説明

画像形成装置

【課題】本発明は、中間転写ベルトにおける濃度むらの発生を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】感光体ドラム31Cと転写ローラ34Cとの間に中間転写ベルト11が配されており、中間転写ベルト11に転写ローラ34Cを接触させて、中間転写ベルト11の表面にトナー像を転写させる構成を有するプリンタであって、転写ローラ34Cは、軸方向において、中間転写ベルト11にトナー像が転写される領域に対応する転写領域34fCと、当該転写領域34fCの外側に位置する非転写領域34gCとを有しており、非転写領域34gCの中間転写ベルト11と対向する位置には、外径が転写領域34fCの外径よりも大きい部分を有する弾性部材234Cが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ベルトを備える電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フルカラーの画像形成装置として、感光体ドラム上に形成された各色トナー像をそれぞれ中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルト上で重ね合わせたトナー像を一括して記録シートに二次転写する、いわゆる中間転写方式の画像形成装置が広く用いられている。
このような画像形成装置において、感光体ドラム上に形成されたトナー像の中間転写ベルトへの一次転写は、中間転写ベルトを挟んで感光体ドラムと略対向する位置に転写ローラを配設し、当該転写ローラを中間転写ベルトの内周面に押圧して、中間転写ベルトの表面を適度な圧力で感光体ドラムに面接触させた状態で、所定の転写電圧を転写ローラに印加することにより、感光体ドラム上のトナー像を中間転写ベルトに静電吸着させている。
【0003】
一方、最近では、中間転写ベルトの走行方向における転写ローラと感光体ドラムとの位置を若干ずらして(オフセット)、転写ローラと中間転写ベルトとが接触する第1の接触位置と、感光体ドラムと中間転写ベルトとが接触する第2の接触位置との距離を長くするものがある。
これは、第1と第2の接触位置間の抵抗値を上げて転写ローラと感光体ドラムとの間の電圧差を高くし、これにより電界強度を高めて転写効率を良好に維持する、いわゆるオフセット方式と呼ばれるものである。
【0004】
図7(a)および図7(b)は、このようなオフセット方式を採用する画像形成装置における感光体ドラム周りの構造を示す図である。
このような画像形成装置では、例えば、図7(a)に示すように、外径が転写ローラ534よりも大きな円筒状のコロ535を転写ローラ534の両端部に設け、当該コロ535を感光体ドラム531の外周面両端部に当接させている。
【0005】
これにより、感光体ドラム531と転写ローラ534との距離を一定に保ち、中間転写ベルト511の接触圧力を高い精度で確保しようとしている。
ところで、近年、図7(b)に示すように、両端に近づくにつれ、外径が漸減するテーパ部534bを有する転写ローラ534を採用する画像形成装置がある。
これは、転写ローラ534と感光体ドラム531の両端部同士で放電が生じないように、絶縁距離を確保するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−63672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記構成では、中間転写ベルト511の軸方向の両端部に存するテーパ部534b付近において、感光体ドラム531との間に空間が生じるため、この空間において中間転写ベルト511の両端が震動する、いわゆるばたつきが生じ易い。
当該ばたつきは、中間転写ベルト511におけるテンションが、幅方向(Y軸方向)において均一になっておらず、局部的に変動することなどが原因と考えられる。
【0008】
中間転写ベルト511の両端部にこのようなばたつきが生じると、中間転写ベルト511と感光体ドラム531との間における電界強度が変化して、図7(c)に示すように、中間転写ベルト511に転写されるトナー像の濃度むらが発生し、さらには、部分的に転写が全く行われない、いわゆる画像抜けも生じるおそれがある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、中間転写ベルトにトナーを転写する際の濃度むらや画像抜けの発生を防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、像担持回転体と転写ローラとの間にベルトが配されており、当該ベルトに前記転写ローラを接触させて、前記像担持回転体上のトナー像を前記ベルト表面に転写させる構成を有する画像形成装置であって、前記転写ローラは、軸方向において、前記ベルトにトナー像が転写される領域に対応する転写領域と、当該転写領域の外側に位置する非転写領域とを有しており、前記非転写領域の前記ベルトと対向する位置に、外径が転写領域の外径よりも大きい部分を有する弾性体が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により、像担持回転体と転写ローラとに挟まれる隙間において、ベルトの両端部が走行する非転写領域における隙間が、転写領域よりも小さくなるため、ベルトの両端部の振動範囲が制限されて、ばたつきを生じにくくすることができる。
さらに、前記弾性体は、前記ベルトを前記像担持回転体に押し付けていることが望ましい。
【0011】
また、前記弾性体は、第1の外径d1を有する第1の部分と、当該d1以下の外径d2を有する第2の部分とを有し、第2の部分が第1の部分よりも、前記転写ローラの軸方向における中央寄りに存しており、前記像担持回転体および前記転写ローラの互いの軸同士の離間距離をLとし、前記転写ローラの前記転写領域における外径をd3とし、前記像担持回転体の外径をd4とし、前記ベルトの厚みをtとしたとき、d1>d3+[L−(d3/2+d4/2+t)]×2、および、d2≧d3の関係を満たすとしてもよい。
【0012】
加えて、前記弾性体は、体積抵抗率が1×10[Ω・m]以上、1×10[Ω・m]以下であることが望ましい。
また、前記弾性体のアスカーC硬度は、15[°]以上、30[°]以下であることが望ましい。
さらに、前記弾性体は、筒状であって、前記転写ローラ本体の両端部に挿嵌されているとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタの全体の構成を示す断面概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る感光体ドラムと転写ローラの構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【図3】図1におけるP−P’断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る転写ローラの変形例(その1)を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る転写ローラの変形例(その2)を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る転写ローラの変形例(その3)を示す断面図である。
【図7】(a)は、従来の画像形成装置における感光体ドラム、中間転写ベルトおよび転写ローラの構成を示す側面図であり、(b)は、そのQ−Q’断面図であり、(c)は、濃度むらの発生状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、当該プリンタ1の全体の構成を示す断面概略図である。
同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着部5および制御部60を備えている。プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からのプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック色からなるトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像形成を実行するいわゆるタンデム型のカラープリンタである。
【0015】
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
<画像プロセス部>
画像プロセス部3は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部30Y,30M,30C,30K、光学部10、中間転写ベルト11などを備えている。
【0016】
作像部30Yは、感光体ドラム31Y(像担持回転体)、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、転写ローラ34Y、感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを備えている。
作像部30Yは、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。他の作像部30M〜30Kについても、作像部30Yと同様の構成になっており、同図では符号を省略している。
【0017】
中間転写ベルト11は、無端状のベルトである。中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印A方向に回転駆動される。
光学部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備えており、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、感光体ドラム31Y〜31Kを露光走査させる。
【0018】
この露光走査により、帯電器32Y〜32Kにより帯電された感光体ドラム31Y〜31K上に静電潜像が形成される。各静電潜像は現像器33Y〜33Kにより現像される。
感光体ドラム31Y〜31K上に現像されたY〜K色のトナー像が中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるようにタイミングをずらして一次転写が実行される。
【0019】
転写ローラ34Y〜34Kに作用する静電力により中間転写ベルト11上に各色のトナー像が順次転写されフルカラーのトナー像が形成される。
さらに、トナー像が中間転写ベルト11の周回に伴って二次転写位置46方向に移動する。
例えば、転写ローラ34Yにおいて作用する静電力は、転写ローラ34Yと感光体ドラム31Yとの間の電位差によってその大きさが決まる。
【0020】
ここで、転写ローラ34Y〜34Kは、安価で低抵抗な金属ローラであり、金属部分が直接中間転写ベルト11の裏面に接触する構成であるため、上記電位差を十分に確保するためには、各転写ローラとこれに対向するように配された感光体ドラムとの間に介在する中間転写ベルト11の抵抗を大きく設定する必要がある。
このため、本実施の形態におけるプリンタ1では、転写ローラ34Y〜34Kの位置が、これらそれぞれに対応する感光体ドラム31Y〜31Kに対して、中間転写ベルト11の走行方向(X−X’方向)にオフセットしており、当該オフセット量Lxは、4.0mm程度となっている。
【0021】
さらに、転写ローラ34Y〜34Kは、中間転写ベルト11をこれの走行面と直交するZ’方向に長さLs分押し込んでおり、ここでは、当該Lsの値を0.04mmに設定している。
一方、給紙部4は、記録シートSを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートSを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対44などを備えている。
【0022】
給紙部4は、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部4から記録シートSを二次転写位置に給送し、二次転写ローラ45の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シートS上に二次転写される。
二次転写位置46を通過した記録シートSは、定着部5に搬送される。記録シートS上のトナー像(未定着画像)が、定着部5における加熱・加圧により記録シートSに定着される。
【0023】
記録シートSは、排出ローラ対71を介して排出トレイ72上に排出される。
<転写ローラの構造>
本実施の形態におけるプリンタ1は、転写ローラ34Y〜34Kの構造と、中間転写ベルト11、転写ローラ34Y(〜34K)および感光体ドラム31Y(〜31K)の位置関係に特徴があり、以下、これらについて詳細に説明する。
【0024】
図2は、転写ローラ34Y〜34Kの周辺部の構成を示す一部切り欠き斜視図である。
なお、同図2は、Y方向側の構成のみを示した図であり、Y’方向側はY方向側と同様の構成であるため、Y’方向側の構成については描画を省略する。
各感光体ドラム31Y〜31Kは、それぞれ両端部において、一対の感光体保持部材131Y〜131Kにより保持されている。
【0025】
転写ローラ34Y〜34Kは、その両端部が、それぞれ一対の転写ローラ保持部材133Y〜133Kにより軸支されると共に、機枠132に対してZ−Z’方向に摺動可能に保持されている。
さらに、転写ローラ保持部材133Y〜133Kは、それぞれ圧縮コイル136Y〜136Kにより、Z’方向に付勢されているため、転写ローラ34Y〜34Kもまた、Z’方向に付勢されている。
【0026】
転写ローラ34Y〜34Kは、全て同構造であるため、以下、転写ローラ34Cを例に挙げて説明する。
図3は、図1において、転写ローラ34Cおよび感光体ドラム31Cを、双方の回転軸を含む平面で切断したときのP−P’断面図である。
なお、同図3では、転写ローラ本体34aCのY方向側の形状を示し、Y’方向側の形状は、Y方向側の形状と対称であるため描画を省略する。
【0027】
転写ローラ34Cは、同図に示すように、転写ローラ本体34aCと、これの両端部寄りに設けられた弾性部材234Cおよびコロ235Cとを有する。
ここで、転写ローラ本体34aCにおいて、Y軸方向における前記ベルトのトナー像が転写される領域に対応する領域を転写領域34fCとし、また、当該転写領域の両外側に存する領域を非転写領域34gCとする。
【0028】
転写ローラ本体34aCは、両端部において、転写領域34fCの外径よりも外径が小さい第1小径部34bCおよび第2小径部34dCとを有する。
ここで、第1小径部34bCの外径は、第2小径部34dCの外径よりも大きい。
また、転写ローラ本体34aCは、第1小径部34bCと第2小径部34dCとの間に、第1小径部34bから第2小径部34dCに進むにつれ、外径が漸減するテーパ部34cCを有する。
【0029】
さらに、転写ローラ本体34aCの回転軸の延長線上から当該転写ローラ本体34aCを眺めたとき、第1小径部34bC、第2小径部34dCおよび転写領域34fCの外周が、同心円となっている。
コロ235Cは、摺動性および絶縁性を有する、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)などの材料からなり、上述の回転軸の延長線上から当該コロ235Cを眺めたとき、内周および外周が同心円となっており、転写ローラ本体34aCの両端部に存する第2小径部34dCに、回転自在であって、かつ、がたつきが無い状態で挿入されている。
【0030】
また、コロ235Cは、圧縮コイルばね136C(不図示)によって、感光体ドラム31CのY軸方向の端部に押し付けられており、これにより、転写ローラ本体34aCの回転軸と感光体ドラム31Cの回転軸とが一定の距離に保持される。
弾性部材234Cは、より具体的には、絶縁性もしくは半導電性を有する外形が円錐台状の筒体であって、転写ローラ本体34aCの転写領域34fCに近づくにつれ、外径が漸減し、転写領域34fC側の最小径をd2としたとき、これと反対側の最大径は、d2より大きいd1となっている。
【0031】
弾性部材234Cの材料としては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)等のゴム材料にイオン導電剤やカーボンブラックを分散させて抵抗を調整したものを用いることができる。また、製造時に発泡させたものを用いてもよい。
また、転写ローラ本体34aCの転写領域34fCにおける外径をd3とすると、d2=d3となっている。
【0032】
ここで、弾性部材234Cの体積抵抗率は、弾性部材234Cと感光体ドラム31Cとの間の放電を防止する観点から、1×10[Ω・cm]以上であることが望ましい。
さらに、中間転写ベルト11を弾性部材234Cに沿うように静電吸着させるために、1×1010[Ω・cm]以下が望ましく、1×10[Ω・cm]以下であることがさらに望ましい。
ここで、感光体ドラム31Cおよび転写ローラ本体34aCの軸同士の距離をLdとし、感光体ドラム31Cの外径をd4とし、中間転写ベルト11の厚みをtとしたとき、弾性部材234Cの最大径d1は、以下の式1を満足する。
[式1] d1>d3+[Ld−(d3/2+d4/2+t)]×2
つまり、弾性部材234の最大径d1の値は、弾性部材234Cが中間転写ベルト11のY軸方向における各端部を感光体ドラム31Cの外周面に押し付け可能なように設定されている。
【0033】
このように、弾性部材234Cが、中間転写ベルト11を感光体ドラム31Cの外周面に押し付けているため、中間転写ベルト11のY軸方向における両端で、ばたつきが生じることがない。
さらに、中間転写ベルト11と感光体ドラム31Cとの接触は、非転写領域34gCで生じており、また、転写領域34fCでは、中間転写ベルト11が転写ローラ本体34aCに静電吸着され、中間転写ベルト11と感光体ドラム31Cとの間隔が一定に保たれるので、中間転写ベルトにおける濃度むらや画像抜けの発生を防止することができる。
【0034】
このように、弾性部材234Cを、中間転写ベルト11を介して感光体ドラム31Cに押し付けた場合、同図3に示すように、弾性変形領域N1が形成され、転写ローラ本体34aCは、同図3のV方向に反力を受ける。
このとき、弾性部材234Cの硬度が大きいと、圧縮コイルばね136C(不図示)の付勢力でコロ235Cを感光体ドラム31Cの外周面に押し付けることができなくなり、感光体ドラム31Cと転写ローラ本体34aCとの軸間距離が設定すべき値よりも大きくなる可能性がある。
【0035】
このような不都合が生じないように、弾性部材234CのアスカーC硬度の値は、圧縮コイルばね136Cの付勢力との関係で、適宜決定されるべきものである。
本実施の形態では、コロ235Cが感光体ドラム31Cに接触したときの圧縮コイルばね136Cの付勢力を8.0[N]に設定すると共に、弾性部材234のCアスカーC硬度を20[°]に設定している。
【0036】
また、弾性部材234CのアスカーC硬度が、あまりにも小さいと、弾性部材234Cで中間転写ベルト11を感光体ドラム31Cにしっかり押し付けることができなくなり、中間転写ベルト11のY軸方向における両端のばたつきの発生を抑制することができなくなるおそれがあるため、このような不都合が生じないように、弾性部材234CのアスカーC硬度を設定することが望ましい。
【0037】
以上より、弾性部材234CのアスカーC硬度の現実的な範囲としては、15[°]以上、30[°]以下に設定されていることが望ましい。
<変形例>
本発明は、上述のような実施の形態に限られるものではなく、次のような変形例であってもよい。
【0038】
(1)上記実施の形態では、弾性部材234Y〜234Kが中間転写ベルト11のY軸方向における各端部を、それぞれ感光体ドラム31Y〜31Kの外周面に押し付ける構成となっていたが、これに限られない。
例えば、以下の式2を満足するように、弾性部材234Cの最大径d1を設定するとしてもよい。
【0039】
[式2] d3+[Ld−(d3/2+d4/2+t)]×2≧d1>d3
これは、例えば、弾性部材234Y〜234Kが、図4のB部に示すように、中間転写ベルト11をそれぞれ感光体ドラム31Y〜31Kに押し付けられない状態であることを意味する。
このような構成であっても、中間転写ベルト11におけるY軸方向の両端部のばたつきを許容する空間容積が減少するため、ばたつきが生じたとしても、当該ばたつきの振れ幅が低減され、中間転写ベルト11にトナーを転写する際の濃度むらや画像抜けの発生を抑制することができる。
【0040】
(2)また、上記実施の形態では、中間転写ベルト11のY軸方向における両端が、弾性部材234Y〜234Kの最大径d1の部分よりも外側に位置していたがこれに限らず、中間転写ベルト11のY軸方向における両端部が、弾性部材234Y〜234Kと対向する位置にあれば、従来よりも中間転写ベルト11におけるY軸方向の両端部のばたつきを許容する空間容積が減少するため、中間転写ベルト11にトナーを転写する際の濃度むらや画像抜けの発生を抑制することができる。
【0041】
(3)また、上記実施の形態では、弾性部材234Y〜234Kは、絶縁性もしくは半導電性としたが、転写ローラ本体34aY〜34aKの外周面に絶縁性もしくは半導電性の材料をコーティングすることも考えられ、このような場合、弾性部材234Y〜234K自体が必ずしも絶縁性もしくは半導電性でなくてもよい。
(4)また、上記実施の形態では、弾性部材234Y〜234Kは、円錐台状の筒体であるとしたが、これに限られない。
【0042】
図5は、例えば、弾性部材234Cの形状に関する変形例を示す図である。
同図5では、転写ローラ本体34aCのY方向側の形状を示し、Y’方向側の形状は、Y方向側の形状と対称であるため描画を省略する。
図5に示すように、コロ235C側の外径が略一定の円筒部434aCを有する弾性部材434Cを、弾性部材234Cに代えて用いてもよい。
【0043】
この構成では、同図に示すように、中間転写ベルト11の両端部が感光体ドラム31Cに押し付けられる面積が、弾性部材234Cよりも拡大するので、より確実に中間転写ベルト11のY軸方向両端におけるばたつきの発生を抑制することができる。
もしくは、図6に示すように、弾性部材234Cを単なる円筒状の弾性部材444Cとしてもよい。
【0044】
この場合も、中間転写ベルト11の両端部が感光体ドラム31Cに押し付けられる面積が、弾性部材234Cよりも拡大するので、より確実に中間転写ベルト11のばたつきの発生を抑制することができる。
但し、この構成では、d2>d3となり、弾性部材444Cの転写領域34fC寄りの端部付近で、中間転写ベルト11が転写ローラ本体34aCから離れてしまう部分445Cが生じ、転写領域34fCにおいて、感光体ドラム31Cと中間転写ベルト11との間の電界強度が一様でなくなるため、濃度むらに対する効果は、上記実施の形態に比べて若干劣る。
【0045】
(5)また、上記実施の形態では、例えば、コロ235Cを、感光体ドラム31Cの外周の両端部に押し当てて、感光体ドラム31Cと転写ローラ34Cとの相対的な位置決めを行っていたが、これに限られない。
例えば、図2における転写ローラ保持部材133Yの下面133aYと感光体保持部材131Yの上部131aYとを当接させて、感光体ドラム31Yと転写ローラ34Yとの相対的な位置決めを行ってもよい。
【0046】
(6)なお、上記実施の形態では、タンデム型のカラープリンタについて説明したが、本発明は、これに限らず、感光体ドラムから転写ベルトにトナー像を転写する全ての画像形成装置に適用することができる。
また、上記実施の形態および上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、中間転写ベルトにトナー像を一端転写し、さらに、これを記録シートに転写する画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンタ
3 画像プロセス部
30Y,30M,30C,30K 作像部
4 給紙部
5 定着部
10 光学部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 現像器
34 転写ローラ
34aC 転写ローラ本体
34bC 第1小径部
34dC 第2小径部
34cC テーパ部
34f 転写領域
34g 非転写領
35 クリーナ
41 給紙カセット
42 ローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ対
45 二次転写ローラ
46 二次転写位置
60 制御部
71 排出ローラ対
72 排出トレイ
131Y 感光体保持部材
131aY 上部
132 機枠
133Y 転写ローラ保持部材
133aY 下面
136Y 圧縮コイルばね
234C、434C、444C 弾性部材
235C コロ
434aC 円筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持回転体と転写ローラとの間にベルトが配されており、当該ベルトに前記転写ローラを接触させて、前記像担持回転体上のトナー像を前記ベルト表面に転写させる構成を有する画像形成装置であって、
前記転写ローラは、軸方向において、前記ベルトにトナー像が転写される領域に対応する転写領域と、当該転写領域の外側に位置する非転写領域とを有しており、
前記非転写領域の前記ベルトと対向する位置に、外径が転写領域の外径よりも大きい部分を有する弾性体が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記弾性体は、前記ベルトを前記像担持回転体に押し付けていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記弾性体は、第1の外径d1を有する第1の部分と、当該d1以下の外径d2を有する第2の部分とを有し、第2の部分が第1の部分よりも、前記転写ローラの軸方向における中央寄りに存しており、
前記像担持回転体および前記転写ローラの互いの軸同士の離間距離をLとし、
前記転写ローラの前記転写領域における外径をd3とし、
前記像担持回転体の外径をd4とし、
前記ベルトの厚みをtとしたとき、
d1>d3+[L−(d3/2+d4/2+t)]×2
d2≧d3
の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記弾性体は、体積抵抗率が1×10[Ω・m]以上、1×10[Ω・m]以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記弾性体のアスカーC硬度は、15[°]以上、30[°]以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記弾性体は、筒状であって、前記転写ローラ本体の両端部に挿嵌されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−42650(P2012−42650A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182937(P2010−182937)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】