説明

画像形成装置

【課題】コスト高につく専用の温度センサー及び/又は湿度センサー、或いは温湿度センサーを要することなく、環境温度及び/又は環境湿度に応じて、少なくとも一つの画像形成条件を制御できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置4の現像剤担持体41として熱膨張量に差がある少なくとも2種類の部分を含む現像剤担持体を採用しており、画像形成条件を環境温度及び/又は環境湿度に応じて制御する制御装置100Lを備えており、制御装置100Lは、リーク電圧検知装置LDによって検出される現像剤担持体の熱膨張量に差がある少なくとも二つの部分のそれぞれと像担持体1の間のリーク電圧V1、V2に基づいて環境温度及び/又は環境湿度を求める画像形成装置A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の電子写真方式の画像形成装置に関係しており、特に、画像形成装置に用いる現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の電子写真方式の画像形成装置は、像担持体(静電潜像担持体)、前記像担持体表面を帯電電圧印加のもとで帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置、前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像バイアス印加のもとで現像して可視トナー像を形成する現像装置、前記トナー像を転写電圧印加のもとで記録シートに転写する転写装置及び前記転写されたトナー像を前記記録シートに定着させる定着装置を含むものが一般的である。
【0003】
トナー像転写についてみると、モノクロ画像形成装置では、前記像担持体上に形成されるトナー像は直接記録シートに転写され、定着されるのが一般的であるが、それぞれ担当色が異なる複数の現像装置を採用するカラー画像形成装置では、前記像担持体上に形成される各色トナー像は一旦中間転写体に順次重ねて1次転写され、該1次転写トナー像が記録シートに2次転写され、定着されるのが一般的である。
【0004】
このようなカラー画像形成装置では数次のトナー像転写を行なう装置をまとめて転写装置ととらえることができ、転写電圧としては1次転写部に印加される1次転写電圧及び2次転写部に印加される2次転写電圧が採用される。
【0005】
いずれにしても、像担持体(静電潜像担持体)に形成される静電潜像を今日主流の乾式現像剤を用いて現像する現像装置は、現像剤の面からみると、トナーを主体とする所謂1成分現像剤を用いる1成分現像装置と、トナー及びキャリアを主体とする所謂2成分現像剤を用いる2成分現像装置が知られている。
【0006】
これら1成分現像装置、2成分現像装置のいずれの場合でも、現像装置は現像剤を担持して前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域へ搬送するための現像剤担持体を備えており、この現像剤担持体には、トナーを現像剤担持体から静電潜像現像のために像担持体へ移行させる現像電界を形成するための所謂現像バイアスが印加される。
【0007】
前記現像バイアスとしては、1成分現像装置、2成分現像装置のいずれの現像装置であれ、現像効率を向上させるために、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスを採用する場合がある。特に、画像形成装置の高速化が求められる場合には、このような現像バイアスが採用される傾向がある。
【0008】
2成分現像装置によると現像剤は現像剤担持体に内蔵した磁界発生体の作用で現像剤担持体表面に磁気ブラシの態様で保持され、現像域へ搬送されるので、現像剤担持体と像担持体は現像間隙をおいて離されている。
【0009】
一方、1成分現像装置では、現像バイアスとして直流電圧が採用される場合は、現像剤担持体は通常像担持体に接触配置されるが、交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスが採用される場合は、現像剤担持体と像担持体は現像間隙をおいて離されるのが一般的である。
【0010】
ところで、画像形成装置において画像形成する場合、より良好な画像を形成するために、画像形成に影響を与える画像形成装置周囲の環境温度や環境湿度に応じて、少なくとも一つの画像形成条件を制御する場合がある。
【0011】
画像形成条件としては、帯電装置による前記像担持体表面の帯電電位、前記現像バイアス電圧、前記露光装置による露光量、前記転写電圧及び前記定着装置のトナー像定着温度
などを例示できる。例えば、転写電圧が転写性を向上させる方向へ制御される。
【0012】
前記画像形成条件を制御するにあたっての環境温度、環境湿度の検出は、通常、専用の温度センサー及び/又は湿度センサー、或いは温湿度センサーを用いて行なわれる。
【0013】
なお、特開2003−287942号公報には、画像形成条件設定の例として、現像バイアスとして交流成分と直流成分を重畳させた現像バイアスを採用するとともに現像剤担持体を像担持体に現像間隙をおいて臨ませた1成分現像装置において、現像剤担持体と像担持体間にリーク検知用電圧を変化させて印加し、該両者間に流れる電流に基づいて該両者間のリーク電圧を検出し、該検出されるリーク電圧に応じて現像バイアスを制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−287942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記専用の温度センサー、湿度センサー或いは温湿度センサーは高価であるため、低コストに抑えたい複写機、プリンター等の画像形成装置では採用し難く、それらを搭載しない場合がある。
【0016】
その場合、温度及び/又は湿度に応じた適切な画像形成条件設定ができないことがあったり、ユーザーが試行錯誤で画像形成条件をマニュアル設定しなければならない場合があったりして、画像形成装置の使い勝手が悪いことがある。
【0017】
特開2003−287942号公報記載の現像バイアス制御は環境温度及び/又は湿度に応じて現像バイアスを制御するのではなく、現像間隙の大きさに応じて現像バイアスを制御する例にすぎない。
【0018】
本発明は、像担持体、前記像担持体表面を帯電電圧印加のもとで帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置、前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像バイアス印加のもとで現像して可視トナー像を形成する現像装置、前記トナー像を転写電圧印加のもとで記録シートに転写する転写装置及び前記転写されたトナー像を前記記録シートに定着させる定着装置を含み、前記現像装置は前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において該像担持体に現像間隙をおいて臨み、現像剤を担持して該現像域へ搬送する回転駆動される現像剤担持体を含む現像装置である画像形成装置であって、コスト高につく専用の温度センサー及び/又は湿度センサー、或いは温湿度センサーを要することなく、環境温度及び/又は環境湿度に応じて、少なくとも一つの画像形成条件を制御できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は前記課題を解決するため、
像担持体、前記像担持体表面を帯電電圧印加のもとで帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置、前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像バイアス印加のもとで現像して可視トナー像を形成する現像装置、前記トナー像を転写電圧印加のもとで記録シートに転写する転写装置及び前記転写されたトナー像を前記記録シートに定着させる定着装置を含み、前記現像装置は前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において該像担持体に現像間隙をおいて臨み、現像剤を担持して該現像域へ搬送する回転駆動される現像剤担持体を含む現像装置である画像形成装置であり、
前記現像装置の現像剤担持体は熱膨張量に差がある少なくとも2種類の部分を含む複数の部分を回転中心線方向に配列した現像剤担持体であり、
前記現像剤担持体の回転中心線方向に配列された複数の部分のうち熱膨張量に差がある少なくとも二つの部分のそれぞれと前記像担持体の間に流れる電流から該少なくとも二つの部分のそれぞれと前記像担持体間のリーク電圧を検知するリーク電圧検知装置を備えているとともに、画像形成条件を環境温度及び/又は環境湿度に応じて制御する画像形成条件制御装置を備えており、
前記画像形成条件制御装置は前記リーク電圧検知装置により検出されるリーク電圧に基づいて前記環境温度及び/又は環境湿度を求める画像形成装置を提供する。
【0020】
ここで、画像形成条件制御装置による画像形成条件の制御は、より良好な画像を形成できる方向への画像形成条件制御である。
【0021】
本発明に係る画像形成装置によると、環境温度及び/又は環境湿度に応じて制御すべき画像形成条件は、画像形成条件制御装置により制御される。画像形成条件制御装置は、画像形成条件を制御するにあたり考慮すべき環境温度及び/又は環境湿度を、専用の高価な温度センサー、湿度センサー或いは温湿度センサーを用いて検出するのではなく、熱膨張量に差がある少なくとも2種類の部分を含む複数の部分を回転中心線方向に配列した現像剤担持体の該複数部分のうち少なくとも二つの熱膨張量に差がある部分のそれぞれと前記像担持体間のリーク電圧を前記リーク電圧検知装置で検出し、該検知装置による検出リーク電圧に基づいて環境温度及び/又は環境湿度を求める。
【0022】
このように本発明に係る画像形成装置によると、コスト高につく専用の温度センサー及び/又は湿度センサー、或いは温湿度センサーを要することなく、環境温度及び/又は環境湿度に応じて、少なくとも一つの画像形成条件をより良好な画像を形成できる方向へ制御できる。
【0023】
前記画像形成条件制御装置による制御対象の画像形成条件としては、前記帯電装置による前記像担持体表面の帯電電位、前記現像バイアス電圧、前記露光装置による露光量、前記転写電圧及び前記定着装置のトナー像定着温度から選ばれた少なくとも一つの画像形成条件を例示できる。
【0024】
前記画像形成条件制御装置は、例えば、前記環境温度を、前記リーク電圧検知装置で検出される複数のリーク電圧間の差に基づいて求めることができる。
【0025】
より具体的な例として、前記リーク電圧検知装置として、前記現像剤担持体の複数の部分のうち熱膨張量に差がある二つの部分のそれぞれと前記像担持体の間に流れる電流から該二つの部分のそれぞれと前記像担持体間のリーク電圧を検知するものを採用し、前記画像形成条件制御装置として、該リーク電圧検知装置により検出されるリーク電圧の差に基づいて環境温度を求めるものを採用する場合を挙げることができる。
【0026】
この場合、現像剤担持体の熱膨張量に差がある二つの部分のうち一方は、該現像剤担持体を構成している前記複数の部分のうち最も熱膨張量が小さい部分(例えば、熱膨張がないと見做し得る部分)とし、二つの部分のうち他方はより熱膨張量が大きい部分とする場合を例示できる。
【0027】
前記画像形成条件制御装置は、前記環境湿度を求める場合、例えば、環境温度の影響ができるだけ少ない、前記現像剤担持体の熱膨張量が最も小さい部分について前記リーク電圧検知装置で検出されるリーク電圧に基づいて求めることができる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置はモノクロ画像形成装置でも、所謂タンデム型、サイクル型(例えば4サイクル型)等のカラー画像形成装置などであってもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明によると、像担持体、前記像担持体表面を帯電電圧印加のもとで帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置、前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像バイアス印加のもとで現像して可視トナー像を形成する現像装置、前記トナー像を転写電圧印加のもとで記録シートに転写する転写装置及び前記転写されたトナー像を前記記録シートに定着させる定着装置を含み、前記現像装置は前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において該像担持体に現像間隙をおいて臨み、現像剤を担持して該現像域へ搬送する回転駆動される現像剤担持体を含む現像装置である画像形成装置であって、コスト高につく専用の温度センサー及び/又は湿度センサー、或いは温湿度センサーを要することなく、環境温度及び/又は環境湿度に応じて、少なくとも一つの画像形成条件を制御できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御回路を概略的に示すブロック図である。
【図3】現像装置の現像ローラーを図2において右側から見て、感光体とともに示す図であり、図3(A)は現像ローラ―が熱膨張する前の状態を示す図であり、図3(B)は現像ローラーが熱膨張した状態を誇張して示す図である。
【図4】現像バイアス波形を示す図である
【図5】画像形成条件制御部によるリーク検出手順を示すフローチャートである。
【図6】現像ローラーの熱膨張量の比較的小さい第1ローラー部分に関するリーク電圧を求める場合の感光体表面電位設定を示す図である。
【図7】現像ローラーの熱膨張量の比較的大きい第2ローラー部分に関するリーク電圧を求める場合の感光体表面電位設定を示す図である。
【図8】温度による現像ローラーと感光体間の隙間の変化例を示す図である。
【図9】温度とリーク電圧の関係例を示す図である。
【図10】リーク電圧差ΔVと温度の関係例を示す図である。
【図11】空気中の絶対湿度とリーク電圧の関係例を示す図である。
【図12】現像ローラーの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例について説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の1例Aの構成の概略を示している。
図2は図1の画像形成装置Aの制御回路を概略的に示すブロック図である。
【0032】
画像形成装置Aは図2に示す制御部100の指示のもとに記録紙等の記録シートS上に画像を形成する電子写真方式のタンデム型のカラー画像形成装置(カラープリンター)である。
【0033】
画像形成装置Aは駆動ローラー71とこれに対向するローラー72に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト7を有している。転写ベルト7は、図示省略のベルト駆動部によって駆動される駆動ローラー71により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。
【0034】
対向ローラー72には転写ベルト7上の2次転写残トナー等を清掃するクリーニング装置73が臨んでおり、駆動ローラー71にはベルト7を間にして2次転写ローラー8が臨んでいる。
【0035】
2次転写ローラー8は図示省略の押圧手段にて駆動ローラー71に支持された中間転写ベルト7の部分に押圧され、中間転写ベルト7との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト7の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等の記録用シートSの移動に従動して、或いは駆動されて回転することができる。2次転写ローラー8には、電源80(図2参照)から2次転写バイアスを印加することができる。
【0036】
中間転写ベルト7及び2次転写ローラー8の上方には定着装置9が配置されており、下方にはタイミングローラー対11が配置されており、さらにその下方に、記録用シートSの供給カセット10が配置されている。
【0037】
定着装置9はハロゲンランプヒータ等の熱源を備えた定着加熱ローラーとこれに圧接される加圧ローラーとを含むものである。
記録用シート収容カセット10に収容された記録用シートSは、シート供給ローラー101にて1枚ずつ引き出してタイミングローラー対11へ供給することができる。
【0038】
中間転写ベルト7を巻き掛けたローラー71、72の間には、転写ベルト7に沿って、ローラー72からローラー71に向けて、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0039】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電装置2、露光装置3、現像装置4及びクリーニング装置6がこの順序で配置されている。
【0040】
各画像形成部の感光体1にはベルト7を間にして1次転写ローラー5が対向配置されている。1次転写ローラー5は、図示省略の押圧手段にて感光体1の方へ押圧され、ベルト7に接触して従動回転するとともにベルト7を感光体1に接触させることができる。
【0041】
1次転写ローラー5には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト7へ1次転写するための1次転写バイアスが電源50(図2参照)から印加される。
【0042】
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ、画像読取装置等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施し、静電潜像を形成できるものである。
【0043】
各画像形成部における感光体1は、ここでは負帯電性の感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
【0044】
各画像形成部における帯電装置2は、本例ではスコロトロン帯電装置であり、所定のタイミングで電源20(図2参照)から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電装置2は帯電ローラーを用いるもの等であってもよい。
【0045】
各画像形成部における現像装置4は、本例では、トナーを主体とする一成分現像剤を使用して感光体1上に形成される静電潜像を、現像バイアス電源40から現像バイアスが印加されるローラー形態の現像剤担持体(以下、「現像ローラー」という。)41(図2参照)で反転現像することができる。現像装置4については後ほどさらに説明する。
【0046】
この画像形成装置Aによると、制御部100の指示のもとに、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
【0047】
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト7に1次転写する。
【0048】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電装置2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像に対応する画像露光が施され、感光体1上にイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0049】
この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像ローラー41にて現像されて可視イエロートナー像となる。該イエロートナー像は1次転写ローラー5にて転写ベルト7上に1次転写される。このとき、1次転写ローラー5には電源50(図2参照)から1次転写バイアスが印加される。
【0050】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト7に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト7に転写される。
【0051】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト7上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト7上に形成された多重トナー像は転写ベルト7の回動により2次転写ローラー8へ向け移動する。
【0052】
一方、記録用シートSがカセット10から供給ローラー101にて引き出され、タイミングローラー対11へ供給され、待機している。
【0053】
このようにタイミングローラー対11のところで待機する記録用紙Sは、中間転写ベルト7にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト7と2次転写ローラー8とのニップ部に供給される。該多重トナー像は電源80から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラー8にて記録用シートS上に2次転写される。
【0054】
その後シートSは定着装置9に通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下にシートSに定着される。シートSはひき続き、排出ローラー対12にて排出トレイ13に排出される。
【0055】
トナー像のベルト7への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置6で清掃され、2次転写によりベルト7上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置73で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0056】
以上説明したように画像形成されるのであるが、現像装置4についてさらに説明する。 図3は現像装置4の現像ローラー41を図2において右側から見て、感光体1とともに示す図であり、図3(A)は現像ローラー41が熱膨張する前の状態を示す図であり、図3(B)は現像ローラー41が熱膨張した状態を誇張して示す図である。
【0057】
現像装置4は、図2に示すように、現像ローラー41、現像ローラー41へ現像剤(本例ではトナーT)を供給する供給ローラー42及び現像ローラー41に当接されたトナー規制ブレード43を含んでいる。
【0058】
現像ローラー41は感光体1上の静電潜像を現像する現像域Daにおいて感光体1に対して現像間隙D(図3(A)参照)をおいて対向するように設定してある。
【0059】
現像装置4によると、トナーTが供給ローラー42にて現像ローラー41側へ供給される。現像ローラー41及び供給ローラー42は、図示省略の回転駆動部により図2中反時計方向回りに回転駆動される。従って、ローラー41と42とが対向するニップ部では、両ローラー表面は互いに反対方向に移動する。これにより、供給ローラー42は現像域で消費されずに現像装置ハウジング400内へ戻ってくるトナーTを現像ローラー41から掻き落とすとともに新たにトナーTを現像ローラー41へ供給する。
【0060】
このようにして供給されたトナーTは現像ローラー41に当接している規制ブレード43を通過するときにトナー量が適正に規制されるとともに帯電せしめられ、感光体1に臨む現像領域Daで感光体1上の静電潜像の現像に供される。現像で消費されなかった現像剤は現像ローラー41の回転とともにハウジング400内へ戻ってくる。
【0061】
現像装置4についてさらに説明すると、供給ローラー42は、シャフト上に弾性を有する、発泡材層(例えば弾性発泡ポリウレタン層)を設けたものである。
現像ローラー41は、環境温度25℃、環境湿度65%RHで 外径が略一様に12mm程度であり、現像域Daにおいて感光体1に対して100μm〜200μm程度の現像間隙Dをおいて対向するように設定してある。
【0062】
現像ローラー41は、図3に示すように、熱膨張量が異なる2種類の部分、すなわち現像ローラー41の中央部分に当たる、熱膨張量が小さい第1ローラー部分411と、ローラー両端部分にあたる熱膨張量がより大きい第2ローラー部分412をローラー回転中心線方向に配列したものである。
【0063】
第1ローラー部分411は、比較的熱膨張量の小さい金属材料(例えば、アルミニウムを主体とする合金、ステンレススチール)で構成される。
第1ローラー部分411の回転中心線方向の幅w1は214mmである。
第1ローラー部分411には感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成する部分が含まれている。トナー像の現像形成担当部分中で熱膨張に差があると画像ノイズ(特に濃度むら)が生じるので、前記幅w1は、トナー像の現像形成担当部分の幅より大きくしてある。
【0064】
第2ローラー部分412は、比較的熱膨張量の大きい材料(例えばゴムや、金属軸にゴムを巻いたもので全体として比較的熱膨張量の大きい材料)で構成される。
第2ローラー部分412の回転中心線方向の幅w2は10mmである。
【0065】
現像ローラー41には静電潜像現像にあたり制御部100からの指示で出力制御される現像バイアス電源40から図4に示す波形の、交流成分に直流成分を重畳させた現像バイアスが印加される。
【0066】
この現像バイアスは、ピークツーピーク電圧Vpp=500V〜3000V、周波数f=1kHz〜3kHzの交流電圧と直流電圧Vdc=−200V〜−600Vを重畳させたバイアスである。
【0067】
図4において「Vo」は感光体1の表面電位である。「V」はリーク電圧であり、感光体表面電位Voと現像バイアスの最大電位Vmaxの差で表すことができる。
【0068】
このリーク電圧Vは本例では感光体1と現像ローラー41の間に流れる電流からリーク電圧検知装置LD(図2参照)で検出される。
【0069】
以上説明した現像ローラー41は環境温度が上昇してくると、図3(B)に示すように膨張してくる。このとき現像ローラー41は図3(B)に示すように熱膨張量の大きい第2ローラー部分412においてより大きく膨張し、その部分412と感光体1間の間隙寸法D2が、熱膨張量の比較的小さい第1ローラー部分411と感光体1間の間隙寸法D1より小さくなる。本例では、熱膨張量の小さい第1ローラー部分411に関する間隙寸法D1は前記間隙寸法Dとほぼ同じである。
【0070】
この画像形成装置Aでは、このように温度変化で現像ローラー41の部分411と412とで感光体1との間隙寸法が変化し、部分411、412のリーク電圧が変化するので、この特性を利用して環境温度及び環境湿度を求める。そして得られた環境温度及び環境湿度に応じて、少なくとも一つの画像形成条件をより良好な画像が得られる方向に制御する。
【0071】
制御部100には画像形成条件を環境温度及び/又は環境湿度に応じて制御する画像形成条件制御部100Lを含んでいる(図2参照)。画像形成条件制御部100Lは図5のフローチャートの手順に従ってリーク検出を実行する。
【0072】
図5のフローチャートに沿ってリーク検出工程を説明する。
まず、第1ローラー部分411のリーク電圧検出工程を実施する。図6のように、第1ローラー部分411に対向する感光体1の部分の表面電位を−500Vに、第2ローラー部分412に対向する感光体1の部分の表面電位を−250Vとする。この感光体表面電位の制御は、帯電装置2で感光体1を−500Vに一様に帯電させ、その帯電域のうち第2ローラ部分412に対向する部分の表面電位を露光装置3による露光にて−250Vとすることで行なう。 このように感光体1の表面電位を制御することで、第1ローラー部分411と感光体1間のリークのみを検出することができる。
【0073】
現像バイアスのVdcは例えば−300Vとし、振幅Vppを当初、例えば2000V(周波数は例えば2kHz)に設定し、その後20V〜50V刻み(例えば、50V刻み)で段階的に増加させ、現像ローラー41と感光体1間に流れる電流値に基づいて、リーク電圧検知装置LDにより、第1ローラー部分411と感光体1間のリーク電圧V1を検出する。
【0074】
続いて、第2ローラー部分412のリーク電圧検出工程を実行する。
この工程では、感光体1の表面電位を図7のように、第1ローラー部分411に対向する部分を−250Vに、第2ローラー部分412に対向する部分を−500Vに設定する。
【0075】
次に、同様に現像バイアスのVdcは例えば−300Vとし、振幅Vppを当初、例えば2000V(周波数は例えば2kHz)に設定し、その後20V〜50V刻み(例えば、50V刻み)で段階的に増加させ、現像ローラー41と感光体1間に流れる電流値に基づいて、リーク電圧検知装置LDにより、第2ローラー部分412と感光体1間のリーク電圧V2を検出する。
【0076】
次に、リーク電圧V1とV2から画像形成条件制御部100Lにおいて環境温度を算出する。温度による現像ローラー41と感光体1間の隙間Dは図8に例示するような関係となる。本例では第1ローラー部分411に関する間隙D1は略一定であるが、熱膨張量が大きい第2ローラー部分412に関する間隙D2は温度上昇と共に狭くなる。よって、温度とリーク電圧は、図9のような関係となる。
【0077】
しかし、湿度が変化するとリーク電圧V1とV2が変化してしまうため、制御部100Lは、湿度で変化しない第1ローラー部分411と第2ローラー部分412のリーク電圧差ΔVと温度の関係より(図10参照)温度を算出する。温度算出のために、制御部100Lには予め実測等により求めたこのようなリーク電圧差ΔVと温度の相関関係を記憶させてある。
【0078】
次に、リーク電圧V1から湿度を算出する。空気中の絶対湿度とリーク電圧V1は、図11のような関係となる。よって、第1ローラー部分411のリーク電圧V1より絶対湿度を算出することができる。湿度算出のために、制御部100Lには予め実測等により求めたこのようなリーク電圧と湿度の相関関係を記憶させてある。
制御部100Lは、さらに、絶対湿度と温度から、相対湿度を算出してもよい。
【0079】
制御部100Lは、このように算出した温湿度に応じて、1次転写電圧や2次転写電圧を最適値に設定する。以下の表1は1次転写電圧を、表2は2次転写電圧をそれぞれ最適値に設定するためのテーブルであり、これらは、予め実験等により求めておき、制御部100Lに記憶させておけばよい。
【0080】
表1、表2において、相対湿度欄の例えば「90〜」は[90%以上]、「80〜90」は「80%以上90%未満」、「〜10」は「10%未満」を意味しており、他の相対湿度記載も同様である。
また、温度欄の例えば「40〜」は「40℃以上」、「30〜40」は「30℃以上40℃未満」、「〜10」は「10℃未満」を意味しており、他の温度記載も同様である。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
いま、制御部100Lによる環境温度及び/湿度に応じた1次転写電圧や2次転写電圧の制御例を説明したが、制御部100Lによる環境温度及び/湿度に応じた画像形成条件の制御は転写電圧に限定されるものではなく、転写電圧を含め、露光装置3による露光光量、帯電装置2による帯電電圧、現像バイアス電圧、定着装置9による定着温度等の画像形成条件のうち1又は2以上を最適値に制御するようにしてもよい。
【0084】
図12は現像ローラーの他の例を示している。
図12の現像ローラー41’は、現像ローラー表層を異なる熱膨張係数の材料で構成したものである。例えば、第1ローラー部分411’の表層に熱膨張係数が小さいコート層を配置し、第2ローラー部分412’の表層に熱膨張係数が大きいゴム層を配置する。これにより、第1ローラー部分411’と第2ローラー部分412’で熱膨張量が異なり、温湿度をリーク電圧で検出することができる。
【0085】
なお、本発明はタンデム型のカラー画像形成装置だけでなく、所謂4サイクル型等のサイクル型画像形成装置等のカラー画像形成装置や、モノクロ画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、コスト高につく専用の温度センサー及び/又は湿度センサー、或いは温湿度センサーを要することなく、環境温度及び/又は環境湿度に応じて、少なくとも一つの画像形成条件を制御できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0087】
A 画像形成装置
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
41、41’ 現像ローラー
411、411’ 第1ローラー部分
412、412’ 第2ローラー部分
V1、V2 リーク電圧
40 現像バイアス電源
5 1次転写ローラー
50 1次転写電源
6 クリーニング装置
7 中間転写ベルト
8 2次転写ローラー
80 2次転写電源
9 定着装置
LD リーク電圧検知装置
100 制御部
100L 画像形成条件制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体、前記像担持体表面を帯電電圧印加のもとで帯電させる帯電装置、前記帯電装置による前記像担持体の帯電域に画像露光を施して静電潜像を形成する露光装置、前記露光装置により前記像担持体上に形成される静電潜像を現像バイアス印加のもとで現像して可視トナー像を形成する現像装置、前記トナー像を転写電圧印加のもとで記録シートに転写する転写装置及び前記転写されたトナー像を前記記録シートに定着させる定着装置を含み、前記現像装置は前記像担持体上の静電潜像を現像する現像域において該像担持体に現像間隙をおいて臨み、現像剤を担持して該現像域へ搬送する回転駆動される現像剤担持体を含む現像装置である画像形成装置であり、
前記現像装置の現像剤担持体は熱膨張量に差がある少なくとも2種類の部分を含む複数の部分を回転中心線方向に配列した現像剤担持体であり、
前記現像剤担持体の回転中心線方向に配列された複数の部分のうち熱膨張量に差がある少なくとも二つの部分のそれぞれと前記像担持体の間に流れる電流から該少なくとも二つの部分のそれぞれと前記像担持体間のリーク電圧を検知するリーク電圧検知装置を備えているとともに、画像形成条件を環境温度及び/又は環境湿度に応じて制御する画像形成条件制御装置を備えており、
前記画像形成条件制御装置は前記リーク電圧検知装置により検出されるリーク電圧に基づいて前記環境温度及び/又は環境湿度を求めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成条件制御装置による制御対象の画像形成条件は、前記帯電装置による前記像担持体表面の帯電電位、前記現像バイアス電圧、前記露光装置による露光量、前記転写電圧及び前記定着装置のトナー像定着温度から選ばれた少なくとも一つの画像形成条件である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成条件制御装置は、前記環境温度を、前記リーク電圧検知装置で検出される複数のリーク電圧間の差に基づいて求める請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成条件制御装置は、前記環境湿度を、前記現像剤担持体の熱膨張量が最も小さい部分について前記リーク電圧検知装置で検出されるリーク電圧に基づいて求める請求項1、2又は3記載の画像形成装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−44859(P2013−44859A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181327(P2011−181327)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】