説明

画像形成装置

【課題】用紙への加湿の有無によって生じる画像不良などを防止する。
【解決手段】像担持体に第1の画像を形成し、前記第1の画像を用紙に転写する第1の画像形成部と、少なくとも前記第1の画像が転写された用紙に加湿を行う用紙加湿部と、前記用紙加湿部による前記用紙への加湿の有無を切り替える加湿切り替え部と、像担持体に第2の画像を形成し、前記第2の画像を用紙に転写する第2の画像形成部と、前記用紙を前記第1の画像形成部から前記第2の画像形成部に搬送する搬送部と、前記第1および第2の画像形成部の制御を行う制御部と、を備え、制御部は、前記用紙加湿部による用紙への加湿の有無に応じて前記第2の画像形成部における画像形成の制御を切り替えることで、画像サイズ異常や画像不良を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、像担持体に画像を形成し、この画像を用紙に転写する画像形成装置であって用紙加湿部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置では、感光体などの像担持体に画像を形成し、この画像を転写部を介して用紙に転写し、転写した画像を定着器で定着させている。また、画像形成装置では、通常、用紙の表裏に画像形成を行うことができ、用紙の片面に画像の転写、定着を行った後、用紙の反転を行って他の片面に画像の転写、定着を行っている。
従来、画像形成装置では、トナー定着後の用紙のカールを矯正しやすくする目的や、用紙の転写効率の低下を補う目的などで用紙に加湿を行うものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
特許文献1では、用紙に対し湿度を調整可能に加湿する加湿部と、用紙の電気抵抗を測定する抵抗測定部とを備え、抵抗測定部の測定結果に基づいて加湿部の加湿を制御する画像形成装置が提案されている。
特許文献2では、画像が形成された用紙に水を付与して加湿する加湿部と、加湿部による前記用紙への加湿処理を実行するか否かを切り替える切り替え部と、切り替え部の動作を制御する制御部を有し、制御部は、画像の情報に基づいて加湿部による用紙への加湿処理を実行するか否かを決定し、決定結果に基づいて切り替え部の動作を制御する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−65025号公報
【特許文献2】特開2009−173356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、加湿処理を行う画像形成装置では、以下のような課題もある。
表面と裏面の画像形成の間で用紙に加湿する機能を有する構成の画像形成装置では、加湿の有無により裏面の画像形成時の用紙サイズが変わってしまうという問題がある。例えば、加湿無しで画像サイズの表裏倍率調整を行っていた場合、表面の画像形成後に加湿を行うと用紙が膨張するため、裏面の画像サイズが合わなくなってしまう(用紙に対して画像サイズが小さくなる)。加湿有りで画像サイズの表裏倍率調整を行っていた場合は、加湿無しで画像形成時にその逆の現象が起こる。
【0005】
また、加湿の有無により用紙の抵抗が変わってしまうという問題もある。例えば、加湿無しで転写電流の調整を行っていた場合、表面の画像形成後に加湿を行うと用紙の抵抗が下り、転写効率が変化するため画像不良が起こりうる。加湿有りで転写電流の調整を行っていた場合も、加湿無しで画像形成時に同様に画像不良が起こりうる。
これらを踏まえると加湿有りに限定することが望ましいが、紙種や坪量、表面の印字率などにより、加湿を行わない方が良い場合もある。例えば、表面に高印字率の画像を形成した場合に加湿を行うと、表面側はあまり吸水せず、裏面側の湿度が極端に高くなるため、裏面画像のトナー定着部でシワが発生しやすくなる。
従来の画像形成装置では、上記で説明したように用紙のシワの抑制や画像不良防止のために加湿の有無を切り替えるものの、加湿の有無に応じて画像形成の制御を行うことはできない。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、用紙への加湿の有無に応じて画像形成時の制御を切り替えることで、画像サイズ異常や画像不良を防止して良好な画像形成を可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の画像形成装置のうち、第1の本発明は、像担持体に第1の画像を形成し、前記第1の画像を用紙に転写する第1の画像形成部と、少なくとも前記第1の画像が転写された用紙に加湿を行う用紙加湿部と、前記用紙加湿部による前記用紙への加湿の有無を切り替える加湿切り替え部と、像担持体に第2の画像を形成し、前記第2の画像を用紙に転写する第2の画像形成部と、前記用紙を前記第1の画像形成部から前記第2の画像形成部に搬送する搬送部と、前記第1および第2の画像形成部の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙加湿部による用紙への加湿の有無に応じて前記第2の画像形成部における画像形成の制御を切り替えることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記第1の画像形成部と前記第2の画像形成部が同一の画像形成部からなり、前記搬送部が、前記画像形成部から排紙された用紙の表裏を反転する反転搬送部を介して前記画像形成部に画像形成可能に返送するものであることを特徴とする。
【0009】
第3の本発明の画像形成装置は、前記第1または第2の本発明において、前記搬送部が、用紙を反転する反転搬送部を備えることを特徴とする。
【0010】
第4の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記用紙加湿部による加湿の有無により、前記第2の画像のサイズを切り替えることを特徴とする。
【0011】
第5の本発明の画像形成装置は、前記第4の本発明において、前記第2の画像のサイズの切替では、加湿なしの場合に前記第2の画像のサイズを想定的に小さくし、加湿有りの場合に前記第2の画像のサイズを相対的に大きくすることを特徴とする。
【0012】
第6の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第5の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記用紙加湿部による加湿の有無により、第2の画像形成部に備える転写部の転写電流の大小を切り替えることを特徴とする。
【0013】
第7の本発明の画像形成装置は、前記第6の本発明において、前記転写電流の切替では、加湿なしの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を相対的に大きくし、加湿有りの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を相対的に小さくすることを特徴とする。
【0014】
第8の本発明の画像形成装置は、前記第1〜第7の本発明のいずれかにおいて、操作者の入力を受け付ける表示操作部を備え、該表示操作部は、前記用紙加湿部による用紙への加湿の有無に応じて前記第2の画像形成部における画像形成の制御を設定する機能を有することを特徴とする。
【0015】
第9の本発明の画像形成装置は、前記第8の本発明において、前記表示操作部は、加湿有りの場合、加湿なしの場合のそれぞれについて、第1の画像の倍率調整と第2の画像の倍率調整とを設定可能にする機能を有することを特徴とする。
【0016】
第10の本発明の画像形成装置は、前記第8または第9の本発明において、前記表示操作部は、加湿有りの場合、加湿なしの場合のそれぞれについて、第1の画像形成部における転写電流の大小と第2の画像形成部における転写電流の大小とを設定可能にする機能を有することを特徴とする。
【0017】
第11の本発明の画像形成装置は、前記第8〜第10の本発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記表示操作部による前記設定に応じて前記第2の画像形成部における画像形成の制御を切り替えることを特徴とする。
【0018】
すなわち、本発明によれば、第1の画像を転写した用紙に第2の画像を転写する前に、該用紙に加湿を行っているか否かによって第2の画像を形成する制御を切り替えることで、加湿の有無によって変化する用紙の状態などに応じて適正な画像形成を行うことができる。
【0019】
画像形成装置は、1つの画像形成装置本体で構成されるものであってもよく、また、後処理装置等の装置が連設されるものであってもよく、さらに2以上の画像形成装置本体を有する物であってもよい。
本発明における第1の画像形成部と第2の画像形成部とは、1つの画像形成装置本体内に装備されているものであってもよく、異なる画像形成装置本体内に装備されているものであってもよい。
また、第1の画像形成部と第2の画像形成部は、異なる画像形成部で構成される他、同一の画像形成部で構成されるものであってもよい。この場合、第1の画像形成部として当該画像形成部で第1の画像を形成して用紙への転写を行った後、加湿を行う場合は加湿をした後、当該画像形成部を第2の画像形成部として第2の画像を形成して用紙への転写を行う。
【0020】
用紙加湿部は、少なくとも第1の画像が転写された用紙に加湿を行うものであればよく、第2の画像を転写した用紙への加湿を要しない。ただし、第2の画像を転写した用紙への加湿を可能としたものであってもよい。
用紙加湿部は、第1画像形成部を備える筺体、例えば第1画像形成装置本体に設置されるものであってもよく、第1画像形成部を備える筺体の後段側に設置されるものであってもよい。
【0021】
第1の画像と第2の画像とは、通常は用紙の表裏面を変えて転写される。ただし、本発明としてはこれに限定されるものではなく、第1の画像と第2の画像とを同一の用紙面に形成するものであってもよい。例えば、第1の画像形成部と第2の画像形成部の一方がモノクロ画像を形成するもので、他方がカラー画像を形成するものである場合が挙げられる。
【0022】
また、第1画像が転写された用紙への加湿の有無によって切り替える制御内容としては、上記のように画像のサイズや転写電流の大きさが代表的に挙げられる。ただし、本発明としては、これに限定されるものではなく、その他の要素の制御を切り替えるものであってもよい。
【0023】
加湿の有無によって画像のサイズを切り替える場合、加湿なしの場合に前記第2の画像のサイズを想定的に小さくし、加湿有りの場合に前記第2の画像のサイズを相対的に大きくすることができる。ここで相対的なサイズは、加湿の有無による対比を意味している。
この場合、加湿なしの場合に前記第2の画像のサイズを第1の画像のサイズよりも小さくし、加湿有りの場合に前記第2の画像のサイズを第1の画像のサイズよりも大きくする基準によって切り替えてもよい。
また、加湿の有無によって転写電流を切り替える場合、加湿なしの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を相対的に大きくし、加湿有りの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を相対的に小さくすることができる。ここで相対的な転写電流は、加湿の有無による対比を意味している。
なお、第1画像形成部における転写部と、第2画像形成部における転写部とが同等の転写電流を用いるものである場合、加湿なしの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を第1の画像形成部の転写電流より大きくし、加湿有りの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を第1の画像形成部の転写電流よりも小さくする基準によって切り替えてもよい。
【0024】
なお、制御の切替は、加湿の有無に応じて自動的になされるものであってもよく、また、操作者による設定に応じてなされるものであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、第1の画像を転写した用紙への加湿の有無に応じて第2の画像を形成する際の制御を切り替えることで、画像サイズ異常や画像不良を防止して、良好な画像形成を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の全体概略を示す図である。
【図2】同じく、画像形成装置に備える加湿デカーラユニットの詳細を示す断面図である。
【図3】同じく、制御ブロックを示す図である。
【図4】同じく、画像形成装置に備える操作部の操作画面を示す図である。
【図5】同じく、加湿の有無に応じて画像形成制御の切替手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
画像形成装置1は、図1に全体構成を示すように、第1画像形成装置本体1と第2画像形成装置本体2とを有しており、第1画像形成装置本体1と第2画像形成装置本体2との間に、加湿デカーラユニット3、反転排紙ユニット4が用紙搬送方向においてこの順に連結されている。第2画像形成装置本体2の後段に後処理装置5が連結されている。第1画像形成装置本体1内から加湿デカーラユニット3、反転排紙ユニット4、第2画像形成装置本体2、後処理装置5に亘って用紙を搬送する搬送部6が設けられている。
【0028】
第1画像形成装置本体1は、内部に給紙トレイ10を備え、外部に大容量給紙トレイ7が接続されており、給紙トレイ10、大容量給紙トレイ7のいずれからも用紙を給紙することができる。給紙トレイ10または大容量給紙トレイ7から給紙される用紙は、搬送部6で搬送される。なお、大容量給紙トレイ7を有しないものであってもよい。
第1画像形成装置本体1では、搬送部6の経路上に第1画像形成部12、定着部13が順次設けられている。
第1画像形成部12は、像担持体である感光体ドラム12aと、転写部12bと、図示しない帯電部、露光部、現像部、クリーニング部等を備え、画像を形成して用紙に該画像を転写する。
【0029】
具体的には、帯電部により帯電された感光体ドラム12a上に、露光部から画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成する。この際に、適宜の画像倍率に調整した画像データを生成することができる。現像部は、静電潜像が形成された感光体ドラム12aの表面に帯電したトナーを付着させて静電潜像を現像する。現像部によりトナーが付着された感光体ドラム12aは、転写部12bが配置された転写位置で用紙にトナー画像を転写する。感光体ドラム12aは、トナー像の転写後、クリーニング部によって表面の残留電荷や残留トナー等が除去される。
画像が転写された用紙は、定着部13において加熱されて画像の定着がなされ、後段側の加湿デカーラユニット3に排紙される。
【0030】
なお、上記では、第1画像形成部としてモノクロの画像形成部について説明を行っているが、カラーの画像形成部であってもよい。カラーの画像形成部では、各色用に、像担持体である感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、クリーニング部等を備える。また、感光体ドラムの画像を転写する中間転写部を有し、中間転写部から用紙に画像を転写する二次転写部を有している。
中間転写部も本発明の像担持体に相当し、二次転写部が本発明の転写部に相当する。
【0031】
また、第1画像形成装置本体1には、表示操作部14を有している。該表示操作部14はLCDを用いたタッチパネルによって構成されており、表示部と操作部を兼ねている。
なお、本発明としては表示操作部14が第1画像形成装置本体1に備えられていることが必要とされるものではなく、その他の例えば第2画像形成装置本体2に備えられているものであってもよく、また、各装置間で設置位置を移動できるものであってもよい。

また、第1画像形成装置本体1には、原稿を積載して自動的に給送するDF(ドキュメントフィーダー)15を備えている。DF(ドキュメントフィーダー)15で給送される原稿は、第1画像形成装置本体1に備える、図示されていないスキャナーで読み込まれて画像データが生成される。
【0032】
次に、加湿デカーラユニット3の詳細について説明する。
加湿デカーラユニット3内には搬送部6が配置されており、第1画像形成装置本体1から排出された用紙を受け入れて搬送する。搬送部6は、加湿デカーラユニット3内で、第1搬送部30と第2搬送部35とに分岐しており、それぞれへの搬送切替が可能になっている。
第1搬送部30側には、給水タンク31と該給水タンクから水分が供給されて、用紙に水を付与する用紙加湿部32とが設けられている。
また、第1搬送部30と第2搬送部35とは、分岐後、合流しており、合流位置の下流側で搬送部6にデカーラ部36が介設されている。
加湿デカーラユニット3では、用紙に加湿を行う場合には、第1搬送部30で用紙を搬送し、用紙加湿部32で給水タンク31から供給される水分で用紙を加湿する。
用紙に加湿を行わない場合には、第2搬送部35で用紙を搬送し、用紙加湿部32はバイパスする。第1搬送部30と第2搬送部35の合流後は、デカーラ部36で用紙のカール矯正がなされる。したがって、用紙への加湿の有無に拘わらず、カール矯正を行うことができる。
加湿デカーラユニット3内の用紙は、搬送部6で搬送されて後段側の反転排紙ユニット4へと排紙される。
【0033】
反転排紙ユニット4は、搬送部6に反転部40が介設されている。反転部40は、反転路41とバイパス路42とを有しており、反転路41とバイパス路42との搬送切替が可能になっている。用紙の反転がなされる場合には、搬送部6を搬送される用紙を反転路41に用紙の先端側から導入し、一旦停止後、用紙の後端側を先端側に変えて反転路41の下流側の搬送部6に搬送される。これにより搬送部6を搬送される用紙の表裏を反転することができる。なお、用紙の反転を不要とする場合には、搬送部6を搬送される用紙を反転路41に導入することなく、バイパス路42を通して表裏を反転することなく下流側の搬送部6に搬送することができる。
【0034】
第2画像形成装置本体2は、第1画像形成装置本体1と同様に、像担持体である感光体ドラム22aと、転写部22bと、図示しない帯電部、露光部、現像部、クリーニング部等を第2画像形成部22として備え、画像を形成して用紙に該画像を転写する。具体的には、帯電部により帯電された感光体ドラム22a上に、露光部から画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成する。この際に、適宜の画像倍率によって調整した画像データを生成する。現像部は、静電潜像が形成された感光体ドラム22aの表面に帯電したトナーを付着させて静電潜像を現像する。現像部によりトナーが付着された感光体ドラム22aは、転写部22bが配置された転写位置で用紙にトナー画像を転写する。感光体ドラム22aは、トナー像の転写後、クリーニング部によって表面の残留電荷や残留トナー等が除去される。画像が転写された用紙は、定着部23において画像の定着がなされ、後段側に搬送される。
【0035】
なお、第2画像形成部22は、モノクロの画像形成部でなくカラーの画像形成部であってもよい。カラーの画像形成部では、各色用に、像担持体である感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、クリーニング部等を備える。また、感光体ドラムの画像を転写する中間転写部を有し、中間転写部から用紙に画像を転写する二次転写部を有している。中間転写部も本発明の像担持体に相当し、二次転写部が本発明の転写部に相当する。
【0036】
後処理部5は、画像が転写された用紙の折り処理、パンチ処理、裁断処理、糊付け処理などの後処理を行うものであり、本発明としては後処理の内容が特に限定されるものではなく、また、後処理部5を有しないものであってもよい。
【0037】
上記画像形成装置では、第1画像形成部12、用紙加湿部32、反転部40、第2画像形成部22は、それぞれ独立した筺体または筺体内に収容されているが、本発明としては、これに限定されるものではなく、これらの複数または全部が同一の筺体内に収容されているものであってもよい。また、第1画像形成部で画像の転写が行われた用紙を搬送部で返流して再度、第1画像形成部で画像の形成および用紙への画像の転写を行うことで、第1画像形成部と第2画像形成部とを共通するものとしてもよい。
【0038】
次に、本実施形態の画像形成装置の制御ブロックについて図3に基づいて説明する。
第1画像形成装置本体1には、画像形成装置全体を制御するタンデムシステム管理部100を有しており、タンデムシステム管理部100に表示操作部14が制御可能に接続されている。これによりタンデムシステム管理部100によって表示操作部14に情報の表示や操作可能とする表示を行うことができ、表示操作部14によってユーザが操作入力を行うことができる。操作内容は、表示操作部14からタンデムシステム管理部100に送信され、タンデムシステム管理部100では、操作内容に応じた処理を行う。
また、タンデムシステム管理部100に第1画像形成装置本体状態管理部101が接続され、第1画像形成装置本体状態管理部101に第1画像形成装置本体画像処理部102が接続されている。
【0039】
第1画像形成装置本体状態管理部101では、第1画像形成装置本体1の設定データ、プロセス制御パラメータ、表裏の画像サイズ倍率、転写部の転写電流等のデータが格納されている。また、第1画像形成装置本体状態管理部101は、第1画像形成装置本体1の全体を制御し、また第1画像形成装置本体1全体の状態把握を行う。
第1画像装置本体画像処理部102では、図示しないスキャナーで取得した画像データに対し、第1画像形成装置本体状態管理部101の指令に基づいてアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等の画像処理が行われる。
【0040】
第1画像形成装置本体状態管理部101には、第1画像形成装置本体メカコントロール部103が接続されている。第1画像形成装置本体メカコントロール部103には、DF(ドキュメントフィーダー)15を制御するDF制御部110、図示しないスキャナーを制御するスキャナー制御部111、第1画像形成部12、第1紙搬送部104、第1給紙トレイ制御部105、大容量給紙トレイ7に備えるPFU制御部70が接続されている。第1画像形成装置本体メカコントロール部103は、第1画像形成装置本体1の各種機構(原稿読取、紙搬送、画像形成などの機構)を制御する。
【0041】
第1画像形成部12は、前記したように、像担持体である感光体ドラム12aと、転写部12bと、図示しない帯電部、露光部、現像部、クリーニング部等を備え、第1画像形成装置本体メカコントロール部103によって制御される。
第1紙搬送部104は、第1画像形成装置本体1内の搬送部における用紙搬送を制御する。第1給紙トレイ制御部105は、給紙トレイ10からの給紙を制御する。給紙された用紙は、第1紙搬送部104で制御される搬送部6で搬送される。
【0042】
PFU制御部70は、大容量給紙トレイ7における用紙の給紙および搬送を制御する。
なお、第1画像形成部12および第1紙搬送部104は、第2画像形成装置本体2内で給紙トレイ20を用いて用紙の給紙がなされる際には動作が停止している。
上記各部は、PFU制御部70を除いて第1画像形成装置本体1内に備えられている。
【0043】
さらにタンデムシステム管理部100には、第2画像形成装置本体2内に備える第2画像形成装置本体状態管理部201が接続され、第2画像形成装置本体状態管理部201に第2画像形成装置本体画像処理部202が接続されている。
第2画像形成装置本体状態管理部201では、第2画像形成装置本体2の設定データ、プロセス制御パラメータ、表裏の画像サイズ倍率、転写部の転写電流等のデータが格納されている。また、第2画像形成装置本体状態管理部201は、第2画像形成装置本体2の全体を制御し、また第2画像形成装置本体2全体の状態把握を行う。
第2画像装置本体画像処理部202では、図示しないスキャナーで取得した画像データに対し、第2画像形成装置本体状態管理部201の指令に基づいてアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等の画像処理が行われる。
【0044】
第2画像形成装置本体状態管理部201には、第2画像形成装置本体メカコントロール部203が接続されている。第2画像形成装置本体メカコントロール部203には、第2画像形成部22、第2紙搬送部204、第2給紙トレイ制御部205、後処理部5に備える後処理制御部50が接続されている。第2画像形成装置本体メカコントロール部203は、第2画像形成装置本体2の各種機構(原稿読取、紙搬送、画像形成などの機構)を制御する。
【0045】
第2画像形成部22は、前記したように、像担持体である感光体ドラム22aと、転写部22bと、図示しない帯電部、露光部、現像部、クリーニング部等を備え、第2画像形成装置本体メカコントロール部203によって制御される。
第2紙搬送部204は、第2画像形成装置本体2内の搬送部における用紙搬送を制御する。第2給紙トレイ制御部205は、給紙トレイ20からの給紙を制御する。給紙された用紙は、第2紙搬送部204で制御される搬送部6で搬送される。
【0046】
さらにタンデムシステム管理部100には、加湿デカーラユニット3、反転排紙ユニット4を制御可能に接続して、加湿、デカーラ、用紙反転の制御を行うことができる。この制御では、加湿の有無、デカーラの有無、用紙反転の有無の制御を行うこともできる。したがって、タンデムシステム管理部100は本発明の加湿切り替え部、および制御部として機能する。
【0047】
次に、表示操作部14を用いた操作内容の一形態について説明する。
この形態の表示操作部14では、用紙加湿部による用紙への加湿の有無、加湿の有無に応じた画像の表示倍率および転写電流の強弱設定が可能になっている。すなわち、加湿有りで画像形成を行う場合、裏面時の表裏倍率、転写電流の強弱を加湿有りの設定値に切り替えて画像形成を行う。加湿無しで画像形成を行う場合、裏面時の表裏倍率、転写電流の強弱を加湿無しの設定値に切り替えて画像形成を行う。
【0048】
図4は、用紙設定画面140を示すものであり、用紙設定画面140は、タンデムシステム管理部100の制御によって表示操作部14に操作可能に表示されるものである。
用紙設定画面140では、トレイ選択ボタン141においてトレイの選択を行うことができ、該選択において用紙設定欄142が操作可能に表示され、当該トレイの用紙設定を詳細に行うことができる。図では、トレイ1が選択されている。
用紙設定欄142には、用紙サイズ、用紙種類、坪量、色紙、パンチの有無、速度設定の他に、表裏調整欄143とプロセス調整欄144とが操作可能に表示されている。
【0049】
表裏調整欄143では、倍率とシフト量の調整が、用紙表側と、加湿の有無に応じて用紙裏側とが縦方向および横方向それぞれで設定可能になっている。例えば各項目で1stepを0.05%として、1step毎に調整することができる。加湿の有無に応じて用紙の伸縮が変わるため裏側の倍率を調整することで、表裏の画像サイズを適切に調整して、より良好な画像形成を行うことができる。図では、表側を0ステップにして、加湿なしでは裏側を縦、横ともに−10step、つまり0.5%の画像サイズ縮小に調整し、加湿有りでは裏側を縦、横ともに5step、つまり0.25%の画像サイズ拡大に調整している。画像シフト方向も加湿の有無で切り替え可能としている。
なお、用紙は、表面画像形成時にトナー定着のため熱を加えられることにより、用紙内の水分が蒸発して用紙サイズが小さくなるため、裏面画像形成前に加湿を行わない場合は表面に対して画像サイズを縮小している。加湿を行った場合は用紙が水分を吸収し膨張するため、加湿無しの場合比べ画像サイズを拡大している。
【0050】
また、プロセス調整では、転写電流について、用紙の先端と後端をそれぞれ基準に対して1μAstepで設定可能になっている。転写電流は、加湿無しの場合は、先端、後端をそれぞれ10μAずつ基準に対して強く設定している。加湿有りの場合は、先端は30μA、後端は40μAずつ基準に対して弱く設定している。
用紙は熱を加えられて水分を失うことにより抵抗が大きくなるため、加湿無しの場合は表面の画像形成時に比べ転写電流を強める。逆に、加湿を行った場合は、水分を吸収することにより、抵抗が小さくなるため、加湿無しの場合に比べて転写電流を弱くする。
この例では、転写電流の設定を先端と後端としたが、更に分割した調整が可能であっても構わない。逆に、一括した設定しか行えない場合であっても構わない。
【0051】
また上記例では、表裏倍率の設定及び転写電流の強弱の設定をトレイ設定としているが、その中で用紙プロファイルとして名称を付けて登録できる。また設定呼び出しで、設定内容を呼び出して、その内容を所望のトレイに設定することも可能である。
【0052】
次に、加湿の有無に応じて画像形成の制御を切り替える制御手順を図5のフローチャートに基づいて説明する。以下の制御手順は、タンデムシステム管理部100によって実行される。
操作者の実行指示などによって両面印刷を前提とするプリントが開始されると(ステップs1)、指定されているトレイの設定が読み出される(ステップs2)。トレイ設定には、図4で示されるように加湿の有無に応じた表裏倍率および転写電流の設定が含まれている。また、この際に読み出されたトレイ設定を使用しないで、表示操作部14により加湿有り、無しの場合それぞれの表裏倍率、転写電流の設定入力を行ってもよい。
【0053】
その後、第1画像形成装置本体1の第1画像形成部12において、トレイ設定における表裏倍率および転写電流の設定に従って、表面の画像形成がなされ、転写部12bで転写(ステップs3)した後、用紙は搬送部6で搬送されて定着部13で定着され、加湿デカーラユニット3へと導入される。
タンデムシステム管理部100では、JOB設定などによる加湿の有無を判定する(ステップs4)。加湿の有無の設定は手動設定でもよく、あるいは紙種/坪量などにより加湿の有無が自動設定されるようにしてもよい。
【0054】
タンデムシステム管理部100では、加湿の有無に応じて、加湿有りの場合(ステップs3、YES)、裏面側における画像の表裏倍率および転写電流の強弱を加湿有りの設定値に切り替える(ステップs5)。加湿なしの場合(ステップs4、NO)、裏面側における画像の表裏倍率および転写電流の強弱を加湿なしの設定値に切り替える(ステップs6)。
さらに、加湿の有無の設定に応じて加湿デカーラユニット3を制御し、加湿有りの設定では加湿デカーラユニット3で用紙に加湿を行って用紙を搬送部6で搬送し、加湿なしの設定では、加湿デカーラユニット3で用紙に加湿を行うことなく用紙を搬送部6で搬送する。
【0055】
加湿デカーラユニット3から排紙された用紙は、反転排紙ユニット4に導入される。この例では、表裏印刷の設定がなされているため、反転部40で用紙を反転路41に送って用紙を反転し、搬送部6を通して第2画像形成装置本体2に反転した用紙を搬送する。
第2画像形成装置本体2では、加湿の有無に応じて切り替えられた表裏倍率および転写電流に従って用紙の裏面側に対し画像形成がなされる(ステップs7)。
その後は、設定に応じて後処理部5で後処理を行うか、後処理を行うことなく用紙が排紙されてプリントが完了する。
【0056】
上記手順に基づいて加湿の有無によりトレイ1から以下のジョブを実行した場合について説明する。なお、加湿なしでは、裏面側の画像サイズを0.5%縮小し、転写電流は基準に対し、先端、後端とも10μA強めるものとし、加湿有りでは、裏面側の画像サイズを0.25%拡大し、転写電流は基準に対し、先端を30μA、後端を40μA弱めるものとする。
【0057】
・ジョブA A4 両面印刷 加湿無し 10枚 5部
・ジョブB A4 両面印刷 加湿有り 5枚 10部
・ジョブC A4 両面印刷 加湿無し 10枚 10部
【0058】
ジョブAのプリントを開始すると、加湿無し設定であるため、裏面の画像形成時は操作部上で設定された表裏倍率、転写電流の設定値の加湿無し側に切り替えて画像形成制御を行う。つまり、画像サイズを0.5%縮小し、転写も基準に対して電流を10μA強めて画像形成を行う。
ジョブBのプリントでは、加湿有り設定であるため、裏面の画像形成を加湿有り用に設定された表裏倍率、転写電流の設定値に切り替えて制御を行う。つまり、画像サイズを0.25%拡大し、転写電流を基準に対して先端30μA、後端40μA弱めて画像形成制御を行う。
ジョブCのプリントでは、加湿無し設定であるため、再度ジョブAと同じ画像形成制御に切り替えて画像形成を実施する。
【0059】
なお、上記実施形態では、2つの画像形成装置本体の間に加湿ユニットを有する直列タンデム構成の画像形成装置の例を挙げたが、1つの画像形成装置本体でトナー定着部から裏面の画像印刷までに通る搬送経路内に加湿部を備える構成の画像形成装置であってもよい。
【0060】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものでなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 第1画像形成装置本体
2 第2画像形成装置本体
3 加湿デカーラユニット
4 反転排紙ユニット
6 搬送部
12 第1画像形成部
14 表示操作部
22 第2画像形成部
100 タンデムシステム管理部
140 用紙設定画面
143 表裏調整欄
144 プロセス調整欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に第1の画像を形成し、前記第1の画像を用紙に転写する第1の画像形成部と、少なくとも前記第1の画像が転写された用紙に加湿を行う用紙加湿部と、前記用紙加湿部による前記用紙への加湿の有無を切り替える加湿切り替え部と、像担持体に第2の画像を形成し、前記第2の画像を用紙に転写する第2の画像形成部と、前記用紙を前記第1の画像形成部から前記第2の画像形成部に搬送する搬送部と、前記第1および第2の画像形成部の制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙加湿部による用紙への加湿の有無に応じて前記第2の画像形成部における画像形成の制御を切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の画像形成部と前記第2の画像形成部が同一の画像形成部からなり、前記搬送部が、前記画像形成部から排紙された用紙の表裏を反転する反転部を介して前記画像形成部に画像形成可能に返送するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送部が、用紙の表裏を反転する反転部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙加湿部による加湿の有無により、前記第2の画像のサイズを切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の画像のサイズの切替では、加湿なしの場合に前記第2の画像のサイズを想定的に小さくし、加湿有りの場合に前記第2の画像のサイズを相対的に大きくすることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記用紙加湿部による加湿の有無により、第2の画像形成部に備える転写部の転写電流の大小を切り替えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写電流の切替では、加湿なしの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を相対的に大きくし、加湿有りの場合に前記第2の画像形成部の転写電流を相対的に小さくすることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
操作者の入力を受け付ける表示操作部を備え、該表示操作部は、前記用紙加湿部による用紙への加湿の有無に応じて前記第2の画像形成部における画像形成の制御を設定する機能を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記表示操作部は、加湿有りの場合、加湿なしの場合のそれぞれについて、第1の画像の倍率調整と第2の画像の倍率調整とを設定可能にする機能を有することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記表示操作部は、加湿有りの場合、加湿なしの場合のそれぞれについて、第1の画像形成部における転写電流の大小と第2の画像形成部における転写電流の大小とを設定可能にする機能を有することを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記表示操作部による前記設定に応じて前記第2の画像形成部における画像形成の制御を切り替えることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−237924(P2012−237924A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107984(P2011−107984)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】