説明

画像形成装置

【課題】清掃手段が交換された後の板状清掃部材での捲れ発生を抑えながら、清掃手段の保守を容易にする。
【解決手段】像保持体1と、この像保持体1にトナー像を形成するトナー像形成手段2と、中間転写体3と、回転可能な転写部材4aを有し、中間転写体3に一時的に保持されたトナー像を記録材Pに転写させる転写手段4と、板状清掃部材5aにて転写部材4aを清掃する清掃手段5と、この清掃手段5が交換された状態又は交換を要する状態かを判別する状態判別手段6と、この状態判別手段6にて清掃手段5が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、トナー像形成手段2を用いて保守用トナー像TBを形成する保守用トナー像形成手段7と、保守用トナー像TBを、中間転写体3を介して中間転写体3と転写部材4aとの対向部位まで搬送し、転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位まで搬送する保守用トナー像搬送手段8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クリーニングブレードのエッジ捲れを防ぐため、アクリル系エマルジョン又はディスパージョンを含む水系溶媒に粉体潤滑剤を分散させた液を、クリーニングブレードの一部(端部)に塗布して乾燥させ、潤滑性塗膜を形成する方式が開示されている。
特許文献2には、転写ベルトを清掃するブレードの捲れ防止のために、感光体側に潤滑剤を付与し、感光体から転写ベルト側へ潤滑剤を移行させたり、転写ベルト側に潤滑剤を塗布する手段を設ける方式が開示されている。
特許文献3には、感光体ドラムのブレードに対し、早期にトナーダムを形成するため、ブレードに混合潤滑剤(粉体潤滑剤とトナーを混合したもの)を塗布することが開示されている。
特許文献4には、画像形成時以外の所定のタイミングで中間転写ベルト上にトナー像を形成し、クリーニングブレードに供給する方式が開示されている。
特許文献5には、中間転写ベルトを清掃するクリーニングブレードの捲れを防止するために、中間転写ベルト又はクリーニングブレードの少なくともいずれかが交換されたときに、中間転写ベルトに潤滑剤を塗布する構成が開示されている。
特許文献6には、ブレードの捲れを防ぐため、感光体のクリーナ、または、用紙搬送転写ベルトのクリーナに対して、装置の電源投入時にトナーバンドを供給してクリーニングさせる方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3112362号公報(発明の具体的な説明、図2)
【特許文献2】特開平8−278707号公報(実施例、図2、図12)
【特許文献3】特開2000−132020号公報(実施例1、図3)
【特許文献4】特開2001−282010号公報(実施例1、図1)
【特許文献5】特開2004−157532号公報(実施例3)
【特許文献6】特開平5−257360号公報(実施例1、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、中間転写体上のトナー像を転写する転写部材に設けられた板状清掃部材を有する清掃手段又は中間転写体に設けられた板状清掃部材を有する清掃手段に対し、清掃手段が交換された後の板状清掃部材での捲れ発生を抑えながら、清掃手段の保守を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、トナー像を保持する像保持体と、この像保持体に対してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像保持体に対向して回転可能に配置され且つ前記像保持体上に形成されたトナー像が一時的に保持される中間転写体と、回転可能な転写部材を有し、この転写部材と前記中間転写体との間で前記転写部材側にトナーが吸引される方向の転写電界を作用させた条件で前記中間転写体に一時的に保持されたトナー像を記録材に転写させる転写手段と、前記転写部材に対し当該転写部材の回転方向に抗する方向から接触する弾性変形可能な板状清掃部材を有し、この板状清掃部材にて前記転写部材を清掃する清掃手段と、この清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であるか否かを判別する状態判別手段と、この状態判別手段にて前記清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、前記トナー像形成手段を用いて前記像保持体上に前記清掃手段を保守するための保守用トナー像を形成する保守用トナー像形成手段と、この保守用トナー像形成手段にて形成された前記像保持体上の保守用トナー像を、前記中間転写体を介して当該中間転写体と前記転写部材との対向部位まで搬送し、記録材を介さずに転写部材に転写させ、当該転写部材と前記板状清掃部材との接触部位まで搬送する保守用トナー像搬送手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る画像形成装置のうち前記状態判別手段にて少なくとも清掃手段が交換された状態であると判別された態様において、前記転写手段は中間転写体に対して前記転写部材を接離するものであり、前記保守用トナー像搬送手段は、前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記転写部材を中間転写体から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と前記転写部材との対向部位又はその前後まで搬送し、前記転写部材を中間転写体に接触させて中間転写体上の保守用トナー像を前記転写部材に転写させ、前記転写部材と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る画像形成装置のうち前記状態判別手段にて少なくとも清掃手段が交換された状態であると判別された態様において、前記清掃手段は前記転写部材に対して前記板状清掃部材を接離するものであり、前記保守用トナー像搬送手段は、前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記板状清掃部材を前記転写部材から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と接触する前記転写部材に転写させ、当該転写部材上の保守用トナー像が前記転写部材と前記板状清掃部材との対向部位又はその前後に達した条件で前記板状清掃部材を前記転写部材に接触させて当該接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る画像形成装置のうち前記状態判別手段にて清掃手段が交換を要する状態であると判別された態様において、前記転写手段は中間転写体に対して前記転写部材を接離するものであり、前記保守用トナー像搬送手段は、前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記転写部材を前記中間転写体から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と前記転写部材との対向部位又はその前後まで搬送し、清掃手段が交換されたことを条件として、前記転写部材を前記中間転写体に接触させて当該中間転写体上の保守用トナー像を前記転写部材に転写させ、前記転写部材と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項5に係る発明は、トナー像を保持する像保持体と、この像保持体に対してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像保持体に対向して回転可能に配置され且つ前記像保持体上に形成されたトナー像が一時的に保持される中間転写体と、回転可能な転写部材を有し、この転写部材と前記中間転写体との間で前記転写部材側にトナーが吸引される方向の転写電界を作用させた条件で前記中間転写体に一時的に保持されたトナー像を記録材に転写させる転写手段と、この転写手段より中間転写体の回転方向における下流側に設けられ、弾性変形可能な板状清掃部材を有し、この板状清掃部材を前記中間転写体に対し当該中間転写体の回転方向に抗する方向で接触させて前記中間転写体を清掃する清掃手段と、この清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であるか否かを判別する状態判別手段と、この状態判別手段にて前記清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、前記トナー像形成手段を用いて前記像保持体上に前記清掃手段を保守するための保守用トナー像を形成する保守用トナー像形成手段と、この保守用トナー像形成手段にて形成された前記像保持体上の保守用トナー像を、前記中間転写体を介して記録材へ転写させることなく、前記中間転写体と前記板状清掃部材との接触部位まで搬送する保守用トナー像搬送手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る画像形成装置のうち前記状態判別手段にて清掃手段が交換された状態であると判別された態様において、前記清掃手段は前記中間転写体に対して前記板状清掃部材を接離するものであり、前記保守用トナー像搬送手段は、前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記板状清掃部材を前記中間転写体から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像が当該中間転写体と前記板状清掃部材との対向部位又はその前後に達した条件で前記板状清掃部材を前記中間転写体に接触させ、前記中間転写体と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に係る発明は、請求項5に係る画像形成装置のうち前記状態判別手段にて清掃手段が交換を要する状態であると判別された態様において、前記保守用トナー像搬送手段は、前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記板状清掃部材を前記中間転写体から離間させた状態で、前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と前記板状清掃部材との対向部位又はその前後まで搬送し、清掃手段が交換された後、前記板状清掃部材を前記中間転写体に接触させ、前記中間転写体と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれかに係る画像形成装置において、前記保守用トナー像形成手段は、前記中間転写体の回転方向における記録材への少なくとも最大画像形成領域を超える領域に前記保守用トナー像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、中間転写体上のトナー像を転写する転写部材に設けられた板状清掃部材を有する清掃手段に対し、清掃手段が交換された後の板状清掃部材での捲れ発生を抑えながら、清掃手段の保守を容易にすることができる。
請求項2に係る発明によれば、板状清掃部材が接触した状態の転写部材を中間転写体に対して接離させる態様の画像形成装置に対し、清掃手段交換後の板状清掃部材の捲れを抑えながら安定した清掃性能を発揮できる。
請求項3に係る発明によれば、転写部材は中間転写体に接触し且つ板状清掃部材が転写部材に対して接離する態様の画像形成装置に対し、清掃手段交換後の板状清掃部材の捲れを一層抑えながら安定した清掃性能を発揮できる。
請求項4に係る発明によれば、板状清掃部材が接触した状態の転写部材を中間転写体に対して接離させる態様の画像形成装置に対し、清掃手段交換後の板状清掃部材の捲れを抑えながら安定した清掃性能を発揮できる。
請求項5に係る発明によれば、中間転写体に設けられた板状清掃部材を有する清掃手段に対し、清掃手段が交換された後の板状清掃部材での捲れ発生を抑えながら、清掃手段の保守を容易にすることができる。
請求項6に係る発明によれば、板状清掃部材を中間転写体に対して接離させる態様の画像形成装置に対し、清掃手段交換後の板状清掃部材の捲れを一層抑えながら安定した清掃性能を発揮できる。
請求項7に係る発明によれば、中間転写体に板状清掃部材が接触する態様の画像形成装置に対し、清掃手段交換後の板状清掃部材の捲れを一層抑えながら安定した清掃性能を発揮できる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、少ない消費トナー量で板状清掃部材の捲れを有効に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の実施の形態モデルの概要を示す説明図である。
【図2】(a)及び(b)は異なる部位への保守用トナー像の供給を示す説明図である。
【図3】板状清掃部材が交換された後の状態を示す説明図で、(a)は保守用トナー像が供給されない場合の板状清掃部材の変化の様子、(b)は保守用トナー像が供給された場合の板状清掃部材の変化の様子を示す説明図である。
【図4】実施の形態1の画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図5】実施の形態1の画像形成装置の模式図である。
【図6】実施の形態1の制御装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図7】(a)〜(c)は実施の形態1の作用を示す説明図である。
【図8】トナーバンドの形成領域を示す説明図である。
【図9】実施の形態2の画像形成装置の模式図である。
【図10】実施の形態2の制御装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図11】(a)〜(c)は実施の形態2の作用を示す説明図である。
【図12】実施の形態3の制御装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図13】(a)〜(c)は実施の形態3の作用を示す説明図である。
【図14】実施の形態4の画像形成装置の模式図である。
【図15】実施の形態4の制御装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図16】(a)〜(c)は実施の形態4の作用を示す説明図である。
【図17】実施の形態5の制御装置の制御フローを示すフローチャートである。
【図18】(a)〜(c)は実施の形態5の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1は、本発明を具現化する画像形成装置の実施の形態モデルの概要を示し、図2(a)はその要部拡大を示すものである。
本発明に係る画像形成装置は、トナー像を保持する像保持体1と、この像保持体1に対してトナー像を形成するトナー像形成手段2と、像保持体1に対向して回転可能に配置され且つ像保持体1上に形成されたトナー像が一時的に保持される中間転写体3と、回転可能な転写部材4aを有し、この転写部材4aと中間転写体3との間で転写部材4a側にトナーが吸引される方向の転写電界を作用させた条件で中間転写体3に一時的に保持されたトナー像を記録材Pに転写させる転写手段4と、転写部材4aに対し転写部材4aの回転方向に抗する方向から接触する弾性変形可能な板状清掃部材5aを有し、この板状清掃部材5aにて転写部材4aを清掃する清掃手段5と、この清掃手段5が交換された状態又は交換を要する状態であるか否かを判別する状態判別手段6と、この状態判別手段6にて清掃手段5が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、トナー像形成手段2を用いて像保持体1上に清掃手段5を保守するための保守用トナー像TBを形成する保守用トナー像形成手段7と、この保守用トナー像形成手段7にて形成された像保持体1上の保守用トナー像TBを、中間転写体3を介して中間転写体3と転写部材4aとの対向部位まで搬送し、記録材Pを介さずに転写部材4aに転写させ、転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位まで搬送する保守用トナー像搬送手段8と、を備えている。
【0012】
ここで、トナー像形成手段2にて形成されるトナー像のうち、保守用トナー像TB以外には、主として記録材Pへ記録することを目的としたトナー像の他、例えば各種プロセス制御に用いられるトナー像も含まれる。また、保守用トナー像TBは、その形状や濃度等は適宜選定してよいが、板状清掃部材5aと転写部材4aとの接触部位に供給されるトナー像を意味し、板状清掃部材5aの潤滑性を向上させる目的に使用される。
【0013】
そして、中間転写体3は、ベルト状であってもよいし、ドラム状であっても差し支えない。また、転写部材4aは、ロール状、ベルト状を問わず、板状清掃部材5aが転写部材4a上を清掃できる構成であればよい。
【0014】
また、状態判別手段6は、清掃手段5が交換された状態であるか否か又は交換を要する状態であるか否かを判別するものであり、清掃手段5が交換対象であればよい。この清掃手段5の交換とは、清掃手段5を構成する一要素(主として板状清掃部材5a)を交換する場合を含む。また、転写手段4も合わせて交換されるものであってもよい。
【0015】
そして、状態判別手段6による「清掃手段5が交換された状態」とは、保守等のために清掃手段5が交換され、そのまま例えば記録材Pに記録するためのトナー像が形成されていないままの状態を意味する。また、清掃手段5が交換された状態であるとの判別は、例えば交換した場合に操作者が該当するスイッチを操作するか、清掃手段5の配置部位に検知器を設け、この検知器によって交換されたことを判別するようにすればよい。
【0016】
更に、状態判別手段6による「清掃手段5が交換を要する状態」とは、経時等により清掃手段5の交換が必要となり、以降例えば記録材Pに記録するためのトナー像が形成されていないままの状態を意味する。また、清掃手段5が交換を要する状態であるとの判別は、例えば経時等により交換要請を操作盤等にて表示し、操作者が交換する旨の意思を例えばスイッチ等で指示することで判別するようにすればよい。
【0017】
更に、保守用トナー像形成手段7は、状態判別手段6にて清掃手段5が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、トナー像形成手段2を用いて像保持体1上に保守用トナー像TBを形成するものである。
そして、保守用トナー像搬送手段8は、図2(a)にも示すように、保守用トナー像形成手段7にて形成された像保持体1上の保守用トナー像TBを、中間転写体3を介してこの中間転写体3と転写部材4aとの対向部位まで搬送し、記録材Pを介さずに転写部材4aに転写させ、転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位まで搬送するようにしたものである。
【0018】
そして、このような態様の中で好適な態様としては、次の三態様が挙げられる。
第一の態様としては、状態判別手段6にて少なくとも清掃手段5が交換された状態であると判別された態様において、転写手段4は中間転写体3に対して転写部材4aを接離するものであり、保守用トナー像搬送手段8は、中間転写体3に像保持体1上の保守用トナー像TBを転写させ、転写部材4aを中間転写体3から離間させた状態で中間転写体3上の保守用トナー像TBを中間転写体3と転写部材4aとの対向部位又はその前後まで搬送し、転写部材4aを中間転写体3に接触させて中間転写体3上の保守用トナー像TBを転写部材4aに転写させ、転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位まで保守用トナー像TBを搬送する態様が挙げられる。
【0019】
ここで、中間転写体3と転写部材4aとの「対向部位又はその前後」とは、好適には、保守用トナー像TBの位置は両者が接触した時の接触部位に相当する対向部位であればよいが、例えばそれより前後であっても差し支えないことを意味し、中でも、下流側が好ましい。更に、「対向部位又はその前後」の「前後」とは、保守用トナー像TBの先頭位置を指し、板状清掃部材5aの捲れを防ぐような対向部位に近い位置を意味することは言うまでもない。尚、以下、「対向部位又はその前後」の意味は同様の意味を指すため、省略する。
【0020】
また、第二の態様としては、状態判別手段6にて少なくとも清掃手段5が交換された状態であると判別された態様において、清掃手段5は転写部材4aに対して板状清掃部材5aを接離するものであり、保守用トナー像搬送手段8は、中間転写体3に像保持体1上の保守用トナー像TBを転写させ、板状清掃部材5aを転写部材4aから離間させた状態で中間転写体3上の保守用トナー像TBを中間転写体3と接触する転写部材4aに転写させ、転写部材4a上の保守用トナー像TBが転写部材4aと板状清掃部材5aとの対向部位又はその前後に達した条件で板状清掃部材5aを転写部材4aに接触させて当該接触部位まで保守用トナー像TBを搬送する態様が挙げられる。
【0021】
更に、第三の態様としては、状態判別手段6にて清掃手段5が交換を要する状態であると判別された態様において、転写手段4は中間転写体3に対して転写部材4aを接離するものであり、保守用トナー像搬送手段8は、中間転写体3に像保持体1上の保守用トナー像TBを転写させ、転写部材4aを中間転写体3から離間させた状態で中間転写体3上の保守用トナー像TBを中間転写体3と転写部材4aとの対向部位又はその前後まで搬送し、清掃手段5が交換されたことを条件として、転写部材4aを中間転写体3に接触させて中間転写体3上の保守用トナー像TBを転写部材4aに転写させ、転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位まで保守用トナー像TBを搬送する態様が挙げられる。
【0022】
次に、転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位に保守用トナー像TBを供給する理由について説明する。
例えば、板状清掃部材5aが新品のものと交換された場合を想定すると、交換当初は、図3(a)の左図に示すように、板状清掃部材5aは転写部材4aの回転方向に抗する方向で転写部材4aに接触しているが、板状清掃部材5aの交換直後では転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位に潤滑剤がなくてもこの状態が維持される。
【0023】
通常、板状清掃部材5aが使用中には、転写部材4aと板状清掃部材5aとの間には、清掃時にトナーの添加剤やトナー自体によって潤滑性が付与され続けることで、板状清掃部材5aの捲れが抑えられ、清掃性能も確保される。しかしながら、このような潤滑剤が供給されずに使用が続けられると、板状清掃部材5aの転写部材4aに対する摩擦力が徐々に影響し、結果的に、図3(a)の右図に示すように、板状清掃部材5aの両端側(転写部材4aの軸方向に沿った方向の両端側)から捲れるようになる。このように板状清掃部材5aで捲れが生じると、清掃性能が大きく低下し、十分な清掃ができなくなる。
【0024】
このような懸念を解消しようと、新品の板状清掃部材5a側に潤滑剤を付着させた構成のものが知られているが、交換部品としての板状清掃部材5aの保管期間の問題等もあり、交換時の十分な潤滑性能を維持することは困難である。
一方、潤滑剤が多く存在すると、却って清掃性能が低下したり、記録材Pへの画像影響も懸念される。そのため、適量の潤滑剤を供給することが望まれる。
【0025】
本発明は、このような点を鑑みて案出されたものであり、潤滑剤の代わりに、保守用トナー像TBを形成し、図3(b)に示すように、この形成された保守用トナー像TBを転写部材4aと板状清掃部材5aとの接触部位まで搬送することで、搬送されたトナーが板状清掃部材5aに新たな潤滑性を付与することになり、転写部材4aに対する板状清掃部材5aの摩擦力も低減され、板状清掃部材5aでの潤滑性が長期に亘って持続し、板状清掃部材5aの捲れが抑えられるようになる。
そして、保守用トナー像TBは、通常の記録材Pに形成するトナー像と同様に形成されるため、その使用するトナー量や像の形状も調整が容易であり、その分、板状清掃部材5aでの安定した潤滑性能が確保されると共に清掃性能も安定化する。
【0026】
そして、本発明に関連する他の発明としては、図1並びに図2(b)に示すように、中間転写体3に用いられた清掃手段9に関連するものである。
すなわち、トナー像を保持する像保持体1と、この像保持体1に対してトナー像を形成するトナー像形成手段2と、像保持体1に対向して回転可能に配置され且つ像保持体1上に形成されたトナー像が一時的に保持される中間転写体3と、回転可能な転写部材4aを有し、この転写部材4aと中間転写体3との間で転写部材4a側にトナーが吸引される方向の転写電界を作用させた条件で中間転写体3に一時的に保持されたトナー像を記録材Pに転写させる転写手段4と、この転写手段4より中間転写体3の回転方向における下流側に設けられ、弾性変形可能な板状清掃部材9aを有し、この板状清掃部材9aを中間転写体3に対し中間転写体3の回転方向に抗する方向で接触させて中間転写体3を清掃する清掃手段9と、この清掃手段9が交換された状態又は交換を要する状態であるか否かを判別する状態判別手段6と、この状態判別手段6にて清掃手段9が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、トナー像形成手段2を用いて像保持体1上に清掃手段9を保守するための保守用トナー像TBを形成する保守用トナー像形成手段7と、この保守用トナー像形成手段7にて形成された像保持体1上の保守用トナー像TBを、中間転写体3を介して記録材Pへ転写させることなく、中間転写体3と板状清掃部材9aとの接触部位まで搬送する保守用トナー像搬送手段8と、を備えている。
【0027】
このような他の発明での好適な態様として次の二態様が挙げられる。
第一の態様としては、状態判別手段6にて清掃手段9が交換された状態であると判別された態様において、清掃手段9は中間転写体3に対して板状清掃部材9aを接離するものであり、保守用トナー像搬送手段8は、中間転写体3に像保持体1上の保守用トナー像TBを転写させ、板状清掃部材9aを中間転写体3から離間させた状態で中間転写体3上の保守用トナー像TBが中間転写体3と板状清掃部材9aとの対向部位又はその前後に達した条件で板状清掃部材9aを中間転写体3に接触させ、中間転写体3と板状清掃部材9aとの接触部位まで保守用トナー像TBを搬送する態様が挙げられる。
【0028】
また、第二の態様としては、状態判別手段6にて清掃手段9が交換を要する状態であると判別された態様において、保守用トナー像搬送手段8は、中間転写体3に像保持体1上の保守用トナー像TBを転写させ、板状清掃部材9aを中間転写体3から離間させた状態で、中間転写体3上の保守用トナー像TBを中間転写体3と板状清掃部材9aとの対向部位又はその前後まで搬送し、清掃手段9が交換された後、板状清掃部材9aを中間転写体3に接触させ、中間転写体3と板状清掃部材9aとの接触部位まで保守用トナー像TBを搬送する態様が挙げられる。
【0029】
本態様においては、清掃手段9は、中間転写体3に対して板状清掃部材9aを接離するものであってもよいし、接離しないものであってもよい。そのため、本態様にあっては、清掃手段9の交換は、板状清掃部材9aが中間転写体3に接触している状態と、板状清掃部材9aが中間転写体3から離間している状態の二通りがある。そして、清掃手段9が交換された後、板状清掃部材9aが中間転写体3に接触させたり、あるいは、交換時に中間転写体3に接触させるようにする。尚、後者にあっては、清掃手段9交換時に中間転写体3上の保守用トナー像TBに注意して作業する必要がある。
【0030】
そして、以上のような画像形成装置において、消費トナー量を低減する観点から、保守用トナー像形成手段7は、中間転写体3の回転軸方向における記録材Pへの最大画像形成領域を超える領域に保守用トナー像TBを形成することが好ましい。
【0031】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図4は一例として本発明が適用された実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【0032】
本実施の形態の画像形成装置は、トナー像を形成して保持する像保持体を含む例えば四つの作像エンジン10(10a〜10d)を直線状に設け、これらの作像エンジン10に対向して、作像エンジン10から転写されたトナー像が一時的に保持されるベルト状の中間転写体20を配置した構成のものである。
【0033】
各作像エンジン10(10a〜10d)は、各色トナー(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を除いては、略同様の構成のため、ここでは、一つの作像エンジン10a(10)について説明する。
本実施の形態の作像エンジン10は、トナー像を形成して保持する像保持体としての感光体ドラム11を有し、この感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電する例えばコロナ帯電器からなる帯電器12、帯電された感光体ドラム11上に画像情報に基づく潜像を書き込む例えばレーザ走査装置からなる露光器13、感光体ドラム11上に形成された潜像を顕像化するために収容された各色トナーにて現像する現像器14、感光体ドラム11に対し中間転写体20を挟んで対向する位置に配置されて感光体ドラム11上の現像されたトナー像を中間転写体20上に一次転写する一次転写器15、転写後の感光体ドラム11上の残留トナーを清掃するドラムクリーナ16等が設けられている。
【0034】
また、中間転写体20は、本例では四つの張架ロール21〜24に張架され、例えば張架ロール21を駆動ロール、張架ロール23をテンションロールとして回転する。また、中間転写体20上の残留トナーを清掃するために、張架ロール21に対向する位置にベルトクリーナ25が設けられている。
【0035】
そして、本実施の形態では、張架ロール24と中間転写体20を挟んで対向する位置に中間転写体20上のトナー像を記録材40上に一括転写(二次転写)する二次転写装置30が設けられている。本実施の形態の二次転写装置30は、転写手段と清掃手段とが一緒になった構成のもので、少なくとも転写時に中間転写体20に接触する回転可能な転写ロール31と、この転写ロール31の回転方向に抗する方向で転写ロール31に接触させて転写ロール31上を清掃する弾性変形可能な板状清掃部材を有する清掃手段としての転写クリーナ32等で構成される。
また、本実施の形態の二次転写装置30は、張架ロール24をバックアップロールとして、このバックアップロールと転写ロール31との間に図示外の転写用電源による転写バイアスが印加されることで中間転写体20上のトナー像が転写ロール31側に向かって転写される。
【0036】
そして、二次転写装置30の記録材搬送方向における上流側には、図示外の記録材供給部から搬送された記録材40を、位置決めした後予め決められたタイミングで、中間転写体20と二次転写装置30との間の二次転写部位に向かって搬送するレジストロール41と、二次転写部位にてトナー像が転写された記録材40を未定着トナー像面が表側とした状態で搬送する搬送ベルト42と、この搬送ベルト42で搬送された記録材40の未定着トナー像を定着する定着装置43等が設けられている。
【0037】
このような構成の画像形成装置では、各作像エンジン10(10a〜10d)によって例えば各色のトナー像が感光体ドラム11上に形成され、感光体ドラム11と一次転写器15との間の一次転写バイアスにて感光体ドラム11上のトナー像が中間転写体20上に順次一次転写され、中間転写体20上で多重化されたトナー像が二次転写部位で記録材40上に一括転写される。その後、定着装置43にて定着が行われた記録材40は、図示外の記録材排出部等に排出される。
【0038】
ここで、帯電器12としては、感光体ドラム11に非接触型の態様を示したが、例えば帯電ロールを用いた接触型であっても差し支えない。また、露光器13はレーザ走査装置の態様を示したが、例えばLEDを用いるようにしても差し支えない。更に、一次転写器15は中間転写体20に接触する接触型の態様を示したが、非接触型であってもよい。
【0039】
このような画像形成装置における本実施の形態の特徴点について説明する。図5は、本実施の形態の画像形成装置を模式的に示したもので、転写装置30の転写ロール31が転写クリーナ32と共に中間転写体20に対して接離できるように構成されている。
また、本実施の形態では、転写クリーナ32が交換された状態であるか否かを判別する状態判別手段としての状態判別部51を内部に備え、作像エンジン10による記録材へ記録するためのトナー像とは異なる保守用トナー像(以下トナーバンドTBと称す)を形成し、転写ロール31と転写クリーナ32との接触部位までトナーバンドTBを搬送するように制御する制御装置50が設けられている。
【0040】
次に、このような制御装置50における制御フローを図6に示す。
先ず、転写クリーナ32が交換された状態であるか否かの判別が状態判別部51にて判別される(ステップS1)。転写クリーナ32が交換される際は、転写装置30は中間転写体20から離間した状態であり、転写クリーナ32の交換がなされると、例えば操作者が操作盤にて交換を実施したことを入力することで、状態判別部51は転写クリーナ32が交換された状態であると判別する。尚、交換された状態ではないと判別された場合には本実施の形態では、特に何もしない。
【0041】
交換された状態であると判別されると、記録材への用途としてのトナー像を形成する以前に、例えば一つの作像エンジン10aにより、トナーバンドTBを形成する(ステップS2)。トナーバンドTBとしては、予め決められたサイズ(長さ、幅、形状)や濃度を有するもので、中間転写体20上に転写され、中間転写体20の回転に伴って搬送される。そして、トナーバンドTBが中間転写体20と転写ロール31との対向部位(二次転写部位に相当)まで搬送し、転写装置30を移動させ、転写ロール31を中間転写体20に接触させると共に二次転写バイアスを印加する(ステップS3,S4)。そして、転写ロール31上のトナーバンドTBを転写クリーナ32にて清掃し終えた段階を待って終了する(ステップS5)。
【0042】
このような制御フローでの作用について図7(a)〜(c)を用いて説明する。
先ず、(a)に示すように、転写クリーナ32が交換されると、状態判別部51(図5参照)にて転写クリーナ32が交換された状態であると判別され、トナーバンドTBが作像エンジン10によって形成される。作像エンジン10によって形成されたトナーバンドTBが中間転写体20に一次転写され、中間転写体20の回転に伴って搬送される。ここで、トナーバンドTBが中間転写体20と転写ロール31との対向部位に達するまでは、転写ロール31は中間転写体20から離間した状態を保っている。
【0043】
トナーバンドTBが対向部位に達すると、(b)に示すように、転写装置30が中間転写体20側に移動し、転写ロール31が中間転写体20に接触する。このとき、転写ロール31と張架ロール24との間には二次転写バイアスによる転写電界が作用することで、中間転写体20上のトナーバンドTBは転写ロール31側に順次転写され、以降転写ロール31上に移行される。そして、(c)のように、転写ロール31の回転に伴ってトナーバンドTBはそのまま転写ロール31と転写クリーナ32との接触部位まで達し、転写クリーナ32によって順次清掃される。尚、転写ロール31に転写されなかったトナーバンドTBは、例えばベルトクリーナ25(図4参照)にて回収される。
【0044】
これにより、転写クリーナ32にはトナーバンドTBによるトナーが供給されることとなり、この供給されたトナーが潤滑剤となって転写クリーナ32の捲れが抑えられる。
本実施の形態では、少なくとも転写クリーナ32が交換されると、中間転写体20から転写ロール31側に転写されたトナーバンドTBが転写ロール31と転写クリーナ32との接触部位に達するまでは無潤滑の状態で転写クリーナ32が転写ロール31表面を擦るようになるが、この接触部位にトナーバンドTBが到達するまでの距離が短く、また、既に中間転写体20上にあるかぶりトナー等によりある程度の潤滑性が維持されることもあり、特に問題とはならない。仮に、転写ロール31も同時に交換される場合であっても、転写クリーナ32が転写ロール31表面を擦る時間が短いことから、転写クリーナ32の捲れに繋がる虞はない。
【0045】
更に、本実施の形態では、トナーバンドTBを作像エンジン10にて形成するため、形成されるトナーバンドTBの画像を自由に形成することが可能になる。そのため、転写クリーナ32に対し、供給するトナー量が適性に抑えられ、また、供給箇所の選択性も向上する。
【0046】
図8は、選択的な供給箇所としたトナーバンドTBの一例を示したもので、このときの転写ロール31及び転写クリーナ32の位置関係を表したものである。すなわち、中間転写体20の画像形成領域(記録材へのトナー像が形成される領域)より外側の領域で、転写クリーナ32の両端までの領域(図中TB形成領域にて示す領域)に選択的にトナーバンドTBを形成している。これにより、転写クリーナ32の捲れの起因となる両端部に有効に潤滑剤としてのトナーが供給される。また、このようなトナーバンドTBを採用することで、例えば転写クリーナ32の全幅に亘って供給するよりもトナー自体の消費量が低減され、更に、不要に多くのトナーが供給されることもなく、例えば供給量が多い場合に転写ロール31と転写クリーナ32との間で滑り易くなって却って清掃性能が低下するような事態が発生する虞も回避できる。
【0047】
そして、本実施の形態によれば、交換前の転写クリーナ32に事前に潤滑剤の処理がなされていても、トナーバンドTBを用いることに問題はなく、また、部品の保管状態についても注意を払う必要はなくなる。
【0048】
本実施の形態では、トナーバンドTBを作成するトナーとして、作像エンジン10aを例示したが、作像エンジン10としてはいずれであってもよいことは言うまでもない。また、複数の作像エンジン10を用いるようにしても差し支えない。
そして、本実施の形態では、中間転写体20に対向する転写ロール31に設けられた転写クリーナ32に対してトナーバンドTBを供給する態様を示したが、感光体ドラムに対向配置される一次転写器に対して、板状清掃部材を設けるような例えばモノクロ画像形成装置の適用に対しても同様に行うことも可能である。
【0049】
◎実施の形態2
図9は、実施の形態2の画像形成装置を模式的に示したものである。本実施の形態の画像形成装置は、実施の形態1と異なり、転写装置30の転写ロール31は中間転写体20に接触したままで、転写クリーナ32が転写ロール31に対して接離できるように構成されている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明は省略する。
【0050】
本実施の形態の制御装置50における制御フローは図10のようになっている。
先ず、転写クリーナ32が交換された状態であるか否かの判別が状態判別部51にて判別される(ステップS11)。転写クリーナ32が交換された状態と判別されると、記録材への用途としてのトナー像を形成する以前に、例えば一つの作像エンジン10aによってトナーバンドTBを形成する(ステップS12)。トナーバンドTBが二次転写部位に近づくまでの時間経過を待って、二次転写バイアスを印加し、中間転写体20側のトナーバンドTBを転写ロール31側に転写させる(ステップS13,14)。そして、転写ロール31上のトナーバンドTBが離間している転写クリーナ32との対向部位に達すると転写クリーナ32を転写ロール31に接触させ、転写クリーナ32にてトナーバンドTBを清掃し終えた段階を待って終了する(ステップS15〜17)。
【0051】
このような制御フローでの作用について図11(a)〜(c)を用いて説明する。
先ず、(a)に示すように、転写クリーナ32が交換されると、状態判別部51にて転写クリーナ32が交換された状態であると判別され、トナーバンドTBが作像エンジン10によって形成される。作像エンジン10によって形成されたトナーバンドTBが中間転写体20に一次転写され、中間転写体20の回転に伴って搬送される。
【0052】
次に、(b)に示すように、トナーバンドTBが中間転写体20と転写ロール31との接触部位に到達する前に二次転写バイアスを印加することで、トナーバンドTBは接触部位から転写ロール31側に順次転写され、そのまま転写ロール31の回転に伴って転写ロール31上を搬送される。
転写ロール31上を搬送されたトナーバンドTBの先端位置が転写クリーナ32との対向部位に達すると、(c)に示すように、離間していた転写クリーナ32が転写ロール31に接触する。これにより、転写ロール31と転写クリーナ32との接触部位にトナーバンドTBによるトナーが供給される。
【0053】
本実施の形態では、転写ロール31と転写クリーナ32とが接触する際には、転写クリーナ32の先端位置がトナーバンドTBの範囲に接触させることも可能で、この場合、トナーバンドTBが供給された状態で転写クリーナ32を転写ロール31に接触させるようになり、その分、潤滑性が早期に確保される。
【0054】
◎実施の形態3
実施の形態1,2では転写クリーナ32が交換された状態であるか否かの判別をしたものであるのに対し、本実施の形態は、転写クリーナ32の交換を要する場合の処理に特徴を有するものである。尚、本実施の形態の画像形成装置を模式的に示すと、図5と同等のため、ここでは省略する。
【0055】
本実施の形態の制御装置50における制御フローは図12のようになっている。
先ず、転写クリーナ32が交換を要する状態であるか否かの判別が状態判別部51にて判別される(ステップS21)。このような判別は、具体的な交換作業を行う直前に行ってもよいし、例えば経時変化等で交換要請があったとしてもジョブの終了時点まではそのまま継続させるようにしても差し支えない。
【0056】
そして、交換を要する状態と判別されると、記録材への用途としてのトナー像を形成する以前に、中間転写体20と転写ロール31とが離間した状態でトナーバンドTBを形成し、このトナーバンドTBが中間転写体20と転写ロール31との対向部位に達するまで中間転写体20を回転させる(ステップS22,23)。
【0057】
そして、転写クリーナ32が交換された後、中間転写体20を回転させると共に転写ロール31を中間転写体20に接触させて、二次転写バイアスを印加し、転写クリーナ32にてトナーバンドTBを清掃し終えた段階を待って終了する(ステップS24〜26)。
【0058】
このような制御フローでの作用について図13(a)〜(c)を用いて説明する。
状態判別部51にて転写クリーナ32が交換を要する状態であると判別されると、転写装置30が中間転写体20から離間した状態でトナーバンドTBが作像エンジン10によって形成される。作像エンジン10によって形成されたトナーバンドTBは、中間転写体20に一次転写された後、中間転写体20の回転に伴って搬送され、(a)に示すように、中間転写体20と転写ロール31との対向部位にトナーバンドTBの先頭位置が位置するようにして停止する(図では、トナーバンドTBの先頭位置が対向部位より下流側に位置している例を示す)。
【0059】
その状態で、転写クリーナ32の交換が行われる。転写クリーナ32の交換後には、転写装置30を中間転写体20側へ移動させ、(b)に示すように、転写ロール31を中間転写体20に接触させると共に、回転させ、更に、二次転写バイアスを印加する。
これにより、中間転写体20上のトナーバンドTBは転写ロール31側に順次転写され、転写ロール31の回転に伴って搬送される。そして、(c)に示すように、転写ロール31と転写クリーナ32との接触部位にトナーバンドTBによるトナーが供給される。
【0060】
本実施の形態においても、転写クリーナ32にトナーが供給されることで、転写クリーナ32での潤滑性が保たれる。また、実施の形態1と同様、転写ロール31と転写クリーナ32との接触部位にトナーバンドTBが到達するまでの時間が多少あるが、これも転写クリーナ32の捲れを生じる虞がないことは言うまでもない。
そして、本実施の形態では、(c)に示すように、中間転写体20に残ったトナーバンドTBは、ベルトクリーナ25(図4参照)にて清掃すればよい。
【0061】
◎実施の形態4
本実施の形態は、これまでの実施の形態1〜3と異なり、板状清掃部材を有する清掃手段が中間転写体20に適用され、この清掃手段の交換に対して中間転写体20と板状清掃部材との接触部位にトナーバンドTBを供給するようにした構成のものである。
【0062】
図14は、本実施の形態の画像形成装置を模式的に示したもので、板状清掃部材を有する清掃手段としてのベルトクリーナ25が中間転写体20に対して接離できるように構成されている。尚、実施の形態1と同様の構成要素には同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
本実施の形態の制御装置50は、ベルトクリーナ25が交換された状態であるか否かを判別する状態判別部51を内部に備え、作像エンジン10を用いてトナーバンドTBを形成し、中間転写体20にてトナーバンドTBを中間転写体20とベルトクリーナ25との接触部位に供給するように制御するものである。
【0064】
本実施の形態の制御装置50における制御フローは図15のようになっている。
先ず、ベルトクリーナ25が交換された状態であるか否かの判別が状態判別部51にて判別される(ステップS31)。交換された状態と判別されると、記録材への用途としてのトナー像を形成する以前に、例えば一つの作像エンジン10aにより、トナーバンドTBを形成する(ステップS32)。トナーバンドTBが中間転写体20とベルトクリーナ25との対向部位に達すると、ベルトクリーナ25を中間転写体20へ接触させ、ベルトクリーナ25にて中間転写体20上のトナーバンドTBを清掃して終了する(ステップS33〜35)。
【0065】
このような制御フローでの作用について図16(a)〜(c)を用いて説明する。
先ず、(a)に示すように、ベルトクリーナ25が交換されると、状態判別部51にてベルトクリーナ25が交換された状態であると判別され、トナーバンドTBが作像エンジン10によって形成される。作像エンジン10によって形成されたトナーバンドTBが中間転写体20に一次転写され、中間転写体20の回転に伴って搬送される。
【0066】
次に、(b)に示すように、トナーバンドTBが中間転写体20とベルトクリーナ25との対向部位に達すると、(c)に示すように、中間転写体20から離間していたベルトクリーナ25が中間転写体20に接触する。これにより、中間転写体20とベルトクリーナ25との接触部位にトナーバンドTBによるトナーが供給される。
【0067】
これにより、ベルトクリーナ25が交換されても、その交換されたベルトクリーナ25に潤滑剤としてのトナーを供給することで、ベルトクリーナ25の捲れが抑えられる。
尚、トナーバンドTBの先頭部位がベルトクリーナ25にて清掃されない事態に際しても、例えば清掃されなかったトナーバンドTBが作像エンジン10へ到達する前にトナーの帯電極性を変える方向の電界をトナーバンドTBに作用させ、作像エンジン10に逆転写させて回収するようにしてもよいし、そのまま、作像エンジン10の一次転写器15に逆転写バイアスを作用させることで作像エンジン10に回収するようにしてもよい。あるいは、そのまま中間転写体20を回転させ、ベルトクリーナ25にて清掃するようにしてもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、ベルトクリーナ25に対するトナーバンドTBの供給について説明したが、例えば、本実施の形態に実施の形態1〜3の態様を組み合わせるようにしても差し支えなく、例えば、転写クリーナ及びベルトクリーナの双方に対してトナーバンドTBを夫々供給するようにしてもよい。
【0069】
◎実施の形態5
本実施の形態は、実施の形態4でベルトクリーナ25が交換された状態であるか否かの判別をしたものであるのに対し、ベルトクリーナ25が交換を要するか否かの判別をした場合の処理に特徴を有するものである。尚、本実施の形態の画像形成装置を模式的に示すと、図14と同等のため、ここでは省略する。
【0070】
本実施の形態の制御装置50における制御フローは図17のようになっている。
先ず、ベルトクリーナ25が交換を要する状態であるか否かの判別が状態判別部51にて判別される(ステップS41)。このような判別については、具体的な交換作業を行う直前に行ってもよいし、例えば経時変化等で交換要請があったとしてもジョブの終了時点まではそのまま継続させるようにしても差し支えない。
【0071】
そして、交換を要する状態であると判別されると、記録材への用途としてのトナー像を形成する以前に、中間転写体20とベルトクリーナ25とが離間した状態でトナーバンドTBを形成し、このトナーバンドTBが中間転写体20とベルトクリーナ25との対向部位に達するまで中間転写体20を回転させて停止する(ステップS42,43)。
【0072】
そして、ベルトクリーナ25を実際に交換し、交換後は、ベルトクリーナ25を中間転写体20に接触させ、中間転写体20を回転させて、ベルトクリーナ25にてトナーバンドTBを清掃し終えた段階を待って終了する(ステップS44〜46)。
【0073】
このような制御フローでの作用について図18(a)〜(c)を用いて説明する。
状態判別部51にてベルトクリーナ25が交換を要する状態であると判別されると、交換前のベルトクリーナ25が中間転写体20から離間した状態でトナーバンドTBが作像エンジン10によって形成される。作像エンジン10によって形成されたトナーバンドTBは、中間転写体20に一次転写された後、中間転写体20の回転に伴って搬送され、(a)に示すように、中間転写体20とベルトクリーナ25との対向部位にトナーバンドTBの先頭位置が位置するようにして停止させる。
【0074】
この状態で、実際にベルトクリーナ25の交換が行われる。ベルトクリーナ25の交換後には、(b)に示すように、ベルトクリーナ25を中間転写体20に接触させると共に、中間転写体20を回転させる。
これにより、(c)に示すように、中間転写体20上のトナーバンドTBはベルトクリーナ25によって清掃され、中間転写体20とベルトクリーナ25との接触部位にトナーバンドTBによるトナーが供給される。
【0075】
尚、トナーバンドTBの先頭部位がベルトクリーナ25にて清掃されない事態に際しても、実施の形態4と同様に行えばよい。
【0076】
本実施の形態では、ベルトクリーナ25が中間転写体20に対し接離する構成のものを示したが、接離しない構成のものであっても差し支えない。この場合、ベルトクリーナ25交換前には、トナーバンドTBが交換前のベルトクリーナ25に接触する位置まで搬送されている方がよい。尚、このようにベルトクリーナ25が中間転写体20に対して接離しない態様にあっては、装置の初期において、ベルトクリーナ25が捲れないような工夫がなされていることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
1…像保持体,2…トナー像形成手段,3…中間転写体,4…転写手段,4a…転写部材,5…清掃手段,5a…板状清掃部材,6…状態判別手段,7…保守用トナー像形成手段,8…保守用トナー像搬送手段,9…清掃手段,9a…板状清掃部材,P…記録材,TB…保守用トナー像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持する像保持体と、
この像保持体に対してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像保持体に対向して回転可能に配置され且つ前記像保持体上に形成されたトナー像が一時的に保持される中間転写体と、
回転可能な転写部材を有し、この転写部材と前記中間転写体との間で前記転写部材側にトナーが吸引される方向の転写電界を作用させた条件で前記中間転写体に一時的に保持されたトナー像を記録材に転写させる転写手段と、
前記転写部材に対し当該転写部材の回転方向に抗する方向から接触する弾性変形可能な板状清掃部材を有し、この板状清掃部材にて前記転写部材を清掃する清掃手段と、
この清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であるか否かを判別する状態判別手段と、
この状態判別手段にて前記清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、前記トナー像形成手段を用いて前記像保持体上に前記清掃手段を保守するための保守用トナー像を形成する保守用トナー像形成手段と、
この保守用トナー像形成手段にて形成された前記像保持体上の保守用トナー像を、前記中間転写体を介して当該中間転写体と前記転写部材との対向部位まで搬送し、記録材を介さずに転写部材に転写させ、当該転写部材と前記板状清掃部材との接触部位まで搬送する保守用トナー像搬送手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置のうち前記状態判別手段にて少なくとも清掃手段が交換された状態であると判別された態様において、
前記転写手段は中間転写体に対して前記転写部材を接離するものであり、
前記保守用トナー像搬送手段は、
前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記転写部材を中間転写体から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と前記転写部材との対向部位又はその前後まで搬送し、前記転写部材を中間転写体に接触させて中間転写体上の保守用トナー像を前記転写部材に転写させ、前記転写部材と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置のうち前記状態判別手段にて少なくとも清掃手段が交換された状態であると判別された態様において、
前記清掃手段は前記転写部材に対して前記板状清掃部材を接離するものであり、
前記保守用トナー像搬送手段は、
前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記板状清掃部材を前記転写部材から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と接触する前記転写部材に転写させ、当該転写部材上の保守用トナー像が前記転写部材と前記板状清掃部材との対向部位又はその前後に達した条件で前記板状清掃部材を前記転写部材に接触させて当該接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置のうち前記状態判別手段にて清掃手段が交換を要する状態であると判別された態様において、
前記転写手段は中間転写体に対して前記転写部材を接離するものであり、
前記保守用トナー像搬送手段は、
前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記転写部材を前記中間転写体から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と前記転写部材との対向部位又はその前後まで搬送し、清掃手段が交換されたことを条件として、前記転写部材を前記中間転写体に接触させて当該中間転写体上の保守用トナー像を前記転写部材に転写させ、前記転写部材と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を保持する像保持体と、
この像保持体に対してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像保持体に対向して回転可能に配置され且つ前記像保持体上に形成されたトナー像が一時的に保持される中間転写体と、
回転可能な転写部材を有し、この転写部材と前記中間転写体との間で前記転写部材側にトナーが吸引される方向の転写電界を作用させた条件で前記中間転写体に一時的に保持されたトナー像を記録材に転写させる転写手段と、
この転写手段より中間転写体の回転方向における下流側に設けられ、弾性変形可能な板状清掃部材を有し、この板状清掃部材を前記中間転写体に対し当該中間転写体の回転方向に抗する方向で接触させて前記中間転写体を清掃する清掃手段と、
この清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であるか否かを判別する状態判別手段と、
この状態判別手段にて前記清掃手段が交換された状態又は交換を要する状態であると判別された場合に、前記トナー像形成手段を用いて前記像保持体上に前記清掃手段を保守するための保守用トナー像を形成する保守用トナー像形成手段と、
この保守用トナー像形成手段にて形成された前記像保持体上の保守用トナー像を、前記中間転写体を介して記録材へ転写させることなく、前記中間転写体と前記板状清掃部材との接触部位まで搬送する保守用トナー像搬送手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置のうち前記状態判別手段にて清掃手段が交換された状態であると判別された態様において、
前記清掃手段は前記中間転写体に対して前記板状清掃部材を接離するものであり、
前記保守用トナー像搬送手段は、
前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記板状清掃部材を前記中間転写体から離間させた状態で前記中間転写体上の保守用トナー像が当該中間転写体と前記板状清掃部材との対向部位又はその前後に達した条件で前記板状清掃部材を前記中間転写体に接触させ、前記中間転写体と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5記載の画像形成装置のうち前記状態判別手段にて清掃手段が交換を要する状態であると判別された態様において、
前記保守用トナー像搬送手段は、
前記中間転写体に前記像保持体上の保守用トナー像を転写させ、前記板状清掃部材を前記中間転写体から離間させた状態で、前記中間転写体上の保守用トナー像を前記中間転写体と前記板状清掃部材との対向部位又はその前後まで搬送し、清掃手段が交換された後、前記板状清掃部材を前記中間転写体に接触させ、前記中間転写体と前記板状清掃部材との接触部位まで保守用トナー像を搬送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記保守用トナー像形成手段は、前記中間転写体の回転方向における記録材への少なくとも最大画像形成領域を超える領域に前記保守用トナー像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−53166(P2012−53166A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194110(P2010−194110)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】