画像形成装置
【課題】記録材の種類に拘わらず、印刷枚数が増加しても濃度の変化を抑える画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、感光体22にレーザ光を照射して潜像を形成するプリンタ制御部21、及び、感光体22に形成された潜像をトナーで現像する現像部24を有し、感光体22に現像されたトナー像を記録材に形成するプリンタ部2と、現像部24のトナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて、プリンタ制御部21がレーザ光で照射した感光体22の表面の電位と現像部24における現像バイアス電位の差である現像コントラスト電位を変更する制御部220と、を備えている。
【解決手段】画像形成装置は、感光体22にレーザ光を照射して潜像を形成するプリンタ制御部21、及び、感光体22に形成された潜像をトナーで現像する現像部24を有し、感光体22に現像されたトナー像を記録材に形成するプリンタ部2と、現像部24のトナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて、プリンタ制御部21がレーザ光で照射した感光体22の表面の電位と現像部24における現像バイアス電位の差である現像コントラスト電位を変更する制御部220と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等で画像形成を行うプリンタや複写機といった画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、補正用の画像を記録材に形成し、形成した画像の濃度や色度といった画像情報を読み取り、読み取った画像情報に基づいて画像形成条件を調整することで、画像品質の安定性を向上させる構成を開示している。また、特許文献3は、画像の最大濃度を補正するために現像コントラスト電位を変更することや、階調特性を補正するために階調補正テーブルを変更することを開示している。
【0003】
また、画像を形成した記録材の数、つまり、印刷した枚数が増加すると、記録材上のトナーの粒径が大きくなり、ライン幅が太くなることが知られている。ライン幅が太くなるとトナー層の高さ(厚み)が高くなり、定着処理により、トナーのつぶれや尾引きといった定着不良が生じ得る。そのため、特許文献4は、印刷枚数に応じてキャリブレーションを行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−296669号公報
【特許文献2】特開昭63−185279号公報
【特許文献3】特開平07−261479号公報
【特許文献4】特開2002−244370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷枚数の増加に伴い、記録材に形成される画像の濃度が低下するが、この濃度低下の度合いは記録材の種類により異なる。具体的には、再生紙の様な繊維の凹凸が大きい記録材は、上質紙の様な、再生紙より繊維の凹凸が小さい記録材より濃度の低下度合いが大きくなる。図22を用いてその理由を説明する。図22は、上質紙及び再生紙それぞれに形成した画像のトナーの分布を示している。なお、状態1は印刷開始時の状態を示し、状態2はトナー粒径が大きくなる程度の印刷を行ったときの状態を示している。なお、いずれの場合においても記録材へのトナー載り量は同じである。記録材の凹部は、中間転写体からの距離が凸部より遠いため、凹部における転写電界が凸部より低くなる。繊維の凹凸が大きい再生紙では、凹凸の少ない上質紙より凹部における転写電界が低くなり、印刷枚数の増加によりトナーの劣化が生じると、再生紙では上質紙より凹部にトナーが載り難くなる。よって、図22の状態2に示す様に、凸部と凹部ではトナーの分布が異なり斑状になる。さらに、印刷枚数の増加により記録材上の平均的なトナーの粒径が大きくなるため、斑状態が顕著になる。これにより、再生紙では、印刷枚数が増加すると、トナーで覆われない面積が増加して濃度低下が生じる。図22に示す様に、凹凸の少ない上質紙では、再生紙と比較すると、トナーの不均質な分布が生じ難いため、印刷枚数の増加による濃度低下は再生紙よりは小さい。
【0006】
従来技術においては、記録材の繊維の凹凸といった記録材の種類による特性の相違を考慮していないため、使用する記録材によっては、印刷枚数の増加等により濃度の変化が発生することになる。
【0007】
本発明は、記録材の種類に拘わらず、印刷枚数が増加しても濃度の変化を抑える画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像形成装置は、像担持体にレーザ光を照射して潜像を形成する露光手段、及び、像担持体に形成された潜像をトナーで現像する現像手段を有し、像担持体に現像されたトナー像を記録材に形成する画像形成手段と、現像手段のトナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて、露光手段がレーザ光で照射した像担持体の表面の電位と現像手段における現像バイアス電位の差である現像コントラスト電位を変更する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
記録材の種類に拘わらず、印刷枚数が増加しても濃度の変化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態による画像形成装置の構成図。
【図2】現像コントラスト電位の説明図。
【図3】現像コントラスト電位と濃度との関係を示す図。
【図4】一実施形態によるプリンタ制御部の構成図。
【図5】一実施形態による画像形成制御のフローチャート。
【図6】印刷枚数により現像コントラスト電位がどの様に変化するかを示す図。
【図7】一実施形態における印刷枚数と濃度の変化を示す図。
【図8】一実施形態におけるトナー載り量と濃度の関係を示す図。
【図9】トナー載り量が少ない程、印刷枚数による濃度変化が大きくなる理由の説明図。
【図10】トナーが最密配列状態であるときの単色ベタ画像のトナー載り量の説明図。
【図11】一実施形態によるプリンタ制御部の構成図。
【図12】一実施形態による現像コントラスト電位決定のフローチャート。
【図13】キャリブレーションに使用する画像を示す図。
【図14】一実施形態による現像コントラスト電位決定の説明図。
【図15】印刷枚数とキャリブレーションでの目標最大濃度との関係を示す図。
【図16】印刷枚数の増加によるPWM信号の変化の説明図。
【図17】印刷枚数に対する濃度及びトナー高さとの関係を示す図。
【図18】一実施形態による目標最大濃度及びPWM信号の変更制御のフローチャート。
【図19】粒径検出部がプリンタ制御部に出力する例示的な画像を示す図。
【図20】一実施形態による画像形成制御のフローチャート。
【図21】一実施形態による目標最大濃度及びPWM信号の変更制御のフローチャート。
【図22】記録材の繊維の凹凸により濃度変化に違いが生じることを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)以下では、画像形成装置として、電子写真方式のカラー複写機を用いて各実施形態の説明を行う。しかしながら、カラー複写機は例示であり、本発明は、他の種類の画像形成装置にも適用できる。また、以下の説明においては、繊維の凹凸が大きい記録材を再生紙とし、再生紙より繊維の凹凸が小さい記録材を上質紙として説明を行うが、これら記録材の呼称は例示である。
【0012】
図1は、本実施形態による画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、画像の読取部であるリーダ部1と、画像の形成部であるプリンタ部2を有している。まず、リーダ部1について説明する。原稿台12上に置かれた原稿は、光源13によって照射され、光学系14を介してCCDセンサ15に結像される。光源13、光学系14及びCCDセンサ15を含む光学系ユニットを矢印の方向に走査することにより、原稿台12に置かれた原稿上の画像に対応するRGB画像信号を得る。CCDセンサ15により得られた画像信号は、画像処理部18において、増幅処理や、アナログ−デジタル変換処理等が行われた後、プリンタ部2のプリンタ制御部21に出力される。
【0013】
プリンタ制御部21は、リーダ部1からの画像信号に基づき、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体22をそれぞれ走査するレーザ光を生成する。つまり、プリンタ制御部21は、感光体22に対する露光部でもある。なお、各色のトナー像を中間転写体26に転写するための構成は同じであるため、図1においては、イエローのトナー像を中間転写体26に転写するための部材200のみを示し、他の色のトナー像を中間転写体26に転写するための部材は省略している。
【0014】
像担持体である感光体22は、対応する帯電部23により所定の電位に帯電され、プリンタ制御部21からのレーザービームで照射されることにより、感光体22には静電潜像が形成される。現像部24は、現像バイアス電位を印加して、感光体22の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。一次転写部25は、電圧を印加することで感光体22上のトナー像を中間転写体26に転写する。中間転写体26には、各感光体22が形成した各色のトナー像が重ね合わせて転写され、このトナー像は二次転写部27により、搬送経路90を搬送される記録材91に転写される。記録材91に転写されたトナー像は、定着部28において記録材に定着される。なお、各色に対応する部材200には、露光後の感光体22の表面電位を計測する表面電位計29が設けられている。なお、符号700は粒径検出部700であるが本実施形態では使用せず、その詳細については、第五実施形態で説明する。
【0015】
操作部3は、ユーザが画像形成装置の操作を行うための入出力部である。ユーザは操作部3を操作して、使用する記録材を選択することができる。
【0016】
本実施形態においては、印刷枚数の増加による濃度の低下を抑えるため、印刷枚数に応じて。現像コントラスト電位といった画像形成条件を変更するが、このとき、記録材の種類も考慮して画像形成条件の変更を行う。具体的には、例えば、記録材への印刷枚数の増加に応じて、つまり、トナーの粒径の増加に応じて現像コントラスト電位を増加させ、さらに、繊維の凹凸が大きい記録材程、凹凸の小さい記録材より大きい現像コントラスト電位を使用する。
【0017】
ここで、図2を用いて現像コントラスト電位について説明する。図2は、帯電部23のグリッド電位と、レーザ光による走査後の感光体22の表面電位の関係を示している。なお、図2において、VLはレーザ光のレベルを最小にして走査した時のものであり、VHはレーザ光のレベルを最大にして走査したときのものである。グリッド電位と感光体22の表面電位は比例関係にあるため、例えば、2つのグリッド電位で感光体22の表面を帯電させ、レーザで走査後にその表面電位を表面電位計29で測定することで図2のグラフを得ることができる。VLからVbackの差を設けて現像バイアス電位Vdcを設定する。現像コントラスト電位Vcontは、現像バイアス電位Vdcと、レーザ光による走査後の感光体22の表面電位VHとの差であり、この値が大きいほど、記録材へのトナー載り量が大きくなり、よって、図3に示す様に濃度が高くなる。
【0018】
図4は、本実施形態におけるプリンタ制御部21の構成図である。なお、図4は本実施形態の説明に必要な部分のみを示している。例えば、ユーザが操作部3を操作して指定した記録材及び印刷枚数を示す情報は、制御部220に転送される。制御部220は、記憶部221に保存されている記録材の種類や、現像コントラスト電位の制御に使用する各値を参照して、設定すべき現像コントラスト電位を判定し、判定した現像コントラスト電位となる様に、現像バイアス電位Vdcの設定等を行う。またカウンタ222は、印刷枚数をカウントする。
【0019】
図5は、制御部220が実行する画像形成処理のフローチャートである。制御部220は、S1において、初期化処理を行う。具体的には、カウンタ222を零に設定し、記憶部221から現像コントラスト電位Vcontの初期値及び変化量ΔVを読み出す。続いて、S2において、操作部3からの制御により印刷処理の実行を開始するまで待機する。S2において、印刷処理の実行指示を受け取ると、制御部220は、S3において、印刷に使用する記録材が再生紙であるか上質紙であるかを判定する。再生紙である場合、制御部220は、S4において、現像コントラスト電位Vcontを一時的に変化量ΔVだけ増加させて印刷処理を行う。つまり、再生紙への印刷前に現像コントラスト電位Vcontを変化量ΔVだけ増加させ、印刷後、現像コントラスト電位Vcontを変化量ΔVだけ減少させる。一方、上質紙である場合、制御部220は、S5において、現在の現像コントラスト電位Vcontで印刷処理を行う。いずれの場合でも印刷後、S6においてカウンタ222はカウントを1だけ増加させる。
【0020】
制御部220は、S7において、カウンタ222のカウント値が閾値Th1に達したか否かを判定する。なお、閾値Th1も予め記憶部221に記憶されている。カウント値が閾値Th1に達していない場合、制御部220は、S2に戻って次の記録材への印刷処理まで待機する。一方、カウント値が閾値Th1に達した場合、制御部220は、S8において、現像コントラストVcontを変化量ΔVだけ増加させ、カウンタ222を零に初期化する。
【0021】
図6は、現像コントラスト電位Vcontの初期値をAとし、変化量ΔVをBとしたときの、印刷枚数により現像コントラスト電位がどの様に変化するかを示す図である。図6に示す様に、上質紙においては、印刷枚数が閾値Th1の整数倍に達する度に現像コントラスト電位Vcontが変化量Bだけ増加する。また、再生紙は上質紙より常に変化量Bだけ高い現像コントラスト電位となる。図7は、閾値Th1を10000枚とし、現像コントラストVcontの初期値を200Vとし、変化量ΔVを10Vとしたときの、印刷枚数と濃度との関係を示している。図7に示す様に、印刷枚数及び記録材に拘わらず濃度の変化を抑えることができる。なお、閾値を超える度に増加させる現像コントラスト電位の値と、再生紙の場合に増加させる現像コントラスト電位の値を同じとしたが、これらは違う値であっても良い。さらに、複数の記録材を使用する場合には、記録材の種類、特に凹凸の度合いによって一時的に増加させる現像コントラスト電位の値を異なるものとすることができる。
【0022】
なお、繊維の凹凸の大きさを測る方法として、ベック平滑度方式(JIS P 81199 紙パルプ試験方法)がある。例えば、ベック平滑度測定において、ベック平滑度が所定値以下の記録材の現像コントラスト電位を、それ以外の記録材の現像コントラストより大きくする形態であっても良い。なお、現像コントラスト電位の変更は、グリッド電位を変更する形態であっても、発光強度等の露光条件を変更する形態であっても良い。
【0023】
さらに、印刷枚数に応じて現像コントラスト電位を変更したが、ビデオカウンタ情報や、現像部24のトナーボトル回転数等、トナーの粒径の指標となる値に応じて現像コントラスト電位を変更する形態であっても良い。なお、ビデオカウンタ情報とは、各記録材へ印刷する画像のドット数を、印刷した記録材に渡り積算したものである。
【0024】
(第二実施形態)本実施形態は、第一実施形態で説明した制御に加え、印刷する画像の濃度設定によっても現像コントラスト電位を変更するものである。以下、第一実施形態との相違点について説明する。図8は、上質紙及び再生紙それぞれについて、トナー載り量と濃度との関係を示す図である。なお、状態1は印刷開始時であり、状態2は2万毎印刷後の状態である。図8に示す様に、トナー載り量が少ない場合、印刷枚数の増加による濃度の低下が大きくなる。図9を用いてこの理由を説明する。図9は、トナー載り量が多い場合及びトナー載り量が少ない場合それぞれについて、トナーの分布を示している。なお、状態1は印刷開始時の状態を示し、状態2はトナー粒径が大きくなる程度の印刷を行ったときの状態を示している。既に説明した様に、印刷枚数が増加するとトナーが斑状となり易くなるが、トナー載り量が少ない場合には、多い場合と比較してトナーにより覆えていない記録材の面積の増加割合が多くなり、よって、反射濃度の低下が大きくなる。
【0025】
続いて、トナーが最密配列状態であるときの単色ベタ画像のトナー載り量について図10を用いて説明する。なお、単色ベタ画像とは、1つの色のトナーによる最大濃度の画像を意味する。図10は、トナーの粒系、つまり、直径がL(μm)である4つのトナーが最も密度高く配列されている状態を示している。直径がL(μm)より、トナーの体積V(μm3)は、
V=(4/3)π(L/2)3
である。また、図10の点線で示す平行四辺形に1つのトナーが含まれる割合となることから、この平行四辺形の面積、つまり、トナーを1つ含む単位面積S(μm2)は、
S=(√3/2)L2
である。トナーの密度が最も高くなる様に並んだときの単色ベタ画像のトナーの平均的な高さH(μm)は、単位面積当たりの体積に等しいため、
H=V/S=(πL)/(3√3)
となる。通常、トナー載り量は、単位面積当たりの重さA(mg/cm2)で表すため、トナーの密度をρ(g/cm3)とすると、
A=(1000ρ)・(H/10000)=(ρπL)/(30√3) (1)
である。なお、トナーの密度ρに1000を乗じ、Hを10000で割るのは単位を合わせるためである。
【0026】
本実施形態においては、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が式(1)で示す閾値以下であるか否かにより、第一実施形態における変化量ΔVを異なる値とするものである。より具体的には、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値A以下である場合の変化量ΔVを、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値Aより大きい場合の変化量ΔVより大きくするものである。言い換えると、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値A以下である場合の現像コントラスト電位を、値Aより大きい場合の現像コントラスト電位以上とするものである。これにより、印刷枚数の増加による濃度の変化を、画像形成装置の設定に応じて抑制することができる。
【0027】
(第三実施形態)本実施形態は、現像コントラスト電位設定のためのキャリブレーション、つまり、第一実施形態の現像コントラスト電位の初期値の設定についてのものである。以下、第一実施形態との相違点について主に説明する。図11は、本実施形態におけるプリンタ制御部21の構成図である。制御部220は、プリンタ制御部21の各機能ブロックの制御を行うものであり、記憶部221は、プリンタ制御部21における制御で使用する各データ、例えば、後述するキャリブレーションで使用するパッチ画像のデータ等を保存するものである。
【0028】
プリンタ制御部21には、図1で説明したリーダ部1以外にも、図示しないサーバ装置等から画像信号が入力され得る。濃度変換部211は、入力される画像信号を、濃度値を示す濃度信号に変換する。なお、処理精度の向上のために、入力される8ビットの画像信号に対して、濃度変換部211からディザ処理部213においては、10ビットに拡張して処理を行う。LUT218は、RGB値を含む画像信号を、CMYK値を含む濃度信号に変換する輝度−濃度変換ルックアップテーブルであり、濃度変換部211が使用する。
【0029】
階調制御部212は、プリンタ部2の特性を考慮し、プリンタ部2が形成する画像を理想的なものとする様に濃度信号の補正を行う。LUT219は、いわゆるγ特性を変更するもの、つまり階調補正のためのルックアップテーブルである。また、階調制御部212は、各画素の画素値の総和が閾値を超えた場合、下色除去処理(UCR)等により画素値の総和を低下させる。ここで、画素値の総和を制限するのは、プリンタ部2におけるトナー載り量の規制のためである。つまり、キャリブレーションに使用する記録材に拘わらずトナー載り量を規制し、トナー載り量が閾値を超えることにより発生する画像不良等を防ぐものである。
【0030】
ディザ処理部213は、階調制御部212の出力信号に対してディザ処理を行い、レーザ処理部214に出力する。具体的には、例えば、10ビットの画像信号を4ビットのデータにする中間調処理を行う。レーザ処理部214は、入力信号に基づき、例えば、4ビットの階調のパルス幅変調(PWM)信号を生成し、この信号によりレーザドライバを駆動し、各色の感光体22を露光するための半導体レーザを発光させる。
【0031】
続いて、現像コントラスト電位設定のためのキャリブレーションについて説明する。本実施形態においては、キャリブレーションの開始により、制御部220は、図12のS11においてパッチ画像を記録材に印刷する。パッチ画像は、図13に示す様に、Y、M、C及びKの中間階調濃度による帯パターン51と、Y、M、C及びKそれぞれの最大濃度のパッチ52Y、52M、52C及び52Kを含んでいる。なお、帯パターン51は、目視検査及びパッチ52Y、52M、52C及び52Kの位置検出のためのものであり、パッチ52Y、52M、52C及び52Kは、以下に述べる濃度値検出のためのものである。また、パッチ画像を印刷する際、制御部220は、表面電位計29により各感光体22のパッチ52Y、52M、52C及び52Kを形成した表面の電位を測定し、測定した電位と現像バイアス電位との差である現像コントラスト電位を算出する。なお、他の画像形成条件は、記録材を用いて行う通常の画像出力時と同じとする。
【0032】
記録材に出力したパッチ画像を原稿台12にセットした後、リーダ部1は、S12において、記録材に印刷したパッチ画像を読み取り、濃度変換部211は、リーダ部1が読み取った画像信号を、LUT218を用いて濃度信号に変換する。
【0033】
続いて、プリンタ制御部21は、S13において、以後の処理で使用する現像コントラスト電位を決定する。図14は、現像コントラスト電位と画像濃度の関係を示す図である。通常、最大濃度付近においては、現像コントラスト電位と濃度は比例関係にある。したがって、S12で検出した濃度がDaであり、目標とする最大濃度がDoであり、S11で実測した現像コントラスト電位がaである場合、現像コントラスト電位bを以下の式により決定する。
b=(a+ka)×Do/Da (2)
ここで、kaは現像方式の種類に応じた補正係数である。
【0034】
最後に、制御部220は、S14において、S13で決定した現像コントラスト電位を実現するためのグリッド電位及び現像バイアス電位を決定する。なお、グリッド電位及び現像バイアス電位と現像コントラスト電位との関係は図2を用いて説明した通りである。
【0035】
第一実施形態にて説明したように、印刷枚数が多くなると、記録材へのトナー載り量が同じであっても反射濃度が低下する。したがって、印刷枚数が多い状態において上記キャリブレーションを行った場合、トナー載り量を多くするため、設定される現像コントラスト電位が大きくなり、よって、トナーの高さも高くなる。さらに、再生紙においては、印刷枚数の増加に伴う反射濃度の低下量が上質紙より大きいため、再生紙ではトナー高さが上質紙より高くなってしまう。
【0036】
本実施形態では、記録材の印刷枚数及び記録材の種類によるトナーの高さの変動を抑えるため、図11のキャリブレーションでの目標最大濃度Doを印刷枚数及び記録材の種類に応じて変更する。そして、目標最大濃度の変更による濃度変化を補償するためPWM信号を補正する。
【0037】
図15は、本実施形態における印刷枚数と、キャリブレーション時の目標とする最大濃度との関係を示す図である。図15に示す様に、印刷枚数を増加させるに伴い、キャリブレーションにおける目標最大濃度を低くする。目標最大濃度を印刷枚数の増加により低くすることにより、キャリブレーションによりトナーの高さが高くなりすぎることを防ぐ。なお、再生紙では上質紙より、印刷枚数の増加に伴う反射濃度の低下が大きいので、再生紙では上質紙より目標とする最大濃度の減少量を多くしている。
【0038】
キャリブレーションにおける目標最大濃度を低下させているので、これを補償するため、本実施形態では出力するPWM信号を印刷枚数に応じて変更する。図16は、印刷枚数の増加により、どの様にPWM信号を変化させるかを説明する図である。具体的には、図16(a)は印刷枚数が一番少ない状態であり、図16(c)は印刷枚数が一番多い状態であり、図16(b)がその中間の状態である。図16に示す様に、印刷枚数の増加に応じて1画素に対するレーザ発光時間を長くする。したがって、トナー高さは一定で、1画素内においてトナーが載る面積が大きくなり、印刷枚数の増加による濃度の低下を抑える。なお、再生紙は上質紙より印刷枚数の増加による濃度低下が大きいため、印刷枚数によるレーザ発光時間の増加も再生紙は上質紙より大きくする。図17に本実施形態を適用した場合における、印刷枚数と濃度及びトナー高さの関係を示す。図17に示す様に、本実施形態により、印刷枚数の増加による反射濃度の低下を抑え、かつ、トナー高さの変動も抑えることができる。
【0039】
図18は、本実施形態において制御部220が実行する目標最大濃度と、PWM信号の設定制御のフローチャートである。まず、S21において、制御部220は、カウンタ222を零に初期化し、記憶部221から、初期値T1、T2、P1、P2と、変化量ΔT1、ΔT2、ΔP1及びΔP2を読み出す。ここで、T1及びT2は、それぞれ上質紙及び再生紙の目標最大濃度の初期値であり、ΔT1及びΔT2は、それぞれ上質紙及び再生紙の目標最大濃度の減少量である。また、P1及びP2は、それぞれ上質紙及び再生紙に対するPWM信号のパルス幅の初期値であり、ΔP1及びΔP2は、それぞれ上質紙及び再生紙に対するPWM信号のパルス幅の増加量である。
【0040】
制御部220がS22において印刷処理を実行した場合、カウンタ222は、S23においてカウント値を1だけ増加させる。制御部220は、S24において、カウンタ222のカウント値が閾値Th2に達したか否かを確認する。なお、閾値Th2も予め記憶部221に保存されている。カウント値が閾値Th2に達していない場合、処理はS22に戻る。一方、カウント値が閾値Th2に達した場合、制御部220は、S25において、各記録材に対する目標濃度値を減少量だけ減少させ、PWM信号のパルス幅の値を増加量だけ増加させ、S26においてカウンタ222を零に初期化する。制御部220は、キャリブレーションを実行する場合には、そのときの目標濃度値及びPWMパルス幅を使用して制御を行う。
【0041】
なお、反射濃度を一定にするためにPWM信号のパルス幅を制御したが、これは実際にはLUT219を修正することにより実現できる。以上、本実施形態においては、印刷枚数が閾値Th2の整数倍に達する度にキャリブレーションを実行する際に使用する目標最大濃度を減少させる。これにより印刷枚数の増加時にキャリブレーションを実行することで、トナー高さが高くなりすぎることを防ぐことができる。また、目標最大濃度の減少を相殺するためにPWM信号の発光時間を長くし、これにより濃度の変化を抑えることができる。
【0042】
(第四実施形態)第二実施形態にて説明した様に、印刷枚数の増加に伴う濃度の低下は、記録材へのトナー載り量によっても変化する。本実施形態は、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が式(1)で示す値A以下であるか否かにより、第三実施形態における変化量ΔT1、ΔT2、ΔP1及びΔP2を異なる値とするものである。より具体的には、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値A以下である場合には、設定値が値Aより大きい場合より、各変化量の絶対値を大きくするものである。これにより、画像形成装置の設定に拘わらずトナー高さを一定にすることができる。
【0043】
(第五実施形態)上述した実施形態において、現像コントラスト電位や、キャリブレーションの目標最大濃度及びPWMの設定は、印刷枚数に応じて変更していた。本実施形態は、図1の符号700で示す粒径検出部を中間転写体26に対向して設け、これによりトナー粒径を計測して各値の制御を行うものである。なお、粒径検出部700は、光学系及びCCDを有しており、中間転写体26上のトナーを拡大して撮影するものである。粒径検出部700は撮影した画像をプリンタ制御部21に出力する。図19は粒径検出部700がプリンタ制御部21に出力する画像の例である。プリンタ制御部21の制御部220は、粒径検出部700より取得する画像からトナー500の最大長をそれぞれ計測し、その平均値をトナーの粒径として算出する。なお、トナーが凝集せず、トナー粒径を計測しやすいようにHT画像を形成する。
【0044】
図20は、粒径検出部700の計測結果により現像コントラスト電位を変更する場合のフローチャートである。なお、S31からS38は、S32において制御部220が粒径検出部700を用いてトナーの基準粒径L1を測定する以外、図5のS1からS7と同様でありその説明は省略する。S38において、カウンタ222のカウント値が閾値Th1に達した場合、制御部220は、S39において粒径検出部700を用いてトナーの粒径L2を測定する。制御部220は、S40において、トナーの粒径L2が基準粒径L1より閾値Th3以上大きくなっているか否かを判定する。閾値Th3以上大きくなっていない場合には、S33の処理に戻る。一方、閾値Th3以上大きくなっている場合、制御部220は、S41において、現像コントラスト電位VcontをΔVだけ増加させ、カウンタ222を零に初期化し、S39で測定したトナーの粒径を基準粒径L1とする。その後、制御部220はS33からの処理を繰り返す。
【0045】
図20の処理により、トナーの粒径の変化に応じた現像コントラスト電位Vcontを設定して濃度の変化を抑えることができる。
【0046】
図21は、粒径検出部700の計測結果によりキャブレーションの目標最大濃度及びPWM信号の変更する場合のフローチャートである。なお、S51からS55は、S52において制御部220が粒径検出部700を用いてトナーの基準粒径L1を測定する以外、図18のS21からS24と同様でありその説明は省略する。S55において、カウンタ222のカウント値が閾値Th2に達した場合、制御部220は、S56において粒径検出部700を用いてトナーの粒径L2を測定する。制御部220は、S57において、トナーの粒径L2が基準粒径L1より閾値Th3以上大きくなっているか否かを判定する。閾値Th3以上大きくなっていない場合には、S53の処理に戻る。一方、閾値Th3以上大きくなっている場合、制御部220は、S58において、各記録材に対する目標濃度値を減少量だけ減少させ、PWMパルス幅の値を増加量だけ増加させる。制御部220は、S49においてカウンタ222を零に初期化し、S56で測定したトナーの粒径を基準粒径L1とする。制御部220は、キャリブレーションを実行する場合には、そのときの目標濃度値及びPWMパルス幅を使用して制御を行う。
【0047】
図21の処理により、トナーの粒径の変化に現像より、キャリブレーション後のトナー高さが高くなりすぎることを防ぎ、かつ、濃度の変化を抑えることができる。
【0048】
以上、トナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて現像コントラスト電位を変更することで濃度の変化を抑えることができる。ここで、トナーの粒径に関する情報とは、例えば、記録材への印刷枚数、ビデオカウンタ又は現像部24のトナーボトルの回転数についての情報、或いは、トナーの粒径を計測する粒径検出部700が出力する情報である。なお、現像コントラスト電位は、トナーの粒径が大きくなる程大きくし、さらに、記録材の表面が粗くなる程大きくする。
【0049】
さらに、トナーによるベタ画像の記録材への載り量についての設定が閾値以下である場合の現像コントラスト電位を、閾値より大きい場合の現像コントラスト電位以上とする。これにより、画像形成装置の濃度についての設定による濃度の変化を抑えることができる。
【0050】
また、現像コントラスト電位を調整するキャリブレーション時のパッチ画像に対する目標濃度を、ナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて変更し、目標濃度の変更を補償するために階調補正用のルックアップテーブルを変更する。この構成により、トナー高さが高くなりすぎることを防ぐことができ、トナーのつぶれや尾引きといった定着不良を防ぐことができる。なお、目標濃度は、トナーの粒径が大きくなる程小さくし、記録材の表面が粗くなる程小さくする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等で画像形成を行うプリンタや複写機といった画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、補正用の画像を記録材に形成し、形成した画像の濃度や色度といった画像情報を読み取り、読み取った画像情報に基づいて画像形成条件を調整することで、画像品質の安定性を向上させる構成を開示している。また、特許文献3は、画像の最大濃度を補正するために現像コントラスト電位を変更することや、階調特性を補正するために階調補正テーブルを変更することを開示している。
【0003】
また、画像を形成した記録材の数、つまり、印刷した枚数が増加すると、記録材上のトナーの粒径が大きくなり、ライン幅が太くなることが知られている。ライン幅が太くなるとトナー層の高さ(厚み)が高くなり、定着処理により、トナーのつぶれや尾引きといった定着不良が生じ得る。そのため、特許文献4は、印刷枚数に応じてキャリブレーションを行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−296669号公報
【特許文献2】特開昭63−185279号公報
【特許文献3】特開平07−261479号公報
【特許文献4】特開2002−244370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷枚数の増加に伴い、記録材に形成される画像の濃度が低下するが、この濃度低下の度合いは記録材の種類により異なる。具体的には、再生紙の様な繊維の凹凸が大きい記録材は、上質紙の様な、再生紙より繊維の凹凸が小さい記録材より濃度の低下度合いが大きくなる。図22を用いてその理由を説明する。図22は、上質紙及び再生紙それぞれに形成した画像のトナーの分布を示している。なお、状態1は印刷開始時の状態を示し、状態2はトナー粒径が大きくなる程度の印刷を行ったときの状態を示している。なお、いずれの場合においても記録材へのトナー載り量は同じである。記録材の凹部は、中間転写体からの距離が凸部より遠いため、凹部における転写電界が凸部より低くなる。繊維の凹凸が大きい再生紙では、凹凸の少ない上質紙より凹部における転写電界が低くなり、印刷枚数の増加によりトナーの劣化が生じると、再生紙では上質紙より凹部にトナーが載り難くなる。よって、図22の状態2に示す様に、凸部と凹部ではトナーの分布が異なり斑状になる。さらに、印刷枚数の増加により記録材上の平均的なトナーの粒径が大きくなるため、斑状態が顕著になる。これにより、再生紙では、印刷枚数が増加すると、トナーで覆われない面積が増加して濃度低下が生じる。図22に示す様に、凹凸の少ない上質紙では、再生紙と比較すると、トナーの不均質な分布が生じ難いため、印刷枚数の増加による濃度低下は再生紙よりは小さい。
【0006】
従来技術においては、記録材の繊維の凹凸といった記録材の種類による特性の相違を考慮していないため、使用する記録材によっては、印刷枚数の増加等により濃度の変化が発生することになる。
【0007】
本発明は、記録材の種類に拘わらず、印刷枚数が増加しても濃度の変化を抑える画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像形成装置は、像担持体にレーザ光を照射して潜像を形成する露光手段、及び、像担持体に形成された潜像をトナーで現像する現像手段を有し、像担持体に現像されたトナー像を記録材に形成する画像形成手段と、現像手段のトナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて、露光手段がレーザ光で照射した像担持体の表面の電位と現像手段における現像バイアス電位の差である現像コントラスト電位を変更する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
記録材の種類に拘わらず、印刷枚数が増加しても濃度の変化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態による画像形成装置の構成図。
【図2】現像コントラスト電位の説明図。
【図3】現像コントラスト電位と濃度との関係を示す図。
【図4】一実施形態によるプリンタ制御部の構成図。
【図5】一実施形態による画像形成制御のフローチャート。
【図6】印刷枚数により現像コントラスト電位がどの様に変化するかを示す図。
【図7】一実施形態における印刷枚数と濃度の変化を示す図。
【図8】一実施形態におけるトナー載り量と濃度の関係を示す図。
【図9】トナー載り量が少ない程、印刷枚数による濃度変化が大きくなる理由の説明図。
【図10】トナーが最密配列状態であるときの単色ベタ画像のトナー載り量の説明図。
【図11】一実施形態によるプリンタ制御部の構成図。
【図12】一実施形態による現像コントラスト電位決定のフローチャート。
【図13】キャリブレーションに使用する画像を示す図。
【図14】一実施形態による現像コントラスト電位決定の説明図。
【図15】印刷枚数とキャリブレーションでの目標最大濃度との関係を示す図。
【図16】印刷枚数の増加によるPWM信号の変化の説明図。
【図17】印刷枚数に対する濃度及びトナー高さとの関係を示す図。
【図18】一実施形態による目標最大濃度及びPWM信号の変更制御のフローチャート。
【図19】粒径検出部がプリンタ制御部に出力する例示的な画像を示す図。
【図20】一実施形態による画像形成制御のフローチャート。
【図21】一実施形態による目標最大濃度及びPWM信号の変更制御のフローチャート。
【図22】記録材の繊維の凹凸により濃度変化に違いが生じることを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)以下では、画像形成装置として、電子写真方式のカラー複写機を用いて各実施形態の説明を行う。しかしながら、カラー複写機は例示であり、本発明は、他の種類の画像形成装置にも適用できる。また、以下の説明においては、繊維の凹凸が大きい記録材を再生紙とし、再生紙より繊維の凹凸が小さい記録材を上質紙として説明を行うが、これら記録材の呼称は例示である。
【0012】
図1は、本実施形態による画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、画像の読取部であるリーダ部1と、画像の形成部であるプリンタ部2を有している。まず、リーダ部1について説明する。原稿台12上に置かれた原稿は、光源13によって照射され、光学系14を介してCCDセンサ15に結像される。光源13、光学系14及びCCDセンサ15を含む光学系ユニットを矢印の方向に走査することにより、原稿台12に置かれた原稿上の画像に対応するRGB画像信号を得る。CCDセンサ15により得られた画像信号は、画像処理部18において、増幅処理や、アナログ−デジタル変換処理等が行われた後、プリンタ部2のプリンタ制御部21に出力される。
【0013】
プリンタ制御部21は、リーダ部1からの画像信号に基づき、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体22をそれぞれ走査するレーザ光を生成する。つまり、プリンタ制御部21は、感光体22に対する露光部でもある。なお、各色のトナー像を中間転写体26に転写するための構成は同じであるため、図1においては、イエローのトナー像を中間転写体26に転写するための部材200のみを示し、他の色のトナー像を中間転写体26に転写するための部材は省略している。
【0014】
像担持体である感光体22は、対応する帯電部23により所定の電位に帯電され、プリンタ制御部21からのレーザービームで照射されることにより、感光体22には静電潜像が形成される。現像部24は、現像バイアス電位を印加して、感光体22の静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。一次転写部25は、電圧を印加することで感光体22上のトナー像を中間転写体26に転写する。中間転写体26には、各感光体22が形成した各色のトナー像が重ね合わせて転写され、このトナー像は二次転写部27により、搬送経路90を搬送される記録材91に転写される。記録材91に転写されたトナー像は、定着部28において記録材に定着される。なお、各色に対応する部材200には、露光後の感光体22の表面電位を計測する表面電位計29が設けられている。なお、符号700は粒径検出部700であるが本実施形態では使用せず、その詳細については、第五実施形態で説明する。
【0015】
操作部3は、ユーザが画像形成装置の操作を行うための入出力部である。ユーザは操作部3を操作して、使用する記録材を選択することができる。
【0016】
本実施形態においては、印刷枚数の増加による濃度の低下を抑えるため、印刷枚数に応じて。現像コントラスト電位といった画像形成条件を変更するが、このとき、記録材の種類も考慮して画像形成条件の変更を行う。具体的には、例えば、記録材への印刷枚数の増加に応じて、つまり、トナーの粒径の増加に応じて現像コントラスト電位を増加させ、さらに、繊維の凹凸が大きい記録材程、凹凸の小さい記録材より大きい現像コントラスト電位を使用する。
【0017】
ここで、図2を用いて現像コントラスト電位について説明する。図2は、帯電部23のグリッド電位と、レーザ光による走査後の感光体22の表面電位の関係を示している。なお、図2において、VLはレーザ光のレベルを最小にして走査した時のものであり、VHはレーザ光のレベルを最大にして走査したときのものである。グリッド電位と感光体22の表面電位は比例関係にあるため、例えば、2つのグリッド電位で感光体22の表面を帯電させ、レーザで走査後にその表面電位を表面電位計29で測定することで図2のグラフを得ることができる。VLからVbackの差を設けて現像バイアス電位Vdcを設定する。現像コントラスト電位Vcontは、現像バイアス電位Vdcと、レーザ光による走査後の感光体22の表面電位VHとの差であり、この値が大きいほど、記録材へのトナー載り量が大きくなり、よって、図3に示す様に濃度が高くなる。
【0018】
図4は、本実施形態におけるプリンタ制御部21の構成図である。なお、図4は本実施形態の説明に必要な部分のみを示している。例えば、ユーザが操作部3を操作して指定した記録材及び印刷枚数を示す情報は、制御部220に転送される。制御部220は、記憶部221に保存されている記録材の種類や、現像コントラスト電位の制御に使用する各値を参照して、設定すべき現像コントラスト電位を判定し、判定した現像コントラスト電位となる様に、現像バイアス電位Vdcの設定等を行う。またカウンタ222は、印刷枚数をカウントする。
【0019】
図5は、制御部220が実行する画像形成処理のフローチャートである。制御部220は、S1において、初期化処理を行う。具体的には、カウンタ222を零に設定し、記憶部221から現像コントラスト電位Vcontの初期値及び変化量ΔVを読み出す。続いて、S2において、操作部3からの制御により印刷処理の実行を開始するまで待機する。S2において、印刷処理の実行指示を受け取ると、制御部220は、S3において、印刷に使用する記録材が再生紙であるか上質紙であるかを判定する。再生紙である場合、制御部220は、S4において、現像コントラスト電位Vcontを一時的に変化量ΔVだけ増加させて印刷処理を行う。つまり、再生紙への印刷前に現像コントラスト電位Vcontを変化量ΔVだけ増加させ、印刷後、現像コントラスト電位Vcontを変化量ΔVだけ減少させる。一方、上質紙である場合、制御部220は、S5において、現在の現像コントラスト電位Vcontで印刷処理を行う。いずれの場合でも印刷後、S6においてカウンタ222はカウントを1だけ増加させる。
【0020】
制御部220は、S7において、カウンタ222のカウント値が閾値Th1に達したか否かを判定する。なお、閾値Th1も予め記憶部221に記憶されている。カウント値が閾値Th1に達していない場合、制御部220は、S2に戻って次の記録材への印刷処理まで待機する。一方、カウント値が閾値Th1に達した場合、制御部220は、S8において、現像コントラストVcontを変化量ΔVだけ増加させ、カウンタ222を零に初期化する。
【0021】
図6は、現像コントラスト電位Vcontの初期値をAとし、変化量ΔVをBとしたときの、印刷枚数により現像コントラスト電位がどの様に変化するかを示す図である。図6に示す様に、上質紙においては、印刷枚数が閾値Th1の整数倍に達する度に現像コントラスト電位Vcontが変化量Bだけ増加する。また、再生紙は上質紙より常に変化量Bだけ高い現像コントラスト電位となる。図7は、閾値Th1を10000枚とし、現像コントラストVcontの初期値を200Vとし、変化量ΔVを10Vとしたときの、印刷枚数と濃度との関係を示している。図7に示す様に、印刷枚数及び記録材に拘わらず濃度の変化を抑えることができる。なお、閾値を超える度に増加させる現像コントラスト電位の値と、再生紙の場合に増加させる現像コントラスト電位の値を同じとしたが、これらは違う値であっても良い。さらに、複数の記録材を使用する場合には、記録材の種類、特に凹凸の度合いによって一時的に増加させる現像コントラスト電位の値を異なるものとすることができる。
【0022】
なお、繊維の凹凸の大きさを測る方法として、ベック平滑度方式(JIS P 81199 紙パルプ試験方法)がある。例えば、ベック平滑度測定において、ベック平滑度が所定値以下の記録材の現像コントラスト電位を、それ以外の記録材の現像コントラストより大きくする形態であっても良い。なお、現像コントラスト電位の変更は、グリッド電位を変更する形態であっても、発光強度等の露光条件を変更する形態であっても良い。
【0023】
さらに、印刷枚数に応じて現像コントラスト電位を変更したが、ビデオカウンタ情報や、現像部24のトナーボトル回転数等、トナーの粒径の指標となる値に応じて現像コントラスト電位を変更する形態であっても良い。なお、ビデオカウンタ情報とは、各記録材へ印刷する画像のドット数を、印刷した記録材に渡り積算したものである。
【0024】
(第二実施形態)本実施形態は、第一実施形態で説明した制御に加え、印刷する画像の濃度設定によっても現像コントラスト電位を変更するものである。以下、第一実施形態との相違点について説明する。図8は、上質紙及び再生紙それぞれについて、トナー載り量と濃度との関係を示す図である。なお、状態1は印刷開始時であり、状態2は2万毎印刷後の状態である。図8に示す様に、トナー載り量が少ない場合、印刷枚数の増加による濃度の低下が大きくなる。図9を用いてこの理由を説明する。図9は、トナー載り量が多い場合及びトナー載り量が少ない場合それぞれについて、トナーの分布を示している。なお、状態1は印刷開始時の状態を示し、状態2はトナー粒径が大きくなる程度の印刷を行ったときの状態を示している。既に説明した様に、印刷枚数が増加するとトナーが斑状となり易くなるが、トナー載り量が少ない場合には、多い場合と比較してトナーにより覆えていない記録材の面積の増加割合が多くなり、よって、反射濃度の低下が大きくなる。
【0025】
続いて、トナーが最密配列状態であるときの単色ベタ画像のトナー載り量について図10を用いて説明する。なお、単色ベタ画像とは、1つの色のトナーによる最大濃度の画像を意味する。図10は、トナーの粒系、つまり、直径がL(μm)である4つのトナーが最も密度高く配列されている状態を示している。直径がL(μm)より、トナーの体積V(μm3)は、
V=(4/3)π(L/2)3
である。また、図10の点線で示す平行四辺形に1つのトナーが含まれる割合となることから、この平行四辺形の面積、つまり、トナーを1つ含む単位面積S(μm2)は、
S=(√3/2)L2
である。トナーの密度が最も高くなる様に並んだときの単色ベタ画像のトナーの平均的な高さH(μm)は、単位面積当たりの体積に等しいため、
H=V/S=(πL)/(3√3)
となる。通常、トナー載り量は、単位面積当たりの重さA(mg/cm2)で表すため、トナーの密度をρ(g/cm3)とすると、
A=(1000ρ)・(H/10000)=(ρπL)/(30√3) (1)
である。なお、トナーの密度ρに1000を乗じ、Hを10000で割るのは単位を合わせるためである。
【0026】
本実施形態においては、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が式(1)で示す閾値以下であるか否かにより、第一実施形態における変化量ΔVを異なる値とするものである。より具体的には、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値A以下である場合の変化量ΔVを、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値Aより大きい場合の変化量ΔVより大きくするものである。言い換えると、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値A以下である場合の現像コントラスト電位を、値Aより大きい場合の現像コントラスト電位以上とするものである。これにより、印刷枚数の増加による濃度の変化を、画像形成装置の設定に応じて抑制することができる。
【0027】
(第三実施形態)本実施形態は、現像コントラスト電位設定のためのキャリブレーション、つまり、第一実施形態の現像コントラスト電位の初期値の設定についてのものである。以下、第一実施形態との相違点について主に説明する。図11は、本実施形態におけるプリンタ制御部21の構成図である。制御部220は、プリンタ制御部21の各機能ブロックの制御を行うものであり、記憶部221は、プリンタ制御部21における制御で使用する各データ、例えば、後述するキャリブレーションで使用するパッチ画像のデータ等を保存するものである。
【0028】
プリンタ制御部21には、図1で説明したリーダ部1以外にも、図示しないサーバ装置等から画像信号が入力され得る。濃度変換部211は、入力される画像信号を、濃度値を示す濃度信号に変換する。なお、処理精度の向上のために、入力される8ビットの画像信号に対して、濃度変換部211からディザ処理部213においては、10ビットに拡張して処理を行う。LUT218は、RGB値を含む画像信号を、CMYK値を含む濃度信号に変換する輝度−濃度変換ルックアップテーブルであり、濃度変換部211が使用する。
【0029】
階調制御部212は、プリンタ部2の特性を考慮し、プリンタ部2が形成する画像を理想的なものとする様に濃度信号の補正を行う。LUT219は、いわゆるγ特性を変更するもの、つまり階調補正のためのルックアップテーブルである。また、階調制御部212は、各画素の画素値の総和が閾値を超えた場合、下色除去処理(UCR)等により画素値の総和を低下させる。ここで、画素値の総和を制限するのは、プリンタ部2におけるトナー載り量の規制のためである。つまり、キャリブレーションに使用する記録材に拘わらずトナー載り量を規制し、トナー載り量が閾値を超えることにより発生する画像不良等を防ぐものである。
【0030】
ディザ処理部213は、階調制御部212の出力信号に対してディザ処理を行い、レーザ処理部214に出力する。具体的には、例えば、10ビットの画像信号を4ビットのデータにする中間調処理を行う。レーザ処理部214は、入力信号に基づき、例えば、4ビットの階調のパルス幅変調(PWM)信号を生成し、この信号によりレーザドライバを駆動し、各色の感光体22を露光するための半導体レーザを発光させる。
【0031】
続いて、現像コントラスト電位設定のためのキャリブレーションについて説明する。本実施形態においては、キャリブレーションの開始により、制御部220は、図12のS11においてパッチ画像を記録材に印刷する。パッチ画像は、図13に示す様に、Y、M、C及びKの中間階調濃度による帯パターン51と、Y、M、C及びKそれぞれの最大濃度のパッチ52Y、52M、52C及び52Kを含んでいる。なお、帯パターン51は、目視検査及びパッチ52Y、52M、52C及び52Kの位置検出のためのものであり、パッチ52Y、52M、52C及び52Kは、以下に述べる濃度値検出のためのものである。また、パッチ画像を印刷する際、制御部220は、表面電位計29により各感光体22のパッチ52Y、52M、52C及び52Kを形成した表面の電位を測定し、測定した電位と現像バイアス電位との差である現像コントラスト電位を算出する。なお、他の画像形成条件は、記録材を用いて行う通常の画像出力時と同じとする。
【0032】
記録材に出力したパッチ画像を原稿台12にセットした後、リーダ部1は、S12において、記録材に印刷したパッチ画像を読み取り、濃度変換部211は、リーダ部1が読み取った画像信号を、LUT218を用いて濃度信号に変換する。
【0033】
続いて、プリンタ制御部21は、S13において、以後の処理で使用する現像コントラスト電位を決定する。図14は、現像コントラスト電位と画像濃度の関係を示す図である。通常、最大濃度付近においては、現像コントラスト電位と濃度は比例関係にある。したがって、S12で検出した濃度がDaであり、目標とする最大濃度がDoであり、S11で実測した現像コントラスト電位がaである場合、現像コントラスト電位bを以下の式により決定する。
b=(a+ka)×Do/Da (2)
ここで、kaは現像方式の種類に応じた補正係数である。
【0034】
最後に、制御部220は、S14において、S13で決定した現像コントラスト電位を実現するためのグリッド電位及び現像バイアス電位を決定する。なお、グリッド電位及び現像バイアス電位と現像コントラスト電位との関係は図2を用いて説明した通りである。
【0035】
第一実施形態にて説明したように、印刷枚数が多くなると、記録材へのトナー載り量が同じであっても反射濃度が低下する。したがって、印刷枚数が多い状態において上記キャリブレーションを行った場合、トナー載り量を多くするため、設定される現像コントラスト電位が大きくなり、よって、トナーの高さも高くなる。さらに、再生紙においては、印刷枚数の増加に伴う反射濃度の低下量が上質紙より大きいため、再生紙ではトナー高さが上質紙より高くなってしまう。
【0036】
本実施形態では、記録材の印刷枚数及び記録材の種類によるトナーの高さの変動を抑えるため、図11のキャリブレーションでの目標最大濃度Doを印刷枚数及び記録材の種類に応じて変更する。そして、目標最大濃度の変更による濃度変化を補償するためPWM信号を補正する。
【0037】
図15は、本実施形態における印刷枚数と、キャリブレーション時の目標とする最大濃度との関係を示す図である。図15に示す様に、印刷枚数を増加させるに伴い、キャリブレーションにおける目標最大濃度を低くする。目標最大濃度を印刷枚数の増加により低くすることにより、キャリブレーションによりトナーの高さが高くなりすぎることを防ぐ。なお、再生紙では上質紙より、印刷枚数の増加に伴う反射濃度の低下が大きいので、再生紙では上質紙より目標とする最大濃度の減少量を多くしている。
【0038】
キャリブレーションにおける目標最大濃度を低下させているので、これを補償するため、本実施形態では出力するPWM信号を印刷枚数に応じて変更する。図16は、印刷枚数の増加により、どの様にPWM信号を変化させるかを説明する図である。具体的には、図16(a)は印刷枚数が一番少ない状態であり、図16(c)は印刷枚数が一番多い状態であり、図16(b)がその中間の状態である。図16に示す様に、印刷枚数の増加に応じて1画素に対するレーザ発光時間を長くする。したがって、トナー高さは一定で、1画素内においてトナーが載る面積が大きくなり、印刷枚数の増加による濃度の低下を抑える。なお、再生紙は上質紙より印刷枚数の増加による濃度低下が大きいため、印刷枚数によるレーザ発光時間の増加も再生紙は上質紙より大きくする。図17に本実施形態を適用した場合における、印刷枚数と濃度及びトナー高さの関係を示す。図17に示す様に、本実施形態により、印刷枚数の増加による反射濃度の低下を抑え、かつ、トナー高さの変動も抑えることができる。
【0039】
図18は、本実施形態において制御部220が実行する目標最大濃度と、PWM信号の設定制御のフローチャートである。まず、S21において、制御部220は、カウンタ222を零に初期化し、記憶部221から、初期値T1、T2、P1、P2と、変化量ΔT1、ΔT2、ΔP1及びΔP2を読み出す。ここで、T1及びT2は、それぞれ上質紙及び再生紙の目標最大濃度の初期値であり、ΔT1及びΔT2は、それぞれ上質紙及び再生紙の目標最大濃度の減少量である。また、P1及びP2は、それぞれ上質紙及び再生紙に対するPWM信号のパルス幅の初期値であり、ΔP1及びΔP2は、それぞれ上質紙及び再生紙に対するPWM信号のパルス幅の増加量である。
【0040】
制御部220がS22において印刷処理を実行した場合、カウンタ222は、S23においてカウント値を1だけ増加させる。制御部220は、S24において、カウンタ222のカウント値が閾値Th2に達したか否かを確認する。なお、閾値Th2も予め記憶部221に保存されている。カウント値が閾値Th2に達していない場合、処理はS22に戻る。一方、カウント値が閾値Th2に達した場合、制御部220は、S25において、各記録材に対する目標濃度値を減少量だけ減少させ、PWM信号のパルス幅の値を増加量だけ増加させ、S26においてカウンタ222を零に初期化する。制御部220は、キャリブレーションを実行する場合には、そのときの目標濃度値及びPWMパルス幅を使用して制御を行う。
【0041】
なお、反射濃度を一定にするためにPWM信号のパルス幅を制御したが、これは実際にはLUT219を修正することにより実現できる。以上、本実施形態においては、印刷枚数が閾値Th2の整数倍に達する度にキャリブレーションを実行する際に使用する目標最大濃度を減少させる。これにより印刷枚数の増加時にキャリブレーションを実行することで、トナー高さが高くなりすぎることを防ぐことができる。また、目標最大濃度の減少を相殺するためにPWM信号の発光時間を長くし、これにより濃度の変化を抑えることができる。
【0042】
(第四実施形態)第二実施形態にて説明した様に、印刷枚数の増加に伴う濃度の低下は、記録材へのトナー載り量によっても変化する。本実施形態は、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が式(1)で示す値A以下であるか否かにより、第三実施形態における変化量ΔT1、ΔT2、ΔP1及びΔP2を異なる値とするものである。より具体的には、単色ベタ画像のトナー載り量の設定値が値A以下である場合には、設定値が値Aより大きい場合より、各変化量の絶対値を大きくするものである。これにより、画像形成装置の設定に拘わらずトナー高さを一定にすることができる。
【0043】
(第五実施形態)上述した実施形態において、現像コントラスト電位や、キャリブレーションの目標最大濃度及びPWMの設定は、印刷枚数に応じて変更していた。本実施形態は、図1の符号700で示す粒径検出部を中間転写体26に対向して設け、これによりトナー粒径を計測して各値の制御を行うものである。なお、粒径検出部700は、光学系及びCCDを有しており、中間転写体26上のトナーを拡大して撮影するものである。粒径検出部700は撮影した画像をプリンタ制御部21に出力する。図19は粒径検出部700がプリンタ制御部21に出力する画像の例である。プリンタ制御部21の制御部220は、粒径検出部700より取得する画像からトナー500の最大長をそれぞれ計測し、その平均値をトナーの粒径として算出する。なお、トナーが凝集せず、トナー粒径を計測しやすいようにHT画像を形成する。
【0044】
図20は、粒径検出部700の計測結果により現像コントラスト電位を変更する場合のフローチャートである。なお、S31からS38は、S32において制御部220が粒径検出部700を用いてトナーの基準粒径L1を測定する以外、図5のS1からS7と同様でありその説明は省略する。S38において、カウンタ222のカウント値が閾値Th1に達した場合、制御部220は、S39において粒径検出部700を用いてトナーの粒径L2を測定する。制御部220は、S40において、トナーの粒径L2が基準粒径L1より閾値Th3以上大きくなっているか否かを判定する。閾値Th3以上大きくなっていない場合には、S33の処理に戻る。一方、閾値Th3以上大きくなっている場合、制御部220は、S41において、現像コントラスト電位VcontをΔVだけ増加させ、カウンタ222を零に初期化し、S39で測定したトナーの粒径を基準粒径L1とする。その後、制御部220はS33からの処理を繰り返す。
【0045】
図20の処理により、トナーの粒径の変化に応じた現像コントラスト電位Vcontを設定して濃度の変化を抑えることができる。
【0046】
図21は、粒径検出部700の計測結果によりキャブレーションの目標最大濃度及びPWM信号の変更する場合のフローチャートである。なお、S51からS55は、S52において制御部220が粒径検出部700を用いてトナーの基準粒径L1を測定する以外、図18のS21からS24と同様でありその説明は省略する。S55において、カウンタ222のカウント値が閾値Th2に達した場合、制御部220は、S56において粒径検出部700を用いてトナーの粒径L2を測定する。制御部220は、S57において、トナーの粒径L2が基準粒径L1より閾値Th3以上大きくなっているか否かを判定する。閾値Th3以上大きくなっていない場合には、S53の処理に戻る。一方、閾値Th3以上大きくなっている場合、制御部220は、S58において、各記録材に対する目標濃度値を減少量だけ減少させ、PWMパルス幅の値を増加量だけ増加させる。制御部220は、S49においてカウンタ222を零に初期化し、S56で測定したトナーの粒径を基準粒径L1とする。制御部220は、キャリブレーションを実行する場合には、そのときの目標濃度値及びPWMパルス幅を使用して制御を行う。
【0047】
図21の処理により、トナーの粒径の変化に現像より、キャリブレーション後のトナー高さが高くなりすぎることを防ぎ、かつ、濃度の変化を抑えることができる。
【0048】
以上、トナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて現像コントラスト電位を変更することで濃度の変化を抑えることができる。ここで、トナーの粒径に関する情報とは、例えば、記録材への印刷枚数、ビデオカウンタ又は現像部24のトナーボトルの回転数についての情報、或いは、トナーの粒径を計測する粒径検出部700が出力する情報である。なお、現像コントラスト電位は、トナーの粒径が大きくなる程大きくし、さらに、記録材の表面が粗くなる程大きくする。
【0049】
さらに、トナーによるベタ画像の記録材への載り量についての設定が閾値以下である場合の現像コントラスト電位を、閾値より大きい場合の現像コントラスト電位以上とする。これにより、画像形成装置の濃度についての設定による濃度の変化を抑えることができる。
【0050】
また、現像コントラスト電位を調整するキャリブレーション時のパッチ画像に対する目標濃度を、ナーの粒径に関する情報及び記録材の種類に関する情報に応じて変更し、目標濃度の変更を補償するために階調補正用のルックアップテーブルを変更する。この構成により、トナー高さが高くなりすぎることを防ぐことができ、トナーのつぶれや尾引きといった定着不良を防ぐことができる。なお、目標濃度は、トナーの粒径が大きくなる程小さくし、記録材の表面が粗くなる程小さくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体にレーザ光を照射して潜像を形成する露光手段、及び、前記像担持体に形成された前記潜像をトナーで現像する現像手段を有し、前記像担持体に現像されたトナー像を記録材に形成する画像形成手段と、
前記現像手段のトナーの粒径に関する情報及び前記記録材の種類に関する情報に応じて、前記露光手段がレーザ光で照射した前記像担持体の表面の電位と前記現像手段における現像バイアス電位の差である現像コントラスト電位を変更する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーの粒径に関する情報は、前記記録材への印刷枚数、ビデオカウンタ又は前記現像手段のトナーボトルの回転数についての情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段のトナーの粒径を計測する計測手段を更に備えており、
前記トナーの粒径に関する情報は、前記計測手段が出力する情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記トナーの粒径が大きくなると、前記現像コントラスト電位を大きくすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記録材の表面が粗くなると、前記現像コントラスト電位を大きくすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
単色のトナーによるベタ画像の前記記録材への載り量についての設定が閾値以下になると、前記現像コントラスト電位を大きくすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録材に形成した画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った画像の濃度の階調補正を行うためのルックアップテーブルと、
を更に備えており、
前記制御手段は、前記読取手段が読み取った、前記記録材に形成されたパッチ画像の濃度が目標濃度となる様に前記現像コントラスト電位を設定し、前記現像手段のトナーの粒径に関する情報及び前記記録材の種類に関する情報に応じて前記目標濃度を変更し、前記目標濃度の変更を補償するために前記ルックアップテーブルを変更することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記トナーの粒径が大きくなると、前記目標濃度を小さくすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記記録材の表面が粗くなると、前記目標濃度を小さくすることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体にレーザ光を照射して潜像を形成する露光手段、及び、前記像担持体に形成された前記潜像をトナーで現像する現像手段を有し、前記像担持体に現像されたトナー像を記録材に形成する画像形成手段と、
前記現像手段のトナーの粒径に関する情報及び前記記録材の種類に関する情報に応じて、前記露光手段がレーザ光で照射した前記像担持体の表面の電位と前記現像手段における現像バイアス電位の差である現像コントラスト電位を変更する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーの粒径に関する情報は、前記記録材への印刷枚数、ビデオカウンタ又は前記現像手段のトナーボトルの回転数についての情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段のトナーの粒径を計測する計測手段を更に備えており、
前記トナーの粒径に関する情報は、前記計測手段が出力する情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記トナーの粒径が大きくなると、前記現像コントラスト電位を大きくすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記録材の表面が粗くなると、前記現像コントラスト電位を大きくすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
単色のトナーによるベタ画像の前記記録材への載り量についての設定が閾値以下になると、前記現像コントラスト電位を大きくすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録材に形成した画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った画像の濃度の階調補正を行うためのルックアップテーブルと、
を更に備えており、
前記制御手段は、前記読取手段が読み取った、前記記録材に形成されたパッチ画像の濃度が目標濃度となる様に前記現像コントラスト電位を設定し、前記現像手段のトナーの粒径に関する情報及び前記記録材の種類に関する情報に応じて前記目標濃度を変更し、前記目標濃度の変更を補償するために前記ルックアップテーブルを変更することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記トナーの粒径が大きくなると、前記目標濃度を小さくすることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記記録材の表面が粗くなると、前記目標濃度を小さくすることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−15733(P2013−15733A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149495(P2011−149495)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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