説明

画像形成装置

【課題】 像担持ベルトを複数の駆動部材で搬送する構成において、それぞれの駆動部材による像担持ベルトの搬送速度が異なる場合に発生する像担持ベルトのテンション不均一状態を解消し、色ずれや転写ブレなどの少ない画像形成装置を提供する。
【解決手段】 中間転写ベルト11の内周面に対して、二次転写ローラ20よりも上流側及び下流側の2箇所で同時に接触し、該2箇所における中間転写ベルト11のテンション変化に応じて位置が変化する連結部材23と、該連結部材23の位置変化に連動して位置が変化するテンション検知レバー24と、該テンション検知レバー24の位置を検知する測距センサ25とを有し、駆動ローラ12により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、二次転写ローラ20により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度とが一致するとき、該中間転写ベルト11に対して連結部材23が与える力が該連結部材23の自重よりも小さくなるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電記録方式や電子写真記録方式等により像担持体に形成したトナー画像を記録材に転写して記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のフルカラー画像形成装置において、像担持体である感光体ドラム上に形成されたトナー画像を一次転写部において中間転写ベルトに転写する。そして、該中間転写ベルトに重畳した複数色のトナー画像を二次転写部で一括して紙等の記録材に転写する中間転写ベルト方式を採用した製品が実用化されている。こうした中間転写ベルト方式の画像形成装置の中には二次転写ローラ方式を採用し、二次転写部で紙を安定して搬送するために二次転写ローラをモータ駆動している構成が数多くある。
【0003】
以下に、こうした中間転写ベルト方式の画像形成装置における転写部の概略構成を説明する。
【0004】
中間転写ベルトは、例えば、中間転写ベルト内側に接触する3本の張架ローラにより張架されており、その張架ローラの1本は中間転写ベルトを駆動する駆動ローラとしての役割を合わせ持つ。二次転写ローラは駆動ローラとは異なる張架ローラに対して中間転写ベルトを挟んで対向する位置に配置される。そして、中間転写ベルトの外周面に接触し、駆動ローラとは異なる駆動源により駆動されている。
【0005】
記録材は、二次転写ローラと中間転写ベルトとで挟持搬送されると共に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)、の各一次転写部にて中間転写ベルト上に形成されたトナー画像を二次転写ニップ部にて転写する。
【0006】
上記構成においては、中間転写ベルトは駆動ローラと二次転写ローラとにより別々の位置で搬送力を受けることになる。また、二次転写ニップ部に記録材やトナーが介在しない状態が中間転写ベルトに対する二次転写ローラの摩擦力が最も高い状態であり、二次転写ローラにより中間転写ベルトが受ける搬送力が最も高い状態である。
【0007】
中間転写ベルトと二次転写ローラとの間の摩擦力が高い状態において、駆動ローラによる中間転写ベルトの搬送速度と、二次転写ローラによる中間転写ベルトの搬送速度との間で僅かでも差がある。
【0008】
そのとき、中間転写ベルトは、二次転写ニップ部の上流側と下流側とでそれぞれテンション変動を生じる。二次転写ニップ部の上流側とは、駆動ローラの下流側から二次転写ニップ部の中間転写ベルトの搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)までの間である。二次転写ニップ部の下流側とは、二次転写ニップ部の中間転写ベルトの搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)から一次転写部までの間である。つまり、二次転写ニップ部の上流側と下流側とで、それぞれ中間転写ベルトのテンション状態が不均一となる。
【0009】
中間転写ベルトのテンションが不均一な状態で、二次転写ニップ部に記録材やトナー画像が突入した場合や、二次転写中の画像濃度が低濃度から高濃度へ急激に切り替わると、中間転写ベルトと二次転写ローラとの間に急激な摩擦変化が生じる。
【0010】
この摩擦変化により中間転写ベルトはテンション不均一を解消する方向に瞬間的なテンション変動や中間転写ベルトの伸縮が発生し、速度変動が生じる。この速度変動がY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各一次転写部間における中間転写ベルトの到達時間の差異となる。そして、中間転写ベルトに転写された各色のトナー画像の相互位置が副走査方向(中間転写ベルトの搬送方向)にずれてしまう。
【0011】
その結果、「文字の滲み」や「濃度ムラ」等の画像不良(以下、このトナー画像の相互位置ズレを「色ずれ」という)が発生する。
【0012】
また、同時に上記のような中間転写ベルトのテンション不均一状態からの瞬間的なテンション変動によって、一次転写中の画像のブレや、二次転写中の画像のブレ(以下、これらを「転写ブレ」という)が発生する。
【0013】
上記の課題に対して、特許文献1では、駆動ローラと異なる位置で中間転写ベルトと接触する二次転写ローラにエンコーダ等の回転速度を検出する手段を設け、この回転速度検出手段の検出値に基づいて駆動ローラの回転制御を制御することが提案されている。
【0014】
また、特許文献2では、装置に固設され、且つ、中間転写ベルトに当接して張力を付与する部材を用い、中間転写ベルトの一部のテンションを検知する。その検知結果に基づいて、中間転写ベルトの速度を支配する駆動ローラ及びそれに対向する部材の速度を制御することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−164086号公報
【特許文献2】特開2008−145680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1に示された従来では、二次転写ローラの回転速度を検知して、駆動ローラの速度制御を行っている。これにより、二次転写ローラと駆動ローラとによりそれぞれ駆動される中間転写ベルトの速度差が大きくなることを抑え、中間転写ベルトのテンション変動を小さくすることが可能となる。
【0017】
しかしながら、二次転写ニップ部を通過する記録材の厚みや表面性、トナー画像の量等により中間転写ベルトが二次転写ローラから受ける該二次転写ローラとのニップ部の接線方向の搬送力が時々刻々と変化する。また、熱膨張や熱収縮、摩耗等による各ローラ径の変化により二次転写ローラや駆動ローラによる中間転写ベルトの搬送速度もそれぞれ変化する。
【0018】
しかし、特許文献1に示された技術では、これらの変化に追従しきれず、結果的に中間転写ベルトの速度が変動し、色ズレや転写ブレの発生を抑制しきれないという課題が残る。
【0019】
一方、特許文献2では、中間転写ベルトの二次転写部で負荷変動が生じた場合、中間転写ベルトに当接して張力を付与している当接部材の弾性変形に伴う中間転写ベルトの位置変化量を検知する。その検知結果に基づいて、中間転写ベルトの駆動ローラの速度を制御し、テンション変動を小さくすることを目的としている。
【0020】
しかしながら、特許文献2に示された技術では、中間転写ベルトに負荷変動が生じていない状態においても、当接部材は中間転写ベルトの大きなテンションを受けて弾性変形している。この状態から中間転写ベルトの僅かなテンション変動を当接部材の弾性変形の変化量で正確に検知することは非常に困難である。
【0021】
例えば、中間転写ベルトの理想テンション状態よりも更にテンションが上昇する場合、そのテンション変動を検知するには当接部材が理想状態よりも更に変形する必要がある。しかしながら、中間転写ベルトの僅かなテンション変動では、確実に変化量を検知可能なほど当接部材を変形させるには至らない。従って、特許文献2に示された技術においては、ある程度大きなテンション変動しか確実に検知出来ないといった課題がある。
【0022】
また、上記構成ではテンション上昇側(テンション張り側)よりもテンション下降側(テンション弛み側)への検知感度が高い。しかし、中間転写ベルトの定常走行時の振動やテンション張りや弛みを繰り返すような場合は、それらに追従出来ず、検知結果に大きな誤差を生じ、テンション変動を抑制しきれないという課題がある。
【0023】
本発明の目的は、像担持ベルトの僅かなテンション変動をテンションの張りと弛みの両方向において高精度及び高感度に検知する。そして、像担持ベルトの搬送速度を補正することにより、像担持ベルトのテンション不均一を解消し、色ずれやブレ等の少ない画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、像担持ベルトと、前記像担持体上に形成されたトナー画像を前記像担持ベルトに転写する転写手段と、前記像担持ベルトを張架すると共に駆動する第1の駆動部材と、前記像担持ベルトの外周面に当接して該像担持ベルトを駆動する第2の駆動部材と、前記像担持ベルトのテンションを検知するテンション検知手段と、前記テンション検知手段による検知結果に基づいて、前記第2の駆動部材の回転速度を変更する制御手段とを有し、前記テンション検知手段は、前記像担持ベルトの内周面に対して、前記第2の駆動部材よりも前記像担持ベルトの回転方向上流側及び下流側の2箇所で同時に接触し、該2箇所における前記像担持ベルトのテンション変化に応じて位置が変化する可動部材と、前記可動部材の位置変化に連動して位置が変化する被検知部材と、前記被検知部材の位置を検知する位置検知手段とを有し、前記第1の駆動部材により駆動される前記像担持ベルトの搬送速度と、前記第2の駆動部材により駆動される前記像担持ベルトの搬送速度とが一致するとき、前記像担持ベルトに対して前記可動部材が与える力が該可動部材の自重よりも小さくなるように前記被検知部材を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、テンション検知手段の被検知部材を像担持ベルトに対して可動部材が与える力が該可動部材の自重よりも小さくなるように構成した。それは第1の駆動部材により駆動される像担持ベルトの搬送速度と、第2の駆動部材により駆動される像担持ベルトの搬送速度とが一致するときである。これにより像担持ベルトの僅かなテンション変動をテンションの張りと弛みの両方向において高精度及び高感度に検知する。そして、像担持ベルトの搬送速度を補正することにより、像担持ベルトのテンション不均一を解消出来、色ずれやブレ等の少ない画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図2】第1実施形態のテンション検知手段の動作を説明する断面模式図である。
【図3】テンション検知手段を構成する光学式測距センサの概略模式図である。
【図4】光学式測距センサの出力電圧と検出物までの距離との関係を示す図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の第2実施形態のテンション検知手段の動作を説明する断面模式図である。
【図6】像担持ベルトに当接する可動部材に設けられるコロ部材の断面説明図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の第3実施形態のテンション検知手段の構成を示す分解斜視図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の第3実施形態のテンション検知手段の構成を示す組み立て斜視図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の第4実施形態のテンション検知手段の構成を示す斜視説明図である。
【図10】本発明に係る画像形成装置の第5実施形態のテンション検知手段の動作を説明する正面説明図である。
【図11】本発明に係る画像形成装置の第6実施形態の二次転写ローラの構成を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図により本発明に係る画像形成装置一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0028】
先ず、図1〜図4を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について説明する。
【0029】
<画像形成部の概略構成>
本実施形態では、図1に示すように、静電潜像が形成される像担持体となるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)用の4個の感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kが並設されている。
【0030】
各感光体ドラム2の周囲には、その回転方向上流側から順に、一次帯電器7Y,7M,7C,7K、現像装置3Y,3M,3C,3Kが配置されている。
【0031】
本実施形態では、各感光体ドラム2Y〜2K上(像担持体上)に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段としての各画像形成部PY,PM,PC,PKの構成は、現像色が異なる以外は実質的に同一とされる。以下、記述の煩雑化を防ぐために、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4つの画像形成部PY,PM,PC,PKを画像形成部Pで代表させて説明するものとし、関連する各プロセス手段についても同様とする。
【0032】
感光体ドラム2の対向位置には、該感光体ドラム2上に形成されたトナー画像を該中間転写ベルト11に転写する転写手段となる一次転写ローラ4Y,4M,4C,4Kが配置されている。感光体ドラム2と一次転写ローラ4との間には、該感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像が一次転写される像担持ベルトとなる中間転写ベルト11を挟んでいる。
【0033】
中間転写ベルト11は、該中間転写ベルト11を張架すると共に駆動する第1の駆動部材となる駆動ローラ12、二次転写対向ローラ13、従動ローラ14,15により張架されて回転駆動される。
【0034】
二次転写対向ローラ13に対向して、トナー画像を記録材10に転写させるための転写部材となる二次転写ローラ20が設けられている。二次転写ローラ20は中間転写ベルト11の外周面に当接して該中間転写ベルト11を駆動する第2の駆動部材であって中間転写ベルト11上(像担持ベルト上)に形成されたトナー画像を記録材10に転写させる。
【0035】
中間転写ベルト11の内周側には、該中間転写ベルト11のテンション(tension;張力)状態を検知するテンション検知手段となるテンション検知機構19が設けられる。
【0036】
テンション検知機構19は、中間転写ベルト11の内周面に対して二次転写ローラ20よりも中間転写ベルト11の回転方向上流側(以下、単に「上流側」という)及び下流側の2箇所の位置A,Bで同時に接触する可動部材となる連結部材23を有する。連結部材23は、該2箇所の位置A,Bにおける中間転写ベルト11のテンション変化に応じて位置が変化する可動部材となる。更に、連結部材23の位置変化に連動して位置が変化する被検知部材となるテンション検知レバー24を有する。更に、テンション検知レバー24の位置を検知する位置検知手段となる測距センサ25を有する。
【0037】
テンション検知機構19に設けられた測距センサ25による検知結果に基づいて、制御手段となる制御部27により駆動モータ29を駆動制御して二次転写ローラ20の回転速度を変更する。
【0038】
連結部材23の両端部には、中間転写ベルト11の内周面への当接部を構成する回転自在に軸支されたコロ部材となるコロ21,22が設けられている。コロ21,22の断面形状は、図6に示して後述するように、中間転写ベルト11の幅方向(図1の紙面手前側から奥側方向)中央部(幅方向中央部)において中間転写ベルト11側(像担持ベルト側)に凸となっていれば好ましい。
【0039】
コロ21,22に対して中間転写ベルト11が主走査方向(中間転写ベルト11の幅方向)にズレた場合にも、コロ21,22のテーパー形状により、中間転写ベルト11に負荷を与えることがない。また、該中間転写ベルト11の回転動作に伴い、コロ21,22のテーパー形状に沿って該中間転写ベルト11が正規位置まで移動して復帰することが可能である。即ち、中間転写ベルト11の自動調芯が可能となる。
【0040】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12、二次転写対向ローラ13、従動ローラ14,15、及びテンション検知機構19のコロ21,22により所定のテンションを付与された状態で張架されている。そして、制御部27により駆動モータ28を駆動制御して駆動ローラ12が回転駆動される。
【0041】
中間転写ベルト11が張架されるテンションは、駆動ローラ12が中間転写ベルト11を搬送するために必要最低限の値以上に設定している。そして、駆動ローラ12の材質、駆動ローラ12の表面の摩擦係数、中間転写ベルト11の裏面の摩擦係数、中間転写ベルト11の幅、駆動ローラ12への巻き掛け角度等により、テンションの値は異なる。
【0042】
本実施形態では240mmの幅を持つ中間転写ベルト11に20Nのテンションを付与するよう構成されている。中間転写ベルト11は、イオン導電剤を添加して体積抵抗率1010Ωcm程度に調整された厚さ100μmの無端状樹脂ベルトを用いた。
【0043】
中間転写ベルト11の材質は、本実施形態ではポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。それ以外に、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォンが使用できる。また、熱可塑性ポリイミド等の樹脂材料や、これら樹脂材料の表面にアクリル等の樹脂硬化層を設けたものでも良い。
【0044】
駆動ローラ12は、外径24mmの中空のアルミニウム管に0.5mmの厚みでEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン)ゴムを被覆し、電気抵抗10Ω以下のものを使用した。
【0045】
また、中間転写ベルト11には、該中間転写ベルト11上に付着したトナー(残留トナー)を除去するためのクリーニングローラ18が当接して配置され、該クリーニングローラ18は中間転写ベルト11に従動回転する。
【0046】
二次転写ローラ20は、二次転写対向ローラ13に対して中間転写ベルト11を挟んで対向する位置に設置され、図示しないバネにより一方向に付勢されることで中間転写ベルト11の外周面と接触して二次転写ニップ部T2を形成する。また二次転写ローラ20は駆動モータ29により回転駆動される。
【0047】
本実施形態では、二次転写ローラ20として、ステンレス(SUS)製の芯金51に、厚さ6mmの導電性発泡ゴムを被覆し、硬度30度(Asker−C 4.9N(500gf)荷重時)、外径18mm、電気抵抗値が1×10Ωのローラを用いた。
【0048】
<画像形成装置の動作>
以上のように構成された画像形成装置の画像形成動作について説明する。
【0049】
画像形成動作が開始されると、先ず、シートカセット30内の記録材10は、給送ローラ31と、分離ローラ32との協働により一枚ずつに分離、給送された後、レジストローラ対33に搬送される。
【0050】
このとき、レジストローラ対33は回転を停止しており、このレジストローラ対33のニップ部に記録材10が突き当てられることにより、記録材10の斜行が矯正される。
【0051】
一方、記録材10の搬送動作に並行して、例えばイエローの感光体ドラム2Yにおいては、先ず感光体ドラム2Yの表面が一次帯電器7Yによって一様にマイナス帯電され、次に露光装置1により画像露光が行われる。
【0052】
これにより、感光体ドラム2Yの表面には画像信号のイエロー画像成分と対応した静電潜像が形成される。次に、現像装置3Yが感光体ドラム2Yに当接し、上記静電潜像が現像装置3Yによりマイナス帯電したイエロートナーを用いて現像され、イエロートナー画像として可視像化される。
【0053】
このようにして得られたイエロートナー画像は、一次転写バイアスが供給された一次転写ローラ4Yにより中間転写ベルト11上に一次転写される。
【0054】
このような一連のトナー画像形成動作は、他の感光体ドラム2M,2C,2Kにおいても所定のタイミングをもって順次行われる。
【0055】
各感光体ドラム2上に形成された各色トナー画像は、それぞれの一次転写部で中間転写ベルト11上に順次重ねて一次転写される。
【0056】
このように中間転写ベルト11上に重畳して転写された4色のトナー画像は、図1に示す中間転写ベルト11の矢印a方向の回転に伴い、二次転写ニップ部T2に移動される。
【0057】
更に、レジストローラ対33で斜行を矯正された記録材10は、中間転写ベルト11上の画像とタイミングをとって二次転写ニップ部T2に送り出される。この後、二次転写ローラ20により中間転写ベルト11上の4色のトナー画像が記録材10上へ一括して二次転写される。
【0058】
このようにしてトナー画像が転写された記録材10は、定着装置5に搬送されて、加熱、加圧されることによりトナー画像が定着された後、排出ローラ対6により、排出トレイ8上に排出されて積載される。
【0059】
尚、二次転写が終了した中間転写ベルト11の表面に残留した転写残りトナーは、二次転写対向ローラ13に中間転写ベルト11を挟んで当接されたクリーニングローラ18によって除去される。
【0060】
<テンション検知機構の構成>
次に図2を用いてテンション検知機構19の構成について説明する。
【0061】
テンション検知機構19は、図2に示す中間転写ベルト11上の位置Aと位置Bの2箇所において、該中間転写ベルト11のテンション状態のバランスを検知するものである。
【0062】
駆動ローラ12により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、二次転写ローラ20により駆動される該中間転写ベルト11の搬送速度とが完全に一致する。そのときの中間転写ベルト11上の位置Aと位置Bとにおいて、それぞれのテンション状態を理想テンション状態とする。そして、その理想テンション状態における連結部材23の位置を中立位置という。
【0063】
そして、その理想テンション状態において、中間転写ベルト11に対して連結部材23の両端部に設けられたコロ21,22が与える力が該連結部材23の自重よりも小さくなるようにテンション検知レバー24が構成されている。
【0064】
図2に示すように、テンション検知機構19は、上下端部に2つのコロ21,22を有し、上下動自在に構成される連結部材23を有する。更に、該連結部材23の上下動に応じて装置フレームに設けられた支軸24aを回転中心として回動自在に設けられ、位置が変化するテンション検知レバー24を有する。また、テンション検知レバー24の支軸24aを中心に連結部材23とは反対側に設けられた反射面24bに対向して測距センサ25が設けられている。測距センサ25は支軸24aを中心に回動するテンション検知レバー24の反射面24bとの離間距離を検知する。
【0065】
連結部材23の上端部に回動自在に軸支されたコロ21は、中間転写ベルト11の二次転写ニップ部T2よりも中間転写ベルト11の搬送方向下流側(図2の位置A)に配置される。同じく連結部材23の下端部に回動自在に軸支されたコロ22は、中間転写ベルト11の二次転写ニップ部T2よりも中間転写ベルト11の搬送方向上流側(図2の位置B)に配置される。
【0066】
コロ21,22は、中間転写ベルト11の内周面に当接するよう配置されている。
【0067】
テンション検知機構19の各部品の配置、重量、重心は、中間転写ベルト11が張架されていない状態でも中立位置と略同位置に釣り合うよう構成されている。つまり中間転写ベルト11が無い状態においても該テンション検知機構19における連結部材23の位置は前記中立位置と略同位置に釣り合うよう構成されている。これにより連結部材23を中立位置から一定量移動させるために必要な力は連結部材23の自重を打ち消して該連結部材23の上下方向の何れも殆ど変わらない。
【0068】
従って、テンション検知機構19は、中間転写ベルト11に起こるテンション変動が図2に示す位置Aまたは位置Bにて張り側、或いは弛み側の何れに対しても精度良く動作可能となる。
【0069】
また、テンション検知機構19にはバネ等の外力を与えていないため、連結部材23は外力に対して敏感に反応する。従って、連結部材23は中間転写ベルト11の図2に示す位置A及び位置Bにおける僅かなテンション変動に対しても感度良く追従し、僅かなテンションバランス変化も検知可能である。
【0070】
測距センサ25はテンション検知レバー24の反射面24bの位置を検知するセンサであり、赤外線タイプの測距センサを用いた。本実施形態においては、測距センサ25は図3に示すように、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)によって構成される発光部34を有する。更に、PSD(Position Sensitive Device;位置検出素子)によって構成される受光部36を有する。
【0071】
発光部34からテンション検知レバー24の反射面24bへ赤外線37を照射し、該反射面24bで拡散反射した反射光は、受光部36の受光面36aの前方に配設された受光用集光レンズ35により絞られ、該受光面36aに導かれる。受光面36a上に到達した赤外線37の分布中心の位置によって、三角測量方式でテンション検知レバー24の反射面24bとの離間距離を計測する。
【0072】
受光面36aへ到達した赤外線37の分布中心の位置を検出して距離に変換するためテンション検知レバー24の反射面24bの表面状態で反射率が変化しても距離データには影響しない。そして受光部36で検出した位置から演算用IC(Integrated Circuit)9で距離に変換して電圧値として出力する。
【0073】
本実施形態においては、測距センサ25による検出対象であるテンション検知レバー24の材質を白色の樹脂にし、更に反射面24bの表面を光沢仕上げとすることで、反射面24bにおける光反射率を90%とした。他に、テンション検知レバー24自体を金属で構成したり、反射面24bに反射率の高いシートを貼付する等、テンション検知レバー24と反射面24bとを別体構造としても良い。更に反射面24bの反射率は上記90%に限らず、その他の任意の値に設定することが可能である。
【0074】
本実施形態における測距センサ25の検出物までの距離と、出力電圧との関係を図4に示す。
【0075】
検出物までの距離に対する出力電圧の感度が検知範囲を通して急激な変化がなく、かつ高感度である範囲が良い。従って、本実施形態では測距センサ25からテンション検知レバー24の反射面24bまでの離間距離が図4の範囲Rで示す4mm〜10mmとなるように測距センサ25を配置した。
【0076】
具体的には、図2に示すように、支軸24aを中心としてテンション検知レバー24の連結部材23との連結部までの長さL1と、反射面24bに対向する測距センサ25の測定位置までの長さL2との比からなるレバー比L1:L2は、2:5で構成される。そして、連結部材23の上下方向の移動量に対して測距センサ25の測定位置におけるテンション検知レバー24の反射面24bの上下方向の移動量が約2.5倍に増幅されるように設定した。
【0077】
即ち、テンション検知レバー24の測距センサ25による検知位置における上下方向の可動範囲が、連結部材23の上下方向の可動範囲よりも大きくなるように構成される。
【0078】
これにより、中間転写ベルト11の図2に示す位置A及び位置Bにおける僅かなテンション変動をより精度良く検知可能となる。
【0079】
また、図2(a)に示すテンション検知機構19の中立状態において、中間転写ベルト11上で、位置Aの二次転写対向ローラ13の外周面と、一次転写ローラ4Yの外周面との共通の接線からの突出量A1を1.2mmに設定した。更に、従動ローラ14の外周面と、従動ローラ15の外周面との共通の接線からの突出量B1を2.8mmに設定した。
【0080】
従って、図2(b)に示すように、中間転写ベルト11上で、位置Aのテンション張り側における連結部材23の中立状態からの最大移動可能量は1.2mmであり、これは測距センサ25の測定位置での移動量3mm(1.2mm×2.5=3mm)に相当する。
【0081】
反対に図2(c)に示すように、中間転写ベルト11上で、位置Aのテンション弛み側における測距センサ25の検知幅を3mmとする。そして、該測距センサ25と、テンション検知レバー24の反射面24bとの離間距離が図2(a)に示す中立状態において7mmとなるように測距センサ25を配置する。これにより、テンション検知機構19の動作範囲に対する測距センサ25上での検出距離は図4の範囲Rで示された4mm(7mm−3mm=4mm)〜10mm(3mm+7mm=10mm)となる。
【0082】
これによりテンション検知機構19は中間転写ベルト11に起こるテンション変動が図2の位置Aまたは位置Bにて張り側、或いは弛み側の何れに対しても精度良く検知出来る。
【0083】
<テンション検知機構の動作説明>
以下に図2を用いて中間転写ベルト11のテンション変動による本実施形態の動作を説明する。
【0084】
図2(a)は、連結部材23が中立位置、即ち、二次転写ローラ20により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、駆動ローラ12により駆動される該中間転写ベルト11の搬送速度とが完全に一致する。そして、図2(a)に示す位置A及び位置Bにおける中間転写ベルト11のテンションが理想状態であることを示す。
【0085】
このときの測距センサ25からテンション検知レバー24の反射面24bまでの離間距離X1は先に述べた通り、中間転写ベルト11が無い状態においても略等しくなるようにテンション検知機構19の部品の重量及び支点バランスが構成されている。そして、本実施形態ではX1=7mmに設定している。
【0086】
図2(b)は、中間転写ベルト11上で、位置Aのテンションが高くなった状態を示す。
【0087】
二次転写ローラ20の回転速度が遅くなることで、二次転写ニップ部T2に図2(b)の矢印b方向の接線力が生じる。そして、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2の下流側から、中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム2と一次転写ローラ4とが対向する一次転写ニップ部までの間となる位置Aのテンションが高くなる。反対に駆動ローラ12の下流側から、二次転写ニップ部T2までの間となる位置Bのテンションが低くなる。
【0088】
この中間転写ベルト11のテンションバランスの変化により、連結部材23は位置Aにて中間転写ベルト11により押し下げられる。これと同時に連結部材23は位置Bにて中間転写ベルト11を押し下げる。即ち、連結部材23は図2(b)に示すように下方へ移動する。
【0089】
この連結部材23の動きに同期してテンション検知レバー24は支軸24aを中心に図2(b)の反時計回り方向に回動する。そして、テンション検知レバー24の反射面24bと、測距センサ25との離間距離が、図2(a)に示す中立位置の離間距離X1に対して、図2(b)に示すように離間距離X2(=X1−α)に変位する。この離間距離X2にて測距センサ25から出力される電圧値に応じて画像形成装置内に設けられた制御部27により図2(a)に示す中立位置の目標テンション状態となるように駆動モータ29をフィードバック制御し、二次転写ローラ20の回転速度を変更する。
【0090】
図2(c)に示す状態は、図2(b)に示す状態とは反対に、中間転写ベルト11上で、位置Aのテンションが低くなった状態を示す。
【0091】
二次転写ローラ20の回転速度が速くなることで、二次転写ニップ部T2に図2(c)の矢印c方向の接線力が生じる。そして、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2の下流側から、中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム2と一次転写ローラ4とが対向する一次転写ニップ部までの間となる位置Aのテンションが低くなる。反対に駆動ローラ12の下流側から、二次転写ニップ部T2までの間となる位置Bのテンションが高くなる。
【0092】
この中間転写ベルト11のテンションバランスの変化により、連結部材23は位置Bにて中間転写ベルト11により押し上げられる。これと同時に連結部材23は位置Aにて中間転写ベルト11を押し上げる。即ち、連結部材23は図2(c)に示すように上方へ移動する。
【0093】
この連結部材23の動きに同期してテンション検知レバー24は支軸24aを中心に図2(c)の時計回り方向に回動する。そして、テンション検知レバー24の反射面24bと、測距センサ25との離間距離が、図2(a)に示す中立位置の離間距離X1に対して、図2(c)に示すように離間距離X3(=X1+β)に変位する。この離間距離X3にて測距センサ25から出力される電圧値に応じて画像形成装置内に設けられた制御部27により図2(a)に示す中立位置の目標テンション状態となるように駆動モータ29をフィードバック制御し、二次転写ローラ20の回転速度を変更する。
【0094】
以上のように二次転写ローラ20により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、駆動ローラ12により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度との間に差が生じた場合がある。その場合における中間転写ベルト11の位置Aのテンション変化と、位置Bのテンション変化とは反比例の関係にある。
【0095】
つまり中間転写ベルト11上で、位置Aのテンションが増加するときには、位置Bのテンションは減少し、反対に位置Aのテンションが減少するときには、位置Bのテンションは増加する。
【0096】
テンション検知機構19は、中間転写ベルト11上で、位置A,Bのそれぞれにおけるテンションのバランス状態を、位置Aまたは位置Bのテンション増減の両方向において感度良く検知可能である。
【0097】
テンション検知機構19の検知結果に基づいて、制御部27により常に理想のテンションバランスとなるように二次転写ローラ20の回転速度を調整することで、色ずれや転写ブレ等の画像不良を最小限に抑えることが出来る。
【0098】
以上の本実施形態の構成による画像形成装置と、従来の画像形成装置にて、1枚間欠動作(1枚プリント後に休止時間を設けたプリントジョブ)で合計で2ページの印刷を10回行った。その合計で20枚での転写ブレの発生確率と、副走査方向(中間転写ベルト11の搬送方向)の色ずれに関して比較を行った。尚、ここで、従来の画像形成装置とは、中間転写ベルト11のテンション検知結果を二次転写ローラ20を駆動させる駆動モータ29の回転駆動制御にフィードバックしない構成である。
【0099】
一般に色ずれ量は、150μm以上では視認により容易に認知可能であるため、色ずれ量を100μm以下にすることが望ましい。更に望ましくは50μm以下とすることにより、色ずれによる文字の滲(にじ)みや、2色以上の混合色の色味変化が目立たなくなる。
【0100】
本実施形態の構成による画像形成装置と、前述の従来の画像形成装置とを比較した結果、従来技術による画像形成装置を用いた場合の転写ブレの発生確率は約10%、色ずれ最悪値は120μm、色ずれ平均値は80μmであった。これに対して、本実施形態の構成による画像形成装置を用いた場合の転写ブレの発生は無くなり、色ずれ最悪値は80μm、色ずれ平均値は50μmとなり、大幅に改善した。
【0101】
本実施形態においては、駆動ローラ12の回転速度に対して、二次転写ローラ20の回転速度が速いとき、または反対に遅いときの何れの場合においても、中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を高感度かつ高精度に検知する。そして、二次転写ローラ20の回転速度を変更補正することにより中間転写ベルト11のテンション不均一を解消出来、色ずれやブレ等の少ない画像形成装置を提供することが可能となる。
【実施例2】
【0102】
次に、図5及び図6を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0103】
本実施形態では前記第1実施形態において中間転写ベルト11を張架する従動ローラ15の代わりに、中間転写ベルト11の内周面に接離可能なテンション部材となるテンションローラ16を設けたものである。テンションローラ16は画像形成動作の休止時(プリント動作していない状態)に中間転写ベルト11のテンション解除を行うことが可能である。
【0104】
図5に示すように、本実施形態において中間転写ベルト11の張架ローラの1つであるテンションローラ16は、アーム部材17の他端部に回転自在に軸支されている。アーム部材17の一端部は図示しない装置フレームに回動可能に軸支されたテンション調整ギア26の回転軸26aに固定されている。
【0105】
そして、制御部27により制御されるモータ38により回転駆動されるテンション調整ギア26の回転と連動してアーム部材17が回転軸26aを中心に回動する。そして、テンションローラ16が中間転写ベルト11の内周面に接離して、該中間転写ベルト11へのテンション付与及びテンション解除が可能となっている。
【0106】
テンション検知機構19は、前記第1実施形態と同様に、中間転写ベルト11上で、図5に示す位置A,Bのそれぞれにおいて中間転写ベルト11の内周面に上下で接触する2つのコロ21,22を有する。そして、図5の矢印で示す上下方向に自在に上下動可能な連結部材23を有する。更に、連結部材23の位置変化に連動して支軸24aを回転中心として回動することにより位置が変化するテンション検知レバー24を有する。更に、テンション検知レバー24の反射面24bの位置を検知する測距センサ25を有する。
【0107】
ここで、コロ22の軸方向の長さL3は、図6に示すように、中間転写ベルト11の幅より短い長さL3の範囲で中間転写ベルト11の内周面に接触する。更にコロ22の軸方向中央部の直径D1は、コロ22の軸方向端部の直径D2(D2<D1)よりも大きくなっている。
【0108】
図5(a)に示すように、画像形成動作時には、テンションローラ16によって中間転写ベルト11に対して前記第1実施形態の従動ローラ15と同様に所定のテンションを付与している。従って、画像形成動作時におけるテンション変動に対する一連の二次転写ローラ20の回転速度補正に関わる動作は前記第1実施形態と同様である。
【0109】
一方、本実施形態では画像形成休止時(プリント動作していない状態)にテンションローラ16を中間転写ベルト11の内周面から退避させて中間転写ベルト11へのテンション解除を行う。
【0110】
<テンション解除及び付与動作>
以下に中間転写ベルト11に対するテンション解除及びテンション付与動作について説明する。
【0111】
画像形成動作の完了後、画像形成休止状態に移行する際には、制御部27により制御される駆動源となるモータ38によりテンション調整ギア26が回転軸26aを中心に図5の反時計回り方向に回転駆動される。これにより、該テンション調整ギア26に連動してアーム部材17が回転軸26aを中心に図5の反時計回り方向に回動する。それに伴い中間転写ベルト11上の位置Bにおけるテンションが減少し、位置Aと位置Bとのテンションバランスが変動する。
【0112】
このテンションバランスの変動によりテンション検知機構19の連結部材23は位置Aにて中間転写ベルト11により押し下げられる。これと同時に連結部材23は位置Bにて中間転写ベルト11を押し下げる。即ち、連結部材23は図5(b)に示すように下方へ移動する。
【0113】
連結部材23の下方向への動きに同期して、テンション検知レバー24が支軸24aを中心に図5(b)の反時計回り方向に回動する。そして、該テンション検知レバー24の反射面24bと、測距センサ25との離間距離Xが図5(a)に示す中立位置の離間距離X1に対して、図5(b)に示すように離間距離X4(=X1−γ)に変位する。
【0114】
この離間距離X4にて測距センサ25から出力される電圧値に応じて画像形成装置内に設けられた制御部27によりテンション調整ギア26が図5(a)に示す位置で停止するよう駆動源となるモータ38を制御する。このとき中間転写ベルト11のテンション解除動作が完了する。本実施形態で離間距離X4(=X1−γ)は、中間転写ベルト11上の位置Aにおける検知可能な最大テンション時の図2(b)に示して前述した離間距離X2(=X1−α)に対して、X4<X2となるように設定している。
【0115】
また、中間転写ベルト11のテンション解除後、画像形成動作に移行する際(テンション復帰動作時)には、先ず、制御部27により制御されるモータ38によりテンション調整ギア26が回転軸26aを中心に図5(a)の時計回り方向に回転駆動される。
【0116】
これにより、該テンション調整ギア26に連動してアーム部材17が回転軸26aを中心に図5(a)の時計回り方向に回動する。そして、テンションローラ16が中間転写ベルト11の内周面に当接して該中間転写ベルト11に図5(a)に示す所定のテンションを付与する。
【0117】
上記テンション復帰動作時に、駆動ローラ12が中間転写ベルト11に対してスリップしない状態まで駆動ローラ12及び二次転写ローラ20は回転動作を休止している。中間転写ベルト11のテンションが、駆動ローラ12が中間転写ベルト11をスリップなく駆動可能な状態となるときのテンション検知レバー24の反射面24bと、測距センサ25との離間距離をX5とする。測距センサ25が前記離間距離X5を検知すると、制御部27により駆動モータ28,29がそれぞれ回転駆動されて駆動ローラ12及び二次転写ローラ20がそれぞれ回転し、画像形成動作時と同様に中間転写ベルト11のテンション制御動作を行う。
【0118】
更に上記のテンション復帰動作時に、コロ22に対して中間転写ベルト11が主走査方向(中間転写ベルト11の幅方向)にズレた場合にも、図6に示して前述したように、コロ22のテーパー形状により、中間転写ベルト11に負荷を与えることがない。該中間転写ベルト11の回転動作に伴い、コロ22のテーパー形状に沿って該中間転写ベルト11が正規位置まで移動して復帰することが可能である。即ち、中間転写ベルト11の自動調芯が可能となる。
【0119】
本実施形態では、コロ22のみを図6に示すテーパー形状としたが、コロ21の断面形状も図6に示すコロ22の断面形状と同様な形状としても良い。
【0120】
また、本実施形態においても駆動ローラ12に対して二次転写ローラ20の回転速度が速いか、或いは遅い場合の何れに対してもテンション検知機構19により中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を高感度かつ高精度に検知可能である。
【0121】
その検知結果に基づいて、制御部27により駆動モータ29を制御して二次転写ローラ20の回転速度を変更補正することで、中間転写ベルト11のテンション不均一状態を解消出来、色ずれや転写ブレ等の少ない画像形成装置を提供可能となる。
【0122】
また、本実施形態では、画像形成休止時にテンションローラ16を中間転写ベルト11の内周面から退避させて該中間転写ベルト11のテンションを解除する。これにより、該中間転写ベルト11の各張架ローラへの巻き付きによる塑性変形(巻き癖)を抑制することが出来、画像形成動作時における中間転写ベルト11の走行安定性を長期間に亘り維持可能となる。
【0123】
中間転写ベルト11の巻き癖部でのテンション検知機構19の突発動作等、中間転写ベルト11のテンション変動要因以外でのテンション検知機構19の誤動作を抑制し、中間転写ベルト11のテンション変動を誤検知なく、高感度かつ高精度に検知可能となる。
【0124】
また、本実施形態では中間転写ベルト11にテンションを付与する退避可能なテンションローラ16は、画像形成動作時には所定の位置に固設されている軸間固定式を採用した。他に、バネ等の弾性部材によりテンションローラ16を中間転写ベルト11の内周面に押圧させることで、所定のテンションを付与するバネ押圧方式としても同様の効果が得られる。他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例3】
【0125】
次に、図7及び図8を用いて本発明に係る画像形成装置の第3実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0126】
本実施形態ではテンション検知機構19において、中間転写ベルト11の内周面に対して、二次転写ローラ20よりも該中間転写ベルト11の回転方向上流側及び下流側の2箇所となる位置A,Bで同時に上下の連結部材43a,43bのコロ41,42が接触する。
【0127】
そして、該位置A,Bにおける中間転写ベルト11のテンション変化に応じて位置が上下方向に変化する可動部材となる連結部材43を上下に二分割した連結部材43a,43bが互いに上下方向にスライド自在に嵌合して構成したものである。上下の連結部材43a,43bの上下端部には、それぞれ中間転写ベルト11の内周面に当接するコロ部材となるコロ41,42が回転自在に軸支されている。
【0128】
本実施形態において、テンション検知機構19は、中間転写ベルト11の内周面に当接するコロ部材となる複数のコロ41a,41b,41c,41dを有する連結部材43aを有する。更に、同じく中間転写ベルト11の内周面に当接するコロ部材となるコロ42a,42b,42c,42dを有する連結部材43bを有する。更に、連結部材43bの上下方向の位置変化に連動して支軸46を中心に回動することで位置が変化する被検知部材となるテンション検知レバー44を有する。
【0129】
図7及び図8に示すように、画像形成装置本体に取り付けられた中間転写フレーム45の下部に設けられた突起部45aの貫通孔45a1と、テンション検知レバー44の回転中心に設けられた貫通孔44aとに支軸46が挿通されている。これにより、テンション検知レバー44が中間転写フレーム45に対して支軸46を中心に回動自在に軸支されている。
【0130】
また、下方側に取り付けられる連結部材43bはテンション検知レバー44に設けられた支軸47が連結部材43bに設けられた貫通孔43b1に挿通されて、連結部材43bがテンション検知レバー44に対して支軸47を中心に回動自在に軸支されている。
【0131】
下方側に取り付けられる連結部材43bの上面の両端部近傍にはガイド溝49aを有するガイドレール49が立設されており、該連結部材43bの上面の中央部には図示しない嵌合穴が設けられている。一方、上方側に取り付けられる連結部材43aの下面の両端部近傍には、連結部材43bの上面に設けられたガイドレール49のガイド溝49a内にスライド自在に挿入される突起部50aが垂下して設けられている。また、連結部材43aの下面の中央部には連結部材43bの上面に形成された図示しない嵌合穴内にスライド自在に挿入される突起部50bが垂下して設けられている。
【0132】
そして、テンション検知レバー44に対して支軸47を中心に回動自在に軸支された連結部材43bのガイドレール49のガイド溝49a内に連結部材43aの突起部50aを挿入する。そして、該連結部材43bの上面に形成された図示しない嵌合穴内に連結部材43aの突起部50bを挿入する。これにより、上方側に取り付けられる連結部材43aが下方側に取り付けられる連結部材43bに対して上下方向にスライド自在に支持される。
【0133】
本実施形態では組み立て性を考慮して、連結部材43aと連結部材43bとは、突起部50a,50bがガイド溝49a及び図示しない嵌合穴にスライド可能に挿入されて互いに嵌合するのみで保持されており、両部材の分離方向(抜け方向)への固定はしていない。
【0134】
また、前記各実施形態と同様に、駆動ローラ12により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、二次転写ローラ20により駆動される該中間転写ベルト11の搬送速度とが一致する。そのとき、該中間転写ベルト11に対して連結部材43が与える力が該連結部材43の自重よりも小さくなるようにテンション検知レバー44が構成されている。即ち、テンション検知機構19は中間転写ベルト11の理想テンション状態における位置と略同位置にて支軸46を中心に釣り合うように設定されている。
【0135】
また、上方側に取り付けられる連結部材43aの上端部にコロ軸部48aを中心に回転自在に軸支されたコロ41a,41b,41c,41dが中間転写ベルト11の内周面に接触する。また、下方側に取り付けられる連結部材43bの下端部にコロ軸部48bを中心に回転自在に軸支されたコロ42a,42b,42c,42dが中間転写ベルト11の内周面に接触する。
【0136】
これにより、常に連結部材43aと連結部材43bとの間には圧縮力が働く。従って前述の各実施形態と同様に中間転写ベルト11のテンション変動に伴い、連結部材43aと連結部材43bとは一体的に上下方向に位置が変化する。
【0137】
また、連結部材43a,43bにそれぞれ設けられるコロ41a,41b,41c,41d及びコロ42a,42b,42c,42dの外径は、それぞれ、{コロ41aの外径>コロ41bの外径>コロ41cの外径>コロ41dの外径}のように設定されている。同じく、{コロ42aの外径>コロ42bの外径>コロ42cの外径>コロ42dの外径}のように設定されている。
【0138】
即ち、コロ41,42は、それぞれ両端部から中央部にかけてコロの外径が大きくなっている。これにより、図6に示して前述したと同様に、コロ41,42に対して中間転写ベルト11が主走査方向(中間転写ベルト11の幅方向)にズレた場合にも、コロ41,42のテーパー形状により、中間転写ベルト11に負荷を与えることがない。更に、該中間転写ベルト11の回転動作に伴い、コロ41,42のテーパー形状に沿って該中間転写ベルト11が正規位置まで移動して復帰することが可能である。即ち、中間転写ベルト11の自動調芯が可能となる。
【0139】
また、本実施形態ではコロ41,42の外径を{コロ41aの外径>コロ41bの外径>コロ41cの外径>コロ41dの外径}に設定した。更に、{コロ42aの外径>コロ42bの外径>コロ42cの外径>コロ42dの外径}に設定した。しかし、コロ41,42の軸方向中央部に対して軸方向端部の外径が大きくなければ良く、必ずしもこれに限定しない。
【0140】
中間転写ベルト11のテンションを受けるコロ41,42をそれぞれコロ41a,41b,41c,41d、コロ42a,42b,42c,42dと複数個並設した。これにより、中間転写ベルト11からコロ41,42のそれぞれのコロ軸部48a,48bの軸支点が受ける力を分散出来る。これによりコロ41,42の撓みや、コロ軸部48a,48bまたは連結部材43a,43bのコロ軸部48a,48bを支持する軸受部の変形等を抑えつつ、テンション検知機構19を小型、軽量化することが可能となる。
【0141】
本実施形態においても、前記各実施形態と同様に、駆動ローラ12の回転速度に対して二次転写ローラ20の回転速度が速い場合、或いは遅い場合の何れに対しても、中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を高感度かつ、高精度に検知可能である。そして、テンション検知機構19の検知結果に基づいて、制御部27により駆動モータ29を制御して二次転写ローラ20の回転速度を変更補正する。これにより、中間転写ベルト11のテンション不均一状態を解消出来、色ずれや転写ブレ等の少ない画像形成装置を提供可能となる。
【0142】
更に本実施形態においては、テンション検知機構19のコロ41,42をそれぞれ複数個に分割配置する。これにより、テンション検知機構19を軽量化出来、中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を更に感度良く、高精度に検知可能であり、色ずれや転写ブレ等がより少ない画像形成装置を提供可能となる。
【0143】
更に連結部材43を2分割することで、設置の自由度、良好な組み立て性が実現出来、色ずれや転写ブレ等がより少ない画像形成装置を安価に提供可能となる。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例4】
【0144】
次に、図9を用いて本発明に係る画像形成装置の第4実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記各実施形態では、中間転写ベルト11の内周面に対して、可動部材となる連結部材23,43の上下端部に回転自在に軸支されたコロ部材となるコロ21,22,41,42を従動自在に当接させて構成した。本実施形態では中間転写ベルト11の内周面に対して、可動部材となる連結部材57の上下端部に該中間転写ベルト11の内周面への当接部として湾曲状の摺動部57a2,57b2を設けて構成したものである。
【0145】
図9に示すように、テンション検知機構19において、中間転写ベルト11の内周面に対して、二次転写ローラ20よりも該中間転写ベルト11の回転方向上流側及び下流側の2箇所となる位置A,Bで同時に接触する連結部材57を有する。そして、該位置A,Bにおける中間転写ベルト11のテンション変化に応じて位置が上下方向に変化する可動部材となる連結部材57を上下に二分割した連結部材57a,57bにより構成される。
【0146】
下方側の連結部材57bは、装置フレームに軸支された支軸46を中心に回動自在に設けられる被検知部材となるテンション検知レバー44に対して支軸59を中心に回動自在に取り付けられている。
【0147】
下方側の連結部材57bに設けられる位置決め用の突起部57b1を、上方側の連結部材57aに設けられる貫通孔57a1に挿入して嵌合させる。そして、該連結部材57a,57bに設けられた図示しない貫通孔にボルト等の締結部材58を挿通してナット等により締結して該連結部材57a,57bが連結されている。これにより、テンション検知レバー44は連結部材57と一体的に支軸46を中心に回動自在に設けられる。
【0148】
本実施形態において、テンション検知機構19は中間転写ベルト11の内周面と接触して摺動する摺動部57a2を有する連結部材57aと、同じく中間転写ベルト11の内周面と接触して摺動する摺動部57b2を有する連結部材57bを有する。
【0149】
また、前述の各実施形態と同様に、駆動ローラ12により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、二次転写ローラ20により駆動される該中間転写ベルト11の搬送速度とが一致する。そのとき、該中間転写ベルト11に対して連結部材57が与える力が該連結部材57の自重よりも小さくなるようにテンション検知レバー44が構成されている。即ち、テンション検知機構19は中間転写ベルト11の理想テンション状態における位置と略同位置にて支軸46を中心に釣り合うように設定されている。
【0150】
本実施形態においても、前記各実施形態と同様に、駆動ローラ12の回転速度に対して二次転写ローラ20の回転速度が速い場合、或いは遅い場合の何れに対しても、中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を高感度かつ、高精度に検知可能である。そして、テンション検知機構19の検知結果に基づいて、制御部27により駆動モータ29を制御して二次転写ローラ20の回転速度を変更補正する。これにより、中間転写ベルト11のテンション不均一状態を解消出来、色ずれや転写ブレ等の少ない画像形成装置を提供可能となる。
【0151】
更に、本実施形態においては、テンション検知機構19における中間転写ベルト11のテンションを受ける当接部となる摺動部57a2,57b2をそれぞれ連結部材57a,57bと一体とする。これにより、テンション検知機構19を更に簡略化、小型化出来、色ずれや転写ブレ等がより少ない画像形成装置を安価に提供可能となる。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例5】
【0152】
次に、図10を用いて本発明に係る画像形成装置の第5実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0153】
本実施形態では、中間転写ベルト11の内周面に対して、二次転写ローラ20よりも該中間転写ベルト11の回転方向上流側及び下流側の2箇所となる位置A,Bで同時に上下の連結部材63a,63bのコロ61,62が接触する。
【0154】
そして、該位置A,Bにおける中間転写ベルト11のテンション変化に応じて位置が上下方向に変化する可動部材となる連結部材63を上下に二分割した連結部材63a,63bが互いに中心軸65を中心に揺動可能に構成したものである。上下の連結部材63a,63bの上下端部には、それぞれ中間転写ベルト11の内周面に当接するコロ部材となるコロ61,62が回転自在に軸支されている。
【0155】
本実施形態においてテンション検知機構19は、上端部に複数のコロ61,62をコロ軸部48aを中心に回転自在に軸支する上方側の連結部材63aを有する。更に、下端部に複数のコロ61,62をコロ軸部48bを中心に回転自在に軸支する下方側の連結部材63bを有する。
【0156】
更に、連結部材63bの位置変化に連動して位置が変化する被検知部材となる図7に示して前述したと同様のテンション検知レバー44を有する。
【0157】
装置フレームに取り付けられた中間転写フレーム45に支軸46を中心に回動自在にテンション検知レバー44が取り付けられる。これは、図7及び図8に示して前述した第3実施形態と同様である。図10に示すように、下方側に取り付けられる連結部材63bはテンション検知レバー44に設けられた支軸47が連結部材63bに設けられた図示しない貫通孔に挿通される。そして、該連結部材63bがテンション検知レバー44に対して支軸47を中心に回動自在に軸支されている。
【0158】
図10(a)〜(c)に示すように、上方側の連結部材63aは、下方側の連結部材63bに対して中心軸65を回転中心に図10(b),(c)に示す矢印方向に揺動可能に設置されている。
【0159】
上方側の連結部材63aの両側の下部には突起部63a1が設けられている。そして、該連結部材63aが中心軸65を中心に図10(b),(c)に示す矢印方向に揺動して該突起部63a1が下方側の連結部材63bの上面に当接することで連結部材63aの揺動角度が規制される。
【0160】
また、前述の各実施形態と同様に、駆動ローラ12により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、二次転写ローラ20により駆動される該中間転写ベルト11の搬送速度とが一致する。そのとき、該中間転写ベルト11に対して連結部材63が与える力が該連結部材63の自重よりも小さくなるようにテンション検知レバー44が構成されている。即ち、テンション検知機構19は中間転写ベルト11の理想テンション状態における位置と略同位置にて図7及び図8に示すと同様な支軸46を中心に釣り合うように設定されている。
【0161】
上方側の連結部材63aに設置されたコロ61,62の中間転写ベルト11の搬送方向上下流側に二次転写対向ローラ13及び一次転写ローラ4Yが位置する。そして、該二次転写対向ローラ13及び一次転写ローラ4Yのアラインメント(Alignment;各ローラの傾き)に対して該コロ61,62の傾きを自動補正出来る。
【0162】
即ち、該連結部材63aが下方側の連結部材63bに対して中心軸65を中心に揺動する。これにより、コロ61,62の傾きを自動補正出来る。
【0163】
これにより中間転写ベルト11への各ローラ相互のアラインメントのズレにより発生する中間転写ベルト11への局部的な押圧や、ベルト寄り力を抑制することが可能となる。
【0164】
また、本実施形態では、図10に示すように、連結部材63a,63bの両端部に設置されたコロ62の軸方向端部がテーパ形状となっていることで、中間転写ベルト11への局部的な押圧集中を軽減出来、中間転写ベルト11の耐久性を向上出来る。
【0165】
本実施形態においても、前記各実施形態と同様に、駆動ローラ12の回転速度に対して二次転写ローラ20の回転速度が速い場合、或いは遅い場合の何れに対しても、中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を高感度かつ、高精度に検知可能である。
【0166】
そして、テンション検知機構19の検知結果に基づいて、制御部27により駆動モータ29を制御して二次転写ローラ20の回転速度を変更補正する。これにより、中間転写ベルト11のテンション不均一状態を解消出来、色ずれや転写ブレ等の少ない画像形成装置を提供可能となる。
【0167】
更に、本実施形態においては、テンション検知機構19のコロ61,62をそれぞれ複数個に分割配置する。これにより、テンション検知機構19を軽量化出来、中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を更に感度良く、高精度に検知可能であり、色ずれや転写ブレ等がより少ない画像形成装置を安価に提供可能となる。
【0168】
更に、上方側の連結部材63aを、下方側の連結部材63bに対して中心軸65を中心に揺動可能にした。これにより、中間転写ベルト11への各ローラ相互のアラインメントのズレにより発生する中間転写ベルト11への局部的な押圧による該中間転写ベルト11へのダメージを抑制する。
【0169】
更に、中間転写ベルト11の主走査方向(中間転写ベルト11の幅方向)への寄り力を抑制する。更に、該中間転写ベルト11の僅かなテンション変動を感度良く、高精度に検知可能である。これにより、色ずれや転写ブレ等がより少なく、且つ耐久性の高い画像形成装置を提供可能となる。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例6】
【0170】
次に、図11を用いて本発明に係る画像形成装置の第6実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、中間転写ベルト11の外周面に当接して該中間転写ベルト11を駆動する二次転写ローラ20の外表面に樹脂チューブ55が被覆され、該樹脂チューブ55の表面にクリーニングブレード56が当接されたものである。
【0171】
図11を用いて本実施形態の二次転写ローラ20の構成について説明する。二次転写ローラ20は、中央部にステンレス(SUS)製の芯金51を有する。更に、該芯金51の外側にプライマ層52、NBR(nitril-butadiene rubber;ニトリルブタジエンゴム)発泡ゴム53、プライマ層54、ポリイミド製の樹脂チューブ55を有して構成されている。尚、プライマ層52,54は導電性接着剤からなる。
【0172】
最表層のポリイミド製の樹脂チューブ55は、厚み50μm、Rz(表面粗さ)が約0.3μmのものであり、外径18mm、硬度65度(Asker−C(1000gf)9.8N荷重時)、電気抵抗値が1×10Ωなるものを使用した。
【0173】
本実施形態では、二次転写ローラ20の最表層の樹脂チューブ55の材質は、ポリイミドとした。それ以外に、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォンを使用できる。更に、熱可塑性ポリイミド等の樹脂材料や、表面にアクリル等の樹脂硬化層や、ソリッド状のゴム等の弾性層を設けた構成でも良い。
【0174】
また、本実施形態の二次転写ローラ20はポリイミド製の樹脂チューブ55を被覆したローラであるため、同じく樹脂製の中間転写ベルト11との間に高い摩擦力が生じる。これは、互いに平滑性の高い樹脂であるために、二次転写ニップ部T2での真実接触面積が広く、ファンデルワールス力等に起因する付着力が増大するためである。本実施形態における二次転写ローラ20の表面と、中間転写ベルト11の表面との間の静止摩擦係数は、JIS-K7125に準拠した測定方法で0.6であった。
【0175】
このような場合、二次転写ニップ部T2での接線力変動も大きくなるために、中間転写ベルト11のテンション変動も大きくなる。また、二次転写ローラ20の表層にコーティングを被覆した場合やソリッドゴムローラを用いた場合も、同様に、二次転写ニップ部T2での接線力が大きくなる。
【0176】
また、本実施形態の二次転写ローラ20は、表面が平滑であるために、弾性体からなるクリーニングブレード56を該二次転写ローラ20の表面に当接して設けることが可能である。
【0177】
即ち、中間転写ベルト11上に記録材10の面積よりも大きな面積のトナー画像を形成する。そして、二次転写部にて記録材10の全面に転写する。その場合にも、記録材10の領域外において二次転写ローラ20に付着したトナーをクリーニングブレード56により確実に回収することが可能である。このため、フチ無し印刷が可能となる。
【0178】
本実施形態では、クリーニングブレード56はウレタンゴムを採用し、図示しない押圧部材により二次転写ローラ20に対して押圧されるよう構成した。しかし、これに限定されることはなく、トナーの除去を目的としたクリーニング部材で使用される他の材質及び構成でも良い。
【0179】
以上のように二次転写ローラ20にクリーニングブレード56を当接させている場合、二次転写ローラ20とクリーニングブレード56との摩擦変動により二次転写ローラ20の速度変化が生じる場合がある。
【0180】
本実施形態においても二次転写ローラ20により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度と、駆動ローラ12により駆動される中間転写ベルト11の搬送速度との間の搬送速度差による僅かなテンション変動を検知可能である。
【0181】
そして、テンション検知機構19の検知結果に基づいて、フィードバックすることにより制御部27により駆動モータ29を制御して二次転写ローラ20の回転速度を変更補正する。これにより、中間転写ベルト11のテンション変動を抑制すると同時に、テンション補正に伴う中間転写ベルト11の速度変動を抑制することが可能となる。これにより、色ずれや転写ブレ等の少ない画像形成装置を提供可能となる。
【0182】
また、上記のようにポリイミド製の樹脂チューブ55を被覆した二次転写ローラ20を使用し、該二次転写ローラ20に対してクリーニングブレード56を当接させた場合においても同様に、中間転写ベルト11のテンション変動を抑制する。それと同時に、テンション補正に伴う中間転写ベルト11の速度変動を抑制することが可能であり、色ずれ、転写ブレ等の少ないフチ無し印刷可能な画像形成装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0183】
11 …中間転写ベルト(像担持ベルト)
12 …駆動ローラ(第1の駆動部材)
20 …二次転写ローラ(第2の駆動部材;転写部材)
23 …連結部材(可動部材)
24 …テンション検知レバー(被検知部材)
25 …測距センサ(位置検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、
像担持ベルトと、
前記像担持体上に形成されたトナー画像を前記像担持ベルトに転写する転写手段と、
前記像担持ベルトを張架すると共に駆動する第1の駆動部材と、
前記像担持ベルトの外周面に当接して該像担持ベルトを駆動する第2の駆動部材と、
前記像担持ベルトのテンションを検知するテンション検知手段と、
前記テンション検知手段による検知結果に基づいて、前記第2の駆動部材の回転速度を変更する制御手段と、
を有し、
前記テンション検知手段は、
前記像担持ベルトの内周面に対して、前記第2の駆動部材よりも前記像担持ベルトの回転方向上流側及び下流側の2箇所で同時に接触し、該2箇所における前記像担持ベルトのテンション変化に応じて位置が変化する可動部材と、
前記可動部材の位置変化に連動して位置が変化する被検知部材と、
前記被検知部材の位置を検知する位置検知手段と、
を有し、
前記第1の駆動部材により駆動される前記像担持ベルトの搬送速度と、前記第2の駆動部材により駆動される前記像担持ベルトの搬送速度とが一致するとき、前記像担持ベルトに対して前記可動部材が与える力が該可動部材の自重よりも小さくなるように前記被検知部材を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被検知部材の前記位置検知手段による検知位置における可動範囲が前記可動部材の可動範囲よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の駆動部材は、前記像担持ベルト上に形成されたトナー画像を記録材に転写させるための転写部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記可動部材における前記像担持ベルトへの当接部をコロ部材で構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コロ部材の断面形状が、前記像担持ベルトの幅方向中央部において該像担持ベルト側に凸となっていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−20040(P2013−20040A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152573(P2011−152573)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】