説明

画像形成装置

【課題】所定の部材を十分に冷却できる画像形成装置を提供することである。
【解決手段】ダクトD1Y,D1M,D1C,D1Kは、飛散トナーを含む空気を吸引するための吸引孔が設けられている。ダクトD2Y,D2M,D2C,D2K,D2は、ダクトD1Y,D1M,D1C,D1Kに接続されている。フィルタ50は、ダクトD2に設けられ、かつ、飛散トナーを空気から除去する。シロッコファン52は、ダクトD2においてフィルタ50よりも下流側に設けられ、かつ、ダクトD1Y,D1M,D1C,D1K,D2Y,D2M,D2C,D2K,D2内に空気の流れを発生させる。ダクトD2のシロッコファン52よりも上流側には、本体外から空気を吸引するダクトD3が設けられている。シロッコファン52によりダクトD2から排出される空気は、感光体及び現像装置に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、トナーにより静電潜像を現像する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。該画像形成装置は、トナー像形成装置を収容するケース内の飛散トナーを含むエアを吸引する吸引ダクト、吸引ダクト内に配置されたファンと、吸引ファンの上流側に配置されてトナーを除去するフィルタとを有する吸引ダクト装置を備えている。フィルタを通過した清浄なエアは、所定の部材の周辺に導かれる。これにより、所定の部材が冷却される。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、十分な冷却効果を得ることが困難である。より詳細には、吸引ダクトは、飛散トナーを含むエアをケース内から吸引している。ケース内にはトナー像形成装置や定着装置等が収容されており、比較的に高温状態となっている。そのため、吸引ダクトが吸引したエアは、比較的に高温となっている。このような高温状態のエアが所定の部材に導かれたとしても、所定の部材は十分に冷却されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−116670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、所定部材を十分に冷却できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、本体と、前記本体内に設けられている感光体と、前記本体内に設けられ、かつ、前記感光体にトナーを付与する現像装置と、所定部材を冷却する冷却装置と、を備えており、前記冷却装置は、前記感光体又は前記現像装置において発生した飛散トナーを含む空気を吸引するための吸引孔が設けられた第1のダクトと、前記第1のダクトに接続されている第2のダクトと、前記第2のダクトに設けられ、かつ、前記飛散トナーを空気から除去するフィルタと、前記第2のダクトにおいて前記フィルタよりも下流側に設けられ、かつ、前記第1のダクト及び前記第2のダクト内に空気の流れを発生させる送風手段と、を含んでおり、前記第2のダクトの前記送風手段よりも上流側には、前記本体外から空気を吸引する吸引部が設けられており、前記送風手段により前記第2のダクトから排出される空気は、前記所定部材に導かれること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定部材を十分に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】冷却装置の概念図である。
【図3】現像装置の外観斜視図である。
【図4】冷却装置の概要を示した図である。
【図5】ダクトの斜視図である。
【図6】ダクト、フィルタ及びシロッコファンの斜視図である。
【図7】ダクト、フィルタ及びシロッコファンの断面構造図である。
【図8】画像形成装置の透視図である。
【図9】シロッコファンと軸流ファンの風量と静圧との関係を示したグラフである。
【図10】第1のモデルによるシミュレーション結果を示した図である。
【図11】第2のモデルによるシミュレーション結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。図1における上下方向をz軸方向と定義し、図1における左右方向をx軸方向と定義し、図1における前後方向をy軸方向と定義する。
【0011】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成したものである。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、用紙に画像を形成する機能を有し、図1に示すように、印刷部2、本体3、給紙部15、タイミングローラ対19、定着装置20、排紙ローラ対21、排紙トレイ23及び搬送経路Rを備えている。
【0012】
本体3は、画像形成装置1の筐体であり、印刷部2、給紙部15、タイミングローラ対19、定着装置20及び排紙ローラ対21を内蔵している。
【0013】
給紙部15は、用紙を1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ16及び給紙ローラ17を含む。用紙トレイ16には、印刷前の状態の用紙が複数枚重ねて載置される。給紙ローラ17は、用紙トレイ16に載置された用紙を1枚ずつ取り出す。タイミングローラ対19は、印刷部2においてトナー画像が用紙に2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙を搬送する。
【0014】
印刷部2は、給紙部15から供給されてくる用紙にトナー画像を形成し、作像ユニット(22Y,22M,22C,22K)、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)、転写部8(8Y,8M,8C,8K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14及びクリーニング装置18を含んでいる。また、作像ユニット(22Y,22M,22C,22K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)、帯電器5(5Y,5M,5C,5K)、現像装置7(7Y,7M,7C,7K)及びクリーナー9(9Y,9M,9C,9K)を含んでいる。
【0015】
感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)は、本体3内に設けられ、円筒形状をなしている。感光体ドラム4は、図1において時計回りに回転させられる。帯電器5(5Y,5M,5C,5K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)の周面を帯電させる。光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)は、制御部(図示せず)の制御により、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)の周面に対してビームB(BY,BM,BC,BK)を走査する。これにより、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)の周面には静電潜像が形成される。
【0016】
現像装置7(7Y,7M,7C,7K)は、本体3内に設けられ、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)にトナーを付与して、静電潜像に基づくトナー画像を現像する。なお、現像装置7の詳細については後述する。
【0017】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されている。中間転写ベルト11には、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。転写部8は、中間転写ベルト11の内周面に対向するように配置されており、感光体ドラム4に形成されたトナー画像を中間転写ベルト11に1次転写する役割を果たす。クリーナー9は、1次転写後に感光体ドラム4の周面に残存しているトナーを回収する。駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0018】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11と対向し、ドラム形状をなしている。そして、2次転写ローラ14は、転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト11との間を通過する用紙に対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。クリーニング装置18は、用紙へのトナー画像の2次転写後に、中間転写ベルト11に残存しているトナーを除去する。
【0019】
トナー画像が2次転写された用紙は、定着装置20に搬送される。定着装置20は、用紙に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙に定着させる。排紙ローラ対21は、トナー画像が定着された用紙を排出する。排紙トレイ23には、印刷済みの用紙が載置される。
【0020】
(冷却装置について)
画像形成装置1は、感光体ドラム4及び現像装置7を冷却する冷却装置100を更に備えている。以下に、冷却装置100について図面を参照しながら説明する。図2は、冷却装置100の概念図である。図3は、現像装置7の外観斜視図である。図4は、冷却装置100の概要を示した図である。図4では、冷却装置100の内、感光体ドラム4K及び現像装置7Kに関連する構成のみ記載した。
【0021】
冷却装置100は、図2に示すように、ダクトD1Y,D1M,D1C,D1K,D2Y,D2M,D2C,D2K,D2,D3、フィルタ50及びシロッコファン52を含んでいる。
【0022】
ダクトD1Y,D1M,D1C,D1Kはそれぞれ、図3に示すように、現像装置7Y,7M,7C,7Kに設けられている。そこで、以下に、現像装置7Y,7M,7C,7Kの構成について図1及び図3を参照しながら説明する。以下では、現像装置7Kを例に挙げて説明する。現像装置7Y,7M,7Cは、現像装置7Kと同じ構成であるので説明を省略する。
【0023】
現像装置7Kは、図1に示すように、現像ローラ72K、供給ローラ74K、撹拌ローラ76K及び収容部78Kを備えている。
【0024】
収容部78Kは、現像装置7Kの本体を構成しており、トナーを収容していると共に、現像ローラ72K、供給ローラ74K及び撹拌ローラ76Kを格納している。撹拌ローラ76Kは、収容部78K内のトナーを撹拌して負に帯電させる。供給ローラ74Kは、負に帯電しているトナーを現像ローラ72Kに供給する。
【0025】
現像ローラ72Kは、図1に示すように、感光体ドラム4Kと所定の隙間を介して対向しており、y軸方向に延在している円筒形状をなしている。現像ローラ72Kは、感光体ドラム4Kと同方向(すなわち、図1では時計回り)に回転させられる。以上のような構成を有する現像ローラ72Kは、その周面においてトナーを担持し、図1及び図3に示すように、収容部78Kから長方形状に露出している。そして、現像ローラ72Kは、収容部78Kから露出している部分において感光体ドラム4Kと対向し、該感光体ドラム4Kにトナーを付与する。
【0026】
ダクトD1Kは、現像装置7Kのz軸方向の正方向側に取り付けられており、y軸方向に延在している三角形状の筒である。ダクトD1Kは、現像ローラ72Kに隣接しており、感光体ドラム4Kと対向している。ダクトD1Kの感光体ドラム4Kと対向している面のy軸方向の正方向側の端部及び負方向側の端部にはそれぞれ、吸引孔H1K,H2Kが設けられている。また、ダクトD1Kのy軸方向の正方向側の端部は塞がれており、ダクトD1Kのy軸方向の負方向側の端部は開口している。
【0027】
ダクトD2Y,D2M,D2C,D2Kはそれぞれ、図4に示すように、ダクトD1Y,D1M,D1C,D1Kのy軸方向の負方向側の端部に接続されている。ダクトD2は、図2及び図4に示すように、ダクトD2Y,D2M,D2C,D2Kに接続されている。より詳細には、ダクトD2は、並列に設けられている4本のダクトD2Y,D2M,D2C,D2Kを1本の流路に合流させている。
【0028】
フィルタ50は、ダクトD2に設けられている。より詳細には、フィルタ50は、ダクトD2が1本の流路に合流した部分の下流側に設けられている。シロッコファン52は、ダクトD2においてフィルタ50よりも下流側に設けられ、かつ、ダクトD1Y,D1M,D1C,D1K,ダクトD2Y,D2M,D2C,D2K,D2内に空気の流れを発生させる送風手段である。
【0029】
また、ダクトD3は、シロッコファン52よりも上流側、かつ、フィルタ50よりも下流側においてダクトD2に接続されている。
【0030】
以上のように構成された冷却装置100では、シロッコファン52が駆動させられると、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像ローラ72Y,72M,72C,72K周辺の空気が、吸引孔H1Y,H2Y,H1M,H2M,H1C,H2C,H1K,H2Kを介してダクトD1Y,D1M,D1C,D1K内に吸引される。ここで、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像ローラ72Y,72M,72C,72Kでは飛散トナーが発生する。したがって、吸引孔H1Y,H2Y,H1M,H2M,H1C,H2C,H1K,H2Kから吸引される空気は、飛散トナーを含んでいる。
【0031】
吸引孔H1Y,H2Y,H1M,H2M,H1C,H2C,H1K,H2Kが吸引した空気は、ダクトD2Y,D2M,D2C,D2Kを経由してD2に流入する。前記の通り、ダクトD2内には、フィルタ50が設けられている。よって、フィルタ50は、ダクトD2内を通過している空気から飛散トナーを除去する。
【0032】
また、ダクトD3を介して本体3外の空気がダクトD2内に吸引される。これにより、フィルタ50を通過した空気とダクトD3から吸引された空気とが合流する。そして、フィルタ50を通過した空気及びダクトD3から吸引された空気は、シロッコファン52によりダクトD2外へ排出される。シロッコファン52によりダクトD2から排出される空気は、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像装置7Y,7M,7C,7Kに導かれる。
【0033】
ここで、冷却装置100の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。図5は、ダクトD2K,D2C,D2の斜視図である。図6は、ダクトD2、フィルタ50及びシロッコファン52の斜視図である。図7は、ダクトD2、フィルタ50及びシロッコファン52の断面構造図である。図8は、画像形成装置1の透視図である。
【0034】
本体3は、図4に示すように、板金60,62を含んでいる。板金60は、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像装置7Y,7M,7C,7Kよりもy軸方向の負方向側に設けられている金属板である。板金62は、板金60よりもy軸方向の負方向側に設けられている金属板である。板金60と板金62との間には空間Spが設けられている。
【0035】
ダクトD2Y,D2M,D2C,D2K(図5には、ダクトD2C,D2Kのみ図示)はそれぞれ、図5に示すように、カバー部材80Y,80M,80C,80K及び板金62により構成されている。カバー部材80Y,80M,80C,80Kは、y軸方向の負方向側の面が設けられていない筒状の流路形成部材であり、z軸方向に延在している。カバー部材80Y,80M,80C,80Kは、板金62のy軸方向の正方向側の面に取り付けられている。これにより、カバー部材80Y,80M,80C,80Kのy軸方向の負方向側は、板金62により塞がれている。また、カバー部材80Y,80M,80C,80Kのz軸方向の正方向側の端部には、三角形の孔が設けられている。カバー部材80Y,80M,80C,80Kの孔のそれぞれには、ダクトD1Y,D1M,D1C,D1Kのy軸方向の負方向側の端部が接続される。これにより、ダクトD2Y,D2M,D2C,D2Kはそれぞれ、ダクトD1Y,D1M,D1C,D1Kに接続されている。
【0036】
ダクトD2は、図5及び図6に示すように、カバー部材82CK,82YM(図5及び図6には図示せず),84,85,86,88及び板金62により構成されている。カバー部材82CK,82YMは、y軸方向の負方向側の面が設けられていない筒状の流路形成部材であり、x軸方向に延在している。カバー部材82CK,82YMは、板金62のy軸方向の正方向側の面に取り付けられている。これにより、カバー部材82YM,82CKのy軸方向の負方向側は、板金62により塞がれている。また、カバー部材80C,80Kのz軸方向の負方向側の端部は、カバー部材82CKに接続されている。同様に、カバー部材80Y,80M(図示せず)のz軸方向の負方向側の端部は、カバー部材82YM(図示せず)に接続されている。これにより、ダクトD2Y,D2M,D2C,D2Kはそれぞれ、ダクトD2に接続されている。
【0037】
また、板金62において、カバー部材82CK,82YMのx軸方向の負方向側の端部と重なる部分には、図5及び図6に示すように、孔が設けられている。
【0038】
カバー部材84は、図6に示すように、y軸方向の正方向側の面が設けられていない箱状の流路形成部材であり、板金62において、カバー部材82CK,82YMのx軸方向の負方向側の端部と重なる部分に設けられている孔を覆っている。これにより、カバー部材82CK,82YM内を通過した空気は、カバー部材84内に流入する。また、カバー部材84内には、図6及び図7に示すように、フィルタ50が設けられている。
【0039】
ダクトD3は、図6及び図7に示すように、筒状の流路形成部材であり、カバー部材84のフィルタ50の下流側に接続されている。
【0040】
カバー部材85は、図5及び図6に示すように、吸気口及び排気口を有する容器であり、シロッコファン52を内蔵している。カバー部材85の吸気口は、カバー部材84に接続されている。
【0041】
カバー部材86は、図6に示すように、筒状の流路形成部材であり、カバー部材85の排気口に接続されている。また、カバー部材86は、板金62のy軸方向の負方向側の面に取り付けられている。
【0042】
カバー部材88は、図6に示すように、筒状の流路形成部材であり、板金62のy軸方向の正方向側の面に取り付けられている。カバー部材86とカバー部材88とは、y軸方向から平面視したときに重なっており、板金62に設けられている孔を介して繋がっている。これにより、ダクトD2の下流側の端部は、空間Spと繋がっている。
【0043】
ダクトD2から排出された空気は、図8に示すように、空間Spを流れて、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像装置7Y,7M,7C,7Kに導かれる。特に、画像形成装置1では、ダクトD2から排出された空気は、図8に示すように、空間Spを流れて、感光体ドラム4C,4K及び現像装置7C,7Kに導かれる。感光体ドラム4K及び現像装置7Kは、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像装置7Y,7M,7C,7Kの内、感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kに形成されたトナー画像が転写される用紙が通過する搬送経路R(図1参照)の最も近くに位置している。また、感光体ドラム4C及び現像装置7Cは、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像装置7Y,7M,7C,7Kの内、感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kに形成されたトナー画像が転写される用紙が通過する搬送経路R(図1参照)の2番目に近くに位置している。よって、感光体ドラム4C,4K及び現像装置7C,7Kは、定着装置20からの熱の影響を受けやすい。そこで、画像形成装置1では、ダクトD2から排出された空気は、感光体ドラム4C,4K及び現像装置7C,7Kに導かれる。
【0044】
(効果)
以上のように構成された画像形成装置1によれば、感光体ドラム4及び現像装置7を十分に冷却できる。より詳細には、特許文献1に記載の画像形成装置では、吸引ダクトは、飛散トナーを含むエアをケース内から吸引している。ケース内にはトナー像形成装置や定着装置等が収容されており、比較的に高温状態となっている。そのため、吸引ダクトが吸引したエアは、比較的に高温となっている。このような高温状態のエアが所定の部材に導かれたとしても、所定の部材は十分に冷却されない。
【0045】
そこで、画像形成装置1では、ダクトD2のシロッコファン52よりも上流側には、本体3外から空気を吸引するダクトD3が設けられている。これにより、ダクトD2から排出される空気は、吸引孔H1Y,H1M,H1C,H1K,H2Y,H2M,H2C,H2Kから吸引された空気とダクトD3から吸引された空気とが混合された空気となる。よって、本体3外からダクトD3を介して吸引された空気の温度は、吸引孔H1Y,H1M,H1C,H1K,H2Y,H2M,H2C,H2Kから吸引された空気の温度よりも低い。したがって、画像形成装置1において感光体ドラム4及び現像装置7に導かれる空気の温度は、特許文献1に記載の画像形成装置において所定の部材に導かれるエアの温度よりも低くなる。その結果、画像形成装置1では、特許文献1に記載の画像形成装置よりも、感光体ドラム4及び現像装置7を十分に冷却できる。
【0046】
また、画像形成装置1では、ダクトD2から排出される空気は、吸引孔H1Y,H1M,H1C,H1K,H2Y,H2M,H2C,H2Kから吸引された空気とダクトD3から吸引された空気とが混合された空気である。画像形成装置1においてダクトD2から排出される空気の量は、特許文献1に記載の画像形成装置の吸引ダクトから排出されるエアの量よりも多くなる。その結果、画像形成装置1では、特許文献1に記載の画像形成装置よりも、感光体ドラム4及び現像装置7を十分に冷却できる。
【0047】
また、ダクトD3は、フィルタ50よりも下流側においてダクトD2に接続されている。これにより、ダクトD3を通過する空気は、フィルタ50を通過しなくなる。その結果、ダクトD3を介してより多くの空気がダクトD2に流入するようになる。
【0048】
また、画像形成装置1では、ダクトD2から排出された空気は、図8に示すように、空間Spを流れて、感光体ドラム4C,4K及び現像装置7C,7Kに導かれる。感光体ドラム4K及び現像装置7Kは、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像装置7Y,7M,7C,7Kの内、感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kに形成されたトナー画像が転写される用紙が通過する搬送経路R(図1参照)の最も近くに位置している。また、感光体ドラム4C及び現像装置7Cは、感光体ドラム4Y,4M,4C,4K及び現像装置7Y,7M,7C,7Kの内、感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kに形成されたトナー画像が転写される用紙が通過する搬送経路R(図1参照)の2番目に近くに位置している。よって、感光体ドラム4C,4K及び現像装置7C,7Kは、定着装置20からの熱の影響を受けやすい。そこで、画像形成装置1では、ダクトD2から排出された空気は、感光体ドラム4C,4K及び現像装置7C,7Kに導かれる。その結果、感光体ドラム4C,4K及び現像装置7C,7Kが効率よく冷却される。
【0049】
また、画像形成装置1では、シロッコファン52が用いられている。シロッコファン52は、以下に説明するように、画像形成装置1の小型化を図ることができると共に、飛散トナーを効率よく吸引することができる。図9は、シロッコファンと軸流ファンの風量と静圧との関係を示したグラフである。縦軸は静圧を示し、横軸は風量を示している。また、図9(a)では、流路の断面積が大きい(抵抗が小さい)流路の通過特性が示されており、図9(b)では、流路の断面積が小さい(抵抗が大きい)流路の通過特性が示されている。
【0050】
断面積が大きな流路では、図9(a)に示すように、軸流ファンの方がシロッコファンよりも静圧も高く風量も大きくなる。ところが、断面積が小さな流路では、図9(b)に示すように、シロッコファンの方が軸流ファンよりも静圧も高く風量も大きくなる。ここで、画像形成装置1のコンパクト化のためには、流路の断面積は小さい方が好ましい。また、飛散トナーを効率よく吸引する観点からは、静圧は高い方が好ましい。そのため、図9(b)に示すように、流路の断面積が小さな場合には、シロッコファンの方が静圧が高くなることが分かっている。よって、画像形成装置1では、シロッコファン52が用いられることにより、画像形成装置1の小型化を図ることができると共に、飛散トナーを効率よく吸引することができる。
【0051】
(コンピュータシミュレーション)
本願発明者は、画像形成装置1が奏する効果をより明確にするために以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。具体的には、本願発明者は、画像形成装置1と同じ構造を有する第1のモデルを作成し、ダクトD3が設けられていない比較例に係る画像形成装置の第2のモデルを作成した。そして、本願発明者は、ANSYS FLUENT(ANSYS社製)を用いて、ダクトD2への流入量A1、ダクトD3からの流入量A2及びダクトD2からの流出量A3を算出した。図10は、第1のモデルによるシミュレーション結果を示した図である。図11は、第2のモデルによるシミュレーション結果を示した図である。表1は、シミュレーション結果を示した表である。
【0052】
【表1】

【0053】
図10、図11及び表1によれば、ダクトD3が設けられることによって、流出量A3が増加していることが分かる。これにより、画像形成装置1では、感光体ドラム4及び現像装置7により多くの空気を導くことが可能となるので、感光体ドラム4及び現像装置7を効率よく冷却することが可能となる。また、流出量A3の増加分は、本体3外から吸引される流入量A2に相当する。そのため、第1のモデルにおいてダクトD2から排出される空気の温度は、第2のモデルにおいてダクトD2から排出される空気の温度よりも低い。したがって、画像形成装置1では、感光体ドラム4及び現像装置7を効率よく冷却することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、所定部材を十分に冷却できる点において優れている。
【符号の説明】
【0055】
H1Y,H2Y,H1M,H2M,H1C,H2C,H1K,H2K 吸引孔
Sp 空間
4Y,4M,4C,4K 感光体ドラム
7Y,7M,7C,7K 現像装置
50 フィルタ
52 シロッコファン
60,62 板金
D1Y,D1M,D1C,D1K,D2Y,D2M,D2C,D2K,D2,D3 ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に設けられている感光体と、
前記本体内に設けられ、かつ、前記感光体にトナーを付与する現像装置と、
所定部材を冷却する冷却装置と、
を備えており、
前記冷却装置は、
前記感光体又は前記現像装置において発生した飛散トナーを含む空気を吸引するための吸引孔が設けられた第1のダクトと、
前記第1のダクトに接続されている第2のダクトと、
前記第2のダクトに設けられ、かつ、前記飛散トナーを空気から除去するフィルタと、
前記第2のダクトにおいて前記フィルタよりも下流側に設けられ、かつ、前記第1のダクト及び前記第2のダクト内に空気の流れを発生させる送風手段と、
を含んでおり、
前記第2のダクトの前記送風手段よりも上流側には、前記本体外から空気を吸引する吸引部が設けられており、
前記送風手段により前記第2のダクトから排出される空気は、前記所定部材に導かれること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吸引部は、前記送風手段よりも上流側、かつ、前記フィルタよりも下流側において前記第2のダクトに設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定部材は、前記感光体及び前記現像装置であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、
前記感光体に形成されたトナー画像が転写される印刷媒体が通過する搬送経路を、
更に備えており、
前記感光体及び前記現像装置は、複数組設けられており、
前記所定部材は、前記複数組の前記感光体及び前記現像装置の内の前記搬送経路の最も近くに位置する前記感光体及び前記現像装置であること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記冷却装置は、
前記吸引部であり、前記第2のダクトに接続されている第3のダクトを、
更に含んでいること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1のダクトは、前記現像装置に設けられており、
前記第2のダクトは、前記本体に設けられていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記送風手段は、シロッコファンであること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−25084(P2013−25084A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159785(P2011−159785)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】