説明

画像形成装置

【課題】本発明は、画像形成装置本体の構成を簡易にしつつ良好に転写を行うことが出来る画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】除電部材70は、レジストローラ14bの周面に対して放電可能な範囲で非接触で配置される。更に、除電部材70は、レジストローラ14bの周面と対向する対向部73と、対向部73の外縁からレジストローラ14bに対して離れる向きに延びる延長部74と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体上に形成されたトナー像を転写部により用紙に転写する電子写真方式の画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、転写部に用紙が進入するタイミングを調整するために、転写部に対して用紙の搬送方向上流側に一対のレジストローラが設けられたものが有る。
【0003】
一対のレジストローラは、回転しながら用紙を挟持することで転写部に用紙を搬送する。その際、用紙とレジストローラとの摩擦によりレジストローラが帯電する。すると、レジストローラに溜まった電荷が用紙に移り、帯電した状態の用紙が転写部に搬送されることになる。このような帯電した状態の用紙は、転写時において、感光ドラム上のトナー像が用紙に転写されないという問題や、トナー像の飛散を引き起こす原因となることがある。
【0004】
そのため、特許文献1に記載の画像形成装置は、レジストローラを除電するための除電ブラシを設けレジストローラを除電している。
【0005】
一方で、接地された除電ブラシが常にレジストローラに接触していると、用紙が転写ローラに挟持された時に、転写部によって用紙に印加される転写電流が用紙とレジストローラを伝って除電ブラシからリークする場合がある。すると、転写部は、感光体上のトナー像を用紙に転写するために必要な転写バイアスを、用紙に十分に印加することが出来ない。
【0006】
そのため、除電ブラシは、画像形成時と非画像形成時で、レジストローラに対して接離可能に構成されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−3019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置にように、レジストローラに対して除電ブラシを接離可能とすると、装置本体の構成が複雑になるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、画像形成装置本体の構成を簡易にしつつ良好に転写を行うことが出来る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、感光体上に形成された現像剤像を用紙に転写するための転写部材と、感光体と転写部材との間に用紙を搬送するための搬送ローラと、搬送ローラの電荷を除電するための除電部材と、が備えられている。
【0011】
搬送ローラは、転写部材が用紙と対向する面と同じ側の用紙の面に対向するように配置される。
【0012】
除電部材は、搬送ローラの電荷が除電部材へ放電可能な範囲で、搬送ローラとは接触しない位置に設けられている。
【0013】
(2)また、除電部材は、導電性の不織布であることが好ましい。
【0014】
(3)また、搬送ローラは、回転軸と、回転軸を被覆し回転軸に沿って延びるローラ本体とを有する。この場合、不織布は、ローラ本体の周面に沿うように対向する対向部と、対向部の外縁からローラ本体から離れる向きに延びる延長部と、を有することが好ましい。
【0015】
(4)また、延長部は、回転軸方向から見て、回転軸と直交する方向に延びていることが好ましい。
【0016】
(5)また、搬送ローラに対して用紙の搬送方向上流側には、搬送ローラに向けて用紙をガイドするガイド部材が設けられる。この場合、ガイド部材は、搬送ローラと隣接して設けられ、延長部は、搬送ローラに対して用紙の搬送方向下流側に向かって延びていることが好ましい。
【0017】
(6)また、画像形成装置の本体は、用紙の搬送時において、用紙の転写部材側の面と対向する対向面を有する。この場合、対向面は、回転軸方向から見て、用紙の転写部材側の面から離れる方向の凹み、延長部が嵌められる凹部が設けられていることが好ましい。
【0018】
(7)また、除電部材は、接地されていても良い。
【0019】
(8)転写部材と感光体との間に搬送される用紙の斜行を矯正するレジストローラを有し、レジストローラは、回転軸方向から見て、用紙の搬送経路を挟む様に配置される第1ローラと第2ローラと、を有する。この場合、搬送ローラは、第1ローラまたは第2ローラであることが好ましい。
【0020】
(9)また、第1ローラの回転軸方向両端部は、前記第2ローラに向けて押圧されており、第2ローラは、用紙の搬送経路を挟んで転写部材側に配置される。この場合、除電部材は、第2ローラの少なくとも回転軸方向両端部に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
(1)このように構成された画像形成装置によれば、除電部材は、搬送ローラの電荷が除電部材へ放電可能な範囲で、搬送ローラとは接触しない位置に設けられている。従って、簡易な構成で、搬送ローラ表面を除電しつつ、搬送ローラを介する転写電流の漏れを低減することが出来る。
【0022】
(2)また、除電部材が、導電性の不織布である場合は、画像形成装置を小型化しつつ搬送ローラの良好な除電が可能となる。
【0023】
(3)また、不織布が、ローラ本体の周面に沿うように対向する対向部と、対向部の外縁からローラ本体から離れる向きに延びる延長部と、を有する場合は、より搬送ローラの良好な除電が可能となる。
【0024】
(4)また、延長部が、回転軸方向から見て、回転軸と直交する方向に延びている場合は、更なる搬送ローラの良好な除電が可能となる。
【0025】
(5)また、搬送ローラに対して用紙の搬送方向上流側には、搬送ローラに向けて用紙をガイドするガイド部材が設けられる場合は、延長部を搬送ローラに対して用紙の搬送方向下流側に設けることで搬送ローラの良好な除電が可能となる。
【0026】
(6)また、対向面が、回転軸方向から見て、用紙の転写部材側の面から離れる方向の凹み、延長部が嵌められる凹部が設けられている場合は、延長部が用紙の搬送を阻害することないので、良好な用紙の搬送が可能となる。
【0027】
(7)また、除電部材が接地されている場合であっても、搬送ローラの良好な除電が可能である。
【0028】
(8)また、転写部材と感光体との間に搬送される用紙の斜行を矯正するレジストローラを有し、レジストローラが、回転軸方向から見て、用紙の搬送経路を挟む様に配置される第1ローラと第2ローラと、を有する場合は、転写直前のレジストローラを除電することで、より良好な転写が可能となる。
【0029】
(9)また、第1ローラの回転軸方向両端部は、前記第2ローラに向けて押圧されており、第2ローラは、用紙の搬送経路を挟んで転写部材側に配置される。この場合、除電部材は、第2ローラの少なくとも回転軸方向両端部に設けられていることから、摩擦により電荷が蓄積しやすい第2ローラ上の回転軸方向両端部を良好に除電することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、レーザプリンタの模式的な側断面図である。
【図2】図2は、レジストローラ周辺の構造を示す模式的な側断面図である。
【図3】図3は、レジストローラを後方から見た図で有る。
【図4】図4は、レジストローラ表面上の電荷の移動を表す模式図である。
【図5】図5は、比較例のレジストローラ周辺の構造を示す模式的な側断面図である。
【図6】図6は、除電部材の変形例を示す図である。
【図7】図7は、延長部の変形例を示す図である。
【図8】図8は、不織布を用いた除電部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.レーザプリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【0032】
レーザプリンタ1は、図1に示すように、(画像形成装置本体の一例としての)本体ケーシング2内に用紙3を給紙するための給紙部4と、給紙された用紙に画像を形成するための画像形成部5と、画像が形成された用紙3を排紙する排紙部6と、を備えている。
【0033】
なお、プリンタ1に関し、方向について言及する場合には、水平方向に載置したときの方向を基準とし、具体的には、各図に示した方向矢印を基準とする。また、左右方向と幅方向とは、同一方向である。
【0034】
<給紙部>
給紙部4は、給紙トレイ9と、給紙ローラ10と、給紙パッド11と、レジストローラの一例としてのピンチローラ14aと、搬送ローラおよびレジストローラの一例としてのレジストローラ14bと、用紙押圧板15とを備えている。そして、用紙押圧板15の最上位にある用紙3は、給紙ローラ10と給紙パッド11とで1枚毎に送り出されて各種ローラを通った後、一点鎖線で示す搬送経路Lに沿って、画像形成部5に搬送される。
【0035】
<画像形成部>
画像形成部5は、スキャナユニット16、(感光体装置の一例としての)プロセスユニット17、および、定着部18を備えている。
【0036】
<スキャナユニット>
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20および複数の反射鏡21を備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19で反射され、複数のレンズ20および複数の反射鏡21を通過または反射して、プロセスユニット17の感光ドラム25の表面へ走査される。
【0037】
<プロセスユニット>
プロセスユニット17は、本体ケーシング2内においてスキャナユニット16の下方に配置され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される。プロセスユニット17は、図2に示すように、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるドラムユニット22と、そのドラムユニット22に着脱自在に装着される、現像ユニット23とを備えている。
【0038】
ドラムユニット22は、図2に示すように、ドラムフレーム24と、ドラムフレーム24内に設けられる感光ドラム25、スコロトロン型帯電器26および転写部材の一例としての転写ローラ28とを備えている。感光ドラム25は、ドラムフレーム24に回転可能に支持されている。スコロトロン型帯電器26は、感光ドラム25の上方において、感光ドラム25と間隔を隔てて、ドラムフレーム24に支持されている。転写ローラ28は、感光ドラム25の下側から感光ドラムと対向配置され、ドラムフレーム24に回転自在に支持されている。
【0039】
現像ユニット23は、現像フレーム30、現像ローラ37、層厚規制ブレード38、供給ローラ36、トナーホッパ31を備える。現像ローラ37と供給ローラ36は、現像フレーム30に回転可能に支持されている。層厚規制ブレード38は、薄板形状に形成される板ばね部材45と、その板ばね部材45の下端部に設けられる圧接ゴム46とを備えている。板ばね部材45の上端部は、現像フレーム30に固定され、圧接ゴム46は、板ばね45の弾性力により現像ローラ37の表面を押圧している。トナーホッパ31には、正帯電性のトナーが収容されている。
【0040】
トナーホッパ31内のトナーは、供給ローラ36の回転により現像ローラ37に供給され、このとき、供給ローラ36と現像ローラ37との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ37上に供給されたトナーは、現像ローラ37の回転に伴って層厚規制ブレード38と現像ローラ37との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ37上に担持される。
【0041】
感光ドラム25の表面は、スコロトロン型帯電器26により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームの走査により露光されることで静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ37の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光ドラム25に対向して接触する時に感光ドラム25の表面上に形成される静電潜像に供給され、静電潜像が可視像化される。この可視像化されたトナー像は、感光ドラム25と転写ローラ28との間に搬送された用紙3上に、転写ローラ28によって転写バイアスが印加されることで、転写される。ここで、用紙3は、用紙3の先端部が転写ローラ28と感光ドラム25とによって挟持された状態で、レジストローラ対14によって挟持されている。
【0042】
<定着部>
定着部18は、図1に示すように、プロセスユニット17の後側に設けられている。定着部18は、加熱ローラ48と、加熱ローラ48に対して下側から圧接される加圧ローラ49と、を備えている。そして、定着部18では、転写位置において用紙3に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ48と加圧ローラ49との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を1対の排紙ローラ52によって、排紙部6に搬送する。
【0043】
<排紙部>
排紙部6は、排紙ローラ52、排紙トレイ53を備えている。そして、定着部18から搬送された用紙3は、排紙ローラ52によって排紙トレイ53上に排紙される。
【0044】
<レジストローラ対周辺の具体的な構成>
図2は、レジストローラ14周辺を左右方向から見た場合の模式的な図である。図3は、レジストローラ14周辺を後方から前方に向かって見た図である。図3では、便宜的にレジストローラ14周辺の左端部のみ示している。ピンチローラ14aは、感光ドラム25と転写ローラ28との間に用紙3が搬送される前に、用紙3の先端部が突き当てられ、用紙3の斜行を矯正する。ピンチローラ14aは、左右方向に延びる、金属性のローラである。
【0045】
ピンチローラ14aは、ドラムユニット22に対して上下動可能に設けられている。ピンチローラ14aは、ドラムユニット22に対して、回転可能に保持されている。ピンチローラ14aは、ドラムユニット22が本体ケーシング2内に装着された状態で、本体ケーシング2に設けられたバネ部材60(図3参照)によって、レジストローラ14bに向かって押圧されている。ピンチローラ14aの右側端部も同様にバネ部材60によってレジストローラ14bに向けて押圧されている。
【0046】
レジストローラ14bは、左右方向に沿って延びる回転軸65と、回転軸65の周面を被覆するローラ本体66と、を備える。ローラ本体66は、エチレンプロピレンゴムによって形成される、左右方向に沿って延びるゴム製のローラである。レジストローラ14bは、本体ケーシング2に対して回転可能に設けられている。
【0047】
本体ケーシング2は、レジストローラ収容部61、対向面の一例としての用紙搬送路62およびガイド部材の一例としての用紙搬送ガイド63を有する。
【0048】
レジストローラ収容部61は、側面視略円弧形状であり、用紙搬送路62から下側に向かって凹む収容面61aを有する。レジストローラ収容部61は、レジストローラ14bのピンチローラ14a側との対向部分を露出しつつ、レジストローラ14bの周面を覆うように、レジストローラ14bを収容している。
【0049】
用紙搬送路62は、ドラムユニット22が本体ケーシング2に装着された状態で、ドラムユニット22の底面と対向する、本体ケーシング2側の面である。用紙搬送路62は、用紙3がピンチローラ14aおよびレジストローラ14bと、感光ドラム25および転写ローラ28とによって挟持された状態で、用紙3の転写ローラ側の面と対向する。
【0050】
用紙搬送ガイド63は、レジストローラ14bに対して用紙3の搬送方向下流側に設けられる。用紙搬送ガイド63は、左右方向に沿って延びる平面視平板形状の樹脂製のフィルムである。用紙搬送ガイド63は、一端部が用紙搬送路62に対して固定され、他端部がレジストローラ14bに乗り上げるように設けられている。
【0051】
収容面61aおよびレジストローラ14bの周面との間には、除電部材70が設けられている。除電部材70は、複数の毛71を有するナイロン製の不織布である。除電部材70は、レジストローラ14bに沿って左右方向に延びている。除電部材70の毛71および除電部材70のレジストローラ14b側の面は、導電性の金属(例えば銀等)によりメッキされている。複数の毛71は、レジストローラ14bの表面に向けて突出している。
【0052】
除電部材70は、レジストローラ14bの表面と対向する部分である対向部73と、その対向部73の外縁から用紙3の搬送方向下流側に延長して配置される延長部74と、を有する。対向部73と延長部74の表面には複数の毛71が設けられている。
【0053】
対向部73は、収容面61aに沿い、毛71がレジストローラ14bと所定の間隔を空けるように配置されている。対向部73は、レジストローラ14bの略下側半分の周面と対向するように配置されている。対向部73は、レジストローラ14bに蓄積される電荷が対向部73の毛71へ放電可能な範囲で、レジストローラ14bの周面とは接触しない位置に設けられている。具体的には、レジストローラ14bと毛71の先端部との間隔は、3mm以内となるように対向部73が配置されることで、レジストローラ14b表面に蓄積した電荷は効果的に除電される。
【0054】
延長部74は、レジストローラ14bから離れるようにレジストローラ14bの回転軸線と交差する向き(前後方向に沿う向き)に延びている。延長部74は、前後方向から見た場合、対向部73(レジストローラ14b)の左右方向一端部に設けられている(図3参照)。延長部74は、用紙搬送路62に設けられた溝部64はめ込まれている。溝部64は、延長部74と対応する位置に設けられ、下側に向かって凹むように用紙搬送路62に対して形成されている。
【0055】
<レジストローラの除電の説明>
図4は、レジストローラ14b表面上の電荷の移動を表す模式図である。図4に示しように、レジストローラ14bの表面には、用紙3との摩擦により負電荷80が蓄積される。
【0056】
すると、レジストローラ14bの表面に負電荷80が蓄積されることで、対向部73の毛71の先端には、正電荷が集まる。そして、負電荷80が蓄積され続けレジストローラ14bの表面が所定の電圧になると、毛71の先端部とレジストローラ14bの表面との間でコロナ放電が発生する。
【0057】
コロナ放電が発生することで、毛71の先端部の周辺では空気中の気体分子が電離され陽イオン81が生成される。この陽イオン81は、レジストローラ14bの表面に蓄積された負電荷80と結びつく。これにより、レジストローラ14bは、除電される。
【0058】
また、除電部材中の電子82は、レジストローラ14bの表面に蓄積された負電荷80の電界の影響を受けて、レジストローラ14bのローラ本体66から離れた位置に配置される延長部74に移動する。図3に示す矢印Aは、除電部材70中の電子82の動きを表す。
【0059】
そして、延長部74の毛71の先端では、電子82が集まることでコロナ放電が発生する。このコロナ放電により、延長部74の毛71の先端部周辺では、空気中の分子が電離され陽イオン83が発生する。この陽イオン83は、延長部74の毛71に集まった電子82と結びつくことで、中和される。従って、電子82は、適宜陽イオン83との中和により除電部材70中から消費されるので、除電部材70中に電子82が蓄積されることなく、連続的にレジストローラ14b表面の負電荷80を除電することが出来る。
【0060】
以上の構成から、本実実施形態は、以下の効果を得ることが出来る。
【0061】
除電部材70は、レジストローラ14bに対して、放電可能な範囲で非接触となるように配置されている。従って、レジストローラ14b上の電荷を除電することが出来る。また、用紙3が転写ローラ28と感光ドラム25とによって挟持された状態で、ピンチローラ14aとレジストローラ14bとによって用紙3が挟持された状態であっても、除電部材70は、レジストローラ14bに対して非接触となるように配置されている。従って、除電部材70を介して転写バイアスがリークすることが無く、良好な転写が可能となる。
【0062】
ここで、レジストローラ14bが用紙3との摩擦により負に帯電することで、トナー像の転写時に問題となると考えられることについて述べる。
【0063】
まず、レジストローラ14bに負電荷が蓄積されることで、用紙3の転写ローラ28側の面(下側面)がレジストローラ14bとは反対の極性である正に帯電する。そして、用紙3の下側面が正に帯電した状態で、用紙3は転写ローラ28と感光ドラム25との間に進入する。用紙3の下側面が正に帯電している場合、トナー像の転写時に問題となることとして、以下のようなことが挙げられる。
【0064】
まず、感光ドラム25上のトナー像が正に帯電しており、転写ローラ28には負のバイアスが印加されている場合は、用紙3の下側面の正電荷と転写ローラ28上の負の電荷とが打ち消しあうことが考えられる。すると、転写ローラ28は、感光ドラム25上のトナー像に対して適切な転写バイアスを印加することが出来ない。従って、用紙3の下側面が強く正に帯電することは、印字不良が発生する原因となる。
【0065】
また、感光ドラム25上のトナー像が負に帯電している場合、感光ドラム25上のトナー像は、用紙3の下側面の正電荷による電界の影響を受ける。すると、トナー像は、転写ローラ28によって用紙3に転写される前に用紙3上に転写される転写不良(転写ちり)が発生することが考えられる。
【0066】
しかし、本実施形態においては、レジストローラ14bの表面が良好に除電されるため、用紙3の下側面が強く正に帯電されることが低減され、上記のような問題点を低減しつつ、良好な転写が可能となる。
【0067】
また、レジストローラ14bに除電部材70を設けることで、用紙3が転写ローラ28と感光ドラム25とによって挟持される直前で、用紙3の下側面が正に帯電することを低減できる。
【0068】
また、除電部材70は、不織布であることから、レーザプリンタ1内の省スペー
ス化を図りつつ、レジストローラ14bの良好な除電が可能で有る。
【0069】
また、除電部材70は、対向部73の外縁からローラ本体66に対して離れる向きに延びる延長部74が設けられる。延長部74には、対向部73の毛71に集まる電荷(上記実施形態では正の電荷)とは反対の極性の電荷(電子82)が集まる。この電子82は、コロナ放電により生成される陽イオン83により中和される。従って、除電部材70中に電荷が蓄積することなく、レジストローラ14bを連続的に除電することが出来る。また、除電部材70を接地する構成が必要ないため、レーザプリンタ1の構成を簡易にすることが出来る。
【0070】
また、延長部74は、回転軸65とは交差する向きに延びているので、レジストローラ14bの表面に蓄積した電荷の影響を受けることなく、効率よく延長部74に集まる負の電荷を中和することが出来る。
【0071】
また、レジストローラ14bに対して用紙3の搬送方向上流側には、ピンチローラ14aとレジストローラ14bとの間に向けて用紙をガイドする用紙搬送ガイド63が設けられる場合は、延長部74をレジストローラ14bに対して用紙3の搬送方向下流側に設けることで、用紙3の良好な搬送を行いつつ、レジストローラ14bの良好な除電が可能となる。
【0072】
また、用紙搬送路62は、回転軸65方向から見て、用紙3の転写ローラ28側の面から離れる方向の凹み、延長部74が嵌められる溝部64が設けられている。これにより、延長部74が用紙3の搬送を阻害することを低減できる。
【0073】
また、ピンチローラ14aの左右方向両端部は、バネ部材60によって、レジストローラ14bに向けて押圧されている。これにより、レジストローラ14bの左右方向両端部は、用紙3との摩擦により、より帯電されやすくなる。しかし、除電部材70は、少なくともレジストローラ14bの左右方向両端部に配置されている。従って、このような場合でも、レジストローラ14bは、良好に除電される。
【0074】
<実施例>
下記に示す実施例および比較例について印字評価を行った。
【0075】
1.実施例
除電部材70は、ファンシー製の「FC Series Anti−static FELT/FN−50」を用いた。図2に示すように、除電部材70は、対向部73と延長部74と有する。対向部73は、レジストローラ14bの下側略半分と対向するように配置されている。対向部73の毛71とレジストローラ14bの周面との間隔は、約3mmである。延長部74の左右方向および前後方向の長さは、約10mmである。
【0076】
2.比較例
除電部材70は、ファンシー製の「FC Series Anti−static FELT/FN−50」を用いた。図5に示すように、除電部材70は、対向部73のみを有し、延長部74を有さない。対向部73は、レジストローラ14bの下側略半分と対向するように配置されている。対向部73の毛71とレジストローラ14bの周面との間隔は、約3mmである。
【0077】
3.印字評価
上記の実施例と比較例について、室温23℃、相対湿度10%の環境下で、印字面積率100パーセントで印字を行った。
【0078】
その結果、比較例では、印字された画像中に直径2mm程度の白い点(トナー未転写部分)が4つ見られた。実施例では、そのような白い点は、見られなかった。
【0079】
<変形例>
図6は、変形例におけるレジストローラ14b周辺の模式図で有る。図6では、除電部材として除電針95をレジストローラ14bと非接触で配置している。そして、除電針95は、接地されている。このような構成であっても、転写バイアスのリークを低減しつつ、レジストローラ14bの良好に除電することが出来る。また、除電部材を接地する場合、延長部74を設けず対向部73のみの不織布を用いた除電部材70であっても、本実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0080】
また、不織布の形状は、上記実施形態に限られない。図7は、不織布を用いた除電部材70の平面図である。図7(a)に示すように、延長部74は、対向部73の外縁における左右方向両端部から突出していても良い。また、図7(b)に示すように、延長部74は、左右方向において連続していても良い。また、図7(c)に示すように、延長部74は、対向部73の外縁における左右方向略中央部から、突出していても良い。また、図7(b)に示すように、延長部74は、対向部73の外縁から、左右方向にそって突出されていても良い。
【0081】
また、本実施形態では、除電部材70の対向部73は、レジストローラ14bの下側半分の周面(半周分)と対向するように配置した。しかしながら、図8に示すように、除電部材70の対向部73は、レジストローラ14bに対して約90度の範囲で対向するように配置してもよい。
【符号の説明】
【0082】
14a ピンチローラ
14b レジストローラ
25 感光ドラム
28 転写ローラ
62 用紙搬送路
63 用紙搬送ガイド
70 除電部材
73 対向部
74 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上に形成された現像剤像を用紙に転写するための転写部材と、
前記感光体と前記転写部材との間に用紙を搬送するための搬送ローラと、
前記搬送ローラの電荷を除去する除電部材と、を備え、
前記搬送ローラは、前記転写部材が用紙と対向する面と同じ側の用紙の面に対向するように配置され、
前記除電部材は、前記搬送ローラの電荷が前記除電部材へ放電可能な範囲で、前記搬送ローラとは接触しない位置に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記除電部材は、導電性の不織布であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送ローラは、回転軸と、前記回転軸を被覆し前記回転軸に沿って延びるローラ本体とを有し、
前記不織布は、前記ローラ本体の周面に沿うように対向する対向部と、前記対向部の外縁から前記ローラ本体と離れる向きに延びる延長部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記延長部は、前記回転軸方向から見て、前記回転軸と直交する方向に延びていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送ローラに対して用紙の搬送方向上流側には、前記搬送ローラに向けて用紙をガイドするガイド部材が設けられ、
前記ガイド部材は、前記搬送ローラと隣接して設けられ、
前記延長部は、前記搬送ローラに対して前記用紙の搬送方向下流側に向かって延びていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置の本体は、用紙の搬送時において、前記用紙の前記転写部材側の面と対向する対向面を有し、
前記対向面は、前記回転軸方向から見て、用紙の前記転写部材側の面から離れる方向に凹み前記延長部が嵌められる凹部が設けられることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記除電部材は、接地されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写部材と前記感光体との間に搬送される前記用紙の斜行を矯正するレジストローラを有し、
前記レジストローラは、前記回転軸方向から見て、前記用紙の搬送経路を挟む様に配置される第1ローラと第2ローラと、を有し、
前記搬送ローラは、前記第1ローラまたは前記第2ローラであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1ローラの前記回転軸方向両端部は、前記第2ローラに向けて押圧されており、
前記第2ローラは、前記用紙の搬送経路を挟んで前記転写部材側に配置され、
前記除電部材は、前記第2ローラの少なくとも前記回転軸方向両端部に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50600(P2013−50600A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188796(P2011−188796)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】