説明

画像形成装置

【課題】現像ローラが上向きに配置された現像カートリッジを有する画像形成装置において、現像ローラを感光体に対して軸方向でバランスよく押圧することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体(感光ドラム51)と、感光体の下側に配置され、当該感光体に現像剤を供給する現像ローラ53を有する現像カートリッジ52と、現像カートリッジ52を着脱可能に支持する支持体と、現像ローラ53の回転軸または当該回転軸と同軸となる軸部52Aを押圧することで、現像ローラ53を感光体に押圧する押圧部材520とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体に向けて押圧される現像ローラを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムと、感光ドラムの上側に配置され、感光ドラムにトナーを供給する現像ローラを有する現像カートリッジとを備える画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この技術では、現像ローラの上側に配置される現像カートリッジの筐体にボスが設けられており、このボスを下方に向けて押圧部材によって押圧することで、現像カートリッジの下側に配置される現像ローラが感光ドラムに押圧されるようになっている。
【0003】
この技術では、現像ローラが下向きに配置されていることから、押圧部材の押圧力の他、現像カートリッジの自重も、現像ローラの感光ドラムへの圧接に寄与するので、現像ローラを感光ドラムに安定して押圧することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような構成の現像カートリッジが現像ローラを上向きにして感光ドラムの下側に配置された場合には、現像ローラよりも下側に離れたボスを上方に付勢しなければならないので、現像ローラの感光ドラムに対する押圧力が軸方向において偏るおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、現像ローラが上向きになるように配置された現像カートリッジを有する画像形成装置において、現像ローラを感光ドラム(感光体)に対して軸方向でバランスよく押圧することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体の下側に配置され、当該感光体に現像剤を供給する現像ローラを有する現像カートリッジと、前記現像カートリッジを着脱可能に支持する支持体と、を備える。
さらに、画像形成装置には、前記現像ローラの回転軸または当該回転軸と同軸となる軸部を押圧することで、前記現像ローラを前記感光体に押圧する押圧部材が設けられる。
【0008】
ここで、「感光体の下側」とは、感光体の回転軸よりも現像ローラの回転軸が下方に配置されていることを意味する。
【0009】
この構成によれば、上向きの現像ローラの回転軸または回転軸と同軸となる軸部が押圧部材によって押圧されるので、現像ローラの回転軸よりも下側の部位を押圧する構造に比べ、現像ローラを感光体に対して軸方向でバランスよく押圧することができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記支持体に、前記現像カートリッジを装着位置に案内する案内部材が設けられる場合には、前記案内部材が、前記感光体と前記現像ローラが対向する方向に移動可能となるように前記支持体に支持されるとともに、前記現像ローラの回転軸または前記軸部を支持する軸支部を有し、前記押圧部材が、前記案内部材と、当該案内部材を前記感光体に向けて付勢する付勢部材とを備えて構成されるのが望ましい。
【0011】
これによれば、軸支部と案内部材とを別体に構成するものに比べ、部品点数を削減することができる。
【0012】
また、前記した構成において、前記案内部材には、前記現像カートリッジに設けられるカートリッジ側電極に接触する支持体側電極が設けられているのが望ましい。
【0013】
これによれば、現像カートリッジとともに移動する案内部材に支持体側電極を設けるので、支持体に支持体側電極を設ける構造に比べ、例えば印字中に感光体の表面の振れに追従して現像カートリッジおよび案内部材が振動しても、各電極が摺接するのを抑えて各電極の磨耗を抑えることができる。
【0014】
なお、案内部材と軸支部(現像ローラの回転軸または当該回転軸と同軸となる軸部に当接する部分)は別体に構成してもよい。具体的には、前記した構成において、前記支持体には、前記現像カートリッジを装着位置に案内する案内部材と、当該案内部材に対して前記感光体と前記現像ローラが対向する方向に移動可能で、かつ、前記回転軸または前記軸部に当接可能な当接部材とが設けられ、前記押圧部材が、前記当接部材と、当該当接部材を前記感光体に向けて付勢する付勢部材とを有するように構成されていてもよい。
【0015】
また、前記した構成において、前記感光体および前記現像カートリッジは複数設けられ、前記支持体は、シート上に現像剤像を熱定着させる定着装置を有する装置本体に対して引き出し可能に設けられ、前記現像カートリッジを前記支持体から取り外すときの離脱方向が、前記支持体の引き出し方向の下流側に向かうにつれて上方に傾斜する方向となるように、前記現像カートリッジが前記支持体に対して着脱可能となっているのが望ましい。
【0016】
これによれば、現像カートリッジを鉛直方向に着脱させる構造に比べ、現像カートリッジの着脱作業を容易にすることができる。
【0017】
また、前記した構成において、前記支持体には、前記複数の感光体を支持する感光体支持部材が回動可能に設けられているのが望ましい。
【0018】
これによれば、現像カートリッジの着脱時には感光体支持部材を回動させるだけで感光体を退避させることができるので、例えば現像カートリッジの着脱時に感光体を支持体から取り外さなければならない構造に比べ、現像カートリッジの着脱作業を容易にすることができる。また、感光体支持部材を回動させるだけで複数の感光体を一体的に退避させることができるので、現像カートリッジの着脱作業を容易にすることができる。
【0019】
また、前記した構成において、前記感光体支持部材は、前記感光体を前記現像ローラに接触させる第1姿勢と、前記感光体を前記現像ローラから最大に退避させる第2姿勢との間で回動可能に構成され、前記感光体支持部材の前記第1姿勢から前記第2姿勢までの回転角が、前記第1姿勢のときの前記感光体支持部材に対する前記離脱方向の角度よりも大きく設定されているのが望ましい。
【0020】
これによれば、現像カートリッジを、感光体支持部材に干渉させずに着脱することができる。
【0021】
また、前記した構成において、前記現像ローラを前記感光体から離間させる離間機構をさらに備え、前記離間機構が、前記押圧部材を前記感光体から遠ざけることで前記現像カートリッジの自重を利用して前記現像ローラを前記感光体から離間させるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、現像ローラが上向きになるように配置された現像カートリッジを有する画像形成装置において、現像ローラを感光体に対して軸方向でバランスよく押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを示す説明図である。
【図2】装置本体からドロワを引き出した状態を示す説明図である。
【図3】感光体支持部材を上方に回動させた状態を示す説明図である。
【図4】現像カートリッジをドロワに装着するまでの各部材の動きを示す説明図(a)〜(c)である。
【図5】案内部材と離間機構の関係を示す説明図(a)〜(c)である。
【図6】現像ローラを感光ドラムに接触させた状態を示す説明図(a)と、離間させた状態を示す説明図(b)である。
【図7】案内部材の変形例を示す斜視図である。
【図8】案内部材と軸支部を別体に構成した形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタについて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、方向は、カラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0025】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、給紙ユニット30と、スキャナユニット40と、ドロワ50と、転写ユニット60と、定着装置70とを備えている。
【0026】
装置本体10の上部には、装置本体10から排出されたシートの一例としての用紙Sが載置される排紙トレイ12が設けられている。また、装置本体10の前壁には、ドロワ50を装置本体10外に引き出すための開口部13が形成されるとともに、この開口部13を開閉するためのフロントカバー14が回動可能に設けられている。
【0027】
給紙ユニット30は、装置本体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Sを転写位置(中間転写ベルト63と2次転写ローラ65との間)に搬送する給紙機構32とを備えている。給紙トレイ31内の用紙Sは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて転写位置に搬送される。
【0028】
スキャナユニット40は、給紙ユニット30の上方に配置され、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。そして、スキャナユニット40では、レーザビームが図の2点鎖線で示す経路を通って、感光体の一例としての感光ドラム51の表面上に高速走査にて照射される。
【0029】
ドロワ50は、中間転写ベルト63の下方(中間転写ベルト63とスキャナユニット40の間)に配置され、装置本体10に対して略前後方向に移動可能に支持され、装置本体10の開口部13から前側に引き出し可能となっている(図2参照)。詳しくは、ドロワ50は、装置本体10外に引き出す際に中間転写ベルト63から離れた状態となるように、前後方向に延びるとともに後端部が上斜め後方に延びる図示せぬレールによって支持されている。
【0030】
ドロワ50には、4つの感光ドラム51と、4つの図示せぬ公知の帯電器と、4つの現像カートリッジ52とが設けられ、各現像カートリッジ52には、現像ローラ53や、図示せぬ公知の供給ローラ、層厚規制ブレード、トナー収容室などが設けられている。現像カートリッジ52は、現像ローラ53が上向きになり、かつ、当該現像ローラ53の回転軸が感光ドラム51の回転軸よりも下方に配置される位置に設けられている。なお、ドロワ50と現像カートリッジ52の構造については、後で詳述することとする。
【0031】
転写ユニット60は、ドロワ50の上方に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設された無端状の中間転写ベルト63と、中間転写ベルト63を介して感光ドラム51と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、中間転写ベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65とを備えている。
【0032】
このようなドロワ50および転写ユニット60では、まず、感光ドラム51の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット40によって露光されることで、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容室内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラ53の表面に担持される。
【0033】
現像ローラ53の表面に担持されたトナーは、現像ローラ53から感光ドラム51上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光ドラム51上にトナー像が形成(担持)される。各感光ドラム51上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト63上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙ユニット30から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置を通過することで、中間転写ベルト63上のトナー像が用紙Sに転写される。
【0034】
定着装置70は、転写ユニット60の前側上方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72と、定着後の用紙Sを装置本体10の外部に排出する排出ローラ73とを備えている。定着装置70では、トナー像が転写された用紙Sが、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することでトナー像が熱定着され、排出ローラ73によって装置本体10の外部に排出されて排紙トレイ12上に載置される。
【0035】
<ドロワ50および現像カートリッジ52の構造>
図3に示すように、ドロワ50は、現像カートリッジ52を着脱可能に支持する支持体510と、現像ローラ53を感光ドラム51に押圧する4つの押圧部材520と、4つの感光ドラム51を回転可能に支持する感光体支持部材530とを備えて構成されている。
【0036】
支持体510は、上下に開口する矩形の筒状に形成されており、その前壁511には、ユーザによって把持される取手部512が設けられている。また、支持体510の左右の側壁513には、各押圧部材520を支持するために左右方向内側に突出する左右各4つの突出部514が設けられている。
【0037】
押圧部材520は、現像ローラ53の回転軸と同軸となる軸部52Aを上方(詳しくは、上斜め前方)に押圧することで、現像ローラ53を感光ドラム51に押圧するように構成されている。ここで、軸部52Aは、現像カートリッジ52の左右の側壁から左右方向外側に突出する円柱状に形成されている。
【0038】
これにより、上向きの現像ローラ53の回転軸と同軸となる軸部52Aが押圧部材520によって上方に押圧されるので、現像カートリッジのうち現像ローラの回転軸よりも下側の部位を押圧する構造に比べ、現像ローラ53を感光ドラム51に対して軸方向でバランスよく押圧することが可能となっている。
【0039】
具体的に、押圧部材520は、現像カートリッジ52を装着位置に案内する案内部材521と、当該案内部材521を感光ドラム51に向けて付勢する付勢部材の一例としてのコイルバネ522とを備えて構成されている。ここで、装着位置とは、現像ローラ53が上向きとなって感光ドラム51に当接可能となる位置(図3の位置)をいう。
【0040】
案内部材521は、略U字状に形成され、その内面が前側に向かうにつれて上方に傾斜する一対の案内面523となっており、図4(a),(b)に示すように、一対の案内面523によって現像カートリッジ52に形成されたボス52Bが案内されるようになっている。すなわち、現像カートリッジ52を案内部材521(支持体510)から取り外すときの離脱方向が、支持体510の引き出し方向の下流側に向かうにつれて上方に傾斜する方向となるように、現像カートリッジ52が案内部材521を介して支持体510に対して着脱可能となっている。
【0041】
これにより、現像カートリッジを鉛直方向に着脱させる構造に比べ、現像カートリッジ52の着脱作業を容易にすることが可能となっている。なお、ボス52Bは、現像カートリッジ52の左右の側壁の下部から左右方向外側に突出し、かつ、軸部52Aよりも小径の円柱状に形成されている。
【0042】
また、U字状の案内部材521の開口を挟んで位置する一対の端部524は、現像カートリッジ52の装着方向の下流側に向かうにつれて案内面523側に傾斜するように形成されている。これにより、一対の端部524が、現像カートリッジ52の軸部52Aを支持する軸支部として機能している(図4(b)参照)。
【0043】
また、案内部材521は、現像カートリッジ52の着脱方向(感光ドラム51と現像ローラ53が対向する方向)に沿って移動可能となるように図示せぬガイドリブ等によって支持体510に支持されている。そして、案内部材521と支持体510の突出部514との間には、コイルバネ522が設けられている。
【0044】
これにより、図4(a),(b)に示すように、現像ローラ53が上向きになるように現像カートリッジ52を案内部材521に装着した後、図4(c)に示すように、感光ドラム51で現像ローラ53を下方に押圧すると、現像カートリッジ52と案内部材521が一体に下斜め後方に移動してコイルバネ522が縮められる。そして、この縮んだコイルバネ522によって案内部材521を介して現像カートリッジ52が感光ドラム51に向けて付勢されることで、現像ローラ53が感光ドラム51に押圧される。
【0045】
また、案内部材521の左右方向内側の面には、現像カートリッジ52の左右方向外側の面に設けられるカートリッジ側電極52Cに接触する支持体側電極の一例としての支持体側電極525が設けられている。このように現像カートリッジ52とともに移動する案内部材521に支持体側電極525を設けることで、例えば印字中に感光ドラム51の表面の振れに追従して現像カートリッジ52および案内部材521が振動しても、各電極52C,525が摺接するのを抑えて各電極52C,525の磨耗を抑えることが可能となっている。
【0046】
なお、支持体側電極525は、図示せぬハーネス等を介して装置本体10に設けられる図示せぬ制御基板に接続されている。
【0047】
また、図5(a)に示すように、案内部材521の左右方向外側の面には、左右方向外側に突出するピン部526が設けられており、このピン部526は、支持体510の左右の側壁513に形成された長孔515を通って支持体510の外側に突出している。なお、長孔515は、現像カートリッジ52の着脱方向に延びるように形成されている。
【0048】
そして、支持体510の外側に突出したピン部526は、図5(b)に示すように、離間機構100によって長孔515に沿って移動可能となっている。離間機構100は、離間用カム110と、離間用カム110を前後方向に移動させる図示せぬ駆動機構とを備えている。
【0049】
離間用カム110は、前後方向(複数の感光ドラム51の配列方向)に延びる長尺状の直動カムであり、後方に移動することによって、ピン部526を後斜め下方に押圧して移動させるようになっている。具体的に、離間用カム110は、装置本体10の左右の側壁に前後方向に移動可能に支持されている。
【0050】
離間用カム110は、前後方向に対して傾斜する4つのカム面111を有しており、各カム面111によって各ピン部526を押圧するようになっている。これにより、図6(a),(b)に示すように、案内部材521が感光ドラム51から遠ざけられるとともに、現像カートリッジ52が自重によって案内部材521とともに下がることで、現像ローラ53が感光ドラム51から離間するようになっている。
【0051】
そして、このように各現像ローラ53を各感光ドラム51から適宜離間させることで、例えばカラーモードとモノクロモードの切替を行うことが可能となっている。なお、離間用カム110を前後動させる図示せぬ駆動機構としては、モータやギヤ等で構成される機構や、フロントカバー14の開閉に連動して離間用カム110を前後動させる機構などを採用することができる。
【0052】
また、ドロワ50は、着脱時において離間用カム110とは干渉しないように構成されている。具体的に、ドロワ50は、装着時において、前述した図示せぬレールによって後方に移動した後、上斜め後方に移動するので、ドロワ50から突出する各ピン部526は、各カム面111が形成される部位の下側を通った後、各カム面111に対向する位置に移動するようになっている。
【0053】
図3に示すように、感光体支持部材530は、支持体510の左右の側壁513の後側上部に回動可能に支持されている。これにより、現像カートリッジ52の着脱時には感光体支持部材530を回動させるだけで感光ドラム51を退避させることができるので、例えば現像カートリッジの着脱のたびに感光ドラムを支持体から取り外さなければならない構造に比べ、現像カートリッジ52の着脱作業を容易にすることが可能となっている。
【0054】
また、感光体支持部材530によって4つの感光ドラム51を一体的に支持しているので、4つの感光ドラム51をまとめて各現像カートリッジ52から退避させることができるので、現像カートリッジ52の着脱作業を容易にすることが可能となっている。
【0055】
また、感光体支持部材530は、各感光ドラム51を各現像ローラ53に接触させる第1姿勢(図1の姿勢)と、各感光ドラム51を各現像ローラ53から最大に退避させる第2姿勢(図3の姿勢)との間で回動可能に構成されている。すなわち、支持体510には感光体支持部材530の回動範囲を規制する図示せぬ規制部が設けられており、この規制部によって感光体支持部材530が第1姿勢と第2姿勢との間で回動可能となっている。
【0056】
そして、感光体支持部材530の第1姿勢から第2姿勢までの回転角αは、第1姿勢のときの感光体支持部材530に対する現像カートリッジ52の離脱方向の角度βよりも大きく設定されている。言い換えると、第1姿勢のときの感光体支持部材530の回動軸と感光ドラム51の回転軸とを結ぶ直線L1と第2姿勢のときの感光体支持部材530の回動軸と感光ドラム51の回転軸とを結ぶ直線L2のなす角αが、直線L1に対する現像カートリッジ52の離脱方向の角度βよりも大きくなるように設定されている。
【0057】
これにより、現像カートリッジ52を、感光体支持部材530に干渉させずに着脱することが可能となっている。
【0058】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0059】
前記実施形態では、U字状の案内部材521の一対の端部524で現像カートリッジ52の軸部52Aを支持したが、本発明はこれに限定されず、例えば図7に示すようにU字状の軸支用溝220で現像カートリッジ52の軸部52Dを支持してもよい。具体的に、この構造では、現像カートリッジ52の軸部52Dは、ボス52Bよりも左右方向外側に突出するとともに、ボス52Bと略同径の円柱状に形成されている。
【0060】
案内部材200は、直方体状に形成され、現像カートリッジ52のボス52Bを案内するU字状の案内溝210と、案内溝210の開口側に形成され、案内溝210の底面よりも左右方向外側に一段下がったU字状の軸支用溝220とを備えている。この構造によれば、前記実施形態と同様の効果に加え、軸部52DがU字状の軸支用溝220内に収容されるので、離間機構100によって案内部材200を動かすときに、軸部52Dが軸支用溝220から脱落するのを確実に抑えることができる。
【0061】
前記実施形態では、案内部材521とコイルバネ522とで押圧部材520を構成したが、本発明はこれに限定されず、案内部材と押圧部材を別体に構成してもよい。例えば、図8に示すように、図示せぬ支持体510に固定された案内部材300に対して現像カートリッジ52の着脱方向に移動可能な当接部材410と、当該当接部材410を感光ドラム51に向けて付勢する付勢部材の一例としてのコイルバネ420とで押圧部材400を構成してもよい。
【0062】
案内部材300は、図7と同様の構成である現像カートリッジ52のボス52Bを案内するU字状のスリット310が形成される本体部320と、本体部320の上下端から左右方向外側に延びて支持体510に固定される上壁部330および下壁部340とを備えて断面視略U字状に構成されている。
【0063】
当接部材410は、断面視略U字状の案内部材300内をスライド可能に構成されており、コイルバネ420とは反対側の端部には、現像カートリッジ52の軸部52Dを受ける半円状の軸支部411が形成されている。以上のように、軸支部411を案内部材300とは別体に構成しても、現像カートリッジ52の軸部52Dを押圧することができる。
【0064】
ただし、前記実施形態のように案内部材521と軸支部(一対の端部524)とを一体に構成した場合には、軸支部と案内部材とを別体に構成するものに比べ、部品点数を削減することができる。
【0065】
前記実施形態では、現像ローラ53の回転軸と同軸となる軸部52Aを押圧部材520で押圧したが、本発明はこれに限定されず、現像ローラの回転軸を押圧部材で押圧してもよい。
【0066】
前記実施形態では、感光体として感光ドラム51を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体であってもよい。
【0067】
前記実施形態では、現像カートリッジを着脱可能に支持する支持体として、装置本体10に対して移動可能な支持体510を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば支持体は装置本体を構成するフレームであってもよい。
【0068】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えばモノクロのプリンタや複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 カラープリンタ
50 ドロワ
51 感光ドラム
52 現像カートリッジ
52A 軸部
53 現像ローラ
510 支持体
520 押圧部材
521 案内部材
522 コイルバネ
523 案内面
524 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体の下側に配置され、当該感光体に現像剤を供給する現像ローラを有する現像カートリッジと、
前記現像カートリッジを着脱可能に支持する支持体と、を備える画像形成装置であって、
前記現像ローラの回転軸または当該回転軸と同軸となる軸部を押圧することで、前記現像ローラを前記感光体に押圧する押圧部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記支持体には、前記現像カートリッジを装着位置に案内する案内部材が設けられ、
前記案内部材は、前記感光体と前記現像ローラが対向する方向に移動可能となるように前記支持体に支持されるとともに、前記現像ローラの回転軸または前記軸部を支持する軸支部を有し、
前記押圧部材が、前記案内部材と、当該案内部材を前記感光体に向けて付勢する付勢部材とを備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内部材には、前記現像カートリッジに設けられるカートリッジ側電極に接触する支持体側電極が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持体には、前記現像カートリッジを装着位置に案内する案内部材と、当該案内部材に対して前記感光体と前記現像ローラが対向する方向に移動可能で、かつ、前記回転軸または前記軸部に当接可能な当接部材とが設けられ、
前記押圧部材は、
前記当接部材と、当該当接部材を前記感光体に向けて付勢する付勢部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体および前記現像カートリッジは複数設けられ、
前記支持体は、シート上に現像剤像を熱定着させる定着装置を有する装置本体に対して引き出し可能に設けられ、
前記現像カートリッジを前記支持体から取り外すときの離脱方向が、前記支持体の引き出し方向の下流側に向かうにつれて上方に傾斜する方向となるように、前記現像カートリッジが前記支持体に対して着脱可能となっていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持体には、前記複数の感光体を支持する感光体支持部材が回動可能に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体支持部材は、前記感光体を前記現像ローラに接触させる第1姿勢と、前記感光体を前記現像ローラから最大に退避させる第2姿勢との間で回動可能に構成され、
前記感光体支持部材の前記第1姿勢から前記第2姿勢までの回転角が、前記第1姿勢のときの前記感光体支持部材に対する前記離脱方向の角度よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像ローラを前記感光体から離間させる離間機構をさらに備え、
前記離間機構は、前記押圧部材を前記感光体から遠ざけることで前記現像カートリッジの自重を利用して前記現像ローラを前記感光体から離間させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50580(P2013−50580A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188487(P2011−188487)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】