画像形成装置
【課題】最適な前回転動作を行い、最短の空回転時間で供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給を安定にして、濃度ムラやかぶり等の画像不良の発生を低減すること。
【解決手段】 像担持体と、非磁性一成分現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、回転可能に設けられ、前記現像剤担持体と接触し、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤供給部材の駆動を制御する制御手段と、前記現像剤供給部材に含有される現像剤量を検知する検知手段と、を有する画像形成装置において、前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間を決定することを特徴とする。
【解決手段】 像担持体と、非磁性一成分現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、回転可能に設けられ、前記現像剤担持体と接触し、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤供給部材の駆動を制御する制御手段と、前記現像剤供給部材に含有される現像剤量を検知する検知手段と、を有する画像形成装置において、前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間を決定することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成方式(電子写真プロセス)を用いたプリンタ等の画像形成装置においては、像担持体としての電子写真感光体(以下、感光体)を一様に帯電させる。次いで、帯電した感光体を選択的に露光し、感光体上に静電潜像を形成する。次いで、感光体上に形成された静電潜像を、現像剤としてのトナーによりトナー像として顕像化する。そして、感光体上に形成されたトナー像を、記録用紙、プラスチックシート等の記録材に転写し、更に記録材上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えることで、トナー像を記録材に定着して、画像記録を行う。
【0003】
この種の画像形成装置に用いられる現像方法としては、一般に、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いた二成分現像法と、実質的にトナーのみからなる一成分現像剤を用いた一成分現像法が知られている。
【0004】
これらの内で、一成分現像法は、二成分現像法に比べ現像装置の構成が簡易であるため、小型化、低コスト化、メンテナンスの容易さ等の点で有利である。このことから、近年、一成分現像法を用いた現像装置が多数提案されている。また、特にカラー画像形成装置を中心に、非磁性一成分現像剤を用いた現像装置が多数提案され、実用化されている。
【0005】
非磁性一成分現像剤を用いた現像装置の構成としては、例えば、現像剤担持体としての現像ローラと、層厚規制部材としての規制ブレードと、現像剤供給部材としての供給ローラとを備えたものが知られている。現像ローラは、像担持体としての感光体ドラムと接触、または一定の空隙を保った非接触の状態で配置される。また、規制ブレード及び供給ローラは、それぞれ現像ローラと接触して配置される。
【0006】
このような構成において、非磁性一成分現像剤としてのトナーは、現像ローラと供給ローラとの接触領域近傍で、供給ローラから現像ローラ表面に供給され、現像ローラにより担持・搬送される。そして、規制ブレードとの当接位置で摩擦帯電するとともに層厚規制される。層厚規制されたトナーは、現像ローラにより搬送され、感光体ドラムとの対向位置において、感光体ドラム表面に形成された静電潜像を現像する。
【0007】
また、供給ローラは、一般に、発泡層を有することが多く、トナーを発泡層の表層もしくは内部に保持して搬送する。ここで、供給ローラ内含有トナー量と、現像ローラと供給ローラとの間の静電容量とは、良い相関を持つことが知られており、それを利用した制御技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、供給ローラに静電容量検出用バイアスを印加して現像ローラで検出した静電容量を、現像装置内のトナー残量検知に利用している。
【0008】
ところで、電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、一般に画像形成動作前に、感光体ドラムや現像装置等を所定時間空回転駆動する、いわゆる前回転動作が行われる。前回転動作の目的は、感光体ドラム等の駆動手段としての駆動モータの回転速度を安定させることや、様々な画像不良を低減することである(例えば、特許文献2〜特許文献4参照)。
【0009】
特許文献2では、現像装置の長期放置後に発生しやすい画像不良の一つである、いわゆる放置バンディングを低減するために、現像装置周囲の温湿度や放置時間等に応じて画像形成動作開始前に現像ローラを所定時間回転させている。また、特許文献3では、現像スリーブゴーストの発生を防止するために、画像形成装置の印刷枚数に応じて前回転時間を増やしている。
【0010】
さらに、特許文献4では、複数の画像形成モードを有する画像形成装置において、通常の画像形成速度よりも遅い画像形成速度で画像形成動作を行う場合に、現像装置内の現像剤の凝集塊を解すため、画像形成速度よりも早い速度で所定時間回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−009036
【特許文献2】特開2004−126089
【特許文献3】特開2006−220749
【特許文献4】特開2008−122690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非磁性一成分現像剤を用いた画像形成装置において、現像ローラと供給ローラとの接触領域付近のトナーは、供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給に伴うトナーの流れにより、撹拌・循環させられる。
【0013】
この撹拌・循環効果が弱くなると、現像ローラと供給ローラとの接触領域付近のトナーが滞留する。そして、このトナー滞留に、供給ローラの回転によりトナーが搬送され続けるため、粉圧が高くなる。その結果、現像ローラと供給ローラとの接触領域に、トナーが過剰に押し込まれるようになる。
【0014】
それによって、供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給が過剰または不安定になり、現像ローラ上の層厚規制されたトナー層に規制不良が発生すると、濃度ムラやかぶり等の画像不良につながることがあった。
【0015】
しかしながら、特許文献2〜特許文献4を始めとする従来の前回転動作の制御は、適切な前回転時間ではなかった。そのため、供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給が過剰または不安定な状態で画像形成動作を行い、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生することがあった。また、必要以上に前回転時間が長い場合には、画像形成開始が遅くなることがあった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、最適な前回転動作を行い、最短の空回転時間で供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給を安定にして、濃度ムラやかぶり等の画像不良の発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明にあっては、
像担持体と、
非磁性一成分現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、
回転可能に設けられ、前記現像剤担持体と接触し、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材と、
前記現像剤供給部材の駆動を制御する制御手段と、
前記現像剤供給部材に含有される現像剤量を検知する検知手段と、
を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述の構成により、非磁性一成分現像剤を用いた画像形成装置において、最適な前回転動作を行い、最短の空回転時間で供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給を安定にして、濃度ムラやかぶり等の画像不良の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成を示す図。
【図3】第1実施形態の静電容量検出値と供給ローラ内含有トナー量との関係を示すグラフ。
【図4】画像形成速度を切り替えた場合の静電容量の変化を示すグラフ。
【図5】トナーの流れを説明する概念図。
【図6】第1実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図7】供給ローラの空回転時間と静電容量検出値との関係における単位空回転時間あたりの静電容量の変化量(静電容量の傾き)αを示す図。
【図8】比較例1における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図9】比較例3における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図10】第1実施形態と比較例の評価を示す図表。
【図11】第3実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図12】第4実施形態におけるプロセスカートリッジ交換時の前回転制御の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0021】
本発明は、電子写真画像形成方式を用いて記録材(記録媒体)に画像を形成する画像形成装置に関するものである。画像形成装置としては、複写機、プリンタ(レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、及びこれらの複合機(マルチファンクションプリンタ)等を挙げることができる。
【0022】
〔第1実施形態〕
まず、本発明を適用可能な画像形成装置の一実施形態として、電子写真画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
【0023】
(画像形成装置100の概略構成)
図1は、第1実施形態の画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
【0024】
画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザビームプリンタであり、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布等)にフルカラー画像を形成することができる。また、画像情報は、画像形成装置本体に接続された画像読取装置、或いは画像形成装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器から、画像形成装置本体に入力される。
【0025】
図1において、画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施形態では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
【0026】
尚、本実施形態では、第1〜第4の画像形成部の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下の説明では、特に区別を要しない場合、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0027】
本実施形態では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラム1)を有する。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段により、図示矢印A方向(時計回り)に回転駆動される。そして、感光体ドラム1の周囲には、帯電装置2及び露光装置3が配置されている。
【0028】
ここで、帯電装置2は帯電ローラ(後述)を備えており、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電手段である。露光装置3はレーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー、光学レンズ系等を備え、画像情報に基づきレーザ光を照射して、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する露光手段である。
【0029】
また、感光体ドラム1の周囲には、現像装置4及びクリーニング部材6が配置されている。ここで、現像装置4は、現像剤としての非磁性一成分トナー(以下、トナー)を備えており、静電潜像をトナー像として現像する(像担持体に現像作用を行う)現像手段である。クリーニング部材6は、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段である。
【0030】
さらに、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材P上に転写するための、中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。感光体ドラム1の回転方向において、帯電装置2による帯電位置、露光装置3による露光位置、現像装置4による現像位置、中間転写ベルト5へのトナー像の転写位置、クリーニング部材6によるクリーニング位置は、この順番で設けられている。
【0031】
尚、本実施形態では、現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ(後述)を備え、現像ローラを感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行う。即ち、本実施形態では、現像装置4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光されて電荷が減衰した部分(画像部、または露光部)に付着させる。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像が現像される。
【0032】
また、本実施形態では、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電装置2、現像装置4、及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。
【0033】
プロセスカートリッジ7は、画像形成装置本体に設けられた装着ガイド、位置決め部材等の装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。また、本実施形態では、各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
【0034】
但し、本実施形態ではプロセスカートリッジについて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、現像装置4が、画像形成装置本体に固定される構成としてもよいし、現像装置4が単独でカートリッジ化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能な構成としてもよい。
【0035】
無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計回り)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53)に掛け渡される。
【0036】
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての4個の一次転写ローラ8が並設される。
【0037】
一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが接触する一次転写部N1にニップ(一次転写ニップ)を形成する。そして、一次転写ローラ8には、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源から、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
【0038】
また、中間転写ベルト5の外周面側において、二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが接触する二次転写部N2にニップ(二次転写ニップ)を形成する。
【0039】
二次転写ローラ9には、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源から、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材P上に転写(二次転写)される。ここで、一次転写ローラ8と二次転写ローラ9とは同様の構成を有している。
【0040】
(画像形成装置100の画像形成動作)
画像形成時には、まず感光体ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。次に、露光装置3から発された画像情報に応じたレーザ光によって、一様に帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電潜像が形成される。次に、感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4によりトナー像として現像される。そして、感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって、中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
【0041】
例えば、フルカラー画像の形成時には、前記プロセスが第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。
【0042】
その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて、記録材Pが二次転写部N2へと搬送される。そして、記録材Pを介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5上の4色トナー像は一括して記録材P上に二次転写される。
【0043】
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置10に搬送される。そして、定着装置10において、記録材Pに熱及び圧力が加えられ、記録材Pにトナー像が定着される。
【0044】
また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去され、除去トナー室(後述)に回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。
【0045】
尚、画像形成装置100は、単独またはいくつかの(全てではない)所望の画像形成部のみを用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成及び動作について説明する。
【0047】
尚、本実施形態の説明において、現像装置或いはプロセスカートリッジの構成や動作について、上、下、垂直、水平といった方向を表す用語は、特に断りのない場合には、それらの通常の使用状態において見た時の方向を表す。つまり、現像装置或いはプロセスカートリッジの通常の使用状態とは、適正に配置された画像形成装置本体に対して適正に装着され、画像形成動作に供し得る状態である。また、以下の説明において、回転可能に設けられた部材に対して用いられる長手方向とは、その部材の回転軸線方向(回転軸方向)をいうものとする。
【0048】
(プロセスカートリッジ7の構成)
図2は、第1実施形態に係るプロセスカートリッジ7の概略構成を示す図である。図2においては、断面(主断面)及び関連する画像形成装置の一部の概略構成を示す。ここで、プロセスカートリッジ7の概略構成を示す断面は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向、回転軸方向)に直交する断面を示している。尚、本実施形態では、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
【0049】
図2において、プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像装置4とを有する。
【0050】
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。
【0051】
クリーニング枠体14には、図示しない軸受を介して感光体ドラム1が回転可能に取り付けられる。感光体ドラム1は、アルミニウム製のドラム基体上に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした感光体層を有している。そして、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力により、画像形成動作に応じて、図示矢印A方向(時計回り)に回転駆動される。
【0052】
本実施形態では、感光体ドラム1は直径24mmの負帯電性の有機感光体ドラムを用いており、周速(プロセススピード)240mm/sで回転駆動される。
【0053】
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するようにして、帯電ローラ12とクリーニング部材6が配置されている。そして、クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14内に形成された除去トナー室14a内に落下するように構成されている。
【0054】
また、クリーニング枠体14には、帯電ローラ12の回転中心(回転軸)と感光体ドラム1の回転中心とを通る線に沿って、帯電ローラ軸受15が図示矢印C方向に移動可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15には、帯電ローラ12の回転軸12aが回転可能に取り付けられている。帯電ローラ12は、帯電ローラ軸受15が付勢手段としての帯電ローラ加圧バネ16により感光体ドラム1に向かって付勢されることで、感光体ドラム1の周面上に接触する。
【0055】
そして、帯電ローラ12の回転軸12aには、画像形成動作に応じて、帯電バイアス印加手段としての帯電バイアス電源(図示せず)から直流電圧が印加される。本実施形態では、帯電ローラ12の回転軸12aに対して−1100Vの直流電圧が印加され、感光体ドラム1の表面は−550Vに一様に帯電させられる。
【0056】
一方、現像装置4は、現像装置4内の各種要素を支持する枠体としての現像枠体18を有する。現像枠体18は、現像室18bと、バッファ室18dと、現像室18b及びバッファ室18dの鉛直方向下方に設けられた現像剤収容室としてのトナー収容室18aからなる。そして、バッファ室18dは、トナー収容室18aの上方において、開口部18cを介してトナー収容室18aと連通している。さらに、バッファ室18dは、開口部18eを介して現像室18bと連通している。
【0057】
トナー収容室18aには、現像剤としての非磁性一成分トナー(非磁性一成分現像剤)が収容されている。また、トナー収容室18a内には、現像剤搬送手段としてのトナー搬送部材22が回転可能に設けられる。トナー搬送部材22は、その長手方向の両端部において、トナー収容室18aを形成する現像枠体18に回転可能に支持されている。そして、トナー搬送部材22は、図示しない駆動手段(駆動源)により、図示矢印G方向(時計回り)に回転駆動される。
【0058】
トナー搬送部材22は、トナー収容室18a内に収容されたトナーを撹拌するとともに、トナー収容室18aの上方に設けられたバッファ室18dへ、開口部18cを通してトナーを搬送(供給)する作用をなす。従って、トナー収容室18aからバッファ室18dへ、重力に抗してトナーを搬送する必要がある。
【0059】
開口部18cの下端は、開口部18eの上端よりも鉛直方向上方に設けられる。そのため、トナー収容室18aからバッファ室18dに搬送されたトナーは、バッファ室18d内に一時貯留され、自重により現像室18bへ供給される。ここで、バッファ室18dに一時貯留されたトナーは、開口部18eに対して蓋の作用をなすため、現像室18b内のトナーがトナー収容室18aに戻されにくくなる。
【0060】
現像室18bには、現像室18b内のトナーを担持・搬送する現像剤担持体であって、感光体ドラム1と接触して図示矢印D方向(反時計回り)に回転可能な現像ローラ17が設けられている。
【0061】
現像ローラ17には、芯金上にシリコーンゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴムなどのゴム材料により形成された弾性層を有する単層ローラが使用可能である。また、弾性層の表面にシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などを塗工して表層を形成した複数層構成のローラなども使用可能である。そして、感光体ドラム1に対して安定して弾性接触させるためには、弾性層の硬度がアスカーC硬度で40°〜70°であることが好ましい。また、現像効率低下等による画像不良を発生させないためには、現像ローラ17の体積抵抗値は104Ω〜109Ωであることが好ましい。
【0062】
尚、現像ローラ17の体積抵抗値は、次のようにして測定される。直径30mmの鏡面金属製円筒部材と現像ローラとを、当接荷重500gfで現像ローラ長手方向全域にわたって当接させた状態で、該鏡面金属製円筒部材を1.0rpsの周速度で回転させる。そして、現像ローラの芯金と該鏡面金属製円筒部材との間に−50Vの直流電圧を印加して、接地側に接続した10kΩの抵抗の両端電圧を測定し、測定した電圧値から電流値及び現像ローラの抵抗値を算出する。
【0063】
現像ローラ17は、画像形成動作に応じて感光体ドラム1と所定の当接幅を持って接触した状態で、感光体ドラム1の周速度よりも速い周速度で回転駆動される。このとき、現像ローラ17の芯金には、現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源26により、負極性の直流電圧が印加される。
【0064】
本実施形態では、直径6mmの芯金上に、層厚3mmのシリコーンゴムから成る弾性層を持ち、その表面にアクリル・ウレタン系樹脂を塗工して表層とした、直径12mmの現像ローラ17を用いる。また、本実施形態の現像ローラ17の硬度はアスカーC硬度で55°、体積抵抗値は106Ωである。また、本実施形態では、現像ローラ17の芯金には、画像形成動作に応じて現像バイアス電源26から−300Vの直流電圧が印加される。そして、現像ローラ17は、感光体ドラム1との対向部(接触部)において、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と順方向となるように、周速280mm/sで回転駆動される。
【0065】
現像ローラ17は、その長手方向の両端部において、現像側板19(19R、19L)を介して、回転可能に現像枠体18に支持されている。ここで、現像側板19(19R、19L)は、現像枠体18の両端部にそれぞれ取り付けられている。
【0066】
尚、本実施形態では、現像ローラ17は感光体ドラム1に接触して現像作用を行うが、これに限定されるものではない。例えば、現像ローラ17が感光体ドラム1に対して所定の間隔を保って近接配置された状態で現像作用を行う構成等であってもよい。
【0067】
また、現像室18bには、図示矢印E方向(反時計回り)に回転する現像剤供給手段(現像剤供給部材)としての供給ローラ20が、現像ローラ17の周面上に接触した状態で配置されている。供給ローラ20は、現像室18b内のトナーを現像ローラ17上に供給するとともに、現像に供されずに現像ローラ17上に残留したトナーを、現像ローラ17上から剥ぎ取る作用をなす。
【0068】
供給ローラ20としては、現像ローラ17へのトナーの供給性能及び現像ローラ17からのトナーの剥ぎ取り性能の点から、次のような構成のものが好ましい。即ち、芯金上に、発泡ウレタンゴム、発泡EPDMゴム、発泡シリコーンゴムなどの材料で構成された発泡骨格状スポンジ構造で、トナーが内部に進入可能な発泡層を有するものである。
【0069】
さらに、供給ローラ20の表面セル径は、50μm〜1000μmが好ましい。ここで、セル径とは、任意断面の発泡セルの平均径をいい、任意断面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。この最大セル径の1/2以下である発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均値である。
【0070】
供給ローラ20は、現像ローラ17と所定の当接幅を持って接触した状態で、画像形成動作に応じて現像ローラ17の周速度よりも遅い周速度で回転駆動される。このとき、供給ローラ20の芯金には、供給バイアス印加手段としての供給バイアス電源27により、負極性の直流電圧が印加される。
【0071】
本実施形態では、直径5mmの芯金上に、発泡骨格状スポンジ構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを層厚5.5mmで形成した、直径16mmの供給ローラ20を用いる。また、本実施形態の供給ローラ20の表面セル径は、300μmである。また、本実施形態では、供給ローラ20の芯金には、画像形成動作に応じて供給バイアス電源27から−500Vの直流電圧が印加される。そして、供給ローラ20は、現像ローラ17との接触領域において、その表面移動方向が現像ローラ17の表面移動方向とは逆方向となるように、周速250mm/sで回転駆動される。
【0072】
また、現像室18bには、供給ローラ20によって現像ローラ17上に供給されたトナーの層厚を規制する、層厚規制手段としての規制ブレード21が配置されている。ここで、規制ブレード21は、現像ローラ17の周面上に接触する。
【0073】
規制ブレード21は、弾性及び導電性を有している。また、規制ブレード21は、現像装置4に固定された支持板金により、ステンレス鋼やリン青銅などの金属薄板を片持ちで支持して構成されることが好ましい。但し、これに限定されるものではなく、規制ブレード21は、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのゴム材料や、ステンレス鋼、リン青銅などの金属薄板を基体とし、現像ローラ17との接触面側に導電性ゴム材料などを塗工して構成されたものでもよい。
【0074】
規制ブレード21には、画像形成動作に応じて規制バイアス印加手段としての規制バイアス電源(図示せず)により、負極性の直流電圧が印加される。
【0075】
本実施形態では、厚さ1.2mmの鉄板からなる支持板金に、厚さ0.1mmのステンレス鋼板を固定支持して構成された規制ブレード21を使用する。ステンレス鋼板の片持ち支持部分から現像ローラ17との当接位置までの距離、いわゆる自由長さは12mmであり、現像ローラ17のステンレス鋼板に対する押し込み量は1.5mmである。
【0076】
また、規制ブレード21の現像ローラ17に対する当接方向は、規制ブレード21の自由端側の先端が、規制ブレード21と現像ローラ17との当接位置に対して現像ローラ17の回転方向上流側に位置する、いわゆるカウンタ方向である。また、本実施形態では、規制ブレード21には、画像形成動作に応じて規制バイアス電源から−500Vの直流電圧が印加される。
【0077】
また、現像室18bには、現像枠体18に回転自在に支持された現像剤撹拌手段(現像剤撹拌部材)としての撹拌部材25が設けられている。撹拌部材25は、現像室18b内に一時貯留されたトナーを撹拌するとともに、供給ローラ20へトナーを供給する作用をなす。
【0078】
撹拌部材25は、その長手方向の両端部において、現像室18bを形成する現像枠体18に回転可能に支持されている。そして、本実施形態では、撹拌部材25は、図示しない駆動手段(駆動源)により図示矢印H方向(時計回り)に回転駆動される。ここで、撹拌部材25の撹拌領域は現像室18b内であり、バッファ室18d内への影響は小さくなるようになっている。
【0079】
現像装置4は、現像側板19(19R、19L)に設けられた穴部19a(19Ra、19La)に嵌合する結合軸23(23R、23L)を中心にして、感光体ユニット13に揺動(移動)可能に結合されている。
【0080】
本実施形態では、トナーは結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することで、負帯電性を有するように作製したものを用いている。但し、これに限定されるものではなく、例えば、粉砕法や、乳化重合法等の他の重合法を用いて調整されたトナー等でもよい。
【0081】
(プロセスカートリッジ7の画像形成動作)
画像形成動作に応じて、現像装置4は、付勢手段としての現像装置加圧バネ24により付勢されて、結合軸23を中心に図示矢印F方向(時計回り)に回動する。これによって、現像ローラ17が感光体ドラム1に当接する。
【0082】
そして、トナー収容室18aに収容されたトナーは、トナー搬送部材22により撹拌されるとともに、開口部18cを通してバッファ室18dへ重力に抗して搬送される。トナー収容室18aから搬送されたトナーは、バッファ室18dに一時貯留され、自重により開口部18eを通して現像室18bへ供給される。
【0083】
現像室18bに供給され、一時貯留されたトナーは、撹拌部材25により撹拌されつつ供給ローラ20に供給される。次いで、供給ローラ20に供給されたトナーは、供給ローラ20の発泡ウレタン層の表層もしくは内部に保持されつつ回転に伴い搬送される。
【0084】
そして、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)において、供給ローラ20の発泡ウレタン層が押し潰される。これに伴い、発泡ウレタン層の表層もしくは内部に保持されたトナーが発泡ウレタン層の表層から排出され、その一部が現像ローラ17の表面に供給される。
【0085】
現像ローラ17の表面に供給されたトナーは、現像ローラ17上に担持されつつ回転に伴い搬送される。そして、現像ローラ17と規制ブレード21との当接位置において、摩擦帯電するとともに層厚規制される。
【0086】
次いで、現像ローラ17上の薄層化されたトナーは、現像ローラ17の回転に伴い搬送され、現像ローラ17と感光体ドラム1との対向部(接触部)において、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像し、トナー像を形成する。また、現像ローラ17上の現像に供されなかったトナーは、供給ローラ20により現像ローラ17上から剥ぎ取られる。
【0087】
(静電容量検出)
次に、本実施形態における現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出について説明する。
【0088】
図2において、供給ローラ20内に含有されたトナー量の検知手段としての静電容量検出装置28は、静電容量検出動作に応じて電流を測定する電流計28aと、電流計28aにより測定された電流値等を用いて静電容量を検出する検出部28bを有する。
【0089】
電流計28aは、現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源26と現像ローラ17の芯金の間に接続される。検出部28bは、供給バイアス電源27と制御部29(後述)に接続される。
【0090】
本実施形態では、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間した状態で、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行う。これによると、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間しているので、静電容量検出用バイアスとして交流電圧を印加しても、かぶり等の画像不良が発生することがない。
【0091】
ここで、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間した状態は、非現像動作時である。具体的には、画像形成動作前の準備工程である前回転、現像動作を行っていない紙間、画像形成動作が終了した後の予備工程である後回転等において実施可能である。本実施形態では、前回転において現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行う。
【0092】
静電容量検出動作に応じて、静電容量検出装置28から供給バイアス電源27に静電容量検出用バイアスの設定信号が送られる。そして、その設定信号に応じた所定の電圧が、供給バイアス電源27により供給ローラ20の芯金に印加される。
【0093】
ここで、静電容量検出用バイアスは、画像形成動作時の所定の直流電圧に、所定の交流電圧を重畳させたものである。一方、現像ローラ17の芯金には、画像形成動作時の所定の直流電圧が印加される。
【0094】
このとき、電流計28aにより現像ローラ17と供給ローラ20との間に流れる電流が測定される。そして、検出部28bにおいて、電流計28aにより測定された電流値と設定信号に基づき静電容量が検出される。
【0095】
本実施形態では、供給ローラ20の芯金に、静電容量検出用バイアスとして、−500Vの直流電圧に周波数50kHz、Vpp=200Vの交流電圧を重畳した電圧を印加する。一方、現像ローラ17の芯金には、−300Vの直流電圧を印加する。
【0096】
図3は、第1実施形態の静電容量検出値と供給ローラ内含有トナー量との関係を示すグラフである。具体的には、現像装置4を用いて測定した、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出値と供給ローラ20内含有トナー量との関係を示す。
【0097】
図3に示すように、静電容量検出値が大きくなると、供給ローラ20内含有トナー量は多くなる。このように、現像装置4の構成においても、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出値と供給ローラ20内含有トナー量とは良い相関を持っている。
【0098】
本実施形態では、上記のように、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量を検出することで、供給ローラ20内に含有されたトナー量(現像剤量)の変化を検知して制御に用いる。
【0099】
(画像形成速度変更時の前回転制御)
次に、本実施形態における画像形成速度変更時の前回転制御について説明する。
【0100】
図2において、制御部29(制御手段)は装置全体の制御を司るものであり、様々な機器やセンサが接続される。但し、図2では、本実施形態の画像形成装置100の特徴を表す機器やセンサのみを示している。
【0101】
制御部29は、演算処理を行う中心的素子であるCPUや、検出された静電容量や演算結果、予め求められたデータテーブル、操作表示部で入力された情報等を格納する書き換え可能な記憶装置としてのメモリなどから構成される。ここで、CPUとメモリは、互いにデータの転送や読込みが可能となっている。また、制御部29は、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)のモータコントローラを制御する。
【0102】
操作表示部は、PC等のホスト機器(図示せず)で構成される。そして、操作表示部において、記録材Pのサイズや画像形成モード(プリントモード)、印刷枚数等の情報とともに画像形成動作開始信号がユーザーにより入力される。
【0103】
また、本実施形態の画像形成装置100は、通常の画像形成速度(以下、第一画像形成速度)で画像形成を行う第一画像形成モードと、第一画像形成速度よりも遅い画像形成速度(以下、第二画像形成速度)で画像形成を行う第二画像形成モードとを有する。制御部29は、第一画像形成モードや第二画像形成モードに設定する画像形成モード設定手段としての機能も有している。
【0104】
例えば、OHP、坪量70g以上の厚紙、葉書等、熱容量が大きな記録材Pに画像を形成する場合、制御部29は第二画像形成モードに設定して第二画像形成速度で画像形成を行う。そして、要求された枚数分、熱容量の大きな記録材Pに画像形成を行った後、制御部29は第二画像形成モードを解除する。
【0105】
このとき、画像を形成する記録材Pが熱容量の大きい記録材Pであるか否かの判断は、例えば、次のようにして行う。即ち、ユーザーが画像形成を行う記録材Pの種類を操作表示部で設定し、制御部29がそれを検知する。
【0106】
本実施形態では、第一画像形成モードにおける供給ローラ20の周速度は上記のように250mm/sである。そして、第二画像形成モードに設定することで、供給ローラ20の周速度は60mm/sになる。
【0107】
このように、複数の画像形成速度で画像形成を行うモードを有する画像形成装置100においては、例えば、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えた直後の画像形成動作等で、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しやすい。これらの理由は十分明らかにはなっていないが、概ね以下のように考えられる。
【0108】
図4は、画像形成速度を切り替えた場合の静電容量の変化を示すグラフである。具体的には、第一画像形成速度から第二画像形成速度へ切り替えた場合の、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量の変化を示すグラフである。
【0109】
図4において、領域Aは第一画像形成速度で駆動時(定常)、領域Bは停止時、領域C、領域Dは第二画像形成速度で駆動時を示している。但し、このとき、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行うため、現像ローラ17と感光体ドラム1は離間した状態である。
【0110】
図5は、トナーの流れを説明する概念図である。具体的には、現像装置4の現像室18bにおける、画像形成速度変化時のトナーの流れを説明するイメージ図である。図5(a)は上記領域A、図5(b)は上記領域C、図5(c)は上記領域Dについての説明図である。
【0111】
領域A、つまり第一画像形成速度での駆動時においては、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量は一定である。即ち、供給ローラ20内含有トナー量が一定である。
【0112】
供給ローラ20の回転に伴い、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)において、供給ローラ20の発泡ウレタン層が押し潰される。そして、それによって、供給ローラ20の発泡ウレタン層の表層もしくは内部に保持されたトナーが、発泡ウレタン層の表層から排出され、その一部が現像ローラ17の表面に供給される。
【0113】
このとき、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナーの排出により、図5(a)に示すように、供給ローラ20下方の現像室隔壁付近のトナーが、図示矢印I方向に移動する流れができている。このトナーの循環により、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧は、ほぼ一定に保たれていると考えられる。よって、供給ローラ20から現像ローラ17表面へ安定したトナー供給が行われる。
【0114】
領域Bでは、供給ローラ20を始め、現像装置4の駆動が停止する。そのため、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量は、現像装置4の駆動時と異なる。但し、このとき、供給ローラ20内含有トナー量は、領域Aの状態を維持していると考えられる。
【0115】
領域Cでは、領域Aのときよりも遅い画像形成速度で駆動される。そして、現像ローラ17と供給ローラ20との間の空間における静電容量が増加する。即ち、供給ローラ20内含有トナー量が増加する。
【0116】
ここで、供給ローラ20の発泡ウレタン層の変形には、速度依存性がある。そのため、図5(b)に示すように、供給ローラ20内含有トナー量が同じだと、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)において、領域Aのときよりもトナー排出量が減少する。それによって、供給ローラ20下方の現像室隔壁付近のトナーの流れがなくなり、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧が上がる。そして、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)に、トナーが過剰に押し込まれるようになる。
【0117】
この結果、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給が過剰または不安定になり、現像ローラ17上の層厚規制されたトナー層に規制不良が発生して、濃度ムラやかぶり等の画像不良につながる。
【0118】
一方で、画像形成速度が遅いと、供給ローラ20の発泡ウレタン層の表層もしくは内部にトナーを保持しやすくなることもあり、供給ローラ20の回転に伴い、供給ローラ20内含有トナー量は徐々に増加していく。そして、それに伴って、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量も増加する。
【0119】
領域Dでは、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量が、再び一定になる。即ち、供給ローラ20内含有トナー量が一定になる。
【0120】
この領域では、図5(c)に示すように、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分大きくなり、供給ローラ20下方の現像室隔壁付近のトナーが、図示矢印I方向に移動する流れができる。よって、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧が一定に保たれ、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給が安定する。その結果、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しなくなる。
【0121】
以上、説明したように、第一画像形成速度から第二画像形成速度へ切り替えた直後には、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧が上がり、該対向部(接触部)にトナーが過剰に押し込まれる。それにより、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給が過剰または不安定になる。
【0122】
そこで、第1実施形態では、供給ローラ20内含有トナー量を検知して、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態で画像形成動作を行うように制御している。具体的には、画像形成動作開始前の前回転における供給ローラ20の空回転の時間を制御している。このように、最適な空回転時間制御を行うことによって、画像形成速度を切り替えた場合の濃度ムラやかぶり等の画像不良の発生を低減する。
【0123】
図6は、第1実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0124】
まず、ユーザーにより画像形成を行う記録材Pの種類等の情報とともに画像形成動作開始信号が操作表示部から入力される。すると、画像形成装置100の制御部29のCPUにより、画像を形成する記録材Pの種類が検知され、画像形成モードが設定されるとともにメモリに格納される(ステップSa1)。ここで、本実施形態では、画像形成装置100は画像形成動作を終了し、停止した状態から使用される。
【0125】
そして、制御部29により、設定された画像形成モードの画像形成速度に応じて、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)が駆動される(ステップSa2)。
【0126】
次に、制御部29のCPUにおいて、メモリに格納された前回の画像形成動作の画像形成モードと、今回の画像形成モードとを比較して、画像形成速度が変更されたかどうかを判定する(ステップSa3)。
【0127】
ここで、画像形成速度が変更されていない場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSa10)、その後画像形成動作が行われる(ステップSa9)。
【0128】
一方、画像形成速度が変更された場合には、供給バイアス電源27により、供給ローラ20の芯金に所定の静電容量検出用バイアスが印加される(ステップSa4)。そして、静電容量検出装置28の検出部28bにおいて、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量が検出される(ステップSa5)。検出された静電容量は、検出部28bに接続された制御部29に送られる。
【0129】
次に、制御部29において、供給ローラ20内含有トナー量が略一定であるかどうかの判定が行われる。これによって、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態かどうかを把握することができる。
【0130】
具体的には、制御部29のCPUにおいて、供給ローラ20の空回転時間tと静電容量検出値との関係における単位空回転時間Δtあたりの静電容量の変化量(以下、静電容量の傾き)αが算出される。これとともに、検出された静電容量がメモリに格納される(ステップSa6)。
【0131】
本実施形態では、Δt=4s毎に、静電容量の傾きαが算出される。尚、静電容量の傾きαに関しては図7を参照のこと。図7は、供給ローラ20の空回転時間tと静電容量検出値との関係における単位空回転時間Δtあたりの静電容量の変化量(静電容量の傾き)αを示す図である。
【0132】
そして、制御部29のCPUにおいて、算出された静電容量の傾きαが略0であるかどうかが判定される(ステップSa7)。本実施形態では、|α|<4×10−3である場合に、静電容量の傾きαが略0であると判定する。但し、本実施形態では、|α|<4×10−3である場合に静電容量の傾きαが略0であるとしたが、|α|はサンプリング間隔や検出装置の検出精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0133】
|α|<4×10−3である場合には、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態である。そのため、静電容量検出を終了し(ステップSa8)、画像形成動作に移る(ステップSa9)。
【0134】
一方、|α|≧4×10−3である場合には、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が変化している状態である。そのため、供給ローラ20の空回転を続ける。そして、ステップSa5に戻り、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態であると判断されるまで、同工程を繰り返す。
【0135】
このように、本実施形態における制御部29は、静電容量検出装置28により検知した供給ローラ20内に含有されるトナー量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前回転における供給ローラ20の空回転時間を決定する。
【0136】
尚、本実施形態では、上記したように、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間した状態で、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行う。
【0137】
また、本実施形態では、画像形成装置100は、中間転写体を有する中間転写方式のものであるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が、記録材担持体上に担持された記録材P上に、直接転写される方式のもの等であってもよい。
【0138】
また、本実施形態は、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電装置2、現像装置4、及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成した。しかし、これに限定されるものではない。
【0139】
例えば、感光体ドラム1を画像形成装置本体に固定配置して、現像装置4(現像カートリッジ)のみを画像形成装置本体に着脱可能とした構成の画像形成装置等においても、同様に本発明を適用することができる。また、現像装置4を画像形成装置本体に固定配置して、現像剤容器(トナーカートリッジ)のみを画像形成装置本体に着脱可能とした構成の画像形成装置等でもよい。
【0140】
また、本実施形態では、現像装置4は、トナー収容室18aが現像室18bの鉛直方向下方に設けられた構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、トナー収容室18aが現像室18bの鉛直方向上方に設けられた構成等であってもよい。
【0141】
また、本実施形態では、正規帯電極性が負極性であるトナーを用いたが、これに限定されるものではなく、正規帯電極性が正極性であるトナーを用いてもよい。その場合には、必要に応じて、帯電装置2、現像ローラ17、規制ブレード21、供給ローラ20を始めとする各部材に印加する電圧の極性を変える。
【0142】
〔比較例1〕
比較例1は、基本的には第1実施形態に準ずるが、次の点が異なる。
【0143】
本比較例では、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が一定である。そして、空回転時間は、本比較例のプロセスカートリッジ7の使用開始時において、画像形成モードを切り替えた場合に、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しない時間に設定されている。これは、本比較例と同様の構成のプロセスカートリッジ7を用いて予め測定されたものである。
【0144】
具体的には、現像装置4のトナー収容室18aにトナーを充填し、所定の画像形成モードで画像比率5%のA4サイズ画像を100枚連続印刷した後、異なる画像形成モードへ切り替えた直後の濃度ムラを評価して決めた。
【0145】
プロセスカートリッジ7の使用開始時には、トナーの劣化がないため、供給ローラ20の発泡ウレタン層表層におけるトナーの出入りが容易である。そのため、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが早い。よって、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間は、比較的短くなる。
【0146】
図8は、比較例1における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0147】
図8において、ステップSb1〜Sb3は、図6に示した前回転制御におけるステップSa1〜Sa3の各工程と同じである。ステップSb3で、画像形成速度が変更されていない場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSb6)、その後画像形成動作が行われる(ステップSb5)。
【0148】
一方、画像形成速度が変更された場合には、制御部29のメモリに予め格納された画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間がCPUにより読み出され、その時間に応じて前回転動作が行われる(ステップSb4)。そして、前回転動作が終了した後、画像形成動作が行われる(ステップSb5)。
【0149】
〔比較例2〕
比較例2は、基本的には比較例1に準ずるが、次の点が異なる。
【0150】
本比較例では、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間は、本比較例のプロセスカートリッジ7の長期使用後において、画像形成モードを切り替えた場合に、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しない時間に設定されている。これは、本比較例と同様の構成のプロセスカートリッジ7を用いて予め測定されたものである。具体的には、現像装置4のトナー収容室18aにトナーを充填し、所定の画像形成モードで画像比率5%のA4サイズ画像を8000枚連続印刷した後、異なる画像形成モードへ切り替えた直後の濃度ムラを評価して決めた。
【0151】
プロセスカートリッジ7を長期使用すると、トナーが劣化するため、供給ローラ20の発泡ウレタン層表層におけるトナーの出入りが難しくなる。そのため、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが遅い。よって、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間は、比較例1よりも長くなる。
【0152】
〔比較例3〕
比較例3は、基本的には第1実施形態に準ずるが、次の点が異なる。
【0153】
本比較例では、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間を、印刷枚数に応じて適宜増加する。そして、空回転時間は、本比較例のプロセスカートリッジ7の使用期間を通して、画像形成モードを切り替えた場合に、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しない時間に設定される。
【0154】
これは、本比較例と同様の構成のプロセスカートリッジ7を用いて予め測定されたものである。具体的には、現像装置4のトナー収容室18aにトナーを充填し、所定の画像形成モードで画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、異なる画像形成モードへ切り替えた直後の濃度ムラを随時評価して決めた。即ち、本比較例では、現像装置4の使用時間に応じて、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間を制御する。
【0155】
図9は、比較例3における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0156】
図9において、ステップSc1〜Sc3は、図6に示した前回転制御におけるステップSa1〜Sa3の各工程と同じである。ステップSc3で、画像形成速度が変更されていない場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSc7)、その後画像形成動作が行われる(ステップSc6)。
【0157】
一方、画像形成速度が変更された場合には、制御部29のメモリに格納されている印刷枚数がCPUにより読み出される(ステップSc4)。次いで、制御部29のメモリに予め格納された画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間から、読み出された印刷枚数に応じた空回転時間がCPUにより読み出され、その時間に応じて前回転動作が行われる(ステップSc5)。そして、前回転動作が終了した後、画像形成動作が行われる(ステップSc6)。
【0158】
(第1実施形態と比較例との評価)
次に、第1実施形態及び比較例1〜3の評価について説明する。図10は第1実施形態と比較例の評価を示す図表である。
【0159】
第1実施形態及び比較例1〜3の構成について、画像形成速度変更時の濃度ムラ評価(A)〜(C)と、印刷開始時間の評価(D)を行った。評価画像としては、画像比率100%のA4サイズの全面黒画像を用いた。また、評価は全て23℃、50%RH環境下で行った。尚、濃度ムラとかぶりの発生状況は似ているため、濃度ムラの評価のみを行った。以下、図10に示す各評価について個別に説明する。
【0160】
(A)画像形成速度変更時(使用開始時)の濃度ムラ評価
本画像評価では、まず、トナー収容室18aにトナーを充填する。次に、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像(具体的には、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像)を100枚連続的に印刷する。
【0161】
そして、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えて全面黒画像を1枚印刷し、目視により濃度ムラの評価を行った。尚、横線画像及び全面黒画像は、全て同一の単色で印刷した。濃度ムラの評価基準は、「○: 濃度ムラが見られない」と「×: 濃度ムラ発生」の2通りで示す。
【0162】
(B)画像形成速度変更時(長期使用時、連続印刷)の濃度ムラ評価
本画像評価は、基本的には(A)画像形成速度変更時(使用開始時)の濃度ムラ評価に準ずるが、以下の点が異なる。本画像評価では、トナー収容室18aにトナーを充填した後、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像を8000枚連続的に印刷する。
【0163】
(C)画像形成速度変更時(長期使用時、間欠印刷)の濃度ムラ評価
本画像評価は、基本的には(A)画像形成速度変更時(使用開始時)の濃度ムラ評価に準ずるが、以下の点が異なる。
【0164】
本画像評価では、トナー収容室18aにトナーを充填した後、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像を8000枚間欠的に印刷する。ここで、本画像評価における間欠印刷とは、所定枚数印刷後に現像装置4の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行う印刷方法を意味している。よって、印刷動作の開始直後及び終了直前に、非印字状態のまま現像装置4が駆動する時間が生じる。本画像評価では、2枚連続印刷後に現像装置4の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行うように設定した。
【0165】
(D)印刷開始時間(使用開始時)の評価
本評価では、トナー収容室18aにトナーを充填した後、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像(具体的には、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像)を100枚連続的に印刷する。そして、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えて全面黒画像を1枚印刷し、そのときの印刷開始時間の評価を行った。ここで、本評価における印刷開始時間とは、第二画像形成モードに切り替えてから画像形成動作が開始するまでの時間を意味している。尚、横線画像及び全面黒画像は、全て同一の単色で印刷した。印刷開始時間の評価基準は、「○: 十分早い」と「×: 遅い」の2通りで示す。
【0166】
以下では、第1実施形態と比較例1〜3を比較することで、本実施形態の優位性について説明する。
【0167】
比較例1は、(A)、(D)の評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0168】
(A)の評価結果が良好であった理由は、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、プロセスカートリッジ7の使用開始時において、濃度ムラが発生しない時間に設定されているためである。
【0169】
次に、(D)の評価結果が良好であった理由は、プロセスカートリッジ7の使用開始時にはトナーの劣化がなく、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが早いためである。よって、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、比較的短い。
【0170】
しかしながら、比較例1は、(B)、(C)の評価では、濃度ムラが発生した。これは、プロセスカートリッジ7を長期使用するとトナーが劣化し、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが遅くなるためである。よって、前回転が終了しても、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定せず、濃度ムラが発生する。
【0171】
一方、比較例2は、(A)、(B)の評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0172】
(B)の評価結果が良好であった理由は、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、プロセスカートリッジ7の長期使用後において、濃度ムラが発生しない時間に設定されているためである。
【0173】
次に、(A)の評価結果が良好であった理由は、プロセスカートリッジ7の使用開始時よりも長期使用後の方が、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが遅いためである。即ち、プロセスカートリッジ7の使用開始時から前回転における供給ローラ20の空回転時間を十分に長く設定しているため、濃度ムラが発生しないのである。
【0174】
しかしながら、そのために、(D)の評価では、第1実施形態や他の比較例よりも印刷開始時間が遅くなった。また、比較例2では、(C)の評価で濃度ムラが発生した。これは、比較例2では、プロセスカートリッジ7を連続印刷により長期使用した場合に基づいて、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が設定されているためである。間欠印刷では、非印字状態のまま現像装置4が駆動する時間が生じ、連続印刷よりもトナーの劣化が進みやすい。
【0175】
そのため、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのがより遅くなりやすい。よって、前回転が終了しても、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定せず、濃度ムラが発生する。
【0176】
そして、比較例3では、(A)、(B)、(D)の評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0177】
(A)、(B)の評価結果が良好であった理由は、プロセスカートリッジ7の使用期間を通して、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、印刷枚数に応じて、濃度ムラが発生しない時間に適宜設定されるためである。次に、(D)の評価結果が良好であった理由は、比較例1の場合と同様である。
【0178】
しかしながら、比較例3においても、(C)の評価で濃度ムラが発生した。これは、比較例2の場合と同様で、プロセスカートリッジ7を連続印刷により長期使用した場合に基づいて、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が設定されているためである。
【0179】
これらに対して、第1実施形態では、(A)〜(D)の全ての評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0180】
第1実施形態では、画像形成速度変更時には、供給ローラ20内含有トナー量を検知しながら前回転動作を行う。これにより、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量を把握することができる。よって、プロセスカートリッジ7の使用状態によらず、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するまで前回転動作を行ってから、画像形成動作を行うことができる。また、余分な前回転における供給ローラ20の空回転時間を低減し、印刷開始時間をできるだけ早くすることができる。
【0181】
以上のように、本発明においては、供給ローラ20を所定時間空回転駆動させ、現像ローラ17と供給ローラ20との接触領域付近のトナーの撹拌・循環を安定にする。そして、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給を安定にしてから画像形成動作を行う。これにより、プロセスカートリッジ7(交換容器)の使用状態によらず、最短の前回転における供給ローラ20の空回転時間で、画像形成速度変更時に発生する濃度ムラを低減することができる。
【0182】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、基本的には第1実施形態に準ずるが、画像形成速度変更時の前回転速度を、変更後の画像形成速度よりも更に遅く設定する。例えば、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えた場合に、第二画像形成モードにおける画像形成速度時の供給ローラ20の回転速度よりも更に遅い速度で、前回転における供給ローラ20の空回転動作を所定時間行う。その後、第二画像形成モードにおける画像形成速度時の供給ローラ20の回転速度で画像形成動作を行う。
【0183】
本実施形態においても、プロセスカートリッジ7の使用状態によらず、画像形成速度変更時に発生する濃度ムラやかぶり等の画像不良を低減することができる。
【0184】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、基本的には第1実施形態に準ずるが、連続印刷中に画像形成モードの切り替えが行われる。例えば、第一画像形成モードで所定枚数連続印刷した後に、紙間動作を挟んで、第二画像形成モードに切り替わる。
【0185】
図11は、第3実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0186】
まず、画像形成動作が終了する(ステップSd1)。そして、引き続き紙間動作が行われた後、制御部29により設定された画像形成モードの画像形成速度に応じて、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)が駆動される(ステップSd2)。
【0187】
ここで、画像形成モードは、ユーザーにより設定されたものである。次に、制御部29のCPUにおいて、画像形成速度が変更されたかどうかを判定する(ステップSd3)。また、ステップSd3〜Sd10は、図6に示した前回転制御におけるステップSa3〜Sa10の各工程と同じである。
【0188】
本実施形態においても、プロセスカートリッジ7の使用状態によらず、最短の前回転における供給ローラ20の空回転時間で、画像形成速度変更時に発生する濃度ムラやかぶり等の画像不良を低減することができる。
【0189】
〔第4実施形態〕
第4実施形態は、基本的には第1実施形態に準ずるが、プロセスカートリッジ7が交換された場合に、前回転制御を行う。
【0190】
プロセスカートリッジ7が画像形成装置本体に対して着脱可能な画像形成装置100においては、プロセスカートリッジ7が新品に交換された直後の画像形成動作で、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しやすい。これらの理由は、概ね以下のように考えられる。
【0191】
新品のプロセスカートリッジ7の現像装置4において、現像室18b内の供給ローラ20は、ほとんどトナーを含有していない状態である。現像装置4が駆動されると、トナー収容室18a内に収容されたトナーが、バッファ室18dを通り、現像室18bに供給される。そして、現像室18b内に一時貯留されるトナーが増加するとともに、供給ローラ20内含有トナー量も徐々に増加し、それに伴って、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量も増加する。
【0192】
ここで、この供給ローラ20のトナー排出量が十分安定していない状態で画像形成動作を行うと、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しやすくなる。よって、このように現像室18b内にあるトナーの増加量が大きい場合には、静電容量検出装置28による検知及び制御部29による画像形成動作開始前の前回転における供給ローラ20の空回転時間制御を行う。
【0193】
図2において、IDチップはプロセスカートリッジ7に取り付けられており、プロセスカートリッジ7の識別情報が予め記憶されている。
【0194】
図12は、第4実施形態におけるプロセスカートリッジ7交換時の前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0195】
まず、プロセスカートリッジ7が画像形成装置本体に装着される(ステップSe1)。そして、ユーザーにより画像形成モードが設定され(ステップSe2)、制御部29により、設定された画像形成モードの画像形成速度に応じて、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)が駆動される(ステップSe3)。
【0196】
次に、制御部29は、IDチップと通信を行い、IDチップに記憶されている識別情報が、以前通信を行った識別情報と一致しているかを照合する(ステップSe4)。ここで、識別情報が一致する場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSe11)、その後画像形成動作が行われる(ステップSe10)。
【0197】
一方、識別情報が一致しない場合には、制御部29は、新品のプロセスカートリッジ7が装着されたと判断して、供給バイアス電源27により供給ローラ20の芯金に、所定の静電容量検出用バイアスが印加される(ステップSe5)。
【0198】
また、ステップSe5〜Se11は、図6に示した前回転制御におけるステップSa4〜Sa10の各工程と同じである。
【0199】
第4実施形態では、最短の前回転における供給ローラ20の空回転時間で、プロセスカートリッジ7を新品に交換した直後に発生する濃度ムラやかぶり等の画像不良を低減することができる。
【0200】
尚、本実施形態では、IDチップが取り付けられたプロセスカートリッジ7が画像形成装置本体に対して着脱可能で、プロセスカートリッジ7の交換時に前回転制御を行う構成としたが、これに限定されるものではない。
【0201】
例えば、IDチップが取り付けられた現像剤容器(トナーカートリッジ)が、画像形成装置本体に着脱可能で、現像剤容器が交換されたときに前回転制御を行う構成等であってもよい。また、現像剤容器を交換する構成とした場合には、現像剤容器が交換されたときだけでなく、現像剤容器からトナー補給された直後に前回転制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0202】
1…感光体ドラム
17…現像ローラ
20…供給ローラ
28…静電容量検出装置
29…制御部
100…画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成方式(電子写真プロセス)を用いたプリンタ等の画像形成装置においては、像担持体としての電子写真感光体(以下、感光体)を一様に帯電させる。次いで、帯電した感光体を選択的に露光し、感光体上に静電潜像を形成する。次いで、感光体上に形成された静電潜像を、現像剤としてのトナーによりトナー像として顕像化する。そして、感光体上に形成されたトナー像を、記録用紙、プラスチックシート等の記録材に転写し、更に記録材上に転写されたトナー像に熱や圧力を加えることで、トナー像を記録材に定着して、画像記録を行う。
【0003】
この種の画像形成装置に用いられる現像方法としては、一般に、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いた二成分現像法と、実質的にトナーのみからなる一成分現像剤を用いた一成分現像法が知られている。
【0004】
これらの内で、一成分現像法は、二成分現像法に比べ現像装置の構成が簡易であるため、小型化、低コスト化、メンテナンスの容易さ等の点で有利である。このことから、近年、一成分現像法を用いた現像装置が多数提案されている。また、特にカラー画像形成装置を中心に、非磁性一成分現像剤を用いた現像装置が多数提案され、実用化されている。
【0005】
非磁性一成分現像剤を用いた現像装置の構成としては、例えば、現像剤担持体としての現像ローラと、層厚規制部材としての規制ブレードと、現像剤供給部材としての供給ローラとを備えたものが知られている。現像ローラは、像担持体としての感光体ドラムと接触、または一定の空隙を保った非接触の状態で配置される。また、規制ブレード及び供給ローラは、それぞれ現像ローラと接触して配置される。
【0006】
このような構成において、非磁性一成分現像剤としてのトナーは、現像ローラと供給ローラとの接触領域近傍で、供給ローラから現像ローラ表面に供給され、現像ローラにより担持・搬送される。そして、規制ブレードとの当接位置で摩擦帯電するとともに層厚規制される。層厚規制されたトナーは、現像ローラにより搬送され、感光体ドラムとの対向位置において、感光体ドラム表面に形成された静電潜像を現像する。
【0007】
また、供給ローラは、一般に、発泡層を有することが多く、トナーを発泡層の表層もしくは内部に保持して搬送する。ここで、供給ローラ内含有トナー量と、現像ローラと供給ローラとの間の静電容量とは、良い相関を持つことが知られており、それを利用した制御技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、供給ローラに静電容量検出用バイアスを印加して現像ローラで検出した静電容量を、現像装置内のトナー残量検知に利用している。
【0008】
ところで、電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、一般に画像形成動作前に、感光体ドラムや現像装置等を所定時間空回転駆動する、いわゆる前回転動作が行われる。前回転動作の目的は、感光体ドラム等の駆動手段としての駆動モータの回転速度を安定させることや、様々な画像不良を低減することである(例えば、特許文献2〜特許文献4参照)。
【0009】
特許文献2では、現像装置の長期放置後に発生しやすい画像不良の一つである、いわゆる放置バンディングを低減するために、現像装置周囲の温湿度や放置時間等に応じて画像形成動作開始前に現像ローラを所定時間回転させている。また、特許文献3では、現像スリーブゴーストの発生を防止するために、画像形成装置の印刷枚数に応じて前回転時間を増やしている。
【0010】
さらに、特許文献4では、複数の画像形成モードを有する画像形成装置において、通常の画像形成速度よりも遅い画像形成速度で画像形成動作を行う場合に、現像装置内の現像剤の凝集塊を解すため、画像形成速度よりも早い速度で所定時間回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−009036
【特許文献2】特開2004−126089
【特許文献3】特開2006−220749
【特許文献4】特開2008−122690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非磁性一成分現像剤を用いた画像形成装置において、現像ローラと供給ローラとの接触領域付近のトナーは、供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給に伴うトナーの流れにより、撹拌・循環させられる。
【0013】
この撹拌・循環効果が弱くなると、現像ローラと供給ローラとの接触領域付近のトナーが滞留する。そして、このトナー滞留に、供給ローラの回転によりトナーが搬送され続けるため、粉圧が高くなる。その結果、現像ローラと供給ローラとの接触領域に、トナーが過剰に押し込まれるようになる。
【0014】
それによって、供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給が過剰または不安定になり、現像ローラ上の層厚規制されたトナー層に規制不良が発生すると、濃度ムラやかぶり等の画像不良につながることがあった。
【0015】
しかしながら、特許文献2〜特許文献4を始めとする従来の前回転動作の制御は、適切な前回転時間ではなかった。そのため、供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給が過剰または不安定な状態で画像形成動作を行い、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生することがあった。また、必要以上に前回転時間が長い場合には、画像形成開始が遅くなることがあった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、最適な前回転動作を行い、最短の空回転時間で供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給を安定にして、濃度ムラやかぶり等の画像不良の発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明にあっては、
像担持体と、
非磁性一成分現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、
回転可能に設けられ、前記現像剤担持体と接触し、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材と、
前記現像剤供給部材の駆動を制御する制御手段と、
前記現像剤供給部材に含有される現像剤量を検知する検知手段と、
を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述の構成により、非磁性一成分現像剤を用いた画像形成装置において、最適な前回転動作を行い、最短の空回転時間で供給ローラから現像ローラ表面へのトナー供給を安定にして、濃度ムラやかぶり等の画像不良の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【図2】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの概略構成を示す図。
【図3】第1実施形態の静電容量検出値と供給ローラ内含有トナー量との関係を示すグラフ。
【図4】画像形成速度を切り替えた場合の静電容量の変化を示すグラフ。
【図5】トナーの流れを説明する概念図。
【図6】第1実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図7】供給ローラの空回転時間と静電容量検出値との関係における単位空回転時間あたりの静電容量の変化量(静電容量の傾き)αを示す図。
【図8】比較例1における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図9】比較例3における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図10】第1実施形態と比較例の評価を示す図表。
【図11】第3実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャート。
【図12】第4実施形態におけるプロセスカートリッジ交換時の前回転制御の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0021】
本発明は、電子写真画像形成方式を用いて記録材(記録媒体)に画像を形成する画像形成装置に関するものである。画像形成装置としては、複写機、プリンタ(レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、及びこれらの複合機(マルチファンクションプリンタ)等を挙げることができる。
【0022】
〔第1実施形態〕
まず、本発明を適用可能な画像形成装置の一実施形態として、電子写真画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
【0023】
(画像形成装置100の概略構成)
図1は、第1実施形態の画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
【0024】
画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザビームプリンタであり、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布等)にフルカラー画像を形成することができる。また、画像情報は、画像形成装置本体に接続された画像読取装置、或いは画像形成装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器から、画像形成装置本体に入力される。
【0025】
図1において、画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。本実施形態では、第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
【0026】
尚、本実施形態では、第1〜第4の画像形成部の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下の説明では、特に区別を要しない場合、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0027】
本実施形態では、画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラム1)を有する。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段により、図示矢印A方向(時計回り)に回転駆動される。そして、感光体ドラム1の周囲には、帯電装置2及び露光装置3が配置されている。
【0028】
ここで、帯電装置2は帯電ローラ(後述)を備えており、感光体ドラム1の表面を均一に帯電させる帯電手段である。露光装置3はレーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー、光学レンズ系等を備え、画像情報に基づきレーザ光を照射して、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する露光手段である。
【0029】
また、感光体ドラム1の周囲には、現像装置4及びクリーニング部材6が配置されている。ここで、現像装置4は、現像剤としての非磁性一成分トナー(以下、トナー)を備えており、静電潜像をトナー像として現像する(像担持体に現像作用を行う)現像手段である。クリーニング部材6は、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段である。
【0030】
さらに、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材P上に転写するための、中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。感光体ドラム1の回転方向において、帯電装置2による帯電位置、露光装置3による露光位置、現像装置4による現像位置、中間転写ベルト5へのトナー像の転写位置、クリーニング部材6によるクリーニング位置は、この順番で設けられている。
【0031】
尚、本実施形態では、現像装置4は、現像剤担持体としての現像ローラ(後述)を備え、現像ローラを感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行う。即ち、本実施形態では、現像装置4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光されて電荷が減衰した部分(画像部、または露光部)に付着させる。これにより、感光体ドラム1上の静電潜像が現像される。
【0032】
また、本実施形態では、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電装置2、現像装置4、及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成している。
【0033】
プロセスカートリッジ7は、画像形成装置本体に設けられた装着ガイド、位置決め部材等の装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。また、本実施形態では、各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
【0034】
但し、本実施形態ではプロセスカートリッジについて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、現像装置4が、画像形成装置本体に固定される構成としてもよいし、現像装置4が単独でカートリッジ化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能な構成としてもよい。
【0035】
無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計回り)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材(駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53)に掛け渡される。
【0036】
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての4個の一次転写ローラ8が並設される。
【0037】
一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが接触する一次転写部N1にニップ(一次転写ニップ)を形成する。そして、一次転写ローラ8には、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源から、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
【0038】
また、中間転写ベルト5の外周面側において、二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが接触する二次転写部N2にニップ(二次転写ニップ)を形成する。
【0039】
二次転写ローラ9には、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源から、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材P上に転写(二次転写)される。ここで、一次転写ローラ8と二次転写ローラ9とは同様の構成を有している。
【0040】
(画像形成装置100の画像形成動作)
画像形成時には、まず感光体ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。次に、露光装置3から発された画像情報に応じたレーザ光によって、一様に帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電潜像が形成される。次に、感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4によりトナー像として現像される。そして、感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって、中間転写ベルト5上に転写(一次転写)される。
【0041】
例えば、フルカラー画像の形成時には、前記プロセスが第1〜第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。
【0042】
その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて、記録材Pが二次転写部N2へと搬送される。そして、記録材Pを介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5上の4色トナー像は一括して記録材P上に二次転写される。
【0043】
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置10に搬送される。そして、定着装置10において、記録材Pに熱及び圧力が加えられ、記録材Pにトナー像が定着される。
【0044】
また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去され、除去トナー室(後述)に回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。
【0045】
尚、画像形成装置100は、単独またはいくつかの(全てではない)所望の画像形成部のみを用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態の画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成及び動作について説明する。
【0047】
尚、本実施形態の説明において、現像装置或いはプロセスカートリッジの構成や動作について、上、下、垂直、水平といった方向を表す用語は、特に断りのない場合には、それらの通常の使用状態において見た時の方向を表す。つまり、現像装置或いはプロセスカートリッジの通常の使用状態とは、適正に配置された画像形成装置本体に対して適正に装着され、画像形成動作に供し得る状態である。また、以下の説明において、回転可能に設けられた部材に対して用いられる長手方向とは、その部材の回転軸線方向(回転軸方向)をいうものとする。
【0048】
(プロセスカートリッジ7の構成)
図2は、第1実施形態に係るプロセスカートリッジ7の概略構成を示す図である。図2においては、断面(主断面)及び関連する画像形成装置の一部の概略構成を示す。ここで、プロセスカートリッジ7の概略構成を示す断面は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向、回転軸方向)に直交する断面を示している。尚、本実施形態では、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
【0049】
図2において、プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像装置4とを有する。
【0050】
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。
【0051】
クリーニング枠体14には、図示しない軸受を介して感光体ドラム1が回転可能に取り付けられる。感光体ドラム1は、アルミニウム製のドラム基体上に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした感光体層を有している。そして、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力により、画像形成動作に応じて、図示矢印A方向(時計回り)に回転駆動される。
【0052】
本実施形態では、感光体ドラム1は直径24mmの負帯電性の有機感光体ドラムを用いており、周速(プロセススピード)240mm/sで回転駆動される。
【0053】
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するようにして、帯電ローラ12とクリーニング部材6が配置されている。そして、クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14内に形成された除去トナー室14a内に落下するように構成されている。
【0054】
また、クリーニング枠体14には、帯電ローラ12の回転中心(回転軸)と感光体ドラム1の回転中心とを通る線に沿って、帯電ローラ軸受15が図示矢印C方向に移動可能に取り付けられている。そして、帯電ローラ軸受15には、帯電ローラ12の回転軸12aが回転可能に取り付けられている。帯電ローラ12は、帯電ローラ軸受15が付勢手段としての帯電ローラ加圧バネ16により感光体ドラム1に向かって付勢されることで、感光体ドラム1の周面上に接触する。
【0055】
そして、帯電ローラ12の回転軸12aには、画像形成動作に応じて、帯電バイアス印加手段としての帯電バイアス電源(図示せず)から直流電圧が印加される。本実施形態では、帯電ローラ12の回転軸12aに対して−1100Vの直流電圧が印加され、感光体ドラム1の表面は−550Vに一様に帯電させられる。
【0056】
一方、現像装置4は、現像装置4内の各種要素を支持する枠体としての現像枠体18を有する。現像枠体18は、現像室18bと、バッファ室18dと、現像室18b及びバッファ室18dの鉛直方向下方に設けられた現像剤収容室としてのトナー収容室18aからなる。そして、バッファ室18dは、トナー収容室18aの上方において、開口部18cを介してトナー収容室18aと連通している。さらに、バッファ室18dは、開口部18eを介して現像室18bと連通している。
【0057】
トナー収容室18aには、現像剤としての非磁性一成分トナー(非磁性一成分現像剤)が収容されている。また、トナー収容室18a内には、現像剤搬送手段としてのトナー搬送部材22が回転可能に設けられる。トナー搬送部材22は、その長手方向の両端部において、トナー収容室18aを形成する現像枠体18に回転可能に支持されている。そして、トナー搬送部材22は、図示しない駆動手段(駆動源)により、図示矢印G方向(時計回り)に回転駆動される。
【0058】
トナー搬送部材22は、トナー収容室18a内に収容されたトナーを撹拌するとともに、トナー収容室18aの上方に設けられたバッファ室18dへ、開口部18cを通してトナーを搬送(供給)する作用をなす。従って、トナー収容室18aからバッファ室18dへ、重力に抗してトナーを搬送する必要がある。
【0059】
開口部18cの下端は、開口部18eの上端よりも鉛直方向上方に設けられる。そのため、トナー収容室18aからバッファ室18dに搬送されたトナーは、バッファ室18d内に一時貯留され、自重により現像室18bへ供給される。ここで、バッファ室18dに一時貯留されたトナーは、開口部18eに対して蓋の作用をなすため、現像室18b内のトナーがトナー収容室18aに戻されにくくなる。
【0060】
現像室18bには、現像室18b内のトナーを担持・搬送する現像剤担持体であって、感光体ドラム1と接触して図示矢印D方向(反時計回り)に回転可能な現像ローラ17が設けられている。
【0061】
現像ローラ17には、芯金上にシリコーンゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴムなどのゴム材料により形成された弾性層を有する単層ローラが使用可能である。また、弾性層の表面にシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などを塗工して表層を形成した複数層構成のローラなども使用可能である。そして、感光体ドラム1に対して安定して弾性接触させるためには、弾性層の硬度がアスカーC硬度で40°〜70°であることが好ましい。また、現像効率低下等による画像不良を発生させないためには、現像ローラ17の体積抵抗値は104Ω〜109Ωであることが好ましい。
【0062】
尚、現像ローラ17の体積抵抗値は、次のようにして測定される。直径30mmの鏡面金属製円筒部材と現像ローラとを、当接荷重500gfで現像ローラ長手方向全域にわたって当接させた状態で、該鏡面金属製円筒部材を1.0rpsの周速度で回転させる。そして、現像ローラの芯金と該鏡面金属製円筒部材との間に−50Vの直流電圧を印加して、接地側に接続した10kΩの抵抗の両端電圧を測定し、測定した電圧値から電流値及び現像ローラの抵抗値を算出する。
【0063】
現像ローラ17は、画像形成動作に応じて感光体ドラム1と所定の当接幅を持って接触した状態で、感光体ドラム1の周速度よりも速い周速度で回転駆動される。このとき、現像ローラ17の芯金には、現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源26により、負極性の直流電圧が印加される。
【0064】
本実施形態では、直径6mmの芯金上に、層厚3mmのシリコーンゴムから成る弾性層を持ち、その表面にアクリル・ウレタン系樹脂を塗工して表層とした、直径12mmの現像ローラ17を用いる。また、本実施形態の現像ローラ17の硬度はアスカーC硬度で55°、体積抵抗値は106Ωである。また、本実施形態では、現像ローラ17の芯金には、画像形成動作に応じて現像バイアス電源26から−300Vの直流電圧が印加される。そして、現像ローラ17は、感光体ドラム1との対向部(接触部)において、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と順方向となるように、周速280mm/sで回転駆動される。
【0065】
現像ローラ17は、その長手方向の両端部において、現像側板19(19R、19L)を介して、回転可能に現像枠体18に支持されている。ここで、現像側板19(19R、19L)は、現像枠体18の両端部にそれぞれ取り付けられている。
【0066】
尚、本実施形態では、現像ローラ17は感光体ドラム1に接触して現像作用を行うが、これに限定されるものではない。例えば、現像ローラ17が感光体ドラム1に対して所定の間隔を保って近接配置された状態で現像作用を行う構成等であってもよい。
【0067】
また、現像室18bには、図示矢印E方向(反時計回り)に回転する現像剤供給手段(現像剤供給部材)としての供給ローラ20が、現像ローラ17の周面上に接触した状態で配置されている。供給ローラ20は、現像室18b内のトナーを現像ローラ17上に供給するとともに、現像に供されずに現像ローラ17上に残留したトナーを、現像ローラ17上から剥ぎ取る作用をなす。
【0068】
供給ローラ20としては、現像ローラ17へのトナーの供給性能及び現像ローラ17からのトナーの剥ぎ取り性能の点から、次のような構成のものが好ましい。即ち、芯金上に、発泡ウレタンゴム、発泡EPDMゴム、発泡シリコーンゴムなどの材料で構成された発泡骨格状スポンジ構造で、トナーが内部に進入可能な発泡層を有するものである。
【0069】
さらに、供給ローラ20の表面セル径は、50μm〜1000μmが好ましい。ここで、セル径とは、任意断面の発泡セルの平均径をいい、任意断面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。この最大セル径の1/2以下である発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均値である。
【0070】
供給ローラ20は、現像ローラ17と所定の当接幅を持って接触した状態で、画像形成動作に応じて現像ローラ17の周速度よりも遅い周速度で回転駆動される。このとき、供給ローラ20の芯金には、供給バイアス印加手段としての供給バイアス電源27により、負極性の直流電圧が印加される。
【0071】
本実施形態では、直径5mmの芯金上に、発泡骨格状スポンジ構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを層厚5.5mmで形成した、直径16mmの供給ローラ20を用いる。また、本実施形態の供給ローラ20の表面セル径は、300μmである。また、本実施形態では、供給ローラ20の芯金には、画像形成動作に応じて供給バイアス電源27から−500Vの直流電圧が印加される。そして、供給ローラ20は、現像ローラ17との接触領域において、その表面移動方向が現像ローラ17の表面移動方向とは逆方向となるように、周速250mm/sで回転駆動される。
【0072】
また、現像室18bには、供給ローラ20によって現像ローラ17上に供給されたトナーの層厚を規制する、層厚規制手段としての規制ブレード21が配置されている。ここで、規制ブレード21は、現像ローラ17の周面上に接触する。
【0073】
規制ブレード21は、弾性及び導電性を有している。また、規制ブレード21は、現像装置4に固定された支持板金により、ステンレス鋼やリン青銅などの金属薄板を片持ちで支持して構成されることが好ましい。但し、これに限定されるものではなく、規制ブレード21は、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのゴム材料や、ステンレス鋼、リン青銅などの金属薄板を基体とし、現像ローラ17との接触面側に導電性ゴム材料などを塗工して構成されたものでもよい。
【0074】
規制ブレード21には、画像形成動作に応じて規制バイアス印加手段としての規制バイアス電源(図示せず)により、負極性の直流電圧が印加される。
【0075】
本実施形態では、厚さ1.2mmの鉄板からなる支持板金に、厚さ0.1mmのステンレス鋼板を固定支持して構成された規制ブレード21を使用する。ステンレス鋼板の片持ち支持部分から現像ローラ17との当接位置までの距離、いわゆる自由長さは12mmであり、現像ローラ17のステンレス鋼板に対する押し込み量は1.5mmである。
【0076】
また、規制ブレード21の現像ローラ17に対する当接方向は、規制ブレード21の自由端側の先端が、規制ブレード21と現像ローラ17との当接位置に対して現像ローラ17の回転方向上流側に位置する、いわゆるカウンタ方向である。また、本実施形態では、規制ブレード21には、画像形成動作に応じて規制バイアス電源から−500Vの直流電圧が印加される。
【0077】
また、現像室18bには、現像枠体18に回転自在に支持された現像剤撹拌手段(現像剤撹拌部材)としての撹拌部材25が設けられている。撹拌部材25は、現像室18b内に一時貯留されたトナーを撹拌するとともに、供給ローラ20へトナーを供給する作用をなす。
【0078】
撹拌部材25は、その長手方向の両端部において、現像室18bを形成する現像枠体18に回転可能に支持されている。そして、本実施形態では、撹拌部材25は、図示しない駆動手段(駆動源)により図示矢印H方向(時計回り)に回転駆動される。ここで、撹拌部材25の撹拌領域は現像室18b内であり、バッファ室18d内への影響は小さくなるようになっている。
【0079】
現像装置4は、現像側板19(19R、19L)に設けられた穴部19a(19Ra、19La)に嵌合する結合軸23(23R、23L)を中心にして、感光体ユニット13に揺動(移動)可能に結合されている。
【0080】
本実施形態では、トナーは結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することで、負帯電性を有するように作製したものを用いている。但し、これに限定されるものではなく、例えば、粉砕法や、乳化重合法等の他の重合法を用いて調整されたトナー等でもよい。
【0081】
(プロセスカートリッジ7の画像形成動作)
画像形成動作に応じて、現像装置4は、付勢手段としての現像装置加圧バネ24により付勢されて、結合軸23を中心に図示矢印F方向(時計回り)に回動する。これによって、現像ローラ17が感光体ドラム1に当接する。
【0082】
そして、トナー収容室18aに収容されたトナーは、トナー搬送部材22により撹拌されるとともに、開口部18cを通してバッファ室18dへ重力に抗して搬送される。トナー収容室18aから搬送されたトナーは、バッファ室18dに一時貯留され、自重により開口部18eを通して現像室18bへ供給される。
【0083】
現像室18bに供給され、一時貯留されたトナーは、撹拌部材25により撹拌されつつ供給ローラ20に供給される。次いで、供給ローラ20に供給されたトナーは、供給ローラ20の発泡ウレタン層の表層もしくは内部に保持されつつ回転に伴い搬送される。
【0084】
そして、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)において、供給ローラ20の発泡ウレタン層が押し潰される。これに伴い、発泡ウレタン層の表層もしくは内部に保持されたトナーが発泡ウレタン層の表層から排出され、その一部が現像ローラ17の表面に供給される。
【0085】
現像ローラ17の表面に供給されたトナーは、現像ローラ17上に担持されつつ回転に伴い搬送される。そして、現像ローラ17と規制ブレード21との当接位置において、摩擦帯電するとともに層厚規制される。
【0086】
次いで、現像ローラ17上の薄層化されたトナーは、現像ローラ17の回転に伴い搬送され、現像ローラ17と感光体ドラム1との対向部(接触部)において、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像し、トナー像を形成する。また、現像ローラ17上の現像に供されなかったトナーは、供給ローラ20により現像ローラ17上から剥ぎ取られる。
【0087】
(静電容量検出)
次に、本実施形態における現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出について説明する。
【0088】
図2において、供給ローラ20内に含有されたトナー量の検知手段としての静電容量検出装置28は、静電容量検出動作に応じて電流を測定する電流計28aと、電流計28aにより測定された電流値等を用いて静電容量を検出する検出部28bを有する。
【0089】
電流計28aは、現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源26と現像ローラ17の芯金の間に接続される。検出部28bは、供給バイアス電源27と制御部29(後述)に接続される。
【0090】
本実施形態では、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間した状態で、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行う。これによると、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間しているので、静電容量検出用バイアスとして交流電圧を印加しても、かぶり等の画像不良が発生することがない。
【0091】
ここで、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間した状態は、非現像動作時である。具体的には、画像形成動作前の準備工程である前回転、現像動作を行っていない紙間、画像形成動作が終了した後の予備工程である後回転等において実施可能である。本実施形態では、前回転において現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行う。
【0092】
静電容量検出動作に応じて、静電容量検出装置28から供給バイアス電源27に静電容量検出用バイアスの設定信号が送られる。そして、その設定信号に応じた所定の電圧が、供給バイアス電源27により供給ローラ20の芯金に印加される。
【0093】
ここで、静電容量検出用バイアスは、画像形成動作時の所定の直流電圧に、所定の交流電圧を重畳させたものである。一方、現像ローラ17の芯金には、画像形成動作時の所定の直流電圧が印加される。
【0094】
このとき、電流計28aにより現像ローラ17と供給ローラ20との間に流れる電流が測定される。そして、検出部28bにおいて、電流計28aにより測定された電流値と設定信号に基づき静電容量が検出される。
【0095】
本実施形態では、供給ローラ20の芯金に、静電容量検出用バイアスとして、−500Vの直流電圧に周波数50kHz、Vpp=200Vの交流電圧を重畳した電圧を印加する。一方、現像ローラ17の芯金には、−300Vの直流電圧を印加する。
【0096】
図3は、第1実施形態の静電容量検出値と供給ローラ内含有トナー量との関係を示すグラフである。具体的には、現像装置4を用いて測定した、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出値と供給ローラ20内含有トナー量との関係を示す。
【0097】
図3に示すように、静電容量検出値が大きくなると、供給ローラ20内含有トナー量は多くなる。このように、現像装置4の構成においても、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出値と供給ローラ20内含有トナー量とは良い相関を持っている。
【0098】
本実施形態では、上記のように、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量を検出することで、供給ローラ20内に含有されたトナー量(現像剤量)の変化を検知して制御に用いる。
【0099】
(画像形成速度変更時の前回転制御)
次に、本実施形態における画像形成速度変更時の前回転制御について説明する。
【0100】
図2において、制御部29(制御手段)は装置全体の制御を司るものであり、様々な機器やセンサが接続される。但し、図2では、本実施形態の画像形成装置100の特徴を表す機器やセンサのみを示している。
【0101】
制御部29は、演算処理を行う中心的素子であるCPUや、検出された静電容量や演算結果、予め求められたデータテーブル、操作表示部で入力された情報等を格納する書き換え可能な記憶装置としてのメモリなどから構成される。ここで、CPUとメモリは、互いにデータの転送や読込みが可能となっている。また、制御部29は、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)のモータコントローラを制御する。
【0102】
操作表示部は、PC等のホスト機器(図示せず)で構成される。そして、操作表示部において、記録材Pのサイズや画像形成モード(プリントモード)、印刷枚数等の情報とともに画像形成動作開始信号がユーザーにより入力される。
【0103】
また、本実施形態の画像形成装置100は、通常の画像形成速度(以下、第一画像形成速度)で画像形成を行う第一画像形成モードと、第一画像形成速度よりも遅い画像形成速度(以下、第二画像形成速度)で画像形成を行う第二画像形成モードとを有する。制御部29は、第一画像形成モードや第二画像形成モードに設定する画像形成モード設定手段としての機能も有している。
【0104】
例えば、OHP、坪量70g以上の厚紙、葉書等、熱容量が大きな記録材Pに画像を形成する場合、制御部29は第二画像形成モードに設定して第二画像形成速度で画像形成を行う。そして、要求された枚数分、熱容量の大きな記録材Pに画像形成を行った後、制御部29は第二画像形成モードを解除する。
【0105】
このとき、画像を形成する記録材Pが熱容量の大きい記録材Pであるか否かの判断は、例えば、次のようにして行う。即ち、ユーザーが画像形成を行う記録材Pの種類を操作表示部で設定し、制御部29がそれを検知する。
【0106】
本実施形態では、第一画像形成モードにおける供給ローラ20の周速度は上記のように250mm/sである。そして、第二画像形成モードに設定することで、供給ローラ20の周速度は60mm/sになる。
【0107】
このように、複数の画像形成速度で画像形成を行うモードを有する画像形成装置100においては、例えば、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えた直後の画像形成動作等で、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しやすい。これらの理由は十分明らかにはなっていないが、概ね以下のように考えられる。
【0108】
図4は、画像形成速度を切り替えた場合の静電容量の変化を示すグラフである。具体的には、第一画像形成速度から第二画像形成速度へ切り替えた場合の、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量の変化を示すグラフである。
【0109】
図4において、領域Aは第一画像形成速度で駆動時(定常)、領域Bは停止時、領域C、領域Dは第二画像形成速度で駆動時を示している。但し、このとき、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行うため、現像ローラ17と感光体ドラム1は離間した状態である。
【0110】
図5は、トナーの流れを説明する概念図である。具体的には、現像装置4の現像室18bにおける、画像形成速度変化時のトナーの流れを説明するイメージ図である。図5(a)は上記領域A、図5(b)は上記領域C、図5(c)は上記領域Dについての説明図である。
【0111】
領域A、つまり第一画像形成速度での駆動時においては、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量は一定である。即ち、供給ローラ20内含有トナー量が一定である。
【0112】
供給ローラ20の回転に伴い、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)において、供給ローラ20の発泡ウレタン層が押し潰される。そして、それによって、供給ローラ20の発泡ウレタン層の表層もしくは内部に保持されたトナーが、発泡ウレタン層の表層から排出され、その一部が現像ローラ17の表面に供給される。
【0113】
このとき、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナーの排出により、図5(a)に示すように、供給ローラ20下方の現像室隔壁付近のトナーが、図示矢印I方向に移動する流れができている。このトナーの循環により、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧は、ほぼ一定に保たれていると考えられる。よって、供給ローラ20から現像ローラ17表面へ安定したトナー供給が行われる。
【0114】
領域Bでは、供給ローラ20を始め、現像装置4の駆動が停止する。そのため、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量は、現像装置4の駆動時と異なる。但し、このとき、供給ローラ20内含有トナー量は、領域Aの状態を維持していると考えられる。
【0115】
領域Cでは、領域Aのときよりも遅い画像形成速度で駆動される。そして、現像ローラ17と供給ローラ20との間の空間における静電容量が増加する。即ち、供給ローラ20内含有トナー量が増加する。
【0116】
ここで、供給ローラ20の発泡ウレタン層の変形には、速度依存性がある。そのため、図5(b)に示すように、供給ローラ20内含有トナー量が同じだと、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)において、領域Aのときよりもトナー排出量が減少する。それによって、供給ローラ20下方の現像室隔壁付近のトナーの流れがなくなり、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧が上がる。そして、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)に、トナーが過剰に押し込まれるようになる。
【0117】
この結果、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給が過剰または不安定になり、現像ローラ17上の層厚規制されたトナー層に規制不良が発生して、濃度ムラやかぶり等の画像不良につながる。
【0118】
一方で、画像形成速度が遅いと、供給ローラ20の発泡ウレタン層の表層もしくは内部にトナーを保持しやすくなることもあり、供給ローラ20の回転に伴い、供給ローラ20内含有トナー量は徐々に増加していく。そして、それに伴って、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量も増加する。
【0119】
領域Dでは、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量が、再び一定になる。即ち、供給ローラ20内含有トナー量が一定になる。
【0120】
この領域では、図5(c)に示すように、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分大きくなり、供給ローラ20下方の現像室隔壁付近のトナーが、図示矢印I方向に移動する流れができる。よって、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧が一定に保たれ、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給が安定する。その結果、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しなくなる。
【0121】
以上、説明したように、第一画像形成速度から第二画像形成速度へ切り替えた直後には、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)付近の粉圧が上がり、該対向部(接触部)にトナーが過剰に押し込まれる。それにより、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給が過剰または不安定になる。
【0122】
そこで、第1実施形態では、供給ローラ20内含有トナー量を検知して、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態で画像形成動作を行うように制御している。具体的には、画像形成動作開始前の前回転における供給ローラ20の空回転の時間を制御している。このように、最適な空回転時間制御を行うことによって、画像形成速度を切り替えた場合の濃度ムラやかぶり等の画像不良の発生を低減する。
【0123】
図6は、第1実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0124】
まず、ユーザーにより画像形成を行う記録材Pの種類等の情報とともに画像形成動作開始信号が操作表示部から入力される。すると、画像形成装置100の制御部29のCPUにより、画像を形成する記録材Pの種類が検知され、画像形成モードが設定されるとともにメモリに格納される(ステップSa1)。ここで、本実施形態では、画像形成装置100は画像形成動作を終了し、停止した状態から使用される。
【0125】
そして、制御部29により、設定された画像形成モードの画像形成速度に応じて、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)が駆動される(ステップSa2)。
【0126】
次に、制御部29のCPUにおいて、メモリに格納された前回の画像形成動作の画像形成モードと、今回の画像形成モードとを比較して、画像形成速度が変更されたかどうかを判定する(ステップSa3)。
【0127】
ここで、画像形成速度が変更されていない場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSa10)、その後画像形成動作が行われる(ステップSa9)。
【0128】
一方、画像形成速度が変更された場合には、供給バイアス電源27により、供給ローラ20の芯金に所定の静電容量検出用バイアスが印加される(ステップSa4)。そして、静電容量検出装置28の検出部28bにおいて、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量が検出される(ステップSa5)。検出された静電容量は、検出部28bに接続された制御部29に送られる。
【0129】
次に、制御部29において、供給ローラ20内含有トナー量が略一定であるかどうかの判定が行われる。これによって、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態かどうかを把握することができる。
【0130】
具体的には、制御部29のCPUにおいて、供給ローラ20の空回転時間tと静電容量検出値との関係における単位空回転時間Δtあたりの静電容量の変化量(以下、静電容量の傾き)αが算出される。これとともに、検出された静電容量がメモリに格納される(ステップSa6)。
【0131】
本実施形態では、Δt=4s毎に、静電容量の傾きαが算出される。尚、静電容量の傾きαに関しては図7を参照のこと。図7は、供給ローラ20の空回転時間tと静電容量検出値との関係における単位空回転時間Δtあたりの静電容量の変化量(静電容量の傾き)αを示す図である。
【0132】
そして、制御部29のCPUにおいて、算出された静電容量の傾きαが略0であるかどうかが判定される(ステップSa7)。本実施形態では、|α|<4×10−3である場合に、静電容量の傾きαが略0であると判定する。但し、本実施形態では、|α|<4×10−3である場合に静電容量の傾きαが略0であるとしたが、|α|はサンプリング間隔や検出装置の検出精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0133】
|α|<4×10−3である場合には、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態である。そのため、静電容量検出を終了し(ステップSa8)、画像形成動作に移る(ステップSa9)。
【0134】
一方、|α|≧4×10−3である場合には、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が変化している状態である。そのため、供給ローラ20の空回転を続ける。そして、ステップSa5に戻り、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定した状態であると判断されるまで、同工程を繰り返す。
【0135】
このように、本実施形態における制御部29は、静電容量検出装置28により検知した供給ローラ20内に含有されるトナー量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前回転における供給ローラ20の空回転時間を決定する。
【0136】
尚、本実施形態では、上記したように、現像ローラ17と感光体ドラム1が離間した状態で、現像ローラ17と供給ローラ20との間の静電容量検出を行う。
【0137】
また、本実施形態では、画像形成装置100は、中間転写体を有する中間転写方式のものであるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が、記録材担持体上に担持された記録材P上に、直接転写される方式のもの等であってもよい。
【0138】
また、本実施形態は、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電装置2、現像装置4、及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリッジ化されて、プロセスカートリッジ7を形成した。しかし、これに限定されるものではない。
【0139】
例えば、感光体ドラム1を画像形成装置本体に固定配置して、現像装置4(現像カートリッジ)のみを画像形成装置本体に着脱可能とした構成の画像形成装置等においても、同様に本発明を適用することができる。また、現像装置4を画像形成装置本体に固定配置して、現像剤容器(トナーカートリッジ)のみを画像形成装置本体に着脱可能とした構成の画像形成装置等でもよい。
【0140】
また、本実施形態では、現像装置4は、トナー収容室18aが現像室18bの鉛直方向下方に設けられた構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、トナー収容室18aが現像室18bの鉛直方向上方に設けられた構成等であってもよい。
【0141】
また、本実施形態では、正規帯電極性が負極性であるトナーを用いたが、これに限定されるものではなく、正規帯電極性が正極性であるトナーを用いてもよい。その場合には、必要に応じて、帯電装置2、現像ローラ17、規制ブレード21、供給ローラ20を始めとする各部材に印加する電圧の極性を変える。
【0142】
〔比較例1〕
比較例1は、基本的には第1実施形態に準ずるが、次の点が異なる。
【0143】
本比較例では、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が一定である。そして、空回転時間は、本比較例のプロセスカートリッジ7の使用開始時において、画像形成モードを切り替えた場合に、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しない時間に設定されている。これは、本比較例と同様の構成のプロセスカートリッジ7を用いて予め測定されたものである。
【0144】
具体的には、現像装置4のトナー収容室18aにトナーを充填し、所定の画像形成モードで画像比率5%のA4サイズ画像を100枚連続印刷した後、異なる画像形成モードへ切り替えた直後の濃度ムラを評価して決めた。
【0145】
プロセスカートリッジ7の使用開始時には、トナーの劣化がないため、供給ローラ20の発泡ウレタン層表層におけるトナーの出入りが容易である。そのため、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが早い。よって、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間は、比較的短くなる。
【0146】
図8は、比較例1における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0147】
図8において、ステップSb1〜Sb3は、図6に示した前回転制御におけるステップSa1〜Sa3の各工程と同じである。ステップSb3で、画像形成速度が変更されていない場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSb6)、その後画像形成動作が行われる(ステップSb5)。
【0148】
一方、画像形成速度が変更された場合には、制御部29のメモリに予め格納された画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間がCPUにより読み出され、その時間に応じて前回転動作が行われる(ステップSb4)。そして、前回転動作が終了した後、画像形成動作が行われる(ステップSb5)。
【0149】
〔比較例2〕
比較例2は、基本的には比較例1に準ずるが、次の点が異なる。
【0150】
本比較例では、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間は、本比較例のプロセスカートリッジ7の長期使用後において、画像形成モードを切り替えた場合に、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しない時間に設定されている。これは、本比較例と同様の構成のプロセスカートリッジ7を用いて予め測定されたものである。具体的には、現像装置4のトナー収容室18aにトナーを充填し、所定の画像形成モードで画像比率5%のA4サイズ画像を8000枚連続印刷した後、異なる画像形成モードへ切り替えた直後の濃度ムラを評価して決めた。
【0151】
プロセスカートリッジ7を長期使用すると、トナーが劣化するため、供給ローラ20の発泡ウレタン層表層におけるトナーの出入りが難しくなる。そのため、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが遅い。よって、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間は、比較例1よりも長くなる。
【0152】
〔比較例3〕
比較例3は、基本的には第1実施形態に準ずるが、次の点が異なる。
【0153】
本比較例では、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間を、印刷枚数に応じて適宜増加する。そして、空回転時間は、本比較例のプロセスカートリッジ7の使用期間を通して、画像形成モードを切り替えた場合に、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しない時間に設定される。
【0154】
これは、本比較例と同様の構成のプロセスカートリッジ7を用いて予め測定されたものである。具体的には、現像装置4のトナー収容室18aにトナーを充填し、所定の画像形成モードで画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、異なる画像形成モードへ切り替えた直後の濃度ムラを随時評価して決めた。即ち、本比較例では、現像装置4の使用時間に応じて、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間を制御する。
【0155】
図9は、比較例3における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0156】
図9において、ステップSc1〜Sc3は、図6に示した前回転制御におけるステップSa1〜Sa3の各工程と同じである。ステップSc3で、画像形成速度が変更されていない場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSc7)、その後画像形成動作が行われる(ステップSc6)。
【0157】
一方、画像形成速度が変更された場合には、制御部29のメモリに格納されている印刷枚数がCPUにより読み出される(ステップSc4)。次いで、制御部29のメモリに予め格納された画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間から、読み出された印刷枚数に応じた空回転時間がCPUにより読み出され、その時間に応じて前回転動作が行われる(ステップSc5)。そして、前回転動作が終了した後、画像形成動作が行われる(ステップSc6)。
【0158】
(第1実施形態と比較例との評価)
次に、第1実施形態及び比較例1〜3の評価について説明する。図10は第1実施形態と比較例の評価を示す図表である。
【0159】
第1実施形態及び比較例1〜3の構成について、画像形成速度変更時の濃度ムラ評価(A)〜(C)と、印刷開始時間の評価(D)を行った。評価画像としては、画像比率100%のA4サイズの全面黒画像を用いた。また、評価は全て23℃、50%RH環境下で行った。尚、濃度ムラとかぶりの発生状況は似ているため、濃度ムラの評価のみを行った。以下、図10に示す各評価について個別に説明する。
【0160】
(A)画像形成速度変更時(使用開始時)の濃度ムラ評価
本画像評価では、まず、トナー収容室18aにトナーを充填する。次に、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像(具体的には、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像)を100枚連続的に印刷する。
【0161】
そして、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えて全面黒画像を1枚印刷し、目視により濃度ムラの評価を行った。尚、横線画像及び全面黒画像は、全て同一の単色で印刷した。濃度ムラの評価基準は、「○: 濃度ムラが見られない」と「×: 濃度ムラ発生」の2通りで示す。
【0162】
(B)画像形成速度変更時(長期使用時、連続印刷)の濃度ムラ評価
本画像評価は、基本的には(A)画像形成速度変更時(使用開始時)の濃度ムラ評価に準ずるが、以下の点が異なる。本画像評価では、トナー収容室18aにトナーを充填した後、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像を8000枚連続的に印刷する。
【0163】
(C)画像形成速度変更時(長期使用時、間欠印刷)の濃度ムラ評価
本画像評価は、基本的には(A)画像形成速度変更時(使用開始時)の濃度ムラ評価に準ずるが、以下の点が異なる。
【0164】
本画像評価では、トナー収容室18aにトナーを充填した後、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像を8000枚間欠的に印刷する。ここで、本画像評価における間欠印刷とは、所定枚数印刷後に現像装置4の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行う印刷方法を意味している。よって、印刷動作の開始直後及び終了直前に、非印字状態のまま現像装置4が駆動する時間が生じる。本画像評価では、2枚連続印刷後に現像装置4の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行うように設定した。
【0165】
(D)印刷開始時間(使用開始時)の評価
本評価では、トナー収容室18aにトナーを充填した後、第一画像形成モードで、画像比率5%のA4サイズの横線画像(具体的には、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像)を100枚連続的に印刷する。そして、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えて全面黒画像を1枚印刷し、そのときの印刷開始時間の評価を行った。ここで、本評価における印刷開始時間とは、第二画像形成モードに切り替えてから画像形成動作が開始するまでの時間を意味している。尚、横線画像及び全面黒画像は、全て同一の単色で印刷した。印刷開始時間の評価基準は、「○: 十分早い」と「×: 遅い」の2通りで示す。
【0166】
以下では、第1実施形態と比較例1〜3を比較することで、本実施形態の優位性について説明する。
【0167】
比較例1は、(A)、(D)の評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0168】
(A)の評価結果が良好であった理由は、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、プロセスカートリッジ7の使用開始時において、濃度ムラが発生しない時間に設定されているためである。
【0169】
次に、(D)の評価結果が良好であった理由は、プロセスカートリッジ7の使用開始時にはトナーの劣化がなく、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが早いためである。よって、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、比較的短い。
【0170】
しかしながら、比較例1は、(B)、(C)の評価では、濃度ムラが発生した。これは、プロセスカートリッジ7を長期使用するとトナーが劣化し、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが遅くなるためである。よって、前回転が終了しても、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定せず、濃度ムラが発生する。
【0171】
一方、比較例2は、(A)、(B)の評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0172】
(B)の評価結果が良好であった理由は、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、プロセスカートリッジ7の長期使用後において、濃度ムラが発生しない時間に設定されているためである。
【0173】
次に、(A)の評価結果が良好であった理由は、プロセスカートリッジ7の使用開始時よりも長期使用後の方が、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのが遅いためである。即ち、プロセスカートリッジ7の使用開始時から前回転における供給ローラ20の空回転時間を十分に長く設定しているため、濃度ムラが発生しないのである。
【0174】
しかしながら、そのために、(D)の評価では、第1実施形態や他の比較例よりも印刷開始時間が遅くなった。また、比較例2では、(C)の評価で濃度ムラが発生した。これは、比較例2では、プロセスカートリッジ7を連続印刷により長期使用した場合に基づいて、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が設定されているためである。間欠印刷では、非印字状態のまま現像装置4が駆動する時間が生じ、連続印刷よりもトナーの劣化が進みやすい。
【0175】
そのため、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するのがより遅くなりやすい。よって、前回転が終了しても、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定せず、濃度ムラが発生する。
【0176】
そして、比較例3では、(A)、(B)、(D)の評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0177】
(A)、(B)の評価結果が良好であった理由は、プロセスカートリッジ7の使用期間を通して、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が、印刷枚数に応じて、濃度ムラが発生しない時間に適宜設定されるためである。次に、(D)の評価結果が良好であった理由は、比較例1の場合と同様である。
【0178】
しかしながら、比較例3においても、(C)の評価で濃度ムラが発生した。これは、比較例2の場合と同様で、プロセスカートリッジ7を連続印刷により長期使用した場合に基づいて、画像形成速度変更時の前回転における供給ローラ20の空回転時間が設定されているためである。
【0179】
これらに対して、第1実施形態では、(A)〜(D)の全ての評価結果が良好であった。これは、以下のように考えられる。
【0180】
第1実施形態では、画像形成速度変更時には、供給ローラ20内含有トナー量を検知しながら前回転動作を行う。これにより、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量を把握することができる。よって、プロセスカートリッジ7の使用状態によらず、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量が十分安定するまで前回転動作を行ってから、画像形成動作を行うことができる。また、余分な前回転における供給ローラ20の空回転時間を低減し、印刷開始時間をできるだけ早くすることができる。
【0181】
以上のように、本発明においては、供給ローラ20を所定時間空回転駆動させ、現像ローラ17と供給ローラ20との接触領域付近のトナーの撹拌・循環を安定にする。そして、供給ローラ20から現像ローラ17表面へのトナー供給を安定にしてから画像形成動作を行う。これにより、プロセスカートリッジ7(交換容器)の使用状態によらず、最短の前回転における供給ローラ20の空回転時間で、画像形成速度変更時に発生する濃度ムラを低減することができる。
【0182】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、基本的には第1実施形態に準ずるが、画像形成速度変更時の前回転速度を、変更後の画像形成速度よりも更に遅く設定する。例えば、第一画像形成モードから第二画像形成モードへ切り替えた場合に、第二画像形成モードにおける画像形成速度時の供給ローラ20の回転速度よりも更に遅い速度で、前回転における供給ローラ20の空回転動作を所定時間行う。その後、第二画像形成モードにおける画像形成速度時の供給ローラ20の回転速度で画像形成動作を行う。
【0183】
本実施形態においても、プロセスカートリッジ7の使用状態によらず、画像形成速度変更時に発生する濃度ムラやかぶり等の画像不良を低減することができる。
【0184】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、基本的には第1実施形態に準ずるが、連続印刷中に画像形成モードの切り替えが行われる。例えば、第一画像形成モードで所定枚数連続印刷した後に、紙間動作を挟んで、第二画像形成モードに切り替わる。
【0185】
図11は、第3実施形態における前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0186】
まず、画像形成動作が終了する(ステップSd1)。そして、引き続き紙間動作が行われた後、制御部29により設定された画像形成モードの画像形成速度に応じて、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)が駆動される(ステップSd2)。
【0187】
ここで、画像形成モードは、ユーザーにより設定されたものである。次に、制御部29のCPUにおいて、画像形成速度が変更されたかどうかを判定する(ステップSd3)。また、ステップSd3〜Sd10は、図6に示した前回転制御におけるステップSa3〜Sa10の各工程と同じである。
【0188】
本実施形態においても、プロセスカートリッジ7の使用状態によらず、最短の前回転における供給ローラ20の空回転時間で、画像形成速度変更時に発生する濃度ムラやかぶり等の画像不良を低減することができる。
【0189】
〔第4実施形態〕
第4実施形態は、基本的には第1実施形態に準ずるが、プロセスカートリッジ7が交換された場合に、前回転制御を行う。
【0190】
プロセスカートリッジ7が画像形成装置本体に対して着脱可能な画像形成装置100においては、プロセスカートリッジ7が新品に交換された直後の画像形成動作で、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しやすい。これらの理由は、概ね以下のように考えられる。
【0191】
新品のプロセスカートリッジ7の現像装置4において、現像室18b内の供給ローラ20は、ほとんどトナーを含有していない状態である。現像装置4が駆動されると、トナー収容室18a内に収容されたトナーが、バッファ室18dを通り、現像室18bに供給される。そして、現像室18b内に一時貯留されるトナーが増加するとともに、供給ローラ20内含有トナー量も徐々に増加し、それに伴って、供給ローラ20と現像ローラ17との対向部(接触部)における供給ローラ20のトナー排出量も増加する。
【0192】
ここで、この供給ローラ20のトナー排出量が十分安定していない状態で画像形成動作を行うと、濃度ムラやかぶり等の画像不良が発生しやすくなる。よって、このように現像室18b内にあるトナーの増加量が大きい場合には、静電容量検出装置28による検知及び制御部29による画像形成動作開始前の前回転における供給ローラ20の空回転時間制御を行う。
【0193】
図2において、IDチップはプロセスカートリッジ7に取り付けられており、プロセスカートリッジ7の識別情報が予め記憶されている。
【0194】
図12は、第4実施形態におけるプロセスカートリッジ7交換時の前回転制御の手順を示すフローチャートである。
【0195】
まず、プロセスカートリッジ7が画像形成装置本体に装着される(ステップSe1)。そして、ユーザーにより画像形成モードが設定され(ステップSe2)、制御部29により、設定された画像形成モードの画像形成速度に応じて、供給ローラ20を含む現像装置4の駆動モータ(図示せず)が駆動される(ステップSe3)。
【0196】
次に、制御部29は、IDチップと通信を行い、IDチップに記憶されている識別情報が、以前通信を行った識別情報と一致しているかを照合する(ステップSe4)。ここで、識別情報が一致する場合には、通常の前回転動作が行われ(ステップSe11)、その後画像形成動作が行われる(ステップSe10)。
【0197】
一方、識別情報が一致しない場合には、制御部29は、新品のプロセスカートリッジ7が装着されたと判断して、供給バイアス電源27により供給ローラ20の芯金に、所定の静電容量検出用バイアスが印加される(ステップSe5)。
【0198】
また、ステップSe5〜Se11は、図6に示した前回転制御におけるステップSa4〜Sa10の各工程と同じである。
【0199】
第4実施形態では、最短の前回転における供給ローラ20の空回転時間で、プロセスカートリッジ7を新品に交換した直後に発生する濃度ムラやかぶり等の画像不良を低減することができる。
【0200】
尚、本実施形態では、IDチップが取り付けられたプロセスカートリッジ7が画像形成装置本体に対して着脱可能で、プロセスカートリッジ7の交換時に前回転制御を行う構成としたが、これに限定されるものではない。
【0201】
例えば、IDチップが取り付けられた現像剤容器(トナーカートリッジ)が、画像形成装置本体に着脱可能で、現像剤容器が交換されたときに前回転制御を行う構成等であってもよい。また、現像剤容器を交換する構成とした場合には、現像剤容器が交換されたときだけでなく、現像剤容器からトナー補給された直後に前回転制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0202】
1…感光体ドラム
17…現像ローラ
20…供給ローラ
28…静電容量検出装置
29…制御部
100…画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
非磁性一成分現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、
回転可能に設けられ、前記現像剤担持体と接触し、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材と、
前記現像剤供給部材の駆動を制御する制御手段と、
前記現像剤供給部材に含有される現像剤量を検知する検知手段と、
を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
画像形成動作開始前に、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量が略一定になるまで前記現像剤供給部材を回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との間の静電容量を検知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤供給部材は、前記現像剤が内部に進入可能な発泡層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成速度変更時から所定時間、前記現像剤供給部材を画像形成動作時よりも遅い速度で回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
異なる画像形成速度で画像形成動作を行う複数の画像形成モードと、
前記画像形成モードを設定する画像形成モード設定手段と、
を有し、
画像形成速度変更時に、前記検知手段による検知及び前記制御手段による画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤供給部材が前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する領域よりも上方で、前記領域と連通した空間にある前記現像剤の増加量が大きい場合に、前記検知手段による検知及び前記制御手段による画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
内部に前記現像剤を有する着脱可能な交換容器を有し、
前記交換容器が交換された場合に、前記検知手段による検知及び前記制御手段による画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
非磁性一成分現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、
回転可能に設けられ、前記現像剤担持体と接触し、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤供給部材と、
前記現像剤供給部材の駆動を制御する制御手段と、
前記現像剤供給部材に含有される現像剤量を検知する検知手段と、
を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量の変化に基づき、画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
画像形成動作開始前に、前記検知手段により検知した前記現像剤供給部材に含有される前記現像剤量が略一定になるまで前記現像剤供給部材を回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との間の静電容量を検知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤供給部材は、前記現像剤が内部に進入可能な発泡層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成速度変更時から所定時間、前記現像剤供給部材を画像形成動作時よりも遅い速度で回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
異なる画像形成速度で画像形成動作を行う複数の画像形成モードと、
前記画像形成モードを設定する画像形成モード設定手段と、
を有し、
画像形成速度変更時に、前記検知手段による検知及び前記制御手段による画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤供給部材が前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する領域よりも上方で、前記領域と連通した空間にある前記現像剤の増加量が大きい場合に、前記検知手段による検知及び前記制御手段による画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
内部に前記現像剤を有する着脱可能な交換容器を有し、
前記交換容器が交換された場合に、前記検知手段による検知及び前記制御手段による画像形成動作開始前の前記現像剤供給部材の回転時間制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−185264(P2012−185264A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47375(P2011−47375)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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