説明

画像形成装置

【課題】細線をくっきり形成して線切れを軽減しつつ、細線とやや細い線との見え方が逆転することを軽減する技術の提供。
【解決手段】選択したドットデータに関連づけられたフラグについて判定する(ステップS230)。細線フラグ=F、中間フラグ=Fが選択したドットデータに関連づけられている場合(ステップS230、細線フラグ=F、中間フラグ=F)、通常用LUTを用いてドットデータの色変換をする(ステップS240)。細線フラグ=F、中間フラグ=Tが選択したドットデータに関連づけられている場合(ステップS230、細線フラグ=F、中間フラグ=T)、中間用LUTを用いてドットデータの色変換をする(ステップS250)。細線フラグ=T、中間フラグ=Fが選択したドットデータに関連づけられている場合(ステップS230、細線フラグ=T、中間フラグ=F)、細線用LUTを用いてドットデータの色変換をする(ステップS260)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷対象にイメージ画像と文字・線画画像(以下「細線」と言う。)とが混在している場合に、イメージ画像については階調性を重視して高品位な画像を形成する一方、細線については輪郭を強調する補強を行うことでくっきり形成する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−307891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術は、細線であると判断するとその輪郭をくっきり形成するため、印刷結果が元の画像の見え方と相違してしまうことがあった。例えば、線幅の太い線よりも細い細線の方がくっきり形成されてしまうという逆転現象が起こる場合があった。特に、イメージ画像に分類される画像の中でも、細線よりもやや太い線(以下「やや細い線」と言う。)と細線との関係においてこの問題が生じやすい。特に上記問題は輪郭をくっきり形成するというその処理の特性上、淡い色の細線において生じやすい。
本発明は、この課題を解決するためのものであり、細線をくっきり形成して線切れ(線が途切れ途切れに見えてしまう現象)を軽減しつつ、細線とやや細い線との見え方が逆転することを軽減する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためにされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
描画開始座標情報と、描画終了座標情報と、色情報と、太さ情報とを含む描画要素データを画像形成用データに変換し、該画像形成用データによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記描画要素データを、前記太さ情報によって特定される太さが第一所定値未満の細線分類と、該第一所定値以上かつ該第一所定値よりも大きい第二所定値未満の中間線分類と、該第二所定値以上の太線分類との三段階以上に分類する分類部と、
前記中間線分類に分類された描画要素データを、前記色情報によって特定される濃度よりも濃くした色によって画像を形成するための前記画像形成用データに変換する一方、前記細線分類に分類された描画要素データを、前記色情報によって特定される濃度よりも濃くした色であって、前記中間線分類に分類された描画要素データについてよりも更に濃くした色によって画像を形成するための前記画像形成用データに変換するデータ変換部と
を備える画像形成装置。
この適用例によれば、最も細い画像が最も濃度が増されて形成されるので、線切れを軽減できる。かつ、三段階以上で濃度を漸次変化させるので、見え方が逆転することを軽減できる。なお、ここで言う「濃度を濃くする」とは、「濃く見えるようにする」ということである。また、ここで言う「色情報」は、明度のみの情報(モノクロ印刷のための情報)でも良いし、彩度および色相の少なくとも一方の情報(カラー印刷のための情報)を含んでも良い。この他、最も太いものとして分類された描画要素データに対応する画像については、色情報によって特定される濃度よりも濃くして形成しても良いし、色情報によって特定される濃度通りに形成しても良い。また「中間線分類に分類された描画要素データについてよりも更に濃くした色」とは、中間線分類に分類された描画要素データの濃度の増加度よりも大きな増加度によって濃くされた色のことである。
【0007】
[適用例2]
適用例1に記載の画像形成装置であって、
前記データ変換部は、ハーフトーン処理を用いて、前記描画要素データを前記画像形成用データに変換すると共に、該ハーフトーン処理におけるドット発生率を変化させることによって、前記中間線分類および前記細線分類に分類された描画要素データを、前記色情報によって特定される濃度よりも濃くした色によって画像を形成するための前記出力画像データに変換する
画像形成装置。
この適用例によれば、ハーフトーン処理を利用して、線切れを軽減でき、かつ、見え方が逆転することを軽減できる。
【0008】
[適用例3]
適用例2に記載の画像形成装置において、
前記データ変換部は、太さに応じて予め用意された関係を利用することで、前記ハーフトーン処理におけるドット発生率を変化させる
画像形成装置。
なお「予め用意された関係」は、例えば、RGBからCMYKへ変換する際に用いるルックアップテーブルを太さに応じて用意したものでも良いし、ディザマスクや誤差拡散に用いる値を太さに応じて調整したものでも良い。
【0009】
[適用例4]
適用例2に記載の画像形成装置において、
前記データ変換部は、前記分類部によって前記細線分類に分類された描画要素データと、前記太線分類に分類された描画要素データとについては、太さに応じて予め用意された関係を利用する一方、前記中間線分類に分類された描画要素データについては、該関係から算出された結果を利用することによって、前記ハーフトーン処理におけるドット発生率を変化させる
画像形成装置。
なお「予め用意された関係」は、例えば、RGBからCMYKへ変換する際に用いるルックアップテーブルを太さに応じて用意したものでも良いし、ディザマスクや誤差拡散に用いる値を太さに応じて調整したものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】印刷装置10の概略図。
【図2】出力画像データ作成処理を示すフローチャート。
【図3】ラスタライズ処理を示すフローチャート。
【図4】色変換処理を示すフローチャート。
【図5】同一のRGB値を元に変換されたCMYK値を、描画要素の太さ毎に比べたグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.ハードウェア構成(図1)]
図1は、印刷装置10の概略構成図である。印刷装置10は、カラーインクジェット式であり、紙送りモーター74によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモーター70によってキャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ80に搭載された印刷ヘッド81を駆動してインクを吐出することによってドット形成を行う機構と、制御対象(紙送りモーター74、キャリッジモーター70及び印刷ヘッド81)を制御する制御ユニット30と、コンピューターや記憶媒体(図示なし)から入力画像データを取得すると共に制御ユニット30に供給する画像データ供給部91とを備える。
【0012】
キャリッジ80は、カラーインク用のインクカートリッジ82〜85を搭載する。インクカートリッジ82はシアンインクCを、インクカートリッジ83はマゼンタインクMを、インクカートリッジ84はイエローインクYを、インクカートリッジ85はブラックインクKを収容する。キャリッジ80の下部の印刷ヘッド81には、先述の各インクに対応するノズル列が形成されている。キャリッジ80にインクカートリッジ82〜85を上方から装着すると、インクカートリッジ82〜85から印刷ヘッド81へのインク供給が可能となる。
【0013】
制御ユニット30は、CPU40と、ROM51と、RAM52と、EEPROM60とを備える。CPU40は、ROM51に予め記憶された制御プログラムをRAM52に展開すると共に実行することで、紙送りやキャリッジ80の往復動を制御すると共に、印刷ヘッド81を駆動して、印刷媒体Pへのインク吐出を制御する。また、インク吐出用のプログラム(ドライバー)は、ノズル毎に用意されている。
【0014】
画像データ供給部91が供給する入力画像データは、ベクターデータとしての描画要素データの組み合わせによって構成されている。ベクターデータは、基本図形の何れかによって描画要素を表現するものであり、基本図形には、折れ線(線分を含む)、多角形、楕円(円を含む)、ベジエ曲線などがある。これら基本図形には、描画開始座標情報、描画終了座標情報、色情報(RGB値)、太さ情報(線幅を示す数値:単位mm)が含まれる。
【0015】
EEPROM60は、色変換LUT61を記憶している。色変換LUT61は、描画要素データに含まれるRGB形式の色情報を、インクカートリッジ82〜85に収容されたインク(C,M,Y,K)それぞれのインク量を示すインク量セットに変換するためのテーブルであり、描画要素の太さに応じて三種類用意されている(詳しくは後述)。
【0016】
[2.出力画像データ作成処理(図2)]
図2は、出力画像データ作成処理を示すフローチャートである。この出力画像データ作成処理は、入力画像データから出力画像データを作成するためにCPU40が主体となって実行する処理であり、画像データ供給部91から制御ユニット30に入力画像データが供給されたことを契機に実行される処理である。
【0017】
[2−1.ラスタライズ処理(図3)]
出力画像データ作成処理を開始すると、そのサブルーチンとしてのラスタライズ処理を開始して(ステップS100)、供給された入力画像データを構成する描画要素データのうち、ラスタライズしていないものを一つ選択する(ステップS110)。なお、描画開始座標が上に配置されたベクターデータを優先して選択する。上下の位置が同じ場合は、描画開始座標が左に配置されたベクターデータを優先して選択する。
【0018】
次に、選択した描画要素データをラスタライズして、つまり、ベクター形式からラスター形式に変換してドットデータを形成する(ステップS120)。続いて、その選択した描画要素の太さを、ベクターデータに含まれる太さ情報に基づいて判定する(ステップS130)。
【0019】
選択した描画要素の太さが、3ピクセル以上に相当する場合(ステップS130、3ピクセル以上相当)、ステップS120において形成したドットデータそれぞれについて、細線フラグ=FALSE、中間フラグ=FALSEに設定する(ステップS140)。
【0020】
この細線フラグ、中間フラグとは、全ドットデータそれぞれに対して関連づけられるものであり、各ドットデータについて、細線領域なのか、細線領域よりもやや太い中間領域なのか、中間領域よりも太い通常領域なのかを区別するために、色変換処理(図4と共に後述)において用いられる情報である。
【0021】
「描画要素の太さが3ピクセル以上に相当するか」を判定する際に必要となる「3ピクセルの長さ」は、1ピクセルの幅を三倍した長さである。つまり、ピクセルの並び方向(垂直方向または水平方向)に延びる線の直交方向のピクセル数に等しいことになる。よって、斜めに延びる線の直交方向のピクセル数とは必ずしも一致しない。
【0022】
なお、細線フラグ、中間フラグ共に初期値がFALSEなので、ステップS140において実際には両フラグに変更を加えず、初期値のまま維持することになる。
【0023】
一方、選択した描画要素の太さが、2ピクセルに相当する場合(ステップS130、2ピクセル相当)、ステップS120において形成したドットデータそれぞれについて、細線フラグ=FALSE、中間フラグ=TRUEに設定する(ステップS150)。3ピクセルの場合と同様に「2ピクセルの長さ」は、1ピクセルの幅を二倍した長さである。
【0024】
また、選択した描画要素の太さが、1ピクセルに相当する場合(ステップS130、1ピクセル相当)、ステップS120において形成したドットデータそれぞれについて、細線フラグ=TRUE、中間フラグ=FALSEに設定する(ステップS160)。
【0025】
ステップS140〜ステップS160の何れかを実行した後は、全描画要素データをラスタライズしたかを判定する(ステップS170)。ラスタライズしていない描画要素データが残っていれば(ステップS170、NO)、ステップS110に戻り、全描画要素データをラスタライズするまでステップS110〜ステップS170を繰り返す。全描画要素データをラスタライズすると(ステップS170、YES)、ラスタライズ処理を終える。
【0026】
[2−2.色変換処理(図4)]
続いて、色間変処理を開始して(ステップS200)、ラスタライズ処理において形成されたドットデータのうち、色変換をしていないものを一つ選択する(ステップS210)。この選択の順序は、最も左上に配置されたドットデータから始めて、右へ向かって進み、最も右に到達したら、一段下の最も左のドットデータに移るという手順に従う。
【0027】
続いて、選択したドットデータに関連づけられたフラグについて判定する(ステップS230)。細線フラグ=FALSE、中間フラグ=FALSEが関連づけられている場合(ステップS230、細線フラグ=FALSE、中間フラグ=FALSE)、色変換LUT61の中の通常用LUTを用いてドットデータの色変換(RGB→CMYK)をする(ステップS240)。通常用LUTとは、色の再現性を重視した色変換LUTである。
【0028】
一方、細線フラグ=FALSE、中間フラグ=TRUEが関連づけられている場合(ステップS230、細線フラグ=FALSE、中間フラグ=TRUE)、色変換LUT61の中の中間用LUTを用いてドットデータの色変換をする(ステップS250)。中間用LUTとは、CMYKそれぞれのインク量を示す値が、通常用LUTに対して1.25倍である色変換LUTである。
【0029】
また、細線フラグ=TRUE、中間フラグ=FALSEが関連づけられている場合(ステップS230、細線フラグ=TRUE、中間フラグ=FALSE)、色変換LUT61の中の細線用LUTを用いてドットデータの色変換をする(ステップS260)。細線用LUTとは、CMYKそれぞれのインク量を示す値が、中間用LUTに対して1.2倍、つまり通常用LUTに対して1.5倍である色変換LUTである。
【0030】
先述したステップS240〜ステップS260の何れかを実行した後は、ドットデータを全て色変換したかを判定する(ステップS270)。まだ変換していないドットデータがある場合(ステップS270、NO)、ステップS210に戻り、全ドットデータを色変換するまで、ステップS210〜ステップS270を繰り返す。ドットデータを全て色変換すると(ステップS270、YES)、色変換処理を終える。
【0031】
続いて、色変換したドットデータを用いて、ハーフトーン処理を行い(ステップS300)、出力画像データ作成処理を終える。このハーフトーン処理を通じて出力されるデータ、つまり、出力画像データ作成処理の出力結果となるデータが、出力画像データである。
【0032】
印刷装置10は、このように作成した出力画像データに基づいて、制御対象(紙送りモーター74、キャリッジモーター70及び印刷ヘッド81)に指示をすることで印刷(画像形成)を実行する。
【0033】
以上に説明したように印刷装置10によれば、例えば同じRGB値を元にした場合に、太さが2ピクセルの描画要素は、太さが3ピクセル以上の描画要素よりもハーフトーン処理におけるドット発生率が上がることになる。よって、同じRGB値を元にした場合であっても、太さが2ピクセルの描画要素は、太さが3ピクセル以上の描画要素よりも濃く印刷されることになる。同様に、太さが1ピクセルの描画要素は、太さが2ピクセルの描画要素よりも濃く印刷されることになる。
【0034】
この結果、太さが1ピクセルの描画要素の線切れを軽減することができる。その一方で、1ピクセル、2ピクセル、3ピクセル以上の三段階でCMYK値を変化させているので、濃さや色相が逆転して見える逆転現象を軽減できる。この逆転現象は、例えば、元になるRGB値が同じである場合、太さが1ピクセルの描画要素の方が、太さが2ピクセル以上の描画要素よりも濃く見えたり、太さが1ピクセルの描画要素と、太さが2ピクセル以上の描画要素とで同じであるはずの色相が異なって見えたりする現象である。
【0035】
この逆転現象は、特に細い描画要素同士、つまり太さが1ピクセルと2ピクセルとの関係において知覚されやすい。そこで本実施形態においては、太さが2ピクセルの描画要素について、その濃度を濃くするものの、濃度の増し方を1ピクセルの場合より少なくすることによって、太さが1ピクセルと2ピクセルとの間の逆転現象を軽減している。
【0036】
[3.実施形態と適用例との対応関係]
ステップS100(より詳しくはステップS130)が分類部を、ステップS200及びステップS300がデータ変換部の一部の態様を各々実現するためのソフトウェアに対応する。色変換LUT61が「予め用意された関係」に、ハーフトーン処理後の各ドットデータが画像形成用データに各々対応する。
【0037】
[4.他の実施形態]
本発明は、先述した実施形態になんら限定されるものではなく、発明の技術的範囲内における種々の形態により実施できる。例えば、実施形態の構成要素の中で付加的なものは、実施形態から省略できる。ここで言う付加的な構成要素とは、実質的に独立している適用例においては特定されていない事項に対応する要素のことである。また、例えば、以下のような実施形態でも良い。
【0038】
実施形態においては、太さが1ピクセル、2ピクセル、3ピクセル以上という基準によって描画要素を分類したが、これ以外の基準でも良い。例えば、2ピクセル以下、3ピクセル、4ピクセル以上、又は1ピクセル、2及び3ピクセル、4ピクセル以上という基準でも良い。濃度変化のさせ方は、四段階以上でも良い。例えば、1ピクセル、2ピクセル、3ピクセル、4ピクセル以上というように分類して、段階的に濃度を変化させても良い。
【0039】
線切れの知覚のされやすさは印刷画像の解像度にも依存するので、分類の基準値となる太さを解像度に応じて変更しても良い。解像度が高い程、1ピクセルの描画要素の線切れは知覚されにくいと考えられるが、どのように変更するかは実験等によって適宜、定めれば良い。
【0040】
分類の基準は、太さに基づく方法を原則としつつ、他の要件を加味しても良い。例えば、線切れが知覚されにくい条件では、細線用LUTや中間用LUTを用いない構成にしても良い。例えば、もともと濃度が濃い線は線切れが知覚されにくいので、太さを判断することなく通常用LUTを用いても良い。この他、逆転現象が知覚されにくい場合、例えば、細線用LUTに対応する描画要素と、中間用LUTに対応する描画要素との全体が互いに離れた位置に印刷される場合、中間用LUTの代わりに通常用LUTを用いる構成にしても良い。
【0041】
ユーザーの指示等に基づいて、複数の色変換LUTを用いるのを止めるという構成にしても良い。例えば、印刷画像の品質よりも、インク使用量の低減が求められる場合(ユーザーからの指示があった場合や、インクの残量が少ない場合など)は、全描画要素を通常用LUTによって色変換するようにしても良い。また、高速印刷が求められる場合は、太さによる分類を行わず、全描画要素を通常用LUTによって色変換しても良い。
【0042】
中間用LUTを記憶しておかずに、通常用LUT及び細線用LUTから算出するようにしても良い。例えば、通常用LUT及び細線用LUTの平均を取っても良い。また、中間用LUTに加えて細線用LUTも記憶しておかずに、通常用LUTから中間用LUT及び細線用LUTを算出しても良い。例えば、通常用LUTから取得する値に対して、定数倍(例えば、2ピクセルの場合は1.25倍、1ピクセルの場合は1.5倍)しても良い。
【0043】
細線用LUTと中間用LUTと通常用LUTとの関係は、実施形態として説明したもの以外にも、次のものでも良い。
・中間用LUTの各値は、両者の中間的な濃度を実現することで目的を達成できるものであれば、どのような値でも良い。
・CMYKそれぞれの値は、同じ比率で変化させなくても良い。例えば、Kのみを違う比率によって変化させたり、CMYKそれぞれを異なる比率によって変化させたりしても良い。
【0044】
色変換LUTにおいてではなく、ハーフトーン処理においてドット発生率を変化させるようにしても良い。具体的な方法としては、例えば次のものが挙げられる。
・ディザ法を用いる場合は、例えば、異なる値を持つディザマトリックスを描画要素の太さに応じて使い分けることによって、細い描画要素ほどドット発生率が上がるようにしても良い。
・誤差拡散法を用いる場合は、例えば、描画要素の太さに応じて、拡散する誤差を補正することによって、細い描画要素ほどドット発生率が上がるようにしても良い。
【0045】
逆転現象が起きないことを保証する構成にしても良い。具体的には、線切れと逆転現象とに関わるパラメーター(例えば、線幅、色相、明度、彩度など)のあらゆる数値について実験を行い、その実験結果に基づいて、線切れの防止と逆転現象の防止とを両立できるLUTを設計する。そして、色変換を行う際に、そのパラメーターに基づいて適切なLUTを選ぶことで、逆転現象が起きないことを保証できる。なお、モノクロ印刷の場合、色相および彩度について考慮しなくて良いので、LUTの設計および選択が容易になる。
【0046】
淡い色で描かれる線に限定してこの処理を適用するとしても良い。具体的な方法としては、例えば次のものが挙げられる。
・明度、彩度、色相などについての閾値のもと、細線の色が淡い色であるかどうかの判定を行い、淡い色と判定された細線に限り処理を適用するとしてもよい。
・予め定めた色と同じである色に限り処理を適用するとしてもよい。
上記のように淡い線にのみ限定し本処理を行うことで、処理対象を絞り込み高速で処理を行える。
【0047】
この他、以下の形態でも良い。
・実施形態においては、描画要素を分類するに当たり、長さ(mm)によって指定されている線幅をラスタライズ後のピクセル数に換算し、ピクセル数によって定められた基準値と比較したが、ピクセル数に換算せずに長さのまま基準値と比較し、分類しても良い。
・プリンターは、モノクロ印刷用でも良い。また、レーザープリンターでも良いし、サーマルプリンターでも良い。
・ハーフトーン処理を用いなくても良い。例えば、二値化を用いても良い。
・インクのドットの大きさを制御することで、色の濃さを調整しても良い。
・RIP(ラスターイメージプロセッサー)を用いても良い。
【符号の説明】
【0048】
10…印刷装置
30…制御ユニット
40…CPU
51…ROM
52…RAM
60…EEPROM
61…色変換LUT
70…キャリッジモーター
74…紙送りモーター
75…プラテン
80…キャリッジ
81…印刷ヘッド
82〜85…インクカートリッジ
91…画像データ供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画開始座標情報と、描画終了座標情報と、色情報と、太さ情報とを含む描画要素データを画像形成用データに変換し、該画像形成用データによって画像を形成する画像形成装置であって、
前記描画要素データを、前記太さ情報によって特定される太さが第一所定値未満の細線分類と、該第一所定値以上かつ該第一所定値よりも大きい第二所定値未満の中間線分類と、該第二所定値以上の太線分類との三段階以上に分類する分類部と、
前記中間線分類に分類された描画要素データを、前記色情報によって特定される濃度よりも濃くした色によって画像を形成するための前記画像形成用データに変換する一方、前記細線分類に分類された描画要素データを、前記色情報によって特定される濃度よりも濃くした色であって、前記中間線分類に分類された描画要素データについてよりも更に濃くした色によって画像を形成するための前記画像形成用データに変換するデータ変換部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記データ変換部は、ハーフトーン処理を用いて、前記描画要素データを前記画像形成用データに変換すると共に、該ハーフトーン処理におけるドット発生率を変化させることによって、前記中間線分類および前記細線分類に分類された描画要素データを、前記色情報によって特定される濃度よりも濃くした色によって画像を形成するための前記出力画像データに変換する
画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記データ変換部は、太さに応じて予め用意された関係を利用することで、前記ハーフトーン処理におけるドット発生率を変化させる
画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記データ変換部は、前記分類部によって前記細線分類に分類された描画要素データと、前記太線分類に分類された描画要素データとについては、太さに応じて予め用意された関係を利用する一方、前記中間線分類に分類された描画要素データについては、該関係から算出された結果を利用することによって、前記ハーフトーン処理におけるドット発生率を変化させる
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−35146(P2013−35146A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170776(P2011−170776)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】