、前記浮き上がり量検出手段によって検出された通過時の前記記録媒体の第1浮き上がり量に基づいて、前記画像形成手段と対向する位置における前記記録媒体の第2浮き上がり量を予測する予測手段と、前記予測手段が予測した前記第2浮き上がり量に基づいて、前記搬送手段の搬送速度を下げ又は前記画像形成手段を前記搬送手段から退避させる制御手段と、を備える。
【0011】
この構成によれば、予測手段が、各浮き上がり量検出手段を記録媒体が通過した時に検出した複数の第1浮き上がり量に基づいて、画像形成手段と対向する位置における第2浮き上がり量を予測する。そして、制御手段が、予測手段が予測した第2浮き上がり量に基づいて、搬送手段の搬送速度を下げる(搬送手段の停止も含む)又は画像形成手段を搬送手段から退避させるので、画像形成手段と記録媒体との接触防止を図ることができる。
【0012】
本発明の第2態様に係る画像形成装置は、第1態様において、各浮き上がり量検出手段のうち前記搬送方向の最下流側の浮き上がり量検出手段と、前記画像形成手段との間の距離は、用紙搬送の制動距離よりも長く設定されている。
【0013】
この構成によれば、画像形成手段と対向する位置に記録媒体が搬送される前までに、搬送手段の搬送速度が下がり、又は画像形成手段を搬送手段から退避させるのが完了するため、画像形成手段と記録媒体との接触を確実に防止することができる。
【0014】
本発明の第3態様に係る画像形成装置では、第1態様又は第2態様において、前記搬送手段は、前記記録媒体を回転して搬送する描画胴であり、前記画像形成手段は、液滴を吐出するノズルを備えた液滴吐出ヘッドであり、前記液滴吐出ヘッドよりも前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記描画胴で搬送される前記記録媒体を押さえる用紙押さえ部材を備え、前記浮き上がり量検出手段は、前記用紙押さえ部材と前記液滴吐出ヘッドの間の複数箇所に配置されている。
【0015】
この構成によれば、記録媒体が用紙押さえ部材を通過した後に、記録媒体に浮き上がりが発生しても、用紙押さえ部材と液滴吐出ヘッドとの間での第1浮き上がり量を、用紙押さえ部材と前記液滴吐出ヘッドの間の複数箇所に配置された浮き上がり量検出手段で検出することができる。このため、予測手段での第2浮き上がり量の予測も正確となる。
【0016】
本発明の第4態様に係る画像形成装置では、第3態様において、前記予測手段は、前記浮き上がり量検出手段が検出した複数の第1浮き上がり量と前記用紙押さえ部材を前記記録媒体が通過した後の検出時間との相関関係から、前記記録媒体が前記液滴吐出ヘッドと対向する位置に到達する時間での前記第2浮き上がり量を予測し、前記制御手段は、前記予測手段の予測した前記第2浮き上がり量が、予め設定している前記搬送手段と前記記録媒体までの距離以上の場合、前記搬送手段を制御して前記記録媒体の搬送を停止する。
【0017】
この構成によれば、記録媒体が液滴吐出ヘッドの手前で停止するので、液滴吐出ヘッドと記録媒体との接触を確実に防止することができる。
【0018】
本発明の第5態様に係る画像形成装置では、第4態様において、前記予測手段は、前記用紙押さえ部材を前記記録媒体が通過した後の時間が200ミリ秒未満の間の複数の第1浮き上がり量に基づき、200ミリ秒の時の第1浮き上がり量を線形で予測し、この予測した第1浮き上がり量を前記第2浮き上がり量とする。
【0019】
この構成によれば、用紙押さえ部材を前記記録媒体が通過した後200ミリ秒の時に予測された第1浮き上がり量が、記録媒体が前記液滴吐出ヘッドと対向する位置に到達する時間での実際の第2浮き上がり量とほぼ同一であるという経験則に基づいているため、第2浮き上がり量を過剰に予測しない。
【0020】
本発明の第6態様に係る画像形成装置は、第4態様において、前記用紙押さえ部材を前記記録媒体が通過した後の時間と、第1浮き上がり量と、第2浮き上がり量との関係を、データとして対応させたテーブルを複数格納した記憶手段を備え、前記予測手段は、前記記憶手段に格納してあるテーブルのうち、前記浮き上がり量検出手段により検出したときの、それぞれの第1浮き上がり量と、一番近いデータを有しているテーブルを選定し、選定したテーブルにある前記第2浮き上がり量を前記制御手段に出力する。
【0021】
この構成によれば、予測手段が第2浮き上がり量を予測するために、記憶手段に格納してあるテーブルのうち、前記浮き上がり量検出手段により検出したときの、それぞれの第1浮き上がり量と、一番近いデータを有しているテーブルを選定し、選定したテーブルにある前記第2浮き上がり量を制御手段に出力するだけでよいので、第2浮き上がり量の予測が速くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像形成手段と記録媒体との接触防止を図ることのできる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図2は、本第1実施形態のインクジェット記録装置の主要部である記録媒体搬送装置を拡大して示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【図4】図4は、本実施形態の画像形成方法における記録媒体の浮き上がり量検出とその後の処理に関する動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】図5(A)〜(C)は、描画ドラムによって搬送される記録媒体の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について具体的に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0025】
図1は、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0026】
このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(以下、単に「用紙」ともいう)にインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
【0027】
すなわち、図1に示すように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122を備えて構成されている。
【0028】
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙されるようになっている。
【0029】
本実施形態でのインクジェット記録装置100では、記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(図示省略)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。
【0030】
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
【0031】
図1に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
【0032】
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
【0033】
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
【0034】
描画部116は、描画ドラム170、及びインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Y(以下、インクジェットヘッド172と総称する場合がある)を備えている。
【0035】
描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に記録媒体の先端部を保持固定する爪形状の保持手段(グリッパー)171を備えている。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yからインクが付与される。
【0036】
インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yは、それぞれ記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置されている。
【0037】
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成されるようになっている。
【0038】
以上のように構成された描画部116により、記録媒体124に対してシングルパスで描画を行うことができる。
【0039】
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
【0040】
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム176及び溶媒乾燥装置178を備えている。
【0041】
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0042】
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
【0043】
各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
【0044】
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
【0045】
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体124の記録面が外側を向くように(すなわち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124の皺や浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
【0046】
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184に受け渡される。
【0047】
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0048】
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
【0049】
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
【0050】
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
【0051】
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば、60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
【0052】
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0053】
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度は50℃以上に設定されている。定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
【0054】
なお、熱可塑性樹脂粒子を含んだインクに代えて、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
【0055】
定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122には、排紙ユニット192が設置される。定着部120の定着ドラム184から排紙ユニット192までの間に、渡し胴194、195、搬送チェーン196が設けられている。搬送チェーン196は、張架ローラ197、198に巻き掛けられている。定着ドラム184を通過した記録媒体124は、渡し胴194、195を介して、搬送チェーン196に送られ、搬送チェーン196から排紙ユニット192へと受け渡される。
【0056】
また、図1には示されていないが、本実施形態のインクジェット記録装置100は、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
【0057】
なお、以上説明した、インクジェット記録装置100の構成のうち、処理液ドラム154と、描画ドラム170と、乾燥ドラム176と、定着ドラム184と、これらの間の各中間搬送部126,128,130等が、本発明の第1実施形態に係る記録媒体搬送装置200を構成する。
【0058】
<中間搬送部(渡し胴)の詳細>
図2に、本第1実施形態のインクジェット記録装置100の主要部である記録媒体搬送装置200を拡大して示し、本第1実施形態に係る記録媒体搬送装置200の特に描画ドラム170付近についてさらに詳しく説明する。
【0059】
図2に示すように、記録媒体搬送装置200では、処理液ドラム154、中間搬送部126(第1渡し胴)、描画ドラム170、中間搬送部128(第2渡し胴)、乾燥ドラム176、中間搬送部130(第3渡し胴)及び定着ドラム184が、並んで配置され、それぞれのドラムにより記録媒体124が搬送され、搬送されるうちに処理液付与、描画、乾燥、定着(硬化)が順に行われるようになっている。
【0060】
ここで、描画ドラム170上には、インクジェットヘッド172よりも記録媒体124の搬送方向上流側に、描画ドラム170で搬送される記録媒体124の皺をとるため当該記録媒体124を押さえる用紙押さえローラ202が設けられている。
【0061】
この用紙押さえローラ202と、インクジェットヘッド172との間で描画ドラム170の外周面上には、本実施形態に係る特別の構成として、搬送される記録媒体124の描画ドラム170からの浮き上がり量を検出する浮き上がり量検出センサ204が複数箇所(本実施形態では3箇所)に設置されている。なお、「浮き上がり量」とは、記録媒体124の浮きだけでなく、記録媒体124の折れによる盛り上がり、あるいは異物の付着等も含んで総称している。また、「浮き上がり量」としては、浮き上がり量検出センサ204が随時検出した記録媒体124の各箇所での浮き上がり量の最大値を使用することができる。
また、浮き上がり量検出センサ204の種類としては、特に限定されるものではなく、一般的な光学センサを用いることができる。例えば、一方向から光をあてて反対側で受光したり、あるいは向こう側に反射面を配置して反射光を受光したりして、その光の遮られ方により用紙(記録媒体124)の浮きを検出する構成とすることができる。
【0062】
また、各浮き上がり量検出センサ204のうち記録媒体124の搬送方向の最下流側の浮き上がり量検出センサ204は、インクジェットヘッド172(特にインクジェットヘッド172M)との間の距離Dが、用紙搬送の制動距離よりも長く設定されている。
【0063】
<制御系の説明>
図3は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【0064】
インクジェット記録装置100は、通信インターフェース80、システム制御部(システムコントローラ)82、画像メモリ84、モータドライバ86、ヒータドライバ88、プリント制御部90、メンテナンス制御部92、ヘッドドライバ94等を備えている。
【0065】
通信インターフェース80は、ホストコンピュータ96から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース80にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリを搭載してもよい。ホストコンピュータ96から送出された画像データは通信インターフェース80を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦画像メモリ84に記憶される。
【0066】
画像メモリ84は、通信インターフェース80を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システム制御部82を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ84は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0067】
システム制御部82は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システム制御部82は、通信インターフェース80、画像メモリ84、モータドライバ86、ヒータドライバ88等の各部を制御し、ホストコンピュータ96との間やヒータ99を制御する制御信号を生成する。
【0068】
画像メモリ84には、システム制御部82のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、画像メモリ84は、書き換え不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書き換え可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ84は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域として利用するようにしてもよい。
【0069】
また、システム制御部82には、各種制御プログラムを格納したEEPROM85や画像データに対して各種画像処理を施す画像処理部87が接続されている。システム制御部82からの指令に応じて、EEPROM85から制御プログラムが読み出され、実行される。なお、EEPROM85は、動作パラメータ等の記憶手段と兼用するようにしてもよい。
【0070】
モータドライバ86は、システム制御部82からの指示にしたがってモータ98を駆動するドライバである。図3には、インクジェット記録装置100の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号98で表示している。例えば、図3のモータ98には、図1の中間搬送部126、128や渡し胴152、処理液ドラム154、描画ドラム170、乾燥ドラム176、定着ドラム184などを駆動するモータなどが含まれる。
【0071】
詳しくは後述するが、搬送されている記録媒体124に用紙浮きや異物の付着が発生して記録媒体124の浮き上がり量が高くなりそのまま搬送するとインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yに記録媒体124が接触してしまう虞がある場合に、システム制御部82はモータドライバ86を介して、記録媒体124の給紙や搬送を停止する等の制御を行う。
【0072】
ヒータドライバ88は、システム制御部82からの指示にしたがって、ヒータ99を駆動するドライバである。図3には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヒータを代表して符号99で表示している。例えば、図3に示すヒータ99には、図1に示す処理液付与部114のヒータや乾燥部118のハロゲンヒータなどが含まれる。
【0073】
なお、システム制御部82には、この他にメンテナンス制御部92が接続されている。メンテナンス制御部92は、システム制御部82からの指示にしたがって、キャップ及びクリーニングブレードを含むメンテナンスユニット(図示省略)を駆動するメンテナンス駆動部93を制御するものである。
【0074】
プリント制御部90は、システム制御部82の制御に従い、画像メモリ84内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、印字に先立ち、処理液付与ドライバ95を制御して、処理液塗布装置156から記録媒体124に対して処理液を付与するとともに、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ94に供給する制御部である。プリント制御部90において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ94を介してインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0075】
インライン検出部91は、インラインセンサ190から得られる情報に基づいて、吐出異常ノズルを判断する不吐出検出を行うものである。
【0076】
インライン検出部91が不吐出検出を行う場合には、吐出異常ノズルを判断するとともに、画像補正によって当該吐出異常ノズルの補正が可能である場合には、画像補正を実行するように、システム制御部82を介して各部へ制御信号を送出する。また、画像補正によって対応できない場合には、当該吐出異常ノズルに対して予備吐出や吸引等の回復動作を行うようにシステム制御部82を介して各部へ制御信号を送出する。
【0077】
また、システム制御部82には、浮き上がり量検出センサ部20及びヘッド高さ制御部30が接続されている。
【0078】
浮き上がり量検出センサ部20は、上述した3つの浮き上がり量検出センサ204から構成されている。
【0079】
ヘッド高さ制御部30は、インクジェットヘッド172の、描画ドラム170上を搬送される記録媒体124表面に対する相対的な位置(高さ)を制御するものである。詳しくは後述するが、例えば、搬送されて来る記録媒体124に用紙浮きが発生して、記録媒体124がインクジェットヘッド172に接触しそうな場合には、インクジェットヘッド172の描画ドラム170に対する高さを高くして接触を回避するように制御するものである。なお、インクジェットヘッド172の高さを変更する具体的な構成は、特に限定されるものではなく、例えばピニオン・ラック等の歯車を用いた機械的機構を適用することができる。
【0080】
また、記録媒体124とインクジェットヘッド172との距離は通常は1mmに設定されている。また、インクジェットヘッド172は、記録媒体124が浮き上がらずに正常に搬送される場合の記録媒体表面(搬送ドラム表面に記録媒体124の厚みを加えた高さに当たる正常な記録媒体表面)から3mmの距離まで上昇可能であり、その中間の2mmの位置に停止することも可能なように構成されている。ここで、3mmの高さは、インクジェットヘッド172が搬送部上に上昇できる最高値であり、また2mmの高さは、インクジェットヘッド172から記録媒体124に向けてインク液滴を吐出可能な高さの限界である。
【0081】
<システム制御部の一部フロー>
図4は、本実施形態の画像形成方法における記録媒体124の浮き上がり量検出とその後の処理に関する動作シーケンスを示すフローチャートである。以下、図4のフローチャートに沿って、本実施形態の画像形成方法における記録媒体124の浮き上がり量検出とその後の処理に関する動作シーケンスについて説明する。なお、以下の括弧内は図中のステップ識別符号である。
【0082】
(S100)処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124が、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡されて、描画ドラム170上の用紙押さえローラ202を通過すると、浮き上がり量検出センサ部20のうち1つ目の浮き上がり量検出センサ204によって、記録媒体124の浮き上がり量が検出される。そして、この浮き上がり量は、システム制御部82によって取得される。なお、以下、浮き上がり量検出センサ204によって検出される浮き上がり量を第1浮き上がり量とする。
(S102)システム制御部82は、取得した第1浮き上がり量が、予め設定している描画ドラム170と記録媒体124まで距離HTD以上か否か判定する。肯定判定した場合にはステップS116に進み、否定判定した場合にはステップS104に進む。なお、予め設定している描画ドラム170と記録媒体124までの距離HTDとは、例えば、描画ドラム170とインクジェットヘッド172との間の距離から記録媒体124の厚みを引いた距離や、当該間の距離の3/4などである。
【0083】
(S104)同様に、浮き上がり量検出センサ部20のうち2つ目の浮き上がり量検出センサ204によって、記録媒体124の第1浮き上がり量が検出される。そして、この第1浮き上がり量は、システム制御部82によって取得される。
(S106)システム制御部82は、取得した第1浮き上がり量が、予め設定している描画ドラム170と記録媒体124まで距離HTD以上か否か判定する。肯定判定した場合にはステップS116に進み、否定判定した場合にはステップS108に進む。
【0084】
(S108)同様に、浮き上がり量検出センサ部20のうち3つ目の浮き上がり量検出センサ204によって、記録媒体124の第1浮き上がり量が検出される。そして、この第1浮き上がり量は、システム制御部82によって取得される。
(S110)システム制御部82は、取得した第1浮き上がり量が、予め設定している描画ドラム170と記録媒体124まで距離HTD以上か否か判定する。肯定判定した場合にはステップS116に進み、否定判定した場合にはステップS112に進む。
【0085】
(S112)システム制御部82は、浮き上がり量検出センサ部20が検出した複数の第1浮き上がり量と用紙押さえローラ202を記録媒体124が通過した後の検出時間との相関関係から、記録媒体124がインクジェットヘッド172と対向する位置に到達する時間での第2浮き上がり量HPREを予測する。
具体的には、複数の検出時間(T) と第1浮き上がり量(H) : (T1,H1), (T2,H2), (T3,H3)から線形で外挿して(図5(A)〜(C)参照)、記録媒体124がインクジェットヘッド172と対向する位置に到達する時間での第2浮き上がり量HPREを予測する。
【0086】
他にも、用紙押さえローラ202を記録媒体124が通過した後の時間が200ミリ秒未満の間に得られる3つの第1浮き上がり量に基づき、200ミリ秒の時の第1浮き上がり量を線形で予測し、この予測した第1浮き上がり量を第2浮き上がり量HPREと予測してもよい。この予測方法は、用紙押さえローラ202を記録媒体124が通過した後200ミリ秒の時に予測された第1浮き上がり量が、記録媒体124がインクジェットヘッド172と対向する位置に到達する時間での実際の第2浮き上がり量とほぼ同一であるという経験則に基づいているため、第2浮き上がり量HPREを過剰に予測しない。
【0087】
また、他にも、用紙押さえローラ202を記録媒体124が通過した後の時間と、第1浮き上がり量と、第2浮き上がり量との関係を、データとして対応させたテーブルをEEPROM85に複数格納しておき、格納してあるテーブルのうち、浮き上がり量検出センサ部20により検出したときの、それぞれの第1浮き上がり量と、一番近いデータを有しているテーブルを選定し、選定したテーブルにある第2浮き上がり量HPREを予測結果として出力してもよい。この予測方法は、第2浮き上がり量HPREを予測するために、検出したそれぞれの第1浮き上がり量と、一番近いデータを有しているテーブルを選定し、選定したテーブルにある第2浮き上がり量を出力するだけでよいので、第2浮き上がり量HPREの予測が速くなる。
【0088】
(S114)システム制御部82は、予測結果としての第2浮き上がり量HPREが、予め設定している描画ドラム170と記録媒体124まで距離HTD以上か否か判定する。肯定判定した場合にはステップS116に進み、否定判定した場合には処理を終了する。
【0089】
(S116)システム制御部82は、インクジェットヘッド172と対向する位置に記録媒体124が搬送される前までに、インクジェットヘッド172と記録媒体124との接触防止制御を行う。具体的には、システム制御部82は、モータドライバ86を介して、記録媒体124の給紙や搬送を停止する等、記録媒体124の搬送速度を下げる。又は、システム制御部82は、ヘッド高さ制御部30を介して、インクジェットヘッド172の描画ドラム170に対する高さを高くするようにしてもよい。
【0090】
<効果>
以上、本発明の実施形態によれば、3つの浮き上がり量検出センサ204のうち最下流側の浮き上がり量検出センサ204を通過した後に、記録媒体124に浮き上がりが発生しても、まずシステム制御部82が、各浮き上がり量検出センサ204を記録媒体124が通過した時に各浮き上がり量検出センサ204が検出した複数の第1浮き上がり量に基づいて、インクジェットヘッド172と対向する位置における第2浮き上がり量HPREを予測する。そして、インクジェットヘッド172と対向する位置に記録媒体124が搬送される前までに、予測した第2浮き上がり量HPREに基づいて、描画ドラム170の回転を停止するなど搬送速度を下げる又はインクジェットヘッド172を描画ドラム170から退避させる(高くする)ので、インクジェットヘッド172と記録媒体124との接触防止を図ることができる。
【0091】
また、記録媒体124の搬送方向の最下流側の浮き上がり量検出センサ204と、インクジェットヘッド172(特にインクジェットヘッド172M)との間の距離Dは、用紙搬送の制動距離よりも長く設定されているため、インクジェットヘッド172と対向する位置に記録媒体124が搬送される前までに、描画ドラム170の搬送速度を下げる、又はインクジェットヘッド172を描画ドラム170から退避させるのが完了するため、インクジェットヘッド172と記録媒体124との接触を確実に防止することができる。
【0092】
また、用紙押さえローラ202と、インクジェットヘッド172との間で描画ドラム170の外周面上に、浮き上がり量検出センサ204が複数箇所に設置されているため、記録媒体124が用紙押さえローラ202を通過した後に、記録媒体124に浮き上がりが発生しても、用紙押さえローラ202とインクジェットヘッド172との間での第1浮き上がり量を検出することができる。このため、システム制御部82での第2浮き上がり量HPREの予測も正確となる。
【0093】
(変形例)
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであり、例えば上述の複数の実施形態は、適宜、組み合わせて実施可能である。また、以下の変形例を、適宜、組み合わせてもよい。
【0094】
例えば、浮き上がり量検出センサ204は、3つある場合を説明したが、2つであってもよく、また4つ以上であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いたが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。また、記録媒体124の浮き上がりを防止するために、給紙トレイ150は外面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。また、処理液塗布装置156はローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0096】
また、図1では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
【0097】
また、インクジェットヘッド172がCMYKの標準色(4色)の構成である場合を説明したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定されない。
【0098】
また、上記実施形態では水を溶媒として使用する水性インクを用いたインクジェット方式の画像記録装置を例に挙げたが、吐出される液は画像記録・文字印刷用などのインクに限定されず、記録媒体に染み込む溶媒あるいは分散媒を使用している液体であれば種々の吐出液に応用することができる。また、このように描画形式が液滴吐出方式である場合を説明したが、帯電装置やレーザー光(露光)装置等の部材破壊防止の観点からトナー方式等であってもよい。
【0099】
また、インクジェット記録装置100の搬送方式は、圧胴搬送方式の場合を説明したが、ベルト搬送方式であってもよい。
【0100】
また、システム制御部82は、本発明の予測手段と制御手段を兼ねる場合を説明したが、予測手段と制御手段とはプログラム上別個に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
30 ヘッド高さ制御部(制御手段)
82 システム制御部(制御手段、予測手段)
86 モータドライバ(制御手段)
100 インクジェット記録装置(画像形成装置)
124 記録媒体
170 描画ドラム(搬送手段、描画)
172 インクジェットヘッド(画像形成手段、液滴吐出ヘッド)
202 用紙押さえローラ(用紙押さえ部材)
204 浮き上がり量検出センサ
PRE 第2浮き上がり量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段と対向する位置へ前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記画像形成手段よりも前記記録媒体の搬送方向上流側で、前記搬送方向の異なる箇所にそれぞれ配置され、前記記録媒体が通過する時の前記搬送手段からの第1浮き上がり量を検出する複数の浮き上がり量検出手段と、
前記浮き上がり量検出手段によって検出された通過時の前記記録媒体の第1浮き上がり量に基づいて、前記画像形成手段と対向する位置における前記記録媒体の第2浮き上がり量を予測する予測手段と、
前記予測手段が予測した前記第2浮き上がり量に基づいて、前記搬送手段の搬送速度を下げ又は前記画像形成手段を前記搬送手段から退避させる制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
各浮き上がり量検出手段のうち前記搬送方向の最下流側の浮き上がり量検出手段と、前記画像形成手段との間の距離は、用紙搬送の制動距離よりも長く設定されている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記記録媒体を回転して搬送する描画胴であり、
前記画像形成手段は、液滴を吐出するノズルを備えた液滴吐出ヘッドであり、
前記液滴吐出ヘッドよりも前記記録媒体の搬送方向上流側に設けられ、前記描画胴で搬送される前記記録媒体を押さえる用紙押さえ部材を備え、
前記浮き上がり量検出手段は、前記用紙押さえ部材と前記液滴吐出ヘッドの間の複数箇所に配置されている、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記予測手段は、前記浮き上がり量検出手段が検出した複数の第1浮き上がり量と前記用紙押さえ部材を前記記録媒体が通過した後の検出時間との相関関係から、前記記録媒体が前記液滴吐出ヘッドと対向する位置に到達する時間での前記第2浮き上がり量を予測し、
前記制御手段は、前記予測手段の予測した前記第2浮き上がり量が、予め設定している前記搬送手段と前記記録媒体までの距離以上の場合、前記搬送手段を制御して前記記録媒体の搬送を停止する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記予測手段は、
前記用紙押さえ部材を前記記録媒体が通過した後の時間が200ミリ秒未満の間の複数の第1浮き上がり量に基づき、200ミリ秒の時の第1浮き上がり量を線形で予測し、この予測した第1浮き上がり量を前記第2浮き上がり量とする、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙押さえ部材を前記記録媒体が通過した後の時間と、第1浮き上がり量と、第2浮き上がり量との関係を、データとして対応させたテーブルを複数格納した記憶手段を備え、
前記予測手段は、前記記憶手段に格納してあるテーブルのうち、前記浮き上がり量検出手段により検出したときの、それぞれの第1浮き上がり量と、一番近いデータを有しているテーブルを選定し、選定したテーブルにある前記第2浮き上がり量を前記制御手段に出力する、
請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−143944(P2012−143944A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3250(P2011−3250)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】