画像形成装置
【課題】連続画像形成における生産性が重要で、頻繁に記録材サイズが切り替わる可能性のある画像形成装置について、小サイズ記録材の連続通紙時の転写ローラの非通紙部汚れを、次に通紙する大サイズ記録材の裏汚れとすることなく、且つ生産性の低下を最低限に抑える。
【解決手段】先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅L2と、次に通紙される記録材の幅L1との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数の関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記決定した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行う。
【解決手段】先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅L2と、次に通紙される記録材の幅L1との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数の関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記決定した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やLBP(レーザービームプリンタ)等の静電記録方式−転写方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真方式−転写方式の画像形成装置は、一般に、回転可能な像担持体としての電子写真感光体に電子写真プロセス手段によりトナー像を形成し、そのトナー像を記録材に対して回転可能な転写ローラにより静電的に転写する。或いは電子写真感光体のトナー像を回転可能な第2の像担持体としての中間転写体に一次転写してから記録材に対して転写ローラにより静電的に二次転写する。そして、記録材に転写されたトナー像を定着装置により固着画像として定着している。
【0003】
近年は、POD市場に対応するために、高速で大量ジョブに対応できるような画像形成装置が開発されている。このような装置は、連続動作中の転写ローラは常に感光体または中間転写体に接触状態で、転写ローラと感光体または中間転写体の間に記録材が介在しない紙間では、現像カブリの影響で、転写ローラの表層が汚れてしまう。
【0004】
転写ローラの汚れ対策として、特許文献1には、紙間毎に転写ローラに印加するバイアス極性を変えて転写ローラを静電的に清掃する方法が提案されている。POD市場に対応の画像形成装置においては記録材の坪量、記録材のサイズ、記録材の種類が混載するモードにも連続する通紙中に対応できるようになっている。
【0005】
このとき、特に連続通紙中に記録材のサイズが変わった場合の転写ローラの表層汚れ対策として特許文献2の提案がある。これは、記録材のサイズが前回よりも大きなサイズに切り替わったときに、通常よりもクリーニング時間を延ばす、あるいはクリーニングバイアスを大きくする方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−114274号公報
【特許文献2】特開平6−51566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の方法では、小サイズと大サイズが頻繁に切り替わるジョブの場合、サイズ切り替えのたびに長いクリーニング時間(CLN時間)を要するため生産性が落ちる問題が生じる。
【0008】
図14は転写ローラの非通紙部汚れの通紙枚数と転写ローラ表層の汚れの関係を示したものである。通紙枚数Nが増えると感光体または中間転写体から転写ローラに乗り移るカブリトナーも増えるので、転写ローラの汚れは蓄積されてしまう。つまり、枚数が増えた方が余計に転写ローラをきれいにするためのCLN時間が増えてしまう。
【0009】
例えば、小サイズ記録材(本例ではA4横送り)を10枚取った場合の転写ローラ汚れ(A4記録材の非通紙部に対応するローラ部分の汚れ)と、100枚連続通紙したときの転写ローラ汚れとでは大きな差がある。よって、サイズ変更に伴う転写ローラのCLN時間に関して、10枚連続通紙後の転写ローラ汚れを想定してCLN時間に設定すると、100枚連続通紙の場合に非通紙部のクリーニング不足によりラージサイズ記録材に裏汚れが発生してしまう。
【0010】
このため、CLN時間は後者である100枚連続通紙後のCLN時間に合わせることになる。これは例に挙げた100枚のみならず、最も良くない条件を想定して設定する必要がある。連続通紙が1000枚可能であれば1000枚の転写ローラ汚れに対応したCLN時間に、10000枚可能であれば10000枚の転写ローラ汚れに対応したCLN時間に設定する必要がある。
【0011】
よって、少ない枚数でサイズが頻繁に切り替わる場合でも、上記の例で例えていうと100枚、或いは1000枚通紙分のCLN時間をとってからサイズ切り替えができることになる。そのため、転写ローラのクリーニングに取られる時間は大きく、生産性を大幅に落としてしまう。
【0012】
近年のPOD市場に対応した画像形成装置においては、高生産性の観点から紙間間隔をできるだけ短くすることで生産性を稼いでいる。そのため、特許文献1の毎紙間でクリーニングする方法も、紙間時間の制約があり、転写ローラのトナー汚れを解消するほどのCLN時間、つまりは紙間時間を設ける事は困難である。
【0013】
本発明は、連続画像形成における生産性が重要で、頻繁に記録材サイズが切り替わる可能性のある画像形成装置における上記のような転写ローラ汚れの問題点に鑑みて提案されたものである。
【0014】
その目的とするところは、小サイズ記録材の連続通紙時の転写ローラの非通紙部汚れを、次に通紙する大サイズ記録材の裏汚れとすることなく、且つ生産性の低下を最低限に抑えることが出来る画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体に当接して転写ニップ部を形成する回転可能な転写ローラと、前記転写ローラにバイアスを印加する電源部と、を有し、前記転写ニップ部で記録材を挟持搬送して前記像担持体から前記トナー像を前記記録材に転写し、前記転写ローラの清掃を静電的に前記像担持体の少なくとも非画像域で実施する画像形成装置であって、サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードにおいて、先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅L2と、次に通紙される記録材の幅L1との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数との関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記決定した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行うように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小サイズ記録材の連続通紙時の転写ローラの非通紙部汚れを、次に通紙する大サイズ記録材の裏汚れとすることなく、且つ生産性の低下を最低限に抑えることが出来る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成と制御系統のブロック回路図である。
【図2】装置全体の制御を行うコントローラ部のブロック回路図である。
【図3】ベルト幅、現像幅、最大通紙幅、スモールサイズ記録材の通紙幅、二次転写ローラ幅の相互関係図である。
【図4】(a)はA4記録材連続通紙の状況を示した概略図、(b)はA3記録材連続通紙の状況を示した概略図である。
【図5】(a)は二次転写ローラに対して転写バイアスとクリーニングバイアスとを選択的に印加する電源部の説明図、(b)は転写バイアスとクリーニングバイアスの印加タイミングチャートである。
【図6】通紙枚数と二次転写ローラの汚れの関係を示した図である。
【図7】通紙枚数とクリーニング時間の関係を示した図である。
【図8】転写ローラクリーニングの制御フローチャートである。
【図9】(a)はL1<L2の場合の説明図、(b)はL1>L2の場合の説明図である。
【図10】実施例2の転写ローラクリーニングの制御フローチャート(その1)である。
【図11】実施例2の転写ローラクリーニングの制御フローチャート(その2)である。
【図12】通紙枚数と調整時間の相関テーブルである。
【図13】実施例3の画像形成装置の概略構成と制御系統のブロック回路図である。
【図14】通紙枚数と転写ローラ汚れの関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施例1>
(1)画像形成装置例の概略構成説明
図1は本実施例における画像形成装置100の概略構成と制御系統のブロック回路図である。図2は装置全体の制御を行うコントローラ部200のブロック回路図である。装置100は、電子写真方式−レーザービーム露光方式−中間転写ベルト方式で、複写機−プリンタ−ファクシミリとして使用される複合機能機である。
【0019】
複写モードの場合は、イメージリーダ部(原稿読取装置)300からの原稿画像の光電読取り画像信号がコントローラ部(制御回路部)200に入力する。そして、装置100のエンジン部(画像形成部、プリンタ部)101が複写機として動作して記録材Pに原稿画像に対応した画像を形成して出力する。
【0020】
リーダ部300は、原稿給送装置(ADF、RDF)301により原稿台ガラス302の上に画像面下向きに給送されて載置された原稿の画像を移動光学系303により走査露光してイメージセンサ304により光電読取りする。原稿給送装置制御部205は装置301をCPU回路部201からの指示に基づき駆動制御する。
【0021】
リーダ部300の読取り情報がコントローラ部200のイメージリーダ制御部202を介して画像信号制御部203に入力する。制御部203はセンサ304からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各種処理を施す。各種処理が施されたデジタル信号は、ビデオ信号に変換されてプリンタ制御部204へ出力される。制御部203による処理動作はCPU回路部201により制御される。制御部202はCPU回路201からの指示に基づきリーダ部300の移動光学系303・センサ304などの駆動制御を行い、センサ304から出力されたアナログ画像信号を制御部203へ転送する。
【0022】
プリンタモードの場合は、外部装置400であるコンピュータ等からデジタル画像信号がインターフェイス401を介してコントローラ部200の制御部203に入力して各種処理が施された後にビデオ信号に変換されて制御部204に入力する。そして、エンジン部101がプリンタとして動作して記録材Pに入力画像情報に対応した画像を形成して出力する。
【0023】
ファクシミリ受信モードの場合は外部装置400である相手方ファクシミリ装置からデジタル画像信号がインターフェイス401を介してコントローラ部200の制御部203に入力して各種処理が施された後にビデオ信号に変換されて制御部204に入力する。そして、エンジン部101が受信装置として動作して記録材Pに入力画像情報に対応した画像を形成して出力する。
【0024】
ファクシミリ送信モードの場合は、リーダ部300で光電読取りした原稿の画像情報がコントローラ部200の制御部202から制御部203に入力してデジタル画像信号に変換される。そして、その画像情報がインターフェイス401を介して外部装置400である相手方ファクシミリ装置に送信される。
【0025】
500は操作表示装置であり、各種の操作キー、情報表示部等を有し、操作表示装置制御部206を介してCPU回路部201との間で情報のやり取りを行う。制御部206は、例えば、装置500の各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路201に入力するとともに、CPU回路201からの表示すべき情報を装置500へ出力して表示させることができる。使用者は装置500により、使用する記録材の種類(紙種)、サイズ、坪量、出力枚数、画像濃度、画像倍率、モード切り換え等の所望のプリント実行条件を制御部206を介してCPU回路部201に入力することができる。
【0026】
CPU回路部201は、CPU(不図示)、ROM207、RAM208を内蔵しており、ROM207に格納されている制御プログラムにより各制御部202〜206等を総括的に制御する。RAM208は、制御データを一時的に保持し、また制御を行う演算処理の作業領域として用いられる。本実施例では後述するフローチャートに基づく制御プログラム(図8)がROM207に格納されており、CPUが呼び出して実行する。
【0027】
エンジン部101は第1の像担持体としての回転可能なドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。ドラム1は駆動機構(メインモータ:不図示)により矢印R1の反時計方向に所定の速度(プロセススピード)にて回転駆動される。また、ドラム1の周囲にはドラム1の回転方向に沿ってドラム1に作用するプロセス手段としての、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、中間転写ユニット7、ドラムクリーナー6等が配設されている。
【0028】
帯電装置2は、回転するドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電処理する帯電手段である。本実施例においては、ドラム1はマイナス(−)極性の所定電位に一様に帯電される。
【0029】
帯電後のドラム1の表面は露光装置3による画像情報に対応した露光Lによって静電潜像が形成される。本実施例において露光装置3はレーザースキャナユニットであり、レーザー光源、ポリゴンミラー、F−θレンズ、反射鏡などを有し、制御部204から入力するビデオ画像信号に基づいて変調されたレーザー光Lを出力してドラム1の表面を主走査露光する。即ち、制御部204は入力されたビデオ信号に基づき露光装置3を駆動する。
【0030】
これにより、ドラム表面の露光部の電位が減衰し、暗部電位(非露光部電位)と明部電位(露光部電位)との静電コントラストによりドラム1の表面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0031】
ドラム1に形成された静電潜像は現像装置4によりトナー像(現像剤像)として現像される。本実施例において、現像装置4は、現像剤として磁性キャリアとトナーが混在する二成分現像剤を用い、トナーの帯電極性がドラム1の帯電極性と同じマイナス極性である反転現像装置であり、ドラム1の露光部に対してトナーが付着して静電潜像が現像される。
【0032】
そのトナー像が一次転写部(転写ニップ部)T1においてユニット7の第2の像担持体としての回転可能な中間転写体8に対して一次転写ローラ5により順次に転写(一次転写)されていく。中間転写体8は本実施例においては矢印R8の時計方向に所定の速度で循環移動する無端状で可撓性を有する中間転写ベルトである。ベルト8に対するトナー像転写後のドラム表面はクリーナー6により転写残トナーが除去されて清掃され、繰り返して画像形成に供される。
【0033】
ユニット7において、ベルト8は、並行複数本のベルト張架ローラ9〜13間に回転可能に懸回張設されている。ローラ9〜13はいずれも接地されている。ベルト8としては、樹脂または各種ゴム等に抵抗調整剤としてカーボンブラックを適当量含有させ、体積抵抗率を1×108〜1×1013[Ω・cm]、厚みを0.07〜0.1[mm]としたものを用いることができる。樹脂としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩化ビニル等が挙げられる。
【0034】
ローラ9と10は、ベルト8の平坦な一次転写面を形成するために、転写部T1を中にしてベルト移動方向の上流側と下流側とに配設されている金属製の従動ローラである。ローラ5は導電性ローラであり、ローラ8と9の間においてベルト8の内側に配設されていて、ベルト8を介してドラム1に対して圧接している。ドラム1とベルト8の接触部が転写部T1である。ローラ11はベルト8の張力を一定に制御するテンションローラである。ローラ12は二次転写対向ローラ(導電性ローラ:対向電極)である。ローラ13は駆動ローラ(金属ローラ)である。
【0035】
ベルト8はローラ13が駆動機構(不図示)により駆動されることにより矢印R8の時計方向にドラム1の回転速度に対応した速度で循環移動する。ドラム1からベルト8へのトナー像の転写はローラ5に対して電源部E5からトナーの帯電極性とは逆極性で所定の電位の一次転写バイアス、本実施例においては、所定電位のプラス(+)のバイアスが印加されることによる電界と転写部T1の加圧力によりなされる。
【0036】
ローラ11のベルト掛け回し部にはベルト8に対向させてベルト8上のトナー像の濃度を検出する濃度検出手段14が配設されている。手段14の検出濃度情報がコントローラ部200にフィードバックされて画像形成制御のデータとされる。ローラ12のベルト掛け回し部にはベルト8を介して二次転写ローラ(導電性ローラ)16が圧接されている。ベルト8とローラ16との接触部が二次転写部(転写ニップ部)T2である。ローラ13のベルト掛け回し部にはクリーニング素子(クリーニングブレード)15aをベルト8の表面に当接させてベルトクリーナー15が配設されている。
【0037】
ユニット7の下方には給紙装置17が配設されている。本実施例において、装置17は上下3段の給紙ユニット(給紙カセット)18〜20を備えている。各ユニット毎に記録材Pの紙種やサイズなど種類を変えることができる。実際に使用される記録材に関しては、プリントジョブによって、使用者により操作表示装置500からの選択により、給紙段、記録材の紙種、サイズ、坪量などが指定される。
【0038】
また、混載モードの場合にはモード実行の際に必要な設定がなされる。混載モードは、サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードである。
【0039】
そして、コピースタートの指示により、指定された記録材が転写部T2に向けて給紙される。本実施例においては、上段のユニット18にはA4サイズ(210mm×297mm)の記録材Pが横送りできるように積載されている。中段のユニット19にはA3サイズ(297×420mm)の記録材Pが縦送りできるように積載されている。下段のユニット20には13インチ×19インチ(330.2mm×482.6mm)の記録材Pが縦送りできるように積載されている。
【0040】
そして、選択された段位のユニットの給送ローラ21が駆動されることで、その段位のユニット内の記録材Pが1枚分離給送されて搬送路22を通ってレジストローラ対23に至る。ローラ対23は記録材Pの先端を一旦受け止めて記録材の斜行を矯正すると共に、転写部T2において記録材Pの先端とベルト8上のトナー像の先端とが一致するようにベルト8に対するトナー像の形成と同期を取って記録材Pを転写部T2に送り込む。
【0041】
記録材Pは転写部T2を挟持搬送される過程においてベルト8側からトナー像の転写を順次に受ける。トナー像の転写は記録材Pが転写部T2を通過している間、ローラ16に対して電源部E16からトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)で所定電位の二次転写バイアスが印加されることによる電界と転写部T2の加圧力によりなされる。
【0042】
転写部T2を出た記録材Pはベルト8の表面から分離されて搬送路24を通って定着装置25に導入される。装置25は記録材P上の未定着トナー像を溶融固着する装置であり、本実施例においては熱ローラ定着装置である。即ち、上下並行2本の定着ローラ(熱ローラ25aと加圧ローラ25bを圧接させて定着ニップ部Nを形成させている。未定着トナー像を担持した記録材Pがニップ部Nに導入されて挟持搬送されていく。
【0043】
これにより、トナー像がニップ部Nにおける加熱及び加圧力により記録材面に固着画像として定着される。装置25を出た記録材は画像形成物として排出部(不図示)に搬送される。また記録材分離後のベルト8の表面はクリーナー15により転写残トナー・紙粉等の付着残存物の除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。
【0044】
(2)ローラ16のクリーニング
本実施例においては、大小各種サイズの記録材の装置内搬送は記録材全て記録材幅中心の中央基準搬送である。記録材Pの幅Lとは、装置に通紙される記録材の搬送方向aに直交する方向の寸法である。
【0045】
図3において、W16はローラ16の幅寸法(ローラ軸線方向の寸法)、W8はベルト8の幅寸法(ベルト移動方向R8に直交する方向の寸法)、W4は現像装置4の現像幅である。LPmaxは装置100に通紙可能(利用可能)な記録材の最大通紙幅、LPsは最大通紙幅LPmaxの記録材よりも小さい幅の記録材の通紙幅である。Oは記録材搬送の中央基準線(仮想線)である。W16≧W8≧W4≧LPmax>LPsである。
【0046】
本実施例において、最大通紙幅LPmaxは、13インチ×19インチ(330.2mm×482.6mm)の記録材Pを縦送りしたときの13インチ幅に対応している。小さい幅の記録材幅LPsは、A4横送り幅(297mm)又はA3縦送り幅(297mm)に対応している。13インチ×19インチの記録材PはA4及びA3の記録材Pに対して幅寸法においてラージサイズ記録材(大サイズ記録材)である。A4及びA3の記録材は13インチ×19インチの記録材Pに対して幅寸法においてスモールサイズ記録材(小サイズ記録材)である。
【0047】
図4の(a)は4A記録材を連続通紙後に13インチ×19インチの記録材Pの通紙を行う場合のベルト8の展開模式図である。(b)はA3記録材を連続通紙後に13インチ×19インチの記録材Pの通紙を行う場合のベルト8の展開模式図である。領域Cはスモールサイズ記録材の通紙部領域(=LPs)である。領域Dはスモールサイズ記録材の非通紙部領域であり、最大通紙幅LPmaxと通紙されるスモールサイズ記録材の通紙幅LPsとの差領域(最大通紙幅LPmaxにおいてスモールサイズの記録材が通らない領域)である。
【0048】
記録材の通紙が中央基準搬送である本実施例においては、領域Dはベルト8の幅方向両側に、それぞれ、(LPmax−LPs)/2の幅で記録材搬送方向に沿って生じる。領域Aは通紙される記録材の長さ寸法(記録材搬送方向aに沿う寸法R)に対応する範囲のベルト領域(画像域)である。
【0049】
領域Bは、記録材連続通紙時において先行する記録材Pの後端部と次の記録材Pの先端部との間隔部に対応する紙間領域(非画像域)である。この紙間領域Bの間隔は所定の一定の間隔に設定される。前述のようにPOD市場に対応した画像形成装置においては、高生産性の観点からこの紙間間隔Bをできるだけ短く設定することで生産性を稼いでいる。
【0050】
現像装置4によるドラム面の現像は画像部(記録材対応領域)も非画像部(記録材非対応領域)も含めて所定の現像幅W4をもってなされ、画像部にも非画像部にも多少なりともカブリトナーが付着する。ドラム1のベルトに対するトナー像の転写はカブリトナーも含めてなされる。そして、ベルト8の通紙部領域Cにおいて記録材対応領域に関しては、ベルト8と二次転写ローラ16の間に記録材が介在しているため、ベルト8上の画像部のトナー像やカブリトナーでローラ16が汚されることはない。
【0051】
しかし、ローラ16は、スモールサイズ記録材を通紙したときの非通紙部領域Dに対応するベルト部分と、紙間領域Bに対応するベルト部分では記録材が介在していないからベルト8の面に直に接触する。そのため、そのベルト面からカブリトナーを拾うことでローラ表層がトナーで汚れてしまう。
【0052】
そして、例えば、図4の(a)ように、スモールサイズであるA4記録材Pを連続通紙した場合、ローラ16の通紙部領域Cに対応するローラ部分と、非通紙部領域Dに対応するローラ部分(領域E)とでは汚れ度合いが異なる。これは次ぎの理由による。
【0053】
即ち、ベルト8の通紙部領域Cにおいて、記録材対応領域に関しては、ベルト8とローラ16の間には記録材Pが介在しているため、ベルト上の画像部のトナー像やカブリトナーがローラ16を汚す事は無い。紙部領域Cにおいてローラ16が汚れるのは紙間領域Bにおいてのみである。
【0054】
一方、ベルト8の非通紙部領域Dにおいては、ベルト8とローラ16の間に記録材Pが介在しないため、ベルト8上のカブリトナーがローラ16に常に付着することになる。よって、ローラ16はベルト8の通紙部領域Cに対応するローラ部分よりもベルトの幅方向両端部の非通紙部領域Dに対応するローラ部分(領域E)が圧倒的に汚れやすい。
【0055】
そのため、図4の(a)や(b)ように、スモールサイズであるA4或いはA3記録材の連続通紙後に、13×19インチのようなラージサイズの記録材を通紙すると、ローラ16の幅方向両端部のトナー汚れしている領域Eを記録材が踏む。そのため、ローラ16のトナー汚れ領域Eに対応する記録材裏面の幅方向両端領域Fが記録材搬送方向aに沿って帯状に汚れてしまう。
【0056】
本実施例においては、上記のようにトナー汚れするローラ16から付着トナーを除去する転写ローラクリーニングとして、電源部E16からローラ16に印加するバイアスを非画像域である紙間領域Bにおいてはトナーの帯電極性と同極性にする制御をしている。即ち、図5の(a)のように、ローラ16にバイアスを印加する電源部E16は、ローラ16に対してプラス極性で所定電位のバイアスを印加する正電源部E16Aを有している。また、ローラ16に対してマイナス極性で所定電位のバイアスを印加する負電源部E16Bを有している。
【0057】
コントローラ部200はニップ部T2に記録材Pが導入されて挟持搬送されている状態時には(領域Aに対応)、図5の(b)のように、ローラ16に対してトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスを印加する制御をする。また、ニップ部T2に記録材Pが存在していない紙間領域Bにおいては、ローラ16に対してトナーの帯電極性と同極性の所定電位の転写ローラクリーニングバイアスを印加する制御をする。
【0058】
本実施例においては、トナーの帯電極性がマイナス極性である。従って、コントローラ部200は、ニップ部T2に記録材Pが導入されて挟持搬送されているときには、正電源部E16Aからローラ16に対してトナーのマイナス極性とは逆極性のプラス極性で所定電位の転写バイアスを印加する制御をする。これにより、ニップ部T2においてベルト8側のトナーが記録材P側に静電的に引き付けられて、ベルト8側のトナー像が記録材P側に順次に静電転写される。
【0059】
一方、コントローラ部200は、ニップ部T2に記録材Pが存在していない紙間領域Bにおいては、トナーのマイナス極性と同極性であるマイナス極性の所定電位の転写ローラクリーニングバイアスを印加する。これにより、ベルト上のトナーをローラ16側に引き付けない、或いは、ローラ表層のトナーがベルト8側に吐き出されて、ローラ16の汚れの抑制と静電的なクリーニングがなされる。このように、転写ローラ16の清掃をベルト8の少なくとも非画像域である紙間領域Bで実施する(ローラ16の紙間クリーニング)。
【0060】
即ち、連続通紙において、記録材Pにベルト8上の画像部のトナー像を転写する領域Aにおいては、ローラ16に対してプラスバイアスを印加することで、トナー像を記録材に転写することが出来る。
【0061】
逆に、紙間領域Bに関しては、ローラ16からベルト8へトナーが戻るようにマイナスバイアスを印加する。この制御を実行する事でローラ表面のトナー汚れをベルト方向に転写することが出来る。ニップ部T2よりもベルト移動方向下流側には、記録材Pに対するトナー像転写後にベルト8に残留したトナーを除去するベルトクリーナー15が設けられている。上記したローラ16のクリーニング時にベルト8に吐き出されたトナーはクリーナー15で回収される。
【0062】
ところで、発明が解決しようとする課題の項でも述べたが、生産性が重要視されるPOD市場に対応した画像形成装置ではプロセススピードが高速化されると共に、紙間間隔が可及的に狭くされる。そのために、上述したローラ16の静電的な紙間クリーニング(通常の紙間クリーニング)だけではローラ16の前述の非通紙部汚れ(ローラ16の領域E部分の汚れ)を十分にクリーニングする時間を確保できない。よって、連続通紙をしていくことでローラ16の表層汚れは蓄積していく。
【0063】
図6は、本実施例の装置において、通紙枚数Nとローラ16の表層汚れの関係を示した図であり、横軸は通紙枚数N、縦軸はローラ16の表層汚れ度合いである。
【0064】
本実施例においてはローラ16の表層汚れに関しては、ローラ表層汚れを透明テープにて採取し、濃度測定する事により定量化した。太実線はA3記録材を連続通紙した場合のローラ16の非通紙部汚れ(ローラ16の領域Eの汚れ)の履歴である。太点線はA4記録材を連続通紙した場合のローラ16の非通紙部汚れの履歴である。細実線はA3記録材またはA4記録材を連続通紙した場合のローラ16の通紙部汚れ(ローラ16の領域Cに対応する部分の汚れ)の履歴である。
【0065】
また、ローラ汚れに関して、ローラ16の蓄積汚れが実際にラージサイズ記録材に裏汚れ(領域F)を生じさせる裏汚れ発生ポイントを示した。このポイントを超えるローラ汚れはラージサイズの記録材の裏側に裏汚れが発生してしまう。
【0066】
そこで、コントローラ部200は、スモールサイズ記録材の連続通紙後にラージサイズ記録材を通紙する場合には、スモールサイズ記録材の連続通紙後のローラ16の蓄積汚れ具合に応じて紙間間隔を延長してローラ16をクリーニングするモードを実行する。以下、このクリーニングを通常の紙間クリーニング(領域Bにおけるクリーニング)に対して紙間延長クリーニングモードと称する。
【0067】
即ち、後述するように、コントローラ部200は、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数との関係から、記録材サイズ変更前に実施するローラ16の必要とする清掃時間tを決定する。そして、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間を前記決定した清掃時間tに対応した延長した紙間間隔B1に変更する。その変更した紙間間隔B1においてローラ16の清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行う。変更した紙間間隔B1は通常の紙間Bの間隔よりも大きい延長された間隔である。
【0068】
これにより、裏汚れ発生ポイントを超えるローラ汚れによるラージサイズ記録材の裏汚れを抑制することができる。この紙間延長クリーニングモードは、通常の紙間クリーニングの場合と同様に、電源部E16からローラ16に対してトナーの帯電極性と同極性のバイアスを印加することにより実行される。
【0069】
コントローラ部200は、紙間延長クリーニングモードの実行時間、即ちローラ16の清掃時間tを、所定の参照テーブルにより、それまで通紙していた記録材のサイズから特定される記録材搬送方向aの記録材長さRと通紙枚数Nの関係から決定する。そして、その決定した時間tにおいて紙間延長クリーニングモードを実行する。以下、上記の紙間延長クリーニングモードを更に詳しく説明する。
【0070】
図6から、同じスモールサイズ記録材であるA3記録材とA4記録材とに関して、それぞれ同じ枚数を連続通紙した場合のローラ16の非通紙部汚れ度合いを比較した場合、両者間で差があるのがわかる。即ち、A3記録材の場合の方がA4記録材の場合よりも汚れ度合いが大きい。これは、図4の(a)のA4記録材連続通紙後に13×19のラージサイズの記録材通紙を行う場合の通紙状況の模式図と、(b)のA3記録材連続通紙後に13×19のラージサイズの通紙を行う場合の通紙状況の模式図の対比から説明できる。
【0071】
即ち、図4の(a)と(b)を比較した場合、紙間領域Bの間隔寸法に関しては(a)と(b)の両者間で差が無いのに対して、領域Aの長さ寸法(記録材の搬送方向aの長さ寸法R)に関しては(b)の方が(a)よりも2倍(420mm/210mm)長い。そのため、ローラ16の非通紙部(領域E)の汚れ度合いに関して、同じ連続通紙枚数であっても、A3記録材の場合の方がA4記録材の場合よりもローラ16がベルトからカブリトナーの影響を受ける積算距離が長くなるためである。
【0072】
ここで図6中、スモールサイズ記録材の連続通紙枚数においてA枚時点で通紙がラージサイズの13×19の記録材に切り替わると、ローラ16のA3記録材非通紙部、A4記録材非通紙部ともに裏汚れ発生ポイントを超えている事が分かる。ただし、ローラ16の汚れ量が異なり、通紙枚数Aの時点で、両者の場合のクリーニングに必要なCLN時間(クリーニング時間:清掃時間)が異なる。縦軸の点線Bのローラ表層汚れがクリーニングを実施したときのローラ汚れのターゲットだとすると、A3記録材非通紙部の場合はCLN時間t1、A4非通紙部の場合はCLN時間t2が必要になる。
【0073】
よって、本実施例においては、この通紙する記録材のサイズ情報と連続通紙枚数の情報から最適なCLN時間tを割り出す事を特徴とする。図7は図6の検討結果を基にした、記録材サイズ別の「通紙枚数−クリーニング必要時間」の相関テーブルである。この相関テーブルは予めの実験により作成されて、コントローラ部200のROM207に制御用参照テーブルとしてメモリされている。
【0074】
コントローラ部200のCPU回路部201は、通紙されるスモールサイズ記録材のサイズ情報と連続通紙枚数の情報から、ROM207にメモリされている制御用参照テーブルを基に最適なCLN時間を割り出す事が出来る。図7では、A3記録材とA4記録材だけのテーブルとなっているが、装置100に通紙して使用する各種サイズ(各紙種)の記録材に関して上記の通紙枚数−クリーニング必要時間の相関テーブルを作成してROM207にメモリしておく。これにより、各種の記録材種について枚数−サイズの情報から適切なCLN時間を算出する事が出来る。
【0075】
次に図8のフローチャートを用いて本実施例のローラクリーニングモードの制御を説明する。この制御はコントローラ部100のCPU回路201にてなされる。
【0076】
1)まず、使用者の操作により操作表示装置500から制御部206を介してCPU回路201にプリント情報である記録材サイズ(プリントサイズ)、プリント枚数が入力される。更には、記録材のサイズ切り替え、即ち記録材の種類の混載(混載モード)があるか否か、ある場合には混載される記録材のサイズ情報、枚数情報などが入力される(ステップS1:プリント情報入手)。
【0077】
このプリント情報入手は、外部装置400からの入力である場合もある。また、記録材のサイズ情報の入手は、給紙装置17からレジストローラ対23に至る記録材搬送路の途中に給紙装置17から給送された記録材のサイズを検知する記録材サイズ検知装置600(図1)を配設する。そして、記録材の連続通紙において装置17からローラ対23に給送される記録材Pのサイズ(幅寸法、長さ寸法)を装置600で逐次に検知し、その検知情報をCPU回路201に入力する構成とすることもできる。
【0078】
2)次にプリントがスタートされる(ステップS2)。CPU回路201はプリントスタート信号に基づいてエンジン部101の所定の前回転動作を実行する(ステップS3)。前回転動作は、スタンバイ(待機)状態にある装置100のメインモータを起動させてドラム1を回転させ、プリント前の所定の準備を行う動作である。ローラ16のクリーニング動作も含まれる。CPU回路201はこの前回転動作の終了後に、設定されている一連のプリントジョブの連続通紙を開始する(ステップS4)。
【0079】
3)混載モードではない場合
即ち、実行される一連のプリントジョブで通紙される全ての記録材が同一サイズの記録材であるために連続通紙の途中において記録材のサイズの切り替え(記録材サイズ変更)がない場合である。この場合には紙種の切り替えタイミングというものはない。従って、ステップS5とS6を経て、或いはステップS5とS6の繰り返えしループを経て最終的に全プリントを終了する(ステップS7)。
【0080】
この場合におけるローラ16の紙間クリーニングは所定の紙間間隔が変更されることなく所定の紙間クリーニングにてなされる。そして、装置100は、所定の後回転動作が実行された後にメインモータの駆動が停止され、次のプリントジョブのプリントスタート信号が入力されるまで待機状態(スタンバイ状態)に保持される。後回転動作は連続通紙の最後の記録材に対する画像形成が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させてドラム1を回転駆動させて装置100のプリント終了後の所定の準備を行う動作である。
【0081】
後回転動作中においても、ローラ16の前述した静電的なクリーニングが実行される。CPU回路201は通紙された記録材が最大通紙幅LPmaxよりも小さい幅の記録材である場合には、次のようにローラクリーニングのCLN時間tを決定する。即ち、通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向aの長さRと通紙枚数の関係から、ROM207にメモリされている制御用参照テーブルを基にローラクリーニングのCLN時間tを決定する。そして、後回転動作においてローラクリーニングモードをその決定したCLN時間tについて実行する。
【0082】
4)混載モードである場合
即ち、サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードであって、連続通紙の途中で通紙される記録材のサイズ切り替えが1回でもある場合である。
【0083】
この場合には、先行して通紙されている或るサイズの記録材の所定のプリント枚数が終了することで記録材サイズの切り替えタイミングとなる(ステップS5のYes)。CPU回路201はそのサイズ切り替え前(記録材サイズ変更前)と次に通紙される記録材の幅の大小を比較する(ステップS10)。ここで、記録材サイズの切り替え前即ち先行して通紙していた記録材の幅(記録材の記録材搬送方向aに直交する方向の寸法)をL2とする。次に通紙される記録材の幅をL1とする。
【0084】
5)ステップS10において、幅L1が幅L2よりも小さい場合(L1<L2)、即ち次に通紙する記録材が先行して通紙されていた記録材よりもスモールサイズの場合には、次に通紙する記録材に対する前述したようなローラ16による裏汚れの問題は生じない。
【0085】
そこで、CPU回路201は、図9の(a)のように、サイズ切り替え前のラージサイズ記録材についての通紙が終了したら、サイズ切り替えして引き続いてスモール記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。この場合、先行して通紙していたラージサイズ記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初のスモールサイズ記録材との紙間間隔の変更はなされず、連続通紙における通常の紙間間隔と同じ設定となる。
【0086】
6)ステップS10において、幅L1が幅L2よりも大きい場合(L1>L2)、即ち次に通紙する記録材が先行して通紙していた記録材よりもラージサイズである場合には、ラージサイズ記録材に対する前述したローラ16による裏汚れの問題を生じ得る。
【0087】
この場合は、CPU回路201は、図9の(b)のように、先行して通紙していたスモールサイズ記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初のスラージサイズ記録材との紙間間隔を所定に広げる方向に変更する。
【0088】
即ち、先行して通紙していたスモールサイズ記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基にローラ16について必要とするCLN時間tを決定する(ステップS12)。
【0089】
そして、CPU回路201は、その決定したCLN時間tに対応する紙間間隔B1を演算して、変更後の紙間間隔とする。CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間、前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが効果的に除去される。
【0090】
CPU回路201は、上記の変更した紙間間隔B1による紙間延長クリーニングモードを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙するラージサイズ記録材に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。
【0091】
7)以後、混載モードの設定に従って、ステップS5とS6を経て、或いはステップS5とS6の繰り返えしループを経て、或いはステップS5、S6、S10からS15の繰り返えしループを経て全プリントを終了する(ステップS7)。
【0092】
装置100は、所定の後回転動作が実行された後にメインモータの駆動が停止され、次のプリントジョブのプリントスタート信号が入力されるまで待機状態に保持される。後回転動作中においても、ローラ16の前述した静電的なクリーニングが実行される。
【0093】
CPU回路201は最後にサイズ変更されてプリントが開始された記録材が最大通紙幅LPmaxよりも小さい幅の記録材である場合には次の制御をする。即ち、その記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向aの長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基にローラ16についてCLN時間tを決定する。そして、後回転動作においてその決定したCLN時間tについてローラクリーニングを実行する。
【0094】
ここで、図6において点線Bのローラ汚れのターゲットに対応するCLN時間を閾値時間taとする。そして、ステップS12の次に、ステップS12において算出された延長すべきCLN時間tと閾値時間taとを対比するステップを設ける。
【0095】
CLN時間tが閾値時間ta以下である場合には、ローラ16の領域Eの汚れは次に通紙されるラージサイズの記録材に対する裏汚れ発生ポイントを超えるものではないと判断される。そこで、その場合には、ステップS13の紙間間隔の変更をすることなく、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズに変更して引き続いてそのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行するステップS11に移行する制御とすることもできる。この場合の紙間間隔は通常の紙間Bの間隔とされる。
【0096】
また、ステップS8の後回転動作において実行するローラクリーニングも、算出される延長すべきCLN時間tが閾値時間ta以下である場合には、算出されるCLN時間tに対応するローラクリーニングの実行は無しにすることもできる。
【0097】
上記の制御を実施する事により、ローラ16の非通紙部汚れ(領域E)に対して、記録材サイズ変更前に、変更された適正な紙間間隔B1でクリーニングした後にサイズ変更したラージサイズ記録材を裏汚れさせることなく通紙することが出来る。
【0098】
また、本実施例においては、先に算出したCLN時間tをサイズ切り替え前のCLN時間としたが、プリント動作終了後の後回転動作中(ステップS8)に行うローラクリーニングのCLN時間に反映させても同様の効果を得る事が出来る。
【0099】
さらには本実施例において、ローラ16の非通紙部汚れは、ローラ種、現像方法、現像剤種等の条件により汚れ度合いが異なるため特に数値規定はしていないが、其々の画像形成条件にあった設定値で制御する事で同様の効果を得る事が出来る。
【0100】
<実施例2>
記録材の紙種によっては、ローラ16の非通紙部汚れに対する記録材の裏汚れという観点で普通紙との比較において厳しい紙種と有利な紙種がある。厳しい紙種としては、平滑度、透気度の高い用紙、いわゆる上質紙、コート紙である。逆に、裏汚れしづらい紙種としては、平滑度、透気度の低い用紙、いわゆるラフ紙である。
【0101】
つまり、平滑度が高い用紙は、平滑であるためにローラ16との接触面が均一で圧転写しやすく、且つ付着したトナーが目立ちやすい。さらにコート紙に関しては白色度も高いため更に目立ちやすい。平滑度が低い用紙で、透気度の低い用紙は、ローラ16との接触面も少なく、且つ表面が微小に凹凸があるためトナーが付着しても目立ちにくい。
【0102】
そこで、本実施例2においては、先行して通紙された記録材の幅L2よりも、次に通紙する記録材の幅L1の方が大きい場合(L1>L2)に、実施例1と同様にして、ローラ16の必要とするCLN時間tを決定する。即ち、先行して通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向aの長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に記録材サイズ変更前に実施するCLN時間tを決定する。そして、その決定されたCLN時間tを、次に通紙する記録材の紙種を加味して調整(補正)する。
【0103】
本実施例においては、次に通紙するラージサイズの記録材が普通紙の場合には、記録材サイズ変更前に実施するローラ16のCLN時間は実施例1と同様にして決定されたCLN時間tとする。また、次に通紙するラージサイズの記録材がコート紙の場合には、コート紙による調整時間値+αを算出し、CLN時間tをt+αに調整する。逆に、通紙するラージサイズの記録材がラフ紙の場合には、ラフ紙による調整時間値−βを算出し、CLN時間tをt−βに調整する。
【0104】
図10と図11は、本実施例2におけるローラ16のクリーニング制御のフローチャートである。この制御はコントローラ部100のCPU回路201にてなされる。図12は本実施例2で使用する紙種によるクリーニング時間調整テーブルである。即ち、通紙枚数Nと調整時間値のテーブルであり、太実線がコート紙の場合の調整時間値+αで、太点線がラフ紙の場合の調整時間値−βを示す。このテーブルは予め実験により作成されて、ROM207に制御用参照テーブルとしてメモリされている。
【0105】
1)図10のステップS1〜S9のフローチャートは実施例1の図8のステップS1〜S9と同じであるから再度の説明を省略する。
【0106】
2)実行される一連のプリントジョブの途中で通紙される記録材のサイズ切り替えが1回でもある場合(ステップS5のYes)には、先行して通紙していた記録材の所定のプリント枚数が終了することで記録材のサイズ(紙種)の切り替えタイミングとなる。CPU回路201はステップS10でサイズの切り替え前の記録材の幅L2と後の記録材の幅L1の大小を比較する(ステップS10)。
【0107】
幅L1が幅L2よりも小さい場合(L1<L2)には、実施例1の場合と同様に、CPU回路201はサイズ変更前の記録材についての通紙が終了したら、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズに変更する(ステップS11)。そして、引き続いてそのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する。
【0108】
3)ステップS10において、幅L1が幅L2よりも大きい場合(L1>L2)は、次に通紙するラージサイズ記録材の紙種の判断がなされる(ステップS101)。本実施例では、普通紙であるか、コート紙であるか、ラフ紙であるか、の判断がなされる。
【0109】
4)普通紙である場合
実施例1の場合と同様に、先行して通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に必要とするCLN時間tが決定される(ステップS12)。そして、CPU回路201は、先行して通紙していた記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初の記録材との紙間Bを前記CLN時間tに対応する紙間間隔B1に変更する(ステップS13)。
【0110】
CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間、前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが除去される。CPU回路201は、変更した紙間間隔B1におけるローラクリーニングを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズ(ラージサイズ)に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。
【0111】
5)コート紙である場合
普通紙である場合と同様に、前回に通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数の関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に必要とするCLN時間tが決定される。そして、コート紙による調整時間値+α(加算時間)を算出し、CLN時間tに調整時間値+αを加えてCLN時間tをt+αに調整する(ステップS12A)。即ち、CLN時間tに対する正の重み付けがなされる。
【0112】
図12において、例えば、前の通紙枚数がB枚だった場合にコート紙の調整時間値が+α時間となる。そして、CPU回路201は、先行して通紙していた記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初の記録材との紙間間隔を前記CLN時間t+αに対応する紙間間隔B1に変更する(ステップS13)。
【0113】
CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間、前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが除去される。
【0114】
CPU回路201は、上記の変更した紙間間隔B1によるローラクリーニングを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズ(ラージサイズ)に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。このように、コート紙である場合には、先に算出したCLN時間tに調整時間値+αを加える事で、より最適な設定でクリーニングする事が出来る。
【0115】
6)ラフ紙である場合
普通紙である場合と同様に、先行して通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に必要とするCLN時間tが決定される。そして、ラフ紙による調整時間値−β(減算時間)を算出し、CLN時間tに調整時間値−βを加えてCLN時間tをt−βに調整する(ステップS12B)。即ち、CLN時間tに対する負の重み付けがなされる。
【0116】
図12において、例えば、前の通紙枚数がB枚だった場合にラフ紙の調整時間値が−β時間となる。そして、CPU回路201は、前回に通紙していた記録材の最後の記録材の後端部とサイズ変更後の最初の記録材の前端部との紙間間隔Bを前記CLN時間t−βに対応する紙間間隔B1に変更する(ステップS13)。
【0117】
CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが除去される。CPU回路201は、上記の変更した紙間間隔B1によるローラクリーニングを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズ(ラージサイズ)に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。
【0118】
このように、ラフ紙である場合には、先に算出したCLN時間tに調整時間値−βを加える事で、より最適な設定でクリーニングする事が出来る。
【0119】
ここで、CLN時間tの補正(正または負の重み付け)は、次に通紙する記録材の記録材の平滑度、透気度、白色度、坪量の少なくともいずれかの値を基準として行なうことができる。
【0120】
<実施例3>
図13は本実施例における画像形成装置100の概略構成と制御系統のブロック回路図である。この装置100は実施例1の画像形成装置100から中間転写ユニット7を除去した構成の電子写真方式−レーザービーム露光方式で、複写機−プリンタ−ファクシミリとして使用される複合機能機である。実施例1の装置100と共通する構成部材部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0121】
本実施例の装置においては、像担持体としてのドラム1と一次転写ローラ5との接触部である一次転写部T1に給紙装置17から記録材Pが給送されて、ドラム1側から記録材P側にトナー像の転写がなされる。
【0122】
ローラ5に対する電源部E5は、実施例1におけるローラ16に対する電源部E16と同様に、ローラ5に対してプラス極性で所定電位のバイアスを印加する正電源部と、ローラ5に対してマイナス極性で所定電位のバイアスを印加する負電源部と、を有している。
【0123】
コントローラ部200はニップ部T1に記録材Pが導入されて挟持搬送されている状態時には、ローラ5に対してトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスを印加する制御をする。また、ニップ部T1に記録材Pが存在していない紙間においては、ローラ5に対してトナーの帯電極性と同極性の所定電位のクリーニングバイアスを印加する制御をする。
【0124】
本実施例の装置100においても、実施例1や実施例2と同様に、転写ローラ5の紙間延長クリーニングモードを適用することができる。即ち、ローラ5の非通紙部汚れに対して、記録材のサイズ変更前に適正なCLN時間でクリーニングした後にサイズ変更したラージサイズ記録材を裏汚れさせることなく通紙することが出来る。
【0125】
<その他の事項>
1)実施例1乃至3の装置100は記録材の搬送を記録材幅中心の所謂中央基準搬送とした装置であるが、記録材の搬送を所謂片側基準搬送で行うようにした装置であってもよい。
【0126】
2)像担持体に対するトナー像の形成プロセスは電子写真画像形成プロセスに限られない。像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録画像形成プロセス、磁気記録磁性体を用いた磁気記録画像形成プロセスなどであってもよい。
【符号の説明】
【0127】
100・・画像形成装置、1・・電子写真感光体ドラム(第1の像担持体)、8・・中間転写ベルト(第2の像担持体)、5・・一次転写ローラ、16・・二次転写ローラ、T1・・一次転写ニップ部、T2・・二次転写ニップ部、P・・記録材、E5・E16・・電源部、a・・記録材搬送方向、200・・コントローラ部、201・・CPU回路部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やLBP(レーザービームプリンタ)等の静電記録方式−転写方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真方式−転写方式の画像形成装置は、一般に、回転可能な像担持体としての電子写真感光体に電子写真プロセス手段によりトナー像を形成し、そのトナー像を記録材に対して回転可能な転写ローラにより静電的に転写する。或いは電子写真感光体のトナー像を回転可能な第2の像担持体としての中間転写体に一次転写してから記録材に対して転写ローラにより静電的に二次転写する。そして、記録材に転写されたトナー像を定着装置により固着画像として定着している。
【0003】
近年は、POD市場に対応するために、高速で大量ジョブに対応できるような画像形成装置が開発されている。このような装置は、連続動作中の転写ローラは常に感光体または中間転写体に接触状態で、転写ローラと感光体または中間転写体の間に記録材が介在しない紙間では、現像カブリの影響で、転写ローラの表層が汚れてしまう。
【0004】
転写ローラの汚れ対策として、特許文献1には、紙間毎に転写ローラに印加するバイアス極性を変えて転写ローラを静電的に清掃する方法が提案されている。POD市場に対応の画像形成装置においては記録材の坪量、記録材のサイズ、記録材の種類が混載するモードにも連続する通紙中に対応できるようになっている。
【0005】
このとき、特に連続通紙中に記録材のサイズが変わった場合の転写ローラの表層汚れ対策として特許文献2の提案がある。これは、記録材のサイズが前回よりも大きなサイズに切り替わったときに、通常よりもクリーニング時間を延ばす、あるいはクリーニングバイアスを大きくする方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−114274号公報
【特許文献2】特開平6−51566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の方法では、小サイズと大サイズが頻繁に切り替わるジョブの場合、サイズ切り替えのたびに長いクリーニング時間(CLN時間)を要するため生産性が落ちる問題が生じる。
【0008】
図14は転写ローラの非通紙部汚れの通紙枚数と転写ローラ表層の汚れの関係を示したものである。通紙枚数Nが増えると感光体または中間転写体から転写ローラに乗り移るカブリトナーも増えるので、転写ローラの汚れは蓄積されてしまう。つまり、枚数が増えた方が余計に転写ローラをきれいにするためのCLN時間が増えてしまう。
【0009】
例えば、小サイズ記録材(本例ではA4横送り)を10枚取った場合の転写ローラ汚れ(A4記録材の非通紙部に対応するローラ部分の汚れ)と、100枚連続通紙したときの転写ローラ汚れとでは大きな差がある。よって、サイズ変更に伴う転写ローラのCLN時間に関して、10枚連続通紙後の転写ローラ汚れを想定してCLN時間に設定すると、100枚連続通紙の場合に非通紙部のクリーニング不足によりラージサイズ記録材に裏汚れが発生してしまう。
【0010】
このため、CLN時間は後者である100枚連続通紙後のCLN時間に合わせることになる。これは例に挙げた100枚のみならず、最も良くない条件を想定して設定する必要がある。連続通紙が1000枚可能であれば1000枚の転写ローラ汚れに対応したCLN時間に、10000枚可能であれば10000枚の転写ローラ汚れに対応したCLN時間に設定する必要がある。
【0011】
よって、少ない枚数でサイズが頻繁に切り替わる場合でも、上記の例で例えていうと100枚、或いは1000枚通紙分のCLN時間をとってからサイズ切り替えができることになる。そのため、転写ローラのクリーニングに取られる時間は大きく、生産性を大幅に落としてしまう。
【0012】
近年のPOD市場に対応した画像形成装置においては、高生産性の観点から紙間間隔をできるだけ短くすることで生産性を稼いでいる。そのため、特許文献1の毎紙間でクリーニングする方法も、紙間時間の制約があり、転写ローラのトナー汚れを解消するほどのCLN時間、つまりは紙間時間を設ける事は困難である。
【0013】
本発明は、連続画像形成における生産性が重要で、頻繁に記録材サイズが切り替わる可能性のある画像形成装置における上記のような転写ローラ汚れの問題点に鑑みて提案されたものである。
【0014】
その目的とするところは、小サイズ記録材の連続通紙時の転写ローラの非通紙部汚れを、次に通紙する大サイズ記録材の裏汚れとすることなく、且つ生産性の低下を最低限に抑えることが出来る画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体に当接して転写ニップ部を形成する回転可能な転写ローラと、前記転写ローラにバイアスを印加する電源部と、を有し、前記転写ニップ部で記録材を挟持搬送して前記像担持体から前記トナー像を前記記録材に転写し、前記転写ローラの清掃を静電的に前記像担持体の少なくとも非画像域で実施する画像形成装置であって、サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードにおいて、先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅L2と、次に通紙される記録材の幅L1との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数との関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記決定した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行うように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小サイズ記録材の連続通紙時の転写ローラの非通紙部汚れを、次に通紙する大サイズ記録材の裏汚れとすることなく、且つ生産性の低下を最低限に抑えることが出来る画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成と制御系統のブロック回路図である。
【図2】装置全体の制御を行うコントローラ部のブロック回路図である。
【図3】ベルト幅、現像幅、最大通紙幅、スモールサイズ記録材の通紙幅、二次転写ローラ幅の相互関係図である。
【図4】(a)はA4記録材連続通紙の状況を示した概略図、(b)はA3記録材連続通紙の状況を示した概略図である。
【図5】(a)は二次転写ローラに対して転写バイアスとクリーニングバイアスとを選択的に印加する電源部の説明図、(b)は転写バイアスとクリーニングバイアスの印加タイミングチャートである。
【図6】通紙枚数と二次転写ローラの汚れの関係を示した図である。
【図7】通紙枚数とクリーニング時間の関係を示した図である。
【図8】転写ローラクリーニングの制御フローチャートである。
【図9】(a)はL1<L2の場合の説明図、(b)はL1>L2の場合の説明図である。
【図10】実施例2の転写ローラクリーニングの制御フローチャート(その1)である。
【図11】実施例2の転写ローラクリーニングの制御フローチャート(その2)である。
【図12】通紙枚数と調整時間の相関テーブルである。
【図13】実施例3の画像形成装置の概略構成と制御系統のブロック回路図である。
【図14】通紙枚数と転写ローラ汚れの関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施例1>
(1)画像形成装置例の概略構成説明
図1は本実施例における画像形成装置100の概略構成と制御系統のブロック回路図である。図2は装置全体の制御を行うコントローラ部200のブロック回路図である。装置100は、電子写真方式−レーザービーム露光方式−中間転写ベルト方式で、複写機−プリンタ−ファクシミリとして使用される複合機能機である。
【0019】
複写モードの場合は、イメージリーダ部(原稿読取装置)300からの原稿画像の光電読取り画像信号がコントローラ部(制御回路部)200に入力する。そして、装置100のエンジン部(画像形成部、プリンタ部)101が複写機として動作して記録材Pに原稿画像に対応した画像を形成して出力する。
【0020】
リーダ部300は、原稿給送装置(ADF、RDF)301により原稿台ガラス302の上に画像面下向きに給送されて載置された原稿の画像を移動光学系303により走査露光してイメージセンサ304により光電読取りする。原稿給送装置制御部205は装置301をCPU回路部201からの指示に基づき駆動制御する。
【0021】
リーダ部300の読取り情報がコントローラ部200のイメージリーダ制御部202を介して画像信号制御部203に入力する。制御部203はセンサ304からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各種処理を施す。各種処理が施されたデジタル信号は、ビデオ信号に変換されてプリンタ制御部204へ出力される。制御部203による処理動作はCPU回路部201により制御される。制御部202はCPU回路201からの指示に基づきリーダ部300の移動光学系303・センサ304などの駆動制御を行い、センサ304から出力されたアナログ画像信号を制御部203へ転送する。
【0022】
プリンタモードの場合は、外部装置400であるコンピュータ等からデジタル画像信号がインターフェイス401を介してコントローラ部200の制御部203に入力して各種処理が施された後にビデオ信号に変換されて制御部204に入力する。そして、エンジン部101がプリンタとして動作して記録材Pに入力画像情報に対応した画像を形成して出力する。
【0023】
ファクシミリ受信モードの場合は外部装置400である相手方ファクシミリ装置からデジタル画像信号がインターフェイス401を介してコントローラ部200の制御部203に入力して各種処理が施された後にビデオ信号に変換されて制御部204に入力する。そして、エンジン部101が受信装置として動作して記録材Pに入力画像情報に対応した画像を形成して出力する。
【0024】
ファクシミリ送信モードの場合は、リーダ部300で光電読取りした原稿の画像情報がコントローラ部200の制御部202から制御部203に入力してデジタル画像信号に変換される。そして、その画像情報がインターフェイス401を介して外部装置400である相手方ファクシミリ装置に送信される。
【0025】
500は操作表示装置であり、各種の操作キー、情報表示部等を有し、操作表示装置制御部206を介してCPU回路部201との間で情報のやり取りを行う。制御部206は、例えば、装置500の各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路201に入力するとともに、CPU回路201からの表示すべき情報を装置500へ出力して表示させることができる。使用者は装置500により、使用する記録材の種類(紙種)、サイズ、坪量、出力枚数、画像濃度、画像倍率、モード切り換え等の所望のプリント実行条件を制御部206を介してCPU回路部201に入力することができる。
【0026】
CPU回路部201は、CPU(不図示)、ROM207、RAM208を内蔵しており、ROM207に格納されている制御プログラムにより各制御部202〜206等を総括的に制御する。RAM208は、制御データを一時的に保持し、また制御を行う演算処理の作業領域として用いられる。本実施例では後述するフローチャートに基づく制御プログラム(図8)がROM207に格納されており、CPUが呼び出して実行する。
【0027】
エンジン部101は第1の像担持体としての回転可能なドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)1を有する。ドラム1は駆動機構(メインモータ:不図示)により矢印R1の反時計方向に所定の速度(プロセススピード)にて回転駆動される。また、ドラム1の周囲にはドラム1の回転方向に沿ってドラム1に作用するプロセス手段としての、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、中間転写ユニット7、ドラムクリーナー6等が配設されている。
【0028】
帯電装置2は、回転するドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電処理する帯電手段である。本実施例においては、ドラム1はマイナス(−)極性の所定電位に一様に帯電される。
【0029】
帯電後のドラム1の表面は露光装置3による画像情報に対応した露光Lによって静電潜像が形成される。本実施例において露光装置3はレーザースキャナユニットであり、レーザー光源、ポリゴンミラー、F−θレンズ、反射鏡などを有し、制御部204から入力するビデオ画像信号に基づいて変調されたレーザー光Lを出力してドラム1の表面を主走査露光する。即ち、制御部204は入力されたビデオ信号に基づき露光装置3を駆動する。
【0030】
これにより、ドラム表面の露光部の電位が減衰し、暗部電位(非露光部電位)と明部電位(露光部電位)との静電コントラストによりドラム1の表面に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0031】
ドラム1に形成された静電潜像は現像装置4によりトナー像(現像剤像)として現像される。本実施例において、現像装置4は、現像剤として磁性キャリアとトナーが混在する二成分現像剤を用い、トナーの帯電極性がドラム1の帯電極性と同じマイナス極性である反転現像装置であり、ドラム1の露光部に対してトナーが付着して静電潜像が現像される。
【0032】
そのトナー像が一次転写部(転写ニップ部)T1においてユニット7の第2の像担持体としての回転可能な中間転写体8に対して一次転写ローラ5により順次に転写(一次転写)されていく。中間転写体8は本実施例においては矢印R8の時計方向に所定の速度で循環移動する無端状で可撓性を有する中間転写ベルトである。ベルト8に対するトナー像転写後のドラム表面はクリーナー6により転写残トナーが除去されて清掃され、繰り返して画像形成に供される。
【0033】
ユニット7において、ベルト8は、並行複数本のベルト張架ローラ9〜13間に回転可能に懸回張設されている。ローラ9〜13はいずれも接地されている。ベルト8としては、樹脂または各種ゴム等に抵抗調整剤としてカーボンブラックを適当量含有させ、体積抵抗率を1×108〜1×1013[Ω・cm]、厚みを0.07〜0.1[mm]としたものを用いることができる。樹脂としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩化ビニル等が挙げられる。
【0034】
ローラ9と10は、ベルト8の平坦な一次転写面を形成するために、転写部T1を中にしてベルト移動方向の上流側と下流側とに配設されている金属製の従動ローラである。ローラ5は導電性ローラであり、ローラ8と9の間においてベルト8の内側に配設されていて、ベルト8を介してドラム1に対して圧接している。ドラム1とベルト8の接触部が転写部T1である。ローラ11はベルト8の張力を一定に制御するテンションローラである。ローラ12は二次転写対向ローラ(導電性ローラ:対向電極)である。ローラ13は駆動ローラ(金属ローラ)である。
【0035】
ベルト8はローラ13が駆動機構(不図示)により駆動されることにより矢印R8の時計方向にドラム1の回転速度に対応した速度で循環移動する。ドラム1からベルト8へのトナー像の転写はローラ5に対して電源部E5からトナーの帯電極性とは逆極性で所定の電位の一次転写バイアス、本実施例においては、所定電位のプラス(+)のバイアスが印加されることによる電界と転写部T1の加圧力によりなされる。
【0036】
ローラ11のベルト掛け回し部にはベルト8に対向させてベルト8上のトナー像の濃度を検出する濃度検出手段14が配設されている。手段14の検出濃度情報がコントローラ部200にフィードバックされて画像形成制御のデータとされる。ローラ12のベルト掛け回し部にはベルト8を介して二次転写ローラ(導電性ローラ)16が圧接されている。ベルト8とローラ16との接触部が二次転写部(転写ニップ部)T2である。ローラ13のベルト掛け回し部にはクリーニング素子(クリーニングブレード)15aをベルト8の表面に当接させてベルトクリーナー15が配設されている。
【0037】
ユニット7の下方には給紙装置17が配設されている。本実施例において、装置17は上下3段の給紙ユニット(給紙カセット)18〜20を備えている。各ユニット毎に記録材Pの紙種やサイズなど種類を変えることができる。実際に使用される記録材に関しては、プリントジョブによって、使用者により操作表示装置500からの選択により、給紙段、記録材の紙種、サイズ、坪量などが指定される。
【0038】
また、混載モードの場合にはモード実行の際に必要な設定がなされる。混載モードは、サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードである。
【0039】
そして、コピースタートの指示により、指定された記録材が転写部T2に向けて給紙される。本実施例においては、上段のユニット18にはA4サイズ(210mm×297mm)の記録材Pが横送りできるように積載されている。中段のユニット19にはA3サイズ(297×420mm)の記録材Pが縦送りできるように積載されている。下段のユニット20には13インチ×19インチ(330.2mm×482.6mm)の記録材Pが縦送りできるように積載されている。
【0040】
そして、選択された段位のユニットの給送ローラ21が駆動されることで、その段位のユニット内の記録材Pが1枚分離給送されて搬送路22を通ってレジストローラ対23に至る。ローラ対23は記録材Pの先端を一旦受け止めて記録材の斜行を矯正すると共に、転写部T2において記録材Pの先端とベルト8上のトナー像の先端とが一致するようにベルト8に対するトナー像の形成と同期を取って記録材Pを転写部T2に送り込む。
【0041】
記録材Pは転写部T2を挟持搬送される過程においてベルト8側からトナー像の転写を順次に受ける。トナー像の転写は記録材Pが転写部T2を通過している間、ローラ16に対して電源部E16からトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)で所定電位の二次転写バイアスが印加されることによる電界と転写部T2の加圧力によりなされる。
【0042】
転写部T2を出た記録材Pはベルト8の表面から分離されて搬送路24を通って定着装置25に導入される。装置25は記録材P上の未定着トナー像を溶融固着する装置であり、本実施例においては熱ローラ定着装置である。即ち、上下並行2本の定着ローラ(熱ローラ25aと加圧ローラ25bを圧接させて定着ニップ部Nを形成させている。未定着トナー像を担持した記録材Pがニップ部Nに導入されて挟持搬送されていく。
【0043】
これにより、トナー像がニップ部Nにおける加熱及び加圧力により記録材面に固着画像として定着される。装置25を出た記録材は画像形成物として排出部(不図示)に搬送される。また記録材分離後のベルト8の表面はクリーナー15により転写残トナー・紙粉等の付着残存物の除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。
【0044】
(2)ローラ16のクリーニング
本実施例においては、大小各種サイズの記録材の装置内搬送は記録材全て記録材幅中心の中央基準搬送である。記録材Pの幅Lとは、装置に通紙される記録材の搬送方向aに直交する方向の寸法である。
【0045】
図3において、W16はローラ16の幅寸法(ローラ軸線方向の寸法)、W8はベルト8の幅寸法(ベルト移動方向R8に直交する方向の寸法)、W4は現像装置4の現像幅である。LPmaxは装置100に通紙可能(利用可能)な記録材の最大通紙幅、LPsは最大通紙幅LPmaxの記録材よりも小さい幅の記録材の通紙幅である。Oは記録材搬送の中央基準線(仮想線)である。W16≧W8≧W4≧LPmax>LPsである。
【0046】
本実施例において、最大通紙幅LPmaxは、13インチ×19インチ(330.2mm×482.6mm)の記録材Pを縦送りしたときの13インチ幅に対応している。小さい幅の記録材幅LPsは、A4横送り幅(297mm)又はA3縦送り幅(297mm)に対応している。13インチ×19インチの記録材PはA4及びA3の記録材Pに対して幅寸法においてラージサイズ記録材(大サイズ記録材)である。A4及びA3の記録材は13インチ×19インチの記録材Pに対して幅寸法においてスモールサイズ記録材(小サイズ記録材)である。
【0047】
図4の(a)は4A記録材を連続通紙後に13インチ×19インチの記録材Pの通紙を行う場合のベルト8の展開模式図である。(b)はA3記録材を連続通紙後に13インチ×19インチの記録材Pの通紙を行う場合のベルト8の展開模式図である。領域Cはスモールサイズ記録材の通紙部領域(=LPs)である。領域Dはスモールサイズ記録材の非通紙部領域であり、最大通紙幅LPmaxと通紙されるスモールサイズ記録材の通紙幅LPsとの差領域(最大通紙幅LPmaxにおいてスモールサイズの記録材が通らない領域)である。
【0048】
記録材の通紙が中央基準搬送である本実施例においては、領域Dはベルト8の幅方向両側に、それぞれ、(LPmax−LPs)/2の幅で記録材搬送方向に沿って生じる。領域Aは通紙される記録材の長さ寸法(記録材搬送方向aに沿う寸法R)に対応する範囲のベルト領域(画像域)である。
【0049】
領域Bは、記録材連続通紙時において先行する記録材Pの後端部と次の記録材Pの先端部との間隔部に対応する紙間領域(非画像域)である。この紙間領域Bの間隔は所定の一定の間隔に設定される。前述のようにPOD市場に対応した画像形成装置においては、高生産性の観点からこの紙間間隔Bをできるだけ短く設定することで生産性を稼いでいる。
【0050】
現像装置4によるドラム面の現像は画像部(記録材対応領域)も非画像部(記録材非対応領域)も含めて所定の現像幅W4をもってなされ、画像部にも非画像部にも多少なりともカブリトナーが付着する。ドラム1のベルトに対するトナー像の転写はカブリトナーも含めてなされる。そして、ベルト8の通紙部領域Cにおいて記録材対応領域に関しては、ベルト8と二次転写ローラ16の間に記録材が介在しているため、ベルト8上の画像部のトナー像やカブリトナーでローラ16が汚されることはない。
【0051】
しかし、ローラ16は、スモールサイズ記録材を通紙したときの非通紙部領域Dに対応するベルト部分と、紙間領域Bに対応するベルト部分では記録材が介在していないからベルト8の面に直に接触する。そのため、そのベルト面からカブリトナーを拾うことでローラ表層がトナーで汚れてしまう。
【0052】
そして、例えば、図4の(a)ように、スモールサイズであるA4記録材Pを連続通紙した場合、ローラ16の通紙部領域Cに対応するローラ部分と、非通紙部領域Dに対応するローラ部分(領域E)とでは汚れ度合いが異なる。これは次ぎの理由による。
【0053】
即ち、ベルト8の通紙部領域Cにおいて、記録材対応領域に関しては、ベルト8とローラ16の間には記録材Pが介在しているため、ベルト上の画像部のトナー像やカブリトナーがローラ16を汚す事は無い。紙部領域Cにおいてローラ16が汚れるのは紙間領域Bにおいてのみである。
【0054】
一方、ベルト8の非通紙部領域Dにおいては、ベルト8とローラ16の間に記録材Pが介在しないため、ベルト8上のカブリトナーがローラ16に常に付着することになる。よって、ローラ16はベルト8の通紙部領域Cに対応するローラ部分よりもベルトの幅方向両端部の非通紙部領域Dに対応するローラ部分(領域E)が圧倒的に汚れやすい。
【0055】
そのため、図4の(a)や(b)ように、スモールサイズであるA4或いはA3記録材の連続通紙後に、13×19インチのようなラージサイズの記録材を通紙すると、ローラ16の幅方向両端部のトナー汚れしている領域Eを記録材が踏む。そのため、ローラ16のトナー汚れ領域Eに対応する記録材裏面の幅方向両端領域Fが記録材搬送方向aに沿って帯状に汚れてしまう。
【0056】
本実施例においては、上記のようにトナー汚れするローラ16から付着トナーを除去する転写ローラクリーニングとして、電源部E16からローラ16に印加するバイアスを非画像域である紙間領域Bにおいてはトナーの帯電極性と同極性にする制御をしている。即ち、図5の(a)のように、ローラ16にバイアスを印加する電源部E16は、ローラ16に対してプラス極性で所定電位のバイアスを印加する正電源部E16Aを有している。また、ローラ16に対してマイナス極性で所定電位のバイアスを印加する負電源部E16Bを有している。
【0057】
コントローラ部200はニップ部T2に記録材Pが導入されて挟持搬送されている状態時には(領域Aに対応)、図5の(b)のように、ローラ16に対してトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスを印加する制御をする。また、ニップ部T2に記録材Pが存在していない紙間領域Bにおいては、ローラ16に対してトナーの帯電極性と同極性の所定電位の転写ローラクリーニングバイアスを印加する制御をする。
【0058】
本実施例においては、トナーの帯電極性がマイナス極性である。従って、コントローラ部200は、ニップ部T2に記録材Pが導入されて挟持搬送されているときには、正電源部E16Aからローラ16に対してトナーのマイナス極性とは逆極性のプラス極性で所定電位の転写バイアスを印加する制御をする。これにより、ニップ部T2においてベルト8側のトナーが記録材P側に静電的に引き付けられて、ベルト8側のトナー像が記録材P側に順次に静電転写される。
【0059】
一方、コントローラ部200は、ニップ部T2に記録材Pが存在していない紙間領域Bにおいては、トナーのマイナス極性と同極性であるマイナス極性の所定電位の転写ローラクリーニングバイアスを印加する。これにより、ベルト上のトナーをローラ16側に引き付けない、或いは、ローラ表層のトナーがベルト8側に吐き出されて、ローラ16の汚れの抑制と静電的なクリーニングがなされる。このように、転写ローラ16の清掃をベルト8の少なくとも非画像域である紙間領域Bで実施する(ローラ16の紙間クリーニング)。
【0060】
即ち、連続通紙において、記録材Pにベルト8上の画像部のトナー像を転写する領域Aにおいては、ローラ16に対してプラスバイアスを印加することで、トナー像を記録材に転写することが出来る。
【0061】
逆に、紙間領域Bに関しては、ローラ16からベルト8へトナーが戻るようにマイナスバイアスを印加する。この制御を実行する事でローラ表面のトナー汚れをベルト方向に転写することが出来る。ニップ部T2よりもベルト移動方向下流側には、記録材Pに対するトナー像転写後にベルト8に残留したトナーを除去するベルトクリーナー15が設けられている。上記したローラ16のクリーニング時にベルト8に吐き出されたトナーはクリーナー15で回収される。
【0062】
ところで、発明が解決しようとする課題の項でも述べたが、生産性が重要視されるPOD市場に対応した画像形成装置ではプロセススピードが高速化されると共に、紙間間隔が可及的に狭くされる。そのために、上述したローラ16の静電的な紙間クリーニング(通常の紙間クリーニング)だけではローラ16の前述の非通紙部汚れ(ローラ16の領域E部分の汚れ)を十分にクリーニングする時間を確保できない。よって、連続通紙をしていくことでローラ16の表層汚れは蓄積していく。
【0063】
図6は、本実施例の装置において、通紙枚数Nとローラ16の表層汚れの関係を示した図であり、横軸は通紙枚数N、縦軸はローラ16の表層汚れ度合いである。
【0064】
本実施例においてはローラ16の表層汚れに関しては、ローラ表層汚れを透明テープにて採取し、濃度測定する事により定量化した。太実線はA3記録材を連続通紙した場合のローラ16の非通紙部汚れ(ローラ16の領域Eの汚れ)の履歴である。太点線はA4記録材を連続通紙した場合のローラ16の非通紙部汚れの履歴である。細実線はA3記録材またはA4記録材を連続通紙した場合のローラ16の通紙部汚れ(ローラ16の領域Cに対応する部分の汚れ)の履歴である。
【0065】
また、ローラ汚れに関して、ローラ16の蓄積汚れが実際にラージサイズ記録材に裏汚れ(領域F)を生じさせる裏汚れ発生ポイントを示した。このポイントを超えるローラ汚れはラージサイズの記録材の裏側に裏汚れが発生してしまう。
【0066】
そこで、コントローラ部200は、スモールサイズ記録材の連続通紙後にラージサイズ記録材を通紙する場合には、スモールサイズ記録材の連続通紙後のローラ16の蓄積汚れ具合に応じて紙間間隔を延長してローラ16をクリーニングするモードを実行する。以下、このクリーニングを通常の紙間クリーニング(領域Bにおけるクリーニング)に対して紙間延長クリーニングモードと称する。
【0067】
即ち、後述するように、コントローラ部200は、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数との関係から、記録材サイズ変更前に実施するローラ16の必要とする清掃時間tを決定する。そして、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間を前記決定した清掃時間tに対応した延長した紙間間隔B1に変更する。その変更した紙間間隔B1においてローラ16の清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行う。変更した紙間間隔B1は通常の紙間Bの間隔よりも大きい延長された間隔である。
【0068】
これにより、裏汚れ発生ポイントを超えるローラ汚れによるラージサイズ記録材の裏汚れを抑制することができる。この紙間延長クリーニングモードは、通常の紙間クリーニングの場合と同様に、電源部E16からローラ16に対してトナーの帯電極性と同極性のバイアスを印加することにより実行される。
【0069】
コントローラ部200は、紙間延長クリーニングモードの実行時間、即ちローラ16の清掃時間tを、所定の参照テーブルにより、それまで通紙していた記録材のサイズから特定される記録材搬送方向aの記録材長さRと通紙枚数Nの関係から決定する。そして、その決定した時間tにおいて紙間延長クリーニングモードを実行する。以下、上記の紙間延長クリーニングモードを更に詳しく説明する。
【0070】
図6から、同じスモールサイズ記録材であるA3記録材とA4記録材とに関して、それぞれ同じ枚数を連続通紙した場合のローラ16の非通紙部汚れ度合いを比較した場合、両者間で差があるのがわかる。即ち、A3記録材の場合の方がA4記録材の場合よりも汚れ度合いが大きい。これは、図4の(a)のA4記録材連続通紙後に13×19のラージサイズの記録材通紙を行う場合の通紙状況の模式図と、(b)のA3記録材連続通紙後に13×19のラージサイズの通紙を行う場合の通紙状況の模式図の対比から説明できる。
【0071】
即ち、図4の(a)と(b)を比較した場合、紙間領域Bの間隔寸法に関しては(a)と(b)の両者間で差が無いのに対して、領域Aの長さ寸法(記録材の搬送方向aの長さ寸法R)に関しては(b)の方が(a)よりも2倍(420mm/210mm)長い。そのため、ローラ16の非通紙部(領域E)の汚れ度合いに関して、同じ連続通紙枚数であっても、A3記録材の場合の方がA4記録材の場合よりもローラ16がベルトからカブリトナーの影響を受ける積算距離が長くなるためである。
【0072】
ここで図6中、スモールサイズ記録材の連続通紙枚数においてA枚時点で通紙がラージサイズの13×19の記録材に切り替わると、ローラ16のA3記録材非通紙部、A4記録材非通紙部ともに裏汚れ発生ポイントを超えている事が分かる。ただし、ローラ16の汚れ量が異なり、通紙枚数Aの時点で、両者の場合のクリーニングに必要なCLN時間(クリーニング時間:清掃時間)が異なる。縦軸の点線Bのローラ表層汚れがクリーニングを実施したときのローラ汚れのターゲットだとすると、A3記録材非通紙部の場合はCLN時間t1、A4非通紙部の場合はCLN時間t2が必要になる。
【0073】
よって、本実施例においては、この通紙する記録材のサイズ情報と連続通紙枚数の情報から最適なCLN時間tを割り出す事を特徴とする。図7は図6の検討結果を基にした、記録材サイズ別の「通紙枚数−クリーニング必要時間」の相関テーブルである。この相関テーブルは予めの実験により作成されて、コントローラ部200のROM207に制御用参照テーブルとしてメモリされている。
【0074】
コントローラ部200のCPU回路部201は、通紙されるスモールサイズ記録材のサイズ情報と連続通紙枚数の情報から、ROM207にメモリされている制御用参照テーブルを基に最適なCLN時間を割り出す事が出来る。図7では、A3記録材とA4記録材だけのテーブルとなっているが、装置100に通紙して使用する各種サイズ(各紙種)の記録材に関して上記の通紙枚数−クリーニング必要時間の相関テーブルを作成してROM207にメモリしておく。これにより、各種の記録材種について枚数−サイズの情報から適切なCLN時間を算出する事が出来る。
【0075】
次に図8のフローチャートを用いて本実施例のローラクリーニングモードの制御を説明する。この制御はコントローラ部100のCPU回路201にてなされる。
【0076】
1)まず、使用者の操作により操作表示装置500から制御部206を介してCPU回路201にプリント情報である記録材サイズ(プリントサイズ)、プリント枚数が入力される。更には、記録材のサイズ切り替え、即ち記録材の種類の混載(混載モード)があるか否か、ある場合には混載される記録材のサイズ情報、枚数情報などが入力される(ステップS1:プリント情報入手)。
【0077】
このプリント情報入手は、外部装置400からの入力である場合もある。また、記録材のサイズ情報の入手は、給紙装置17からレジストローラ対23に至る記録材搬送路の途中に給紙装置17から給送された記録材のサイズを検知する記録材サイズ検知装置600(図1)を配設する。そして、記録材の連続通紙において装置17からローラ対23に給送される記録材Pのサイズ(幅寸法、長さ寸法)を装置600で逐次に検知し、その検知情報をCPU回路201に入力する構成とすることもできる。
【0078】
2)次にプリントがスタートされる(ステップS2)。CPU回路201はプリントスタート信号に基づいてエンジン部101の所定の前回転動作を実行する(ステップS3)。前回転動作は、スタンバイ(待機)状態にある装置100のメインモータを起動させてドラム1を回転させ、プリント前の所定の準備を行う動作である。ローラ16のクリーニング動作も含まれる。CPU回路201はこの前回転動作の終了後に、設定されている一連のプリントジョブの連続通紙を開始する(ステップS4)。
【0079】
3)混載モードではない場合
即ち、実行される一連のプリントジョブで通紙される全ての記録材が同一サイズの記録材であるために連続通紙の途中において記録材のサイズの切り替え(記録材サイズ変更)がない場合である。この場合には紙種の切り替えタイミングというものはない。従って、ステップS5とS6を経て、或いはステップS5とS6の繰り返えしループを経て最終的に全プリントを終了する(ステップS7)。
【0080】
この場合におけるローラ16の紙間クリーニングは所定の紙間間隔が変更されることなく所定の紙間クリーニングにてなされる。そして、装置100は、所定の後回転動作が実行された後にメインモータの駆動が停止され、次のプリントジョブのプリントスタート信号が入力されるまで待機状態(スタンバイ状態)に保持される。後回転動作は連続通紙の最後の記録材に対する画像形成が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させてドラム1を回転駆動させて装置100のプリント終了後の所定の準備を行う動作である。
【0081】
後回転動作中においても、ローラ16の前述した静電的なクリーニングが実行される。CPU回路201は通紙された記録材が最大通紙幅LPmaxよりも小さい幅の記録材である場合には、次のようにローラクリーニングのCLN時間tを決定する。即ち、通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向aの長さRと通紙枚数の関係から、ROM207にメモリされている制御用参照テーブルを基にローラクリーニングのCLN時間tを決定する。そして、後回転動作においてローラクリーニングモードをその決定したCLN時間tについて実行する。
【0082】
4)混載モードである場合
即ち、サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードであって、連続通紙の途中で通紙される記録材のサイズ切り替えが1回でもある場合である。
【0083】
この場合には、先行して通紙されている或るサイズの記録材の所定のプリント枚数が終了することで記録材サイズの切り替えタイミングとなる(ステップS5のYes)。CPU回路201はそのサイズ切り替え前(記録材サイズ変更前)と次に通紙される記録材の幅の大小を比較する(ステップS10)。ここで、記録材サイズの切り替え前即ち先行して通紙していた記録材の幅(記録材の記録材搬送方向aに直交する方向の寸法)をL2とする。次に通紙される記録材の幅をL1とする。
【0084】
5)ステップS10において、幅L1が幅L2よりも小さい場合(L1<L2)、即ち次に通紙する記録材が先行して通紙されていた記録材よりもスモールサイズの場合には、次に通紙する記録材に対する前述したようなローラ16による裏汚れの問題は生じない。
【0085】
そこで、CPU回路201は、図9の(a)のように、サイズ切り替え前のラージサイズ記録材についての通紙が終了したら、サイズ切り替えして引き続いてスモール記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。この場合、先行して通紙していたラージサイズ記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初のスモールサイズ記録材との紙間間隔の変更はなされず、連続通紙における通常の紙間間隔と同じ設定となる。
【0086】
6)ステップS10において、幅L1が幅L2よりも大きい場合(L1>L2)、即ち次に通紙する記録材が先行して通紙していた記録材よりもラージサイズである場合には、ラージサイズ記録材に対する前述したローラ16による裏汚れの問題を生じ得る。
【0087】
この場合は、CPU回路201は、図9の(b)のように、先行して通紙していたスモールサイズ記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初のスラージサイズ記録材との紙間間隔を所定に広げる方向に変更する。
【0088】
即ち、先行して通紙していたスモールサイズ記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基にローラ16について必要とするCLN時間tを決定する(ステップS12)。
【0089】
そして、CPU回路201は、その決定したCLN時間tに対応する紙間間隔B1を演算して、変更後の紙間間隔とする。CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間、前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが効果的に除去される。
【0090】
CPU回路201は、上記の変更した紙間間隔B1による紙間延長クリーニングモードを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙するラージサイズ記録材に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。
【0091】
7)以後、混載モードの設定に従って、ステップS5とS6を経て、或いはステップS5とS6の繰り返えしループを経て、或いはステップS5、S6、S10からS15の繰り返えしループを経て全プリントを終了する(ステップS7)。
【0092】
装置100は、所定の後回転動作が実行された後にメインモータの駆動が停止され、次のプリントジョブのプリントスタート信号が入力されるまで待機状態に保持される。後回転動作中においても、ローラ16の前述した静電的なクリーニングが実行される。
【0093】
CPU回路201は最後にサイズ変更されてプリントが開始された記録材が最大通紙幅LPmaxよりも小さい幅の記録材である場合には次の制御をする。即ち、その記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向aの長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基にローラ16についてCLN時間tを決定する。そして、後回転動作においてその決定したCLN時間tについてローラクリーニングを実行する。
【0094】
ここで、図6において点線Bのローラ汚れのターゲットに対応するCLN時間を閾値時間taとする。そして、ステップS12の次に、ステップS12において算出された延長すべきCLN時間tと閾値時間taとを対比するステップを設ける。
【0095】
CLN時間tが閾値時間ta以下である場合には、ローラ16の領域Eの汚れは次に通紙されるラージサイズの記録材に対する裏汚れ発生ポイントを超えるものではないと判断される。そこで、その場合には、ステップS13の紙間間隔の変更をすることなく、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズに変更して引き続いてそのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行するステップS11に移行する制御とすることもできる。この場合の紙間間隔は通常の紙間Bの間隔とされる。
【0096】
また、ステップS8の後回転動作において実行するローラクリーニングも、算出される延長すべきCLN時間tが閾値時間ta以下である場合には、算出されるCLN時間tに対応するローラクリーニングの実行は無しにすることもできる。
【0097】
上記の制御を実施する事により、ローラ16の非通紙部汚れ(領域E)に対して、記録材サイズ変更前に、変更された適正な紙間間隔B1でクリーニングした後にサイズ変更したラージサイズ記録材を裏汚れさせることなく通紙することが出来る。
【0098】
また、本実施例においては、先に算出したCLN時間tをサイズ切り替え前のCLN時間としたが、プリント動作終了後の後回転動作中(ステップS8)に行うローラクリーニングのCLN時間に反映させても同様の効果を得る事が出来る。
【0099】
さらには本実施例において、ローラ16の非通紙部汚れは、ローラ種、現像方法、現像剤種等の条件により汚れ度合いが異なるため特に数値規定はしていないが、其々の画像形成条件にあった設定値で制御する事で同様の効果を得る事が出来る。
【0100】
<実施例2>
記録材の紙種によっては、ローラ16の非通紙部汚れに対する記録材の裏汚れという観点で普通紙との比較において厳しい紙種と有利な紙種がある。厳しい紙種としては、平滑度、透気度の高い用紙、いわゆる上質紙、コート紙である。逆に、裏汚れしづらい紙種としては、平滑度、透気度の低い用紙、いわゆるラフ紙である。
【0101】
つまり、平滑度が高い用紙は、平滑であるためにローラ16との接触面が均一で圧転写しやすく、且つ付着したトナーが目立ちやすい。さらにコート紙に関しては白色度も高いため更に目立ちやすい。平滑度が低い用紙で、透気度の低い用紙は、ローラ16との接触面も少なく、且つ表面が微小に凹凸があるためトナーが付着しても目立ちにくい。
【0102】
そこで、本実施例2においては、先行して通紙された記録材の幅L2よりも、次に通紙する記録材の幅L1の方が大きい場合(L1>L2)に、実施例1と同様にして、ローラ16の必要とするCLN時間tを決定する。即ち、先行して通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向aの長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に記録材サイズ変更前に実施するCLN時間tを決定する。そして、その決定されたCLN時間tを、次に通紙する記録材の紙種を加味して調整(補正)する。
【0103】
本実施例においては、次に通紙するラージサイズの記録材が普通紙の場合には、記録材サイズ変更前に実施するローラ16のCLN時間は実施例1と同様にして決定されたCLN時間tとする。また、次に通紙するラージサイズの記録材がコート紙の場合には、コート紙による調整時間値+αを算出し、CLN時間tをt+αに調整する。逆に、通紙するラージサイズの記録材がラフ紙の場合には、ラフ紙による調整時間値−βを算出し、CLN時間tをt−βに調整する。
【0104】
図10と図11は、本実施例2におけるローラ16のクリーニング制御のフローチャートである。この制御はコントローラ部100のCPU回路201にてなされる。図12は本実施例2で使用する紙種によるクリーニング時間調整テーブルである。即ち、通紙枚数Nと調整時間値のテーブルであり、太実線がコート紙の場合の調整時間値+αで、太点線がラフ紙の場合の調整時間値−βを示す。このテーブルは予め実験により作成されて、ROM207に制御用参照テーブルとしてメモリされている。
【0105】
1)図10のステップS1〜S9のフローチャートは実施例1の図8のステップS1〜S9と同じであるから再度の説明を省略する。
【0106】
2)実行される一連のプリントジョブの途中で通紙される記録材のサイズ切り替えが1回でもある場合(ステップS5のYes)には、先行して通紙していた記録材の所定のプリント枚数が終了することで記録材のサイズ(紙種)の切り替えタイミングとなる。CPU回路201はステップS10でサイズの切り替え前の記録材の幅L2と後の記録材の幅L1の大小を比較する(ステップS10)。
【0107】
幅L1が幅L2よりも小さい場合(L1<L2)には、実施例1の場合と同様に、CPU回路201はサイズ変更前の記録材についての通紙が終了したら、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズに変更する(ステップS11)。そして、引き続いてそのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する。
【0108】
3)ステップS10において、幅L1が幅L2よりも大きい場合(L1>L2)は、次に通紙するラージサイズ記録材の紙種の判断がなされる(ステップS101)。本実施例では、普通紙であるか、コート紙であるか、ラフ紙であるか、の判断がなされる。
【0109】
4)普通紙である場合
実施例1の場合と同様に、先行して通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に必要とするCLN時間tが決定される(ステップS12)。そして、CPU回路201は、先行して通紙していた記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初の記録材との紙間Bを前記CLN時間tに対応する紙間間隔B1に変更する(ステップS13)。
【0110】
CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間、前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが除去される。CPU回路201は、変更した紙間間隔B1におけるローラクリーニングを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズ(ラージサイズ)に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。
【0111】
5)コート紙である場合
普通紙である場合と同様に、前回に通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数の関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に必要とするCLN時間tが決定される。そして、コート紙による調整時間値+α(加算時間)を算出し、CLN時間tに調整時間値+αを加えてCLN時間tをt+αに調整する(ステップS12A)。即ち、CLN時間tに対する正の重み付けがなされる。
【0112】
図12において、例えば、前の通紙枚数がB枚だった場合にコート紙の調整時間値が+α時間となる。そして、CPU回路201は、先行して通紙していた記録材の最後の記録材とサイズ変更後の最初の記録材との紙間間隔を前記CLN時間t+αに対応する紙間間隔B1に変更する(ステップS13)。
【0113】
CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間、前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが除去される。
【0114】
CPU回路201は、上記の変更した紙間間隔B1によるローラクリーニングを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズ(ラージサイズ)に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。このように、コート紙である場合には、先に算出したCLN時間tに調整時間値+αを加える事で、より最適な設定でクリーニングする事が出来る。
【0115】
6)ラフ紙である場合
普通紙である場合と同様に、先行して通紙していた記録材のサイズから特定される、記録材の搬送方向の長さRと通紙枚数Nの関係から、ROM207にメモリされているテーブルを基に必要とするCLN時間tが決定される。そして、ラフ紙による調整時間値−β(減算時間)を算出し、CLN時間tに調整時間値−βを加えてCLN時間tをt−βに調整する(ステップS12B)。即ち、CLN時間tに対する負の重み付けがなされる。
【0116】
図12において、例えば、前の通紙枚数がB枚だった場合にラフ紙の調整時間値が−β時間となる。そして、CPU回路201は、前回に通紙していた記録材の最後の記録材の後端部とサイズ変更後の最初の記録材の前端部との紙間間隔Bを前記CLN時間t−βに対応する紙間間隔B1に変更する(ステップS13)。
【0117】
CPU回路201は、この変更された紙間間隔B1の間前述した静電的な紙間延長クリーニングモードを実行してローラ16のクリーニングを実行する(ステップS14)。これにより、ローラ16の領域E部分の汚れが除去される。CPU回路201は、上記の変更した紙間間隔B1によるローラクリーニングを終えたら(ステップS15のYes)、通紙する記録材を次に通紙する記録材サイズ(ラージサイズ)に変更する。そして、そのサイズ変更後の記録材による通紙・プリントを実行する(ステップS11)。
【0118】
このように、ラフ紙である場合には、先に算出したCLN時間tに調整時間値−βを加える事で、より最適な設定でクリーニングする事が出来る。
【0119】
ここで、CLN時間tの補正(正または負の重み付け)は、次に通紙する記録材の記録材の平滑度、透気度、白色度、坪量の少なくともいずれかの値を基準として行なうことができる。
【0120】
<実施例3>
図13は本実施例における画像形成装置100の概略構成と制御系統のブロック回路図である。この装置100は実施例1の画像形成装置100から中間転写ユニット7を除去した構成の電子写真方式−レーザービーム露光方式で、複写機−プリンタ−ファクシミリとして使用される複合機能機である。実施例1の装置100と共通する構成部材部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0121】
本実施例の装置においては、像担持体としてのドラム1と一次転写ローラ5との接触部である一次転写部T1に給紙装置17から記録材Pが給送されて、ドラム1側から記録材P側にトナー像の転写がなされる。
【0122】
ローラ5に対する電源部E5は、実施例1におけるローラ16に対する電源部E16と同様に、ローラ5に対してプラス極性で所定電位のバイアスを印加する正電源部と、ローラ5に対してマイナス極性で所定電位のバイアスを印加する負電源部と、を有している。
【0123】
コントローラ部200はニップ部T1に記録材Pが導入されて挟持搬送されている状態時には、ローラ5に対してトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスを印加する制御をする。また、ニップ部T1に記録材Pが存在していない紙間においては、ローラ5に対してトナーの帯電極性と同極性の所定電位のクリーニングバイアスを印加する制御をする。
【0124】
本実施例の装置100においても、実施例1や実施例2と同様に、転写ローラ5の紙間延長クリーニングモードを適用することができる。即ち、ローラ5の非通紙部汚れに対して、記録材のサイズ変更前に適正なCLN時間でクリーニングした後にサイズ変更したラージサイズ記録材を裏汚れさせることなく通紙することが出来る。
【0125】
<その他の事項>
1)実施例1乃至3の装置100は記録材の搬送を記録材幅中心の所謂中央基準搬送とした装置であるが、記録材の搬送を所謂片側基準搬送で行うようにした装置であってもよい。
【0126】
2)像担持体に対するトナー像の形成プロセスは電子写真画像形成プロセスに限られない。像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録画像形成プロセス、磁気記録磁性体を用いた磁気記録画像形成プロセスなどであってもよい。
【符号の説明】
【0127】
100・・画像形成装置、1・・電子写真感光体ドラム(第1の像担持体)、8・・中間転写ベルト(第2の像担持体)、5・・一次転写ローラ、16・・二次転写ローラ、T1・・一次転写ニップ部、T2・・二次転写ニップ部、P・・記録材、E5・E16・・電源部、a・・記録材搬送方向、200・・コントローラ部、201・・CPU回路部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体に当接して転写ニップ部を形成する回転可能な転写ローラと、前記転写ローラにバイアスを印加する電源部と、を有し、前記転写ニップ部で記録材を挟持搬送して前記像担持体から前記トナー像を前記記録材に転写し、前記転写ローラの清掃を静電的に前記像担持体の少なくとも非画像域で実施する画像形成装置であって、
サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードにおいて、先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅L2と、次に通紙される記録材の幅L1との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数の関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記決定した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行うように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体に当接して転写ニップ部を形成する回転可能な転写ローラと、前記転写ローラにバイアスを印加する電源部と、を有し、前記転写ニップ部で記録材を挟持搬送して前記像担持体から前記トナー像を前記記録材に転写し、前記転写ローラの清掃を静電的に前記像担持体の少なくとも非画像域で実施する画像形成装置であって、
サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードにおいて、先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅と、次に通紙される記録材の幅L2との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数の関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、更に次に通紙される記録材の記録材種に応じて前記決定した清掃時間を補正し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記補正した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行うように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記決定した清掃時間の補正は、次に通紙される記録材の平滑度、透気度、白色度、坪量の少なくとも何れかの値を基準としてなされることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体に当接して転写ニップ部を形成する回転可能な転写ローラと、前記転写ローラにバイアスを印加する電源部と、を有し、前記転写ニップ部で記録材を挟持搬送して前記像担持体から前記トナー像を前記記録材に転写し、前記転写ローラの清掃を静電的に前記像担持体の少なくとも非画像域で実施する画像形成装置であって、
サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードにおいて、先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅L2と、次に通紙される記録材の幅L1との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数の関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記決定した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行うように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナー像が形成される回転可能な像担持体と、前記像担持体に当接して転写ニップ部を形成する回転可能な転写ローラと、前記転写ローラにバイアスを印加する電源部と、を有し、前記転写ニップ部で記録材を挟持搬送して前記像担持体から前記トナー像を前記記録材に転写し、前記転写ローラの清掃を静電的に前記像担持体の少なくとも非画像域で実施する画像形成装置であって、
サイズの異なる記録材が混在する複数枚の記録材を所定の記録材順序、所定の紙間間隔をもって連続通紙して画像形成を実行する画像形成モードにおいて、先行して通紙される記録材の搬送方向に直交する方向の幅と、次に通紙される記録材の幅L2との関係がL1>L2であるときは、先行して通紙される記録材のサイズから特定される記録材の搬送方向の長さと通紙枚数の関係から、記録材サイズ変更前に実施する前記転写ローラの必要とする清掃時間を決定し、更に次に通紙される記録材の記録材種に応じて前記決定した清掃時間を補正し、先行して通紙される記録材の最後の記録材と次に通紙される記録材の最初の記録材との紙間間隔を前記補正した清掃時間に対応する紙間間隔に変更し、前記変更した紙間間隔において前記転写ローラの清掃を実行した後に次に通紙される記録材の通紙を行うように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記決定した清掃時間の補正は、次に通紙される記録材の平滑度、透気度、白色度、坪量の少なくとも何れかの値を基準としてなされることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−42641(P2012−42641A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182859(P2010−182859)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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