説明

画像形成装置

【課題】記録媒体に汚れが発生するのを抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置は、感光体1と、中間転写ベルト6と、1次転写ローラー7および電圧印加部7aと、2次転写ローラー8および電圧印加部8aと、濃度センサー18とを備えている。そして、感光体1にトナーが強制的に排出されたとき、濃度センサー18は、中間転写ベルト6のうち、感光体1に強制的に排出されたトナーと接した領域のトナー濃度の測定を行い、電圧印加部8aは、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、2次転写ローラーに電圧を印加して2次転写ローラー8をクリーニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、現像装置から像担持体に形成された静電潜像にトナーを供給することで像担持体にトナー像を担持させ、そのトナー像を1次転写部材によって像担持体から中間転写体に転写した後に、2次転写部材によって中間転写体から記録媒体にトナー像を転写するようにしたものが知られている。なお、トナー像となるトナーは、現像装置内に収容されており、現像装置内で攪拌などされることによって帯電される。
【0003】
この従来の構成では、たとえば、現像装置から像担持体へのトナーの供給量、すなわち、現像装置内に収容されたトナーの消費量が少ない場合、劣化したトナー(たとえば、帯電量が過剰に上昇したトナー)が増加し、現像装置内において劣化したトナーの比率が高くなることがある。なお、トナーは劣化するほど消費され難くなり(飛翔し難くなり)、現像装置内に蓄積され易くなる。
【0004】
そこで、従来では、現像装置内のトナーを所定の時期に強制的に中間転写体に排出し、その後、中間転写体をクリーニングすることによって、現像装置内における劣化したトナーの比率を低くするようにした構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−15380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の提案された構成では、多くのトナーが中間転写体から2次転写部材に移り付いてしまう。そして、2次転写部材に多くのトナーが付着すると、記録媒体が通過したとき、2次転写部材から多くのトナーが記録媒体の裏面に移り付き、目立つほどの汚れとなる場合がある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、記録媒体に汚れが発生するのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体を含む画像形成部と、所定方向に循環移動する中間転写体と、像担持体から中間転写体にトナー像を転写する1次転写部材と、1次転写部材に電圧を印加する第1電圧印加部と、中間転写体から記録媒体にトナー像を転写する2次転写部材と、2次転写部材に電圧を印加する第2電圧印加部と、中間転写体に付着したトナーの濃度を検出するための検出部材と、を備えている。そして、記録媒体に転写するトナー像を像担持体に担持させないタイミングで、画像形成部が像担持体にトナーを強制的に排出したとき、第1電圧印加部は、像担持体に強制的に排出されたトナーが中間転写体に付着しないように1次転写部材に電圧を印加するとともに、検出部材は、中間転写体のうち、像担持体に強制的に排出されたトナーと接した領域のトナー濃度の測定を行い、第2電圧印加部は、検出部材で測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、2次転写部材に電圧を印加して2次転写部材をクリーニングする。
【0009】
本発明の構成によれば、像担持体にトナーを強制的に排出したとき、第1電圧印加部は、像担持体に強制的に排出されたトナーを中間転写体に付着させないようにする。しかし、中間転写体の経年劣化による表面の荒れや、劣化したトナーの特性により、像担持体に強制的に排出されたトナーが中間転写体に付着してしまうことがある。このような、像担持体に強制的に排出されたトナーが中間転写体に付着し、そのトナーが中間転写体から2次転写部材に移り付いて記録媒体の裏面を汚す可能性が高いとき、2次転写部材がクリーニングされる。これにより、2次転写部材に多くのトナーが付着したままで、2次転写部材による中間転写体から記録媒体へのトナー像の転写が行われることはない。その結果、記録媒体が汚れるのを抑制することができる。
【0010】
上記の構成において、中間転写体から記録媒体にトナー像を転写するとき、第2電圧印加部は、転写電圧を2次転写部材に印加し、検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、第2電圧印加部は、転写電圧および転写電圧とは逆極性の非転写電圧のうちの少なくとも一方を2次転写部材に印加することが好ましい。このように構成すれば、2次転写部材に付着したトナーを2次転写部材から中間転写体に移動させることができる。すなわち、2次転写部材のクリーニングが容易になる。
【0011】
また、検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、第2電圧印加部は、転写電圧および転写電圧とは逆極性の非転写電圧を交互に2次転写部材に印加することがより好ましい。なお、劣化したトナーの中には、本来の帯電極性とは逆極性に帯電してしまうものもある。したがって、第2電圧印加部が転写電圧および非転写電圧を交互に2次転写部材に印加すれば、2次転写部材に付着したトナーがどのような極性であったとしても、2次転写部材から中間転写体にトナーを移動させることができる。すなわち、容易に、かつ、良好に、2次転写部材のクリーニングがなされる。
【0012】
上記の構成において、記録媒体が収容される領域から2次転写部材の設置領域に至る搬送路にレジストローラー対をさらに備え、そのレジストローラー対が記録媒体を2次転写部材の設置領域に搬送することによって、2次転写部材が中間転写体から記録媒体にトナー像を転写し、検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、レジストローラー対は、記録媒体の搬送を停止することが好ましい。このように構成すれば、複数の記録媒体を所定の間隔を設けて搬送することで連続印刷している途中であったとしても、記録媒体に汚れが発生するのを抑制することができる。
【0013】
上記の構成において、中間転写体のうち、記録媒体に転写するトナー像が像担持体から転写される領域を第1領域とし、像担持体に強制的に排出されたトナーと接する領域を第2領域とすると、第1領域が互いに所定の間隔を隔てて複数並ぶ場合(言い換えると、複数の記録媒体を所定の間隔を設けて搬送して連続印刷する場合)には、それら複数の第1領域のうちの隣接する第1領域の間の領域が第2領域とされることが好ましい。このように構成すれば、複数の記録媒体を所定の間隔を設けて搬送して連続印刷する場合に、像担持体に強制的に排出されたトナーが中間転写体に付着したとしても、その中間転写体のトナーが付着した領域は第1領域(記録媒体に転写するトナー像が像担持体から転写される領域)とは異なる第2領域であるので、中間転写体の第1領域に意図しないトナー像が転写されることはない。
【0014】
そして、仮に、中間転写体の第2領域に所定値以上の濃度でトナーが付着し、それによって2次転写部材に多くのトナーが付着したとしても、2次転写部材がクリーニングされる。すなわち、2次転写部材に多くのトナーが付着したままで、2次転写部材による中間転写体から記録媒体へのトナー像の転写が行われることはない。
【0015】
上記の構成において、像担持体が複数設けられており、それら複数の像担持体のすべてが検出部材に対して中間転写体の移動方向における上流側に配置されていることが好ましい。このように構成すれば、検出部材の設置数は1つで済む。これにより、部品点数の増加を抑制することができる。
【0016】
上記の構成において、画像形成部は、像担持体にトナーを強制的に排出するとき、前回のトナー強制排出時に検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上であった場合には、像担持体のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度を前回のトナー強制排出時よりも低くすることが好ましい。このように構成すれば、前回のトナー強制排出時よりも後のトナー強制排出時においては、像担持体のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度が前回のトナー強制排出時よりも低くなるので、像担持体に強制的に排出したトナー(像担持体のうちの担持領域で担持するトナー)の中間転写体への付着そのものを抑制することができる。すなわち、検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上になる(2次転写部材をクリーニングしなければならない状態になる)のを抑制することができる。したがって、クリーニング動作に入る回数(画像形成動作を止める回数)が減り、画像形成動作を効率的に行うことができる。
【0017】
上記の構成において、画像形成部は、像担持体にトナーを強制的に排出するとき、前回のトナー強制排出時に検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上であった場合には、像担持体に強制的に排出するトナーの量を前回のトナー強制排出時よりも減少させずに、像担持体のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積を前回のトナー強制排出時よりも大きくすることが好ましい。このように、像担持体のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積を前回のトナー強制排出時よりも大きくすれば、像担持体に強制的に排出するトナーの量を前回のトナー強制排出時よりも減少させなかったとしても、像担持体のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度が前回のトナー強制排出時よりも低くなる。したがって、強制的に排出するトナー(劣化したトナー)の排出効率が前回のトナー強制排出時よりも低下することはない。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、記録媒体に汚れが発生するのを抑制することが可能な画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の全体構成を示した概略図
【図2】本発明の一実施形態による画像形成装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図3】図1に示した画像形成装置に備えられる画像形成部の概略図
【図4】複数の記録媒体を所定の間隔で搬送して連続印刷するときの状態を模式的に表した図
【図5】複数の記録媒体を所定の間隔で搬送して連続印刷するときの状態を模式的に表した図
【図6】複数の記録媒体を所定の間隔で搬送して連続印刷するときの状態を模式的に表した図
【図7】本発明の一実施形態による画像形成装置の動作を説明するためのフローチャート
【図8】本発明の一実施形態による画像形成装置に備えられる2次転写部材への印加電圧の切り替え動作を説明するための波形図
【図9】本発明の一実施形態による画像形成装置の動作を説明するためのフローチャート
【図10】複数の記録媒体を所定の間隔で搬送して連続印刷するときの状態を模式的に表した図
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置100の全体構成について説明する。
【0021】
この画像形成装置100はタンデム方式のカラーレーザープリンターであって、互いに異なる4色(シアン、マゼンダ、イエローおよびブラック)の画像をそれぞれ形成する4つの画像形成部101aを少なくとも備えている。4つの画像形成部101a(具体的には、後述する現像装置3)のそれぞれには、シアン、マゼンダ、イエローおよびブラックの各色のトナーが充填されている。
【0022】
4つの画像形成部101aのそれぞれは、感光体1、帯電装置2、現像装置3およびクリーニング装置4などを含んでいる。
【0023】
感光体1は、図1中の矢印方向に回転可能に支持されている。帯電装置2は、感光体1の下方側に配置され、感光体1と対向している。現像装置3は、感光体1の回転方向における帯電装置2の下流側に配置され、感光体1と対向している。クリーニング装置4は、感光体1を挟んで現像装置3の反対側(感光体1の回転方向における現像装置3の下流側)に配置され、感光体1と対向している。
【0024】
また、4つの画像形成部101aの下方側には、4つの画像形成部101aに共通で使用される露光部101bが設置され、4つの画像形成部101aの上方側には、4つの画像形成部101aに共通で使用される中間転写部101cが設置されている。
【0025】
露光部101bとしての露光装置5は、レーザー光源、ポリゴンミラー、レンズおよび反射ミラーなどからなっている。このうち、レンズおよび反射ミラーを1つずつ含む光学素子群が4つの感光体1のそれぞれに1組ずつ割り当てられている。そして、レーザー光源からレーザー光が発せられたときに、ポリゴンミラー、レンズおよび反射ミラーを介して、レーザー光が感光体1の外周面を照射するようになっている。なお、感光体1の外周面におけるレーザー光の照射位置としては、感光体1の回転方向における現像装置3の上流側(帯電装置2の下流側)である。
【0026】
中間転写部101cは中間転写ベルト6を少なくとも含んでおり、その中間転写ベルト6は、駆動ローラー6a、従動ローラー6bおよびテンションローラー6cによって張架されている。駆動ローラー6aは図1中の矢印方向に回転駆動されるようになっており、駆動ローラー6aが回転駆動されることによって、中間転写ベルト6が図1中の矢印方向に循環移動される。
【0027】
さらに、中間転写ベルト6の内側には、1次転写ローラー7が設けられている。この1次転写ローラー7の設置数は4つとされ、4つの感光体1のそれぞれに1つずつ割り当てられている。そして、1次転写ローラー7は、感光体1との間で中間転写ベルト6を挟み込んでいる。さらに、1次転写ローラー7には電圧印加部7a(図3参照)が接続されており、転写電圧(直流電圧、あるいは、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)および転写電圧とは逆極性の非転写電圧が1次転写ローラー7に印加されるようになっている。
【0028】
中間転写ベルト6の駆動ローラー6a側には、2次転写ローラー8が設けられている。この2次転写ローラー8は、駆動ローラー6aとの間で中間転写ベルト6を挟み込んでいる。さらに、2次転写ローラー8には電圧印加部8a(図3参照)が接続されており、転写電圧(直流電圧、あるいは、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)および転写電圧とは逆極性の非転写電圧が2次転写ローラー8に印加されるようになっている。
【0029】
また、中間転写ベルト6の従動ローラー6b側には、ベルトクリーニング装置9が設けられている。
【0030】
これら各構成部材は、コンピューター200(図2参照)から文字や絵柄などの画像データがユーザーにより入力されることによって画像形成動作を開始する。すなわち、コンピューター200から文字や絵柄などの画像データがユーザーにより入力されると、感光体1が回転し、帯電装置2によって感光体1の外周面が一様に帯電させられる。この後、画像データに基づいて露光装置5が駆動され、レーザー光が感光体1の外周面に照射される。これにより、画像データに基づいた静電潜像が感光体1の外周面に形成される。
【0031】
続いて、現像装置3から感光体1に形成された静電潜像にトナーが供給されることで、そのトナーが感光体1の外周面に静電的に付着する。すなわち、静電潜像に応じたトナー像が感光体1の外周面に担持された状態となる。
【0032】
そして、感光体1の外周面のトナー像は、1次転写ローラー7に転写電圧が印加されることによって、中間転写ベルト6の表面に転写される。この中間転写ベルト6に対するトナー像の転写は、4つの感光体1のそれぞれにおいて、中間転写ベルト6の移動速度に応じて順次行われる。したがって、シアン、マゼンダ、イエローおよびブラックのそれぞれのトナー像が中間転写ベルト6の表面において重ね合わされる。すなわち、中間転写ベルト6の表面には、フルカラートナー像が形成される。また、同時に、感光体1の外周面に残留した不要物(残留トナーなど)がクリーニング装置4によって除去され、さらに、感光体1の外周面の残留電荷が除去される。
【0033】
中間転写ベルト6の表面のフルカラートナー像が駆動ローラー6aと2次転写ローラー8との間に進入したとき、中間転写ベルト6と2次転写ローラー8との間に用紙Pが搬送される。そして、2次転写ローラー8に転写電圧が印加されることによって、中間転写ベルト6の表面のフルカラートナー像が用紙Pに転写される。その後、ベルトクリーニング装置9によって、中間転写ベルト6の表面に残存するトナーが除去される。
【0034】
フルカラートナー像が転写される以前の用紙Pは、装置内部の下方側に設置された給紙部101dとしての用紙カセット10に収容(積層)されている。そして、用紙カセット10側から2次転写ローラー8側(中間転写ベルト6と2次転写ローラー8との間)に至る搬送路101eを経て、用紙カセット10に収容された用紙Pが2次転写ローラー8側にまで搬送されるようになっている。
【0035】
この搬送路101eには、給紙ローラー11およびレジストローラー対12などが設けられている。給紙ローラー11は、用紙カセット10の近傍に配置され、用紙カセット10に収容された用紙Pを1枚ずつピックアップし、搬送路101eに給紙する。レジストローラー対12は、2次転写ローラー8の近傍に配置され、中間転写ベルト6の駆動ローラー6a側の部分と2次転写ローラー8との間に用紙Pを送る。
【0036】
また、この装置には、用紙カセット10とは別に、手差しの用紙Pを供給するための用紙トレイ13も設置されている。用紙トレイ13から供給される用紙Pは、用紙カセット10用の搬送路101eとは異なる搬送路101fを通るようになっている。なお、用紙トレイ13用の搬送路101fおよび用紙カセット10用の搬送路101eは、レジストローラー対12に至る手前で合流する。
【0037】
フルカラートナー像が転写された用紙Pは、定着部101gに搬送される。そして、定着部101gにおいてフルカラートナー像が用紙Pに定着されることによって、用紙Pに所望の画像が形成される。
【0038】
この定着部101gは、一対の定着ローラー14および15を少なくとも含んでいる。一方の定着ローラー14は加熱されるようになっており、他方の定着ローラー15は一方の定着ローラー14に圧接されている。そして、定着部101gに搬送された用紙Pは、一対の定着ローラー14および15の間に供給されることによって、加熱および加圧されるとともに、一対の定着ローラー14および15の回転速度に応じて送り出される。これにより、フルカラートナー像が用紙Pに定着される。
【0039】
フルカラートナー像が定着された用紙Pは、排出ローラー対16によって排出トレイ17に排出される。なお、用紙Pの両面に画像を形成する場合には、用紙Pは排出トレイ17には排出されず、用紙Pを反転させるための両面搬送路101hに送られる。そして、その用紙Pは、両面搬送路101hにおいて反転された後、レジストローラー対12によって再び2次転写ローラー8側(中間転写ベルト6と2次転写ローラー8との間)に送られる。
【0040】
次に、図2を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0041】
画像形成装置100は、内部に制御部101を有する。制御部101は、中央演算処理装置であるCPU102や画像処理部103などを含み、画像形成装置100の各部を制御するようになっている。なお、制御部101は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモータのON/OFFを行って印刷を制御するエンジン制御部となどに分割されていてもよい。
【0042】
また、制御部101は、記憶部104と接続される。この記憶部104は、ROM、RAM、フラッシュROMおよびHDDなどの不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせからなっている。たとえば、記憶部104は、画像形成装置100の制御プログラムおよび制御データなどを記憶する。そして、CPU102は、記憶部104に格納される制御プログラムや制御データに基づき、画像形成装置100の各部の制御や演算を行う。
【0043】
さらに、制御部101は、I/F部105と接続される。このI/F部105は、印刷データ(印刷を行う画像データや印刷における設定データを含むデータ)の送信元となるコンピューター200(たとえば、パーソナルコンピューター)などとの間でネットワークやケーブルを介して通信を行うための通信インターフェイスである。また、I/F部105にモデムなどを内蔵し、外部のFAX装置と画像データなどの送受信を行えるようにしてもよい。
【0044】
画像処理部103は、コンピューター200からの画像データに対し、設定に合わせて、拡大、縮小、濃度変換、データ形式変換などの各種画像処理を施す。
【0045】
そして、この制御部101は、画像形成部101a、露光部101b、中間転写部101c、給紙部101d、搬送路101e(101f)、定着部101g、両面搬送路101hおよび操作パネル106などと接続され、記憶部104の制御プログラムやデータに基づいて各部の動作を制御する。
【0046】
次に、図3を参照して、画像形成部101aに含まれる各部材の構成について詳細に説明する。
【0047】
感光体1の外周面を一様に帯電させる帯電装置2は、感光体1の外周面に接触する帯電ローラー21と、帯電ローラー21の表面をクリーニングするクリーニングローラー22とを少なくとも含んでいる。そして、回転する感光体1の外周面に帯電ローラー21が接触していることによって、感光体1の外周面が一様に帯電される。
【0048】
感光体1に形成された静電潜像にトナーを供給する現像装置3は、現像装置3の外郭を成し、かつ、トナーおよびキャリアを混合した2成分現像剤が収容されるハウジングを少なくとも含んでいる。また、そのハウジング内には、攪拌搬送スクリュー31、磁気ローラー32および現像ローラー33などが装着されている。
【0049】
この現像装置3においては、ハウジング内に収容された現像剤が攪拌搬送スクリュー31によって攪拌搬送されつつ磁気ローラー32に供給される。この際、現像剤に含まれるトナーが帯電される。
【0050】
磁気ローラー32に供給された現像剤は、磁気ローラー32の表面において、磁気ブラシを形成して担持される。また、磁気ローラー32の表面の磁気ブラシは、その高さが規制ブレード(図示せず)によって調整される。なお、この磁気ローラー32は、図3中の矢印方向に回転するとともに、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加されるようになっている。
【0051】
現像ローラー33は、図3中の矢印方向に回転するとともに、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加されるようになっている。そして、磁気ローラー32の表面の磁気ブラシから、トナーのみが現像ローラー33に供給される。これにより、現像ローラー33の表面にトナーの薄膜が形成される。
【0052】
その後、感光体1の露光部分と現像ローラー33との間の電位差により、現像ローラー33から感光体1に向かってトナーが飛翔する。これにより、感光体1の外周面の露光部分にトナーが付着し、静電潜像に応じたトナー像が感光体1の外周面に担持される。そして、このようにして現像装置3のハウジング内のトナーが消費されると、図示しないトナーコンテナから現像装置3のハウジング内にトナーが新たに補給される。
【0053】
このとき、現像ローラー33の表面に担持されたすべてのトナーが消費されるわけではなく、消費されなかったトナーは現像ローラー33の表面に残留する。この現像ローラー33の表面に残留したトナーは、磁気ローラー32の表面に形成された磁気ブラシと擦れ合う。したがって、現像ローラー33の表面に残留したトナーは、帯電量を上昇させながら掻き落とされる。
【0054】
感光体1の外周面に残留した不要物を除去するクリーニング装置4は、感光体1の外周面に接触するクリーニングブレード41と、不要物を排出する排出スクリュー42とを少なくとも含んでいる。そして、クリーニングブレード41によって、感光体1の外周面に残留した不要物を除去するようになっている。
【0055】
また、感光体1の回転方向に対してクリーニングブレード41の下流側には除電ランプ43が設置されており、その除電ランプ43によって、感光体1の外周面の残留電荷が除去されるようにもなっている。
【0056】
ところで、この現像処理で消費されなかったトナー(磁気ローラー32の表面に形成された磁気ブラシによって掻き落とされたトナー)は、回収され、現像装置3のハウジング内に留まる。そして、その現像装置3のハウジング内に留まったトナーは、再び攪拌されて磁気ローラー32から現像ローラー33へと運ばれる。この過程では、トナーに対し物理的ストレスや電気的ストレスが与えられるので、過程を繰り返すほど、トナーは劣化していく。そのため、トナーは、現像装置3に補給して十分に帯電された後、間もないうちに(トナーが劣化せずフレッシュなうちに)消費してしまうことが好ましい。
【0057】
トナーが劣化する要因や劣化トナーの特性は多様である。たとえば、上述の過程の繰り返しにより、過剰に帯電した劣化トナーが現れる。また、攪拌や粒子間の摩擦による変形や摩耗などにより、帯電が不足ぎみのトナーも現れることがある。さらに、本来のトナーの帯電極性と逆極性に帯電するトナーも現れこともある。
【0058】
そして、劣化トナーが増えると、現像するトナー像の濃度と理想的な濃度との間でずれが生じることがある。また、中間転写ベルト6や用紙Pにきちんと転写されないトナーが多くなることもある。
【0059】
したがって、本実施形態では、現像装置3のハウジング内のトナーを所定の時期に強制的に排出するようにしている。現像装置3のハウジング内のトナーを強制的に排出する時期としては、特に限定されないが、たとえば、印字率の低い画像形成動作が連続して行われるときである。印字率の低い画像形成動作が連続すると、消費されるトナーが少なくなり、現像装置3のハウジング内における劣化したトナーの比率が高くなることがある。なお、印字率の低い画像形成動作が連続して行われるときというのは、たとえば、用紙Pにおける総画素数に対しトナーをのせる画素数の割合が5%(好ましくは、2%)以下で、数枚から数十枚の用紙Pを連続して印刷するときである。
【0060】
現像装置3のハウジング内のトナーを強制的に排出する際には、用紙Pに転写するトナー像を感光体1の外周面に担持させないタイミングで、感光体1の外周面にトナーを強制的に排出し、感光体1の外周面にトナーを帯状に担持させる。さらに、印加電圧部7aから1次転写ローラー7への印加電圧を転写電圧とは逆極性の非転写電圧とする。これにより、感光体1の外周面に強制的に排出したトナーの中間転写ベルト6への転写処理はなされず、感光体1の外周面に強制的に排出したトナーはそのまま感光体1の外周面に担持され続け、クリーニングブレード41によって除去される。
【0061】
このようにした場合、仮に、1次転写ローラー7に対する印加電圧が切り換えられずに転写電圧がそのまま印加され続けていれば、感光体1の外周面に強制的に排出したトナーが中間転写ベルト6に帯状に付着されてしまう。そして、そのトナーの濃度が所定値以上であると、多くのトナーが中間転写ベルト6から2次転写ローラー8に移り付き、用紙Pが汚れる原因となってしまう。
【0062】
たとえば、複数の用紙Pを所定の紙間を設けて搬送して連続印刷する際には、図4に示すように、中間転写ベルト6の第1領域A(用紙Pに転写するトナー像が感光体1から転写される領域)が所定の間隔(紙間に相当)を隔てて複数並ぶ。そして、1次転写ローラー7に対する印加電圧が切り換えられずに転写電圧がそのまま印加され続けられていると、中間転写ベルト6の第2領域B(複数の第1領域Aのうちの隣接する第1領域Aの間の領域であり、用紙Pに転写するトナー像が感光体1から転写されない領域)にもトナーが帯状に付着してしまう。
【0063】
なお、図4(以下に参照する図5、図6および図10も同様)では、第2領域Bに付着されたトナーの濃度をハッチング間隔の大きさで表しており、ハッチング間隔が狭いほどトナーの濃度が高いとする。
【0064】
一方で、中間転写ベルト6の第1領域Aが1次転写ローラー7と対向するタイミングで1次転写ローラー7に転写電圧が印加され、中間転写ベルト6の第2領域Bが1次転写ローラー7と対向するタイミングで転写ローラー7に非転写電圧が印加されるように切り換えると、理想的には、図5に示すように、中間転写ベルト6の第2領域Bにはトナーは付着されない。
【0065】
ただし、トナーの帯電状態が不安定であったり、中間転写ベルト6が劣化して表面がざらついたりしていると、図6に示すように、中間転写ベルト6の第2領域Bに薄っすらとトナーが帯状に付着してしまう。言い換えると、中間転写ベルト6の第2領域Bに付着するトナーの量が多くなる。このため、1次転写ローラー7に非転写電圧を印加するようにしたとしても、中間転写ベルト6の第2領域Bに所定値以上の濃度でトナーが帯状に付着し、そのトナーの多くが中間転写ベルト6から2次転写ローラー8に移り付くことで用紙Pの汚れを引き起こす恐れがある。
【0066】
そこで、本実施形態では、図1および図3に示すように、中間転写ベルト6の近傍に濃度センサー18を設置し、中間転写ベルト6のうち、感光体1の外周面に強制的に排出したトナーと接した領域(すなわち、中間転写ベルト6の第2領域B)のトナー濃度を測定するようにしている。
【0067】
この濃度センサー18の設置数は1つとされている。そして、中間転写ベルト6の移動方向において、4つの画像形成部101a(4つの感光体1)のすべてが濃度センサー18に対して上流側に配置されている。したがって、たとえば、4つの画像形成部101aのそれぞれから強制的にトナーが排出されていると、濃度センサー18によるトナー濃度の測定は、4つの画像形成部101aのそれぞれから強制的に排出されたトナーが中間転写ベルト6の第2領域Bに重なった状態で行われることになる。
【0068】
そして、本実施形態では、濃度センサー18での測定結果、すなわち、中間転写ベルト6の第2領域Bに付着したトナーの濃度に基づいて、2次転写ローラー8のクリーニング動作が必要であるか否かの判断がなされる。以下に、図7を参照して、このときの流れを説明する。
【0069】
なお、以下の説明では、所定の紙間で搬送される複数の用紙Pに対して印字率の低い印刷が連続的に行われている途中に、画像形成部101aが強制的にトナーを排出するとする。もちろん、画像形成部101aによる強制的なトナーの排出は、連続印刷の前あるいは後であってもよい。また、連続印刷ではなくて1枚分の印刷の前あるいは後であってもよいし、ユーザーが任意の時期に行うようにしてもよい。
【0070】
また、画像形成部101aによる強制的なトナーの排出は、4つの画像形成部101aのうちの1つの画像形成部101aのみで行われる場合もあるし、4つの画像形成部101aのうちの2つ(あるいは、3つ)の画像形成部101aで行われる場合もある。
【0071】
所定の紙間で搬送される複数の用紙Pに対して印字率の低い印刷が連続的に行われていると、ステップS1において、まず、用紙Pに転写するトナー像を感光体1に担持させないタイミングで、画像形成部101a(現像装置3)が感光体1にトナーを強制的に排出する。そして、ステップS2において、感光体1に強制的に排出したトナーが中間転写ベルト6の第2領域Bに付着しないように、電圧印加部7aが1次転写ローラー7に非転写電圧を印加する。
【0072】
続いて、ステップS3において、制御部101は、濃度センサー18を用いて、中間転写ベルト6の第2領域Bのトナー濃度を測定する。
【0073】
ここで、濃度センサー18は、たとえば、反射式の光センサーである。この濃度センサー18は、中間転写ベルト6に光を照射する発光部と、中間転写ベルト6やトナーで反射された光を受光し、受光量により出力電圧を変化させる受光部とを有する。また、受光部の出力電圧に対するトナー像の濃度を示すデータ(たとえば、データテーブル)が、たとえば、記憶部104に記憶されている。これによると、拡散されたり吸収されたりする光量はトナー像の濃度によって異なるので、濃度センサー18の出力電圧の大きさはトナー像の濃度に応じて変化する。そして、制御部101は、濃度センサー18の出力電圧を受け、その出力電圧の大きさに応じて、記憶部104のデータを参照し、トナー像の濃度を求める(測定する)。
【0074】
これにより、ステップS4において、制御部101は、濃度センサー18を用いて測定したトナー濃度が所定値以上か否かの判断を行うとともに、判断結果を記憶部104に記憶させる。なお、このときの判断の基となる所定値は、予め設定されるものである。
【0075】
この所定値は、実験に基づき定めることができる。たとえば、或る濃度のトナー像を中間転写ベルト6に転写し、わざと2次転写ローラー8へ付着させ、続いて、2次転写ローラー8に用紙Pを通過させる。この作業をトナー像の濃度を変えてそれぞれ行う。このとき、2次転写ローラー8を通過させた各用紙Pの汚れを確認し、用紙Pの汚れが目立つほどになった(2次転写ローラー8のクリーニングが必要な)トナー像の濃度を確認する。そして、確認したトナー像の濃度を所定値と定める。これにより、画像形成部101aによるトナーの強制的な排出により、用紙Pの汚れが目立つほど2次転写ローラー8を汚してしまうような濃度を持つトナー像の中間転写ベルト6への付着が生じると、制御部101が2次転写ローラー8のクリーニングを電圧印加部8aに実行させるようにすることができる。
【0076】
そして、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上である場合には、2次転写ローラー8のクリーニング動作が必要であると制御部101が判断し、ステップS5に移行する。
【0077】
ステップS5に移行すると、レジストローラー対12が2次転写ローラー8側への用紙Pの搬送を停止する。その後、ステップS6に移行し、すべての画像形成部101aが現像処理を停止する。すなわち、制御部101は、画像形成動作を停止させる。
【0078】
そして、ステップS7において、制御部101は、中間転写ベルト6を周回させつつ、電圧印加部8aにより2次転写ローラー8に対してクリーニング動作用の電圧印加を行う。具体的には、図8に示すように、通常の画像形成動作のときであれば、電圧印加部8aは、中間転写ベルト6の第1領域Aが2次転写ローラー8と対向するタイミングで2次転写ローラー8に転写電圧を印加し、中間転写ベルト6の第2領域Bが2次転写ローラー8と対向するタイミングで2次転写ローラー8に非転写電圧を印加する。その一方、クリーニング動作に入ると、電圧印加部8aは、画像形成動作時のような電圧印加は行わず、2次転写ローラー8に対して転写電圧および非転写電圧の印加を交互に何回か繰り返す。
【0079】
これにより、2次転写ローラー8に付着した多くのトナーが中間転写ベルト6に移動することで、2次転写ローラー8がクリーニングされる。この後、中間転写ベルト6に戻されたトナーをベルトクリーニング装置9が除去する。このとき、既に中間転写ベルト6の第1領域Aにトナー像が転写されていれば、そのトナー像もベルトクリーニング装置9が除去する。
【0080】
この後、ステップS8において、制御部101は、画像形成動作を開始させる。すなわち、レジストローラー対12が用紙Pの搬送を再開し、現像装置3が現像処理を再開する。このときには、2次転写ローラー8が既にクリーニングされているので、用紙Pに汚れは発生しない。
【0081】
また、ステップS4において、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上でなければ、制御部101において2次転写ローラー8のクリーニング動作が必要でないと判断され、ステップS9に移行する。そして、制御部101は、画像形成動作を停止させずに継続させる。
【0082】
次に、図9を参照して、図7のフローのステップS1において行うトナー強制排出動作について詳細に説明する。
【0083】
ステップS11において、制御部101は、現時点よりも前にトナー強制排出動作を実施したか否かを判断する。そして、現時点よりも前にトナー強制排出動作を実施していない場合(たとえば、電源投入直後である場合)には、ステップS12に移行し、現時点よりも前にトナー強制排出動作を実施している場合には、ステップS13に移行する。
【0084】
ステップS12に移行すると、制御部101は、予め定められた設定内容に基づき、感光体1へのトナーの強制的な排出を画像形成部101aに行わせる。なお、トナー強制排出動作に関しては、たとえば、感光体1に強制的に排出するトナーの量や、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度および担持領域の面積などが予め設定されている。
【0085】
その一方、ステップS13に移行すると、制御部101は、前回のトナー強制排出時に濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上であったか否かを判断する。そして、前回のトナー強制排出時に濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上でなかった場合には、ステップS14に移行し、前回のトナー強制排出時に濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上であった場合には、ステップS15に移行する。
【0086】
ステップS14に移行すると、制御部101は、前回のトナー強制排出時と同じ設定内容に基づき、感光体1へのトナーの強制的な排出を画像形成部101aに行わせる。
【0087】
その一方、ステップS15に移行すると、制御部101は、トナー強制排出動作に関する設定内容をトナー濃度に応じて変更する。たとえば、トナー強制排出動作に関する設定内容をトナー濃度に応じて変更するためのデータは、記憶部104に記憶されている。そして、制御部101は、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積が前回のトナー強制排出時よりも大きくなり、かつ、感光体1に強制的に排出するトナーの量が前回のトナー強制排出時よりも減少しないように(感光体1に強制的に排出するトナーの量が前回のトナー強制排出時と同じ、または、多くなるように)、トナー強制排出動作に関する設定内容を変更する。
【0088】
続いて、ステップS16において、制御部101は、変更した設定内容に基づいて、感光体1へのトナーの強制的な排出を画像形成部101aに行わせる。すなわち、画像形成部101aは、感光体1にトナーを強制的に排出するとき、感光体1に強制的に排出するトナーの量を前回のトナー強制排出時よりも減少させずに、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積を前回のトナー強制排出時よりも大きくする。ここで、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積は前回のトナー強制排出時よりも大きくなっているので、感光体1に強制的に排出するトナーの量を前回のトナー強制排出時よりも減少させなかったとしても、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度が前回のトナー強制排出時よりも低くなる。すなわち、画像形成部101aは、感光体1にトナーを強制的に排出するとき、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度を前回のトナー強制排出時よりも低くする。
【0089】
このように、ステップS16の動作が行われた場合、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度が前回のトナー強制排出時よりも低くなる。したがって、感光体1に強制的に排出したトナーは中間転写ベルト6の第2領域Bに接するが、中間転写ベルト6の第2領域Bへのトナーの付着は前回のトナー強制排出時よりも抑制される。このため、中間転写ベルト6の第2領域Bにおけるトナー濃度は、前回のトナー強制排出時よりも低くなる。
【0090】
ただし、図10に示すように、中間転写ベルト6の第2領域Bにおいて、感光体1に強制的に排出されたトナーが付着する可能性がある領域(ハッチング領域)は、前回のトナー強制排出時よりも、複数の第1領域Aが並ぶ方向(用紙搬送方向)に長くなる。なお、紙間(隣接する第1領域Aの間隔)は変更しない。
【0091】
本発明の画像形成装置100は、トナー像を担持する感光体1(像担持体)を含む画像形成部101aと、所定方向に循環移動する中間転写ベルト6(中間転写体)と、感光体1から中間転写ベルト6にトナー像を転写する1次転写ローラー7(1次転写部材)と、1次転写ローラー7に電圧を印加する電圧印加部7a(第1電圧印加部)と、中間転写ベルト6から用紙P(記録媒体)にトナー像を転写する2次転写ローラー8(2次転写部材)と、2次転写ローラー8に電圧を印加する電圧印加部8a(第2電圧印加部)と、中間転写ベルト6に付着したトナーの濃度を検出するための濃度センサー18(検出部材)と、を備えている。そして、用紙Pに転写するトナー像を感光体1に担持させないタイミングで、画像形成部101aが感光体1にトナーを強制的に排出したとき、電圧印加部7aは、感光体1に強制的に排出されたトナーが中間転写ベルト6に付着しないように1次転写ローラー7に電圧を印加するとともに、濃度センサー18は、中間転写ベルト6のうち、感光体1に強制的に排出されたトナーと接した領域のトナー濃度の測定を行い、電圧印加部8aは、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、2次転写ローラー8に電圧を印加して2次転写ローラー8をクリーニングする。
【0092】
本発明の構成によれば、感光体1にトナーを強制的に排出したとき、電圧印加部7aは、感光体1に強制的に排出されたトナーを中間転写ベルト6に付着させないようにする。しかし、中間転写ベルト6の経年劣化による表面の荒れや、劣化したトナーの特性により、感光体1に強制的に排出されたトナーが中間転写ベルト6に付着してしまうことがある。このような、感光体1に強制的に排出されたトナーが中間転写ベルト6に付着し、そのトナーが中間転写ベルト6から2次転写ローラー8に移り付いて用紙Pの裏面を汚す可能性が高いとき、2次転写ローラー8がクリーニングされる。これにより、2次転写ローラー8に多くのトナーが付着したままで、2次転写ローラー8による中間転写ベルト6から用紙Pへのトナー像の転写が行われることはない。その結果、用紙Pが汚れるのを抑制することができる。
【0093】
上記の構成において、中間転写ベルト6から用紙Pにトナー像を転写するとき、電圧印加部8aは、転写電圧を2次転写ローラー8に印加し、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、電圧印加部8aは、転写電圧および転写電圧とは逆極性の非転写電圧のうちの少なくとも一方を2次転写ローラー8に印加することが好ましい。このように構成すれば、2次転写ローラー8に付着したトナーを2次転写ローラー8から中間転写ベルト6に移動させることができる。すなわち、2次転写ローラー8のクリーニングが容易になる。
【0094】
また、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、電圧印加部8aは、転写電圧および転写電圧とは逆極性の非転写電圧を交互に2次転写ローラー8に印加することがより好ましい。なお、劣化したトナーの中には、本来の帯電極性とは逆極性に帯電してしまうものもある。したがって、電圧印加部8aが転写電圧および非転写電圧を交互に2次転写ローラー8に印加すれば、2次転写ローラー8に付着したトナーがどのような極性であったとしても、2次転写ローラー8から中間転写ベルト6にトナーを移動させることができる。すなわち、容易に、かつ、良好に、2次転写ローラー8のクリーニングがなされる。
【0095】
上記の構成において、用紙Pが収容される領域から2次転写ローラー8の設置領域に至る搬送路101eにレジストローラー対12をさらに備え、そのレジストローラー対12が用紙Pを2次転写ローラー8の設置領域に搬送することによって、2次転写ローラー8が中間転写ベルト6から用紙Pにトナー像を転写し、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、レジストローラー対12は、用紙Pの搬送を停止することが好ましい。このように構成すれば、複数の用紙Pを所定の間隔を設けて搬送することで連続印刷している途中であったとしても、用紙Pに汚れが発生するのを抑制することができる。
【0096】
上記の構成において、中間転写ベルト6のうち、用紙Pに転写するトナー像が感光体1から転写される領域を第1領域Aとし、感光体1に強制的に排出されたトナーと接する領域を第2領域Bとすると、第1領域Aが互いに所定の間隔を隔てて複数並ぶ場合(言い換えると、複数の用紙Pを所定の間隔で搬送して連続印刷する場合)には、それら複数の第1領域Aのうちの隣接する第1領域Aの間の領域が第2領域Bとされることが好ましい。このように構成すれば、複数の用紙Pを所定の間隔で搬送して連続印刷する場合に、感光体1に強制的に排出されたトナーが中間転写ベルト6に付着したとしても、その中間転写ベルト6のトナーが付着した領域は第1領域(用紙Pに転写するトナー像が感光体1から転写される領域)Aとは異なる第2領域Bであるので、中間転写ベルト6の第1領域Aに意図しないトナー像が転写されることはない。
【0097】
そして、仮に、中間転写ベルト6の第2領域Bに所定値以上の濃度でトナーが付着し、それによって2次転写ローラー8に多くのトナーが付着したとしても、2次転写ローラー8がクリーニングされる。すなわち、2次転写ローラー8に多くのトナーが付着したままで、2次転写ローラー8による中間転写ベルト6から用紙Pへのトナー像の転写が行われることはない。
【0098】
上記の構成において、感光体1が複数設けられており、それら複数の感光体1のすべてが濃度センサー18に対して中間転写ベルト6の移動方向における上流側に配置されていることが好ましい。このように構成すれば、濃度センサー18の設置数は1つで済む。これにより、部品点数の増加を抑制することができる。
【0099】
上記の構成において、画像形成部101aは、感光体1にトナーを強制的に排出するとき、前回のトナー強制排出時に濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上であった場合には、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度を前回のトナー強制排出時よりも低くする。このように構成すれば、前回のトナー強制排出時よりも後のトナー強制排出時においては、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度が前回のトナー強制排出時よりも低くなるので、感光体1に強制的に排出したトナー(感光体1のうちの担持領域で担持するトナー)の中間転写ベルト6への付着そのものを抑制することができる。すなわち、濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上になる(2次転写ローラー8をクリーニングしなければならない状態になる)のを抑制することができる。したがって、クリーニング動作に入る回数(画像形成動作を止める回数)が減り、画像形成動作を効率的に行うことができる。
【0100】
上記の構成において、画像形成部101aは、感光体1にトナーを強制的に排出するとき、前回のトナー強制排出時に濃度センサー18を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上であった場合には、感光体1に強制的に排出するトナーの量を前回のトナー強制排出時よりも減少させずに、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積を前回のトナー強制排出時よりも大きくする。このように、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積を前回のトナー強制排出時よりも大きくすれば、感光体1に強制的に排出するトナーの量を前回のトナー強制排出時よりも減少させなかったとしても、感光体1のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度が前回のトナー強制排出時よりも低くなる。したがって、強制的に排出するトナー(劣化したトナー)の排出効率が前回のトナー強制排出時よりも低下することはない。
【0101】
ところで、上記実施形態の構成において、中間転写ベルト6の第2領域Bが2次転写ローラー8の設置領域を通過する際に、2次転写ローラー8に転写電圧を印加し続けるようにしてもよい。ここで、画像形成部101aがトナーを強制的に排出することで中間転写ベルト6の第2領域Bに付着したトナーは、1次転写ローラー7に対する印加電圧が非転写電圧(転写電圧とは逆極性の電圧)であるときに感光体1から中間転写ベルト6に移動したトナーであるため、その帯電極性は大部分が転写電圧と同極性である可能性が高い。このことから、2次転写ローラー8に転写電圧を印加し続けておくことにより、中間転写ベルト6の第2領域Bにトナーが付着したとしても、2次転写ローラー8へのトナーの付着を抑制することができるようになる。
【0102】
さらに、上記実施形態の構成において、中間転写ベルト6の第2領域Bの面積(すなわち、紙間)を広げ、中間転写ベルト6の第2領域Bにおけるトナーの付着面積を増大させてもよい。このようにすれば、中間転写ベルト6の第2領域Bにおいて、トナーの付着量(強制排出量)を減少させることなく、第2領域Bに転写されたトナーの濃度を低くすることができる。これにより、中間転写ベルト6の第2領域Bに付着したトナーの濃度が低くなった分、2次転写ローラー8へのトナーの付着を抑制することができるようになる。
【0103】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0104】
たとえば、上記実施形態では、カラーレーザープリンターに本発明を適用する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、カラーレーザープリンター以外の画像形成装置にも本発明を適用することができる。すなわち、複写機、ファクシミリおよびプリンターや、それらの複合機などの種々の画像形成装置に本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 感光体(像担持体)
6 中間転写ベルト(中間転写体)
7 1次転写ローラー(1次転写部材)
7a 電圧印加部(第1電圧印加部)
8 2次転写ローラー(2次転写部材)
8a 電圧印加部(第2電圧印加部)
18 濃度センサー(検出部材)
101a 画像形成部
101e、101f 搬送路
12 レジストローラー対
A 第1領域
B 第2領域
P 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体を含む画像形成部と、
所定方向に循環移動する中間転写体と、
前記像担持体から前記中間転写体にトナー像を転写する1次転写部材と、
前記1次転写部材に電圧を印加する第1電圧印加部と、
前記中間転写体から記録媒体にトナー像を転写する2次転写部材と、
前記2次転写部材に電圧を印加する第2電圧印加部と、
前記中間転写体に付着したトナーの濃度を検出するための検出部材と、を備え、
前記記録媒体に転写するトナー像を前記像担持体に担持させないタイミングで、前記画像形成部が前記像担持体にトナーを強制的に排出したとき、
前記第1電圧印加部は、前記像担持体に強制的に排出されたトナーが前記中間転写体に付着しないように前記1次転写部材に電圧を印加するとともに、
前記検出部材は、前記中間転写体のうち、前記像担持体に強制的に排出されたトナーと接した領域のトナー濃度の測定を行い、
前記第2電圧印加部は、前記検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、前記2次転写部材に電圧を印加して前記2次転写部材をクリーニングすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写体から前記記録媒体にトナー像を転写するとき、前記第2電圧印加部は、転写電圧を前記2次転写部材に印加し、
前記検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、前記第2電圧印加部は、転写電圧および転写電圧とは逆極性の非転写電圧のうちの少なくとも一方を前記2次転写部材に印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、前記第2電圧印加部は、転写電圧および転写電圧とは逆極性の非転写電圧を交互に前記2次転写部材に印加することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体が収容される領域から前記2次転写部材の設置領域に至る搬送路にレジストローラー対をさらに備え、
前記レジストローラー対が前記記録媒体を前記2次転写部材の設置領域に搬送することによって、前記2次転写部材が前記中間転写体から前記記録媒体にトナー像を転写し、
前記検出部材を用いて測定されたトナー濃度が所定値以上の場合に、前記レジストローラー対は、前記記録媒体の搬送を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写体のうち、前記記録媒体に転写するトナー像が前記像担持体から転写される領域を第1領域とし、前記像担持体に強制的に排出されたトナーと接する領域を第2領域とすると、
前記第1領域が互いに所定の間隔を隔てて複数並ぶ場合には、前記複数の第1領域のうちの隣接する第1領域の間の領域が前記第2領域とされることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体が複数設けられており、
前記複数の像担持体のすべてが前記検出部材に対して前記中間転写体の移動方向における上流側に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、前記像担持体にトナーを強制的に排出するとき、前回のトナー強制排出時に前記検出部材を用いて測定されたトナー濃度が前記所定値以上であった場合には、前記像担持体のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域における単位面積あたりのトナー濃度を前記前回のトナー強制排出時よりも低くすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、前記像担持体にトナーを強制的に排出するとき、前記前回のトナー強制排出時に前記検出部材を用いて測定されたトナー濃度が前記所定値以上であった場合には、前記像担持体に強制的に排出するトナーの量を前記前回のトナー強制排出時よりも減少させずに、前記像担持体のうちの強制的に排出したトナーを担持する担持領域の面積を前記前回のトナー強制排出時よりも大きくすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−198497(P2012−198497A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234255(P2011−234255)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】