説明

画像形成装置

【課題】連続印刷中の画像間に付着させた非転写トナーによる記録材の裏汚れを防止するために転写部材を接離動作させる場合でも、連続印刷の生産性向上を図ることを課題とする。
【解決手段】連続印刷時に中間転写ベルト10上に存在する画像間領域に、シートへは転写しない非転写トナーを付着させ、トナーパッチが二次転写領域を通過する期間中は二次転写接離機構70により二次転写装置22と中間転写ベルトとを離間状態となるが、トナーパッチが付着していない画像間領域が二次転写領域を通過するときには二次転写接離機構による離間動作を行わずに二次転写装置と中間転写ベルトとの接触状態を維持したままとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、レーザビームプリンタ等の画像形成装置では、所望の画像濃度が安定して得られるようにすることが重要である。そのため、多くの画像形成装置では、像担持体上に複数種類の濃度検知用トナーパッチからなるトナーパターン(以下「濃度検知パターン」という。)を作成する。そして、そのパッチ濃度を光学的検知手段により検知して、その検知結果に基づいて作像条件(具体的には、トナー濃度、LDパワー、帯電バイアス、現像バイアスなど)を調節し、トナー付着量が目標量となるように調整する濃度調整制御を行っている。この濃度調整制御は、電源立ち上げ後のタイミングや、一定の間隔で印刷ジョブ終了後のタイミングで行われることもあるが、連続印刷時の画像濃度を安定させる目的で、連続印刷される画像と画像との間に濃度検知パターンを作成し、これを検知して連続印刷ジョブ中に濃度調整制御を行う場合もある(特許文献1)。
【0003】
用紙対応性や画像位置精度を上げるために中間転写体を採用する中間転写方式の画像形成装置では、感光体上に形成した濃度検知パターンを中間転写体へ一次転写した後、中間転写体上の濃度検知パターンを検知して濃度調整制御を行う場合がある。中間転写方式の画像形成装置では、中間転写体と二次転写部材との間の二次転写領域に用紙を搬送し、中間転写体上の画像を用紙上に二次転写する。画像間に形成される濃度検知パターンは、画像が形成される用紙を濃度検知パターンを構成するトナーで汚さないように、二次転写領域において用紙と接触しないように作成される。そのため、濃度検知パターンが二次転写領域を通過するときに、二次転写領域には用紙が存在しないので、濃度検知パターンは、二次転写領域において中間転写体と対向している二次転写部材と接触することになり、二次転写部材が濃度検知パターンを構成するトナーで汚れてしまう。そのため、何らかの対策を施さないと、二次転写部材に付着したトナーが二次転写領域へ後から搬送されてくる用紙の裏面に付着し、用紙の裏汚れが生じてしまう。
【0004】
このような用紙裏汚れを防止し得る画像形成装置としては、二次転写領域の用紙搬送方向上流側で用紙の有無をセンサで検知し、センサが用紙無しを検知するたびに二次転写部材を中間転写体から離間させる画像形成装置が開示されている(特許文献2)。この画像形成装置によれば、用紙が二次転写領域に進入しているときだけ二次転写部材が中間転写体に接触するので、中間転写体上の画像間に付着したトナーが二次転写部材上に付着することはない。よって、中間転写体上の画像間に濃度検知パターンを形成しても、これが二次転写部材上に付着することがなく、濃度検知パターンによる用紙裏汚れを抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献2に開示の画像形成装置において連続印刷する場合、その連続印刷中の各用紙間では、常に二次転写部材の接離動作がなされることになる。そのため、連続印刷中のすべての用紙間において、先行紙の後端が二次転写領域を抜けてから後行紙の先端が二次転写領域へ到達するまでの用紙間通過時間内に、二次転写部材を中間転写体から離間させ、かつ、二次転写部材を中間転写体へ当接させるという一連の接離動作を完了しなければならない。
【0006】
一般に、画像形成装置においては、連続印刷における生産性向上ため、画像形成速度を速くしたり、用紙間距離を短くしたりすることが望まれるので、連続印刷中における用紙間通過時間はなるべく短く設定される。そのため、上記特許文献2に開示の画像形成装置では、連続印刷中のすべての用紙間における用紙間通過時間を、接離動作を完了できないほど短い時間には設定することができず、連続印刷における生産性を向上させることが困難であるという問題があった。
一方、用紙間通過時間を短く設定しようとして接離動作速度を上げると、接離動作時の振動が大きくなり、その振動が画像に悪影響を及ぼすおそれがある。よって、接離動作時の振動による画像への悪影響を考慮すると、用紙間通過時間を短く設定するにも限界がある。
【0007】
以上の説明は、中間転写体に対する二次転写部材の接離動作の例であったが、上記問題は、感光体や中間転写体などの像担持体と転写部材との間で用紙などの記録材を挟持して像担持体上のトナー像を記録材上に転写させる画像形成装置において、像担持体上に形成した濃度検知パターンによる裏汚れを抑制するために転写部材を接離動作させる場合には、同様に生じ得る問題である。したがって、例えば、感光体等の潜像担持体から中間転写体を介さずに記録材へ直接転写する直接転写方式の画像形成装置でも、同様に生じ得る問題である。
また、以上の説明では、濃度調整制御の目的でトナーパターン(濃度検知パターン)を画像間に作成したときの裏汚れに関して説明したが、記録材へは転写しない非転写トナーを像担持体上の画像間(トナー像間)に付着させたときに生じる裏汚れに関しても同様である。記録材へは転写しない非転写トナーを像担持体上の画像間(トナー像間)に付着させる例としては、例えば、現像装置内の劣化したトナーを新しいトナーに入れ替える目的で現像装置内のトナーを像担持体上の画像間に強制的に排出させる例が挙げられる。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、連続印刷中の画像間に付着させた非転写トナーによる記録材の裏汚れを防止するために転写部材を接離動作させる場合でも、連続印刷の生産性向上を図ることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像情報に応じたトナー像が形成される像担持体と、上記像担持体に対して対向配置される転写部材と、上記像担持体と上記転写部材とが対向する転写領域を記録材が通過するように搬送する記録材搬送部材と、上記転写部材と上記像担持体とを接離させる接離手段とを備え、上記接離手段により上記転写部材と上記像担持体とを接触させた状態で上記転写領域に記録材を通過させ、その転写領域で該像担持体上における画像情報に応じたトナー像を記録材上に転写することにより該記録材上に該画像情報に応じた画像を形成する画像形成装置において、3以上の記録材に対して連続して画像を形成する連続画像形成期間中に上記像担持体上に存在するトナー像間領域のうちの一部のトナー像間領域に、記録材へは転写しない非転写トナーを付着させる非転写トナー付着手段と、上記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写期間中は上記転写部材と該像担持体とを接触状態とし、かつ、上記非転写トナー付着手段により付着させた非転写トナーが上記転写領域を通過する非転写トナー通過期間中は該転写部材と該像担持体とを離間状態とするように、上記連続画像形成期間中における上記接離手段の接離動作を制御する接離制御手段とを有し、上記接離制御手段は、上記連続画像形成期間中に上記非転写トナーが付着していない像担持体上のトナー像間領域のうちの少なくとも1つのトナー像間領域が該転写領域を通過するとき、その直前の転写期間からその直後の転写期間までの間、上記接離手段による離間動作を行わずに上記転写部材と該像担持体との接触状態が維持されたままとなるように、該接離手段を制御することを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、連続画像形成期間中、像担持体上のトナー像間領域に非転写トナーを付着させるが、この非転写トナーが転写領域を通過する際には像担持体と転写部材とが離間状態となるので、転写部材が当該非転写トナーによって汚染されることはない。よって、転写部材上の非転写トナーが記録材の裏面に付着する裏汚れが発生しない。
また、本発明によれば、連続画像形成期間において、非転写トナーが付着していないトナー像間領域のうちの少なくとも1つのトナー像間領域が転写領域を通過するときには、転写部材と像担持体とが離間せず、接触状態が維持されたままとなる。よって、このトナー像間領域については、接離動作速度に制限されることなく、その転写領域通過時間を短く設定することが可能となる。したがって、すべてのトナー像間領域の転写領域通過時間が接離動作速度によって制限されていた従来装置と比較して、連続画像形成に要する時間を短縮することができ、連続印刷の生産性向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連続印刷中の画像間に付着させた非転写トナーによる記録材の裏汚れを防止するために転写部材を接離動作させる場合でも、連続印刷の生産性向上を図ることができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るカラー複写機の全体構成を示す説明図である。
【図2】同カラー複写機の中間転写ベルト上にトナーパッチが形成されている状態を示す説明図である。
【図3】(a)は、二次転写装置と中間転写ベルトとが接触状態であるときの構成例1に係る二次転写接離機構の構成及び動作を説明するための模式図であり、(b)は離間状態になるときの模式図である。
【図4】構成例1における接離動作の制御内容を示す説明図である。
【図5】(a)は、二次転写装置と中間転写ベルトとが接触状態であるときの構成例2に係る二次転写接離機構の構成及び動作を説明するための模式図であり、(b)は第1離間状態になるときの模式図であり、(c)は第2離間状態になるときの模式図である。
【図6】(a)は、二次転写装置と中間転写ベルトとが接触状態であるときの構成例3に係る二次転写接離機構の構成及び動作を説明するための模式図であり、(b)は第1離間状態になるときの模式図であり、(c)は第2離間状態になるときの模式図である。
【図7】制御例における二次転写装置の接離制御の流れを説明するためのフローチャートである。
【図8】構成例4における接離動作の制御内容を示す説明図である。
【図9】比較例における接離動作の制御内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す全体構成図であり、ここではその一例としてカラー複写機を示している。
このカラー複写機は、像担持体としての中間転写ベルト10を用いた中間転写方式でタンデム型の電子写真装置であり、最下部に給紙テーブル2を、その上方に複写機本体1を、さらにその上部にスキャナ3及び原稿自動給送装置(ADF)4がそれぞれ設けてある。
【0014】
複写機本体1には、ほぼ中央に無端状の中間転写ベルト10を備えた転写装置20が設けてあり、中間転写ベルト10は駆動ローラ9と従動ローラ15,16とにより張架され、図中時計回り方向に回転(表面移動)する。従動ローラ15の左方には、クリーニング装置17が設けられており、このクリーニング装置17によって画像転写後に中間転写ベルト10の表面に残留する残留トナーが除去されて、転写装置20による次回の画像形成に備えられる。
【0015】
駆動ローラ9と従動ローラ15との間に架け渡された中間転写ベルト10の直線状部分の上方には、中間転写ベルト10の表面移動方向に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つの画像形成部を構成する潜像担持体としてのドラム状感光体40Y,40M,40C,40K(以下、色分け場合には、色分け符号であるY、M、C、Kを省略する。)が設けられている。各感光体40は、それぞれ、図中反時計回り方向に回転可能に設けられており、その周囲には、公知の帯電装置60、現像装置61、一次転写手段を構成する一次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64がそれぞれ設けられている。また、感光体40の上方には露光装置21が設けられている。
【0016】
中間転写ベルト10の下側には、二次転写手段を構成する転写部材としての二次転写装置22が設けられている。この二次転写装置22が中間転写ベルト10を介して従動ローラ16に圧接するようになっている。そして、この二次転写装置22が、中間転写ベルト10との間に送り込まれる記録材としてのシートPに中間転写ベルト10上のトナー画像を一括転写する。
【0017】
二次転写装置22のシート搬送方向下流側には、シートP上に形成されたトナー画像を定着する定着装置25が設けられており、無端状の定着ベルト26に加圧ローラ27が圧接されており、画像転写後のシートPは、一対のローラ23,23間に架け渡された無端状の搬送ベルト24によって定着装置25へ搬送される。そして、この二次転写装置22の下側には、シート表裏両面に画像を形成する際にシートPを反転させるシート反転装置28が設けてある。
【0018】
上記のような構成からなるカラー複写機でカラーのコピーをとるときは、通常、原稿自動給送装置4の原稿台30上に原稿をセットするが、手動で原稿をセットする場合には、原稿自動給送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、この原稿を原稿自動給送装置4を閉じることによりコンタクトガラス32へ押圧する。そして、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動給送装置4に原稿をセットしたときは原稿が自動でコンタクトガラス32上に給送され、手動でコンタクトガラス32上にセットしたときは直ちにスキャナ3が作動し、第一走行体33及び第二走行体34が走行を開始する。これにより、第一走行体33の光源からの光が原稿に向けて照射され、原稿面からの反射光が第一走行体33のミラーにより第二走行体34の方向に反射され、さらに第二走行体34の一対のミラーにより180度方向を変えて結像レンズ35を通り読取りセンサ36に入射して原稿の内容が読み取られる。
【0019】
また、上述したスタートスイッチの押下により、中間転写ベルト10が回動を開始すると同時に各感光体40も回動を開始して、それぞれの感光体上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各単色トナー像が形成される。このようにして各感光体上に形成された各単色トナー像は、図中時計回り方向に回動する中間転写ベルト10上に重ね合わせて順次転写されてフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0020】
一方、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、ペーパバンク43内の選択された給紙カセット44からシートPが繰り出され、分離ローラ45により一枚に分離されて給紙路46に搬送される。繰り出されたシートPは搬送ローラ47により複写機本体1の給紙路48に搬送され、レジストローラ49に当接して一旦停止状態になる。なお、手差し給紙の場合には、手差しトレイ51上にセットされたシートPが給紙ローラ50の回転により繰り出され、分離ローラ52により一枚に分離されて手差し給紙路53に搬送され、レジストローラ49に当接して一旦停止状態になる。
【0021】
いずれの場合でも、レジストローラ49は中間転写ベルト10上のカラー画像に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、停止状態にあったシートPを中間転写ベルト10と二次転写装置22との間に送り込み、シートP上に上記の二次転写装置22によりカラー画像を転写する。カラー画像が転写されたシートPは、搬送ベルト24により、定着装置25へ搬送され、加熱、加圧されて転写画像が定着された後、切換爪55により排出側に案内され、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出されてスタックされる。
【0022】
なお、両面コピーモードが選択されている場合には、表面に画像を形成したシートPは切換爪55によりシート反転装置28側に搬送され、反転して再び転写位置へ導かれ、裏面に画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
また、ブラック単色画像を中間転写ベルト10上に形成する場合には、駆動ローラ9以外の従動ローラ15,16を移動させてイエロー、マゼンタ、シアンの感光体40Y,40M,40Cを中間転写ベルト10から離間させるようにしている。なお、図1に示したようなタンデム型でなく、感光体が一つしかない所謂1ドラム型の画像形成装置にあっては、ファーストコピー速度を早くするために、最初にブラック作像をするのが一般的であり、その後原稿がカラーの場合のみ残りの色の作像を行うようにしている。
【0023】
レジストローラ49は通常接地されて用いられることが多いが、シートPの紙粉除去のためにバイアスを印加することもできる。例えば径18mmで表面を厚さ1mmの導電性NBRゴムで被覆した導電性のゴムローラを用いてバイアスを印加する場合、ゴム材の体積抵抗は10Ω・cm程度であり、トナーを転写する側(表面側)に−800V程度の電圧を印加し、シート裏面側には+200V程度の電圧を印加する。一般的に中間転写方式では紙粉が感光体にまで移動しにくいため、紙粉転写を考慮する必要が少なく、アースになっていても差支えない。また、印加電圧として一般にDCバイアスが印加されているが、シートをより均一に帯電させるため、DCオフセット成分を持ったAC電圧を印加することも可能である。このようにバイアスを印加したレジストローラを通過した後のシート表面は、若干マイナス側に帯電しているため、中間転写ベルト10からシートPへの転写では、レジストローラに電圧を印加しなかった場合に比して転写条件が変わり、転写条件を変更する場合もある。
【0024】
また、本実施形態の複写機には、中間転写ベルト10上のトナー付着量(濃度)を検出するための付着量検知手段としてのトナー付着量センサ5が設けられている。今回使用したトナー付着量センサ5は、発光部に赤外発光ダイオード、拡散反射光受光部にフォトダイオードを使用し、受光量に応じた電圧を出力するタイプのものである。
【0025】
図2は、中間転写ベルト10上に濃度調整制御用のトナーパッチTPが形成されている状態を示しており、感光体40上に作像された濃度調整制御用パッチPが感光体40と中間転写ベルト10との接触位置である一次転写領域で、一次転写装置62により中間転写ベルト10上に転写され、中間転写ベルト10上に付着している状態である。濃度調整制御用のトナーパッチTPは、通常、各色について、互いに目標濃度が異なるように複数作成され、各トナーパッチTPのトナー付着量(トナー濃度)は中間転写ベルト10に対向して取り付けられたトナー付着量センサ5により検出される。トナーパッチのトナー付着量を検出する作業は、画像形成動作とは別のプロセスコントロールモード(濃度調整制御モード)において実施されるか、あるいは、連続画像形成期間中(連続印刷中)における中間転写ベルト上のトナー画像間領域(紙間領域)を利用して行われる。
【0026】
〔構成例1〕
以下、本実施形態の画像形成装置に用いられる、二次転写装置22を中間転写ベルト10に対して接離させる二次転写接離機構の一例(以下、本例を「構成例1」という。)について説明する。
図3は、本構成例1における二次転写接離機構70の構成及び動作を説明するための模式図である。なお、図3(a)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが接触状態であるときのものであり、図3(b)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが離間状態であるときのものである。
【0027】
本構成例1の二次転写接離機構70は、二次転写装置22に設けられたカム当接位置Sにカム面が当接するように配置されたカム部材としての接離カム71と、接離カム71を回転させる回転駆動手段としての図示しない駆動装置(接離モータ)とから構成されている。本構成例1では、接離カム71の回転軸71aから最も離れたカム面部分が二次転写装置22のカム当接位置Sに当接した状態となる回転位置に接離カム71が回転した状態で、図3(a)に示すように二次転写装置22と中間転写ベルト10とが接触状態となる。また、接離カム71の回転軸71aから最も近接したカム面部分が二次転写装置22のカム当接位置Sに当接した状態となる回転位置(図3(a)の回転位置から180度回転した位置)に接離カム71が回転した状態で、図3(b)に示すように二次転写装置22と中間転写ベルト10とが離間状態となる。接触状態から接離カム71を回転させるとき、二次転写装置22は、自重によって接離カム71のカム面に当節した状態が維持される。したがって、接触状態から接離カム71を回転させると、二次転写装置22は、回動軸22aを中心に図中時計回り方向へ回転し、図3(b)に示すように中間転写ベルト10から離間した状態になる。
【0028】
図4は、本構成例1における接離動作の制御内容を示す説明図であり、横軸を時間とし、シートP、トナー画像、トナーパッチTPが二次転写領域を通過するタイミングと、二次転写装置22の接離タイミングとを示している。
本構成例1においては、連続印刷中における所定のタイミングで中間転写ベルト10上のトナー画像間領域にトナーパッチTPを形成し、これをトナー付着量センサ5により検出してプロセスコントロール(濃度調整制御)を実行する。このときに中間転写ベルト10上に形成されるトナーパッチTPが二次転写領域を通過する際、二次転写領域にはシートPが存在しない。そのため、二次転写装置22が中間転写ベルト10に接触したままであると、トナーパッチTPが二次転写装置22に接触して付着し、その付着したトナーが後から二次転写領域に搬送されてくるシートP上に二次転写装置22から転移して、シートPの裏汚れが発生する。
【0029】
そのため、本構成例1では、図示しない制御部により接離カム71の接離モータを制御して図4に示すような接離制御を行い、トナーパッチTPが転写領域を通過しているパッチ通過期間(非転写トナー通過期間)中は二次転写装置22と中間転写ベルト10とを離間状態とする。
【0030】
具体的には、まず、図3(a)に示すように二次転写装置22と中間転写ベルト10とを接触状態にし、二次転写領域においてトナーパッチTPの作成直前のトナー画像を先行シートP1に二次転写する。その後、先行シートP1の後端が二次転写領域を抜けた後に、制御部は、接離カム71の接離モータを制御して接離カム71の回転を開始させる(図4中の時刻A)。このときの接離カム71の回転開始タイミングは、トナーパッチTPの先端が二次転写領域に進入する前に、接離カム71の半回転が完了して二次転写装置22と中間転写ベルト10とが図3(b)に示すような離間状態になるように(図4中の時刻B)、設定される。その後、トナーパッチTの後端が二次転写領域部を抜けた後に、制御部は、接離カム71の接離モータを制御して接離カム71の回転を開始させる(図4中の時刻C)。このときの接離カム71の回転開始タイミングは、後行シートP2の先端が二次転写領域に進入する前に、接離カム71の半回転が完了して二次転写装置22と中間転写ベルト10とが図3(a)に示すような接触状態になるように(図4中の時刻D)、設定される。
【0031】
〔構成例2〕
次に、本実施形態の画像形成装置に用いられる二次転写接離機構の他の例(以下、本例を「構成例2」という。)について説明する。
図5は、本構成例2における二次転写接離機構170の構成及び動作を説明するための模式図である。なお、図5(a)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが接触状態であるときのものであり、図5(b)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが第1離間状態であるときのものであり、図5(c)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが第2離間状態であるときのものである。
【0032】
本構成例2の二次転写接離機構170も、上記構成例1と同様に、接離カム171を回転させることで二次転写装置22と中間転写ベルト10とを接触させるものであるが、本構成例2では、二次転写装置22と中間転写ベルト10との間の離間距離D1,D2が異なる2つの離間状態(第1離間状態と第2離間状態)を得ることができる。具体的には、接離カム171の回転軸171aから最も離れたカム面部分が二次転写装置22のカム当接位置Sに当接した状態となる回転位置に接離カム71が回転した状態では、図5(a)に示すように、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが接触状態となる。また、接離カム171を接触状態とする回転位置から半回転(180度回転)させると、図5(b)に示すように二次転写装置22と中間転写ベルト10とが第1離間状態となる。また、接離カム171を接触状態とする回転位置から90度回転させると、図5(c)に示すように二次転写装置22と中間転写ベルト10とが第2離間状態となる。第1離間状態であるときに二次転写装置22のカム当接位置Sに当接する接離カム71のカム面部分と回転軸71aとの距離は、第2離間状態であるときに二次転写装置22のカム当接位置Sに当接する接離カム71のカム面部分と回転軸71aとの距離よりも長く設定されている。そのため、第1離間状態における離間距離D1は、第2離間状態における離間距離D2よりも短いものとなっている。
【0033】
本構成例2によれば、図5(a)〜(c)に示すいずれの状態からも、図5(a)〜(c)に示す他の状態へ二次転写装置22の接離状態を移行することが可能である。なお、本構成例2では、図5(a)に示す接触状態から接離カム171を180度回転させることで図5(b)が示す第1離間状態にすることができ、図5(a)に示す接触状態または図5(b)に示す第1離間状態から接離カム171を90度回転させることで、図5(c)に示す第2離間状態にすることができるカム形状を採用しているが、その形状はこれに限るものではない。
【0034】
〔構成例3〕
次に、本実施形態の画像形成装置に用いられる二次転写接離機構の更に他の例(以下、本例を「構成例3」という。)について説明する。
図6は、本構成例3における二次転写接離機構270の構成及び動作を説明するための模式図である。なお、図6(a)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが接触状態であるときのものであり、図6(b)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが第1離間状態であるときのものであり、図6(c)は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが第2離間状態であるときのものである。
【0035】
本構成例3の二次転写接離機構270は、上記構成例2と同様に、二次転写装置22と中間転写ベルト10との間の離間距離D1,D2が異なる2つの離間状態(第1離間状態と第2離間状態)を得ることができる。ただし、本構成例3の二次転写接離機構270は、2つの接離カム271A,271Bを用いて接離状態を移行させる点で、その構成が上記構成例2のものとは異なっている。
【0036】
具体的には、本構成例3の二次転写接離機構270は、第1接離カム271A、第2接離カム271B、揺動アーム272、圧縮バネ273から構成されている。第1接離カム271Aは、揺動アーム272の図中左側のカム当接端部に対して上方から当接するように配置されている。この揺動アーム272は、その他端部(図中右側の端部)が揺動支点272aとなって回動可能に構成されている。揺動アーム272の略中央部分には二次転写装置22のローラ軸22bの軸端部が下方から当接している。第1接離カム271Aが回転して揺動アーム272のカム当接端部を押し下げて揺動支点272aを中心に揺動アーム272を回動させると、二次転写装置22のローラ軸22bの軸端部が下方に押し下げられ、これにより二次転写装置22と中間転写ベルト10とが離間状態になる。
【0037】
一方、第2接離カム271Bは、二次転写装置22の底部に対して圧縮バネ273を介して下方から当接するように配置されている。圧縮バネ273が介在していることで、二次転写装置22は常に上方へ付勢された状態となる。よって、二次転写装置22のローラ軸22bによって揺動アーム272は常にカム当接端部を上方へ押し上げる向きに回動するように付勢され、その結果、揺動アーム272のカム当接端部は第1接離カム271Aのカム面に接触した状態が維持される。
【0038】
図6(a)に示す接触状態から、制御部により第1接離カム271Aを図示しない駆動装置(第1接離モータ)で半回転させることによって、揺動アーム272のカム当接端部が押し下げられると、揺動アーム272に当接する二次転写装置22のローラ軸22bも押し下げられ、図6(b)に示すように、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが第1離間状態になる。このとき、二次転写装置22は圧縮バネ273によって上方へ付勢されているが、そのローラ軸22bが揺動アーム272に当接することで、二次転写装置22の上下方向位置は図6(b)に示す高さに位置決めされる。
【0039】
図6(b)に示す第1離間状態から、制御部により第2接離カム271Bを図示しない駆動装置(第2接離モータ)で半回転させると、圧縮バネ273の下端が下がるので、圧縮バネ273の圧縮量が減少し、二次転写装置22を上方へ付勢する付勢力が減少する。これにより、二次転写装置22の自重を受けて圧縮バネ273の上端が下がり、図6(c)に示すように、二次転写装置22は、自重と圧縮バネ273の付勢力とのバランスが取れた高さに位置決めされる。その結果、図6(b)に示す第1離間状態よりも、二次転写装置22と中間転写ベルト10との離間距離が長い第2離間状態になる。
【0040】
〔制御例〕
次に、二次転写装置22の接離制御の一例について説明する。
なお、本制御例で説明する接離制御は、上記構成例2の二次転写接離機構170を用いることを前提としたものであるが、上記構成例1や上記構成例3で説明した二次転写接離機構あるいは更に別の構成を備えた二次転写接離機構であっても、その基本的な制御の流れは同様である。
【0041】
図7は、本制御例における二次転写装置22の接離制御の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、制御部に印刷ジョブが通知されたら(S1のYes)、シートPが二次転写領域に進入する前のタイミングで、接離カム171を90度回転して図5(c)に示す第2離間状態から図5(a)に示す接触状態にする(S2)。そして、当該シートPに対する印刷動作を開始する(S3)。その後、次に印刷すべき画像が無くこれが最後の印刷である場合には(S4のYes)、当該シートPの後端が二次転写領域を通過するのを待って(S10)、接離カム171を90度逆回転し、図5(a)に示す接触状態から図5(c)に示す第2離間状態にする(S11)。
【0042】
一方、次に印刷すべき画像が有る場合(S4のNo)、印刷している画像と次の画像との間にトナーパッチを作成するか否かを確認する(S5)。トナーパッチを作成しない場合には(S5のNo)、通常どおり、次の画像についての印刷動作を所定のタイミングで開始する。このとき、印刷している画像と次の画像との間の領域(画像間領域)が二次転写領域を通過する期間でも、二次転写装置22と中間転写ベルト10との接触状態が維持される。よって、この画像間領域の二次転写領域通過時間は、二次転写接離機構の接離動作速度に制限されずに、本カラー複写機において出来る限り短い時間に設定することができる。
【0043】
次の画像間でトナーパッチを作成する場合(S5のYes)、当該シートPの後端が二次転写領域を通過するのを待ってから(S6)、トナーパッチTPが二次転写領域に進入する前のタイミングで、接離カム171を180度回転させて図5(a)に示す接触状態から図5(b)に示す第1離間状態にする(S7)。その後、トナーパッチTPの後端が二次転写領域を通過するのを待って(S8)、次のシートPが二次転写領域に進入する前のタイミングで、接離カム171を180度逆回転し、図5(b)に示す第1離間状態から図5(a)に示す接触状態にする(S9)。その後、次の画像についての印刷動作を所定のタイミングで開始する。このとき、印刷している画像と次の画像との間の領域(画像間領域)に形成されているトナーパッチTPが二次転写領域を通過する期間は、二次転写装置22と中間転写ベルト10との第1離間状態が維持される。したがって、トナーパッチTPが二次転写装置22と接触することがなく、トナーパッチTPのトナーが二次転写装置22を介して以後のシートの裏面に付着する裏汚れが防止される。
【0044】
〔構成例4〕
次に、本実施形態の画像形成装置に用いられる二次転写接離機構の更に他の例(以下、本例を「構成例4」という。)について説明する。
【0045】
本構成例4では、二次転写装置22を中間転写ベルト10から離間している間は、二次転写バイアスを通常の印刷時とは逆極性のバイアス(プラス極性のバイアス)に切り替える構成とした。図8は、本構成例4における接離動作の制御内容を示す説明図であり、横軸を時間とし、シートP、トナー画像、トナーパッチTPが二次転写領域を通過するタイミングと、二次転写装置22の接離タイミングとを示している。
【0046】
なお、バイアス印加による中間転写ベルト10から用紙へのトナーパッチTPの転写は、従動ローラ16に中間転写ベルト10の裏側からトナーと同極性のバイアスを印加する方法と、二次転写装置22に用紙の裏側からトナーと逆極性のバイアスを印加する方法とが一般的に用いられている。バイアス印加方法はどちらかに限定するものではないが、本構成例4では従動ローラ16にトナーと同極性のマイナスバイアスを印加する構成とした。
【0047】
本構成例4における二次転写バイアスの切り替えは、まず、用紙後端が二次転写装置22と中間転写ベルト10との二次転写領域を抜けた後に、二次転写バイアスをマイナスからプラスに切り替える(図8中の時刻A)。すると、トナーパッチTPが二次転写領域に入力されるときには二次転写バイアスがプラスになっている(図8中の時刻B)。次に、トナーパッチTPが二次転写領域を抜けた後に、二次転写バイアスをプラスからマイナスに切り替える(図8中の時刻C)。そして、次の用紙先端が二次転写領域に入力される前に二次転写バイアスが通常出力になっているようにする(図8中の時刻D)。
【0048】
次に比較例として、二次転写装置22を中間転写ベルト10から離間する際、二次転写バイアスを逆極性のバイアス(プラス極性のバイアス)に切り替えるのではなく、出力をオフにした場合について説明する。図9は、比較例における接離動作の制御内容を示す説明図であり、横軸を時間とし、シートP、トナー画像、トナーパッチTPが二次転写領域を通過するタイミングと、二次転写装置22の接離タイミングとを示している。
【0049】
比較例における二次転写バイアスの切り替えは、まず、用紙後端が二次転写領域を抜けた後に、二次転写バイアスをオフにする(図9中の時刻A)。すると、トナーパッチTPが二次転写領域に入力されるときに、二次転写バイアスが0まで落ちきらない場合がある(図9中の時刻B)。次に、トナーパッチTPが二次転写領域を抜けた後、二次転写バイアスをオンにする(図9中の時刻C)。そして、次の用紙先端が二次転写領域に入力される前に二次転写バイアス切り替えが完了しているようにする(図9中の時刻D)。
【0050】
比較例のような二次転写バイアスの切り替えを行うと、電源の性能にもよるが、本構成例4のような逆極性のバイアスに切り替える場合と比べて、二次転写バイアスが0になるまでに時間がかかりやすく、図9中の時刻Bのように、トナーパッチTPが二次転写領域に入力されるときに二次転写バイアスが0まで落ちきらない場合がある。この場合、中間転写ベルト10と二次転写手段22との間の電位差によってトナーが二次転写装置22の方向に力を受け、トナーが二次転写装置22に飛翔して汚してしまうといった問題が生じ得る。
【0051】
これに対して、本構成例4のように用紙間で二次転写装置22を中間転写ベルト10から離間している間は、二次転写バイアスを通常とは逆極性に切り替えることで、中間転写ベルト10上のトナーパッチTPに加わる電界による力が、二次転写装置22とは逆方向に働く。これにより、中間転写ベルト10上から二次転写装置22に向かってトナーが飛翔し難くなり、二次転写装置22のトナー汚れを抑制することができる。また、電源性能にもよるが、二次転写バイアスが逆極性バイアスに切り替わるには多少時間がかかるが、比較例のような二次転写バイアスをオフにする場合に比べて、図8中の時刻Bのように、二次転写装置22と中間転写ベルト10との電位差が0になるのを早くすることができる。
【0052】
ここで、二次転写バイアスは、用紙や二次転写装置22などの抵抗が変化しても転写電界を一定に保つため、定電流制御することが一般的に行われている。しかしながら、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが離間しているときに二次転写バイアスを逆極性に切り替える場合、二次転写装置22と中間転写ベルト10とが離間していることで電流が流れ難くなったり、流れなくなったりする。そのため、二次転写装置22と中間転写ベルト10とを離間している間に印加する逆極性の二次転写バイアスが定電流制御されていると、所定の電流が流れるようにするため電圧が非常に大きくなり、別の場所に電流がリークして画像を乱したり装置を損傷したりするおそれがある。
【0053】
一方、本構成例4では、二次転写装置22と中間転写ベルト10とを離間している間に印加する逆極性の二次転写バイアスを定電圧制御している。これにより、上述したような電圧の異常上昇に伴う不具合を抑制することができるとともに、中間転写ベルト10上から二次転写装置22へのトナーの飛翔を抑えることができる。
【0054】
以上、本実施形態に係るカラー複写機は、画像情報に応じたトナー像が形成される像担持体としての中間転写ベルト10と、中間転写ベルト10に対して対向配置される転写部材としての二次転写装置22と、中間転写ベルト10と二次転写装置22とが対向する二次転写領域を記録材としてのシートPが通過するように搬送する記録材搬送部材としてのレジストローラ49と、二次転写装置22と中間転写ベルト10とを接離させる接離手段としての二次転写接離機構70,170,270とを備え、二次転写接離機構70,170,270により二次転写装置22と中間転写ベルト10とを接触させた状態で二次転写領域にシートPを通過させ、その二次転写領域で中間転写ベルト10上における画像情報に応じたトナー像をシートP上に転写することによりシートP上に画像情報に応じた画像を形成する画像形成装置である。このカラー複写機は、3枚以上のシートPに対して連続して画像を形成する連続印刷時に中間転写ベルト10上に存在するトナー像間領域(画像間領域)のうちの一部の画像間領域に、シートPへは転写しない非転写トナーであるトナーパッチTPを付着させる。また、接離制御手段としての制御部は、その連続印刷時において、中間転写ベルト10上のトナー像をシートP上に転写する転写期間中は二次転写装置22と中間転写ベルト10とを接触状態とし、かつ、トナーパッチTPが二次転写領域を通過する期間中は二次転写装置22と中間転写ベルト10とを離間状態とするように、二次転写接離機構70,170,270を制御する。これにより、本実施形態では、二次転写装置22がトナーパッチTPのトナーによって汚染されることはなく、トナーパッチTPのトナーが二次転写装置22を介してシートPの裏面に付着する裏汚れが発生することがない。また、本実施形態の制御部は、その連続印刷時において、トナーパッチTPが付着していない中間転写ベルト10上の画像間領域のうちの少なくとも1つの画像間領域が二次転写領域を通過するときには、その直前の転写期間からその直後の転写期間までの間、二次転写接離機構70,170,270による離間動作を行わずに二次転写装置22と中間転写ベルト10との接触状態を維持したままとする。これにより、本実施形態によれば、連続印刷時において、接触状態が維持されたままとなる画像間領域については、接離動作速度に制限されることなく、その画像間領域の転写領域通過時間を短く設定できる。したがって、すべての画像間領域の転写領域通過時間が接離動作速度によって制限されていた従来装置と比較して、連続印刷に要する時間を短縮することができ、連続印刷の生産性向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、実際に、接触状態が維持されたままとなる画像間領域の転写領域通過時間が、トナーパッチTPが付着する画像間領域の転写領域通過時間よりも短くなるように設定されているので、連続印刷に要する時間が短縮され、連続印刷の生産性が向上している。
また、上記構成例2及び3において、二次転写接離機構170,270は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とを離間状態とするときの二次転写装置22と中間転写ベルト10との離間距離D1,D2が互いに異なる2以上の離間動作を行うものであり、制御部は、連続印刷期間外の所定のタイミング、具体的には連続印刷終了直後のタイミングでも、二次転写装置22と中間転写ベルト10とを接離させるように二次転写接離機構70,170,270を制御する。そして、制御部は、トナーパッチTPの転写領域通過期間中に二次転写装置22と中間転写ベルト10とを離間状態にするときは、連続印刷終了直後のタイミングに離間状態とするときよりも、二次転写装置22と中間転写ベルト10との離間距離が短くなるように、二次転写接離機構70,170,270を離間動作させる。これにより、トナーパッチTPの転写領域通過期間中における離間状態が連続印刷終了直後のタイミングにおける離間状態と同じである場合よりも、接離動作速度を速めることができる。よって、連続印刷に要する時間が更に短縮でき、連続印刷の生産性が更に向上する。しかも、本実施形態では、連続印刷終了直後のタイミングで、現像装置61内の劣化したトナーを新しいトナーに入れ替えるために現像装置61内のトナーを強制的に排出し、その強制排出トナーを各感光体40から中間転写ベルト10上へ転移させ、中間転写ベルト10用のクリーニング装置17によって回収する。このときに中間転写ベルト10へ付着する強制排出トナーの量は、トナーパッチTPのトナー量よりもかなり多い。よって、二次転写装置22へのトナーパッチTPの付着と接離動作速度の向上とを両立するためにトナーパッチTPの転写領域通過時の離間距離を短いものとする場合、強制排出トナーの転写領域通過時の離間距離もこれと同じ設定にすると、二次転写装置22にトナーが付着するおそれがある。上記構成例2及び3によれば、二次転写装置22へのトナーパッチTPの付着と接離動作速度の向上とを両立させつつも、連続印刷終了直後の強制排出トナーが二次転写装置22に付着するのを抑制できる。
また、上記構成例2及び3において、二次転写接離機構170,270は、二次転写装置22と中間転写ベルト10とを第1離間状態又は第2離間状態から接触状態へ移行する接触動作の際、いずれの離間状態からも1回の動作で接触状態へ移行し、かつ、接触状態から第1離間状態又は第2離間状態へ移行する離間動作の際、いずれの離間状態へも1回の動作で移行するように構成されている。よって、上記構成例2及び3における二次転写接離機構170,270を簡易な構成で実現できる。
特に、上記構成例2及び3の二次転写接離機構170,270は、二次転写装置22に設けられたカム当接位置Sにカム面が当接するように配置されたカム部材としての接離カム171,271A,271Bと、接離カム171,271A,271Bを所定の回転位置へ回転させる回転駆動手段としての接離モータとで構成されている。この構成により、上記構成例2及び3における二次転写接離機構170,270が簡易な構成で実現される。
また、本実施形態において、制御部は、特定の記録材である厚紙シートに画像を形成するとき、厚紙シートの先端が二次転写領域に進入する前に、二次転写装置22と中間転写ベルト10とをトナーパッチTPの転写領域通過期間中の離間状態と同じ離間状態にし、厚紙シートの先端が二次転写領域に進入した後に二次転写装置22と中間転写ベルト10とを接触状態にする。二次転写装置22と中間転写ベルト10とが接触状態にある二次転写領域に、厚紙シートのようなコシの強いシートが進入する際には、そのシート先端が二次転写領域の入口に衝突するときの振動が大きく、この振動が中間転写ベルト10に伝わって画質劣化のおそれがある。本実施形態によれば、厚紙シートが二次転写領域に進入する際に二次転写装置22と中間転写ベルト10とが離間した状態であるので、厚紙シートの先端が二次転写領域の入口に衝突する事態が発生しない。よって、その衝突による振動が中間転写ベルト10に伝わって画質劣化が発生するのを防止することができる。
また、本実施形態では、連続印刷中の画像間領域に形成するトナーパッチTPは、濃度調整制御用のトナーパターンであり、そのトナーパターンのトナー付着量をトナー付着量検知手段としてのトナー付着量センサ5で検出し、その検出結果に基づいて画像の濃度調整制(プロセスコントロール)を実行する。これにより、連続印刷中の画像濃度を安定させることができる。しかも、そのトナーパターンによる裏汚れは発生しない。
特に、本実施形態のカラー複写機は、複数の潜像担持体である感光体40Y,40M,40C,40K上に形成した各色トナー像を中間転写体である中間転写ベルト10上に互いが重なり合うように転写した後、その重なり合ったトナー像を二次転写領域でシートP上に転写する中間転写方式のタンデム型画像形成装置である。そして、各感光体40Y,40M,40C,40K上に各色のトナーパターンを形成して各色トナーパターンを中間転写ベルト10上の単一の画像間領域に転写させる。よって、連続印刷中にトナーパターンが形成される画像間領域の数が減る結果、転写領域通過時間を短くすることが可能である画像間領域(トナーパターンが形成されない画像間領域)の数が増え、当該連続印刷における生産性を更に向上させることができる。
このとき、各色のトナーパターンを個別に検知するように、トナー付着量センサ5を色ごとに設けるのが好ましい。複数色のトナーパターンを1つのトナー付着量センサ5で検知する構成では、そのトナー付着量センサ5の検知領域を通るように、中間転写ベルト10の表面移動方向に沿って全トナーパターンを並べて形成する必要がある。この場合、画像間領域の中間転写ベルト表面移動方向長さが不足して、画像間領域の中間転写ベルト表面移動方向長さを長くする必要が生じる場合があり、この場合、その画像間領域の転写領域通過時間が長くなって生産性が落ちる。一方、色ごとにトナー付着量センサ5を設ければ、各色のトナーパターンをそれぞれのトナー付着量センサ5の検知領域を通るように、中間転写ベルト10の表面移動方向に対して直交する方向(ベルト幅方向)に沿って各色トナーパターンを並べて形成することができる。この場合、複数色のトナーパターンを1つのトナー付着量センサ5で検知する構成と比較して、画像間領域の中間転写ベルト表面移動方向長さを短くすることができるので、生産性が落ちることはない。
また、上記構成例4において、中間転写ベルト10上のトナーパッチTPが二次転写領域を通過する転写領域通過時間において、二次転写装置22を中間転写ベルト10から離間している間は、二次転写バイアスを通常の印刷時とは逆極性のバイアスに切り替える。これにより、中間転写ベルト10上から二次転写装置22に向かってトナーが飛翔し難くなり、二次転写装置22のトナー汚れを抑制することができる。
また、上記構成例4において、二次転写装置22と中間転写ベルト10とを離間している間に印加する逆極性の二次転写バイアスは、定電圧制御を行うことでトナーの二次転写装置22への飛翔を抑えるとともに、電圧の異常上昇に伴う不具合を抑制することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 複写機本体
2 給紙テーブル
3 スキャナ
4 原稿自動給送装置
5 トナー付着量センサ
10 中間転写ベルト
17 クリーニング装置
22 二次転写装置
22a 回動軸
22b ローラ軸
40 感光体
60 帯電装置
61 現像装置
62 一次転写装置
70,170,270 二次転写接離機構
71,171,271A,271B 接離カム
272 揺動アーム
272a 揺動支点
273 圧縮バネ
P シート
TP トナーパッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2001−305823号公報
【特許文献2】特許第3460425号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に応じたトナー像が形成される像担持体と、
上記像担持体に対して対向配置される転写部材と、
上記像担持体と上記転写部材とが対向する転写領域を記録材が通過するように搬送する記録材搬送部材と、
上記転写部材と上記像担持体とを接離させる接離手段とを備え、
上記接離手段により上記転写部材と上記像担持体とを接触させた状態で上記転写領域に記録材を通過させ、その転写領域で該像担持体上における画像情報に応じたトナー像を記録材上に転写することにより該記録材上に該画像情報に応じた画像を形成する画像形成装置において、
3以上の記録材に対して連続して画像を形成する連続画像形成期間中に上記像担持体上に存在するトナー像間領域のうちの一部のトナー像間領域に、記録材へは転写しない非転写トナーを付着させる非転写トナー付着手段と、
上記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写期間中は上記転写部材と該像担持体とを接触状態とし、かつ、上記非転写トナー付着手段により付着させた非転写トナーが上記転写領域を通過する非転写トナー通過期間中は該転写部材と該像担持体とを離間状態とするように、上記連続画像形成期間中における上記接離手段の接離動作を制御する接離制御手段とを有し、
上記接離制御手段は、上記連続画像形成期間中に上記非転写トナーが付着していない像担持体上のトナー像間領域のうちの少なくとも1つのトナー像間領域が該転写領域を通過するとき、その直前の転写期間からその直後の転写期間までの間、上記接離手段による離間動作を行わずに上記転写部材と該像担持体との接触状態が維持されたままとなるように、該接離手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記接触状態が維持されたままとなる上記少なくとも1つのトナー像間領域が上記転写領域を通過する時間は、上記非転写トナー付着手段により非転写トナーが付着するトナー像間領域が該転写領域を通過する時間よりも短いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記接離手段は、上記転写部材と上記像担持体とを離間状態とするときの該転写部材と該像担持体との離間距離が互いに異なる2以上の離間動作を行うものであり、
上記接離制御手段は、連続画像形成期間外の所定のタイミングでも上記転写部材と上記像担持体とを接離させるように上記接離手段を制御するものであって、上記非転写トナー通過期間中に該転写部材と該像担持体とを離間状態にするときは、該所定のタイミングに離間状態とするときよりも、該転写部材と該像担持体との離間距離が短くなるように、上記接離手段を離間動作させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記接離手段は、上記転写部材と上記像担持体とを上記2以上の離間動作によるそれぞれの離間状態から接触状態へ移行する接触動作の際、いずれの離間状態からも1回の動作で接触状態へ移行し、かつ、接触状態からそれぞれの離間状態へ移行する離間動作の際、いずれの離間状態へも1回の動作で移行するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記接離手段は、上記転写部材に設けられたカム当接位置にカム面が当接するように配置されたカム部材と、該カム部材を所定の回転位置へ回転させる回転駆動手段とで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5の画像形成装置において、
上記接離制御手段は、特定の記録材に画像を形成するとき、該特定の記録材の先端が上記転写領域に進入する前に、上記転写部材と上記像担持体とを上記非転写トナー通過期間中の離間状態と同じ離間状態にし、かつ、該特定の記録材の先端が該転写領域に進入した後に該転写部材と該像担持体とを接触状態にするように、上記接離手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記非転写トナー付着手段は、上記非転写トナーとして濃度調整制御用のトナーパターンを形成するものであり、
上記トナーパターンを構成する複数のトナーパッチにそれぞれ付着するトナー付着量を検知するためのトナー付着量検知手段と、
上記トナー付着量検知手段の検知結果に基づいて画像の濃度調整制御を実行する濃度調整制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
複数の潜像担持体上に形成した各トナー像を上記像担持体である中間転写体上に互いが重なり合うように転写した後、その重なり合ったトナー像を上記転写領域で記録材上に転写するものであり、
上記非転写トナー付着手段は、各潜像担持体上に上記トナーパターンを形成して各トナーパターンを上記中間転写体上の単一のトナー像間領域に転写させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記トナー付着量検知手段は、各潜像担持体に対応したトナーパターンを個別に検知する複数のセンサで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記非転写トナー付着手段により付着させた非転写トナーが上記転写領域を通過する非転写トナー通過期間中において、上記転写部材を上記像担持体から離間している間は、転写バイアスを通常の印刷時とは逆極性のバイアスに切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
上記転写部材を上記像担持体から離間している間に印加する上記転写バイアスは定電圧制御されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−198496(P2012−198496A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212692(P2011−212692)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】