説明

画像形成装置

【課題】メモリの消費量を抑制しつつ、不十分な画像形成に対する保証をユーザに提供できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の画像形成装置によれば、再形成条件記憶手段の内容に基づき、再度の画像形成の対象であるか否かを、印刷機能の種類に応じて判定し、その対象でないと判定された画像データを対象データ記憶手段から削除するので、不十分な画像形成に対する保証をユーザに提供することを可能にしつつ、その保証のために要するメモリの消費量を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナーやインクなどの着色剤を用いて記録媒体への画像形成を行う画像形成装置では、画像形成時における記録媒体への着色剤の供給状態が悪くなることにより、ユーザにとって満足できない記録物が得られることがある。例えば、着色剤としてのトナーの残量の不足により、形成画像にかすれのある記録物が得られることがある。これに対する提案の1つとして、特許文献1に記載されるファクシミリ装置がある。このファクシミリ装置は、トナーの量を検出するセンサを設けることによりトナー残量を監視し、トナー残量が少トナー状態であることが検出されると、それ以降に受信したファクシミリデータをメモリに保存しておき、トナーを交換する際に、保存されていたファクシミリデータの中から、ユーザの所望に応じたファクシミリデータを再記録できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−341242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるファクシミリ装置の場合、トナー残量が少トナー状態になってからは、全ての画像データ(ファクシミリデータ)を保存するので、保存の必要のない画像データまでが保存されて無駄にメモリが消費されるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、メモリの消費量を抑制しつつ、不十分な画像形成に対する保証をユーザに提供できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、1又は複数種類の印刷機能を有し、1種類の印刷機能で印刷指示がされた場合に、その印刷機能に応じて、記録媒体に画像形成を行う印刷処理を実行する画像形成手段を備えたものであって、前記1種類の印刷機能で印刷指示がされた場合に、前記印刷処理の対象となる画像データを記憶する対象データ記憶手段と、前記印刷機能の種類と、前記対象データ記憶手段に記憶されているデータに基づく再度の画像形成の対象とするか否かと、を対応付けて記憶する再形成条件記憶手段と、前記画像形成手段による記録媒体への画像形成が実行されると、その画像形成を行った印刷機能の種類と、前記再形成条件記憶手段に記憶されている内容とに基づき、前記画像形成の基となった画像データが、前記再度の画像形成の対象であるか否かを判定する対象判定手段と、前記画像形成の基となった画像データが、前記再度の画像形成の対象でないものであると、前記対象判定手段により判定された場合に、その画像形成の基となった画像データを前記対象データ記憶手段から削除するデータ削除手段と、を備えている。
【0007】
なお、本発明は、画像形成装置を制御する制御装置、画像形成方法、画像形成装置を制御する制御プログラム、該制御プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の画像形成装置によれば、再形成条件記憶手段の内容に基づき、再度の画像形成の対象であるか否かを、印刷機能の種類に応じて判定し、その対象でないと判定された画像データを対象データ記憶手段から削除するので、不十分な画像形成に対する保証をユーザに提供することを可能にしつつ、その保証のために要するメモリの消費量を抑制することができるという効果がある。なお、請求項1における「印刷機能」とは、印刷を行うための各種機能の分類(例えば、ファクシミリ機能や、コピー機能や、プリンタ機能など)を表すことに限らず、各機能をその使用者などにより細分化した分類も含むことを意図している。
【0009】
請求項2記載の画像形成装置によれば、請求項1が奏する効果に加え、画像形成が実行される毎に記憶される履歴に基づき、画像形成した時期が時系列的に新しいものから順に、数受付手段により受け付けた記録媒体の数の分の画像データを対象とし、対象データ記憶手段に記憶されているデータの中から、前記対象になったデータの中を抽出手段によって抽出し、画像再形成手段による画像の再形成を行うので、ユーザは、再印刷可能であるか否かを問わず、不十分な画像形成がされた記録媒体の数(即ち、最近に実際に画像形成された記録媒体の数)を数えておけば、保証されることを所望した画像を容易に再形成できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の画像形成装置によれば、請求項2が奏する効果に加え、数受付手段により受け付けた記録媒体の数と、抽出手段により抽出されたデータに基づき画像の再形成がなされる記録媒体の数とを、再形成数表示手段により画面に表示するので、ユーザは、不十分な画像形成がされた記録媒体のうち、どれだけの画像が再形成されるかを容易に認識できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の画像形成装置によれば、請求項2又は3が奏する効果に加え、抽出手段により抽出された画像データを特定する情報と、そのデータに対する印刷指示を行った際の印刷機能の種類とが、再形成情報表示手段により、履歴に基づいて画面に表示されるので、ユーザは再形成される画像の内容を確認することができると共に、必要に応じて取捨選択が可能であるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の画像形成装置によれば、請求項1から4のいずれかが奏する効果に加え、画像形成を行うための消耗品の残量を消費量に基づいて推定し、その推定値が所定の閾値を超える場合には、データ削除手段によるデータの削除が行われる。つまり、該推定値が所定の閾値以下であり、かつ、再度の画像形成の対象である画像データが対象データ記憶手段に残される。よって、対象データへのデータ(画像データ又は画像形成用データ)の記憶を行うので、残量が少ないことにより十分な画像形成を行えない可能性が高い(即ち、画像の再形成が行われる可能性が高い)データを対象データ記憶手段に記憶して残すので、保証のために要するメモリの消費量を好適に抑制することができるという効果がある。
【0013】
また、消耗品の残量を消費量に基づき推定するので、残量を検出するためのセンサを設ける必要がなく、製造コストの抑制を図ることができるが、その一方で、推定された残量はその精度が比較的低いために、上記閾値を高めに設定する必要があり、その分、閾値以下となって以降に記憶されるデータも増える。しかし、再形成条件記憶手段の内容に基づき、必要なデータのみを対象データ記憶手段に記憶するので、メモリフルになることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態である多機能周辺装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、履歴メモリに記憶される内容を示す模式図であり、(b)は、保証対象テーブルに記憶される内容を示す模式図である。
【図3】印刷処理を示すフローチャートである。
【図4】トナー交換時処理を示すフローチャートである。
【図5】再印刷対象データ決定処理を示すフローチャートである。
【図6】トナー交換時処理の実行過程において、LCDに表示される各画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下「MFP」と称す)1の電気的構成を示すブロック図である。
【0016】
MFP1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能などの各種機能を有する。MFP1は、各種機能のうち、プリンタ部18による印刷を伴う機能を使用する場合に、消耗品であるトナーの残量不足などによる印刷の失敗を保証するべく、印刷を行った画像データを保証データとして保存できるように構成されている。特に、本実施形態のMFP1は、保証データの保存を、画像データの供給元に基づく所定の印刷種類のデータに限って行い、保証データの保存に要するRAM13のメモリ消費量を抑制できるように構成されている。
【0017】
MFP1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、フラッシュメモリ14と、操作キー15と、LCD16と、スキャナ部17と、プリンタ部18と、NCU19と、モデム20と、USBインターフェイス(以下「USB_I/F」と称す)21と、LANインターフェイス(以下「LAN_I/F」と称す)22と、メディアスロット23と、赤外線データ受信部24とを有している。これらの構成要素は、入出力ポート25を介して互いに接続される。
【0018】
CPU11は、ROM12等に記憶される固定値やプログラム、NCU19を介して送受信される各種信号、或いは、各構成要素21〜24を介して送受信される各種信号に従って、入出力ポート25に接続されている各構成要素を制御する。ROM12は、書換不能なメモリであって、CPU11で実行される制御プログラム12aを格納する。図3〜図5を参照して後述する各処理のプログラムは、この制御プログラム12aの一部から構成される。
【0019】
RAM13は、書換可能な揮発性のメモリであり、印刷メモリ13aと、履歴メモリ13bと、失敗枚数メモリ13cと、スタックメモリ13dと、スタック枚数カウンタ13eと、トナー残量メモリ13fとを有している。
【0020】
印刷メモリ13aは、所定の供給元から供給された画像データを格納するメモリである。本実施形態では、この印刷メモリ13aは、印刷済みの画像データを、その後の再印刷を保証するための保証データとして保存するメモリとしても機能する。履歴メモリ13bは、プリンタ部18による印刷の履歴を記憶するためのメモリであり、その構成については、図2(a)を参照して後述する。失敗枚数メモリ13cは、トナーを交換した場合にユーザにより入力された失敗枚数を記憶するためのメモリである。
【0021】
スタックメモリ13dは、後述する再印刷対象データ決定処理(図5参照)において、ユーザにより入力された失敗枚数に基づき印刷メモリ13aに記憶されている画像データの中から、再印刷の対象となる画像データを格納するメモリであり、格納した順序とは逆に、最も新しく格納したデータから取り出すことができる。スタック枚数カウンタ13eは、スタックメモリ13dに格納された画像データを印刷ページ数(即ち、印刷枚数)単位で計数するカウンタである。トナー残量メモリ13fは、印刷時におけるトナーの消費量から推定されたトナー残量を記憶するためのメモリである。
【0022】
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリであり、保証対象テーブル14aを格納する。保証対象テーブル14aは、印刷を行った後に画像データを保証データとして印刷メモリ13aに残す条件を規定したテーブルである。保証対象テーブル14aの構成については、図2(b)を参照して後述する。
【0023】
操作キー15は、MFP1に指示を入力するためのハードキーである。LCD16は液晶表示装置であって、後述する画面601〜604(図6参照)などの各種画面や各種画像を表示する。また、LCD16の表示面は図示しないタッチパネルが設けられており、ユーザは、LCD16に表示された各種ボタンに触れることにより、各ボタンに割り当てられた処理の実行指示を、MFP1に入力できる。
【0024】
スキャナ部17は、ファクシミリ機能、スキャン機能、又は、コピー機能の実行時に、原稿を読み取って電子データに変換する読取動作を行う。プリンタ部18は、ファクシミリ機能、プリンタ機能の実行時に、記録媒体としての記録用紙に画像を形成(印刷)する印刷動作を行う。このプリンタ部18は、記録用紙に記録を行うための着色剤としてトナーを使用するモノクロのレーザプリンタとして構成される。
【0025】
NCU19は、電話回線の制御を行うものである。モデム20は、ファクシミリ送信時には送信信号を電話回線での伝送に適した形態に変調し、一方、ファクシミリ受信時には電話回線から送られてきた変調信号を復調する。
【0026】
USB_I/F21は、MFP1を図示しないパーソナルコンピュータ(以下「PC」と称す)とUSB接続するためのインターフェイスである。LAN_I/F22は、MFP1を図示しないLAN回線に接続するためのインターフェイスである。メディアスロット23は、小型の外部記憶媒体である各種メディア(例えば、SDカード(登録商標)など)を着脱自在に装着可能なスロットである。赤外線データ受信部24は、赤外線通信機能を有する携帯端末(例えば、携帯電話)から赤外線により発信されたデータを受信するインターフェイスである。
【0027】
図2(a)は、上述した履歴メモリ13bに記憶される内容を示す模式図である。履歴メモリ13bに記憶される1の履歴は、画像データ13b1と、印刷枚数13b2と、保証登録13b3と、印刷種類(供給元)13b4とから構成される。図2(a)に示す例では、4つの履歴R1〜R4が履歴メモリ13bに格納されている。
【0028】
画像データ13b1は、1回の印刷指示の対象とされた画像データの、印刷メモリ13a内におけるファイル名を格納する領域である。印刷枚数13b2は、画像データ13b1に格納されたファイル名の画像データにより印刷されたページ数(即ち、記録用紙の枚数)を格納する領域である。
【0029】
保証登録13b3は、画像データ13b1に格納されたファイル名の画像データが、保証データとして印刷メモリ13aに保存されているか否かを示す値が格納される領域である。図2(a)に示す例において、保証登録13b3として「ある」が記載されている場合は、対応する画像データが保証データとして印刷メモリ13aに保存されていることを示す値が格納されていることを示し、「なし」が記載されている場合は、対応する画像データが保証データとして印刷メモリ13aに保存されていない(即ち、削除された)ことを示す値が格納されていることを示す。
【0030】
印刷種類(供給元)13b4は、各履歴R1〜R4の画像データの印刷種類を格納する領域である。本実施形態における「印刷種類」とは、画像データの供給元に応じた種類であることを意図する。また、この「印刷種類」は、特許請求の範囲における「印刷機能」に対応する。本実施形態では、「印刷種類」として、スキャナ部17により読み取った画像データの印刷である「COPY」、ファクシミリ機能により外部装置から受信した画像データの印刷である「FAX」、メディアスロット23に装着されたメディアに記憶されている画像データの印刷である「MEDIA_PRINT」、USB_I/F21に接続されたPCから受信した画像データの印刷である「PC_PRINT/USB」、LAN_I/F22に接続されたLAN回線を介してPCから受信した画像データの印刷である「PC_PRINT/LAN」、及び、赤外線データ受信部24を介した赤外線通信によって携帯端末から受信した画像データの印刷である「MOBILE_PRINT」が設定されている。
【0031】
図2(b)は、上述した保証対象テーブル14aに記憶される内容を示す模式図である。この保証対象テーブル14aには、1の印刷種類(供給元)14a1に対して、保証設定14a2が対応付けられている。印刷種類(供給元)14a1は、上述した印刷種類(供給元)13b4と同様、画像データの供給元に応じた種類である。本実施形態では、上述した6種類の印刷種類(COPY、FAX、MEDIA_PRINT、PC_PRINT/USB、PC_PRINT/LAN、MOBILE_PRINT)のそれぞれに対し、保証設定14a2が対応付けられている。
【0032】
保証設定14a2は、印刷後の画像データを保証データとして印刷メモリ13aに保存する設定であるか否かを示す値が格納される領域である。図2(b)に示す例において、保証設定14a2として「する」が記載されている場合は、印刷後に画像データを保証データとして印刷メモリ13aに保存する設定であることを示す。一方、保証設定14a2として「しない」が記載されている場合は、印刷後に画像データを保証データとして印刷メモリ13aに保存せず削除する設定であることを示す。
【0033】
つまり、保証対象テーブル14aは、印刷後に印刷メモリ13aに保証データとして画像データを残す印刷種類の条件を規定するテーブルである。なお、図2(b)に示す例では、6種類の印刷種類(供給元)14a1について保証設定14a2を設定しているが、各保証設定14a2は、ユーザによる適宜操作によって必要に応じて変更することができる。例えば、図2(b)に示す例では、印刷種類(供給元)14a1が「COPY」である場合に、保証設定14a2が「しない」設定とされているが、これをユーザの必要に応じて「する」設定に変更することができる。なお、図2(b)に示す例では、元画像が画像データの送信元にしかない印刷種類(FAX)、又は、ユーザがMFP1の比較的遠くから画像データを供給する印刷種類(PC_PRINT/LAN)に対し、保証設定14a2を「する」設定にしている。
【0034】
また、印刷種類(供給元)14a1もまた、保証設定14a2と同様、ユーザによる適宜操作によって必要に応じて増減や変更することが可能である。例えば、図2(b)では、個々のPCを区別することなく、LAN_I/F22に接続されたLAN回線を介して受信した画像データは全て「PC_PRINT/LAN」としているが、個々のPC(例えば、ユーザの違い)が区別できるように「PC_PRINT/LAN」を、「PC_PRINT/LAN(USER1)」、「PC_PRINT/LAN(USER2)」、・・・のように細分化してもよい。また、別の例として、図2(b)では、外部装置(即ち、相手先)を区別することなく、ファクシミリ機能により外部装置から受信した画像データは全て「FAX」としているが、相手先の違いに応じて「FAX」を、「FAX(USER1)」、「FAX(USER2)」、・・・のように細分化してもよい。
【0035】
図3は、MFP1のCPU11が実行する印刷処理を示すフローチャートである。この印刷処理は、MFP1が、スキャナ部17(COPY)、NCU19(FAX)、USB_I/F21(PC_PRINT/USB)、LAN_I/F22(PC_PRINT/LAN)、メディアスロット23(MEDIA_PRINT)、又は、赤外線データ受信部24(MOBILE_PRINT)を介して、所定の供給元から、1回の印刷指示に基づく画像データの供給を受けた場合に起動する。
【0036】
印刷処理では、まず、CPU11は、履歴メモリ13bに新しい印刷履歴を追加する(S301)。このとき、追加した印刷履歴における印刷種類(供給元)13b4の内容を、印刷種類(即ち、画像データの供給元)に応じた値に設定する。次に、CPU11は、供給された画像データを、所定のファイル形式(例えば、tif形式のファイル)で印刷メモリ13aに追加して記憶する(S302)。このとき、CPU11は、各画像データにファイル名を自動的に付与して印刷メモリ13aに保存する。自動的に付与されるファイル名は、例えば、印刷日時を表す文字列とされる。次に、CPU11は、追加した画像データを、S301において履歴メモリ13bに追加された新しい印刷履歴に関連付ける(S303)。これにより、新しい印刷履歴において、画像データ13b1の内容が設定される。次いで、CPU11は、画像データに基づく印刷をプリンタ部19に実行させ(S304)、S301において追加された印刷履歴における印刷枚数13b2に、印刷枚数(即ち、印刷した記録用紙の枚数)を登録する(S305)。
【0037】
S305の処理後、CPU11は、画像データの供給元を示す印刷種類が保証対象テーブル14a1に登録されている印刷種類であるか否かを判定する(S306)。この判定は、保証対象テーブル14a1に基づいて行う。具体的に、保証対象テーブル14a1において、今回の印刷の印刷種類(即ち、画像データの供給元)が、印刷種類(供給元)14a1として登録されている場合には、CPU11は、S306による判定を肯定する。一方で、今回の印刷の印刷種類が、印刷種類(供給元)14a1として登録されていない場合には、CPU11は、S306による判定を否定する。
【0038】
S306による判定が肯定される場合(S306:Yes)、CPU11は、トナー残量の保証期間であるか否かを判定する(S307)。この判定は、トナー残量メモリ13fに記憶されているトナー残量に基づいて行う。具体的に、トナー残量メモリ13fに記憶されているトナー残量が所定の閾値以下である場合に、CPU11は、S307による判定を肯定する。一方で、そのトナー残量がその閾値を超える場合には、CPU11は、S307による判定を否定する。
【0039】
S307による判定が肯定される場合(S307:Yes)、CPU11は、画像データの供給元を示す印刷種類が保証対象のものであるか否かを判定する(S308)。この判定は、保証対象テーブル14a1に基づいて行う。具体的に、保証対象テーブル14a1において、今回の印刷の印刷種類を示す印刷種類(供給元)14a1に対応する保証設定14a2の値が「する」を示すものである場合には、CPU11は、S308による判定を肯定する。一方、その保証設定14a2の値が「しない」を示すものである場合には、CPU11は、S308による判定を否定する。
【0040】
S308による判定が肯定される場合(S308:Yes)、CPU11は、S301において追加された印刷履歴における保証登録13b3に「あり」と登録する(S309)。次いで、S304の印刷によるトナーの消費量を画像データに基づく周知の方法によって算出し、算出により推定されるトナーの消費量をトナー残量メモリ13fから減算し(S310)、印刷処理を終了する。
【0041】
一方、S306〜S308による判定のいずれかが否定される場合には(S306:No,S307:No,S308:No)、CPU11は、今回の印刷に用いた画像データを印刷メモリ13aから削除し(S311)、S301において追加された印刷履歴における保証登録13b3に「なし」と登録して(S312)、印刷処理を終了する。
【0042】
この印刷処理によれば、保証対象テーブル14a1の保証設定14a2に「する」と設定されている印刷種類(供給元)14a1の画像データのみが、印刷メモリ13aに保証データとして残される(保存される)。よって、保証データの保存を、画像データの供給元に基づく所定の印刷種類のデータに限って行うので、保証データの保存に要するRAM13のメモリ消費量を抑制することができる。また、トナー残量が所定の閾値を超える場合には、保証データの保存を行わない。換言すれば、残量が少なく、印刷に失敗可能性が高い場合にのみ、保証データの保存を行うので、その点においても、保証データの保存に要するRAM13のメモリ消費量を抑制することができる。
【0043】
図4は、MFP1のCPU11が実行するトナー交換時処理を示すフローチャートである。このトナー交換時処理は、MFP1においてプリンタ部18からトナーカートリッジを取り外し、新たなトナーカートリッジを装着した場合に起動し、CPU11は、まず、トナー残量メモリ13fに初期値として未使用のトナーカートリッジに対して予め規定されている値を設定する(S401)。次に、CPU11は、再印刷可能通知画面601(図6(a)参照)をLCD16に表示する(S402)。
【0044】
S402の処理後、CPU11は、再印刷可能通知画面601から再印刷の指示を受け付けたか否かを判定し(S403)、この判定が肯定される場合には(S403:Yes)、失敗枚数受付画面602(図6(b)参照)をLCD16に表示する(S404)。次に、CPU11は、失敗枚数受付画面602から失敗枚数を受け付けたか否かを判定する(S405)。この判定が否定される場合には(S405:No)、CPU11は、処理をS405に戻し、失敗枚数がユーザによって入力され、それが受け付けられるのを待機する。一方で、S405による判定が肯定される場合には(S405:Yes)、CPU11は、受け付けた失敗枚数に基づき、印刷メモリ13aに保証データとして記憶されているデータの中から、再印刷の対象となる画像データを決定して抽出する再印刷対象データ決定処理を実行する(S406)。なお、この再印刷対象データ決定処理(S406)の詳細な処理については、図5を参照して後述する。
【0045】
次に、CPU11は、S406の処理により決定された再印刷の対象となる画像データの概要を報せる確認画面603(図6(c)参照)をLCD16に表示し(S407)、その確認画面603から再印刷の指示を受け付けたか否かを判定する(S408)。この判定が肯定される場合には(S408:Yes)、CPU11は、再印刷の対象として決定された画像データに基づく印刷をプリンタ部19に実行させる(S409)。次いで、CPU11は、印刷結果確認画面604(図6(d)参照)をLCD16に表示する(S410)。
【0046】
S410の処理後、CPU11は、印刷メモリ13aに記憶されている画像データ(即ち、保証データ)を削除する指示を印刷結果確認画面604から受け付けたか否かを判定する(S411)。この判定が肯定される場合には、CPU11は、印刷メモリ13aに保証データとして記憶されていた画像データを全て削除する(S412)。このとき、CPU11は、履歴メモリ13bに記憶される履歴のうち、削除対象となった画像データに対応する履歴の保証登録13b3の値を「なし」を示す値に書き換える。なお、履歴メモリ13bに記憶されている履歴を消去する構成としてもよい。次に、CPU11は、LCD16に表示されていた画面を元に戻し(S413)、トナー交換時処理を終了する。一方で、S411の処理が否定される場合(S411:No)、これは、再印刷する指示を印刷結果確認画面604から受け付けた場合であるので、かかる場合には、CPU11は、処理をS402へ戻す。
【0047】
また、S403による判定が否定される場合(S403:No)、又は、S408の処理による判定が否定される場合には(S408:No)、CPU11は、印刷メモリ13aに記憶されている保証データを削除するか否かを確認する画面である削除確認画面(図示せず)をLCD16に表示する(S414)。次に、CPU11は、その削除確認画面から削除の指示を受け付けたか否かを判定する(S415)。この判定が否定される場合には(S415:No)、CPU11は、処理をS415に戻し、削除の指示が受け付けられるのを待機する。そして、S415による判定が肯定されると(S415:Yes)、CPU11は、処理をS412へ移行する。
【0048】
図5は、上述した再印刷対象データ決定処理(S406)を示すフローチャートである。再印刷対象データ決定処理において、CPU11は、まず、処理枚数を示す変数nに、S405により受け付けた失敗枚数を設定する(S501)。次に、CPU11は、処理件数を示す変数mに初期値として「1」を設定し(S502)、スタックメモリ13dをクリアし(S503)、スタック枚数カウンタ13eをクリア(ゼロクリア)する(S504)。
【0049】
次に、CPU11は、印刷枚数を示す変数kに、履歴メモリ13bに記憶されている履歴(印刷履歴)のうち、最新の履歴を1件目として、m件目(mは、処理件数を示す変数)の履歴を参照し、その履歴における印刷枚数13b2の値を設定する(S505)。
【0050】
S505の処理後、CPU11は、m件目の画像データが印刷メモリ13aにあるか否かを判定する(S506)。この判定は、S505において参照した履歴の保証登録13b3の内容に基づいて行う。具体的に、この保証登録13b3の値が「あり」を示すものである場合には、CPU11は、S506による判定を肯定する。一方、保証登録13b3の値が「なし」を示すものである場合には、CPU11は、S506による判定を否定する。あるいは、S505において参照した履歴の画像データ13b1に格納されているファイル名の画像データが、印刷メモリ13aにあるか否かをサーチし、ある場合に肯定し、ない場合に否定するようにしてもよい。
【0051】
S506による判定が否定される場合(S506:No)、CPU11は、処理をS510へ移行する。一方で、S506による判定が肯定される場合(S506:Yes)、CPU11は、変数kが変数n以下であるか否か、即ち、m件目の印刷枚数kが、失敗枚数として設定されたn枚の中に含まれているか否かを判定する(S507)。S507による判定が肯定される場合、即ち、m件目の印刷枚数kが、失敗枚数として設定されたn枚の中に含まれている場合には、CPU11は、m件目の履歴に対応する画像データを印刷メモリ13aからスタックメモリ13dにプッシュし(S508)、処理をS509へ移行する。
【0052】
一方で、S507による判定が否定される場合、即ち、m件目の印刷枚数kの一部が、失敗枚数として設定されたn枚の中に含まれない場合には(S507:No)、CPU11は、m件目の履歴に対応する画像データのうち、末尾からnページ分を、印刷メモリ13aからスタックメモリ13dにプッシュし(S512)、処理をS509へ移行する。
【0053】
CPU11は、S509において、S508又はS512の処理によりスタックメモリ13dに追加した画像データのページ数分の値を、スタック枚数カウンタ13eに加算する(S509)。次に、CPU11は、変数nの値を(n−k)に設定し(S510)、nが1以上であるか否かを判定する(S511)。S511による判定が肯定される場合には(S511:Yes)、ユーザが入力した失敗枚数に未達であるので、CPU11は、変数mの値を(m+1)に設定し(S513)、処理をS505へ戻す。
【0054】
ここで、図2(a)に示す例を用いて、上述した再印刷対象データ決定処理について説明する。図2(a)に示す履歴メモリ13bに記憶されている履歴に対して、失敗枚数が10枚と入力された場合には、履歴として新しい画像データから順に(即ち、履歴R1→履歴R2→履歴R3→履歴R4の順に)、再印刷対象の画像データを決定する。最も新しい履歴R1の印刷枚数13b2は3ページであるが、保証登録13b3が「なし」であり、印刷メモリ13aに保証データがないので、履歴R1の画像データは再印刷の対象とならない。次に、履歴R2は保証登録13b3が「ある」であるので、印刷枚数13b2が2ページである画像データは、再印刷の対象となる。履歴R3については保証登録13b3が「なし」であるので、印刷枚数13b2が3ページである画像データは、再印刷の対象とならない。次に、履歴R4は保証登録13b3が「ある」であるので、再印刷の対象となり得るが、失敗枚数として入力された10枚までには、残り2枚しかないので、履歴R4の画像データの印刷枚数13b2は5枚であるが、そのうちの2枚だけが再印刷の対象となる。この場合、時系列的に新しいもの、即ち、末尾から2ページが再印刷の対象となる。
【0055】
よって、この再印刷対象データ決定処理によれば、ユーザは、印刷種類(即ち、印刷保証がされる印刷種類であるか否か)を考えることなく、失敗枚数を入力するだけで、その失敗枚数の範囲内に含まれる保証データを再印刷の対象として抽出することができる。よって、ユーザは、実際に印刷がされた記録用紙のうち、印刷に失敗した記録用紙だけを数えておきさえすれば、保証データとして保存されている画像データの中から、印刷に失敗した画像データだけを抽出して再印刷することができる。
【0056】
図6は、上述したトナー交換時処理(図4参照)の実行過程において、LCD16に表示される各画面の一例を示す模式図である。図6(a)は、再印刷可能通知画面601の一例を示す模式図である。
【0057】
再印刷可能通知画面601は、上述したトナー交換時処理(図4参照)のS402においてLCD16に表示される画面である。再印刷可能通知画面601には、保証データが保存されていれば、再印刷が可能である旨を伝達するメッセージ601aが表示されると共に、「再印刷する」と表示されたボタン601bと、「再印刷しない」と表示されたボタン601cとが表示される。
【0058】
この画面601が表示された状態で、ユーザがボタン601bに触れると、CPU11は、再印刷の指示を受け付け、処理をS404へ移行する。一方で、ユーザがボタン601cに触れた場合には、CPU11は、再印刷しないという指示を受け付け、処理をS414へ移行する。
【0059】
図6(b)は、失敗枚数受付画面602の一例を示す模式図である。失敗枚数受付画面602は、上述したトナー交換時処理のS404においてLCD16に表示される画面である。失敗枚数受付画面602には、失敗枚数(不十分な印刷の枚数)の入力を促す旨を伝達するメッセージ602aと、失敗枚数を入力するための入力ボックス602bと、入力完了を指示するための「OK」と表示されたボタン602cとが表示される。
【0060】
この画面602が表示された状態で、ユーザが、入力ボックス602bの内部に失敗枚数を入力した後、ボタン602cに触れると、CPU11は、失敗枚数の入力を受け付け、処理をS406へ移行する。
【0061】
図6(c)は、確認画面603の一例を示す模式図である。確認画面603は、上述したトナー交換時処理のS407においてLCD16に表示される画面である。確認画面603には、「最後に印刷したX枚のうち、Y枚が再印刷可能です。」というメッセージ603aが表示される。このメッセージ603aにおける「X」には、ユーザが失敗枚数受付画面602から入力した失敗枚数の値が表示され、「Y」には、再印刷対象データ決定処理(S406)において決定された再印刷の対象となる画像データによる印刷枚数の値が表示される。図6(c)に示す例では、「X」が「10」であり、「Y」が「4」である。このように、ユーザが入力した失敗枚数と、再印刷される印刷枚数とが表示されるので、ユーザは、失敗した印刷枚数の中に、保証を所望した印刷種類による印刷枚数がどれだけ含まれているかを容易に把握することができる。
【0062】
また、確認画面603には、再印刷の対象となる画像データの概要表示欄603bが表示される。概要表示欄603bは、1の再印刷対象の画像データ毎に、印刷可能データ603b1と、印刷種類603b2と、印刷枚数/ページ数603b3との組が表示される。図6(c)に示す例では、概要表示欄603bに、2つの再印刷対象なデータD1,D2が表示されている。
【0063】
印刷可能データ603a1には、再印刷の対象として決定された画像データの印刷メモリ13aにおけるファイル名であり、履歴メモリ13bにおける該当する画像データの画像データ13b1の内容が表示される。このファイル名は、印刷日時などが表す文字列とされる場合が多いので、ユーザは、印刷可能データ603a1に表示されるファイル名を、その画像データの内容を知る指標とすることができる。印刷可能データ603a1に表示されるファイル名として印刷日時を表す文字列が表示される場合には、印刷を指示した順序の時系列を知る指標にすることができる。
【0064】
なお、図6(c)に示す例では、概要表示欄603bに表示される2つのデータD1,D2について、データD2の印刷可能データ603a1に表示されるファイル名が「20100802_090900_01.tif」であり、印刷時間を表す「090900」の部分を、データD1の印刷可能データ603a1に表示されるファイル名における同じ部分(091100)と比較することにより、データD2が、印刷時刻がデータD1より早い、即ち、時系列的にデータD1より古い画像データであることがわかる。
【0065】
印刷種類603b2には、再印刷の対象として決定された画像データの印刷種類であり、履歴メモリ13bにおける該当する画像データの印刷種類(供給元)13b4の内容が表示される。ユーザは、印刷種類603b2に表示される印刷種類を、その画像データの内容を知る指標とすることができる。
【0066】
印刷枚数/ページ数603b3には、「B/A」の形式で数値が表示される。「A」には、印刷可能データ603a1に表示されるファイル名の画像データにおける全印刷枚数(全ページ)が表示され、「B」には、ユーザ入力された失敗枚数の範囲内であるという条件の下で、再印刷される印刷枚数が表示される。図6(c)に示す例では、概要表示欄603bに表示される2つのデータD1,D2について、データD1の印刷枚数/ページ数603b3が「2/2」であるのに対し、データD2の印刷枚数/ページ数603b3は「2/5」である。つまり、データD2は、保証データが印刷メモリ13aに記憶されているものの、失敗枚数の範囲内に含まれるのは、そのうちの末尾から2ページであることを示す。
【0067】
また、確認画面603には、「再印刷する」と表示されたボタン603cと、「再印刷しない」と表示されたボタン603dとが表示される。この画面603が表示された状態で、ユーザがボタン603dに触れると、CPU11は、再印刷の指示を受け付け、処理をS409へ移行する。その結果、概要表示欄603bに表示されたデータD1の全ページ(2ページ)と、データD2の2ページとが再印刷される。一方で、ユーザがボタン603dに触れた場合には、CPU11は、再印刷しないという指示を受け付け、処理をS414へ移行する。
【0068】
図6(d)は、印刷結果確認画面604の一例を示す模式図である。印刷結果確認画面604は、上述したトナー交換時処理のS410においてLCD16に表示される画面である。印刷結果確認画面604には、再印刷の結果を確認し、問題がなければ保証データを削除する旨を伝達するメッセージ604aが表示されると共に、「削除する」と表示されたボタン604bと、「再印刷する」と表示されたボタン604cとが表示される。
【0069】
この画面604が表示された状態で、ユーザがボタン604bに触れると、CPU11は、削除の指示を受け付け、処理をS412へ移行する。一方で、ユーザがボタン604cに触れた場合には、CPU11は、再印刷するという指示を受け付け、処理をS402へ移行する。
【0070】
以上説明した通り、本実施形態のMFP1によれば、保証データの保存を、画像データの供給元に基づく所定の印刷種類のデータに限って行うので、保証データの保存に要するRAM13のメモリ消費量を抑制することができると共に、小さい容量のRAM13を用いることができるので、製造コストの削減にも貢献する。また、特定の印刷種類の画像データだけを保証データとして残すだけであるので、全ての画像データを保証データとして残す場合に比べ、再印刷に要する時間も短い時間に抑えることができる。
【0071】
また、本実施形態のMFP1は、トナー残量を、トナーの消費量に基づいて推定するので、トナー残量を検出するためのセンサを設ける必要がなく、製造コストの抑制を図ることができるが、その一方で、推定されたトナー残量はその精度が比較的低いために、保証期間(保証データを残す期間)か否かを判定するための閾値を高めに設定する必要がある。そのため、その分だけ、トナー残量が閾値以下となって以降に記憶されるデータも増える。しかし、本実施形態のMFP1は、特定の印刷種類の画像データのみを保証データとして残すので、保証データの蓄積によってRAM13がメモリフルになることを防止できる。
【0072】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0073】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置としてMFP1を例示したが、単機能のプリンタ装置や、単機能のファクシミリ装置など、記録用紙への画像形成(印刷)を行う装置であれば、適用可能である。
【0074】
上記実施形態では、プリンタ部18がトナーを使用するレーザプリンタとして構成したが、このプリンタ部18を、消耗品の着色剤としてインクを使用するインクジェットプリンタとして構成してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、プリンタ部18をモノクロのプリンタとしたが、カラープリンタとしてもよい。カラープリンタとする場合には、少なくとも1色の着色剤の残量が所定の閾値以下になった場合に、印刷メモリ13aに保証データを残し、ある色の着色剤を交換する際に保証データによる再印刷が可能になるように構成すればよい。
【0076】
上記実施形態では、消耗品であるトナーを交換する際に、失敗した印刷に対する再印刷保証を行う構成としたが、インクジェットプリンタにおいて、ヘッドノズルのつまりに対して再印刷保証をする構成としてもよい。例えば、ヘッドのクリーニングを行う場合に、トナー交換時処理(図4参照)のS402〜S415の処理を実行するように構成してもよい。
【0077】
上記実施形態では、ユーザが失敗枚数を数えて入力する構成としたが、MFP1に自動原稿送り装置(ADF)を設けて、印刷に失敗した記録用紙をADFにセットすることにより自動的に計数して入力する構成としてもよい。
【0078】
上記実施形態では、再印刷対象データ決定処理(図5参照)において、スタックメモリ13dに再印刷対象の画像データを格納したが、このとき一時的に印刷メモリ13aとスタックメモリ13dに同じデータが存在することになり、メモリ使用効率が悪い。よって、スタックメモリ13dに印刷メモリ13a上の再印刷対象の画像データを特定する情報を格納し、S409において再印刷を実行する際には、CPU11は、スタックメモリ13aに格納されている情報に基づき、印刷メモリ13aから再印刷の対象となる印刷データをプリンタ部19へ供給して印刷させるように構成してもよい。再印刷対象印刷データを特定する情報は、印刷メモリ13aの管理方法に依るが、たとえば印刷データの開始アドレスとサイズである。または、ファイルのIDとページ番号を、再印刷対象印刷データを特定する情報としてもよい。かかる構成をとることにより、メモリ(RAM13)の消費量をさらに抑制できる。
【0079】
上記実施形態では、供給元から供給された画像データを保証データとして印刷メモリ13aに記憶する構成としたが、画像データから変換した印刷データを保証データとして記憶してもよい。また、供給元から印刷データが供給される場合には、供給された印刷データを保証データとして記憶する構成としてもよい。
【0080】
上記実施形態では、センサを用いることなくトナーの消費量を推定することによりトナー残量を算出する構成としたが、トナー残量を検出できるセンサを設置する構成としてもよい。
【0081】
上記実施形態では、確認画面603のボタン603cが操作された場合に、概要表示欄603bに表示された画像データを決定された枚数だけ再印刷する構成としたが、再印刷する画像データをユーザに最終選択させる構成としてもよい。
【0082】
上記実施形態では、USB_I/F21はPCを接続するものとして例示としたが、USB_I/F21には、USBメモリやデジタルカメラ等のUSBデバイスを接続してもよく、その場合には、接続可能なUSBデバイスの種類もまた、印刷種類として分類可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 MFP(画像形成装置の一例)
13a 印刷メモリ(対象データ記憶手段の一例)
14a 保証対処テーブル(再形成条件記憶手段)
14b 履歴メモリ(履歴記憶手段)
S304 画像形成手段の一例
S307 残量判定手段の一例
S308 対象判定手段の一例
S311 データ削除手段の一例
S405 数受付手段の一例
S406 データ抽出手段の一例
S407 再形成数表示手段の一例,再形成情報表示手段の一例
S409 画像再形成手段の一例
S509 計数手段の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数種類の印刷機能を有し、1種類の印刷機能で印刷指示がされた場合に、その印刷機能に応じて、記録媒体に画像形成を行う印刷処理を実行する画像形成手段を備えた画像形成装置であって、
前記1種類の印刷機能で印刷指示がされた場合に、前記印刷処理の対象となる画像データを記憶する対象データ記憶手段と、
前記印刷機能の種類と、前記対象データ記憶手段に記憶されているデータに基づく再度の画像形成の対象とするか否かと、を対応付けて記憶する再形成条件記憶手段と、
前記画像形成手段による記録媒体への画像形成が実行されると、その画像形成を行った印刷機能の種類と、前記再形成条件記憶手段に記憶されている内容とに基づき、前記画像形成の基となった画像データが、前記再度の画像形成の対象であるか否かを判定する対象判定手段と、
前記画像形成の基となった画像データが、前記再度の画像形成の対象でないものであると、前記対象判定手段により判定された場合に、その画像形成の基となった画像データを前記対象データ記憶手段から削除するデータ削除手段と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段により記録媒体への画像形成が実行される毎に、その画像形成の基となった画像データと、画像形成された記憶媒体の数とを履歴として記憶する履歴記憶手段と、
前記再度の画像形成を行う記録媒体の数を受け付ける数受付手段と、
前記履歴記憶手段に記憶されている履歴のうち、画像形成した時期が時系列的に新しいものから順に、前記数受付手段により受け付けた記録媒体の数の分の、画像データを対象とし、前記対象データ記憶手段に記憶されている画像データの中から、前記対象となったデータを抽出するデータ抽出手段と、
前記データ抽出手段により抽出された画像データに基づく記録媒体への画像形成を行う再印刷処理を実行する画像再形成手段と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記データ抽出手段は、抽出した画像データに基づく再度の画像形成が前記画像再形成手段による再印刷処理によって画像形成された記録媒体の数を計数する計数手段を含んで構成され、
前記画像形成装置は、前記再度の画像形成を行う記録媒体の数を前記数受付手段により受け付けた場合に、その数受付手段により受け付けた記録媒体の数と、前記計数手段により計数された記録媒体の数とを画面に表示する再形成数表示手段を備えていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記履歴記憶手段に記憶される履歴は、記憶の対象となる画像データと、そのデータに対する印刷指示を行った際の印刷機能の種類とを対応付けて記憶するものであり、
前記画像形成装置は、前記再度の画像形成を行う記録媒体の数を前記数受付手段により受け付けた場合に、前記データ抽出手段により抽出された画像データを特定する情報と、前記履歴に基づいて得られる、前記抽出された画像データに対する印刷指示を行った際の印刷機能の種類とを対応付けて画面に表示する再形成情報表示手段を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段により実行される印刷処理又は前記画像再形成手段により実行される再印刷処理は、消耗品を使用して記録媒体に画像形成を行うものであり、
前記画像形成装置は、
消耗品を使用した記録媒体への画像形成が実行される毎に、その画像形成により消費した該消耗品の使用量を推定することにより算出される該消耗品の残量が、所定の閾値以下であるか否かを判定する残量判定手段を備え、
前記データ削除手段は、前記残量判定手段により前記残量が所定の閾値を超えると判定された場合に、前記画像形成の基となった画像データを前記対象データ記憶手段から削除するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78517(P2012−78517A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222897(P2010−222897)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】