説明

画像形成装置

【課題】感光体ドラムと現像ローラーの間の放電によるリーク電流を正確に測定すること。
【解決手段】磁気ローラー13とGNDの間に定電圧素子ZDを接続する。こうすることで、磁気ローラー13とGNDの間の電圧が基準電圧を超えると、磁気ローラー13から定電圧素子ZDに向かって電流が流れるため、現像ローラー11と磁気ローラー13の間のリーク発生を防ぐことができる。即ち、リフレッシュモード時の現像バイアス電圧を用いて、感光体ドラム135と現像ローラー11の放電検知を正しく行うことができ、電圧設定部72はリークの発生を抑えた最適な現像バイアス電圧を設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置、特に、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を使用し、現像ローラー上にトナーのみを保持させて静電潜像を現像する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置の現像方式において、現像剤としてトナーのみを用いる一成分現像方式と、トナーとキャリアを用いる二成分現像方式との両方の利点を備えるタッチダウン現像方式が注目されている。タッチダウン現像方式は、トナー及びキャリアを含有する二成分現像剤で磁気ローラー表面に磁気ブラシを形成し、その磁気ブラシからトナーのみを現像ローラーの表面に移動させてトナー薄層を形成した後、静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナーを飛翔させてトナー像として現像する方式である。タッチダウン現像方式は、トナー帯電領域に二成分現像方式を採用して長寿命化を図り、現像領域に一成分現像方式を採用して高画質化を図ることができる。
【0003】
このような画像形成装置では、現像ローラー及び磁気ローラーに対して交流電圧と直流電圧を重畳して生成した現像バイアス電圧を印加している。この場合、現像バイアス電圧を高くすると、トナー像の形成に必要な量のトナーを感光体ドラムに供給することが容易となる一方で、現像バイアス電圧のピーク値と感光体ドラムの表面電位との間の電位差が大きくなって、感光体ドラムと現像ローラーとの間でリーク(気中放電)が発生しやすくなる。リークが発生すると、感光体ドラム上にランダムな黒点(ノイズ)が発生する、所謂現像リークが発生し、良好な画質のトナー像が形成されない。更に、周辺機器の故障も招きやすくなる。
【0004】
逆に、リークを避けるために現像バイアス電圧を低くすると、トナー像の形成に必要な量のトナーが感光体ドラムに供給されにくくなり、トナー像に濃度ムラが発生する。その結果、良好な画質のトナー像が形成されない。
【0005】
そのため、上記の不具合が発生しないように最適な現像バイアス電圧を設定する必要がある。しかし、実際には現像ローラーの成形精度や取り付け精度、感光体ドラムと現像ローラーの周面間距離(現像ギャップ)を決定するスペーサーの摩耗等によって現像ギャップや現像ローラーの抵抗値が変化する。そのため、現像装置によって、或いは同じ現像装置であっても経時的にリークの発生し易さが異なる。また、リークの発生し易さは装置の設置環境(温度や湿度)によっても変化するため、ある時期においてリークの発生しにくい最適な現像バイアス電圧を設定しても、設置環境が変化するとリークが発生しまう場合もあった。
【0006】
そこで、特許文献1に記載されているように、感光体ドラムと現像ローラーの間で発生したリーク電流を検知するリーク検知手段を配置し、故意にリークを発生させた時の現像バイアス電圧に基づいて、リークの発生しない最適な現像バイアス電圧を設定する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−85592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、感光体ドラムと現像ローラーの間で故意にリークを発生させるために現像ローラーに対して現像バイアス電圧を印加すると、感光体ドラムと現像ローラーの間でトナーの移動も発生する。トナーは電荷を帯びているため、このトナー移動が電流となり、リーク検知手段がこの電流を検知してしまう。つまり、リーク検知手段が検知した電流が、放電によるリーク電流なのか、トナー移動によって生じた電流なのかが不明になり、放電によるリーク電流を正確に検知することができなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、感光体ドラムと現像ローラーの間の放電によるリーク電流を正確に検知することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の周面にトナーを供給するトナー担持体と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を搬送し、当該トナーを前記トナー担持体に供給する現像剤担持体と、一端が前記現像剤担持体に接続され、他端が接地された定電圧素子と、交流電源が出力した交流電圧を一次側から入力して二次側から変圧した交流電圧を出力する変圧手段と、直流電圧を出力する第1直流電源及び第2直流電源と、を有し、前記変圧手段が出力した交流電圧と前記第1直流電源が出力した直流電圧の重畳電圧を前記トナー担持体に印加し、前記変圧手段が出力した交流電圧と前記第2直流電源が出力した直流電圧の重畳電圧を前記現像剤担持体に印加する電圧印加手段と、前記像担持体と前記トナー担持体との間で発生したリークを検知する検知手段と、を備えたものである。
【0011】
像担持体とトナー担持体の間におけるリーク発生を抑えるために、像担持体とトナー担持体の間に故意に放電を発生させ、放電の検知結果と、放電が発生したときに採用されていた現像バイアス電圧に基づいて現像バイアス電圧を設定する必要がある。現像バイアス電圧を出力する電圧印加手段は、その変圧手段がトナー担持体及び現像剤担持体に対して共通であるため、トナー担持体と現像剤担持体に同時に現像バイアス電圧を印加することになる。現像バイアス電圧が印加されると、現像剤担持体からトナー担持体に向かってトナーが移動し、更にトナー担持体から像担持体に向かってトナーが移動する。このトナー移動が電流となるため、検知手段が検知した電流がトナー移動によって生じた電流なのか、放電によるリーク電流なのが不明となり、放電検知が正しく行えなかった。
【0012】
従って、放電検知の際にリフレッシュ作業時の印加電圧を採用する。こうすることで、トナー担持体から像担持体に向かってトナーが移動することがない。しかし、逆にトナー担持体から現像剤担持体に向かってトナーの移動が発生する。トナーの移動は即ち電荷の移動になるため、トナー担持体の周面が帯びている電荷が現像剤担持体に流れると、像担持体とトナー担持体との間で放電が行われず、放電検知が行えなかった。
【0013】
そこで、現像剤担持体とGNDの間に定電圧素子を接続し、現像剤担持体とGNDの間の電位差が基準電圧を超えないようにする。こうすることで、現像剤担持体とトナー担持体の間で発生する放電を防ぎ、像担持体とトナー担持体の間で放電を生じさせることができる。従って、検知手段は、放電によるリーク電流の検知精度を向上することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記像担持体と前記トナー担持体との間でリークを発生させるリーク発生手段と、前記検知手段による検知結果に基づいて、前記電圧印加手段が出力する電圧を設定する設定手段と、を備えたものである。
【0015】
この構成によれば、検知手段が像担持体とトナー担持体の間の放電によるリーク電流を正しく検知することができ、この検知結果と、リークを検知した時に電圧印加手段が出力していた現像バイアス電圧に基づいて、設定手段がリークの発生を抑えた最適な現像バイアス電圧を設定することができる。トナー担持体に最適な現像バイアス電圧が印加されることで、良い画質のトナー像を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、簡単な素子を追加するだけで、現像剤担持体とトナー担持体の間のリーク発生を防ぎ、且つ、像担持体とトナー担持体の間の正確な放電検知を行うことができる。正確な放電検知が行えることで、像担持体とトナー担持体の間のリークの発生を抑えるための最適な現像バイアス電圧の設定が可能となり、高画質のトナー像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図。
【図2】トナーが現像装置から感光体ドラムに供給される過程を説明するための図。
【図3】電源回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターである。尚、本実施の形態ではプリンターを例に説明するが、プリンターのみならず、ファクシミリ装置、コピー機、これらの機能を備えた複合機等にも適用可能であり、タッチダウン現像方式の現像装置を採用した画像形成装置であればよい。
【0019】
画像形成装置1は用紙貯留部110、画像形成部130及び定着部160を備える。用紙貯留部110は画像形成装置1の最下部に配置されており、用紙Pの束を貯留することができる用紙トレイ111を備える。用紙トレイ111は画像形成装置1に差し込んで装着される。用紙Pを補給するときは画像形成装置1から用紙トレイ111を引き出す。用紙トレイ111に貯留された用紙Pの束において、最上位の用紙Pがピックアップローラ113の駆動により、用紙搬送路115へ向けて繰り出される。用紙Pは用紙搬送路115を通って、画像形成部130へ搬送される。
【0020】
画像形成部130は搬送されてきた用紙Pにトナー像を形成する。画像形成部130はトナー像を転写ベルト131に転写する順番に従ってタンデムに配置された、マゼンタ用ユニット133M、シアン用ユニット133C、イエロー用ユニット133Y及びブラック用ユニット133Bkを備える。これらのユニットは同様の構成を有しており、マゼンタ用ユニット133Mを例にして説明する。
【0021】
マゼンタ用ユニット133Mは感光体ドラム135を備える。感光体ドラム135の周りには帯電器137、露光装置139、現像装置141及びクリーナー143が配置されている。帯電器137は感光体ドラム135の周面を一様に帯電させる。露光装置139はパソコン等から送信された画像データの中でマゼンタデータに対応する光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム135の周面に照射する。これにより、感光体ドラム135の周面にはマゼンタデータに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム135の周面に現像装置141からマゼンタトナーを供給することにより、周面にはマゼンタデータに対応するトナー像が形成される。
【0022】
転写ベルト131は感光体ドラム135と1次転写ローラー145により挟まれた状態でF方向(時計周り)に動くことができる。マゼンタデータに対応するトナー像は感光体ドラム135から転写ベルト131に転写される。感光体ドラム135の周面に残っているマゼンタトナーはクリーナー143によって除去される。以上がマゼンタ用ユニット133Mの説明である。
【0023】
転写ベルト131にはマゼンタデータに対応するトナー像が転写され、このトナー像に重ねてシアンデータに対応するトナー像、イエローデータに対応するトナー像、ブラックデータに対応するトナー像が重ねて転写される。これにより転写ベルト131にカラーのトナー像が形成される。このカラーのトナー像は2次転写ローラー149によって、用紙貯留部110から搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0024】
カラーのトナー像が転写された用紙Pは定着部160に送られる。定着部160は加熱ローラー161と加圧ローラー163を備える。これらのローラーによってカラーのトナー像が転写された用紙Pが挟まれる。これにより、カラーのトナー像に熱と圧力が加えられて、カラーのトナー像を用紙Pに定着させる。そして、用紙Pは排紙部169に排紙される。
【0025】
次に、現像装置141の構成と動作を説明する。図2は、二成分現像剤51中のトナー53が現像装置141から感光体ドラム135に供給される過程を示す図である。符号55は二成分現像剤51を構成するキャリアである。
【0026】
現像装置141は現像ローラー11、磁気ローラー13、攪拌スクリュー(不図示)、電圧印加部6を備える。攪拌スクリューは二成分現像剤51を収容する攪拌室(不図示)に配置され、回転することにより二成分現像剤51を攪拌する。これによりトナー53とキャリア55が摩擦帯電し、トナー53とキャリア55が静電気的に結合した状態となって、磁気ローラー13に汲み上げられる。
【0027】
磁気ローラー13は、シャフト33が回転することにより回転方向R2に回転しながら、トナー53とキャリア55が静電気的に結合した状態の二成分現像剤51を吸い付けて搬送する。ブレード35は、磁気ローラー13に担持されている二成分現像剤51の厚みを規制する。
【0028】
そして、対面部37において、二成分現像剤51中のトナー53が回転方向R1に回転する現像ローラー11に供給される。詳細には、キャリア55が磁気ローラー13に吸い付けられた状態で、トナー53だけが現像ローラー11に引き寄せられて、現像ローラー11に吸い付く。
【0029】
現像ローラー11は磁気ローラー13と対向して配置され、対面部37でトナー53を吸い付けて、トナー53を担持しながら回転方向R1に回転することによりトナー53を搬送する。そして、対面部47においてトナー53を感光体ドラム135に供給する。
【0030】
詳しくは、感光体ドラム135は回転方向R1及びR2と逆方向の回転方向R3に回転している。搬送されてきたトナー53は感光体ドラム135の周面に形成された静電潜像によって引き寄せられて、感光体ドラム135に移動する。これにより、感光体ドラム135の周面の静電潜像が現像され、周面にトナー像が形成される。感光体ドラム135上にはこれと接触した転写ベルト131が配置されている。転写ベルト131はD方向に動いており、トナー像は転写ベルト131に転写される。
【0031】
上記したように、磁気ローラー13が搬送する二成分現像剤51中のトナー53は、対面部37で現像ローラー11に移動する。また、現像ローラー11が搬送するトナー53は対面部47で感光体ドラム135に移動する。このように、対面部47及び対面部37でトナー53を飛翔させて移動させるために、電圧印加部6は現像ローラー11及び磁気ローラー13に対して直流電圧と交流電圧を重畳させた現像バイアス電圧を印加する。この電圧印加部6については、後ほど詳しく説明する。
【0032】
制御部7は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等からなり、画像形成装置1の全体制御を司るものであり、リーク検知部71及び電圧設定部72を有する。リーク検知部71は、感光体ドラム135と現像ローラー11との間に流れたリーク電流を検知する。電圧設定部72は、リーク検知部71による検知結果に基づいて、リークの発生を抑えた現像バイアス電圧を設定する。電圧印加部6は、電圧設定部72が設定した現像バイアス電圧に従って電圧を生成して出力する。
【0033】
図3は、電圧印加部6の回路図である。各要素に付した符号の添え字について、Kは黒、Mはマゼンタ、Cはシアン、Yはイエローを示しており、各色の現像装置に対応した構成要素であることを示している。以下の説明では添え字を付けず、包括して説明する。
【0034】
トランス92の一次側にはAC電源91が接続される。そしてトランス92の二次側において、変圧された交流電圧と現像ローラー用DC電源93から出力した直流電圧の重畳電圧が現像ローラー11に印加され、変圧された交流電圧と磁気ローラー用DC電源94から出力した重畳電圧が磁気ローラー13に印加される。尚、現像ローラー11及び磁気ローラー13の前段に接続されている抵抗Rは、各ローラーへ流れる電流を制限するための抵抗である。
【0035】
更に、磁気ローラー13とGND(グラウンド)の間には、定電圧素子ZDが接続される。定電圧素子ZDは、例えばツェナー電圧が所定の基準電圧であるツェナーダイオードであり、ツェナーダイオードのカソードが磁気ローラー13に接続され、アノードがGNDに接続されている。尚、定電圧素子ZDはツェナーダイオードに限らず、磁気ローラー13にかかる電圧を基準電圧以下に制限できる定電圧回路であればよい。
【0036】
電圧印加部6が現像ローラー11に印加する現像バイアス電圧を高くすると、トナー像の形成に必要な量のトナーを感光体ドラム135に供給することが容易となる一方で、現像バイアス電圧のピーク値と感光体ドラム135の表面電位との間の電位差が大きくなって、感光体ドラム135と現像ローラー11との間でリークが発生しやすくなる。リークが発生すると、良好な画質のトナー像が形成されない。更に、周辺機器の故障も招きやすくなる。
【0037】
逆に、リークを避けるために現像バイアス電圧を低くすると、トナー像の形成に必要な量のトナーが感光体ドラム135に供給されにくくなり、トナー像に濃度ムラが発生する。その結果、良好な画質のトナー像が形成されない。
【0038】
そのため、上記の不具合が発生しないように最適な現像バイアス電圧を設定する必要がある。しかし、実際には現像ローラー11の成形精度や取り付け精度、感光体ドラム135と現像ローラー11の現像ギャップG等(図2参照)によってリークの発生し易さが変化する。また、リークの発生し易さは装置の設置環境(温度や湿度)によっても変化し、現像装置によって、或いは同じ現像装置であっても経時的にリークの発生し易さが異なる場合がある。
【0039】
このようにリークの発生条件が変化するため、制御部7の制御のもと、所定のタイミングにおいて感光体ドラム135と現像ローラー11の間で故意に放電を発生させてリーク検知部71に放電によるリークを検知させ、この検知結果に基づいて電圧設定部72がリーク発生を抑えられる最適な現像バイアス電圧を設定する。
【0040】
現像バイアス電圧の設定方法ついて説明する。まず、電圧印加部6は、感光体ドラム135と現像ローラー11の間で放電を発生させるために、現像バイアス電圧を印加する。このとき、磁気ローラー13にも同時に現像バイアス電圧が印加されるため、現像ローラー11と磁気ローラー13の間で電位差が生じ、磁気ローラー13から現像ローラー11に向かってトナーが移動し、更に現像ローラー11から感光体ドラム135に向かってトナーが移動する。トナーは電荷を帯びているため、リーク検知部71はこのトナー移動を電流として検知してしまう。つまり、リーク検知部71が検知した電流が、放電によるリーク電流なのか、トナー移動によって生じた電流なのかが不明になり、放電検知が正しく行えない。
【0041】
そこで、感光体ドラム135と現像ローラー11の間でトナーが移動しない設定にして放電を発生させる。具体的には、リフレッシュ作業時の印加電圧を採用する。リフレッシュ作業とは、現像ローラー11上に形成されたトナー薄層を磁気ローラー13が剥ぎ取り、新たなトナー薄層を形成させることをいう。タッチダウン現像方式において、現像ローラー11上へのトナー薄層形成は磁気ブラシと現像バイアス電圧で行われるが、一方向の電界を掛け続けることによる現像ローラー11へのトナー固着や、現像ローラー11から感光体ドラム135へトナーが飛翔した後の残像が2周目にも現れる現像ゴースト現象などが生じることがある。リフレッシュ作業は、この問題を解決するためのものであり、一般的には用紙と用紙の間、即ち紙間のタイミングで行われる。
【0042】
通常の画像形成時(以下「通常モード」と表記する)とリフレッシュモード時における現像バイアス電圧は、AC出力については現像ローラー11と磁気ローラー13に対して1トランスの構成となっているため同じAC成分の電圧が現像ローラー11と磁気ローラー13に加わる。従って、DC成分を変化させることによって、通常モード時とリフレッシュモード時における現像ローラー11と磁気ローラー13の電位差を逆転させる。
【0043】
ところが、電圧印加部6がリフレッシュモード時の現像バイアス電圧を現像ローラー11及び磁気ローラー13に印加すると、従来の回路では、現像ローラー11と磁気ローラー13の間に放電が発生する場合があり、感光体ドラム135と現像ローラー11の間の放電が行われずに放電検知ができないケースがあった。
【0044】
しかし、図3で示したように、磁気ローラー13とGNDの間に定電圧素子ZDを接続することで、磁気ローラー13に加わる電圧が基準電圧以上にならない。つまり、磁気ローラー13とGNDの間の電圧が基準電圧以上になると、磁気ローラー13から定電圧素子ZDに向かって電流が流れるため、現像ローラー11と磁気ローラー13の間のリーク発生を防ぐことができる。即ち、感光体ドラム135と現像ローラー11との間で確実に放電を発生させることができる。
【0045】
定電圧素子ZDとしてツェナーダイオードを用いた場合、ツェナー電圧は、通常モード時に生じる現像ローラー11と磁気ローラー13の間の電位差より大きく、リフレッシュモード時に生じる現像ローラー11と磁気ローラー13の間の電位差より小さく設定する。こうすることで、現像ローラー11と磁気ローラー13の間に発生するリークを防ぐことができる。
【0046】
そして、感光体ドラム135と現像ローラー11の間に生じた放電によって流れたリーク電流をリーク検知部71が検知し、この検知結果と、リーク発生時に電圧印加部6が採用していた現像バイアス電圧に基づいて、電圧設定部72がリークの発生を抑えた最適な現像バイアス電圧を設定する。電圧印加部6は、電圧設定部72が設定した現像バイアス電圧に従って現像ローラー11及び磁気ローラー13に対して電圧を印加する。
【0047】
以上、説明したように、磁気ローラー13とGNDの間に定電圧素子ZDを接続することで、放電検知の際にリフレッシュモード時の現像バイアス電圧を採用しても現像ローラー11と磁気ローラー13の間のリーク発生を防ぎ、感光体ドラム135と現像ローラー11の間で確実に放電を起こさせることができる。従って、リーク検知部71は放電によるリーク電流を検知することができ、電圧設定部72はリークの発生を抑えた最適な現像バイアス電圧の設定を行うことができる。感光体ドラム135と現像ローラー11の間のリーク発生が抑制されることで、現像効率が上がり、良質な画質のトナー像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置
6 電圧印加部(電圧印加手段、リーク発生手段)
7 制御部
11 現像ローラー(トナー担持体)
13 磁気ローラー(現像剤担持体)
71 リーク検知部(検知手段)
72 電圧設定部(設定手段)
91K、91M、91C、91Y AC電源(交流電源)
92K、92M、92C、92Y トランス(変圧手段)
93K、93M、93C、93Y DC電源(第1直流電源)
94K、94M、94C、94Y DC電源(第2直流電源)
110 用紙貯留部
130 画像形成部
135 感光体ドラム(像担持体)
141 現像装置
ZD 定電圧素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体の周面にトナーを供給するトナー担持体と、
トナーとキャリアからなる二成分現像剤を搬送し、当該トナーを前記トナー担持体に供給する現像剤担持体と、
一端が前記現像剤担持体に接続され、他端が接地された定電圧素子と、
交流電源が出力した交流電圧を一次側から入力して二次側から変圧した交流電圧を出力する変圧手段と、直流電圧を出力する第1直流電源及び第2直流電源と、を有し、前記変圧手段が出力した交流電圧と前記第1直流電源が出力した直流電圧の重畳電圧を前記トナー担持体に印加し、前記変圧手段が出力した交流電圧と前記第2直流電源が出力した直流電圧の重畳電圧を前記現像剤担持体に印加する電圧印加手段と、
前記像担持体と前記トナー担持体との間で発生したリークを検知する検知手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体と前記トナー担持体との間でリークを発生させるリーク発生手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記電圧印加手段が出力する電圧を設定する設定手段と、
を備えた請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−50481(P2013−50481A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186759(P2011−186759)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】