説明

画像形成装置

【課題】本発明の画像形成装置は、省電力のままで端末装置からの印刷要求を受け付けるとともに、印刷要求を満たす画像形成装置を判断し、印刷ジョブを実行するときだけ画像形成装置を起動する。
【解決手段】第1画像形成装置のサブCPUは、端末装置から印刷要求を受信すると、不揮発メモリに記憶された資材情報リストの自装置保有資材情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷ジョブを実行可能か判断する。第1画像形成装置で印刷ジョブが実行できない場合、第2画像形成装置に問い合わせを行う。第1画像形成装置は、印刷ジョブの実行可能か否かの判断と第2画像形成装置への問い合わせをスリープモードのまま行う。第1画像形成装置は、第2画像形成装置から不揮発メモリに記憶されている資材情報リストの自装置保有資材情報を取得し、印刷要求に基づく印刷ジョブを実行可能な画像形成装置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタなどの画像形成装置に係り、特に、省電力機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスや家庭などに設置されるプリンタや複合機などの画像形成装置が広く普及している。これらの画像形成装置は、主に、ネットワークを介してPC(パーソナルコンピュータ)などの複数の端末装置に接続されており、各端末装置からの指示により画像データやテキストデータを用紙に印刷するという印刷ジョブの実行を担っている。
【0003】
一方、プリンタや複合機などの画像形成装置に対する省電力化の要請が高まっている。このため、画像形成装置では、実行するジョブやユーザからの操作がない待機状態が一定時間以上継続すると、通常より電力消費の少ない省電力モードへ電源モードを自動的に遷移させる機能が設けられている。
【0004】
ところで、ネットワークに接続される端末装置の台数が多くなると、印刷ジョブの要求も増加する。そこで、増加する印刷ジョブの要求に対応するため、同一のネットワーク内に複数の画像形成装置が接続されることがある。この場合、端末装置のユーザは、複数の画像形成装置から自分が使用したい画像形成装置や通常使用する画像形成装置を選択して、印刷ジョブを実行することになる。
【0005】
しかし、選択された画像形成装置がトナー不足などの場合、印刷することができないので、ユーザは他の画像形成装置を探さなければならない。そこで、クライアントの端末措置から受信した印刷要求に対するジョブを、印刷装置が紙切れやトナー不足により実行できない場合に、他の印刷装置に対して代替印刷の可否に関する情報を問い合わせし、その問い合わせ結果をクライアントの端末装置に返信する印刷装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−99227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された印刷装置では、クライアントの端末装置から印刷要求が送信されても、印刷装置が省電力モードの場合には、その印刷装置は印刷要求を受信することができなかった。そのため、特許文献1に記載の印刷装置では、印刷要求に対する印刷ジョブの実行の可否をクライアントの端末装置に応答することができなかった。また、印刷装置が起動中であっても自装置で印刷要求に対する印刷ジョブを実行することができない場合には、他の印刷装置に代替印刷の可否について問い合わせを行う必要があり、他の印刷装置がスリープモードなどの省電力モードの場合には、他の印刷装置の代替印刷の可否に関する情報を取得することができなかった。
【0008】
仮に、省電力モードにある印刷装置が印刷要求を受信することができたとしても、その印刷装置が印刷要求に対する印刷ジョブを実行できない場合には、他の印刷装置に代替印刷の可否について問い合わせるので、他の印刷装置を次々とスリープモードから通常モードに起動させてしまう。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載の印刷装置は、端末装置の印刷要求に対する印刷ジョブを実行可能か否かを判断する目的のためだけに他の印刷装置を起動し、端末装置の印刷要求を満たす印刷装置が検出されるまで、次から次へと印刷装置を起動して、印刷要求に対する印刷ジョブが実行可能か可否判断を繰り返す。このため、印刷ジョブを実行するか否かにかかわらず印刷装置を起動させることになり、省電力モードには適さない。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、省電力のままで端末装置からの印刷要求を受け付けるとともに、印刷要求を満たす画像形成装置を判断し、印刷ジョブを実行するときだけ画像形成装置を起動することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0012】
[1]メインCPUと、該メインCPUより消費電力の少ないサブCPUと、前記メインCPUに制御されて記録紙に画像を形成する画像形成部と、ネットワークを介して外部装置と通信するためのネットワーク通信部と、自装置の印刷能力を示す印刷能力情報が記憶された不揮発メモリと、
を備え、
電源状態として前記メインCPUと前記サブCPUが稼動してジョブを実行可能な通常状態と、前記メインCPUは非稼動となり前記サブCPUおよび前記ネットワーク通信部は継続して稼動するスリープ状態と、を有し、
前記サブCPUは、
前記スリープ状態において前記ネットワーク通信部を通じて印刷要求を受信した場合は、
前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断し、その判断結果が実行可能な場合は、電源状態を前記通常状態に移行させて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置に実行させ、前記判断結果が実行不可の場合は、他の画像形成装置に問い合わせし、その応答に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、前記印刷要求に基づく印刷を他の画像形成装置に行わせる振り替え処理を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【0013】
上記発明では、メインCPUが非稼動であり、サブCPUとネットワーク通信部が稼動しているスリープ状態において、サブCPUは、印刷要求を受信した場合に、不揮発メモリに記憶された自装置が有する印刷能力を示す印刷能力情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断する。そして、自装置がその印刷要求に基づく印刷を実行可能な場合には、メインCPUを起動させ、電源状態を通常状態に移行させて、その印刷要求に基づく印刷を実行する。一方、印刷要求に基づく印刷を実行不可の場合には、サブCPUは、他の画像形成装置に問い合わせを行う。そして、サブCPUは、問い合わせの応答に基づいて、印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置に、その印刷要求の振り替え処理を行う。このように、サブCPUは、自装置で印刷要求に基づく印刷を実行する場合のみ、メインCPUを起動させて印刷ジョブを実行させるので、無駄な電力消費の発生を抑制することができる。また、サブCPUは不揮発メモリにアクセスし、不揮発メモリに記憶されている自装置の印刷能力情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷を実行可能か判断する。すなわち、メインCPUを起動することなくサブCPUだけで印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か判断するので、省電力モードを維持しながら印刷の実行可否を判断することができる。なお、サブCPUが他の画像形成装置に問い合わせを行う際に、問い合わせを行う方法は、他の画像形成装置が有する不揮発メモリに記憶された印刷能力情報を取得して印刷の実行可否を判断してもよく、また、他の画像形成装置のサブCPUに印刷要求に基づく印刷を実行可能か否かを判断させ、その可否判断結果を自装置が取得して、印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定してもよい。
【0014】
[2]前記メインCPUは、前記スリープ状態に移行する時点で自装置の最新の印刷能力を示す印刷能力情報が前記不揮発メモリに記憶されているように、前記不揮発メモリ内の印刷能力情報を更新する
ことを特徴とする[1]に記載の画像形成装置。
【0015】
上記発明では、印刷能力情報は、メインCPUがスリープ状態に移行する時点で、最新の印刷能力情報が不揮発メモリに記憶されているので、サブCPUは、印刷要求に基づく印刷の実行可否を判断する場合、自他共に夫々の画像形成装置の最新の印刷能力情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷の可否を判断することができる。なお、不揮発メモリに記憶される印刷能力情報は、最新の印刷能力情報が記憶されるように更新されていればよく、更新方法は特に限定されるものではない。たとえば、印刷ジョブやコピージョブを実行する度に、メインCPUはジョブ実行後の印刷能力情報を検知して、ジョブ実行が終了の度に不揮発メモリの印刷能力情報を更新してもよく、また、メインCPUが定期的に印刷能力情報を不揮発メモリに更新してもよく、また、メインCPUがスリープ状態に移行する際に、最新の印刷能力を更新するようにしてもよい。
【0016】
[3]前記サブCPUは、
前記判断結果が実行不可の場合は、他の画像形成装置に該画像形成装置の印刷能力を問い合わせし、この問い合わせに対する応答に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、
前記スリープ状態で前記問い合わせを他の画像形成装置から受信した場合は、前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報を、前記問い合わせの送信元の画像形成装置へ送信する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像形成装置。
【0017】
上記発明では、サブCPUは、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行不可の場合、他の画像形成装置に自身の印刷能力を問い合わせし、その問い合わせで得た他の画像形成装置の夫々の印刷能力情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、印刷要求を振り替える処理を行う。すなわち、サブCPUは、他の画像形成装置の夫々の印刷能力に基づいて、実行可能な他の画像形成装置を特定する。また、各画像形成装置は、他の画像形成装置から自装置の印刷能力の問い合わせを受信した場合には、不揮発メモリに記憶されている自装置の印刷能力情報を、問い合わせ元の画像形成装置に送信する。
【0018】
[4]前記サブCPUは、
前記判断結果が実行不可の場合は、前記印刷要求に基づく印刷の実行可否を他の画像形成装置に問い合わせし、この問い合わせに対する応答に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、
前記スリープ状態で前記問い合わせを他の画像形成装置から受信した場合は、前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断し、その判断結果を前記問い合わせの送信元の画像形成装置へ送信する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像形成装置。
【0019】
上記発明では、サブCPUは、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行不可の場合、印刷要求に基づく印刷の実行可否を他の画像形成装置の夫々に問い合わせし、他の画像形成装置の夫々の応答に基づいて、印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、印刷要求を振り替える処理を行う。すなわち、サブCPUは、印刷要求に基づく印刷の可否判断を、他の画像形成装置の夫々のサブCPUに判断させて、その可否判断結果の応答に基づいて、実行可能な他の画像形成装置を特定する。また、各画像形成装置は、他の画像形成装置から、印刷要求に基づく印刷の実行可否の問い合わせを受信した場合には、不揮発メモリに記憶された自装置の印刷能力情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断し、その判断結果を問い合わせ元の画像形成装置に送信する。
【0020】
[5]前記サブCPUは、
前記応答に基づいて、特定した前記他の画像形成装置が複数台あった場合には、所定の基準により、前記複数の他の画像形成装置に優先順位を割り当てて、振り替え処理を行う
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0021】
上記発明では、サブCPUは、応答結果に基づいて、印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置が複数台ある場合には、その複数の他の画像形成装置に優先順位を割り当てて、振り替える処理を行う。なお、優先順位は、印刷能力が高い順に優先順位を決定してもよく、もしくは、印刷資材の残数(残量)の高い順に優先順位を決定してもよく、もしくは、IPアドレス(Internet Protocol Address)を用いて自装置から近い順に優先順位を決定してもよい。
【0022】
[6]前記サブCPUは、
前記特定した画像形成装置の中から前記印刷要求に基づく印刷を実行させる画像形成装置の選択要求を前記印刷要求の送信元の装置に送信し、その選択結果を受信し、前記選択結果の示す画像形成装置に前記印刷要求に基づく印刷を振り替えて実行させる
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0023】
上記発明では、サブCPUは、特定した他の画像形成装置の中から、印刷要求に基づく印刷を実行させる画像形成装置をユーザに選択させることができる。具体的には、サブCPUは、印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置の選択要求を、印刷要求を送信した送信元に送信し、画像形成装置を選択させる。サブCPUは、選択された選択結果を受信することにより印刷要求に基づく印刷を振り替える画像形成装置を決定する。そして、決定した画像形成装置に印刷要求を振り替える処理を実行し、その画像形成装置に印刷させる。
【0024】
[7]前記印刷能力を示す印刷能力情報は、
印刷資材の保有状況を示す資材情報を少なくとも含む
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0025】
上記発明では、印刷能力情報は、画像形成装置に搭載されている記録紙の残数、装填されているトナーの残量などの印刷資材を示す資材情報を含んでいる。また、印刷能力情報には、印刷能力として、たとえば、モノクロ印刷、カラー印刷、両面印刷、ステイプルなどの機能の有無をはじめ、印刷スピードや高精度(精細度)などの性能の度合いを含めてもよい。
【0026】
[8]メインCPUと、該メインCPUより消費電力の少ないサブCPUと、前記メインCPUに制御されて記録紙に画像を形成する画像形成部と、ネットワークを介して外部装置と通信するためのネットワーク通信部と、自装置の印刷能力を示す印刷能力情報が記憶された不揮発メモリと、
を備え、
電源状態として前記メインCPUと前記サブCPUが稼動してジョブを実行可能な通常状態と、前記メインCPUは非稼動となり前記サブCPUおよび前記ネットワーク通信部は継続して稼動するスリープ状態と、を有し、
前記サブCPUは、
前記スリープ状態において、前記ネットワーク通信部を通じて自装置の印刷能力情報の問い合わせを受信した場合は、
前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報を、前記問い合わせの送信元の外部装置へ送信する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0027】
上記発明では、サブCPUは、スリープ状態において、自装置の印刷能力情報の問い合わせを受信した場合には、自装置が有する不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報を、問い合わせの送信元の外部装置に送信する。なお、問い合わせの送信元は、画像形成装置に限定されるものではなく、端末装置、サーバなどであってもよく、通信可能な外部装置であればよい。
【0028】
[9]メインCPUと、該メインCPUより消費電力の少ないサブCPUと、前記メインCPUに制御されて記録紙に画像を形成する画像形成部と、ネットワークを介して外部装置と通信するためのネットワーク通信部と、自装置の印刷能力を示す印刷能力情報が記憶された不揮発メモリと、
を備え、
電源状態として前記メインCPUと前記サブCPUが稼動してジョブを実行可能な通常状態と、前記メインCPUは非稼動となり前記サブCPUおよび前記ネットワーク通信部は継続して稼動するスリープ状態と、を有し、
前記サブCPUは、
前記スリープ状態において、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かの問い合わせを、前記ネットワーク通信部を通じて受信した場合は、
前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断し、その判断結果を前記問い合わせの送信元の外部装置へ送信する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0029】
上記発明では、サブCPUは、スリープ状態において、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かの問い合わせを受信した場合には、自装置が有する不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か判断する。そして、サブCPUは、判断結果を問い合わせの送信元の外部装置に送信する。なお、問い合わせの送信元は、画像形成装置に限定されるものではなく、端末装置、サーバなどであってもよく、通信可能な外部装置であればよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の画像形成装置によれば、省電力のままで端末装置からの印刷要求を受け付けるとともに、印刷要求を満たす画像形成装置を判断し、印刷ジョブを実行するときだけ画像形成装置を起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置が接続されたネットワークシステムの一例を示した構成図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を示したブロック図である。
【図3】端末装置の概略構成の一例を示したブロック図である。
【図4】不揮発メモリに記憶された資材情報リストを示した説明図である。
【図5】資材情報リストの自装置保有資材情報の送信要求を受けた第2画像形成装置の動作の流れを示した流れ図である。
【図6】第1画像形成装置が端末装置から印刷要求を受信した場合の動作の流れを示した流れ図である。
【図7】いずれの画像形成装置でも印刷ジョブを実行することができない場合の通知例を示した説明図である。
【図8】印刷ジョブの振り替え実行に関する処理の選択を受けるための選択画面の表示例を示した説明図である。
【図9】振り替え処理を実行する他の画像形成装置を選択する表示例について示した説明図である。
【図10】第1画像形成装置が他の画像形成装置に自動的に印刷ジョブを振り替える動作の流れを示した流れ図である。
【図11】端末装置の表示装置に振り替え実行がされた旨を表示する場合の通知例を示した説明図である。
【図12】画像形成装置のメインCPUが不揮発メモリの資材情報リストを更新する動作の流れを示した流れ図である。
【図13】第2の実施の形態に係る他の画像形成装置のサブCPUの動作の流れを示した流れ図である。
【図14】優先順位を割り当てた資材情報リストを示した説明図である。
【図15】画像形成装置までの距離に優先順位を割り当てた資材情報リストを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10が接続されたネットワークシステム5の一例を示している。画像形成装置10は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク2を介して複数台の端末装置30(以後、PCとも呼ぶ)と接続されている。
【0034】
画像形成装置10は、記録紙に画像を形成して出力する機能を備えたプリンタや複合機などである。本例では、画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピージョブ、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へネットワークを通じて送信したりするスキャンジョブ、端末装置30からネットワーク2を通じて受信した印刷データに係る画像を記録紙上に形成して印刷出力する印刷ジョブなどのジョブを実行する機能を備えた複合機である。
【0035】
画像形成装置10は、電源モードとして、すべての部分に通電されてジョブを実行可能な通常モードと、通常モードより電力消費の少ないスリープモードを備えている。これら電源モードの詳細については後述する。
【0036】
また、画像形成装置10は、通常モードにおいて、ジョブを実行せずかつユーザから操作を何ら受けない状態(待機状態)が所定時間(第1設定時間、たとえば、30分)継続すると、自動的にスリープモードへ移行する機能を有している。
【0037】
端末装置30は、画像形成装置10に対して、スキャンジョブや印刷ジョブなどのジョブを投入してその実行などを要求する機能を備えた情報処理装置である。端末装置30は、OSプログラムや画像形成装置10のドライバプログラム、文書や画像を作成・編集するアプリケーションプログラムなどがインストールされたパーソナルコンピュータなどである。スキャンジョブや印刷ジョブの投入など画像形成装置10に対する各種の要求は画像形成装置10用のドライバプログラムによって行われる。
【0038】
端末装置30も複数の電源モードを備えている。ここでは、各部へ通電されて各種の処理を実行可能な通常モード、通常モードより電力消費の少ないスリープモードを備えている。
【0039】
画像形成装置10は、ネットワーク2に接続されている端末装置30に対して、その電源状態と当該画像形成装置10用のドライバプログラムがインストールされているか否かとを問い合わせし、その応答結果に応じて、自装置の電源モードを切り替える機能を備えている。たとえば、自装置用のドライバプログラムがインストールされている端末装置30の電源状態がすべてスリープモードの場合に、自装置の電源モードをスリープモードに変更する機能(電力モード自動変更機能)を備えている。問い合わせは、繰り返し行われる。たとえば、一定周期で行われる。
【0040】
図2は、画像形成装置10の概略構成を示している。画像形成装置10は、当該画像形成装置10の動作を統括制御する制御部としてのメインCPU(Central Processing Unit)11と、このメインCPU11にバスなどを介して接続された画像読取部12と、画像形成部13と、ROM(Read Only Memory)14と、RAM(Random Access Memory)15と、表示部16と、操作部17と、画像処理部18とを備えている。画像形成装置10は、さらに、サブCPU21と、不揮発メモリ22と、ネットワークI/F部23と、ハードディスク装置24と、メモリ25と、電源部26とを備えている。
【0041】
サブCPU21は、メインCPU11より処理能力が小さく消費電力も少ないCPUである。メインCPU11ではOSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。サブCPU21は、OSプログラムなしで動作し、メインCPU11に比べて、負荷の少ない処理を実行する。
【0042】
メインCPU11とサブCPU21は互いに信号や情報を授受可能に接続されている。画像読取部12、画像形成部13、表示部16、操作部17、画像処理部18はメインCPU11によって動作が制御される。たとえば、メインCPU11は、ネットワーク2を通じて端末装置30から受信した印刷要求に応じて、画像形成部13にその印刷要求にかかわる画像形成動作を行わせるように制御する。不揮発メモリ22、ネットワークI/F部23、ハードディスク装置24、メモリ25はメインCPU11とサブCPU21の双方からアクセス可能となっている。メモリ25や不揮発メモリ22はメインCPU11とサブCPU21との間の情報授受の媒体としても使用される。
【0043】
電源部26は、商用電源を適宜の電圧に変換して画像形成装置10の各部へ電力を供給する。また、サブCPU21からの指示に従って、電力を供給するか供給停止するかを電力供給先別に制御する機能を備えている。ここでは、通常モードでは全ての部分に電力供給し、スリープモードでは、メインCPU11、画像読取部12、画像形成部13、表示部16、画像処理部18、ハードディスク装置24への電源供給は停止する。サブCPU21、不揮発メモリ22、ネットワークI/F部23、メモリ25には、図示省略のメイン電源スイッチがオフされたり商用電源の供給が停止されたりしない限り、常時通電される。
【0044】
ROM14には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってメインCPU11が処理を実行することでジョブの実行といった画像形成装置10の各機能が実現される。RAM15はメインCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0045】
画像読取部12は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読取部12は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0046】
画像形成部13は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。画像形成は他の方式でもかまわない。
【0047】
画像形成装置10の操作パネルは表示部16と操作部17を備えて構成される。表示部16は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。操作部17は、ユーザからジョブの投入や設定など各種の操作を受け付ける機能を果たす。操作部17は、表示部16の画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほかテンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えて構成される。
【0048】
画像処理部18は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。
【0049】
メモリ25はサブCPU21のワークメモリとして使用される。不揮発メモリ22は、電源がオフされても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ22には、各端末装置30への電源状態やドライバプログラムのインストール状況を問い合わせた結果などが記憶されるほか、サブCPU21が実行するプログラムなども記憶されている。また、不揮発メモリ22には、印刷能力情報が記憶されており、該印刷能力情報に基づいて印刷要求の示す印刷ジョブを実行可能か否かを判断するようになっている。ネットワークI/F部23は、ネットワーク2を通じて端末装置30やその他の外部装置と各種のデータを送受信する機能を果たす。ハードディスク装置24は、大容量不揮発の記憶装置であり、たとえば、印刷データや画像データの保存に使用される。
【0050】
画像形成装置10は、サブCPU21が稼動している状態であれば、メモリ25や不揮発メモリ22へのアクセス、ネットワークI/F部23による通信を行うことができる。すなわち、ネットワークI/F部23はサブCPU21によってルーティングされ、OS上のソフトウェアに依存することなく、ネットワーク2を介して端末装置30などの外部装置と特定のプロトコルによって通信することができる。なお、本実施の形態では、サブCPU21は、スリープモードにおいて、ネットワークI/F部23を介して端末装置30と通信を行うことを前提としている。
【0051】
本発明の画像形成装置10は、端末装置30から印刷要求を受信すると、不揮発メモリ22に記憶されている印刷能力情報に基づいて、自装置でその印刷要求にかかわる印刷ジョブを実行可能か否かを判断し、実行可能な場合には自装置で印刷ジョブを実行し、実行不可の場合には、他の画像形成装置10に問い合わせし、その問い合わせ結果に基づいて、該印刷要求を他の画像形成装置10に振り替えるようになっている。
【0052】
なお、前述の問い合わせには、他の画像形成装置10にその画像形成装置10の印刷能力情報を要求する第1方式の問い合わせと、他の画像形成装置10に印刷要求を送信し、その送信先の画像形成装置10にその印刷要求にかかわる印刷ジョブを実行可能か否かを判断させて、その判断結果を受信する第2方式の問い合わせとがある。
【0053】
画像形成装置10のサブCPU21は、スリープモードにおいて、自装置の印刷能力情報の問い合わせ(前述の第1方式の問い合わせ)を受信した場合には、自装置が有する不揮発メモリ22に記憶されている印刷能力情報を、問い合わせの送信元の外部装置に送信するようになっている。なお、問い合わせの送信元は、画像形成装置10に限定されるものではなく、端末装置30、サーバなどであってもよく、通信可能な外部装置であればよい。
【0054】
また、画像形成装置10のサブCPU21は、スリープモードにおいて、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かの問い合わせ(前述の第2方式の問い合わせ)を受信した場合には、自装置が有する不揮発メモリ22に記憶されている印刷能力情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断する。そして、その判断結果を問い合わせの送信元の外部装置に送信するようになっている。この場合も同様に、問い合わせの送信元は、画像形成装置10に限定されるものではなく、端末装置30、サーバなどであってもよく、通信可能な外部装置であればよい。
【0055】
以下の説明において、端末装置30から印刷要求を受信する画像形成装置10と問い合わせ要求を受信する側の画像形成装置10とを区別して示す場合には、端末装置30からの印刷要求を受信する画像形成装置10を第1画像形成装置10と、問い合わせ要求を受信する側の画像形成装置10を第2画像形成装置10と呼ぶものとする。また、総称して画像形成装置10を示すときは、単に画像形成装置10という。そして、第2画像形成装置10は複数の場合もあるので、第2画像形成装置10を含む複数の他の画像形成装置10を、単に他の画像形成装置10という。
【0056】
図3は、端末装置30の概略構成の一例を示している。端末装置30は、メインCPU31と、サブCPU32と、ROM33と、RAM34と、入出力I/F部35と、不揮発メモリ36と、ネットワークI/F部37と、ハードディスク装置38と、メモリ39と、電源部41とを備えている。さらに入出力I/F部35を介して、液晶ディスプレイなどの表示装置42と、キーボードやマウスなどの入力デバイス43が接続されている。
【0057】
ROM33には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM34は、ハードディスク装置38からロードしたプログラムが記憶される。またRAM34は、メインCPU31がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0058】
不揮発メモリ36は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、ドライバプログラムのインストール状況を示すドライバ情報などが記憶される。ネットワークI/F部37は、ネットワーク2を介して画像形成装置10や他の外部装置と各種のデータを送受信する機能を果たす。ハードディスク装置38は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや画像形成装置10のドライバプログラム、ミドルウェア、各種アプリケーションプログラム、ファイル、データなどが保存される。
【0059】
端末装置30においても、サブCPU32は、メインCPU31より処理能力が小さく消費電力も少ないCPUである。メインCPU31ではOSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。サブCPU32は、OSプログラムなしで動作し、メインCPU31に比べて、負荷の少ない処理を実行する。
【0060】
メインCPU31とサブCPU32は互いに信号や情報を授受可能に接続されている。不揮発メモリ36、ネットワークI/F部37、ハードディスク装置38、メモリ39はメインCPU31とサブCPU32の双方からアクセス可能となっている。メモリ39や不揮発メモリ36はメインCPU31とサブCPU32との間の情報授受の媒体としても使用される。
【0061】
電源部41は、商用電源を適宜の電圧に変換して端末装置30の各部へ電力を供給する。また、サブCPU32からの指示に従って、電力を供給するか供給停止するかを電力供給先別に制御する機能を備えている。ここでは、通常モードでは全ての部分に電力供給し、スリープモードでは、入出力I/F部35、ハードディスク装置38への電源供給は停止する。サブCPU32、不揮発メモリ36、ネットワークI/F部37、メモリ39には、図示省略のメイン電源スイッチがオフされたり商用電源の供給が停止されたりしない限り、常時通電される。またスリープモードでは、メインCPU31は、たとえば通常モードの10パーセント程度に処理能力を下げて電力消費を抑えたスリープ状態に遷移する。
【0062】
端末装置30は、画像形成装置10と同様に、サブCPU32が稼動している状態であれば、メモリ39や不揮発メモリ36へのアクセス、ネットワークI/F部37による通信を行うことができる。すなわち、ネットワークI/F部37はサブCPU32によってルーティングされ、OS上のソフトウェアに依存することなく、ネットワーク2を介して画像形成装置10などの外部装置と特定のプロトコルによって通信することができる。なお、本実施の形態では、サブCPU32は、スリープモードにおいて、ネットワークI/F部37を介して画像形成装置10のサブCPU21と通信を行うことを前提としている。
【0063】
なお、本実施の形態における以下の説明では、印刷能力は画像形成装置10が保有する資材で判断するものとし、印刷能力情報として資材情報リストを使用するものとする。
【0064】
次に、画像形成装置10の資材情報リスト51について説明する。
【0065】
図4は、不揮発メモリ22に記憶された資材情報リスト51を示している。資材情報リスト51には、自装置および他の画像形成装置10について、それぞれの装置が有する印刷資材の保有量が登録されている。詳細には、資材情報リスト51には、外部機器、IPアドレス(Internet Protocol Address)、トレイ1、トレイ2、・・・トナーY、トナーM、・・・糊、針、メンテナンスの各情報が登録されている。外部機器の欄には、画像形成装置10に接続されている各画像形成装置10の装置名称(すなわち、(MFP1)、MFP2、MFP3、MFP4)が記載されている。なお、()で記載された装置名称は、自装置であることを示している。IPアドレスの欄には、各画像形成装置10のIPアドレスが記載されている。トレイ1の欄には、各画像形成装置10のトレイ1の記録紙の残数が記載され、トレイ2の欄には、各画像形成装置10のトレイ2の記録紙の残数が記載され、トナーYの欄には、各画像形成装置10のイエローのトナーの残量が記載され、トナーMの欄には、各画像形成装置10のマゼンタのトナーの残量が記載されている。糊の欄には、各画像形成装置10の糊の残量が記載されている。針の欄には、各画像形成装置10の針の残量が記載されている。メンテナンスの欄には、各画像形成装置10のメンテナンスの要否が記載されている。
【0066】
より具体的には、図4の例では、MFP1の画像形成装置(自装置)10は、IPアドレスが「192.168.0.1」であり、トレイ1には「A4の記録紙の残数が0枚」であり、トレイ2には「A4の記録紙の残数が0枚」であり、トナーYは「残量が80%」であり、トナーMは「残量が80%」であり、糊は「残量が80%」であり、針は「残量が80%」であり、メンテナンスは「不要」となっている。
【0067】
MFP2の画像形成装置10は、IPアドレスが「192.168.0.2」であり、トレイ1には「A4の記録紙の残数が200枚」であり、トレイ2には「A4の記録紙の残数が500枚」であり、トナーYは「残量が0%」であり、トナーMは「残量が50%」であり、糊は「残量が60%」であり、針は「残量が60%」であり、メンテナンスは「不要」となっている。
【0068】
MFP3の画像形成装置10は、IPアドレスが「192.168.0.3」であり、トレイ1には「A4の記録紙の残数が500枚」であり、トレイ2には「A3の記録紙の残数が200枚」であり、トナーYは「残量が60%」であり、トナーMは「残量が60%」であり、糊は「残量が60%」であり、針は「残量が60%」であり、メンテナンスは「不要」である。
【0069】
MFP4の画像形成装置10は、IPアドレスが「192.168.0.4」であり、トレイ1には「A4の記録紙の残数が300枚」であり、トレイ2には「A4Rの記録紙の残数が200枚」であり、トナーYは「残量が60%」であり、トナーMは「残量が50%」であり、糊は「残量が60%」であり、針は「残量が60%」であり、メンテナンスは「要」となっている。
【0070】
なお、資材情報リスト51において、MFP1は自装置である旨を上述したが、自装置が保有する資材とその分量のことを、自装置保有資材情報というものとする。一方、MFP2〜MFP4のように自装置以外の画像形成装置10が有する資材とその分量のことを、外部装置保有資材情報というものとする。
【0071】
画像形成装置10のサブCPU21は、不揮発メモリ22に記憶されている資材情報リスト51に基づいて、印刷ジョブを実行することができるか否かを判断している。具体的には、画像形成装置10のサブCPU21は、印刷ジョブに必要とされる資材の種類とその使用数を、自装置が保有しているか否かを資材情報リスト51に記載されている資材情報に基づいて判断する。すなわち、画像形成装置10のサブCPU21は、印刷ジョブで必要な各資材の使用数(または使用量)よりも、資材情報リスト51に記憶されている自装置が保有するその必要な各資材の残数(または残量)の方が多いまたは等しい場合に、自装置で印刷ジョブを実行可能と判断する。一方、印刷ジョブで必要な各資材の使用数(または使用量)よりも、資材情報リスト51に記憶されている自装置が保有するその必要な各資材の残数(または残量)の方が少ない場合には、自装置では印刷ジョブを実行不可と判断する。
【0072】
たとえば、印刷ジョブに必要とされる必要資材情報が、A4サイズのモノクロ印刷を100枚実行する場合、画像形成装置10のサブCPU21は、資材情報リスト51に記載されている自装置保有資材情報が、A4サイズの記録紙を100枚以上有し、かつ黒のトナーを適量に有している場合に、自装置で印刷ジョブを実行可と判断する。
【0073】
なお、画像形成装置10では、他のトナーとしてシアンのトナー(トナーC)も使用されている、図4の資材情報リスト51では、その記載を省略している。また、いずれの項目も例示であり、トレイの種類として手差しトレイがあってもよい。
【0074】
また、資材情報リスト51は、印刷資材を示す資材情報であったが、本実施の形態はこれに限らず、印刷能力として、たとえば、モノクロ印刷、カラー印刷、両面印刷、ステープル機能、中折りや三つ折りなどの折り機能、左2穴などのパンチ機能などの機能の有無をはじめ、印刷スピードの設定・変更や高精度(精細度)などの性能の優劣を印刷能力情報に含め、印刷ジョブの実行可否を判断するようにしてもよい。
【0075】
次に、第2画像形成装置(MFP2〜4)10が、不揮発メモリ22に記憶している資材情報リスト51の自装置保有資材情報を、第1画像形成装置10に送信する動作について説明する。
【0076】
<資材情報リスト送信処理>
図5は、資材情報リスト51の自装置保有資材情報の送信要求を受けた第2画像形成装置(MFP2〜4:図1)10の動作の流れを示している。第2画像形成装置10は、第1画像形成装置10から資材情報要求パケットRを受信すると(ステップS101;Yes)、該第2画像形成装置10のサブCPU21は、自装置の不揮発メモリ22に記憶されている資材情報リスト51の自装置保有資材情報を読み込み(ステップS102)、資材情報応答パケットSを作成し、その応答パケットSを資材情報要求パケットRの送信元である第1画像形成装置10に送信する(ステップS103)。
【0077】
次に、第1画像形成装置10が端末装置30から印刷要求を受信した場合の動作について説明する。
【0078】
<印刷要求の受信処理>
図6は、第1画像形成装置10が端末装置30から印刷要求を受信した場合の動作の流れを示している。
【0079】
まず、第1画像形成装置10は、端末装置30から印刷要求P(図1)を受信する(ステップS201)。第1画像形成装置10のサブCPU21は、自装置の不揮発メモリ22から資材情報リスト51に記憶された自装置保有資材情報を読み出して参照する(ステップS202)。そして、画像形成装置10のサブCPU21は、印刷要求Pに基づく印刷ジョブを実行できるか否かを判断する(ステップS203)。その結果、印刷ジョブを実行することができると判断された場合には(ステップS203;No)、もし第1画像形成装置10のメインCPU11がスリープモードに移行していれば、そのメインCPU11をスリープモードから起動させ(ステップS220)、そのメインCPU11に画像形成部13を用いて印刷ジョブを実行させる(ステップS221)。なお、印刷ジョブの実行が終わった後、メインCPU11は、所定時間経過後に、スリープモードに移行する。
【0080】
一方、印刷ジョブを実行することができないと判断された場合には(ステップS203;Yes)、第1画像形成装置10のサブCPU21は、他の画像形成装置10に資材情報要求パケットR(図1)を送信し(ステップS204)、該他の画像形成装置10から、それぞれの資材情報応答パケットS(図1)を受信する(ステップS205)。これにより、第1画像形成装置10のサブCPU21は、資材情報リスト51の外部装置保有資材情報を登録・更新する。
【0081】
第1画像形成装置10のサブCPU21は、更新された資材情報リスト51の外部装置保有資材情報を参照し、印刷要求Pに基づく印刷ジョブを実行できるか否かを判断する(ステップS206)。いずれの他の画像形成装置10も、印刷ジョブを実行することができないと判断された場合には(ステップS206;No)、第1画像形成装置10は、現在の全ての画像形成装置10の資材情報では、印刷ジョブを実行することができない旨を端末装置30に送信する(ステップS207)。
【0082】
この場合、印刷ジョブを実行することができないので、たとえば、第1画像形成装置10は、端末装置30の表示装置42に次のような表示を行う。
【0083】
図7は、いずれの画像形成装置10でも印刷ジョブを実行することができない場合の通知例を示している。図7の例では、「用紙切れの為、ジョブ実行できません。ネットワーク上に振り替え実行可能なプリンタがありません。」と、端末装置30の表示装置42に表示されている。
【0084】
一方、印刷ジョブを実行することができると判断された場合には(ステップS206;Yes)、第1画像形成装置10のサブCPU21は、他の画像形成装置10に印刷ジョブを振り替えて、印刷ジョブを実行できる判断結果を含む振り替え選択要求Q(図1)を、端末装置30に送信する(ステップS208)。ここでは、振り替え選択要求Qに、振り替え先の候補となる画像形成装置10に関する情報を含むものとする。
【0085】
該振り替え選択要求Qを受信した端末装置30は、印刷ジョブの振り替え実行に関する処理の選択を受けるための選択画面を表示装置42に表示させる。なお、処理の選択は、ユーザが端末装置30の入力デバイス43を用いて選択することにより行われる。
【0086】
図8は、印刷ジョブの振り替え実行に関する処理の選択を受けるための選択画面の表示例を示している。図8に示す表示例では、「用紙切れの為、ジョブ実行できません。他のプリンタへ振り替え実行しますか?」と表示されている。この選択画面には、処理の選択釦として、「MFP1で実行する(ジョブ保留)」と、「振り替え実行する(ジョブ振替)」と、「振り替え実行しない(ジョブ破棄)」の3つの選択肢が表示される。そして、端末装置30のメインCPU31は、ユーザからの処理の選択を待ち受ける。
【0087】
上記選択肢におけるジョブ保留は、現在MFP1は印刷不可ではあるが(図5参照)、MFP1で実行することを希望するのでジョブを保留することを、ジョブ振替は、印刷可能な画像形成装置10に印刷ジョブを振り替え実行することを、ジョブ破棄は、印刷ジョブを実行せず、印刷ジョブを廃棄することを示している。
【0088】
端末装置30のメインCPU31は、入力デバイス43を用いて選択された選択肢を検出し、ジョブの保留か、ジョブ振替か、ジョブ破棄のいずれかの処理の選択を示す情報を取得する。
【0089】
ここで、ジョブの保留もしくはジョブ破棄が選択された場合は、その選択結果の情報を、振り替え選択要求の送信元である第1画像形成装置10に送信する。
【0090】
ジョブ振替が選択された場合には、端末装置30のメインCPU31は、振り替え実行の候補となる他の画像形成装置10を、端末装置30の表示装置42に表示する。
【0091】
図9は、振り替え処理を実行する他の画像形成装置10を選択する表示例について示している。図9に示す表示例では、プリンタ名、ポート、選択、優先順位の欄が、端末装置30の表示装置42に表示されている。プリンタ名の欄には、4つのプリンタ名(MFP2〜5)が記載され、ポートの欄には、各プリンタのポートの番号が記載され、選択の欄には、各プリンタによる印刷ジョブが可能か否かが記載され、優先順位の欄には、各プリンタで印刷可の場合の優先順位が、「◎○」で記載されている。なお、「◎」は、現在の印刷ジョブに適しており、優先順位が他のプリンタよりも相対的に高いことを示しており、「○」は、そのプリンタを使用しても、何ら支障なく印刷できる旨を意味している。
【0092】
具体的には、MFP2は、ポートの番号は「192.168.0.2」であり、MFP2の選択は「不可」であり、「不可」のため、優先順位は無記入である。MFP3は、ポートの番号は「192.168.0.3」であり、MFP3の選択は「印刷可」であり、優先順位は「◎」となっている。MFP4は、ポートの番号は「192.168.0.4」であり、MFP4の選択は「不可」であり、「不可」のため、優先順位は無記入である。MFP5は、ポートの番号は「192.170.0.4」であり、MFP5の選択は「印刷可」であり、優先順位は「○」となっている。
【0093】
ユーザが端末装置30の入力デバイス43を操作して、振り替え先の画像形成装置10を選択すると、端末装置30は、選択された画像形成装置10を示す選択結果の情報を、振り替え選択要求Qの送信元である第1画像形成装置10に送信する。
【0094】
たとえば、図9の例では、印刷可能なMFP3かMFP5が選択候補となる。したがって、ユーザは、端末装置30の入力デバイス43を用いて、MFP3またはMFP5を選択する。端末装置30は、画像形成装置10に、選択された画像形成装置10を示す選択結果の情報を送信する。
【0095】
端末装置30から選択結果の情報を受信した第1画像形成装置10のサブCPU21は(ステップS209)、選択処理の情報がジョブ保留を示す場合には(ステップS210;Yes)、ジョブを保留し(ステップS211)、終了する。
【0096】
一方、選択処理の情報がジョブ振替を示す場合には(ステップS210;No、ステップS212;Yes)、選択結果の情報によりどの画像形成装置10が選択されたかを判断し、その選択された画像形成装置10に印刷要求を送信する(ステップS213)。
【0097】
一方、選択結果の情報がジョブ破棄を示す場合には(ステップS212;No)、第1画像形成装置10は、端末装置30から受信した印刷要求を破棄する(ステップS214)。
【0098】
次に、画像形成装置10のサブCPU21が、印刷ジョブの振り替え実行を自動的に行う動作について説明する。
【0099】
<印刷ジョブの自動振り替え実行処理>
図10は、第1画像形成装置10が他の画像形成装置10に自動的に印刷ジョブを振り替える動作の流れを示している。なお、図6と同様に、前提として、全ての画像形成装置10は、現在省電力モードに移行しており、いずれのメインCPU11もスリープモードにあると想定する。また、図6の処理と同一の処理を行うところは、その旨を明記して説明を省略し、図6の処理と異なる処理について説明する。
【0100】
まず、図10に示すステップS301からステップS305までの処理は、図6に示すステップS201からステップS205の処理と同一であるため、説明を省略する。また、ステップS320およびS321の処理も、ステップS220およびS221の処理と同一であるため、省略する。
【0101】
第1画像形成装置10は、資材情報応答パケットSを他の画像形成装置10から取得し、資材情報リスト51に記憶された外部装置保有資材情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷ジョブを実行可能な他の画像形成装置10を特定し、振り替え先となる画像形成装置10を決定する(ステップS306)。ここでは、機能と性能に基づいて、処理速度の速い順に、振り替え先の画像形成装置10を自動的に決定する。
【0102】
たとえば、画像形成装置10の機能の制限により、両面カラー印刷や小冊子作成を行うなど予め対応可能な画像形成装置10が決まっている場合、それらの機能に対応した画像形成装置10であって、最も処理が早く完了する順に画像形成装置10を自動決定する。
【0103】
なお、所定の基準による優先順位を設けておき、その優先順位に基づいて、印刷ジョブの振り替え先を決定してもよい。
【0104】
第1画像形成装置10のサブCPU21は、振り替え先の画像形成装置10に、印刷要求を送信する(ステップS307)。印刷要求の振り替え実行を行った第1画像形成装置10のサブCPU21は、印刷要求に基づく印刷ジョブを他の画像形成装置10に振り替え実行をした旨を、端末装置30に通知する(ステップS308)。
【0105】
図11は、端末装置30の表示装置42に振り替え実行がされた旨を表示する場合の通知例を示している。図11の例では、MFP1では印刷ジョブを実行できなかったので、記録紙を大量に積載しており、かつ両面カラー印刷を高速に印刷可能な画像形成装置(たとえば、MFP6とする。)10を振り替え先にして、振り替え実行した例を示している。具体的には、「用紙切れの為、ジョブ実行できませんでした。下記のプリンタへ振り替え実行しました。MFP6 192.168.0.5」と端末装置30の表示装置42に表示される。
【0106】
次に、不揮発メモリ22に記憶された資材情報リスト51の自装置保有資材情報を更新する動作について説明する。
【0107】
<資材情報リスト(印刷能力情報)更新処理>
図12は、画像形成装置10のメインCPU11が不揮発メモリ22の資材情報リスト51の自装置保有資材情報を更新する動作の流れを示している。なお、前提として、画像形成装置10のメインCPU11は、現在起動しているものとする。
【0108】
画像形成装置10のメインCPU11は、画像読取部12や画像形成部13を制御して、コピージョブや印刷ジョブを実行する(ステップS401)。画像形成装置10のメインCPU11は、これらの各種ジョブを実行すると、そのジョブの実行により記録紙やトナーを使用する。画像形成装置10のメインCPU11は、ジョブ実行後の資材情報を検知して、不揮発メモリ22の資材情報リスト51の自装置保有資材情報を更新する(ステップS402)。画像形成装置10のメインCPU11は、ジョブ実行後、所定時間経過すると、スリープモードに移行する(ステップS403)。
【0109】
このように、画像形成装置10のメインCPU11は不揮発メモリ22の資材情報リスト51の自装置保有資材情報を更新し、また、他の画像形成装置10から最新の自装置保有資材情報を取得するので、画像形成装置10のサブCPU21は、常に最新の資材情報リスト51に基づいて、印刷要求に対する印刷ジョブの実行可否を判断することができる。
【0110】
<第2の実施の形態>
上記説明した第1の実施の形態では、印刷要求にかかわる印刷ジョブを自装置で実行不可の場合に、第1画像形成装置10のサブCPU21は、他の画像形成装置10から不揮発メモリ22に記憶された資材情報リスト51の自装置保有資材情報を取得し、端末装置30の印刷要求に基づく印刷ジョブを振り替え実行をしていた。
【0111】
第2の実施の形態では、第1画像形成装置10のサブCPU21は、端末装置30から受信した印刷要求にかかわる印刷ジョブを自装置で実行不可の場合に、その印刷要求を他の画像形成装置10に送信し、他の画像形成装置10のサブCPU21に印刷要求に基づく印刷ジョブの実行可否を判断させる。これにより、第1画像形成装置10のサブCPU21は、印刷要求に基づく印刷ジョブの実行可否を判断する必要がなく、他の画像形成装置10から印刷ジョブの実行可否判断結果を取得して、画像形成装置10ごとの実行可否判断結果を端末装置30の表示装置42に表示させることができる。
【0112】
まず、第2の実施の形態では、端末装置30から印刷要求P(図1)を受信した第1画像形成装置10のサブCPU21は、不揮発メモリ22に記憶されている資材情報リスト51の自装置保有資材情報に基づいて、自装置で印刷要求Pに基づく印刷ジョブを実行することができないと判断した場合に、印刷要求Pをデータ解析した印刷要求Tを、第2画像形成装置10に送信する。
【0113】
すなわち、第1画像形成装置10のサブCPU21は、端末装置30から受信した印刷要求Pの印刷データを解析して、印刷ジョブを実行するために必要とされる資材の種類とその使用数(または使用量)を特定し、これらを示す情報を印刷要求Tとして他の画像形成装置10に送信するようになっている。ここで、印刷要求Tは、たとえば、印刷に必要な印刷資材の情報を有しており、モノクロ印刷で50枚分や両面カラー印刷で100枚分などの印刷資材で必要な使用量に関する情報を有している。すなわち、この印刷要求Tの内容は、画像形成装置10で印刷ジョブを実行する際に必要な印刷資材の使用量を示している。
【0114】
図13は、第2の実施の形態に係る第2画像形成装置10のサブCPU21の動作の流れを示している。
【0115】
第2画像形成装置10のサブCPU21は、第1画像形成装置10から印刷要求Tを受信すると(ステップS501;Yes)、自装置の不揮発メモリ22の資材情報リスト51に記憶された自装置保有資材情報を読み込む(ステップS502)。第2画像形成装置10のサブCPU21は、読み込んだ自装置保有資材情報に基づいて、印刷要求Tに基づく印刷ジョブを実行可能か否かを判断する(ステップS503)。第2画像形成装置10のサブCPU21は、印刷要求Tに基づく印刷ジョブの実行可否について、可否判断結果パケットを作成し、送信元である第1画像形成装置10へ、その可否判断結果パケットを送信する(ステップS504)。
【0116】
以上説明したように、本実施の形態では、第1画像形成装置10のサブCPU21は、端末装置30から印刷要求を受信すると、不揮発メモリ22に記憶された資材情報リスト51の自装置保有資材情報に基づいて、印刷要求に基づく印刷ジョブを実行可能か否かを判断する。そして、第1画像形成装置10で印刷ジョブが実行できない場合には、第2画像形成装置10に問い合わせを行う。第1画像形成装置10は、印刷ジョブの実行可能か否かの判断と第2画像形成装置10への問い合わせをスリープモードのまま行う。問い合わせを行った第1画像形成装置10は、第2画像形成装置10から、第2画像形成装置10の不揮発メモリ22に記憶されている資材情報リスト51の自装置保有資材情報を取得する。これにより、第1画像形成装置10のサブCPU21は、印刷要求に基づく印刷ジョブを実行可能な画像形成装置10を特定する。
【0117】
このように、第1画像形成装置10は、端末装置30から印刷要求を受信し、印刷ジョブを実行すべき画像形成装置10を特定するまで、すべてスリープモードで行うことができる。したがって、画像形成装置10は、省電力のままで端末装置30からの印刷要求を受け付けるとともに、印刷要求を満たす画像形成装置10を判断し、印刷ジョブを実行するときだけその画像形成装置10を起動することができる。
【0118】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0119】
たとえば、図10において、第1画像形成装置10が印刷ジョブの実行を可否判断し、他の画像形成装置10に自動的に印刷ジョブを振り替える動作の流れを説明した。図10の例では、MFP3の画像形成装置10に振り替え実行がなされていたが、振り替え先となる他の画像形成装置10に他の基準に基づく優先順位を設け、その優先順位に基づいて、一番優先順位の高い画像形成装置10を振り替え実行先として自動的に振り替え実行してもよい。
【0120】
図14は、優先順位を割り当てた資材情報リスト52を示している。図14の資材情報リスト52が図4の資材情報リスト51と異なる点は、トレイ1とトレイ2に搭載されているA4サイズの記録紙の総数が最も多く搭載されている画像形成装置10に対して、優先順位を高く設定するようになされている。そのため、自装置のサブCPU21は、印刷要求に基づく印刷ジョブが実行可能か否かを判断する際に、トレイの記録紙の総数に基づいて、他の画像形成装置10に優先順位を割り当てている。
【0121】
すなわち、図14に示すMFP1は、A4サイズの記録紙の総数は「0枚」であり、MFP2は、A4サイズの記録紙の総数は「700枚」であり、MFP3は、A4サイズの記録紙の総数は「500枚」であり、MFP4は、A4サイズの記録紙の総数は「300枚」である。したがって、図14の例では、優先順位の順番は順に、MFP2、MFP3、MFP4となり、MFP2が自動的に選択される。
【0122】
一方、図15は、画像形成装置10までの距離に優先順位を割り当てた資材情報リスト53を示している。図15の資材情報リスト53が図14の資材情報リスト52と異なる点は、自席から画像形成装置10までの距離について、近い順に優先順位を割り当てている点である。また、距離を判断する基準は、IPアドレスを用いて自席から画像形成装置10までの距離を判断するように設定されている。
【0123】
具体的には、資材情報リスト53に記載されているIPアドレスは、ネットワーク内の識別情報であり、4つの区分と8ビットデータを用いてネットワーク部とホスト部を構成している。ネットワークを構成する際、上位のビットからクラス分けがなされており、上位の区分から、より下位の区分までアドレスが一致するものほどクラス分けが同じになり、画像形成装置10が近いところに位置していることを示している。図15の例では、MFP1は「192.168.0.1」であり、MFP2は「192.168.10.2」であるため、第2区分の「168」まで共通している。MFP3は「192.168.0.3」であるため、MFP1とは第3区分の「0」まで共通している。MFP4は「192.170.0.4」であるため、MFP1とは第1区分の「192」しか共通していない。そのため、MFP3がMFP1に一番近く、次にMFP2が近く、MFP4が一番遠い。よって、MFP2〜4の近い順番は、MFP3、MFP2、MFP4となる。
【0124】
したがって、図15の例では、自席から近い順に、MFP3、MFP2、MFP4となり、MFP3が自動的に選択される。
【0125】
また、本実施の形態では、資材情報リスト51の更新は、ジョブの実行後に不揮発メモリ22の資材情報リスト51を更新するようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、メインCPU11がスリープモードに移行する時点で、最新の資材情報が不揮発メモリ22に記憶されていればよい。たとえば、メインCPU11が起動している間は、所定の時間間隔で資材情報を不揮発メモリ22の資材情報リスト51に登録するようにしたり、メインCPU11がスリープモードに移行する際に、最新の資材情報を不揮発メモリ22の資材情報リスト51を更新するようにしてもよい。また、資材情報リスト51に限定されず、印刷能力を示す印刷能力情報が更新された場合にも、適用することができる。たとえば、画像形成装置10のメインCPU11が起動中に、印刷の設定として設定モードを、画質重視から印刷スピード重視に変更したり、トナーの節約により、モノクロ印刷のみの設定がされた場合なども、印刷能力情報を更新する。この印刷能力情報には、ステープル機能や、中折りや三つ折りなどの折り機能、左2穴などのパンチ機能を加えてもよい。
【符号の説明】
【0126】
2…ネットワーク
5…ネットワークシステム
10…画像形成装置(MFP1〜4)
11…メインCPU
12…画像読取部
13…画像形成部
14…ROM
15…RAM
16…表示部
17…操作部
18…画像処理部
21…サブCPU
22…不揮発メモリ
23…ネットワークI/F部
24…ハードディスク装置(HDD)
25…メモリ
26…電源部
30…端末装置(PC)
31…メインCPU
32…サブCPU
33…ROM
34…RAM
35…入出力I/F部
36…不揮発メモリ
37…ネットワークI/F部
38…ハードディスク装置(HDD)
39…メモリ
41…電源部
42…表示装置
43…入力デバイス
51…資材情報リスト
52…資材情報リスト
53…資材情報リスト
R…資材情報要求パケット
S…資材情報応答パケット
P,T…印刷要求
Q…振り替え選択要求

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインCPUと、該メインCPUより消費電力の少ないサブCPUと、前記メインCPUに制御されて記録紙に画像を形成する画像形成部と、ネットワークを介して外部装置と通信するためのネットワーク通信部と、自装置の印刷能力を示す印刷能力情報が記憶された不揮発メモリと、
を備え、
電源状態として前記メインCPUと前記サブCPUが稼動してジョブを実行可能な通常状態と、前記メインCPUは非稼動となり前記サブCPUおよび前記ネットワーク通信部は継続して稼動するスリープ状態と、を有し、
前記サブCPUは、
前記スリープ状態において前記ネットワーク通信部を通じて印刷要求を受信した場合は、
前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断し、その判断結果が実行可能な場合は、電源状態を前記通常状態に移行させて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置に実行させ、前記判断結果が実行不可の場合は、他の画像形成装置に問い合わせし、その応答に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、前記印刷要求に基づく印刷を他の画像形成装置に行わせる振り替え処理を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メインCPUは、前記スリープ状態に移行する時点で自装置の最新の印刷能力を示す印刷能力情報が前記不揮発メモリに記憶されているように、前記不揮発メモリ内の印刷能力情報を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記サブCPUは、
前記判断結果が実行不可の場合は、他の画像形成装置に該画像形成装置の印刷能力を問い合わせし、この問い合わせに対する応答に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、
前記スリープ状態で前記問い合わせを他の画像形成装置から受信した場合は、前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報を、前記問い合わせの送信元の画像形成装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記サブCPUは、
前記判断結果が実行不可の場合は、前記印刷要求に基づく印刷の実行可否を他の画像形成装置に問い合わせし、この問い合わせに対する応答に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を実行可能な他の画像形成装置を特定し、
前記スリープ状態で前記問い合わせを他の画像形成装置から受信した場合は、前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断し、その判断結果を前記問い合わせの送信元の画像形成装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記サブCPUは、
前記応答に基づいて、特定した前記他の画像形成装置が複数台あった場合には、所定の基準により、前記複数の他の画像形成装置に優先順位を割り当てて、振り替え処理を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記サブCPUは、
前記特定した画像形成装置の中から前記印刷要求に基づく印刷を実行させる画像形成装置の選択要求を前記印刷要求の送信元の装置に送信し、その選択結果を受信し、前記選択結果の示す画像形成装置に前記印刷要求に基づく印刷を振り替えて実行させる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷能力を示す印刷能力情報は、
印刷資材の保有状況を示す資材情報を少なくとも含む
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
メインCPUと、該メインCPUより消費電力の少ないサブCPUと、前記メインCPUに制御されて記録紙に画像を形成する画像形成部と、ネットワークを介して外部装置と通信するためのネットワーク通信部と、自装置の印刷能力を示す印刷能力情報が記憶された不揮発メモリと、
を備え、
電源状態として前記メインCPUと前記サブCPUが稼動してジョブを実行可能な通常状態と、前記メインCPUは非稼動となり前記サブCPUおよび前記ネットワーク通信部は継続して稼動するスリープ状態と、を有し、
前記サブCPUは、
前記スリープ状態において、前記ネットワーク通信部を通じて自装置の印刷能力情報の問い合わせを受信した場合は、
前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報を、前記問い合わせの送信元の外部装置へ送信する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
メインCPUと、該メインCPUより消費電力の少ないサブCPUと、前記メインCPUに制御されて記録紙に画像を形成する画像形成部と、ネットワークを介して外部装置と通信するためのネットワーク通信部と、自装置の印刷能力を示す印刷能力情報が記憶された不揮発メモリと、
を備え、
電源状態として前記メインCPUと前記サブCPUが稼動してジョブを実行可能な通常状態と、前記メインCPUは非稼動となり前記サブCPUおよび前記ネットワーク通信部は継続して稼動するスリープ状態と、を有し、
前記サブCPUは、
前記スリープ状態において、印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かの問い合わせを、前記ネットワーク通信部を通じて受信した場合は、
前記不揮発メモリに記憶されている印刷能力情報に基づいて、前記印刷要求に基づく印刷を自装置で実行可能か否かを判断し、その判断結果を前記問い合わせの送信元の外部装置へ送信する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−237905(P2012−237905A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107679(P2011−107679)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】