説明

画像形成装置

【課題】凹凸転写性に優れ、凹凸紙や厚紙通紙時においても中間転写ベルトの負荷変動を抑制してショックジターを低減させ、画像品質の向上させた画像形成装置を提供する。
【解決手段】紙厚センサにより検知した紙厚が所定の閾値以上の場合、転写工程に紙が通過する前に解除モータ36の作用により、解除カム35が回転駆動され、解除カム35が解除レバー34を下方に押し下げる。すると2次転写ローラ9Bを支持しているベアリング27を解除レバー34により、通紙直前に下方に、すなわち、斥力ローラ2Cから離れる方向にあらかじめ移動させ、あらかじめ厚紙通紙時の最終的な2次転写ローラ9Bの位置にあるようにし、斥力ローラ2Cに対しての負荷変動や中間転写ベルト21にブレーキがかかる方向の速度変動が生じさせず、厚紙突入によるショックジターを大幅に低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸転写性の向上を図った画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、中間転写部において紙上にトナーを転写し、その後、定着部において紙上にトナーを定着して、複写印刷物を出力している。ユーザー要望として、市場にある種々の紙種に対して安定した画像品質を維持しつつトナー画像の転写を行うことが望まれている。オンデマンド印刷分野では、種々の凹凸を持つ紙表面に対して良好な画像印刷を行うべく、紙転写工程に高圧力を付与することで転写性を向上させる技術を搭載したマシンが既に知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、負荷トルク変動を低減する目的で、転写ローラと対向ローラの間に紙を通した時に転写ローラの回転軸が紙搬送方向に移動しながらも、加圧スプリングの押圧力に抗して対向ローラから解除する方向に移動することで、通紙時の負荷トルク変動が低減する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の画像形成装置で用いている転写装置では、市場要望として表面に凹凸のある転写紙に対して良好なトナー転写性を得ようとするため、2次転写圧力がより高圧力の条件設定になる。このような高圧力ニップに厚紙を通紙した場合に中間転写ベルトの負荷トルク変動によりショックジターが発生するという問題があった。なお、ショックジターとは、2次転写部で発生した負荷トルク変動に起因して中間転写ベルトに速度変動が発生し、中間転写ベルトを伝播して1次転写部で横帯ピッチ状の模様が発生する異常画像のこと。
【0005】
また特許文献1に開示されている技術においても、上述のような転写性を向上させるための高圧力条件においては、凹凸転写性向上とショックジターとの両立が難しく、この構成では紙の突入に対応するのに時間遅れが発生してしまうという問題は解消できていない。
【0006】
本発明は、上述した問題点にかんがみてなしたものであり、普通紙、厚紙、凹凸紙等の種々の転写紙に対していずれも良好なトナー転写性が得られ、しかも厚紙通紙時にもショックジター発生のない、高品質な画像を形成可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置のうち請求項1に係るものは、表面に現像されたトナー画像を保持する感光体と、該感光体上に現像されたトナー像を静電的に転写され保持する中間転写体と、転写紙を介して前記中間転写体に対向し、転写紙上にトナー像を静電的に転写する2次転写部材と、前記中間転写体と転写紙を介して前記2次転写部材に対向する対向部材と、前記対向部材に対して、前記2次転写部材を当接、押圧する加圧部材と、転写紙の厚みを検知する紙厚検知手段とを有し、前記2次転写部材は前記対向部材に向かって、互いの中心方向を結んだ線上に沿って移動可能であり、前記2次転写部材の対向ローラに対する中心間距離を、転写紙の紙厚に応じて切り替え可能な位置調整手段を有することを特徴とする。
【0008】
同請求項2に係るものは、請求項1に記載の画像形成装置において、前記位置調整手段により切り替えられる前記2次転写部材の前記対向ローラに対する最小中心間距離は、前記紙厚検知手段により検知された紙厚が厚い程長くなるように設定することを特徴とする。
【0009】
同請求項3に係るものは、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記中間転写体が複数の層からなり、少なくともいずれか一層が弾性部材により構成されていることを特徴とする。
【0010】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記位置調整手段が、前記対向部材から離れる方向へ前記加圧部材の押圧に抗して前記2次転写部材を移動させる回動可能なアーム状の部材と、前記アーム状の部材を回動させる駆動手段により構成されていることを特徴とする。
【0011】
同請求項5に係るものは、請求項4に記載の画像形成装置において、前記アーム状の部材の回動支持部位と、前記アーム状の部材の前記駆動手段により回動させる駆動力を付与される部位が、転写紙の搬送方向で前記対向部材と前記2次転写部材のニップ部を挟んで位置することを特徴とする。
【0012】
同請求項6に係るものは、請求項5に記載の画像形成装置において、前記アーム状の部材の回動支持部位が転写紙の搬送方向で前記対向部材と前記2次転写部材のニップ部より上流側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、凹凸転写性に優れた転写システムとなり得、かつ凹凸紙や厚紙通紙時においても中間転写ベルトの負荷変動が抑制し得るため、その結果としてショックジターを低減させることができ、画像品質の向上が実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例となる画像形成装置の全体概要図
【図2】本発明の一実施例における2次転写部構成(普通紙モード時)を示す図
【図3】本発明の一実施例における2次転写部構成(厚紙モード時)を示す図
【図4】本発明の一実施例の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の画像形成装置は、2次転写部に厚紙が進入したときに、中間転写ベルト下流側部分でのベルトテンションが増大し、1次転写ニップ領域での中間転写ベルト速度変動が発生し、その結果として、特にハーフトーン画像上で顕著に横帯の異常画像が発生してしまうこと(これをショックジターと呼ぶ)がある点にかんがみてなしたものである。本発明では位置固定された対向ローラに対して2次転写ローラがスプリングにより常時加圧されている。また対向ローラに対する2次転写ローラの最小距離が、紙厚が厚い程、より対向ローラから離れた位置に維持されるような解除機構を組み合わせている。そのため、ユーザーの設定情報あるいは紙厚センサにより検知した結果で、転写紙の紙厚が厚い場合には2次転写ローラの設定位置が普通紙に比べて対向ローラから離れる方向にわずかに変位するようにする。それにより、厚紙が2次転写ニップに進入した瞬間の2次転写ローラと対向ローラの負荷変動、及び中間転写ベルトのテンション変動を抑制することができる。その結果として1次転写ニップ領域での中間転写ベルト速度変動が低減される。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例を添付図面参照して説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更、修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更、修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明は本発明における実施形態の例であって、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。またなお、以下の説明において用いた「^」はべき乗を示す。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の全体概略図である。本発明の特徴である2次転写部の具体的実施例については図2以降で詳細に説明する。
【0018】
図1に基づいて本実施例の画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の構成及び動作概要を説明する。図示のカラー複写機1は、装置本体中央部に位置する画像形成部1Aと、該画像形成部1Aの下方に位置する給紙部1Bと、画像形成部1Aの上方に位置する原稿搬送部1Cと、スキャナ部1Dとを有している。
【0019】
画像形成部1Aには、水平方向に延びる転写面を有する中間転写体としての中間転写ベルト21が配置されており、中間転写ベルト21の上面には、色分解色と補色関係にある色の画像を形成するための構成が設けられている。すなわち、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による像を担持可能な像担持体としての感光体3Y、3M、3C、3Bが中間転写ベルト21の転写面に沿って並置されている。
【0020】
各感光体3Y、3M、3C、3Bは、それぞれ同じ方向(反時計回り方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周りには、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4、光書き込み手段としての書き込み装置5、現像装置8、一次転写ローラ7、及びクリーニング装置6が配置されている。各符号に付記しているアルファベットは、感光体3と同様、トナーの色別に対応している。
【0021】
各現像装置8には、それぞれのカラートナーが収容されている。中間転写ベルト21は、駆動ローラ2Bと、従動ローラ2Aに掛け回されて感光体3Y、3M、3C、3Bとの対峙位置において同方向に移動可能な構成を有している。従動ローラ2Aと対向する位置には、中間転写ベルト21の表面をクリーニングするクリーニング装置10が設けられている。
【0022】
感光体3Yの表面が帯電装置4により一様に帯電され、スキャナ部1Dからの画像情報に基づいて感光体3Y上に静電潜像が形成される。該静電潜像はイエローのトナーを収容した現像装置8Yによりトナー像として可視像化され、該トナー像は所定のバイアスが印加される一次転写装置(一次転写ローラ7Y)により中間転写ベルト21上に一次転写される。他の感光体3M、3C、3Bでもトナーの色が異なるだけで同様の画像形成がなされ、それぞれの色のトナー像が中間転写ベルト21上に順に転写されて重ね合わせられる。転写後、感光体3上に残留したトナーは、クリーニング装置6により除去され、また、図示しない除電ランプにより感光体3の電位が初期化され、次の作像工程に備えられる。
【0023】
給紙部1Bは、記録媒体としての用紙P(図2参照)を積載収容する給紙トレイ1B1と、給紙トレイ1B1内の用紙Pを最上のものから順に1枚ずつ分離して給紙する不図示の給紙コロと、給紙された用紙Pを搬送する搬送ローラ対1B2と、用紙Pがいったん停止され、斜めずれを修正された後、中間転写ベルト21上の画像の先端と搬送方向の所定位置とが一致するタイミングでニップに向けて送り出されるレジストローラ対1B3を有している。レジストローラ対1B3の上流には、紙表面の反射率を検知する図示しないセンサを持ち、前工程におけるセンサ出力と異なる値の場合は中間転写ベルト21、あるいは斥力ローラ2Cの切り替えを行う。
【0024】
感光体3Y、3M、3C、3Bから中間転写ベルト21上に一次転写されたトナー像T(以下、単にトナーともいう)は、図示しない二次転写バイアス印加手段によりバイアス(AC、パルスなどの重畳を含む)が斥力ローラ2Cに印加され、中間転写ベルト21を介して二次転写ローラ9Bとの間で電界の作用により用紙Pの上に二次転写される。その後、表面にトナー像Tを二次転写された用紙Pは、定着装置11にて熱と圧力の作用によって表面にトナー像を強固に定着され、排出ローラ12を経て排出トレイ13から排出される。
【0025】
なお図1において、1A1は手差しトレイ、1A2は分離ローラ、1C1はコンタクトガラス、1C3は原稿台、9Aは搬送ベルト、9Cは搬送駆動ローラ、20は両面画像形成装置である。
【0026】
本実施例における一次転写部の構成としては、中間転写ベルト21の裏面から(+)転写バイアスローラである一次転写ローラ7が図示しない軸受と図示しない圧縮スプリングにより中間転写ベルト21を介して感光体3に対向して所定の圧力により押圧されている。一次転写ローラ7の中間転写ベルト21に対して当接する位置は感光体3の中心位置に対して1〜2mm下流側にオフセットした位置に当接するよう設定する必要がある。(+)転写バイアスローラ70は、中間転写ベルト21に対して連れ廻りするようになっている。
【0027】
一次転写ローラ7は、金属芯金に中抵抗の電気特性を持つゴム材料を巻き付けた形態で構成されている。一例としては、中抵抗の発泡ゴムで構成されており、その体積抵抗率は10^6〜10^10Ω・cm、好ましくは10^7〜10^9Ω・cmの範囲である。材料は発泡ゴムに限定されることはなく、中抵抗のソリッドゴムでも同様に用いることが可能である。
【0028】
本実施例の一次転写工程において、一次転写ローラ7への一次転写バイアス印加は、極性が(+)の定電流電源を用いており電流設定値はほぼ20〜40μAの範囲である。
【0029】
本発明の実施に用い得る斥力ローラ2Cは、金属芯金に中抵抗の電気特性を持つゴム材料を巻き付けた形態で構成されている。本実施例では、例えば斥力ローラ2Cは中抵抗ソリッドゴムで構成されているものとすると、その体積抵抗率は10^6〜10^10Ω・cm、好ましくは10^7〜10^9Ω・cmの範囲である。二次転写ローラ9Bは中抵抗の発泡ゴムで構成されており、その体積抵抗率は10^6〜10^10Ω・cm、好ましくは10^7〜10^9Ω・cmの範囲である。
【0030】
本実施例の二次転写工程においては、斥力ローラ2Cにはトナーと同極性の(−)極性のバイアスが印加されて定電流電源を用いており電流設定値はほぼ30〜50μAの範囲である。アースにつながっている二次転写ローラ9Bを対向として、中間転写ベルト21上の(−)極性のトナーを転写紙側へ押し出す方向に二次転写電界が印加されている。
【0031】
中間転写ベルト21は、具体的な実施例としては単層構成のベルトとしてPI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネート)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂により構成されている。その体積抵抗率は10^6〜10^10Ω・cm、好ましくは10^8〜10^10Ω・cmの範囲である。また、その表面抵抗率は10^6〜10^12Ω/□、好ましくは10^8〜10^12Ω/□の範囲である。また、厚みは50〜100μmの範囲であり、ヤング率(縦弾性率)は3000Mpa以上が望ましく、駆動による伸び、曲げ、しわ、波打ちに耐えるに十分な機械強度が必要である。
【0032】
中間転写ベルト21の他の例としては、上述したPI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネート)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂の単層構成の中間転写ベルト21の表面側にのみベルトの層自体の体積抵抗率よりもわずかに高抵抗の表層を設けたベルトを用いる場合でも同様に効果がある。表層の厚みとしては、1〜10μm程度が望ましい。これは、特に樹脂中にカーボンを分散させて抵抗制御を行うタイプのベルトで、一度定着装置11を通過して紙中の水分量が減少して抵抗が上昇した状態の紙への二次転写工程で発生する現象であり、カーボン分散状態のばらつきにより転写電流が集中して流れる経路ができて、その部分のトナーがはじき飛ばされて白く抜ける現象である。表面に高抵抗層を設けることにより、転写電流の局所的な集中が緩和されるため、異常画像(いわゆる「白ポチ」)が改善できることが知られている。
【0033】
さらに中間転写ベルト21の他の例として、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネート)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の材料にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した中抵抗樹脂により構成された基層50〜100μmの上に、ウレタン、NBR、CR等のゴム材料に同様にカーボン分散、あるいはイオン導電剤配合により抵抗調整した材料からなる弾性層を100〜500μm設け、表層には1〜10μm程度の厚みを持ったフッ素系のゴム、あるいは樹脂(あるいは、それらのハイブリッド材料でも可)のコーティングを施したり、弾性材料のべたつきを抑えるために表面に微粒子を付着させた多層ベルトを用いる場合でも同様に効果がある。このような弾性中間転写ベルトを用いることで、転写材の紙繊維の密度が低い紙や、紙表面に50〜200μmの凹凸を有する、いわゆるエンボス紙といわれる種類の転写材においても、弾性層が凹部へ追従するため凹部へのトナー転写性が良好になるというベタ埋り改善効果が知られている。
【0034】
図2は、本発明の市実施例における中間転写部、2次転写部の詳細図である。この中間転写部、2次転写部は、表面に凹凸形状を有し、かつ紙厚みも厚く、市場で一般的にエンボス紙と呼ばれているような紙種においてトナー転写性を確保するために2次転写圧力が高圧力設定になっており、かつ厚紙通紙時でもショックジターの発生しない画像が得られる構成となっている。
【0035】
図2に基づいて、本実施例の2次転写部について説明する。
図2は、本実施例の2次転写部において、転写紙P(普通紙)が進入する直前の状態を示した図(正面図)であり、普通紙モードの状態を示した図である。対向部材である斥力ローラ2Cは、本実施例では当然ながらローラ形状を有しており、電気的極性がトナー電荷と同極性である。以下、対向部材が斥力ローラ2Cである例を説明する。
【0036】
斥力ローラ2Cは、中転側板30に固定されたベアリング23により両端軸部を回転可能に支持されている。一方、2次転写ローラ9Bは、両端軸部をベアリング27により回転可能に支持されており、ベアリング27とともにベアリングガイド33側面に沿って上下移動が可能である。2次転写ローラ9Bの移動は、斥力ローラ2Cと2次転写ローラ9Bの中心を結んだ線上で行われ、転写紙Pが搬送されていない状態では加圧スプリング29の作用により荷重F1にて2次転写ローラ9Bに押圧されており、ローラ間のゴム変形により所定のニップ幅と圧力が確保されている。
【0037】
普通紙モードでは、解除レバー34は押し上げスプリング37により上方に持ち上げられ、解除カム35も図示の位置にあるため解除レバー34とベアリング27は接触していない状態である。一般的に普通紙や薄紙を通紙した場合には、紙厚も薄く紙の剛性も小さいために、2次転写ニップに転写紙Pが突入してもローラ対で構成されたニップ形状にほぼ沿って搬送されるため、2次転写ローラ9Bの位置変動が少なく、斥力ローラ2Cや中間転写ベルト21に対する負荷変動も少ないため、1次転写部で発生するショックジターも問題無いレベルである。
【0038】
なお解除レバー34の回動支持部位となる基端側の軸部34aと、解除カム35、押し上げスプリング37により回動の駆動力を与えられる先端側の部位は、転写紙Pの搬送方向で斥力ローラ(対向ローラ)2Cと2次転写ローラ9Bによる2次転写ニップを挟んで反対側に位置する。具体的には、軸部34aが2次転写ニップより転写紙Pの搬送方向で上流側に位置し、解除カム35、押し上げスプリング37により回動の駆動力を与えられる先端側の部位は下流側に位置する。
【0039】
一方、図2の状態から、2次転写ニップに厚紙を通紙すると、先端が突入した瞬間に2次転写ローラ9Bが、ほぼ紙厚の分だけ斥力ローラ2Cから離れる方向に移動する。厚紙の場合は紙の厚みが大きいのと、紙の剛性が大きいため、ローラ対で構成されたニップ形状を略水平にする作用が働くため、2次転写ローラ9Bが斥力ローラ2Cから離れる方向に大きく移動する。
【0040】
その結果、2次転写ローラ9Bが斥力ローラ2Cに対する押圧力に変化が生じ、2次転写ローラ9Bが移動した反力で斥力ローラ2Cに対して負荷変動が生じ、その結果、中間転写ベルト21にブレーキがかかる方向の速度変動が生じ、そのことによって1次転写部での画像ずれ、すなわち異常画像であるショックジターが発生してしまう。この点については、既述の従来例の通りである。
【0041】
図3に基づいて、本発明の2次転写部の実施形態について説明する。
図3は、本実施例の2次転写部において転写紙P(厚紙)が進入する直前の状態を示した図(正面図)であり、厚紙モードの状態を示した図である。
【0042】
図示しない紙厚センサにより検知した紙厚が所定の閾値以上の場合、転写工程に紙が通過する前に解除モータ36の作用により、解除カム35が回転駆動され、解除カム35が解除レバー34を下方に押し下げる。そのことによって、2次転写ローラ9Bを支持しているベアリング27を解除レバー34により、通紙直前に下方に、すなわち、斥力ローラ2Cから離れる方向にあらかじめ移動させる。このことにより、あらかじめ図2で説明した厚紙通紙時の最終的な2次転写ローラ9Bの位置にあるため、図2で説明した斥力ローラ2Cに対しての負荷変動や中間転写ベルト21にブレーキがかかる方向の速度変動が生じることがなく、厚紙突入によるショックジターを大幅に低減できる。
【0043】
図4は、以上説明してきた本発明の実施例のフローチャートである。
画像形成ジョブがスタートすると(ステップ1)、紙を給紙トレイからレジストローラまで搬送し(ステップ2)、紙厚を検出し(ステップ3)、紙厚が所定のXμm以下でなければ解除モータ36の回転をオンとして解除カム35を反転させ(ステップ3a)、紙厚が所定のXμm以下であれば、紙をレジストローラから二次転写ローラ9Bから定着装置11へと搬送し(ステップ4)、プリント(画像形成)枚数が所定回数N回繰り返されたならばリピート動作を終了し(ステップ5)、解除カム35がデフォルト位置へ戻っていることを確認し(ステップ6)、戻っていなければ解除モータ36の回転をオンとして解除カム35を反転させ(ステップ6a)、解除カム35がデフォルト位置へ戻してジョブ終了(ジョブエンド)となる(ステップ7)。なお、ステップ6で解除カム35がデフォルト位置へ戻っていれば、やはりジョブエンドとなる(ステップ7)。
【符号の説明】
【0044】
1:カラー複写機(画像形成装置)
1A:画像形成部
1B:給紙部
1B1:給紙トレイ
1B2:搬送ローラ対
1B3:レジストローラ対
1C:原稿搬送部
1D:スキャナ部
2A:従動ローラ
2B:駆動ローラ
2C:斥力ローラ(対向ローラ)
2D:斥力ローラ芯金
3:感光体
4:帯電装置
5:書き込み装置
6:クリーニング装置(感光体)
7:1次転写装置
8:現像装置
9A:搬送ベルト
9B:2次転写ローラ
9C:搬送駆動ローラ
9D:2次転写ローラ芯金
10:クリーニング装置(中間転写ベルト)
11:定着装置
12:排出ローラ
13:排出トレイ
14:テンションローラ1
15:レジストローラ対
21:中間転写ベルト
22:ジャーナル部(斥力ローラ)
23:ベアリング(斥力ローラ)
26:ジャーナル部(2次転写ローラ)
27:ベアリング(2次転写ローラ)
28:加圧部材(2次転写ローラ)
29:加圧スプリング(2次転写ローラ)
30:中転側板
32:2次転写側板
33:ベアリングガイド部(2次転写ローラ)
34:解除レバー
35:解除カム
36:解除モータ
37:押し上げスプリング
P:転写紙
F:加圧力(スプリング力)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2008−96557号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に現像されたトナー画像を保持する感光体と、
該感光体上に現像されたトナー像を静電的に転写され保持する中間転写体と、
転写紙を介して前記中間転写体に対向し、転写紙上にトナー像を静電的に転写する2次転写部材と、
前記中間転写体と転写紙を介して前記2次転写部材に対向する対向部材と、
前記対向部材に対して、前記2次転写部材を当接、押圧する加圧部材と、
転写紙の厚みを検知する紙厚検知手段とを有し、
前記2次転写部材は前記対向部材に向かって、互いの中心方向を結んだ線上に沿って移動可能であり、前記2次転写部材の対向ローラに対する中心間距離を、転写紙の紙厚に応じて切り替え可能な位置調整手段を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記位置調整手段により切り替えられる前記2次転写部材の前記対向ローラに対する最小中心間距離は、前記紙厚検知手段により検知された紙厚が厚い程長くなるように設定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記中間転写体が複数の層からなり、少なくともいずれか一層が弾性部材により構成されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記位置調整手段が、前記対向部材から離れる方向へ前記加圧部材の押圧に抗して前記2次転写部材を移動させる回動可能なアーム状の部材と、
前記アーム状の部材を回動させる駆動手段により構成されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記アーム状の部材の回動支持部位と、前記アーム状の部材の前記駆動手段により回動させる駆動力を付与される部位が、転写紙の搬送方向で前記対向部材と前記2次転写部材のニップ部を挟んで位置する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記アーム状の部材の回動支持部位が転写紙の搬送方向で前記対向部材と前記2次転写部材のニップ部より上流側に位置する、
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−163684(P2012−163684A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22809(P2011−22809)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】