説明

画像形成装置

【課題】適切な時間(長さ)でクリーニング処理を実行することができる、画像形成装置を提供する。
【解決手段】各感光ドラム5に対応づけて、回収部材8が設けられている。感光ドラム5から用紙Pへのトナーの転写後、回収部材8により、感光ドラム5に付着している付着物が回収される。クリーニング処理が実行されることにより、回収部材8に回収された付着物が感光ドラム5を経由して用紙搬送ベルト11に転移し、ベルトクリーナ18によって用紙搬送ベルト11から除去される。クリーニング処理が実行される時間(クリーニング時間)の長さは、用紙Pに形成される画像の色に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応した感光ドラムが並列に配置されている。感光ドラムの表面には、トナー像が形成される。各感光ドラムと接触するように、無端状の搬送ベルトが設けられている。搬送ベルトにより、用紙が各感光ドラムと順次に接触するように搬送される。各感光ドラムと搬送ベルトを挟んで対向する位置には、転写ローラが配置されている。感光ドラムと転写ローラとの間を用紙が通過するときに、転写ローラに供給されている転写バイアスの作用により、感光ドラムから用紙にトナー像が転写される。そして、各色のトナー像が用紙に重ねて転写されることにより、その色重ねされたトナー像からなるカラー画像が用紙に形成される。
【0003】
感光ドラムの表面には、トナーが用紙に転写されずに残ることがある。そのため、各感光ドラムに対応づけて、感光ドラムの表面に残ったトナーを回収するための回収部材が設けられている。画像形成時に、回収部材には、回収バイアスが供給される。感光ドラムの表面に残ったトナーは、回収バイアスの作用により、回収部材に転移し、回収部材に一時的に保持される。
【0004】
所定のタイミングでトナー転移処理(クリーニング処理)が行われることにより、回収部材に保持されたトナーは、感光ドラムおよび搬送ベルトを経由して、クリーニングユニットに回収される。トナー転移処理では、回収部材に回収バイアスと正負反対のバイアスが供給される。また、各転写ローラに転写バイアスと正負同一のバイアスが供給される。回収部材に供給されるバイアスの作用により、回収部材に保持されたトナーが感光ドラムの表面に戻される。そして、各転写ローラに供給されるバイアスの作用により、感光ドラムの表面に戻されたトナーが搬送ベルトに転移する。搬送ベルトに転移したトナーは、クリーニングユニットと対向したときに、クリーニングユニットに回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−3377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各トナー転移処理において、回収部材および転写ローラにバイアスが供給される時間(トナー転移処理に要する時間)は一定である。そのため、トナー転移処理に長い時間が無駄に費やされることがあった。
【0007】
本発明の目的は、適切な時間(長さ)でクリーニング処理を実行することができる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、単色の現像剤像による画像または複数色の現像剤像の重ね合わせによる画像をシートに形成する画像形成装置であって、所定方向に並列に配置された複数の感光体と、前記所定方向に走行し、各前記感光体に形成される現像剤像をシートに転写するためのベルトと、各前記感光体に対応して設けられ、現像剤像がシートに転写された後に前記感光体に付着している付着物を回収する回収部材と、前記ベルトに付着している付着物を除去するベルトクリーナと、前記感光体、前記ベルトおよび前記回収部材を制御して、各前記回収部材から前記感光体を経由して前記ベルトに転移させるクリーニング処理を実行するクリーニング処理実行部と、シートに形成される画像の色に基づいて、前記クリーニング処理が実行される時間を決定するクリーニング時間決定部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の感光体が所定方向に並列に配置されている。1つの感光体に現像剤像が形成され、その現像剤像がシートに転写されることにより、シートに単色の現像剤像(画像)が形成される。また、複数の感光体に現像剤像が形成され、それらの現像剤像がシートに重ねて転写されることにより、シートにカラーの現像剤像(画像)が形成される。
【0010】
各感光体に対応づけて、回収部材が設けられている。感光体からシートへの現像剤像の転写後、回収部材により、感光体に付着している付着物が回収される。クリーニング処理が実行されることにより、回収部材に回収された付着物が感光体を経由してベルトに転移する。そして、その付着物は、ベルトクリーナにより、ベルト上から除去される。すなわち、回収部材に回収された付着物は、クリーニング処理により、ベルトクリーナに再回収される。
【0011】
たとえば、シートに単色の画像が形成される場合、その単色の感光体に現像剤像が形成され、その他の感光体には現像剤像が形成されない。現像剤像が形成されない感光体には付着物がほとんど付着しないので、当該感光体に対応づけて設けられている回収部材からベルトクリーナへの付着物の再回収の必要はない。
【0012】
そこで、クリーニング処理が実行される時間(クリーニング時間)の長さは、シートに形成される画像の色に基づいて決定される。たとえば、シートに単色の画像が形成される場合、その現像剤像が形成された感光体の位置に基づいて、クリーニング時間の長さが決定されるとよい。これにより、クリーニング時間を現像剤像が形成された感光体の位置からベルトクリーナまでの所定方向の長さに応じた適切な時間に設定することができる。
【0013】
よって、クリーニング処理に長い時間が無駄に費やされることを防止でき、クリーニング処理前の画像形成動作の終了からクリーニング処理後の画像形成動作の開始までの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのカラープリンタの模式的な断面図である。
【図2】図2は、カラープリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、クリーニング時間の決定のための処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.カラープリンタの全体構成
図1に示されるように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の正面には、フロントカバー3が開口4を開閉可能に設けられている。
【0016】
なお、カラープリンタ1の正面側は、前後方向(図1における左右方向)における前側(右側)である。また、カラープリンタ1が平面上に載置された状態で、その平面に直交する方向が上下方向である。そして、平面上に載置されたカラープリンタ1を前側から見て、カラープリンタ1の左右を規定する。
【0017】
本体ケーシング2内には、4つの感光体の一例としての感光ドラム5が設けられている。各感光ドラム5は、その周面が左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能なように設けられている。4つの感光ドラム5は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック用であり、前側からイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック用の順に前後方向に等間隔で並列に配置されている。
【0018】
各感光ドラム5の周囲には、帯電器6、現像器7および回収部材8が設けられている。帯電器6は、感光ドラム5の後上方に配置されている。現像器7は、感光ドラム5の前上方に配置されている。回収部材8は、感光ドラム5の後方に配置されている。
【0019】
4つの感光ドラム5および各感光ドラム5の周囲の帯電器6、現像器7および回収部材8は、たとえば、共通のドロワフレーム9に保持されている。ドロワフレーム9は、フロントカバー3を開けた状態で、本体ケーシング2内の収容位置と本体ケーシング2外の引出位置との間で水平方向に移動可能に設けられている。これにより、ドロワフレーム9およびこれに保持された感光ドラム5、帯電器6、現像器7および回収部材8は、ドロワユニットとして、本体ケーシング2に対して開口4を介して着脱可能である。
【0020】
本体ケーシング2内の最上部には、各色に対応した4本のレーザビームを出射する露光器10が配置されている。
【0021】
画像形成時において、感光ドラム5は、左側から見て時計回りに回転される。感光ドラム5の回転に伴って、感光ドラム5の表面は、帯電器6からの放電により一様に帯電された後、露光器10からのレーザビームにより選択的に露光される。この露光によって、感光ドラム5の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム5の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器7からのトナーの供給により、現像剤像の一例としてのトナー像に現像される。
【0022】
また、本体ケーシング2内には、上下方向の中央より少し下方の位置に、用紙搬送ベルト11が設けられている。用紙搬送ベルト11は、2つのローラ12,13に巻回された無端状のベルトである。2つのローラ12,13は、上下方向において同じ位置に配置され、前後方向に間隔を空けて配置されている。これにより、用紙搬送ベルト11は、2つのローラ12,13の各上端間において、前後方向および左右方向に延びる平面状部分を有している。この平面状部分は、4つの感光ドラム5と接触している。
【0023】
用紙搬送ベルト11の平面状部分を挟んで各感光ドラム5と対向する位置には、転写ローラ14が配置されている。
【0024】
本体ケーシング2の底部には、シートの一例としての用紙Pを収容する給紙カセット15が配置されている。給紙カセット15に収容されている用紙Pは、各種ローラにより、用紙搬送ベルト11の平面状部分上に送り込まれる。そして、用紙Pは、用紙搬送ベルト11により、用紙搬送ベルト11と各感光ドラム5との間を通して後方に搬送される。
【0025】
画像形成時において、用紙搬送ベルト11は、左側から見て反時計回りに周回走行する。この用紙搬送ベルト11の周回方向が所定方向の一例である。転写ローラ14には、転写バイアスが供給されている。用紙Pにモノクロ画像が形成されるときには、ブラックの感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。そして、そのトナー像は、転写バイアスの作用により、用紙搬送ベルト11によって搬送される用紙Pに転写される。これにより、用紙Pには、ブラックのトナー像からなるモノクロ画像が形成される。また、用紙Pにカラー画像が形成されるときには、2つ以上の感光ドラム5の表面にトナー像が形成される。そして、それらのトナー像は、転写バイアスの作用により、用紙搬送ベルト11によって搬送される用紙Pに互いに重ね合わせて転写される。これにより、用紙Pには、各色のトナー像の重ね合わせによるカラー画像が形成される。
【0026】
感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の転写後に、感光ドラム5の表面に残留するトナーなどの付着物は、回収部材8に供給されている回収バイアスの作用により、感光ドラム5の表面から回収部材8に回収される。回収部材8に回収された付着物は、回収部材8に回収バイアスが供給されている間、回収部材8に保持される。
【0027】
用紙搬送ベルト11の後方には、定着器16が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、定着器16に搬送される。定着器16では、加熱および加圧により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ17に排出される。
【0028】
また、用紙搬送ベルト11の下方には、ベルトクリーナ18が設けられている。ベルトクリーナ18は、1次クリーニングローラ19、2次クリーニングローラ20、スクレーパ21および貯留部22を備えている。
【0029】
1次クリーニングローラ19は、左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられ、用紙搬送ベルト11の下側部分にほぼ全幅にわたって接触している。2次クリーニングローラ20は、左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられ、1次クリーニングローラ19の周面にほぼ全幅にわたって接触している。
【0030】
用紙搬送ベルト11に付着している付着物は、ベルトクリーナ18により、用紙搬送ベルト11上から除去される。具体的には、1次クリーニングローラ19および2次クリーニングローラ20には、それぞれ1次クリーニングバイアスおよび2次クリーニングバイアスが印加される。用紙搬送ベルト11上の付着物は、1次クリーニングローラ19と対向したときに、1次クリーニングバイアスの作用により、1次クリーニングローラ19に転移する。1次クリーニングローラ19に転移した付着物は、1次クリーニングバイアスと2次クリーニングバイアスとの電位差により、2次クリーニングローラ20にさらに転移する。そして、2次クリーニングローラ20に転移した付着物は、スクレーパ21と対向したときに、スクレーパ21により、2次クリーニングローラ20上から掻き落とされる。その掻き落とされた付着物は、貯留部22に貯留される。
2.カラープリンタの電気的構成
カラープリンタ1は、図2に示されるように、CPU,RAMおよびROMなどを含むマイクロコンピュータからなる制御部31を備えている。
【0031】
制御部31には、感光ドラム5、回収部材8、ベルトの一例としての用紙搬送ベルト11(ローラ13)および4つの転写ローラ14、1次クリーニングローラ19ならびに2次クリーニングローラ20などが制御対象として接続されている。回収部材8、転写ローラ14、1次クリーニングローラ19および2次クリーニングローラ20は、それぞれバイアス回路32,33,34,35を介して、制御部31に接続されている。
【0032】
そして、制御部31は、クリーニング処理実行部36およびクリーニング時間決定部37を実質的に有している。クリーニング処理実行部36およびクリーニング時間決定部37は、CPUによるプログラム処理によってソフトウエア的に実現される機能処理部である。
【0033】
クリーニング処理実行部36は、回収部材8から感光ドラム5を経由して用紙搬送ベルト11に付着物を転移させるクリーニング処理を実行する。具体的には、クリーニング処理実行部36により、感光ドラム5が制御されて、感光ドラム5が一定速度で回転される。また、クリーニング処理実行部36により、バイアス回路32が制御されて、バイアス回路32から回収部材8に回収バイアスと正負反対のバイアスが供給される。さらに、クリーニング処理実行部36により、バイアス回路33が制御されて、バイアス回路33から転写ローラ14に転写バイアスと同一のバイアスが供給される。
【0034】
回収部材8に供給されるバイアスの作用により、回収部材8に保持されている付着物が感光ドラム5の表面に戻される。そして、転写ローラ14に供給されるバイアスの作用により、感光ドラム5の表面に戻された付着物が用紙搬送ベルト11に転移する。
【0035】
用紙搬送ベルト11に転移した付着物は、ベルトクリーナ18と対向したときに、ベルトクリーナ18に回収される。
【0036】
クリーニング時間決定部37は、次に述べるクリーニング時間決定処理を実行し、クリーニング処理の実行時間(以下「クリーニング時間」という。)を決定する。
3.クリーニング時間決定処理
クリーニング処理実行部36によるクリーニング処理は、たとえば、一連の画像形成動作が終了してから次の画像形成動作が開始されるまでの間に実行される。一連の画像形成動作とは、カラープリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータなどから入力される1回のジョブ指令に応答して、1または複数枚の用紙Pに画像を形成するために実行される動作をいう。
【0037】
クリーニング処理の開始に先立ち、クリーニング時間決定部37により、クリーニング時間決定処理が実行される。
【0038】
クリーニング時間決定処理では、まず、先に終了した画像形成動作で用紙Pにカラー画像が形成されたか否かが判断される(ステップS1)。カラー画像が形成されたか否かは、たとえば、パーソナルコンピュータなどからカラープリンタ1が受信した画像データに基づいて判断することができる。すなわち、カラープリンタ1が受信した画像データにイエロー、マゼンタまたはシアンのトナー像を形成するためのデータが含まれていれば、用紙Pにカラー画像が形成されたと判断することができる。一方、カラープリンタ1が受信した画像データがブラックのトナー像を形成するためのデータのみであれば、用紙Pにモノクロ画像が形成され、用紙Pにカラー画像は形成されていないと判断することができる。
【0039】
先の画像形成動作で用紙Pにカラー画像が形成された場合には(ステップS1のYES)、次に、イエローの感光ドラム5にトナー像が形成されたか否かが判断される(ステップS2)。イエローのトナー像が形成されたか否かは、たとえば、パーソナルコンピュータなどからカラープリンタ1が受信した画像データに基づいて判断することができる。すなわち、カラープリンタ1が受信した画像データにイエローのトナー像を形成するためのデータが含まれていれば、イエローのトナー像が感光ドラム5に形成されたと判断することができる。
【0040】
イエローのトナー像が形成された場合には(ステップS2のYES)、クリーニング時間が第1時間に決定される(ステップS3)。第1時間は、イエローの感光ドラム5からベルトクリーナ18までの用紙搬送ベルト11の周回方向に沿った距離に応じて設定された時間である。
【0041】
イエローのトナー像が形成されていない場合には(ステップS2のNO)、マゼンタの感光ドラム5にトナー像が形成されたか否かが判断される(ステップS4)。マゼンタのトナー像が形成されたか否かは、たとえば、パーソナルコンピュータなどからカラープリンタ1が受信した画像データに基づいて判断することができる。すなわち、カラープリンタ1が受信した画像データにマゼンタのトナー像を形成するためのデータが含まれていれば、マゼンタのトナー像が感光ドラム5に形成されたと判断することができる。
【0042】
マゼンタのトナー像が形成された場合には(ステップS4のYES)、クリーニング時間が第2時間に決定される(ステップS5)。第2時間は、マゼンタの感光ドラム5からベルトクリーナ18までの用紙搬送ベルト11の周回方向に沿った距離に応じて設定された時間であり、第1時間よりも短い時間に設定されている。
【0043】
マゼンタのトナー像が形成されていない場合には(ステップS4のNO)、クリーニング時間が第3時間に決定される(ステップS6)。第3時間は、シアンの感光ドラム5からベルトクリーナ18までの用紙搬送ベルト11の周回方向に沿った距離に応じて設定された時間であり、第2時間よりも短い時間に設定されている。
【0044】
先の画像形成動作で用紙Pにカラー画像が形成されていない場合(ステップS1のNO)、つまり先の画像形成動作で用紙Pにモノクロ画像のみが形成された場合には、クリーニング時間が第4時間に決定される(ステップS7)。第4時間は、ブラックの感光ドラム5からベルトクリーナ18までの用紙搬送ベルト11の周回方向に沿った距離に応じて設定された時間であり、第3時間よりも短い時間に設定されている。
4.作用効果
4−1.作用効果1
以上のように、複数の感光ドラム5が用紙搬送ベルト11の周回方向に並列に配置されている。1つの感光ドラム5にトナー像が形成され、そのトナー像がシートに転写されることにより、用紙Pに単色のトナー像(画像)が形成される。また、複数の感光ドラム5にトナー像が形成され、それらのトナー像が用紙Pに重ねて転写されることにより、用紙Pにカラーのトナー像(画像)が形成される。
【0045】
各感光ドラム5に対応づけて、回収部材8が設けられている。感光ドラム5から用紙Pへのトナー像の転写後、回収部材8により、感光ドラム5に付着している付着物が回収される。クリーニング処理が実行されることにより、回収部材8に回収された付着物が感光ドラム5を経由して用紙搬送ベルト11に転移する。そして、その付着物は、ベルトクリーナ18により、用紙搬送ベルト11上から除去される。すなわち、回収部材8に回収された付着物は、クリーニング処理により、ベルトクリーナ18に再回収される。
【0046】
たとえば、用紙Pに単色の画像が形成される場合、その単色の感光ドラム5にトナー像が形成され、その他の感光ドラム5にはトナー像が形成されない。トナー像が形成されない感光ドラム5には付着物がほとんど付着しないので、当該感光ドラム5に対応づけて設けられている回収部材8からベルトクリーナ18への付着物の再回収の必要はない。
【0047】
そこで、クリーニング処理が実行される時間(クリーニング時間)の長さは、用紙Pに形成される画像の色に基づいて決定される。たとえば、用紙Pに単色の画像が形成される場合、そのトナー像が形成された感光ドラム5の位置に基づいて、クリーニング時間の長さが決定されるとよい。
【0048】
これにより、クリーニング時間をトナー像が形成された感光ドラム5の位置からベルトクリーナ18までの用紙搬送ベルト11の周回方向の長さに応じた適切な時間に設定することができる。
【0049】
よって、トナー像が形成された感光ドラム5に対応する回収部材8からベルトクリーナ18に付着物を再回収することができながら、そのクリーニング処理に長い時間が無駄に費やされることを防止できる。その結果、クリーニング処理前の画像形成動作の終了からクリーニング処理後の画像形成動作の開始までの時間を短くすることができる。
4−2.作用効果2
トナー像が形成された感光ドラム5のうち、ベルトクリーナ18の位置を基準として用紙搬送ベルト11の周回方向の最上流側に配置される感光ドラム5の位置に基づいて、クリーニング時間の長さが決定される。
【0050】
これにより、トナー像が形成されたすべての感光ドラム5に対応する回収部材8からベルトクリーナ18に付着物を再回収することができながら、そのクリーニング処理に長い時間が無駄に費やされることを防止できる。
4−3.作用効果3
複数色のトナー像の重ね合わせによるカラー画像を用紙Pに形成可能な画像形成装置において、通常、最も高頻度でモノクロ画像が用紙Pに形成される。モノクロ画像が用紙Pに形成された場合、その後のクリーニング処理では、黒色のトナー像が形成された感光ドラム5に対応する回収部材8からベルトクリーナ18に付着物を回収すればよい。
【0051】
黒色のトナー像が形成される感光ドラム5が用紙搬送ベルト11の周回方向においてベルトクリーナ18と最も近い位置に配置されているので、モノクロ画像の形成後のクリーニング処理に要する時間が短くてすむ。そのため、最も高頻度で行われるクリーニング処理に要する時間を短くすることができ、クリーニング処理前の画像形成動作の終了からクリーニング処理後の画像形成動作の開始までの時間を短くすることができる。
5.変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0052】
クリーニング時間決定部37は、クリーニング処理の前に実行された画像形成動作で用紙Pに形成された画像の色がモノクロであるかカラーであるかに基づいて、クリーニング時間を決定してもよい。たとえば、用紙Pに形成された画像の色がモノクロである場合には、クリーニング時間が第4時間(ブラックの感光ドラム5からベルトクリーナ18までの用紙搬送ベルト11の周回方向に沿った距離に応じて設定された時間)に決定され、用紙Pに形成された画像の色がカラーである場合には、クリーニング時間が第1時間(イエローの感光ドラム5からベルトクリーナ18までの用紙搬送ベルト11の周回方向に沿った距離に応じて設定された時間)である。
【0053】
また、各感光ドラム5の近傍に光学センサが設けられて、その光学センサによって検出される各感光ドラム5の表面の色に基づいて、各感光ドラム5にトナー像が形成されたか否かが判断され、その判断結果に基づいて、クリーニング時間の長さが決定されてもよい。
【0054】
さらにまた、各感光ドラム5の近傍に電位センサが設けられて、その電位センサによって検出される感光ドラム5の表面電位に基づいて、各感光ドラム5にトナー像が形成されたか否かが判断され、その判断結果に基づいて、クリーニング時間の長さが決定されてもよい。
【0055】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 カラープリンタ
5 感光ドラム
8 回収部材
11 用紙搬送ベルト
18 ベルトクリーナ
36 クリーニング処理実行部
37 クリーニング時間決定部
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単色の現像剤像による画像または複数色の現像剤像の重ね合わせによる画像をシートに形成する画像形成装置であって、
所定方向に並列に配置された複数の感光体と、
前記所定方向に走行し、各前記感光体に形成される現像剤像をシートに転写するためのベルトと、
各前記感光体に対応して設けられ、現像剤像がシートに転写された後に前記感光体に付着している付着物を回収する回収部材と、
前記ベルトに付着している付着物を除去するベルトクリーナと、
前記感光体、前記ベルトおよび前記回収部材を制御して、各前記回収部材から前記感光体を経由して前記ベルトに転移させるクリーニング処理を実行するクリーニング処理実行部と、
シートに形成される画像の色に基づいて、前記クリーニング処理が実行される時間を決定するクリーニング時間決定部とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニング時間決定部は、前記ベルトクリーナの位置を基準として、現像剤像が形成された前記感光体のうちの前記所定方向の最上流側に配置される前記感光体の位置に基づいて、前記クリーニング処理が実行される時間を決定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニング時間決定部は、シートに形成される画像が黒色のトナー像のみであるかカラーのトナー像を含むかに基づいて、前記クリーニング処理が実行される時間を決定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルトクリーナの位置を基準として、前記感光体のうちの前記所定方向の最下流側に配置される前記感光体には、黒色の現像剤像が形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−215767(P2012−215767A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81812(P2011−81812)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】