説明

画像形成装置

【課題】トナー像搬送ユニットの作業性・組立性の向上を図りつつ画像品質の向上が期待できる電子写真方式の画像形成装置を提供すること。
【解決手段】フレーム11aに軸架された複数のローラに中間転写ベルト12が掛架されると共に、その中間転写ベルト12を回動させる駆動モータ部13がフレーム11aに設けられて、外観視、ベルトコンベア状に構成されたトナー像搬送ユニット1と、そのトナー像搬送ユニット1を装置本体m1の内方に向かってスライドさせて、装置本体m1の内部の所定位置に、トナー像搬送ユニット1を着脱可能に内装させるトナー像搬送ユニット支持部2とを備えて画像形成装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を担持させる無端状のベルトを備えた電子写真方式の画像形成装置に関し、更に詳しくは、そのベルト廻りの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、感光体に形成したトナー像を、中間転写ベルトに一次転写し、その一次転写したトナー像を記録紙に二次転写するタイプの画像形成装置がある。この種の画像形成装置における中間転写ベルト廻りの構成を簡単に説明すると、例えば、装置本体側に設けられた中間転写駆動ユニットと、その中間転写駆動ユニットに着脱可能(トナー像搬送ユニットの搬送方向と平面視直交方向から着脱)な中間転写ユニットとを備えて構成されたものがある。前者の中間転写駆動ユニットは、回転軸を備えた駆動モータと、駆動軸と、回転軸の回転速度を所望の減速比で減速させて駆動軸に伝達させるギアトレインを備え、後者の中間転写ユニットは、カップリング(軸継ぎ手)を介して駆動軸と接続された駆動ローラと、その駆動ローラ等に掛架された中間転写ベルトとを備えてなる。
【0003】
これらの構成のうち、駆動軸と駆動ローラとの接続を行なう上述のカップリングは、凹部が形成された雌側カップリングと、その凹部に挿嵌させる凸部が形成された雄側カップリングとを備えて構成されたものや(例えば特許文献1参照)、駆動軸に設けられたピンと、駆動ローラに設けられたV溝とを係合させてなるカップリング(例えば特許文献2参照)等が挙げられる。いずれにしても、従来の中間転写ベルト廻りは、中間転写駆動ユニットを装置本体側に設けているため、必然的にカップリングやボルトなどの締結手段を用いてトナー像搬送ユニットを組み付ける構成になっていた。さらに、装置本体側に設けた中間転写駆動ユニットとトナー像搬送ユニットとの組み付けは、軸同士の接続や、中間転写駆動ユニットに軸を挿嵌させる必要があることから、トナー像搬送ユニットを中間転写駆動ユニットに組み付ける方向は自ずと軸方向となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の画像形成装置は以下の問題点があった。すなわち、駆動モータの駆動力をカップリングで駆動伝達した場合、ジョイント偏心という問題が生じていた。また中間転写ユニットを装置本体の上または側面から着脱する場合、記録材やトナー像の搬送方向が装置本体の側面方向であることから、軸同士の接続にカップリングが使用できない。そのため、連結機構が複雑になってしまうという問題が生じていた。したがって、カップリングによる駆動伝達や複雑な連結機構により、中間転写ベルトの回転精度が低くなり、バンディング、色ずれ等が発生する恐れがあった。さらに、中間転写ベルトの高精度なベルト送りを実現するため、上述したギアトレインが、小モジュールの歯車(特に0.5モジュール以下)で構成されていた場合、モジュールが小さくなればなるほど軸間精度が必要とされるので、中間転写ユニット側と中間転写駆動ユニット側との駆動受け渡し部の精度を確保するための部材が必要になっていた。
【0005】
また、側面方向(または上面方向)引き抜きタイプの転写ユニット着脱時には、ギヤ連結部が衝突することがあった。そのため、強度的な問題から小モジュールギヤでの受け渡しが難しくなり、大きなモジュールを使用し、その結果、バンディング等が生じてしまう恐れがあった。画像上で0.5mmピッチ以下となる噛み合い周波数のギアトレインでも同様に、駆動受け渡し部の精度が必要で、うまく精度が出ていないとバンディング・色ずれ等が生じてしまう恐れがあった。そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、トナー像搬送ユニットの作業性・組立性の向上を図りつつ画像品質の向上が期待できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、下記の技術的手段を講じた。すなわち、請求項1にかかる画像形成装置は、フレームに軸架された複数のローラにトナー像を担持させる無端状のベルトが掛架されると共に、該ベルトを回動させる駆動モータ部が前記フレームに設けられたトナー像搬送ユニットと、該トナー像搬送ユニットを装置本体から内方に向かってスライドさせて、前記装置本体の内部の所定位置に、前記トナー像搬送ユニットを着脱可能に内装させるトナー像搬送ユニット支持部とを備え、前記駆動モータ部は、前記トナー像搬送ユニット支持部に対する前記トナー像搬送ユニットの着脱方向において、前記複数のローラよりも装置本体の外方に配置され、前記トナー像搬送ユニットは、前記駆動モータ部から、前記複数のローラに含まれる駆動ローラに駆動を伝達するアイドル歯車を有しており、前記トナー像搬送ユニット支持部に対する前記トナー像搬送ユニットの着脱方向において、前記駆動ローラ、前記アイドル歯車、前記モータ駆動部の順で、装置本体の外方に配置されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2にかかる画像形成装置は、請求項1において、前記トナー像搬送ユニットは、装置正面視、装置本体の側面から着脱されることを特徴とする。
【0008】
請求項3にかかる画像形成装置は、請求項1または2において、前記トナー像搬送ユニット支持部に対する前記トナー像搬送ユニットの着脱方向と、前記ベルトの回動方向とが同方向となるように、前記トナー像搬送ユニット支持部と前記トナー像搬送ユニットとが構成されてなることを特徴とする。
【0009】
請求項4にかかる画像形成装置は、請求項1において、前記駆動モータ部は、駆動モータと、該駆動モータの回転出力を前記駆動ローラに伝達させる前記アイドル歯車により構成されたギアトレインとを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5にかかる画像形成装置は、請求項4において、前記ギアトレインは、モジュールが0.5を越えない歯車で構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6にかかる画像形成装置は、請求項4または5において、前記トナー像搬送ユニットは、前記ギアトレインにおける噛み合いピッチと前記駆動ローラの径とに基づいて生じる噛み合い一回に対する前記ベルトの移動ピッチが、0.5mmを越えないように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7にかかる画像形成装置は、請求項1乃至6の何れか1項において、前記トナー像搬送ユニットを前記装置本体から内方に向かってスライドさせて、前記装置本体の内部の所定位置にセットされると同時に、前記トナー像搬送ユニットと前記装置本体との電気的な接続が可能な電気接続部を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8にかかる画像形成装置は、請求項1乃至7の何れか1項において、前記装置本体は、各色の前記トナー像を個別に形成させる複数の作像手段を備え、前記複数のローラは、前記ベルトを挟んで前記作像手段と対向配置可能に前記フレームに軸架され、前記ベルトに各色の前記トナー像を一次転写させる一次転写ローラを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレームに軸架した複数のローラにトナー像を担持させる無端状のベルトを掛架し、そのベルトを回動させる駆動モータ部を設けて、外観視、ベルトコンベア状にトナー像搬送ユニットを構成したことで、装置本体側に接続する軸がなく、カップリングを用いる必然性が結果的になくなるから、ジョイント偏心を一因としたバンディング、色ずれ等が発生する恐れを払拭できる。また、トナー像搬送ユニットを装置本体から内方に向かってスライドして内装するトナー像搬送ユニット支持部を設けて、従来のようなカップリングによる軸同士の接続作業や複雑な連結機構が不要になったから、装置本体に対するトナー像搬送ユニットの着脱方向が自由に(自由な組み込みレイアウトが可能)、かつ、極めて簡単な組み付け作業およびメンテンス時の脱着作業ができる。特に、装置本体に対してトナー像搬送ユニットの組み付け方向を装置本体の側面から内方にした場合、装置本体正面側のスペースを有効活用できる。また、従来のようなカップリングによる軸同士の接続作業や複雑な連結機構が不要になったことで、回転軸の回転速度を所望の減速比で減速させて駆動軸に伝達させるギアトレインを小モジュールの歯車で構成しても、従来のような駆動受け渡し部の精度を確保するための部材を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態にかかる画像形成装置の中間転写ベルト廻りの斜視図である。
【図2】駆動モータ部の横断平面図である。
【図3】中間転写ベルト廻りの分解斜視図である。
【図4】電気接続部(ドロワコネクタ)廻りの部分平面図である。
【図5】本実施の形態にかかる画像形成装置の概略を示した正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明にかかる電子写真方式の画像形成装置の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態にかかる画像形成装置は、感光体ドラムm2と、その感光体ドラムm2を帯電させる帯電部と、その帯電された感光体ドラムm2に画像データに基づいた光照射をさせて静電潜像を形成させる露光部と、トナーを用いてその静電潜像をトナー像とする現像部とを備えた作像手段(感光体ドラムm2のみ図示)が、図5に示すように、装置正面視、所定間隔をおいて横一列に4つ並設され、後述するトナー像搬送ユニット1がこの作像手段の上側に対向配置された、所謂、タンデム式のカラー画像形成装置が例示されている。中間転写ベルト廻り以外の構成は、周知の構成であるためその詳細な説明は省略し、以下、中間転写ベルト廻りを詳述する。
【0017】
本実施の形態にかかる画像形成装置は、図1及び図3に示すように、トナー像搬送ユニット1と、トナー像搬送ユニット支持部2と、電気接続部3とを備えて構成されている。トナー像搬送ユニット1は、ローラ部11と、中間転写ベルト12(トナー像を担持させる無端状のベルト)と、駆動モータ部13とを備えて構成されている。
【0018】
ローラ部11は、板状の部材が所要の間隔をおいて対向配置されてなるフレーム11aと、そのフレーム11aの一端側に軸架された駆動ローラ11bと、他端側に軸架された従動ローラ11cと、その従動ローラ11cと駆動ローラ11bとの間に感光体ドラムm2の配設ピッチと同ピッチで軸支された一次転写ローラ11dと、従動ローラ11c寄りに架設されフレーム11a同士を接続させるタイロッド11eとを備え、これらの複数のローラが、図5に示すように、正面視、逆等脚台形状となるように配設されている。
【0019】
また、上述したフレーム11aの駆動ローラ11b側外面に、後述するネジ止め部2fと当接される張り出し部11gが突設されている。この張り出し部11gには、フレーム11aの長手方向(図1においてX方向)に向かって連通される取着孔11fが形成されている。なお、駆動モータ部13側の張り出し部11gは、後述するギアトレイン13cと干渉しないようになっている。タイロッド11eは、両端が縮径された段付軸であり、その両端がフレーム11aの外面から突出するようにフレーム11aに嵌合され、そのフレーム11aの外面から突出した軸端部11jが、後述する第1スライド溝2bと嵌合される。駆動ローラ11bは、その軸端部がフレーム11aの外面から突出されており、一方の軸端部には、図2に示すように、後述するギアトレイン13cの一構成体である従動歯車13mと、玉軸受け11kとが順に嵌着されてなると共に、他方の軸端部は、玉軸受け11kのみが嵌着されてなる。この玉軸受け11kは、後述する第2スライド溝2cと嵌合されるようになっている。
【0020】
中間転写ベルト12は、周知構成のもので、上述したローラ部11に掛架されている。
駆動モータ部13は、図2に示すように、ギアボックス13aと、駆動モータ13bと、ギアトレイン13cとを備えて構成されている。ギアボックス13aは、底面と一側面が開口され平面にモータ取り付け孔13dが形成された箱状に形成され、開口された側面側をフレーム11aの内方に向け、且つ、開口された底面側をフレーム11a側に向けて、従動歯車13m近傍のフレーム11a端から、フレーム内方に向かって所要長さの範囲を覆うようにフレーム11aに螺着されている。駆動モータ13bは、高精度な送り制御可能に構成された周知構成のモータであり、ギアボックス13aに設けられたモータ取り付け孔13dにモータハウジング13eの軸受け部13fが挿嵌されてモータ回転軸13gがギアボックス13a内に突出されると共に、ギアボックス13aにモータハウジング13eが螺着されて、ギアボックス13aに固設されている。
【0021】
ギアトレイン13cは、モータ回転軸13gに嵌合された駆動歯車13hと、ギアボックス13aの平面裏側から突設されたアイドル軸13iに軸支され駆動歯車13hと噛合された第1アイドル歯車13jと、アイドル軸13iに軸支されると共に第1アイドル歯車13jと一体成形された第2アイドル歯車13kと、第2アイドル歯車13kと噛合された上述の従動歯車13mとで、2段減速となるように構成されている。これらの歯車のモジュールは0.3(中間転写ベルト12の滑らかな移動、及び、高精度なベルト送りを担保する観点から、モジュールは0.5を越えないことが好ましい)であり、例えば、速度伝達比が12となるように、各歯車の歯数が調整されている。このように、外観視、ベルトコンベア状に構成されたトナー像搬送ユニット1は、モータ回転軸13gの回転出力が、駆動歯車13h、第1アイドル歯車13j、第2アイドル歯車13k、従動歯車13mを介して、駆動ローラ11bへ伝達し、その駆動ローラ11b、従動ローラ11c、一次転写ローラ11d等の複数のローラに掛架した中間転写ベルト12が回転するようになっている。
【0022】
トナー像搬送ユニット支持部2は、タイロッド11eの軸端部11jが挿入可能な側面視略コ字状の第1スライド溝2bが所要長さに亘って形成されると共に、その第1スライド溝2bの基端部上方に、玉軸受け11kと嵌合される側面視略コ字状の第2スライド溝2cが所要長さに亘って形成された一対のガイドレール2a(右勝手のガイドレール、左勝手のガイドレール)を備えてなる。さらに、このガイドレール2aには、トナー像搬送ユニット支持部2にトナー像搬送ユニット1を固定させるネジ止め部2fが設けられている。このネジ止め部2fは、張り出し部11gと対応した位置に形成された側壁部2dと、その側壁部2d内の、取着孔11fと対応した位置に埋設されたナット2eとを備えて構成される。このように形成された一対のガイドレール2aは、図3に示すように、装置本体m1側面方向(図1においてX方向、なお、装置本体m1の前後方向(正面、背面)は図1においてY方向)に向かって第1スライド溝2b同士及び第2スライド溝2c同士が水平対向するように装置本体m1内に延設されると共に、駆動モータ部13が装置本体m1内の最外方に位置するように内装されている。
【0023】
電気接続部3は、図4に示すように、装置本体m1の機枠(またはトナー像搬送ユニット支持部2でも良い)に設けられた雄雌いずれか一方のコネクタ3aと、トナー像搬送ユニット1に設けられトナー像搬送ユニット1のスライド動作に連係して一方のコネクタ3aと嵌脱可能な他方のコネクタ3bとで構成されたドロワコネクタからなる。
【0024】
この電気接続部3は、トナー像搬送ユニット1をトナー像搬送ユニット支持部2にセットしたと同時に、駆動モータ13bや一次転写ローラ11d等の、トナー像搬送ユニット1内で電力を要する構成体と装置本体m1とを電気的に接続させるようになっている。
【0025】
なお、このドロワコネクタの替わりに、板バネからなる端子と、この板バネからなる端子に圧接される端子で電気接続部を構成しても良い。この場合、板バネからなる端子は外力による折り曲げ損傷の恐れがあるため、トナー像搬送ユニット支持部2または装置本体m1の機枠に設けることが好ましい。
【0026】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる画像形成装置におけるトナー像搬送ユニット1の一連の取り付け作業を説明する。まず、タイロッド11eの軸端部11jを第1スライド溝2bに引っ掛け、トナー像搬送ユニット1を装置本体m1の側面から装置本体m1内方へ向かってスライドする。トナー像搬送ユニット1を装置本体m1内方へスライドして玉軸受け11kが第2スライド溝2cの入り口に達したら、玉軸受け11kを第2スライド溝2cに引っ掛け、トナー像搬送ユニット1を、張り出し部11gが側壁部2d当接するまで押し切る。この押し切り動作によって、トナー像搬送ユニット1が装置本体m1の内部の所定位置に達すると同時に、トナー像搬送ユニット支持部2または装置本体m1の機枠に設けた雄雌いずれか一方のコネクタ3aとトナー像搬送ユニット1に設けた他方のコネクタ3bとが嵌合して、トナー像搬送ユニット1と装置本体m1とが電気的に接続する。
【0027】
タイロッド11eの軸端部11jと第1スライド溝2bとの嵌合、及び、玉軸受け11kと第2スライド溝2cとの嵌合、さらに、電気的な接続が完了したら、張り出し部11gに形成した取着孔11fを介して、側壁部2dに埋設したナット2eに止めボルトを螺着して、トナー像搬送ユニット1をトナー像搬送ユニット支持部2に固定する。このとき、一次転写ローラ11dと感光体ドラムm2とが中間転写ベルト12を挟んで上下に対向配置する。このように本実施の形態にかかる画像形成装置は、タイロッド11eの軸端部11jと第1スライド溝2bとを嵌合し、玉軸受け11kと第2スライド溝2cとを嵌合して鉛直方向の位置決めをし、張り出し部11gと側壁部2dとが当接することで、水平方向の位置決めする。そして、トナー像搬送ユニット1とトナー像搬送ユニット支持部2との固定が完了したら、外パネル(図示せず)を装置本体m1の機枠に取り付けて、一連の取り付け作業が完了する。
【0028】
この本実施の形態にかかる画像形成装置によれば、中間転写ベルト12を回動させる駆動モータ部13を備えてトナー像搬送ユニット1を構成して、装置本体m1側とトナー像搬送ユニット1との接続にカップリングを不要にしたから、ジョイント偏心を一因としたバンディング、色ずれ等が発生する恐れを払拭できる。また、小モジュール(本実施の形態では0.3)の歯車を用いてギアトレイン13cを構成したことで、中間転写ベルト12の滑らかな移動、及び、高精度なベルト送りによって、さらなる画像品質の向上が期待できる。また、トナー像搬送ユニット1を装置本体m1の内方に向かってスライドして内装するトナー像搬送ユニット支持部2を設けて、従来のような軸同士の接続作業を一切排除したから、装置本体m1に対してトナー像搬送ユニット1の組み付け方向が限定されることがなく自由な組み込みのレイアウトが可能な上に、極めて簡単な組み付け作業およびメンテンス時の脱着作業ができ、しかも、装置本体に対してトナー像搬送ユニット1の組み付け方向が装置本体m1の側面から内方になるので、装置本体m1正面側のスペースを有効活用できる。
【0029】
また、従来は、ギアトレイン13cからなる減速機構と駆動モータ13bを装置本体m1に組み込む構成であったことから、組立が極めて容易とは云えなかったが、本実施の形態では、ギアトレイン13cと駆動モータ13bとをトナー像搬送ユニット1に組み込む構成にしたことで、高精度なトナー像搬送ユニット1が極めて容易に組み立てることができる。また、本実施の形態では、駆動モータ部13が装置本体m1内の外方に位置するように、トナー像搬送ユニット1とトナー像搬送ユニット支持部2とを構成して、トナー像搬送ユニット1のセット時にしか使用しないデッドスペースがないから、画像形成装置の更なるコンパクト化に貢献できる。
【0030】
また、本実施の形態では、トナー像搬送ユニット支持部2に対するトナー像搬送ユニット1の着脱方向と、中間転写ベルト12の回動方向とが同方向(図1においてX方向)となるように、トナー像搬送ユニット1とトナー像搬送ユニット支持部2とを構成したことで、トナー像搬送ユニット1のセット時、感光体ドラムm2など装置本体m1側に配設された作像手段との係合が、事故なく、安全かつ簡単に行なうことができる。また、玉軸受け11kを係止部材として利用して、その玉軸受け11kを介して駆動ローラ11bの鉛直方向及び水平方向の位置が決まるようにしたから、装置本体m1に対し、高精度な組み込みができる。また、トナー像搬送ユニット支持部2とトナー像搬送ユニット1との嵌脱と同時に、ドロワコネクタの嵌脱も行なって、トナー像搬送ユニット1と装置本体m1との電気的な接続も入り切りするから、組立性、メンテンス時の作業性が向上できる。
【0031】
以上、本実施の形態にかかる画像形成装置を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。例えば、本実施の形態では、さらなる画像品質の向上を果たすために、中間転写ベルト12の滑らかな移動、及び、高精度なベルト送りを満足するための一解決手段として、ギアトレイン13cを構成する歯車のモジュールを可能な限り小モジュール化(0.3)にしたが、他の解決手段としては、駆動歯車13hとこの駆動歯車13hと噛合する歯車との噛み合い1回に対しての中間転写ベルト12の移動ピッチが、0.5mmを越えないように、ギアトレイン13c、駆動ローラ11b(の径)を調整しても良い。また、本実施の形態では、ギアトレイン13cを介して駆動モータ13bの回転出力を駆動ローラ11bに伝達したが、このギアトレイン13cを用いずに、駆動ローラ11bをダイレクトドライブする駆動モータ13bを用いても良いものである。
【0032】
また、本実施の形態では、タイロッド11eの軸端部11j、玉軸受け11kを係止部材としたが、このものに限定されず、ローラ部を構成する他のローラや、上述した以外のタイロッド、あるいは、フレーム11aにボスを突設させて係止部材としても良い。また、本実施の形態では、中間転写ベルト12を用いてトナー像を二次転写させる、岩所謂、中間転写方式の画像形成装置について例示したが、このものに限定されず、ベルト上でトナー像を現像し、そのベルトから直接、記録紙に転写させる、所謂、直接転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1…トナー像搬送ユニット 11…ローラ部 11a…フレーム 11b…駆動ローラ 11c…従動ローラ 11d…一次転写ローラ 11e…タイロッド 11f…取着孔 11g…張り出し部 11j…タイロッドの軸端部 11k…玉軸受け 12…中間転写ベルト 13…駆動モータ部 13a…ギアボックス 13b…駆動モータ 13c…ギアトレイン 13d…モータ取り付け孔 13e…モータハウジング 13f…軸受け部 13g…モータ回転軸 13h…駆動歯車 13i…アイドル軸 13j…第1アイドル歯車 13k…第2アイドル歯車 13m…従動歯車 2…トナー像搬送ユニット支持部 2a…ガイドレール 2b…第1スライド溝 2c…第2スライド溝 2d…側壁部 2e…ナット 2f…ネジ止め部 3…電気接続部 3a…一方のコネクタ 3b…他方のコネクタ m1…装置本体 m2…感光体ドラム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開平10−307447号公報(第5頁、図4)
【特許文献2】特開2005−309060公報(第6頁、図1)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに軸架された複数のローラにトナー像を担持させる無端状のベルトが掛架されると共に、該ベルトを回動させる駆動モータ部が前記フレームに設けられたトナー像搬送ユニットと、
該トナー像搬送ユニットを装置本体から内方に向かってスライドさせて、前記装置本体の内部の所定位置に、前記トナー像搬送ユニットを着脱可能に内装させるトナー像搬送ユニット支持部とを備え、
前記駆動モータ部は、前記トナー像搬送ユニット支持部に対する前記トナー像搬送ユニットの着脱方向において、前記複数のローラよりも装置本体の外方に配置され、
前記トナー像搬送ユニットは、前記駆動モータ部から、前記複数のローラに含まれる駆動ローラに駆動を伝達するアイドル歯車を有しており、
前記トナー像搬送ユニット支持部に対する前記トナー像搬送ユニットの着脱方向において、前記駆動ローラ、前記アイドル歯車、前記モータ駆動部の順で、装置本体の外方に配置されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー像搬送ユニットは、装置正面視、装置本体の側面から着脱されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー像搬送ユニット支持部に対する前記トナー像搬送ユニットの着脱方向と、前記ベルトの回動方向とが同方向となるように、前記トナー像搬送ユニット支持部と前記トナー像搬送ユニットとが構成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動モータ部は、駆動モータと、該駆動モータの回転出力を前記駆動ローラに伝達させる前記アイドル歯車により構成されたギアトレインとを備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ギアトレインは、モジュールが0.5を越えない歯車で構成されていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー像搬送ユニットは、前記ギアトレインにおける噛み合いピッチと前記駆動ローラの径とに基づいて生じる噛み合い一回に対する前記ベルトの移動ピッチが、0.5mmを越えないように構成されていることを特徴とする請求項4または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー像搬送ユニットを前記装置本体から内方に向かってスライドさせて、前記装置本体の内部の所定位置にセットされると同時に、前記トナー像搬送ユニットと前記装置本体との電気的な接続が可能な電気接続部を備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記装置本体は、各色の前記トナー像を個別に形成させる複数の作像手段を備え、
前記複数のローラは、前記ベルトを挟んで前記作像手段と対向配置可能に前記フレームに軸架され、前記ベルトに各色の前記トナー像を一次転写させる一次転写ローラを備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−252367(P2012−252367A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−216571(P2012−216571)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2008−8149(P2008−8149)の分割
【原出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】