説明

画像形成装置

【課題】カッタユニットの異常時にも記録ヘッドの保護を目的とするキャッピングなどの処理を適正に行うことができ、記録ヘッドを適切に保護することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】記録ヘッドを搭載しシート幅方向に往復移動可能なキャリッジと、カッタを保持するとともにシート幅方向に移動可能に構成され、シート切断時のカッタ移動領域とキャリッジ移動領域とがシート厚さ方向に重なるよう配置されたカッタユニットを有するシート切断装置とを備えた画像形成装置において、カッタユニットがシート切断後、搬送経路に対して鉛直方向の下方に退避した状態でシート幅方向に移動可能に構成され、カッタ移動領域の両端に配置された第1、第2検出部の検出結果に応じて、操作表示部がカッタエラー通知を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたシートを任意の長さに切断するためのシート切断装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ロール状に巻かれた長尺のシート(以下、ロール紙という)を所定の搬送方向に搬送し、当該ロール紙上に画像を形成するタイプの画像形成装置が知られている。一般に、このような画像形成装置には、ロール紙の搬送方向と直交する幅方向にカッタを走行させて、ロール紙を所定の長さに切断するシート切断装置が搭載されている。
【0003】
従来、上記のようなシート切断装置では、シート切断後、後続するシートの切断に備えるため、カッタを保持するカッタユニットを元の位置(ホームポジション)に戻す必要がある。このとき、カッタがシートを切断するために走行する往路とカッタをホームポジションに戻す復路とが同一経路であると、その復路においてカッタが既に切断済みのシートに接触し、カッタユニットの移動が妨げられる、いわゆるカットジャムなどの不具合を生じさせるおそれがあった。
【0004】
そこで、近年、このようなカットジャムなどの不具合を防止するため、カッタの往路に対して、カッタの復路が切断後に2分割されたシートのうちカッタより搬送方向上流側に位置するシートの先端(後続するシートの先端)から搬送方向下流側に離間する位置に設けられ、カッタの往路と復路とでその経路が異なるようにしたシート切断装置を備えた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
具体的には、カッタによる切断動作終了後、カッタユニットの走行を案内するガイド部材を支点にカッタユニットの姿勢を搬送方向下流側に傾かせることで、復路を移動するカッタの位置を往路におけるカッタの位置に対して搬送方向下流側に移動させている。この特許文献1に記載の画像形成装置では、復路においてカッタと切断済みのシートとの接触を回避することができ、カットジャムなどの不具合を防止することができる。
【0006】
しかし、この画像形成装置にあっては、記録ヘッドを保持するキャリッジと上記カッタユニットとがそれぞれ独立して搬送方向に並んで配置されているため、搬送方向の装置本体幅が大きくなってしまう。このため、装置本体幅の増加に伴い、装置本体が大型化してしまう。また、上記画像形成装置では、カッタの往路と復路とを異ならせることにより復路上でカッタと切断済みのシートとが接触することを回避できるが、カッタユニット自体はシートの搬送経路上に位置したままである。このため、カッタおよびカッタユニットをホームポジションに戻すまで、後続するシートを搬送することができず、生産性を向上させることができない。
【0007】
そこで、装置本体の小型化を図りつつ、生産性を向上させる画像形成装置として、例えば次のような構成の画像形成装置が考えられる。すなわち、キャリッジとカッタユニットとをシート厚さ方向に重ねて配置することにより搬送方向の装置本体幅を縮小させ、かつカッタユニットの往路に対して復路をシートの搬送経路からシート厚さ方向に退避させた位置に設けることでシート切断後のカッタユニットが搬送経路から退避した状態で復路を移動可能なようにした画像形成装置である。
【0008】
このような構成の画像形成装置によれば、装置本体幅を縮小させることにより装置本体の小型化を図ることができる。また、カッタユニットが搬送経路から退避した状態で復路を移動可能であるため、カッタユニットが復路を移動している際にも後続するシートを搬送することができ、生産性を向上させることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記構成の画像形成装置にあっては、キャリッジとカッタユニットとがシート厚さ方向に重ねて配置されているため、キャリッジの幅方向(主走査方向)の移動領域と往路上のカッタユニットの移動領域とが重なることとなる。つまり、キャリッジの移動中にカッタユニットを移動させたり、カッタユニットの移動中にキャリッジを移動させると、キャリッジとカッタユニットとが干渉してしまう。このため、例えばカッタユニットが往路上で停止するなどの異常が生じた場合には、キャリッジを移動させることができず、結果としてキャリッジの移動領域の一端に位置するキャッピング位置へのキャリッジの移動が妨げられる。この結果、記録ヘッドのノズル面が乾燥し、インクの吐出不良が生じたり、場合によっては記録ヘッドが故障してしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、カッタユニットの異常時にも記録ヘッドの保護を目的とするキャッピングなどの処理を適正に行うことができ、記録ヘッドを適切に保護することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、上記目的を達成するため、インクを吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジを備え、前記キャリッジをシートの搬送方向と直交する幅方向に往復移動させることにより搬送経路上の前記シートに画像を記録する画像形成装置であって、前記シートを所定の長さに切断するカッタと、前記カッタを保持するとともに前記幅方向に移動可能に構成され、前記シートの切断時におけるカッタ移動領域と前記キャリッジのキャリッジ移動領域とが前記シートの厚さ方向に重なるよう配置されたカッタユニットとを有するシート切断装置と、前記カッタユニットの位置を検出するカッタ位置検出手段と、前記カッタユニットの異常を示すカッタエラー通知を通知する通知手段と、を備え、前記カッタユニットは、シート切断後、前記搬送経路に対して前記シートの厚さ方向に退避した状態で前記幅方向に移動可能に構成され、前記通知手段は、前記カッタ位置検出手段の検出結果に応じて、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0012】
この構成により、本発明は、通知手段がカッタ位置検出手段の検出結果に応じて、カッタエラー通知を通知する。このため、異常発生時のカッタユニットの位置に応じて、カッタエラー通知の通知タイミングが異なることとなる。例えばキャリッジと干渉しない位置においてカッタユニットが停止した場合には、記録ヘッドのキャッピングを実行した後にカッタエラー通知を通知したり、あるいはシート切断中にカッタユニットが停止した場合には、カッタユニットをキャリッジと干渉しない位置まで退避させ上記キャッピングを実行した後にカッタエラー通知を通知する。これにより、カッタユニットの異常時にあっても、異常を通知する前にキャッピングを適正に行うことができ、記録ヘッドを適切に保護することができる。
【0013】
また、例えばカッタユニット停止時にキャリッジを移動させることができない場合には、キャッピングを実行することなく即座にカッタエラー通知を通知することができる。これにより、ユーザはカッタユニットの異常に早急に対処することができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記キャリッジ移動領域の両端には、第1の待機位置と第2の待機位置とがそれぞれ設けられ、前記第1および第2の待機位置の少なくともいずれか一方に、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャッピング手段が配置されたキャッピング位置が設けられ、前記カッタ移動領域の両端には、前記シートの厚さ方向において前記カッタユニットが前記キャリッジと干渉しないよう退避した第1の退避位置と第2の退避位置とがそれぞれ設けられ、前記カッタユニットは、シート切断時、前記第1の退避位置から前記カッタ移動領域を経由して前記第2の退避位置に移動するよう構成されている。
【0015】
この構成により、本発明は、カッタユニットが第1および第2の退避位置のいずれかにあるときは、キャリッジを移動させることが可能となる。このため、カッタユニットの異常時にあっても、カッタユニットと干渉することなくキャリッジをキャッピング位置に移動させることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記カッタ位置検出手段により前記カッタユニットが前記第1および第2の退避位置のいずれかで所定時間以上、停止していることが検出されたとき、前記キャッピング手段は、前記ノズル面のキャッピングを行い、前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0017】
この構成により、本発明は、カッタユニットが第1および第2の退避位置のいずれかで所定時間以上、停止している場合には、キャリッジと干渉することがないのでカッタエラー通知を通知する前に記録ヘッドのキャッピングを実行することができる。このため、記録ヘッドを適切に保護することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記カッタ位置検出手段は、前記第1の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第1の退避位置に位置することを検出する第1検出部と、前記第2の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第2の退避位置に位置することを検出する第2検出部とからなり、前記シート切断時、前記カッタユニットが前記第1検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第2検出部により検出されないとき、前記カッタユニットは、前記第1の退避位置に移動する退避動作を実行する構成を有する。
【0019】
この構成により、本発明は、シート切断時にカッタユニットが第1検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても第2検出部により検出されないときには、カッタユニットがキャリッジと干渉する位置にあると判断して、カッタユニットをキャリッジと干渉しない第1の退避位置に移動させる。これにより、キャリッジをキャッピング位置に移動させることが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記通知手段は、前記カッタユニットの前記退避動作の実行後、前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0021】
この構成により、本発明は、カッタユニットの退避動作の実行後、カッタユニットが所定時間経過しても第1検出部により検出されないときには、カッタユニットが第1の退避位置に到達せず、キャリッジと干渉する位置にあると判断して、キャリッジを移動させることなく直ちにカッタエラー通知を通知する。このため、カッタユニットとキャリッジとの干渉を避けることができ、カッタユニットの異常に対する対応をユーザに早急に通知することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記カッタユニットの前記退避動作の実行後、前記カッタユニットが前記第1検出部により検出されたとき、前記キャリッジは、前記キャッピング位置に移動し、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0023】
この構成により、本発明は、カッタユニットの退避動作の実行後、カッタユニットが第1検出部により検出されたときには、カッタユニットが第1の退避位置に退避したと判断して、キャリッジをキャッピング位置に移動させる。これにより、カッタエラー通知を通知する前に記録ヘッドのキャッピングを実行することができる。このため、記録ヘッドを適切に保護することができる。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記キャリッジを前記キャッピング位置に移動させる際の移動負荷を検出する負荷検出手段を備え、前記負荷検出手段により所定の閾値以上の移動負荷が検出されたとき、前記キャリッジの移動を停止し、前記通知手段は、前記キャリッジの移動停止後、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0025】
この構成により、本発明は、キャリッジのキャッピング位置への移動時、負荷検出手段により所定値以上の移動負荷が検出されたときには、キャリッジがその移動途中で例えばカットジャムを生じさせたシートなどの障害物に接触しているものと判断して、直ちにキャリッジの移動を停止する。このため、上記のような接触に起因して記録ヘッドが損傷してしまうことを防止することができる。
【0026】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記キャリッジを移動させる駆動モータを備え、
前記負荷検出手段は、前記駆動モータの駆動電流を検出する電流値検出手段からなる構成を有する。
【0027】
この構成により、本発明は、負荷検出手段がキャリッジを移動させる駆動モータの駆動電流を検出する駆動電流検出手段からなるので、駆動モータの駆動電流に基づき移動負荷を容易に検出することができる。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記キャッピング位置は、前記第1の待機位置に設けられ、前記キャリッジは、前記カッタがシートを切断するシート切断位置に前記シートのカット位置が達したとき、前記第1および第2の待機位置のうちいずれかに移動し、前記シート切断時、前記カッタユニットが前記第1検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第2検出部により検出されないとき、前記キャリッジが前記第1の待機位置に位置する場合には、前記キャッピング手段は、前記ノズル面のキャッピングを行い、前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0029】
この構成により、本発明は、シート切断時の異常によりカッタユニットがキャリッジと干渉する位置で停止した場合であっても、キャリッジがキャッピング位置側に位置するときにはカッタユニットを移動させることなくキャッピングを行うことが可能となる。
【0030】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記キャッピングを行った後であって前記カッタエラー通知を通知する前に、前記カッタユニットを前記第1の退避位置に移動させる退避動作を実行する構成を有する。
【0031】
この構成により、本発明は、カッタエラー通知を通知する前にカッタユニットを第1の退避位置に移動させることにより、例えばカットジャムなどの要因となったシートを取り除く際にもユーザがカッタと触れることを防止することができる。
【0032】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記カッタ位置検出手段は、前記第1の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第1の退避位置に位置することを検出する第1検出部と、前記第2の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第2の退避位置に位置することを検出する第2検出部とからなり、前記シート切断時、前記カッタユニットが前記第1検出部により非検出とされた後、前記カッタユニットが前記第2検出部により検出とされたとき、前記キャリッジを移動可能とした構成を有する。
【0033】
この構成により、本発明は、シート切断時、カッタユニットが第2検出部により検出されたときにはシートの切断が正常に終了したと判断して、キャリッジを移動させることができる。すなわち、シート切断後は、カッタユニットが搬送経路に対してシート厚さ方向に退避した状態で第2の退避位置から第1の退避位置に移動するので、キャリッジを移動させてもカッタユニットと干渉することがない。したがって、シートの切断が正常に終了した後は、例えば後続するシートに対して画像の記録を開始することができる。
【0034】
また、本発明に係る画像形成装置において、シート切断後において、前記カッタユニットが前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0035】
この構成により、本発明は、シート切断後、カッタユニットが搬送経路に対してシート厚さ方向に退避した状態で移動している際に停止した場合には、キャリッジと干渉することがないので、カッタエラー通知を通知する前に記録ヘッドのキャッピングを実行することができる。このため、記録ヘッドを適切に保護することができる。
【0036】
また、本発明に係る画像形成装置は、シート切断後、後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断する判断手段を備え、前記判断手段は、前記シート切断後、前記第2の退避位置から第1の退避位置へと移動する際に前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第2検出部により非検出とならないとき、または前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断し、前記判断手段により前記後続するシートに対して画像の記録が開始されていないと判断された場合、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0037】
この構成により、本発明は、シート切断後、カッタユニットが第2の退避位置、あるいは搬送経路から退避した状態で移動している際に停止した場合には、キャリッジと干渉することがないので、カッタエラー通知を通知する前に記録ヘッドのキャッピングを実行することができる。このため、記録ヘッドを適切に保護することができる。また、後続するシートへの画像の記録を開始していないので、キャリッジをキャッピング位置に移動させてキャッピングを行うことができる。
【0038】
また、本発明に係る画像形成装置は、シート切断後、後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断する判断手段と、ユーザからの入力に応じて、前記カッタユニットの異常時に前記画像の記録を継続するか否かを設定する設定手段と、を備え、前記判断手段は、前記シート切断後、前記第2の退避位置から第1の退避位置へと移動する際に前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第2検出部により非検出とならないとき、または前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断し、前記判断手段により前記後続するシートに対して画像の記録が開始されていると判断され、かつ前記設定手段により前記画像の記録を継続するよう設定されているとき、前記後続するシートへの画像の記録が終了した後、前記通知手段は、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0039】
この構成により、本発明は、カッタユニットの異常時であっても、すでに開始済みの後続するシートへの画像の記録を継続させることができ、シートおよびインクの無駄な消費を防止することができる。
【0040】
また、本発明に係る画像形成装置は、シート切断後、後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断する判断手段と、ユーザからの入力に応じて、前記カッタユニットの異常時に前記画像の記録を継続するか否かを設定する設定手段と、を備え、前記判断手段は、前記シート切断後、前記第2の退避位置から第1の退避位置へと移動する際に前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第2検出部により非検出とならないとき、または前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断し、前記判断手段により前記後続するシートに対して画像の記録が開始されていると判断され、かつ前記設定手段により前記画像の記録を継続しないよう設定されているとき、前記キャリッジは、前記キャッピング位置に移動し、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知する構成を有する。
【0041】
この構成により、本発明は、カッタユニットの異常時に、すでに後続するシートへの画像の記録が開始されている場合であっても、ユーザの要求に応じて開始済みの画像の記録を中止して、カッタエラー通知を通知することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明では、カッタユニットの異常時にも記録ヘッドの保護を目的とするキャッピングなどの処理を適正に行うことができ、記録ヘッドを適切に保護することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るキャリッジを上方から見た概略上面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るインクジェット式記録装置の概略側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るシート切断装置の概略構成を示す背面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るシート切断装置を示す図であって、(a)は、シート切断装置の一部断面を示す側面図であり、(b)は、シート切断装置の一部断面を示す上面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るカッタユニットがロール紙切断動作領域に復帰した状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るカッタユニットの復路移行時の状態を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るカッタユニットの復路移行時の状態を示す一部断面側面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るカッタユニットの復路移動時の状態を示す説明図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るカッタユニットが復路からホームポジションに復帰するための動作を示す説明図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るカッタユニットのロール紙切断動作領域復帰時の状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係るインクジェット式記録装置の制御構成を示す概略ブロック図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係るキャリッジおよびカッタユニットの移動領域を示す背面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る制御部で実行されるカッタユニットのエラー発生時の処理フロー図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るインクジェット式記録装置の制御構成を示す概略ブロック図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る制御部で実行されるカッタユニットのエラー発生時の処理フロー図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る制御部で実行されるカッタユニットのエラー発生時の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0045】
(第1の実施の形態)
図1〜図14は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をインクジェット式記録装置に適用した例を示している。
【0046】
図1および図2に示すように、画像形成装置としてのインクジェット式記録装置1は、インクジェットヘッドをシートの幅方向に走査させながら画像を形成し、1回あるいは複数回の走査が終了した後にシートを搬送し、次の記録ラインを形成する、いわゆるシリアル型インクジェット式記録装置である。
【0047】
インクジェット式記録装置1は、画像形成部2と、シート搬送部3と、ロール紙収納部4と、シート切断装置5と、制御部100(図12参照)とを含んで構成され、これら各部は装置本体1aの内部に配置されている。
【0048】
画像形成部2は、図示しない両側板にガイドロッド13およびガイドレール14が掛け渡され、これらのガイドロッド13およびガイドレール14にキャリッジ15が矢印A方向に摺動可能に保持されている。
【0049】
キャリッジ15には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド15a(図2参照)が搭載されている。各記録ヘッド15aには、図示を省略しているが、各記録ヘッド15aにインクを供給するサブタンクが一体的に設けられている。
【0050】
キャリッジ15は、主走査機構10によって主走査方向、すなわちシート幅方向(図中、矢印Aで示す方向)に移動走査されるようになっている。具体的には、キャリッジ15は、図13に示すように、画像記録可能なロール紙30の最大シート幅の領域外にシート幅方向に互いに離隔して設けられたキャリッジホーム位置(図13中、実線で示す位置)と空吐出位置(図13中、破線で示す位置)との間で、シート幅方向に移動可能に構成されている。以下、キャリッジ15のシート幅方向の移動領域をキャリッジ移動領域という。また、上記空吐出位置およびキャリッジホーム位置は、それぞれ後述するカッタ移動領域外に退避した位置に配置されている。これら空吐出位置およびキャリッジホーム位置を総称して、カット時待機位置という。本実施の形態におけるキャリッジホーム位置は、本発明における第1の待機位置に相当し、空吐出位置は、本発明における第2の待機位置に相当する。
【0051】
主走査機構10は、シート幅方向の一方側に配置されるキャリッジ駆動モータ21と、キャリッジ駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、シート幅方向の他方側に配置された従動プーリ23と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に掛け回されたベルト部材24とを備えている。従動プーリ23は、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22に対して離間する方向にテンションがかけられている。ベルト部材24は、キャリッジ15の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、シート幅方向にキャリッジ15を牽引する。
【0052】
また、図2に示すように、キャリッジ15の主走査位置を検知するため、エンコーダシート16がキャリッジ15のシート幅方向に沿って配置されている。キャリッジ15の主走査位置は、キャリッジ15に設けられたエンコーダセンサ103によってエンコーダシート16が読取られることにより検知される。
【0053】
図1および図2に示すように、このキャリッジ15における主走査領域(キャリッジ移動領域)のうち、記録領域では、ロール紙30がシート搬送部3によってシート幅方向と直交する方向、すなわちシート搬送方向(図中、矢印Bで示す方向)に間欠的に搬送される。
【0054】
また、シート幅方向のキャリッジ移動領域外、または主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッド15aのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ18が装置本体1aに対して着脱自在に装着されている。また、図2に示すように、キャリッジ移動領域の空吐出位置側(図2中、左側)には、増粘したインクを排出するために画像記録(以下、印字ともいう)に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出動作を行うときのインク滴を受ける空吐出受け17が設けられている。各記録ヘッド15aは、所定の条件成立時、吐出性能の維持、回復のために上記空吐出位置において空吐出を行うようになっている。
【0055】
さらに、キャリッジ移動領域のキャリッジホーム位置側(図2中、右側)には、記録ヘッド15aの維持回復を行う維持回復機構19が配置されたキャッピング位置が設けられている。維持回復機構19は、各記録ヘッド15aの各ノズル面15b(図4参照)をキャッピングするための各キャップ部材19aと、各ノズル面15bをワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード19bと、各キャップ部材19aおよびワイパーブレード19bを昇降させるキャップ昇降手段19c(図12参照)と、各ノズル面15bをキャッピングしたキャッピング状態で吸引を行うよう各キャップ部材19aに接続された吸引手段19d(図12参照)とを含んで構成されている。
【0056】
各ノズル面15bは、例えば印字動作終了後や後述するカッタユニットの異常時などにキャップ昇降手段19cが駆動されることにより、各キャップ部材19aによりキャッピングされるようになっている。また、各ノズル面15bをキャッピングした状態で吸引手段19dを駆動させた場合には、各キャップ部材19a内空間が負圧とされ、各ノズルから各キャップ部材19a内にインクを排出させることができる。排出された廃インクは、図示しない廃液タンクに排出されるようになっている。本実施の形態におけるキャップ部材19aおよびキャップ昇降手段19cは、本発明に係るキャッピング手段を構成している。なお、装置の仕様によっては、例えば空吐出受けをキャリッジホーム位置側に設けて、キャップ部材19aやワイパーブレード19bと同様に維持回復機構19に含めた構成としてもよいし、キャリッジホーム位置側および空吐出位置側の両方にそれぞれ空吐出受けを設ける構成であってもよい。
【0057】
ロール紙収容部4は、給紙手段であり、画像記録用のシートとしてロール紙30がセットされるようになっている。このロール紙収容部4には、シート幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。ロール紙30は、その紙軸に両側からフランジ31を装着し、このフランジ31をフランジ受け32に載置することによりロール紙収容部4に収容される。フランジ受け32の内部には、図示しない支持コロが設けられ、該支持コロがフランジ31の外周と当接することでフランジ31が回転し、ロール紙30がシート搬送経路に送り出される。
【0058】
図3に示すように、シート搬送部3は、給紙ローラ対33と、レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35と、これら各ローラを駆動する図示しない駆動モータなどからなる駆動部38(図12参照)とを備えている。給紙ローラ対33は、ロール紙収容部4からロール紙30をシート搬送経路に給紙するようになっている。レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35は、画像形成部2のシート搬送方向下流に設けられ、給紙されたロール紙30を画像形成部2を介してシート切断装置5に搬送するようになっている。
【0059】
ロール紙収容部4から送り出されたシート30は、装置本体1aの後方(図中、右側)から前方(図中、左側)に向けて、シート搬送部3により画像形成部2の下部に位置する所定の記録領域へと搬送される。上記記録領域にロール紙30が搬送されると、キャリッジ15がシート幅方向に往復移動し、画像情報に応じて記録ヘッド15a(図2参照)によりインク滴が吐出される。さらに、ロール紙30を間欠的に搬送しながら記録ヘッド15aによるインク滴の吐出を繰り返し行うことにより、ロール紙上の各記録ラインに画像が形成される。最終的には、画像情報に応じた所望の画像がロール紙30上に形成される。
【0060】
画像形成後のロール紙30は、シート切断装置5によって所定の長さに切断され、図示しない排紙ローラを介して装置本体1aの前方側に配置された排紙トレイ(図示省略)に排出される。
【0061】
次に、図4〜図8を参照して、本実施の形態に係るシート切断装置5について、説明する。なお、図4は、装置本体1a(図1参照)の背面側からシート切断装置5を見た図である。
【0062】
図4に示すように、シート切断装置5は、画像形成部2のシート搬送方向下流側に配置され(図3参照)、カッタ50と、カッタユニット51と、ガイド部材52とを含んで構成されている。
【0063】
カッタ50は、ロール紙30を介して互いに対向配置された円形刃物50a、50bからなり、カッタユニット51に回転可能に保持されている。円形刃物50a、50bは、カッタユニット51のシート幅方向(図中、矢印Aで示す方向)の移動に応じて駆動力を得て回転するようになっている。すなわち、カッタ50は、円形刃物50a、50bが回転しながらロール紙30を切断するため、比較的厚さのあるロール紙などの切断にも対応できる。また、カッタ50は、円形刃物で構成されているため、固定刃のように所定箇所のみが集中して摩耗するといった不具合を防止することができる。なお、カッタ50を構成する円形刃物は、2枚に限らず、3枚以上で構成されていてもよい。また、本実施の形態では、カッタ50を一対の円形刃物50a、50bから構成したが、これに限らず、例えば片側のみを円形刃物として他方を固定刃で構成してもよい。
【0064】
カッタユニット51は、図13に示すシート幅方向の移動領域(以下、カッタ移動領域という)内をシート幅方向に往復移動可能に構成されている。図13に示すカッタ移動領域の両端には、第1の退避位置(図13中、左側)および第2の退避位置(図13中、右側)がそれぞれ設けられている。第1および第2の退避位置においては、カッタユニット51がシート搬送経路からシート厚さ方向、すなわち鉛直方向の下方に退避した状態とされる。このため、カッタユニット51は、第1および第2の退避位置にあるときにはキャリッジ15と干渉しないようになっている。本実施の形態では、第1の退避位置をカッタホームポジションとしている。
【0065】
カッタユニット51は、装置本体1a(図1参照)の他方側から一方側へ移動する往路ではカッタ50によりロール紙30を切断するようになっている。すなわち、カッタユニット51は、ロール紙30の切断時はカッタホームポジション(第1の退避位置)から第2の退避位置に移動する。
【0066】
一方、カッタユニット51は、装置本体1a(図1参照)の一方側から他方側へ移動する復路ではシート搬送経路から鉛直方向の下方に退避した状態でカッタホームポジションに移動するようになっている。このため、復路では、カッタユニット51がシート搬送経路から離隔し、シート搬送経路を塞ぐことがない。
【0067】
また、カッタ移動領域の両端には、例えば透過型のセンサやマイクロスイッチなどで構成された第1検出部101、第2検出部102がそれぞれ設置されている。第1検出部101および第2検出部102は、それぞれカッタユニット51が第1、第2の退避位置に位置することを検出する。カッタユニット51は、第1検出部101、第2検出部102により位置検出され、制御部100により制御される。本実施の形態における第1検出部101および第2検出部102は、本発明に係るカッタ位置検出手段を構成している。
【0068】
カッタユニット51の具体的な構成は、次の通りである。
【0069】
カッタユニット51は、駆動コロ51aと、従動コロ51bとを備えており、内部にカッタ50を保持している。駆動コロ51aは、装置本体1aのシート幅方向両側に設けられた一対のプーリ54に掛け渡されたワイヤ55に接続されている。また、ワイヤ55は、カッタユニット駆動モータ57(図12参照)により回転するプーリ54を介して幅方向に回転移動するようになっている。したがって、駆動コロ51aは、ワイヤ55の回転移動に応じて後述する上ガイドレール61上を回転駆動するようになっている。カッタユニット51は、駆動コロ51aの回転駆動によりシート幅方向に移動可能とされる。従動コロ51bは、駆動コロ51aとシート幅方向に離間した位置に回転自在に設けられている。従動コロ51bは、カッタユニット51の往路では後述する上ガイドレール61上を移動し、復路では後述する下ガイドレール62上を移動するようになっている。すなわち、従動コロ51bは、カッタユニット51の移動に際し、上ガイドレール61および下ガイドレール62に対してカッタユニット51を位置決めする部材として機能する。なお、カッタユニット51の位置決め用の部材としては、従動コロ51bに限らず、例えば円弧状の突起であってもよい。
【0070】
また、カッタユニット51は、往路と復路との切換時、駆動コロ51aを支点に鉛直方向に回動するようになっている。これにより、カッタユニット51は、往路でロール紙30を切断する姿勢と、復路でシート搬送経路から退避した姿勢とが切り換わるようになっている。
【0071】
ここで、図5(a)に示すように、カッタユニット51は、キャリッジ15のシート搬送方向の幅内に配置されている。すなわち、往路移動時のカッタ移動領域とキャリッジ移動領域とが一部重複するよう、カッタユニット51とキャリッジ15が鉛直方向に重ねて配置される。これにより、装置本体1a(図1参照)のシート搬送方向の幅が縮小される。ただし、本実施の形態においては、上記のような配置により、特にカッタユニット51の往路移動時にキャリッジ15と干渉しないように、カッタユニット51は、キャリッジ15がキャリッジホーム位置あるいは空吐出位置に位置するときに往路を移動するようになっている。このようなカッタユニット51の移動制御は、後述する制御部100により実行される。なお、図5(a)において矢印B方向に延在する破線は、シート搬送経路である。
【0072】
また、駆動コロ51aと従動コロ51bとは、互いにシート搬送方向(図中、矢印Bで示す方向)にずらして配置されている。具体的には、従動コロ51bが駆動コロ51aよりシート搬送方向の上流側に配置される。このため、駆動コロ51aを上ガイドレール61上に維持した状態で、従動コロ51bを上ガイドレール61と下ガイドレール62との間で移動させることができ、上述したカッタユニット51の回動を実現することができる。
【0073】
さらに、図4に示すように、カッタユニット51は、シート搬送経路に対して鉛直方向に所定の角度で傾斜した傾斜面51cを有している。この傾斜面51cの傾斜角度は、カッタユニット51が復路を移動する際にシート搬送経路と略平行となる角度に設定されている。
【0074】
図4に示すように、ガイド部材52は、カッタユニット51のシート幅方向の移動をガイドする部材であって、シート幅方向に延在し、少なくともシート搬送幅よりも長く設定された上ガイドレール61と、上ガイドレール61に対してシート搬送経路より鉛直方向の下方に離間した下ガイドレール62とを備えている。ガイド部材52は、上ガイドレール61上にカッタユニット51の往路を形成し、下ガイドレール62上にカッタユニット51の復路を形成している。上ガイドレール61と下ガイドレール62とは、同一部材で構成したが、これに限らず、それぞれ別部材で構成してもよい。
【0075】
上ガイドレール61は、図5(a)、図5(b)に示すように、シート搬送方向に並列に、駆動コロ51aをシート幅方向に案内する駆動コロ案内領域61aと、カッタユニット51が往路を移動するよう従動コロ51bを案内する従動コロ案内領域61bとを有している。駆動コロ案内領域61aと従動コロ案内領域61bとは、上ガイドレール61の同一レールで構成したが、これに限らず、それぞれ別のレールで構成してもよい。
【0076】
従動コロ案内領域61bのシート幅方向の一方側には、カッタユニット51の経路を往路から復路に切り換えるための第1連通路61cが形成されている。第1連通路61cは、図7に示すように、上ガイドレール61上の往路と下ガイドレール62上の復路とを連通するよう上ガイドレール61に形成されている。具体的には、上ガイドレール61がシート幅方向の一方側の所定箇所で切り欠かれるとともに、切り欠かれた端部が下方に向けて所定の角度で傾斜するよう折り曲げられることにより第1連通路61cが形成される。これにより、従動コロ51bは、ロール紙切断後、上ガイドレール61から下ガイドレール62に移動可能となる。また、第1連通路61cに隣接する上ガイドレール61の下方側端部61dは、復路を移動する従動コロ51bとの接触を避けるため、上方に折り曲げられている。
【0077】
一方で、図6に示すように、従動コロ案内領域61bのシート幅方向の他方側には、移動機構70が設けられている。移動機構70は、カッタユニット51が図10の実線で示すカッタホームポジションからシート幅方向の他方に移動したとき、従動コロ51bを下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させる、すなわちカッタユニット51をロール紙切断動作領域に復帰させるための機構である。
【0078】
移動機構70は、下ガイドレール62上の復路と上ガイドレール61上の往路とを連通させる第2連通路61eと、第2連通路61eに隣接して上ガイドレール61に設けられた切換爪71とを有している。
【0079】
第2連通路61eは、上ガイドレール61の他方側の所定箇所が切り欠かれることにより形成されている(図5(b)参照)。
【0080】
切換爪71は、復路と上記第2連通路61eとの間で回動自在に設けられ、先端部が下ガイドレール62に当接するよう、図示しないコイルばねなどの付勢部材により常時、下方側に付勢されている。したがって、図10に示すように、切換爪71は、カッタユニット51が復路をシート幅方向の他方側に移動する際に、従動コロ51bが接触することにより図中破線で示す通り、付勢部材の付勢力に抗して上方に回動するようになっている。そして、この状態から従動コロ51bがさらにシート幅方向の他方側に移動すると、切換爪71は、従動コロ51bとの接触が解除され、付勢部材により元の位置すなわち図中実線で示す位置に復帰するようになっている。さらに、切換爪71は、図10中、実線で示す位置においては所定の角度で傾斜している。これにより、図11に示すように、カッタユニット51が復路から往路に復帰する際に、切換爪71を介して従動コロ51bを下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させることができる。なお、切換爪71は、板バネで構成されていてもよい。この場合には、上記付勢部材が不要となる。
【0081】
下ガイドレール62は、復路を移動するカッタユニット51の従動コロ51bを案内するようになっている。
【0082】
次に、図6〜図11を参照して、シート切断装置5の動作について説明する。
【0083】
まず、図11に示すように、ロール紙30の切断前においては、カッタユニット51は、シート幅方向の他方側のカッタホームポジション(図11中、実線で示す位置)に位置している。このとき、第1検出部101がONすることにより、カッタユニット51がカッタホームポジションに位置することが検出されている。次いで、シート切断の指示を受けると、カッタユニット51は、ワイヤ55(図4参照)を介して駆動コロ51aが回転駆動する。これにより、カッタユニット51がカッタホームポジションからロール紙切断動作領域(図11中、破線で示す位置)に移動し、第1検出部101がOFFされる。その後、カッタユニット51は、往路をシート幅方向の一方側に移動する。このとき、カッタユニット51の移動に応じてカッタ50により、ロール紙30が切断される。
【0084】
次いで、図6に示すように、カッタユニット51がシート搬送経路を横断して往路をシート幅方向の一方まで移動すると、第2検出部102がONする。第2検出部102がカッタユニット51を検出することにより、カッタユニット51が第2の退避位置にあることが検知され、ロール紙30の切断が終了する。このとき、カッタユニット51は、その移動経路を往路から復路へと切り換えるべく、駆動コロ51aを支点に鉛直方向の下方に自重により回動する。具体的には、上ガイドレール61上を移動していた従動コロ51bが第1連通路61cに達し、第1連通路61cを介して上ガイドレール61から下ガイドレール62に移動する。このとき、図8に示すように、駆動コロ51aは上ガイドレール61上に維持されたまま、従動コロ51bのみがカッタユニット51の自重により下ガイドレール62に移動する。これにより、図中、破線で示すシート搬送経路と重なっていたカッタユニット51が回動し、復路を移動可能な姿勢、すなわちシート搬送経路から退避した姿勢(図7中、破線で示す姿勢)となる。
【0085】
その後、ワイヤ55(図4参照)の駆動が逆転され、駆動コロ51aの回転駆動が往路のときと逆の回転駆動とされる。これにより、図9に示すように、カッタユニット51は、シート搬送経路から退避した姿勢で復路をシート幅方向の他方側に向けて移動する。このとき、カッタユニット51が移動を開始すると、第2検出部102がOFFされる。また、復路では、傾斜面51cがシート搬送経路と略平行であり、往路のときと異なりカッタユニット51がシート搬送経路およびキャリッジ移動領域から下方に退避している。このため、カッタユニット51が復路を移動中であっても、シート搬送経路を介してロール紙30を搬送可能であり、かつキャリッジ15(図4参照)も移動可能とされる。
【0086】
次いで、図10に示すように、カッタユニット51がシート幅方向の他方側に移動し、移動機構70の近傍まで来ると、従動コロ51bが切換爪71に接触する。そして、従動コロ51bは、カッタユニット51の移動に応じて図中、破線で示すように切換爪71を押し上げ、復路側(図10中、切換爪71の右側)からシート幅方向の他方側すなわち第2連通路61e側(図10中、切換爪71の左側)に移動する。従動コロ51bが第2連通路61e側に移動すると、切換爪71は従動コロ51bとの接触が解除され、付勢部材により元の位置すなわち図中実線で示す位置に復帰する。このとき、第1検出部101がONすることにより、カッタユニット51がカッタホームポジションに位置することが検出される。
【0087】
これにより、カッタユニット51のシート幅方向の一連の往復動作が終了する。また、後続するロール紙30がある場合には、上述した一連の往復動作を繰り返し実行する。
【0088】
次に、図12を参照して、制御部100の構成について説明する。
【0089】
図12に示すように、制御部100には、上述した第1検出部101、第2検出部102、エンコーダセンサ103、記録ヘッド15a、キャップ昇降手段19c、吸引手段19d、駆動部38、カッタユニット駆動モータ57、操作表示部105、外部装置150、キャリッジ駆動モータ21、がそれぞれ接続されている。制御部100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェースなどを備えるマイクロコンピュータを含んで構成されている。なお、本実施の形態においては、1つの制御部100により各種モータなどを制御する構成としたが、これに限らず、制御部100をそれぞれ制御対象の異なる2以上の制御部から構成してもよい。例えば、制御部100が、記録ヘッド15a、キャップ昇降手段19c、吸引手段19d、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38などを制御する第1制御部と、カッタユニット駆動モータ57を制御する第2制御部とから構成されていてもよい。さらに、上記第1制御部が記録ヘッド15aおよびキャリッジ駆動モータ21を制御する画像形成用制御部と、キャップ昇降手段19c、吸引手段19dを制御する維持回復制御部と、駆動部38を制御する搬送用制御部とから構成されるものであってもよい。
【0090】
第1検出部101は、図13に示すカッタ移動領域の第1の退避位置側(図13中、左側端部)に配置され、カッタユニット51が第1の退避位置に位置することを検出するようになっている。第2検出部102は、カッタ移動領域の第2の退避位置側(図13中、右側端部)に配置され、カッタユニット51が第2の退避位置に位置することを検出するようになっている。エンコーダセンサ103は、上述した通り、キャリッジ15に設けられ、エンコーダシート16を読取ることによりキャリッジ15の主走査位置を検知するようになっている。これら各検出手段からの検出結果を示す信号は、制御部100に入力されるようになっている。
【0091】
操作表示部105は、装置本体1a(図1参照)の所定箇所に配置され、ユーザからの動作要求の指示やカッタユニット異常時の印字動作継続の有無を受け付けたり、ユーザへのメッセージ(エラーメッセージを含む)等の表示を行うようになっている。特に、操作表示部105には、カッタユニット51(図4参照)の異常発生時、カッタユニット51の異常を示すカッタエラー通知が表示されるようになっている。このカッタエラー通知は、第1検出部101および第2検出部102の検出結果に応じて、制御部100によりカッタユニット51の異常が判断され、異常時には制御部100からの制御信号に応じて操作表示部105に表示される。本実施の形態において、上記のような機能を有する制御部100および操作表示部105は、本発明に係る通知手段を構成している。なお、カッタユニット51の異常は、操作表示部105の表示に加えて、あるいは代えて警報やランプ表示などにより通知するようにしてもよい。また、上記カッタエラー通知は、操作表示部105に表示させる他、例えば制御部100と接続された外部装置150の表示画面上に表示させるようにしてもよい。
【0092】
制御部100は、外部に接続された外部装置150などから転送される画像情報等に基づいてロール紙30に画像を記録するためのデータを生成し、このデータを記録ヘッド15aに出力し、記録ヘッド15aを駆動制御するようになっている。また、制御部100は、記録ヘッド15aの駆動制御と併せて、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38を制御するようになっている。このように、制御部100は、記録ヘッド15a、キャリッジ駆動モータ21および駆動部38を制御することにより、所定のタイミングでインク滴を吐出させ、ロール紙30の記録領域に画像を記録する。
【0093】
制御部100は、エンコーダセンサ103からの入力信号に基づき、キャリッジ15がキャリッジホーム位置または空吐出位置に位置すると判断したとき、往路を介してカッタユニット51(図4参照)をシート幅方向の一方に移動させるシート切断動作を実行するようになっている。このシート切断動作により、ロール紙30(図3参照)が切断される。
【0094】
また、制御部100は、上記シート切断動作の実行後、カッタユニット51(図4参照)が第2検出部102により検出されると、カッタユニット駆動モータ57を逆転駆動し、カッタユニット51をシート搬送経路から退避した状態で復路上をシート幅方向の他方に移動させるようになっている。このとき、制御部100は、カッタユニット51の復路移動と同時にロール紙30(図3参照)をシート搬送方向下流に向けて搬送可能なように駆動部38を制御する。したがって、カッタユニット51が復路を移動している間に、例えば画像記録のためにロール紙30を搬送することが可能となる。
【0095】
また、制御部100は、予め定められた非稼働ノズルの経過時間を経過したか否かを判断し、経過したと判断した場合には空吐出位置において空吐出動作を実行するようになっている。このとき、制御部100は、カッタ50がロール紙30を切断するシート切断位置(以下、カッタ位置という)にロール紙30のカット位置(以下、シートカット位置という)が達している場合には、上記空吐出動作と同時に上記シート切断動作を実行可能となっている。なお、上記空吐出動作は、各ノズルの記録回数が所定の記録回数に達したタイミングで実行するようにしてもよい。
【0096】
また、制御部100は、印字動作終了後やカッタユニット51の異常時などの所定条件成立時、キャップ昇降手段19cを駆動してキャップ部材19aにより各記録ヘッド15a(図2参照)の各ノズル面15bをキャッピングするようになっている。また、制御部100は、各ノズル面15bをキャッピングした状態で吸引手段19dを駆動することによりインクを排出するようになっている。なお、この吸引手段19dの駆動は、キャッピング時に必ず実行するようにしてもよいし、キャッピング時の装置の状態に応じて適宜選択的に実行するようにしてもよい。
【0097】
また、制御部100は、カッタユニット異常時に印字動作を継続する印刷継続設定、またはカッタユニット異常時に印字動作を継続しない非印刷継続設定のいずれかを設定するようになっている。この印刷継続設定および非印刷継続設定は、例えば操作表示部105上のタッチパネルあるいは設定ボタンなどを介したユーザの入力に応じて設定される。本実施の形態において、上記のような機能を有する制御部100および操作表示部105は、本発明に係る設定手段を構成している。
【0098】
次に、図13、図14を参照して、制御部100において実行されるカッタユニット51の移動制御およびカッタユニット異常時のカッタエラー通知制御について説明する。なお、本実施の形態においては、印字動作終了後やロール紙30の切断時、キャリッジ15が常時キャリッジホーム位置(図13中、実線で示す位置)に移動して待機するよう制御される。これにより、制御部100で実行する制御が容易となる。
【0099】
図13に示すように、先行するロール紙30(以下、先行シートという)のシートカット位置がカッタ位置に到達すると、制御部100は、キャリッジ15をカット時待機位置(本実施の形態ではキャリッジホーム位置)に移動させる(ステップS101)。すなわち、キャリッジ15をカッタユニット51と干渉しない位置に退避させる。これにより、カッタユニット51が往路上を移動可能となる。
【0100】
次いで、制御部100は、カッタユニット駆動モータ57を正転駆動することにより、往路を介してカッタユニット51を第2の退避位置(図13中、右側)に向けて移動させる(ステップS102)。これにより、先行シートをロール紙30から切断するシート切断動作が開始される。ここで、シート切断動作とは、カッタユニット51がカッタホームポジション(図13中、左側)から往路を第2の退避位置に移動させた後、復路を介してカッタホームポジションまで戻す一連の動作をいう。
【0101】
以下においては、正常にシート切断動作を終了した場合と、シート切断動作中に異常が生じた場合とで、場合分けして説明する。
【0102】
まず、正常にシート切断動作を終了する場合について説明する。
【0103】
ステップS102でカッタユニット51を第2の退避位置に向けて移動させた後、制御部100は、所定時間t経過後に第1検出部101がOFFとなったか否かを判断する(ステップS103)。ここで、上記所定時間tは、カッタユニット51が正常に駆動して第1検出部101をOFFするのに十分な時間(例えば、0.3秒)に設定されている。所定時間t以内に第1検出部101がOFFした場合には、制御部100は、所定時間t経過後に第2検出部102がONとなったか否かを判断する(ステップS104)。すなわち、制御部100は、カッタユニット51がカッタホームポジションからロール紙切断動作領域に移動し、往路上を移動開始したと判断した場合には、正常にシート切断動作が終了したか否かを判断する。ここで、上記所定時間tは、カッタユニット51がシート切断動作時にカッタホームポジションから第2の退避位置に移動するのに十分な時間(例えば、2秒)に設定されている。
【0104】
所定時間t経過後に第2検出部102がONした場合には、制御部100は、キャリッジ15の退避を解除する(ステップS105)。すなわち、カッタユニット51がキャリッジ移動領域およびシート搬送経路から退避した状態となるため、キャリッジ15が移動可能となり印字動作などを実行することができる。そして、制御部100は、カッタユニット駆動モータ57を逆転駆動し、カッタユニット51をキャリッジ移動領域およびシート搬送経路から退避した状態で、復路上をカッタホームポジション側に移動させる(ステップS106)。
【0105】
その後、制御部100は、所定時間t経過後に第2検出部102がOFFとなったか否かを判断する(ステップS107)。ここで、上記所定時間tは、上記所定時間tと同様であり、例えば、0.3秒に設定されている。所定時間t以内に第2検出部102がOFFした場合には、制御部100は、所定時間t経過後に第1検出部101がONとなったか否かを判断する(ステップS108)。すなわち、制御部100は、カッタユニット51が第2の退避位置から復路上を移動開始したと判断した場合には、正常にカッタホームポジションに戻ったか否かを判断する。ここで、上記所定時間tは、上記所定時間tと同様であり、例えば2秒に設定されている。
【0106】
所定時間t経過後に第1検出部101がONした場合には、制御部100は、一連のシート切断動作が正常に終了したと判断して(ステップS109)、その後の動作を継続する。すなわち、後続する次ページの印字が開始されている場合には、次ページの印字を継続する。次ページの印字が終了し、次ページのシートカット位置がカッタ位置に到達すると、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返し実行する。
【0107】
次に、シート切断動作中に異常が生じた場合について説明する。
【0108】
制御部100は、上述したステップS103において、所定時間t経過後も第1検出部101がOFFしない場合には、カッタユニット51がカッタホームポジションで所定時間t以上停止している(カッタユニット異常)と判断して、各記録ヘッド15aの各ノズル面15bをキャッピングするキャッピング動作を実行する(ステップS110)。具体的には、キャリッジホーム位置に設けられたキャッピング位置において、キャップ昇降手段19cを駆動してキャップ部材19aにより各ノズル面15bをキャッピングする。このとき、必要に応じて、吸引手段19dを駆動して各記録ヘッド15aのノズルからインクを吸引するクリーニングを実行してもよい。
【0109】
次いで、制御部100は、キャッピングが終了した後、カッタユニットの異常を示すカッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0110】
また、制御部100は、上述したステップS104において、所定時間t経過後も第2検出部102がONしない場合には、例えばカットジャムなどが原因でカッタユニット51が往路上で停止している(カッタユニット異常)と判断して、上記ステップS110と同様、キャリッジ15をキャッピング位置に移動し(ステップS111)、キャッピング動作を実行する(ステップS112)。その後、制御部100は、カッタユニット駆動モータ57を逆転駆動することによりカッタユニット51をカッタホームポジション側に移動させる(ステップS113)。これにより、ユーザがカッタユニット異常に対応するため装置内部にアクセスした場合にも、カッタ50と触れることがなく安全にカットジャムなどの要因となったロール紙を除去することができる。さらに、往路上で停止しているカッタユニット51に対し、さらにカット方向に進行させないようにしているので、駆動モータ57への負荷を軽減させることができる。なお、本ステップ実行時、第1検出部101の検出結果に基づき、カッタユニット51がカッタホームポジションに戻ったか否かを判断するのが好ましい。このとき、例えば駆動系の故障によりカッタユニット51が戻れなかった場合には、カッタエラー通知とともに、あるいはカッタエラー通知に代えて別のエラー通知を通知する。なお、上記ステップS113の動作は、実行しなくともよい。その場合には、例えば操作表示部105に、カッタ50が往路上に露出していることを示す注意表示を表示するのが好ましい。
【0111】
次いで、制御部100は、上記ステップS113においてカッタユニット51をカッタホームポジション側に移動させた後、カッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0112】
また、制御部100は、上述したステップS107において、所定時間t経過後も第2検出部102がOFFしない場合には、カッタユニット51が第2の退避位置で所定時間t以上停止している(カッタユニット異常)と判断して、後続するロール紙30(後続シート)に対して次ページの印字を開始しているか否かを判断する(ステップS114)。本実施の形態において、本ステップの処理を実行する制御部100は、本発明に係る判断手段を構成している。次ページの印字を開始していないと判断した場合には、上述したステップS110以降の処理を実行する。
【0113】
一方、次ページの印字を開始していると判断した場合には、制御部100は、カッタユニット異常時に印字動作を継続する印刷継続設定となっているか否かを判断する(ステップS115)。印刷継続設定となっていない場合、すなわち非印刷継続設定となっている場合には、制御部100は、キャリッジ15をキャッピング位置に移動させた後(ステップS116)、上述したステップS110以降の処理を実行する。このように、カッタユニット異常時に次ページの印字が開始されている場合であっても、ユーザの要求に応じて印字を中止し、カッタエラー通知を通知することができる。
【0114】
これに対し、印刷継続設定となっている場合には、進行中の次ページの印字を継続する(ステップS117)。その後、制御部100は、次ページの印字終了後(ステップS118)にカッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。このように、カッタユニット異常時にあっても、すでに開始済みの印字動作を継続し、印字動作終了後にカッタエラー通知を通知することで、ロール紙30およびインクの無駄な消費を防止することができる。
【0115】
また、制御部100は、上述したステップS108において、所定時間t経過後も第1検出部101がONしない場合には、例えば駆動系の故障などによりカッタユニット51が復路上で停止している(カッタユニット異常)と判断して、上述したステップS114以降の処理を実行する。この場合、ロール紙30の切断後、カッタユニットがシート搬送経路およびキャリッジ移動領域から鉛直方向の下方に退避した状態で停止しているので、カッタユニット51がキャリッジ15と干渉しない。したがって、ユーザにカッタエラー通知を通知する前にステップS110においてキャッピングを実行することができる。
【0116】
このように、本実施の形態では、制御部100は、第1検出部101および第2検出部102の検出結果に応じて、カッタエラー通知をユーザに通知する。このため、カッタユニット異常時のカッタユニット51の位置に応じて、カッタエラー通知の通知タイミングが異なることとなる。カッタエラー通知の通知タイミングは、カッタユニット51の位置やカッタユニット異常発生後の各種動作(キャッピング動作や印字動作)に基づき、予めプログラムされ、制御部100のROMなどの記憶装置に記憶されている。
【0117】
以上のように、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、第1検出部101および第2検出部102の検出結果に応じてカッタエラー通知を通知する。このため、異常発生時のカッタユニット51の位置に応じてカッタエラー通知の通知タイミングが異なることとなる。例えばキャリッジ15と干渉する位置においてカッタユニット51が停止した場合(例えば図14中、ステップS104でNOの場合)には、記録ヘッド15aのキャッピングを実行した後にカッタエラー通知を通知する。あるいは往路を移動中のカッタユニット51が停止し、かつ次ページの印字を開始しているような場合(例えば図14中、ステップS114でYESの場合)には、キャリッジ15をキャリッジホーム位置まで移動させ上記キャッピングを実行した後にカッタエラー通知を通知する。このため、カッタユニット異常時にあっても、ユーザに異常を通知する前にキャッピングを適正に行うことができ、記録ヘッド15aを適切に保護することができる。
なお、本実施の形態では、キャリッジ15のキャリッジホーム位置とキャッピング位置とが異なる場合で説明したが、キャリッジホーム位置とキャッピング位置とが同じ位置であってもよい。その場合、ステップS111およびステップS116は不要となる。
【0118】
(第2の実施の形態)
次に、図15、図16を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るインクジェット式記録装置について説明する。
【0119】
なお、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置においては、本発明の第1の実施の形態に係るインクジェット式記録装置とは、特に制御部の構成およびカッタユニット異常時の処理が一部異なるのみで、他の構成は同一である。したがって、図1から図14に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0120】
まず、本実施の形態に係る制御部100には、第1の実施の形態と同様、キャリッジ駆動モータ21が接続されている。ここで、このキャリッジ駆動モータ21には、キャリッジ駆動モータ21の駆動電流を検出する電流計21aが接続されており、電流計21aは図示しないA/Dコンバータを介して制御部100に接続されている。キャリッジ15の移動負荷は、電流計21aで検出されたキャリッジ駆動モータ21の駆動電流の大きさを示す電流値に基づき、検出される。したがって、制御部100は、キャリッジ駆動モータ21の駆動電流に基づき、キャリッジ15の移動負荷を容易に検出することができる。ここで、キャリッジ駆動モータ21の電流値とキャリッジ15の移動負荷とは、比例関係にあり、電流値が増大すると移動負荷も増大する。本実施の形態におけるキャリッジ駆動モータ21は、本発明に係る駆動モータを構成し、電流計21aは、本発明に係る負荷検出手段および電流値検出手段を構成している。なお、キャリッジ15の移動負荷は、キャリッジ駆動モータ21のモータトルクに基づき、検出するようにしてもよい。
【0121】
また、制御部100は、電流計21aで検出された上記電流値と予め記憶された所定の閾値とを比較し、電流値が所定の閾値以上となったとき、キャリッジ駆動モータ21の駆動を停止するようになっている。ここで、所定の閾値は、例えばカットジャム後のロール紙にキャリッジ15が接触した際に、キャリッジ駆動モータ21にかかる負荷に応じた電流値であり、定常時の駆動電流よりも大きな電流値である。
【0122】
次に、図13および図16を参照して、制御部100において実行されるカッタユニット51の移動制御およびカッタユニット異常時のカッタエラー通知制御について説明する。なお、本実施の形態においては、印字動作終了後やロール紙30の切断時、キャリッジ15が常時、空吐出位置(図13中、破線で示す位置)に移動して待機するよう制御される。これにより、印刷動作終了後は、必要に応じて空吐出動作を行うことができ、増粘したインクがノズルに残るようなことがなく、ノズルの目詰まりを防止することができる。
【0123】
また、本実施の形態において、図16に示す各ステップのうち、ステップS101〜ステップS109については、第1の実施の形態と同様の処理である。このため、これら各ステップの説明は、省略する。ただし、本実施の形態では、ステップS101におけるキャリッジ15のカット時待機位置は、第1の実施の形態と異なり、空吐出位置である。以下、第1の実施の形態と異なる処理について、説明する。
【0124】
図16に示すように、制御部100は、ステップS103において、所定時間t経過後も第1検出部101がOFFしない場合には、カッタユニット51がカッタホームポジションで所定時間t以上停止している(カッタユニット異常)と判断して、キャリッジ15を空吐出位置からキャッピング位置(図13中、実線で示す位置)に移動させる(ステップS201)。このとき、カッタユニット51がカッタホームポジションで停止しているので、キャリッジ15がカッタユニット51と干渉することはない。次いで、制御部100は、各記録ヘッド15aの各ノズル面15bをキャッピングするキャッピング動作を実行する(ステップS202)。具体的なキャッピング動作は、第1の実施の形態と同様である。次に、制御部100は、キャッピングが終了した後、カッタユニットの異常を示すカッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0125】
また、制御部100は、上述したステップS104において、所定時間t経過後も第2検出部102がONしない場合には、例えばカットジャムなどが原因でカッタユニット51が往路上で停止している(カッタユニット異常)と判断して、カッタユニット駆動モータ57を逆転駆動することによりカッタユニット51をカッタホームポジション側に移動させる退避動作を実行する(ステップS203)。これにより、カッタユニット51がキャリッジ15と干渉しない位置に移動するため、その後にキャリッジ15を移動させてもカッタユニット51と干渉することがない。また、カッタユニット異常の原因を除去するために、ユーザが装置内部にアクセスする際にカッタ50と接触することを防止できる。さらに、往路上で停止しているカッタユニット51に対し、さらにカット方向に進行させないようにしているので、駆動モータ57への負荷を軽減させることができる。
【0126】
次いで、制御部100は、所定時間t経過後に第1検出部101がONとなったか否かを判断する(ステップS204)。すなわち、制御部100は、カッタユニット51がカッタホームポジションに戻ったか否かを判断する。ここで、上記所定時間tは、カッタユニット51が往路上の停止位置からカッタホームポジションに移動するのに十分な時間(例えば、2秒)に設定されている。
【0127】
所定時間t経過後に第1検出部101がONしない場合には、例えばカットジャムなどの要因となったロール紙に接触するなどしてカッタユニット51が移動できない状況にある可能性が高いため、制御部100は、直ちにカッタエラー通知を操作表示部105に表示してユーザに通知する。これにより、カッタユニット51とキャリッジ15との干渉を避けることができ、カッタユニット異常に対する対応をユーザに早急に促すことができる。
【0128】
一方、所定時間t経過後に第1検出部101がONした場合には、制御部100は、カッタユニット51がキャリッジ15と干渉しないカッタホームポジションまで退避していると判断して、キャリッジ15をキャッピング位置側に移動させる(ステップS205)。そして、制御部100は、上記ステップS205のキャリッジ移動中、電流計21aを介してキャリッジ駆動モータ21の電流値を監視しており、この電流値が所定の閾値以上となったか否かを判断する(ステップS206)。すなわち、制御部100は、キャリッジ移動中の移動負荷を監視することにより、例えばカットジャム後のロール紙などの障害物に対するキャリッジ15の接触の有無を判別している。キャリッジ駆動モータ21の電流値が所定の閾値未満であると判断した場合には、制御部100は、上述したステップS202のキャッピング動作を実行した後、カッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0129】
一方で、キャリッジ移動中にキャリッジ駆動モータ21の電流値が所定の閾値以上となった場合には、制御部100は、キャリッジ15が障害物に接触している可能性が高いため、直ちにキャリッジ駆動モータ21の駆動を停止し、キャリッジ15を停止する(ステップS207)。これにより、障害物との接触に起因して記録ヘッド15aが損傷してしまうことを防止することができる。次いで、制御部100は、キャリッジ15を停止後、直ちにカッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0130】
また、制御部100は、上述したステップS107において、所定時間t経過後も第2検出部102がOFFしない場合には、カッタユニット51が第2の退避位置で所定時間t以上停止している(カッタユニット異常)と判断して、後続シートに対して次ページの印字を開始しているか否かを判断する(ステップS208)。本実施の形態において、本ステップの処理を実行する制御部100は、本発明に係る判断手段を構成している。次ページの印字を開始していないと判断した場合には、キャリッジ15をキャッピング位置に移動させた後(ステップS201)、上述したステップS202以降の処理を実行する。
【0131】
一方、次ページの印字を開始していると判断した場合には、制御部100は、カッタユニット異常時に印字動作を継続する印刷継続設定となっているか否かを判断する(ステップS209)。印刷継続設定となっていない場合、すなわち非印刷継続設定となっている場合には、制御部100は、キャリッジ15をキャッピング位置に移動させた後(ステップS201)、上述したステップS202以降の処理を実行する。これに対し、印刷継続設定となっている場合には、進行中の次ページの印字を継続する(ステップS210)。その後、制御部100は、次ページの印字終了後(ステップS211)にカッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0132】
また、制御部100は、上述したステップS108において、所定時間t経過後も第1検出部101がONしない場合には、例えば駆動系の故障などによりカッタユニット51が復路上で停止している(カッタユニット異常)と判断して、上述したステップS208以降の処理を実行する。この場合、ロール紙30の切断後、カッタユニットがシート搬送経路およびキャリッジ移動領域から鉛直方向の下方に退避した状態で停止しているので、カッタユニット51がキャリッジ15と干渉しない。したがって、ユーザにカッタエラー通知を通知する前にステップS202においてキャッピングを実行することができる。
【0133】
このように、本実施の形態では、制御部100は、第1検出部101および第2検出部102の検出結果に応じて、カッタエラー通知をユーザに通知する。このため、カッタユニット異常時のカッタユニット51の位置に応じて、カッタエラー通知の通知タイミングが異なることとなる。カッタエラー通知の通知タイミングは、カッタユニット51の位置やカッタユニット異常発生後の各種動作(キャッピング動作や印字動作)に基づき、予めプログラムされ、制御部100のROMなどの記憶装置に記憶されている。
【0134】
以上のように、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、制御部100が第1検出部101および第2検出部102の検出結果に応じてカッタエラー通知を通知する。このため、異常発生時のカッタユニット51の位置に応じてカッタエラー通知の通知タイミングが異なることとなる。例えばキャリッジ15と干渉しない位置においてカッタユニット51が停止した場合(例えば図16中、ステップS103でNOの場合)には、キャリッジ15をキャッピング位置に移動して記録ヘッド15aのキャッピングを実行した後にカッタエラー通知を通知する。あるいはロール紙30の切断中にカッタユニット51が停止した場合(例えば図16中、ステップS104でNOの場合)には、カッタユニット51をキャリッジと干渉しないカッタホームポジションまで退避させ、キャリッジ15をキャッピング位置に移動して上記キャッピングを実行した後にカッタエラー通知を通知する。このため、カッタユニット異常時にあっても、ユーザに異常を通知する前にキャッピングを適正に行うことができ、記録ヘッド15を適切に保護することができる。
【0135】
また、カッタユニット異常時にキャリッジ15を移動させることができない場合(例えば、図16中、ステップS204でNOの場合)には、キャッピングを実行することなく即座にユーザにカッタエラー通知を通知する。これにより、ユーザはカッタユニット51の異常に早急に対処することができる。
【0136】
(第3の実施の形態)
次に、図17を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るインクジェット式記録装置について説明する。
【0137】
なお、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置においては、本発明の第1の実施の形態に係るインクジェット式記録装置とは、特に制御部の構成およびカッタユニット異常時の処理が一部異なるのみで、他の構成は同一である。また、本発明の第2の実施の形態に係るインクジェット式記録装置とは、カッタユニット異常時の処理が一部異なるのみで、他の構成は同一である。したがって、図1から図16に示した第1および第2の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0138】
本実施の形態に係る制御部100は、第2の実施の形態と同様に構成されており、キャリッジ駆動モータ21の駆動電流を電流計21aにより検出可能となっている。このため、制御部100は、キャリッジ駆動モータ21の電流値に基づき、キャリッジ15の移動負荷を検出することができる。
【0139】
次に、図13および図17を参照して、制御部100において実行されるカッタユニット51の移動制御およびカッタユニット異常時のカッタエラー通知制御について説明する。なお、本実施の形態においては、印字動作終了後やロール紙30の切断時、キャリッジ15がキャリッジホーム位置(図13中、実線で示す位置)あるいは空吐出位置(図13中、破線で示す位置)のいずれかに移動して待機するよう制御される。具体的には、ロール紙30の切断時を例に説明すると、制御部100は、エンコーダセンサ103からの入力信号に基づき、シートカット位置がカッタ位置に達したときのキャリッジ15の位置がキャリッジホーム位置に近接するのか、あるいは空吐出位置に近接するのかを判断する。そして、制御部100は、この判断に基づき、キャリッジホーム位置あるいは空吐出位置のいずれか近い方にキャリッジ15を移動させる。これにより、キャリッジ15を一律にキャリッジホーム位置あるいは空吐出位置に移動させる構成と比較して、シート切断動作に移行する時間を短縮することができる。
【0140】
また、本実施の形態において、図17に示す各ステップのうち、ステップS101〜ステップS109については、第1の実施の形態と同様の処理である。さらに、ステップS201、S202およびステップS208〜ステップS211については、第2の実施の形態と同様の処理である。このため、これら各ステップの説明は、省略する。ただし、本実施の形態では、ステップS101におけるキャリッジ15のカット時待機位置は、第1および第2の実施の形態と異なり、シートカット位置がカッタ位置に到達したときのキャリッジ15の位置に応じて、キャリッジホーム位置あるいは空吐出位置のいずれかである。以下、第1および第2の実施の形態と異なる処理について、説明する。
【0141】
図17に示すように、制御部100は、上述したステップS104において、所定時間t経過後も第2検出部102がONしない場合には、例えばカットジャムなどが原因でカッタユニット51が往路上で停止している(カッタユニット異常)と判断して、キャリッジ15がキャリッジホーム位置側で待機しているか否かを判断する(ステップS301)。すなわち、ステップS101におけるカット時待機位置がキャリッジホーム位置であるか否かを判断する。この判断は、エンコーダセンサ103からの入力信号に基づき行われる。
【0142】
キャリッジ15がキャリッジホーム位置側で待機している場合には、制御部100は、キャリッジ15をキャッピング位置に移動させて(ステップS302)、各記録ヘッド15aの各ノズル面15bをキャッピングするキャッピング動作を実行する(ステップS303)。具体的なキャッピング動作は、第1の実施の形態と同様である。このように、カッタユニット51が往路上で停止している場合であっても、キャリッジ15がキャリッジホーム位置(キャッピング位置)に位置するときにはカッタユニット51を移動させることなくキャッピングを行うことが可能となる。
【0143】
その後、制御部100は、カッタユニット駆動モータ57を逆転駆動することによりカッタユニット51をカッタホームポジション側に移動させる退避動作を実行する(ステップS304)。これにより、ユーザがカッタユニット異常に対応するため装置内部にアクセスした場合にも、カッタ50と触れることがなく安全にカットジャムなどの要因となったロール紙を除去することができる。また、本ステップ実行時、第1検出部101の検出結果に基づき、カッタユニット51がカッタホームポジションに戻ったか否かを判断するのが好ましい。このとき、例えば駆動系の故障によりカッタユニット51が戻れなかった場合には、カッタエラー通知とともに、あるいはカッタエラー通知に代えて別のエラー通知を通知する。なお、上記ステップS304の動作は、実行しなくともよい。その場合には、例えば操作表示部105に、カッタ50が往路上に露出していることを示す注意表示を表示するのが好ましい。
【0144】
次いで、制御部100は、上記ステップS304においてカッタユニット51をカッタホームポジション側に移動させた後、カッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0145】
一方、ステップS301でキャリッジ15がキャリッジホーム位置側で待機していない、すなわちキャリッジ15が空吐出位置で待機していると判断された場合には、制御部100は、カッタユニット駆動モータ57を逆転駆動することによりカッタユニット51をカッタホームポジション側に移動させる退避動作を実行する(ステップS305)。これにより、カッタユニット51がキャリッジ15と干渉しない位置に移動するため、その後にキャリッジ15を移動させてもカッタユニット51と干渉することがない。また、カッタユニット異常の原因を除去するために、ユーザが装置内部にアクセスする際にカッタ50と接触することを防止できる。さらに、往路上で停止しているカッタユニット51に対し、さらにカット方向に進行させないようにしているので、駆動モータ57への負荷を軽減させることができる。
【0146】
次いで、制御部100は、所定時間t経過後に第1検出部101がONとなったか否かを判断する(ステップS306)。すなわち、制御部100は、カッタユニット51がカッタホームポジションに戻ったか否かを判断する。ここで、上記所定時間tは、カッタユニット51が往路上の停止位置からカッタホームポジションに移動するのに十分な時間(例えば、2秒)に設定されている。
【0147】
所定時間t経過後に第1検出部101がONしない場合には、例えばカットジャムなどの要因となったロール紙に接触するなどしてカッタユニット51が移動できない状況にある可能性が高いため、制御部100は、直ちにカッタエラー通知を操作表示部105に表示してユーザに通知する。これにより、カッタユニット51とキャリッジ15との干渉を避けることができ、カッタユニット異常に対する対応をユーザに早急に促すことができる。
【0148】
一方、所定時間t経過後に第1検出部101がONした場合には、制御部100は、カッタユニット51がキャリッジ15と干渉しないカッタホームポジションまで退避していると判断して、キャリッジ15をキャリッジホーム位置側に移動させる(ステップS307)。そして、制御部100は、上記ステップS307のキャリッジ移動中、電流計21aを介してキャリッジ駆動モータ21の電流値を監視しており、この電流値が所定の閾値以上となったか否かを判断する(ステップS308)。すなわち、制御部100は、キャリッジ移動中の移動負荷を監視することにより、例えばカットジャム後のロール紙などの障害物に対するキャリッジ15の接触の有無を判別している。キャリッジ駆動モータ21の電流値が所定の閾値未満であると判断した場合には、制御部100は、上述したステップS202のキャッピング動作を実行した後、カッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0149】
一方で、キャリッジ移動中にキャリッジ駆動モータ21の電流値が所定の閾値以上となった場合には、制御部100は、キャリッジ15が障害物に接触している可能性が高いため、直ちにキャリッジ駆動モータ21の駆動を停止し、キャリッジ15を停止する(ステップS309)。これにより、障害物との接触に起因して記録ヘッド15aが損傷してしまうことを防止することができる。次いで、制御部100は、キャリッジ15を停止後、直ちにカッタエラー通知を操作表示部105に表示して、ユーザに通知する。
【0150】
このように、本実施の形態では、制御部100は、第1検出部101および第2検出部102の検出結果に応じて、カッタエラー通知をユーザに通知する。このため、カッタユニット異常時のカッタユニット51の位置に応じて、カッタエラー通知の通知タイミングが異なることとなる。カッタエラー通知の通知タイミングは、カッタユニット51の位置やカッタユニット異常発生後の各種動作(キャッピング動作や印字動作)に基づき、予めプログラムされ、制御部100のROMなどの記憶装置に記憶されている。
【0151】
以上のように、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、制御部100が第1検出部101および第2検出部102の検出結果に応じてカッタエラー通知を通知する。このため、異常発生時のカッタユニット51の位置に応じてカッタエラー通知の通知タイミングが異なることとなる。例えばキャリッジ15と干渉しない位置においてカッタユニット51が停止した場合(例えば図17中、ステップS103でNOの場合)には、記録ヘッド15aのキャッピングを実行した後にカッタエラー通知を通知する。あるいはロール紙30の切断中にカッタユニット51が停止した場合(例えば図17中、ステップS104でNOの場合)には、キャリッジ15がキャリッジホーム位置あるいは空吐出位置のいずれの位置で待機しているかを判断し、カッタユニット51をキャリッジ15と干渉しないカッタホームポジションまで退避させ、キャリッジ15をキャリッジホーム位置まで移動(キャリッジ15が空吐出位置で待機している場合)させた後、上記キャッピングを実行してカッタエラー通知を通知する。これにより、カッタユニット異常時にあっても、ユーザに異常を通知する前にキャッピングを適正に行うことができ、記録ヘッド15aを適切に保護することができる。
【0152】
また、カッタユニット異常時にキャリッジ15を移動させることができない場合(例えば、図17中、ステップS306でNOの場合)には、キャッピングを実行することなく即座にユーザにカッタエラー通知を通知することができる。これにより、ユーザはカッタユニット51の異常に早急に対処することができる。
なお、本実施の形態では、キャリッジ15のキャリッジホーム位置とキャッピング位置とが異なる場合で説明したが、キャリッジホーム位置とキャッピング位置とが同じ位置であってもよい。その場合、ステップS302は不要となる。さらに、ステップS201は、すでにキャリッジ15がキャリッジホーム位置にあるときには省略可能である。
【0153】
なお、上述の各実施の形態に係るカッタユニット51においては、駆動コロ51aをシート幅方向の一方側に設け、従動コロ51bをシート幅方向の他方側に設けたが、これに限らず、例えば駆動コロ51aと従動コロ51bの配置を入れ替えた構成としてもよい。この場合、カッタユニット51の回動方向も本実施の形態と逆になる。したがって、傾斜面51cの配置も上記回動方向に応じて変更される。
【0154】
また、上述の各実施の形態においては、カッタユニット51が鉛直方向の下方に退避する構成としたが、例えばシート切断装置5が装置本体1aに対して水平に設置されていない場合には、シート切断装置5の傾きに応じてロール紙30の厚さ方向に退避する構成としてもよい。
【0155】
また、上述の各実施の形態においては、制御部100がキャリッジ駆動モータ21およびカッタユニット駆動モータ57を制御する構成としたが、キャリッジ駆動モータ21とカッタユニット駆動モータ57とを別々に制御する個別の制御部で構成し、当該各制御部を統合的に制御する別の制御部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0156】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、カッタユニットの異常時にも記録ヘッドの保護を目的とするキャッピングなどの処理を適正に行うことができ、記録ヘッドを適切に保護することができるという効果を有し、ロール状に巻かれたシートを任意の長さに切断するシート切断装置を備えたプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置等として有用である。
【符号の説明】
【0157】
1 インクジェット記録装置(画像形成装置)
5 シート切断装置
15 キャリッジ
15a 記録ヘッド
15b ノズル面
16 エンコーダシート
19 維持回復機構
19a キャップ部材(キャッピング手段)
19b ワイパーブレード
19c キャップ昇降手段(キャッピング手段)
19d 吸引手段
21 キャリッジ駆動モータ(駆動モータ)
21a 電流計(負荷検出手段、電流値検出手段)
30 ロール紙(シート)
50 カッタ
51 カッタユニット
100 制御部(通知手段、判断手段、設定手段)
101 第1検出部(カッタ位置検出手段)
102 第2検出部(カッタ位置検出手段)
105 操作表示部(通知手段、設定手段)
103 エンコーダセンサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0158】
【特許文献1】特開2009−214200号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジを備え、前記キャリッジをシートの搬送方向と直交する幅方向に往復移動させることにより搬送経路上の前記シートに画像を記録する画像形成装置であって、
前記シートを所定の長さに切断するカッタと、前記カッタを保持するとともに前記幅方向に移動可能に構成され、前記シートの切断時におけるカッタ移動領域と前記キャリッジのキャリッジ移動領域とが前記シートの厚さ方向に重なるよう配置されたカッタユニットとを有するシート切断装置と、
前記カッタユニットの位置を検出するカッタ位置検出手段と、
前記カッタユニットの異常を示すカッタエラー通知を通知する通知手段と、を備え、
前記カッタユニットは、シート切断後、前記搬送経路に対して前記シートの厚さ方向に退避した状態で前記幅方向に移動可能に構成され、
前記通知手段は、前記カッタ位置検出手段の検出結果に応じて、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記キャリッジ移動領域の両端には、第1の待機位置と第2の待機位置とがそれぞれ設けられ、
前記第1および第2の待機位置の少なくともいずれか一方に、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャッピング手段が配置されたキャッピング位置が設けられ、
前記カッタ移動領域の両端には、前記シートの厚さ方向において前記カッタユニットが前記キャリッジと干渉しないよう退避した第1の退避位置と第2の退避位置とがそれぞれ設けられ、
前記カッタユニットは、シート切断時、前記第1の退避位置から前記カッタ移動領域を経由して前記第2の退避位置に移動するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カッタ位置検出手段により前記カッタユニットが前記第1および第2の退避位置のいずれかで所定時間以上、停止していることが検出されたとき、前記キャッピング手段は、前記ノズル面のキャッピングを行い、
前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カッタ位置検出手段は、前記第1の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第1の退避位置に位置することを検出する第1検出部と、前記第2の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第2の退避位置に位置することを検出する第2検出部とからなり、
前記シート切断時、前記カッタユニットが前記第1検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第2検出部により検出されないとき、前記カッタユニットは、前記第1の退避位置に移動する退避動作を実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通知手段は、前記カッタユニットの前記退避動作の実行後、前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カッタユニットの前記退避動作の実行後、前記カッタユニットが前記第1検出部により検出されたとき、前記キャリッジは、前記キャッピング位置に移動し、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、
前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記キャリッジを前記キャッピング位置に移動させる際の移動負荷を検出する負荷検出手段を備え、
前記負荷検出手段により所定の閾値以上の移動負荷が検出されたとき、前記キャリッジの移動を停止し、
前記通知手段は、前記キャリッジの移動停止後、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記キャリッジを移動させる駆動モータを備え、
前記負荷検出手段は、前記駆動モータの駆動電流を検出する電流値検出手段からなることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記キャッピング位置は、前記第1の待機位置に設けられ、
前記キャリッジは、前記カッタがシートを切断するシート切断位置に前記シートのカット位置が達したとき、前記第1および第2の待機位置のうちいずれかに移動し、
前記シート切断時、前記カッタユニットが前記第1検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第2検出部により検出されないとき、前記キャリッジが前記第1の待機位置に位置する場合には、前記キャッピング手段は、前記ノズル面のキャッピングを行い、
前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記キャッピングを行った後であって前記カッタエラー通知を通知する前に、前記カッタユニットを前記第1の退避位置に移動させる退避動作を実行することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記カッタ位置検出手段は、前記第1の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第1の退避位置に位置することを検出する第1検出部と、前記第2の退避位置側に設けられ前記カッタユニットが前記第2の退避位置に位置することを検出する第2検出部とからなり、
前記シート切断時、前記カッタユニットが前記第1検出部により非検出とされた後、前記カッタユニットが前記第2検出部により検出とされたとき、前記キャリッジを移動可能としたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
シート切断後において、前記カッタユニットが前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、
前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
シート切断後、後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断する判断手段を備え、
前記判断手段は、前記シート切断後、前記第2の退避位置から第1の退避位置へと移動する際に前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第2検出部により非検出とならないとき、または前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断し、
前記判断手段により前記後続するシートに対して画像の記録が開始されていないと判断された場合、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、
前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
シート切断後、後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断する判断手段と、
ユーザからの入力に応じて、前記カッタユニットの異常時に前記画像の記録を継続するか否かを設定する設定手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記シート切断後、前記第2の退避位置から第1の退避位置へと移動する際に前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第2検出部により非検出とならないとき、または前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断し、
前記判断手段により前記後続するシートに対して画像の記録が開始されていると判断され、かつ前記設定手段により前記画像の記録を継続するよう設定されているとき、前記後続するシートへの画像の記録が終了した後、前記通知手段は、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
シート切断後、後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断する判断手段と、
ユーザからの入力に応じて、前記カッタユニットの異常時に前記画像の記録を継続するか否かを設定する設定手段と、
を備え、
前記判断手段は、前記シート切断後、前記第2の退避位置から第1の退避位置へと移動する際に前記カッタユニットが所定時間経過しても前記第2検出部により非検出とならないとき、または前記第2検出部により非検出とされた後、所定時間経過しても前記第1検出部により検出されないとき、前記後続するシートに対して画像の記録が開始されているか否かを判断し、
前記判断手段により前記後続するシートに対して画像の記録が開始されていると判断され、かつ前記設定手段により前記画像の記録を継続しないよう設定されているとき、前記キャリッジは、前記キャッピング位置に移動し、前記キャッピング手段により前記ノズル面がキャッピングされ、
前記通知手段は、前記キャッピングが終了した後、前記カッタエラー通知を通知することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−171105(P2012−171105A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32239(P2011−32239)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】