説明

画像形成装置

【課題】小型気流発生器を複数用いることで、大型な気流発生器を必要とせずに、被搬送材の位置及び/又は姿勢を予め設定された方向に移動させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の気流発生器95と、複数の被搬送材検出器97と、画像書き込み位置上流に水平に配置した搬送ガイド板91と、被搬送材の搬送方向と直交方向の幅を規制する幅ガイド部材93を具備し、前記気流発生器95の発生する気流を前記搬送ガイド板91の上の気流吹出し孔94に導くように配管接続し、被搬送材9を気流で浮上させ、前記幅ガイド部材93により被搬送材9の位置を規制した後、前記気流発生器95の発生する気流を変化させることで被搬送材9を予め設定された位置/方向へ移動させる搬送ガイド装置90を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置に係り、詳しくは、シート状被搬送材(記録紙)の搬送経路内を変えることが可能な搬送ガイド装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、多機能と同時にコンパクト化が要求される為、記録紙の搬送路形状が複雑になり、また、被搬送材である記録紙の材質も多様化するにつれ、搬送路の屈曲部において記録紙の先端が擦れ、先端折れや記録紙位置ずれ等が生じることがある。そして、この記録紙位置ずれ等が生じたまま転写装置に搬送され、像担持体上のトナー像が転写されることで、結果的に位置ずれが生じた定着画像が形成されることになり、品質の低い劣化画像が発生している。
したがって、高品質の画像を得るには、先端折れや記録紙位置ずれ等が生じることなく記録紙を給紙ユニットから転写装置まで搬送することが必要になる。
例えば、特許文献1では、ステッピングモータにより駆動されるレジストローラに、搬送されてきた記録紙の先端を突き当て一旦停止させてスキュー補正を行い、その記録紙を像担持体上に形成されたトナー像にタイミングを合わせて搬送する紙搬送制御方法において、前記レジストローラに突き当てて撓ませから一旦停止させて記録紙のスキュー補正を行った後、通常の紙搬送線速以下の速度にして前記ステッピングモータを所定のパルス数だけ駆動し、前記記録紙の先端を前記レジストローラにくわえ込ませる紙搬送制御方法が開示されている。パルス数を検知して制御することで構造を複雑になる等の不具合がある。
【0003】
また、記録紙の先端が擦れ、先端折れや記録紙位置ずれ等が生じることが少ない搬送手段として、エアー吸引やエアー搬送などで被搬送材の分離/搬送を行うものがある。
例えば、特許文献2、3では、シート材の下面にエアーを吐出してシート材を浮上させる吐出浮上装置と、浮上されたシート材の上面に転接されシート材を側方へ移動させる位置決めロールと、位置決めロールの側方に配設され側方へ移動されたシート材の側端が当接される位置決め基準ストッパーとを具備して成るシート材の位置決め装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献4では、原稿を載置する給紙台と、該給紙台上の最下原稿に接触し搬送移動する給送ベルトと、原稿の先端に空気を吹き付け、原稿を浮かす空気噴射装置と、原稿を前記給給送ベルトに吸引するバキューム装置とを有する自動原稿送り装置において、原稿の厚さを検知する原稿検出器を設け、該原稿検出器の検知信号に応じて前記空気噴射装置のブロアーモータの回転数を所定の段階に切換制御することと、前記空気噴射装置の吹付け及びバキューム装置の吸引により1枚の原稿を給送ベルトにより分離搬送し、その原稿が少なくとも積載原稿を抜け出した後一旦空気噴射装置の吹付け及びバキューム装置の吸引を停止して後所定タイミングで再度作動することを各原稿毎に行う自動原稿送り装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献5では、エア浮上モジュールにより基板を浮上させた状態で一方向に搬送するエア浮上搬送機構と、このエア浮上搬送機構により搬送される基板の上方からインクを吐出してインクジェット方式で画像を記録する画像記録部とを備え、画像記録部と対向する領域においては、複数個のエア浮上モジュールは、基板の搬送方向に対してインクジェットヘッドと同方向に交差する方向で、かつ、各インクジェットヘッドと対向しない位置に配設されているインクジェット画像記録装置が開示されている。
しかし、これらのエアー吸引やエアー搬送などでは、給紙ユニットから搬送路における箇所のものであり、レジスタユニット(直前)で行うものではない。
また、給紙ユニット、搬送路で用いられているエアー吸引やエアー搬送などでは、エアーを得るためには大型の気流発生器や吸引機を必要としているという不具合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、小型気流発生器を複数用いることで、大型な気流発生器を必要とせずに、被搬送材の位置及び/又は姿勢を予め設定された方向に移動させる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、複数の気流発生器と、搬送経路中の被搬送材を検出する複数の被搬送材検出器と、画像書き込み位置上流に水平に配置した搬送ガイド板と、前記搬送ガイド板上の被搬送材の搬送方向と直交方向の幅を規制する幅ガイド部材を具備し、前記気流発生器は気流吐出用のノズルを有し、前記搬送ガイド板に鉛直方向に複数の気流吹出し孔を搬送方向と直交方向に複数列分等間隔で設け、前記気流発生器の発生する気流を前記搬送ガイド板上の気流吹出し孔に導くように配管接続し、前記搬送ガイド板に積載された被搬送材を前記気流発生器を駆動することで気流吹出し孔から発生する気流で浮上させ、前記幅ガイド部材により被搬送材の位置を規制した後、前記気流発生器の発生する気流を変化させることで被搬送材を予め設定された位置/方向へ移動させる搬送ガイド装置を備えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、被搬送材の搬送方向と直交方向に配列された同一列の気流吹出し孔からの気流量を同一時間に同一量を変化させることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、1つの気流発生器で発生する気流を搬送ガイド板の複数の気流吹出し孔に導く際には、被搬送材の搬送方向と直交方向に配列された同一列の隣接した気流吹出し孔に配管接続することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、1つの気流発生器で発生する気流を導く気流吹出し孔が、搬送方向と直交方向に配列された同一列の気流吹出し孔の総数の過半数を超える場合には、複数の気流供給路で前記複数の気流吹出し孔列と気流発生器とを配管接続することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記気流発生器のノズルと搬送ガイド板上の気流吹出し孔とを直接接続し、前記気流発生器を個別に駆動制御することで、気流吹出し孔からの気流を個々に制御することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記搬送ガイド板の気流吹出し孔間隔を、被搬送材の搬送方向と、搬送方向と直交方向とを同一としたことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記搬送ガイド板の気流吹出し孔間隔を50mm以下としたことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記搬送ガイド板の気流吹出し孔から吹出す気流量を0.5L/min.以上としたことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、気流発生器が出力する気流の風圧/風量を、搬送される被搬送材の材質に応じて変化させることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記気流発生器は、圧電素子と、振動板を用いて形成した空気ポンプ室とで構成され、圧電素子により振動板を振動させることで空気ポンプ室の容積を変化させて気流を発生させるものであって、気流発生器駆動制御手段によって、可聴周波数以上で駆動されることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記気流発生器駆動制御手段を外部より入力した駆動信号で気流発生器を駆動出来る構成とし、前記駆動信号の周波数またはデューティを変化させることで、前記気流発生器が出力する気流の風圧/風量を可変としたことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記気流吹出し孔と直接接続する気流発生器を、直列接続した複数の気流発生器又は並列接続した複数の気流発生器とすることで、気流の風圧/風量を増大可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の画像形成装置では、小型気流発生器を複数用いる搬送ガイド装置によって、大型な気流発生器を必要とせずに、被搬送材の位置及び/又は姿勢を予め設定された方向に移動させることができる。
さらに、搬送ガイド装置の気流により被搬送材の搬送方向と直交方向の幅を規制するとともに、気流吹出し孔からの気流を制御して、被搬送材の位置を予め設定された位置/方向へ誘導/移動させることで、被搬送材の劣化を防ぎつつ、被搬送材の画像のずれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の一実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の構成例を簡易に示す概略図である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の搬送方向に直交した方向の断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の動作を説明するタイミングチャートを示している図である。
【図6】気流噴出し孔の間隔が長い場合の被搬送材の状態を示す概略図である。
【図7】1つの気流発生器で複数の気流吹出し孔に気流を供給する状態を示す概略図である。
【図8】本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置における気流発生器の外形図を示す図である。
【図9】アタッチメントで気流発生器を接続した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
画像形成装置は被搬送材の給紙から転写、定着、排紙されるまでに様々な搬送路を形成している。特に、小型機または高性能機においては、給紙部からの搬送路に大きな屈曲部があったりと複雑になってきている。
給紙装置からシート搬送装置は装置の側面を構成する場合が多いため、必然的に屈曲した搬送路となることが高い。給紙装置からの受け渡しを行うユニットは画像形成装置と給紙装置とのサイズの関係から側面部を構成することが多く、その搬送路は給紙ユニットからUターンのように折り返して画像形成部へ向かう。特に、コート紙などの特殊なシート材の需要が高い場合、搬送時における搬送抵抗を低く、搬送材表面に傷等がつかないよう、曲率半径の大きなガイド板を必要としていた。
【0011】
図1は、本発明の画像形成方法を実施する画像形成装置の一実施形態の構成を示す概略図である。図1には中間転写ベルトを有した代表的なタンデム型画像形成装置を一例に挙げており、本発明は以下の構成のみに捉われるものではない。
本発明の例として、図1に基づいてフルカラー画像形成装置で説明する。
本発明の画像形成方法の実施に係る画像形成装置1は、上の方から、置かれた原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5と、原稿を読み取るスキャナ(読取装置)4、トナー画像を形成する画像形成部3、そして、その下に記録紙等の被搬送材9を備え、供給する給紙部2が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部3が配置されている。画像形成部3では、その内部の略中央に、プロセスカートリッジとしての作像ユニット10をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つを水平な横方向に並列に並べたタンデム型に配列している。
4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの上方には、帯電した各感光体11の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置12が備えられている。また、4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの下方には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトをローラ651、652、653に掛け回して支持し、回転駆動する中間転写ベルト61を備える転写装置60を配置している。
いずれの作像ユニット10でも同様の構成であるので、この図においては、色の区別に関係ない場合はY、C、M、Kの表示を省略する。各作像ユニット10Y、10C、10M、10Kは、感光体11Y、11C、11M、11Kを有し、各感光体11の周りには、感光体11表面に電荷を与える帯電装置20、感光体11表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置30、感光体11表面に、図示しない潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置、トナー像転写後の感光体11表面のクリーニングをするクリーニングブレードを備えるクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。これで、一つの作像ユニット10を形成している。
【0012】
感光体11は、アモロファスシリコーン、セレン等の金属、または、有機感光体であり、ここでは、有機感光体で説明する。有機感光体11としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体11を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体11を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層9の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0013】
帯電装置20は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ21を備える。帯電ローラは、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。このイオンを放電する帯電ローラ21は、材質としては弾性樹脂ローラを用いている。また、帯電ローラ21は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有することがある。
また、帯電ローラ21は、感光体11に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ21の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体11表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ21は、感光体に近接させずに、接触させても良い。ローラ形状であり、感光体11に近接している部分で、放電して、感光体11を帯電させることができる。また、近接させて非接触にすることで、帯電ローラ21の転写残トナーによる汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ21には、帯電ローラ21表面に接触してクリーニングする図示しない帯電クリーナローラが設けられている。
現像装置40は、感光体11と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像スリーブが配置されている。現像スリーブの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブへ汲み上げる機構を併せて有する攪拌・搬送スクリューが備えられている。現像スリーブによって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤は、規制部材によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブに担持される。現像スリーブは、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11に供給する。また、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジが、着脱可能に感光体11上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置40に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジを、特に大容量としておくことも可能である。
【0014】
クリーニング装置40は、クリーニングブレード及びそのブレードを保持するホルダー等で構成され、感光体11に対してそのブレード部材を圧接させることにより、感光体11から残留トナーを除去する。また、クリーニングブレードが感光体11と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレードをカウンタ方式で、感光体11に当接し、これによって、感光体11上に残留するトナー、汚れとして付着している被搬送材のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体11から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、図示しない廃トナー回収コイルで、図示しない廃トナー容器に搬送し、貯留する。
クリーニング装置40によりクリーニングされて感光体11から取り除かれたトナーは、トナー搬送部材によって、サービスマンなどにより回収されるか、あるいはリサイクルトナーとして現像装置などに運ばれ現像に使用される。
【0015】
転写装置60は、トナー像が積層される中間転写ベルト61、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト61に転写・積層させる一次転写ローラ62、積層されたトナー像を被搬送材9に転写する二次転写ローラ63等を備えている。さらに、転写装置60は、二次転写ローラ63に対向する部分で、中間転写ベルト61の内側には、対向部材となる支持ローラ653が対向するように設けている。
中間転写ベルト61を挟んで、各感光体11と対向する位置には、感光体11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に一次転写する一次転写ローラ62がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ62は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、感光体11から中間転写ベルト61側に引き寄せ移行させることで、一次転写する。また、この一次転写ローラ62は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有させ、半導電性にすることが好ましい。一次転写ローラ62の抵抗値が異なっていても転写効率はほとんど変わらないが、画像面積比が異なると転写効率は大きく異なってくるため、安定して転写効率を維持できない。これは、転写ニップ部においてトナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう結果、画像面積比が小さい場合には転写電圧値が低くなって転写に必要な電界が十分得られなくなるためである。特に、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合には転写部に介在するトナーの抵抗値の影響が大きくなるため、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合ほど顕著になる。このように定電流制御を採用する場合には一次転写ローラ62として抵抗値の高いものを使用することが望まれるが、その抵抗値が5×10Ωを越えると電流のリークによってトナー像を乱すおそれが強まる。したがって、一次転写ローラの抵抗値は、1×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものを用いるのが好ましい。トナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう現象は、上述のトナー抵抗によるだけでなく、一次転写ローラ62の中心に設けられている芯金に印加される一次転写電圧と感光体11との電位差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きいために、より大きな電位差の方に転写電流が流れ易いことにもよる。これは、トナー像が感光体11の帯電極性と同じで、感光体11の像露光を受けて感光体電位が除電された個所にトナーが現像されることで感光体11上にトナー像を形成する画像形成装置1の場合に発生する。トナー像の形成されていない個所の感光体電位が高く、トナー像の形成された個所の感光体電位は低いが、転写電位は感光体電位とは逆極性なので、一次転写電圧と感光体電位との差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きくなる。この場合一次転写ローラ62の抵抗値は、望ましくは、5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものが好ましい。
【0016】
また、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、二次転写ローラ63で被搬送材に二次転写される。二次転写ローラ63には、一次転写ローラ62と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、中間転写ベルト61から、搬送されてきた被搬送材側に引き寄せ移行させることで、二次転写する。
二次転写ローラ63は、金属よりなる円筒状の芯金と、この芯金の外周面に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された樹脂材料からなる表面層とから構成されている。
芯金を構成する金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。芯金の上に形成される弾性層には一般的にゴム材料が使用されゴム層65bとなっている。これは、二次転写ローラ63を変形させて二次転写ニップ部を確保のために二次転写ローラ63には弾性機能が要求されることに起因するものであり、JIS−A硬度で70[°]以下が望ましい。
また、二次転写ローラ63のクリーニング手段としてクリーニングブレード22を使用しているため、弾性層が柔らかすぎると、クリーニングブレード22の当接状態が不安定となり適正なクリーニング角度が得られなくなる。よって、弾性層の硬度としてはJIS−A40[°]以上が望ましい。
また、二次転写ローラ63が絶縁体ではトナー画像を記録体に転写するという機能が果たしえないため、導電機能を付与された発泡樹脂剤で、厚さは2mm〜10mmであることが好ましい。導電機能を付与する材料としては、カーボンブラックが分散されたEPDMやSiゴム、またイオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴム等を使用してもよい。
弾性層に用いられる発泡樹脂剤の多くがトナーに対し化学的親和性が高く、摩擦係数が大きいため、クリーニングブレード22が接触している表面層に必要な機能としては、低摩擦係数、トナー離型性が必要となることから、二次転写ローラ63の表面層は、フッ素樹脂系樹脂に抵抗制御材を加えて抵抗調整し用いられる。
さらに、二次転写ローラ63は、中間転写ベルト61と接触して回転していることから、中間転写ベルト61と二次転写ローラ63との間に微小な線速差が発生すると中間転写ベルト61の駆動に影響を与えてしまう。よって、中間転写ベルト61とのすべり性が二次転写ローラ63の表面層には要求されるため、表面層の最表面の摩擦係数0.4以下になるように設定することが望ましい。
また、中間転写ベルト61には、二次転写後の中間転写ベルト61の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置64が設けられている。
また、支持ローラ653が中間転写ベルト61と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。
【0017】
さらに、この画像形成装置1には、中間転写ベルト61に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置67が設けられている。潤滑剤塗布装置67は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤と、固形潤滑剤に接触して潤滑剤を削り取り、中間転写ベルト61に塗布するブラシローラとブラシローラで塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレードを備える。固形潤滑剤は、直方体状に形成されており、加圧バネによってブラシローラ側に付勢されている。固形潤滑剤はブラシローラによって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネで加圧されているために常時ブラシローラに当接している。ブラシローラは、回転しながら削り取った潤滑剤を中間転写ベルト61表面に塗布する。
なお、同様の機能を有する潤滑剤塗布装置を感光体11に対して配設してもよい。
本実施形態においては、上記ブラシローラによる潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の中間転写ベルト61表面に潤滑剤均し手段としての不図示の潤滑剤塗布ブレードを当接させている。潤滑剤塗布ブレードは弾性体であるゴムから構成されているものであり、クリーニング手段としての機能も持たせ、中間転写ベルト61の移動方向に対してカウンタ方向に当接してある。上記固形潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪酸基を有する金属化合物なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0018】
中間転写ベルト61はPVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を10〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ該中間転写ベルト61の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、
PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
中間転写ベルト61の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。
中間転写ベルト61の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト61の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率および表面抵抗率が前記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。したがって、本発明における中間転写ベルト61の体積抵抗率および表面抵抗率は前記範囲内でなければならない。
なお、体積抵抗率および表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、中間転写ベルト61の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0019】
図1では、転写装置60の左方には、被搬送材9上のトナー像を被搬送材9に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、図示しないが、主に、内部にハロゲンヒータを有する定着ローラ71と、これに対向し、圧接して配置される加圧ローラ72とから構成されている。定着装置70は、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、被搬送材9の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。
【0020】
また、両面コピーモードが選択されているときには、片面に画像を定着した被搬送材9を切換爪851により被搬送材反転装置89側に搬送し、この反転路87の内に、所定の配置した複数の搬送ローラや図示しないガイド部材によって、あらかじめ所定に形成した反転搬送路87上を往復移動させて、被搬送材面9の上下向きを反転させてから、再度、切換爪852で切り替えて、画像形成のための搬送路に復帰させ、この搬送路上を搬送されて再び搬送ガイド装置90まで搬送される。ここで、再度、被搬送材9の位置、方向を揃えてレジストローラ84に送られる。したがって、被搬送材9の裏面に画像が形成される場合であっても、被搬送材9の表裏面の画像を揃えることができる。
さらに、転写装置60へ導かれ、今度は被搬送材9の裏面に画像を転写し定着した後に、排紙ローラ85によって排紙トレイ86上に最終的に排出される。
このときに、被搬送材9が1枚の時には、被搬送材9面の上下向きを反転させてから、被搬送材反転搬送装置89の再搬送路87を通過して、再度レジストローラ84で、作像ユニット10によって画像が形成されるのを待って、転写ローラ63で被搬送材9上に画像が形成される。今度は、被搬送材9の裏面に画像を転写し定着した後に、排紙ローラ48によって排紙トレイ86上に最終的に排出される。
被搬送材9が複数枚ある時には、被搬送材反転搬送装置89内の被搬送材反転収納装置88に設定枚数の片面にトナー像が形成された被搬送材9を一端収納されて、次ぎに、そこから、給紙ローラ82で給紙され、分離ローラ81で1枚づつに分離されて、再度レジストローラ84で、作像ユニット10によって画像が形成されるのを待って、被搬送材9上に画像が形成される。今度は被搬送材9の裏面に画像を転写し定着した後に、排紙ローラ85によって排紙トレイ86上に最終的に排出される。
【0021】
また、本発明の画像形成装置1は、転写装置の前に、搬送ガイド装置が設けられている。
図1に示すように、画像形成部3に、給紙ユニット80、そして排紙ユニット86が接続される。いずれかの給紙ユニット80からピックアップローラ82により給紙された被搬送材9は分離ローラ81によって1枚に分離された後、停止状態にあるレジストローラ84に突き当てられて待機する。このレジストローラ84に到達する前に、搬送ガイド装置90が設けられている。搬送ガイド装置90で斜行補正を行う。その後、感光体11のトナー像に一致するタイミングで送り出される。
図1からわかるように、給紙ユニット80から搬送ガイド装置90までの経路は、搬送路が大きく変化する場所である。
また、被搬送材9とガイドとの摩擦音が発生する。結果、紙詰まりや被搬送材9のうねりが生じる問題があった。被搬送材9の横レジストは、給紙ユニット80では規制されるが、搬送路に送り出された後、搬送路内では、特に規制するものがない。
【0022】
図2は、本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の構成例を簡易に示す概略図である。搬送路の画像書き込み位置上流として、レジストローラ対84の上流を例に挙げる。
レジストローラ対84上流に水平に配置したシート状の被搬送材(記録紙)9を搬送する搬送ガイド装置90の搬送ガイド板91の表面に、複数の気流吹出し孔94を設ける。
気流吹出し孔94と搬送ガイド板91の下面側の気流発生器95と配管となるチューブ96とを接続し、気流発生器95の発生する気流を導く。図2に示すように、搬送ガイド板91の表面には複数の気流吹出し孔94が形成されている。搬送ガイド装置90に搬送された被搬送材9は、搬送ガイド板91の下面側に設けた気流吹出し孔94からの気流によって、表面から僅かに浮上する。
浮上した被搬送材9は、幅ガイド部材93によって、固定した片側のガイド側板92に寄せられる。片側のガイド側板92に寄せた後、気流吹出し孔94の気流を変化させて被搬送材9の先端をレジストローラ対84に突き当てる。
【0023】
この気流吹出し孔94の数(間隔)は、被搬送材9を浮上させられるように、適宜設定する。
図2では、搬送方向に5列、幅方向に5列の気流吹出し孔94を設けている。搬送ガイド装置90の片側に設けられるガイド側板92は固定されて、もう一方の側板に、幅方向に移動する幅ガイド部材93が設けてある。
幅ガイド部材93は、図示しない移動手段によって、被搬送材9のサイズにより、幅方向に移動する。
搬送ガイド装置90の搬送方向下流側には、搬送ガイド板91の表面と高さの略一致したレジストローラ対84が配置される。
【0024】
図3は、本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の搬送方向に直交した方向の断面図である。
ここでは、気流吹出し孔94と気流発生器95との配管接続しており、気流発生器95を搬送ガイド板91の底部に配置している一例である。
1つは気流発生器95のノズル(吐出口)951と、気流吹出し孔94とを直接接続した場合で、複数の気流吹出し孔94を接続する場合は、各気流吹出し孔94からの気流差を低減するため配管長を考慮し、隣接する孔に配管接続する。
図3に示す気流発生器94は、圧電素子を利用している。圧電素子は高温度で焼き固めた多結晶の強誘電体に、直流強電界を加えて分極処理を施したものであり、圧力を加えると電気エネルギーを発生し、逆に電気エネルギーを与えると伸縮する性質を持った結晶体を利用している。小型気流発生器は後者の特性を利用したもので、圧電素子にその形状によって決まる弾性固有振動数に一致した交流電圧(共振周波数)を印加すると非常に強く振動する。この現象を共振といい、この共振を利用すると、電気機械エネルギー変換効率が非常に良くなる。小型気流発生器は、この圧電素子の振動により気流発生器のポンプ室を構成する振動版を振動させ、ポンプ室の空気を吐出することで気流を発生する。
ノズル(吐出口)951のノズル径は4mm、発生する気流の空気圧(静圧)は約2kPa、風量は約1L/min.である。
気流発生器95を駆動させると、本体裏面(ノズルの無い側)から空気を吸込んでポンプ室952に溜め込んだ空気をノズル951から吐き出し、図の破線矢印に示す空気流を発生する。
【0025】
図4は、本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の動作を説明するための図である。図4では、搬送ガイド装置の搬送方向と直交方向の吹出し孔94の列を4列としている。また、1つの気流発生器95が、搬送方向に直交配置した同一列の複数の気流吹出し孔94と接続されているものとする。
搬送ガイド板91の上流の搬送路に設けた被搬送材9の検出器97が被搬送材9の通過を検知すると、すべての気流発生器95を駆動する。
給紙部2における搬送で、幅方向の規制をされたはずの被搬送材9が基準側板位置(ガイド側板)92からずれていた場合、搬送ローラ83から送りだされた、被搬送材9は、図4(a)のように、気流吹出し孔94の気流によってガイド板91から浮上させられることで、幅ガイド部材93による幅規制が確実に行われる。
このような浮上させずに幅ガイド部材93による規制を行うと、ガイド板91の表面と幅ガイド部材93との隙間に被搬送材9が入り込んでしまったり、被搬送材9の縁が曲がったりする恐れがある。被搬送材9が入り込まないような機構にしようとすると、移動可能な幅ガイド部材93の構成が複雑になる。
幅方向の規制(位置決め)が終わると、被搬送材9をレジストローラ対(搬送方向)84へ移動させる。
ここで、搬送材幅方向(搬送方向と直交した方向)に配置した一列の気流吹出し孔94を群として表現する。
被搬送材9が浮上した後、図4(b)のように、まず、搬送最下流側の気流吹出し孔94のA群と接続している気流発生器95を停止する。これにより最下流の気流吹出し孔94からの気流は止まり、被搬送材9の先端は図のように下方に垂れる。
【0026】
次に図4(c)のように、停止した気流吹出し孔94のA群に隣接した搬送方向上流側気流吹出し孔94のB群の気流を停止する。被搬送材9の先端部が更に下方に垂れると同時に、被搬送材9の下面部とガイド板91と間の空気を白矢印のように被搬送材9の後方側へ押し出す作用で搬送方向へ進む。このような気流吹出し孔94の各群からの気流停止を搬送方向上流側に向かって順次繰り返し最後に最上流に配置された気流吹出し孔94のD群の気流を停止する。
この様にすることで、図4(d)に示すように、被搬送材9は、レジストローラ対84に突き当てられる。各気流吹出し孔94の各群と配管接続した気流発生器95を停止としたが、停止しなくても、被搬送材9の浮上が無くなる程度に気流を弱めるよう制御することでもかまわない。
また、図4では幅方向に配列した気流吹出し孔95の各群を搬送方向上流側に向かって一列ずつ制御する方法を述べたが、複数列の気流吹出し孔94を同時に制御する方法でもかまわない。要は、被搬送材9がレジストローラ対84にスムースに移動するような制御であればよい。
【0027】
図5は、本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置の動作を説明するタイミングチャートを示している図である。
信号S1は、被搬送材9の検出器97の検知信号であり、信号A、信号B、信号C、信号Dは、それぞれが幅方向に配列された気流吹出し孔94の各群と接続した気流発生器95の駆動信号である。
検知信号S1がオフして被搬送材9が、完全に搬送ガイド装置90に移動した時間t0後にすべての気流発生器95を駆動する。
被搬送材9が浮上して幅ガイド部材92により規制終了後、A群の気流発生器95を停止する。(図4(a)の状態)
次に、時間t1経過時点でB群の気流発生器95(図4(b))を、t2経過時点でC群の気流発生器95、t3経過時点でD群の気流発生器95を停止する。
ここで、経過時間t1、t2、t3、t4は、浮上量、気流吹出し孔位置、被搬送材9、環境等によって異なるので、予め求めておく必要がある。
【0028】
図6は、気流噴出し孔の間隔が長い場合の被搬送材の状態を示す概略図である。
気流噴出し孔95の間隔が長い場合、被搬送材9の材質、気流噴出し孔95からの気流バラツキ量によっては、被搬送材9の気流があたる箇所とあたらない箇所との間に、図6に示すように被搬送材9に湾曲が生じ、浮上させるのが困難となってくる。
図7は、1つの気流発生器で複数の気流吹出し孔に気流を供給する状態を示す概略図である。
1つの気流発生器95で発生する気流を同一列の総数の過半数の気流吹出し孔94に供給する場合、図7に示すように気流発生器95から複数の気流供給路96(図の場合は2つ)で孔列に接続して、供給路96における圧力損失を低減して気流吹出し孔94からの気流バラツキを低減する。
気流吹出し孔94は、複数設けることが好ましいが、被搬送材9のサイズによって、気流を発生させる気流吹出し孔の位置ならびに数が異なる。また気流吹出し孔から発せられる気流の大きさ(風圧/風量)には、気流発生器95の違い、配管の仕方などによりばらつきが発生する。
これらに対応するために、気流吹出し孔94に対して直接気流発生器95を接続し個別の気流発生器95の駆動手段で駆動することで、個々の気流吹出し孔94の気流を調整できるようにする。
1つの気流吹出し孔94から噴出る気流の被搬送材9に吹き付ける領域を被搬送材9の搬送方向と搬送直交方向とで同一とするため、気流吹出し孔94を、搬送方向と、搬送方向と直交した方向とで同じ間隔にして設けることが好ましい。
【0029】
被搬送材9としてコピー用紙を用いて浮上実験をしたところ、気流噴出し孔94の間隔が長くなってくると、気流の大きさ(圧力/流量)に関係なく、図6に示すような湾曲が被搬送材9に発生した。
気流噴出し孔94の間隔が約50mmで、湾曲の一部がガイド板に接するようになった。確実に被搬送材9を浮上させるために気流噴出し孔94の間隔を50mm以下とする。
気流噴出し孔94の間隔が短い場合は、気流噴出し孔94からの流量が小さくても、被搬送材9を浮上させることは可能である。
気流噴出し孔94の間隔が約20mmであれば、流量が約0.4L/min.でも被搬送材9は浮上した。しかし、20mmの間隔で気流噴出し孔94を配管/接続するのは、搬送ガイド装置90が複雑大型化するだけでなく、コスト面でも適当ではない。
搬送ガイド板91に直接接続した気流発生器95が配置可能な間隔で、被搬送材9を浮上させるのに必要な流量は約0.5L/min.であった。
気流噴出し孔94の流量を個別に制御可能な気流発生器95を用いることが出来るよう、気流噴出し孔94の流量を0.5L/min.以上とする。
【0030】
気流吹出し孔94と接続した各気流発生器95が発生する気流の風圧/風量を、被搬送材9の種類に応じて変化させる。
具体的には、気流発生器95の駆動手段が生成する駆動信号の電圧/周波数を、風圧/風量を増大する場合には上げ、減少する場合には下げる。
電圧を可変する場合、可変電圧増幅器が必要であるが、複数の周波数を生成するロジック回路は不要である。
また周波数を可変する場合分周回路などが必要であるが、可変電圧増幅器は不要である。画像形成装置1の制御部構成に応じて適した構成とすればよい。
【0031】
気流発生器95としてファンを設置すると、コストの上昇に加え、搬送ガイド装置90の大型化、消費電力が増大する。
そこで、気流発生器95は、圧電素子を利用した構成のものを用いる。圧電素子を用いて空気ポンプ室のダイヤフラムを振動させて容積を変化させることで空気の吸引/吐き出しをおこなうものである。
気流発生器95は、空気を溜め込むポンプ室952に比べ、空気を吐き出すノズル951の径を小さくすることで高圧の空気流を吐き出せる構造のものである。
【0032】
図8は、本発明の画像形成装置に用いられる搬送ガイド装置における気流発生器の外形図を示す図である。
搬送ガイド装置90における気流発生器95の内部に圧電素子、振動板等を含みポンプ室952を構成する。
本体の裏側(ノズル951が形成されていない面)に、ノズル径より大きい円形の空気取り込み口953を有している。
圧電素子を人間の可聴周波数以上で駆動することで音の影響を低減できる。
気流発生器95の構造が小さいので複数であっても搬送ガイド装置90に設置することが可能である。小型であるので、気流噴出し孔94に直接接続が可能で、ダクトを用いる必要がない。圧電素子は消費電力が低いので複数用いたとしても消費電力の増大を防ぐことができ、圧電素子を利用した気流発生器95は、可動部も無いので耐久性も高い。
【0033】
搬送ガイド装置90における気流発生器95は、圧電素子が振動することで、気流を発生する。
圧電素子ならびにそれを支持する構造体(気流発生器本体)により圧電素子が振動する共振周波数、つまり気流発生器が最大の気流を発生する駆動周波数が決まる。共振周波数をピークとして、その周波数を中心に駆動周波数が前後に離れていくに従い振動が小さくなり気流も小さくなって行く。振動可動域を外れると本気流発生器は気流を生成しない。
そこで、気流発生器95の駆動方式を他励発振方式として、外部からの駆動信号で発生器を駆動するようにする。駆動信号としては、正弦波または矩形波を用いる。
外部駆動信号の周波数を気流発生器95自身が有する共振周波数近傍にすることで、気流発生器95は気流を生成するが、共振周波数から離れると気流は弱まり、振動可動域から外れると、駆動信号を入力しても気流発生器95は動作しない。
このように駆動信号の周波数を変化させることで、気流発生器95の風圧/風量を可変とする。
また、気流発生器95は駆動信号周波数を共振周波数で一定入力しても、駆動信号デューティによって発生気流を変化させることが出来る。
駆動信号デューティ50%時がもっとも大きな気流を発生し、10%未満(90%以上)では気流は発生しない。
気流発生器95の駆動信号のデューティを変化させることでも、気流発生器95の風圧/風量を可変とする。
【0034】
搬送ガイド板91に直接接続する気流発生器95は小型であるため、大きな気流を発生することが出来ない。
ただし、小型であるため複数の気流発生器95を搬送ガイド板91の近傍に配置することが可能である。
図9は、アタッチメントで気流発生器を直列接続した状態を示す概略図である。
気流吹出し孔94と直接接続した気流発生器95の気流が所望の気流に対して小さい場合には、複数の気流発生器95を気流吹出し孔94と接続して使用する。
風圧を必要とする場合には直列に接続し、風量を必要とする場合は並列に接続する。直列接続する場合は、気流の漏れ(リーク)が生じないアタッチメント98などで気流発生器95を直列接続する。また、両方必要な場合は図9のような接続で、1つの気流発生器95として構成する。
【0035】
画像形成動作は、まず、負荷電極性の感光体11に対し、露光装置12のレーザビームにより各感光体11の表面に形成された色毎の静電潜像が形成される。次に、現像装置30で、感光体11の帯電極性と同極性(負極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる反転現像がおこなわれる。このときに、無端状の中間転写ベルト61が、複数のローラ651〜653により支持されて、感光体11Y、11C、11M、11Kの上部に設けられて、各感光体11Y、11C、11M、11Kの現像工程後の一部が接触するように張架、配置されて、走行している。また、中間転写ベルト61には、各感光体11Y、11C、11M、11Kに形成されたトナー画像を1次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kで、中間転写ベルト61上に転写され、トナー画像が重ねられて、未定着の画像が形成される。中間転写ベルト61の外周部には、クリーニングバックアップローラ641に対向する位置にベルトクリーニング装置64が設けられている。このベルトクリーニング装置64は、中間転写ベルト61の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。さらに、中間転写ベルト61の外周で、支持ローラ653の対向する位置には、二次転写ローラ63が設けてある。
このときに、画像形成装置1の下側には被搬送材9を供給可能に収納した給紙カセット81を備える給紙装置80が配備されている。この給紙カセット81から、確実に被搬送材9の一枚だけが搬送ローラ82により、搬送ガイド装置90に送られる。ここで、被搬送材9の幅方向、搬送方向の位置が正しい位置に制御される。さらに、搬送方向の上流側にあるレジストローラ84に送られる。
次ぎに、中間転写ベルト61と2次転写ローラ63の間に被搬送材9を通過させながら、二次転写ローラ63にバイアスを印加することで中間転写ベルト61が担持するトナー画像が被搬送材9に転写される。被搬送材9が、制御された位置、方向で搬送されてくることで、転写されたずれ等の少ない高品位の転写画像が被搬送材9上に得られる。二次転写ローラ63に印加される転写電圧の極性は、トナーの極性と逆のプラス極性である。これらの中間転写ベルト61に関連する部材は、中間転写ベルト61とともに転写装置60として一体的に構成してあり、画像形成装置1に対し着脱が可能となっている。
さらに、二次転写ローラ63を通過した被搬送材9は、搬送方向下流に備えられた定着装置70まで搬送される。定着後の被搬送材9は、排紙ローラ85により、画像形成装置1の外に設けた排紙トレイ86に排紙、スタックさせる。したがって、最終的に、被搬送材9上にずれ等の少ない高品位の画像が得られる。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
401 コンタクトガラス
5 原稿自動搬送装置(ADF)
9 被搬送材
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
11 感光体
12 露光装置
13 除電装置
20 帯電装置
21 帯電ローラ
30 現像装置
40 クリーニング装置
60 転写装置
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
64 ベルトクリーニング装置
641 クリーニングバックアップローラ
642 回転部材
65 ローラ
651 従動ローラ
652 駆動ローラ
653 支持/テンションローラ
66 搬送ベルト
67 潤滑剤塗布装置
70 定着装置
80 給紙カセット
81 分離ローラ
82 給紙ローラ
83 搬送ローラ
84 レジストローラ
85 排紙ローラ
851、852 切換爪
86 排紙トレイ
87、871、872 反転搬送路
88 被搬送材収納装置
89 被搬送材反転搬送装置
90 搬送ガイド装置
91 搬送ガイド板
92 ガイド側板
93 幅ガイド部材
94 気流吹出し孔
95 気流発生器
951 ノズル
952 ポンプ室
953 取り込み口
96 チューブ
961 継手
97 検出器
98 アタッチメント
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2002−274700
【特許文献2】特開平06−239495
【特許文献3】特開平06−239499
【特許文献4】特開平04−93956
【特許文献5】特開2010−47355

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気流発生器と、
搬送経路中の被搬送材を検出する複数の被搬送材検出器と、
画像書き込み位置上流に水平に配置した搬送ガイド板と、
前記搬送ガイド板上の被搬送材の搬送方向と直交方向の幅を規制する幅ガイド部材を具備し、
前記気流発生器は気流吐出用のノズルを有し、前記搬送ガイド板に鉛直方向に複数の気流吹出し孔を搬送方向と直交方向に複数列分等間隔で設け、
前記気流発生器の発生する気流を前記搬送ガイド板上の気流吹出し孔に導くように配管接続し、前記搬送ガイド板に積載された被搬送材を前記気流発生器を駆動することで気流吹出し孔から発生する気流で浮上させ、前記幅ガイド部材により被搬送材の位置を規制した後、前記気流発生器の発生する気流を変化させることで被搬送材を予め設定された位置/方向へ移動させる搬送ガイド装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
被搬送材の搬送方向と直交方向に配列された同一列の気流吹出し孔からの気流量を同一時間に同一量を変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
1つの気流発生器で発生する気流を搬送ガイド板の複数の気流吹出し孔に導く際には、被搬送材の搬送方向と直交方向に配列された同一列の隣接した気流吹出し孔に配管接続する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
1つの気流発生器で発生する気流を導く気流吹出し孔が、搬送方向と直交方向に配列された同一列の気流吹出し孔の総数の過半数を超える場合には、複数の気流供給路で前記複数の気流吹出し孔列と気流発生器とを配管接続する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記気流発生器のノズルと搬送ガイド板上の気流吹出し孔とを直接接続し、前記気流発生器を個別に駆動制御することで、気流吹出し孔からの気流を個々に制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置
【請求項6】
前記搬送ガイド板の気流吹出し孔間隔を、被搬送材の搬送方向と、搬送方向と直交方向とを同一とした
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送ガイド板の気流吹出し孔間隔を50mm以下とした
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送ガイド板の気流吹出し孔から吹出す気流量を0.5L/min.以上とした
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
気流発生器が出力する気流の風圧/風量を、搬送される被搬送材の材質に応じて変化させる
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記気流発生器は、圧電素子と、振動板を用いて形成した空気ポンプ室とで構成され、圧電素子により振動板を振動させることで空気ポンプ室の容積を変化させて気流を発生させるものであって、気流発生器駆動制御手段によって、可聴周波数以上で駆動される
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記気流発生器駆動制御手段を外部より入力した駆動信号で気流発生器を駆動出来る構成とし、前記駆動信号の周波数またはデューティを変化させることで、前記気流発生器が出力する気流の風圧/風量を可変とした
ことを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記気流吹出し孔と直接接続する気流発生器を、直列接続した複数の気流発生器又は並列接続した複数の気流発生器とすることで、気流の風圧/風量を増大可能とした
ことを特徴とする請求項5、10、11のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−41117(P2012−41117A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182710(P2010−182710)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】