説明

画像形成装置

【課題】記録材に対して安定したトナー転写性を維持しつつ、現像剤の状態管理を効率的且つ適切に行うこと。
【解決手段】像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電部材と、前記帯電部材によって帯電された前記像担持体にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像に対し現像剤を供給することでトナー像とする現像器と、前記トナー像を記録材に転写するための転写部材と、前記転写部材に搬送される記録材の種類を検知する記録材検知部と、前記現像器に収容されるトナーの劣化を抑制するトナー劣化抑制部と、前記記録材検知部の検知結果により、平滑性が低い記録材の場合には、平滑性が高い記録材の場合よりも、前記トナー劣化抑制部のトナー劣化抑制作用を強くするように前記トナー劣化抑制部の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像器を有する電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置では、画像形成プロセスによって画像形成を行う。画像形成プロセスとしては、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程、クリーニング工程がある。
【0003】
画像形成においては、まず、電子写真感光体(以下「感光体」という。)の表面を均一に帯電する。その後、感光体に対して画像情報に応じた露光を行い、静電潜像を形成する。次に、静電潜像に対してトナーを供給すると、静電潜像はトナー像となる。そして、感光体上に形成されたトナー像を紙等の記録材上に転写する。トナー像が転写された記録材は、定着工程にて加熱・加圧される。これにより、記録材の表面にトナー像が定着する。これによって記録材への画像形成が終了する。一方、トナー像を転写した後の感光体の表面には、転写残トナーが残る。この転写残トナーは、クリーニング工程にて除去される。
【0004】
従来、電子写真方式の画像形成装置、その中でも特に有彩色の画像形成を行なう画像形成装置において、非磁性トナー(トナー)と磁性キャリア(キャリア)を混合して現像剤として使用する二成分現像方式が広く利用される。二成分現像方式は現在知られている他の現像方式に比較して、画質の安定性、装置の耐久性などの長所を備える。
【0005】
二成分現像方式を用いた画像形成装置において、像担持体としての感光体ドラムに形成された静電潜像を現像してトナー像とする場合、一般的に、以下のように行なう。最初に感光体ドラム上を帯電部により白地部電位Vdになるよう一様に帯電させる。また、現像剤担持体としての現像スリーブには現像バイアス電圧が印加され、現像スリーブは、その現像バイアス電圧の直流成分Vdcと同電位にされる。
【0006】
このとき、白地部電位Vdと現像バイアス電圧の直流成分Vdcとの電位差を所望のかぶり取り電位差Vbackになるよう設定する。また、感光体ドラム上の画像部分(現像部分)は、静電潜像を形成する露光部により露光されて減衰した明部電位VLにされる。そして、現像バイアス電圧の直流成分Vdcとの差であるコントラスト電位差Vcontにより、現像スリーブ上のトナーが感光体ドラムへ移動する。こうして、感光体ドラム上に形成された静電潜像はトナー像として現像される。
【0007】
一般的にこのような二成分現像方式においては、画像形成によりトナーが消費されていくと、それに応じてトナーを補給するようになっている。このため、画像形成を繰り返すことで現像剤中のトナーは順次、入れ替わっていく。
【0008】
しかしながら、特に、二成分現像方式を用いる画像形成装置においては、以下のような問題があった。
【0009】
近年、記録材として、様々な紙種が使用されている。記録材としては、表面の平滑性が低い安価な紙(主に再生紙など)や、逆に平滑性が高い紙、コート紙などが数多く存在する。その中で特に、平滑性が低い紙の場合、紙面形状に沿ってトナーの転写性が変わってしまい、転写ムラが発生しやすくなる。
【0010】
一般的に、ユーザーによって選択された紙種設定(普通紙、再生紙、厚紙、OHTなど)に応じて、紙への転写条件(転写バイアス)を変更する。しかしながら、トナーが耐久、昇温などによって劣化してしまった場合、耐久を通じて紙への転写性を維持することは困難となる。
【0011】
トナー劣化が発生しやすい状況は次のとおりである。消費されるトナー量が少ない画像(画像比率の低い画像)を連続して出力し続けた場合には、トナーの入れ替わりがほとんどない。この場合、1つのトナーが現像装置内に存在する時間が長くなり、長期に渡って現像装置内で循環し続けることになる。
【0012】
現像装置内におけるトナーの滞在時間が長くなると、トナーは現像装置内で長期的に摺擦、撹拌を繰り返すことになる。すると、トナーの形状が不規則になる場合や、粒径の分布に偏りを生じる場合がある。また、現像剤に流動性を向上させる目的で添加されている外添剤がトナー表面に埋め込まれることもある。これらの結果、現像剤の流動性が低下する等の劣化が生じると、所望の画質の画像が得られなくなることがある。
【0013】
このような問題を解決する方法として、特許文献1では、形成している画像の画像比率を算出する手段を設け、算出された画像比率が所定値を下回っていることを検知したら、非画像領域に所定量現像することで強制的にトナーを消費する。そして、消費された分を新たに現像装置内に補給する。これにより、劣化したトナーを新しいトナーと入れ替える。
【0014】
このような制御を行うことで、画像比率の低い画像を連続して出力し続けた場合に、現像装置内のトナーの入れ替えが行われなくなることを防止する。これにより、画質の低下や、画像濃度の低下を防止する。ここで、特に、再生紙など平滑性が低い紙を使用する場合は、平滑性が高い紙を使用する場合に対し、紙への転写性を維持するため、より多くのトナー入れ替えを行う必要がある。
【0015】
トナー劣化が発生しやすい状況について更に述べる。近年の電子写真装置の小型化に伴い、定着器や電気回路基板などの発熱によって、画像形成装置本体内の機内温度が上昇しやすくなっている。このため、本体内の昇温に伴い現像器内のトナーが軟化する恐れがある。尚、一般にトナーの軟化点は60〜80℃程度である。
【0016】
また、ユーザーによって電源を切られた場合は、本体内を冷却するための冷却ファンの回転も停止する。すると、冷却能力が低下した現像器の温度が急激に上昇し、一部でトナーの軟化点を越えてしまうことがある。すると、トナーの軟化によりトナーが劣化し、高温環境下等では画像品質が著しく低下することがあった。
【0017】
このような問題を解決する方法として、特許文献2では、画像形成装置の本体電源が切られた場合であっても、現像器の温度が予め定められた温度に達するまで冷却ファンを動作させる。このような制御を行うことで、本体電源をオフした場合の現像器の急激な温度上昇を防ぐことができ、現像器内のトナーの軟化による劣化が抑制できる。このため、画像品質の劣化を抑制することができる。
【0018】
ここで、特に、再生紙など平滑性が低い紙を使用する場合は、平滑性が高い紙を使用する場合に対し、紙への転写性を維持するため、現像器の温度(トナー温度)を下げる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2006−337699号公報
【特許文献2】特開平5−257358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら特許文献1の場合、紙種によらずトナー入れ替え量が一定である。このため、平滑性の低い紙に合わせてトナー入れ替え量を多く設定した場合、平滑性の高い紙を使用する場合においては無駄にトナー消費が発生してしまう。逆に、平滑性の高い紙に合わせて、トナー入れ替え量を少なく設定すると、平滑性の低い紙を使用する場合は、紙へのトナー転写性を維持することが困難であった。
【0021】
また特許文献2の場合、紙種によらず冷却ファンを動作させるか否かを決定する現像器温度閾値が一定である。このため、平滑性の低い紙に合わせて冷却ファンを稼動させる温度を低く設定すると、平滑性の高い紙を使用する場合は過剰なファン稼動となる。すると、ファンモータの寿命低下、ファン稼動による騒音といった弊害が発生してしまう。逆に、平滑性の高い紙に合わせて、冷却ファンを稼動させる温度を高く設定すると、平滑性の低い紙を使用する場合は、紙へのトナー転写性を維持することが困難であった。
【0022】
そこで本発明の目的は、記録材に対して安定したトナー転写性を維持しつつ、現像剤の状態管理を効率的且つ適切に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電部材と、前記帯電部材によって帯電された前記像担持体にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光部と、前記静電潜像に対し現像剤を供給することでトナー像とする現像器と、前記トナー像を記録材に転写するための転写部材と、前記転写部材に搬送される記録材の種類を検知する記録材検知部と、前記現像器に収容されるトナーの劣化を抑制するトナー劣化抑制部と、前記記録材検知部の検知結果により、平滑性が低い記録材の場合には、平滑性が高い記録材の場合よりも、前記トナー劣化抑制部のトナー劣化抑制作用を強くするように前記トナー劣化抑制部の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
上述の構成により、記録材に対して安定したトナー転写性を維持しつつ、現像剤の状態管理を効率的且つ適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態の現像器及びトナー補給部を説明するための説明図。
【図3】第1実施形態の画像形成装置の動作工程を説明するための図。
【図4】第1実施形態の平滑性の異なる記録材の種類での二次転写性の違いを説明するための図。
【図5】第1実施形態のフローチャート。
【図6】第1実施形態のトナー入れ替え動作実行のタイミングを説明するための図。
【図7】第2実施形態のフローチャート。
【図8】第3実施形態の画像形成装置の概略構成図。
【図9】第3実施形態のフローチャート。
【図10】第4実施形態の画像形成装置の概略構成図。
【図11】第4実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照して、以下に本発明の実施形態を説明する。尚、実施形態の構成は例示であり、必ずしも本発明の技術的範囲は実施形態の構成に限られるものではない。
【0027】
〔第1実施形態〕
(画像形成装置の構成)
本実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。図1は第1実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【0028】
画像形成装置100は、電子写真方式のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの4色に対応して設けられた4つの画像形成部1(1Y、1M、1C、1Bk)を有する。
【0029】
本実施形態では、画像形成装置100が備える4つの画像形成部1Y、1M、1C、1Bkは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの画像形成部に属する要素であることを表すために符号に付した添え字のY、M、C、Bkは省略し、総括的に説明する。
【0030】
画像形成装置100は、画像形成装置本体に接続された原稿読み取り装置や、画像形成装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号を受信する。画像形成装置100は、この画像信号に応じて、4色フルカラー画像を記録材に形成する。記録材としては、記録用紙、プラスチックフィルム、布等がある。
【0031】
画像形成部1は、それぞれ像担持体としての感光体ドラム2(2Y、2M、2C、2Bk)を有する。画像形成装置100は、感光体ドラム2上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト16へ一次転写し、続いて記録材担持体8により搬送される記録材P上に二次転写する構成である。以下、詳しく説明する。
【0032】
感光体ドラム2は円筒型の感光体であり、図中矢印方向に回転駆動される。感光体ドラム2の周囲には、帯電ローラ3(帯電部材)、現像器4(現像部)、一次転写ローラ5(一次転写部材)、二次転写ローラ15(二次転写部材)、二次転写対向ローラ10、のクリーニング装置6(クリーニング部材)が配置される。また、感光体ドラム2の図中上方にはレーザースキャナ7(露光部)が配置される。
【0033】
また、画像形成部1の全ての感光体ドラム2と対向して、中間転写ベルト16が配置される。中間転写ベルト16は、駆動ローラ9、二次転写対向ローラ10、張架ローラ12により張架され、駆動ローラ9の駆動により図中矢印方向に周回移動する。
【0034】
上述のように、感光体ドラム2上に形成されたトナー像は、まず中間転写ベルト16へ一次転写され、続いて記録材担持体8により搬送される記録材P上に二次転写される。そして、中間転写ベルト16から記録材Pへトナー像を二次転写した後、定着器13によってトナー像が記録材Pへ熱定着される。
【0035】
(画像形成動作)
上述の構成により、画像形成装置の動作について、4色フルカラーの画像形成時を例示して説明する。
【0036】
まず、画像形成動作が開始すると、回転する感光体ドラム2の表面が、帯電ローラ3によって一様に帯電される。このとき、帯電ローラ3には、帯電バイアス電源より帯電バイアスが印加される。
【0037】
次いで、感光体ドラム2は、レーザースキャナ7から発せられる画像信号に対応したレーザー光により露光される。これにより、感光体ドラム2上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光体ドラム2上の静電潜像は、現像器4内に収容されたトナーによって顕像化され、可視像(トナー像)となる。本実施形態では、レーザー光により露光した明部電位にトナーを付着させる反転現像方式を用いる。
【0038】
感光体ドラム2上のトナー像は、中間転写ベルト16上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム2表面に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置6によって除去される。この動作をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する画像形成部1で順次行い、中間転写ベルト16上で4色のトナー像を重ね合わせる。
【0039】
その後、トナー像の形成タイミングに合わせて、記録材収納カセットに収容された記録材Pが供給ローラ14、記録材担持体8により搬送される。そして、二次転写ローラ15に二次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト16上の4色のトナー像を、記録材担持体8上に担持されている記録材P上に一括で二次転写する。
【0040】
次いで、記録材Pは記録材担持体8から分離され、定着器13に搬送される。この定着器13において、記録材Pが加熱、加圧される。これにより、記録材P上のトナーが溶融、混合されて、フルカラーの永久画像が記録材Pに定着することとなる。その後、記録材Pは装置外に排出される。
【0041】
また、二次転写部で転写しきれずに中間転写ベルト16に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーナー18により除去される。これにより、一連の画像形成動作が終了する。尚、所望の画像形成部のみを用いて、所望の色の単色又は複数色の画像を形成することも可能である。
【0042】
(現像器)
次に、図2を参照して現像器4について説明する。図2は第1実施形態の現像器及びトナー補給部を説明するための説明図である。本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの現像器の構成は全てにおいて同一である。
【0043】
現像器4は、非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)とを主成分として備える二成分現像剤が収納された現像容器44を有する。
【0044】
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末、酸化チタンといった外添剤が外添される。トナーは、重合法により製造した負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径は、5μm以上で8μm以下が好ましい。本実施形態のトナーの体積平均粒径は6.2μmである。
【0045】
キャリアは、例えば、表面酸化あるいは未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属、及びそれらの合金、又は酸化物フェライトなどが好適に使用可能である。これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。また、キャリアは、重量平均粒径が20〜50μm、好ましくは30〜40μmであり、抵抗率が10Ω・cm以上、好ましくは10Ω・cm以上である。本実施形態のキャリアの抵抗率は10Ω・cmのものを用いた。
【0046】
本実施形態では、低比重磁性キャリアとして、フェノール系のバインダー樹脂に磁性金属酸化物及び非磁性金属酸化物と所定の比で混合し、重合法により製造した樹脂磁性キャリアを使用した。体積平均粒径は35μm、真密度は3.6〜3.7g/cm、磁化量は53A・m/kgである。
【0047】
現像容器44内には、現像剤を撹拌し搬送する部材として、第一撹拌搬送スクリュー41(第一撹拌部材)と第二撹拌搬送スクリュー42(第二撹拌部材)が回転可能に配置される。また、現像容器44内には現像スリーブ43が回転可能に配置される。ここで、第一撹拌搬送スクリュー41、第二撹拌搬送スクリュー42、現像スリーブ43は相互に平行に配設される。
【0048】
現像容器44の内部は、隔壁44dによって第1室(現像室)44aと第2室(撹拌室)44bに分割されている。現像室44aと撹拌室44bは、現像容器44の長手方向両端部において連通している。第一撹拌搬送スクリュー41は現像室44aに設けられ、第二撹拌搬送スクリュー42は撹拌室44bに設けられる。
【0049】
現像スリーブ43の内部には、磁界発生部としてのマグネットロール(図示せず)が固定配置される。マグネットロールは周方向に複数の磁極を有し、現像容器44内の現像剤を磁気力により引きつけて現像スリーブ43上に担持させると共に、感光体ドラム2と対向する現像部では現像剤の穂立ち(磁気ブラシ)を形成する。
【0050】
第一撹拌搬送スクリュー41、第二撹拌搬送スクリュー42、現像スリーブ43は、現像側駆動モータ51によって回転駆動される。第一撹拌搬送スクリュー41及び第二撹拌搬送スクリュー42は、現像側駆動モータ51によってギヤ列54を介して駆動が伝達され、同じ回転方向に回転される。
【0051】
この回転により、撹拌室44b内の現像剤は、第二撹拌搬送スクリュー42によって撹拌されながら搬送される。そして、連通部となる連通孔44fを介して現像室44a内へと移動する。次に、現像室44a内に至った現像剤は、第一撹拌搬送スクリュー41によって撹拌されながら移動する。そして、連通部となる連通孔44gを介して撹拌室44b内に移動する。このように、現像剤は現像容器44内を循環する。そして、現像剤には、この撹拌搬送の過程で電荷が付与される。
【0052】
現像スリーブ43は、その回転により、規制ブレード(不図示)によって表面に層状に塗布された現像剤を感光体ドラム2に対向する現像部に搬送する。現像部にて、現像スリーブ43上の現像剤は、マグネットロールの磁気力により穂立ちする。穂立ちした現像剤は、感光体ドラム2の表面に接触又は近接する。
【0053】
一方、感光体ドラム2上の静電潜像が現像部に達するときに、現像バイアス印加電源(図示せず)によりAC電圧とDC電圧とが重畳された現像バイアスが現像スリーブ43に印加される。このとき、現像スリーブ43は現像側駆動モータ51により回転駆動され、上述の現像バイアスによって現像剤中のトナーが感光体ドラム2の表面の静電潜像に応じて感光体ドラム2上に転移する。
【0054】
こうして現像部に搬送された二成分現像剤から、感光体ドラム2上の静電潜像にトナーが供給される。これにより、静電潜像の画像部にトナーが選択的に付着し、静電潜像はトナー像として現像される。
【0055】
(トナー補給構成)
本実施形態でのトナー劣化抑制作用としてのトナー補給動作について、次に説明する。図2に示すように、撹拌室44b内において、現像剤搬送方向上流端部側の上部に設けられたトナー補給口44cから行われる。
【0056】
上述のような現像動作によって二成分現像剤中のトナーが消費されると、現像容器44内の現像剤のトナー濃度が徐々に減少する。このトナー濃度を保つため、トナー補給部49(トナー劣化抑制部)によって現像容器44にトナーを補給する。トナー補給部49は、補給するトナーを収納するトナー容器46を有する。
【0057】
トナー容器46に収容されたトナーは、トナー排出口48から供給される。トナー排出口48は、現像容器44のトナー補給口44cに連結される。また、トナー容器46には、トナー排出口48に向けてトナーを搬送するため、トナー補給スクリュー47(トナー補給部材)が設けられる。トナー補給スクリュー47は補給側駆動モータ53によって回転駆動される。
【0058】
図2に示すように、現像側駆動モータ51、補給側駆動モータ53の回転は、画像形成装置本体が備えるエンジン制御部60のCPU61(制御部)によって制御される。CPU61は、補給側駆動モータ53の回転時間を制御することによって、現像容器44に対するトナーの補給量を調整する。
【0059】
補給側駆動モータ53の回転時間と、現像容器44に補給されるトナーの量との対応関係は、予め実験によって測定されている。そして、その結果は、例えばテーブルデータとして、CPU61内、またはCPU61に接続されたROM62に格納される。
【0060】
記憶装置23は、現像器4内に設置される。本実施形態では、記憶装置23として読み書き可能なRP−ROMを使用した。記憶装置23は、現像器4を画像形成装置本体にセットすることによってCPU61と電気的に接続され、現像器4の画像形成処理情報をプリンタ側から読み書きできるものである。また、画像形成装置100にはユーザーが操作を行う操作盤65が配設され、操作盤65上では後述の「普通紙モード」や「再生紙モード」が選択可能であり、実行可能である。ユーザーによっていずれかのモードが選択された場合、選択信号は記録材検知部66によって検知され、CPU61に伝達される。
【0061】
ここで、図3を用いて、上記の画像形成装置の動作工程を説明する。図3は第1実施形態の画像形成装置の動作工程を説明するための図である。
【0062】
(a)前多回転工程
画像形成装置の始動(起動)動作期間(ウォーミング期間)を行う。画像形成装置のメイン電源スイッチのONにより、画像形成装置のメインモータを起動させて、所要のプロセス機器の準備動作を実行する。
【0063】
(b)前回転工程
プリントジョブ開始信号の入力に基づいて、メインモータを再駆動させて、所要のプロセス機器のプリントジョブ前動作を実行する。より実際的には、1.画像形成装置がプリントジョブ開始信号を受信、2.フォーマッタで画像を展開(画像のデータ量やフォーマッタの処理速度により展開時間は変わる)、3.前回転工程開始、という順序で行う。なお、前記1.の前多回転工程中にプリントジョブ開始信号が入力している場合は、前多回転工程の終了後、次の(c)スタンバイ無しに、引き続き前回転工程に移行する。
【0064】
(c)スタンバイ
所定の始動動作期間終了後、メインモータの駆動が停止し、プリントジョブ開始信号が入力されるまで画像形成装置をスタンバイ(待機)状態に保持する。
【0065】
(d)プリントジョブ実行
所定の前回転工程が終了すると、引き続いて前記の画像形成プロセスが実行されて、画像形成済みの記録材が出力される。
【0066】
連続プリントジョブの場合は前記の画像形成プロセスが繰返されて所定枚数分の画像形成済みの記録材が順次に出力される。
【0067】
(e)紙間工程
連続プリントジョブの場合において、一の記録材Pの後端と次の記録材Pの先端との間隔工程であり、転写部や定着器13においては非通紙状態期間である。
【0068】
(f)後回転工程
1枚だけのプリントジョブの場合その画像形成済みの記録材が出力された後、メインモータを引き続き所定の時間駆動させる。これにより所要のプロセス機器のプリントジョブ後動作を実行する期間である。記録材P出力後以外も、連続プリントジョブの場合その連続プリントジョブの最後の画像形成済みの記録材が出力された後も同様の駆動をする。
【0069】
(g)スタンバイ
所定の後回転工程終了後、メインモータの駆動が停止し、次のプリントジョブ開始信号が入力されるまで画像形成装置をスタンバイ(待機)状態に保持する。
【0070】
上記において、(d)のプリントジョブ実行時が画像形成時であり、(a)の前多回転工程時、(b)の前回転工程時、(e)の紙間工程時、(f)の後回転工程時が非画像形成時である。
【0071】
非画像形成時とは、上記の前多回転工程時、前回転工程時、紙間工程時、後回転工程時のうちの少なくとも1つの工程時、さらにはその工程時内の少なくとも所定時間である。
【0072】
本実施形態の画像形成速度(感光体ドラム2及び記録材Pの搬送速度、以下、プロセススピードと呼ぶ)は300mm/secであり、現像スリーブ43の回転速度は400mm/secである。
本実施形態における画像形成装置は、CCD等で読み取った画像情報信号の画像濃度のビデオカウント数からトナー消費量を予測できる方式(ビデオカウント方式)を採用している。つまり、画像信号処理回路の出力信号のレベルが画素毎にカウントされ、このカウント数を原稿紙サイズの画素分積算されることにより、原稿の1枚当たりのビデオカウント数TVが求まる。例えばA4サイズ、1枚最大ビデオカウント数は400dpi、256階調で3884×106である。このビデオカウント数とコピー枚数の積算から、平均画像比率が算出される。
【0073】
(トナー入れ替え動作)
ここでトナー入れ替え動作について以下に説明する。トナーの消費量が少ない場合は、現像器4内のトナーは入れ替わることなく、現像器4内で何度も撹拌、摺擦を繰り返される。このため、形状が不規則になったり、表面に外添剤が埋め込まれて流動性が低下したりすることになる。
【0074】
まず、記録材の平滑性が異なる場合におけるトナーの二次転写性について図4を用いて説明する。
【0075】
図4は第1実施形態の平滑性の異なる記録材の種類での二次転写性の違いを説明するための図である。図4では、本実施形態での像担持体の画像部/非画像部の電位と、現像剤担持体に印加するバイアスとの関係を示す。本実施形態では、上述の通りネガ帯電された感光体ドラム2上の露光部に対し、ネガトナーを現像することでトナー像を可視化する。図4では、感光体ドラム上の画像部/非画像部の電位、及び現像剤担持体に印加される現像バイアスのDC値の絶対値をそれぞれ模式的に表す。
【0076】
中間転写ベルト16上のトナーを記録材Pへ転写する際、二次転写ローラ15に電圧を印加し、電界を形成することによって記録材Pへ転写する。ここで、図4(a)のように、平滑性が高い記録材Pにおいてはトナーが均一に転写される。一方、図4(b)のように平滑性が低い記録材Pの場合、中間転写ベルト16と記録材P表面の間に微小な隙間が発生するためトナーを均一に転写させることが困難である。特に前述のように、低画像比率の画像形成を連続して行った場合や昇温によるトナー劣化が発生した場合、平滑性が低い記録材Pを用いた場合の転写効率低下が顕著となってしまう。
【0077】
そこで、本実施形態の画像形成装置100には、普通紙を用いて画像形成を行う「普通紙モード」と、平滑性の低い記録材Pを用いて画像形成を行う「再生紙モード」を有する。そして画像形成装置100の操作盤65上でユーザーがそれぞれのモードを選択することを可能とする。操作盤65上でいずれかのモードを選ぶと、モードの選択信号が記録材検知部66にて検知され、選択信号がCPU61に伝達される。
【0078】
また、モードに応じて二次転写ローラ15に印加する電圧を変える。本実施形態では、「普通紙モード」が選択された場合、+700Vの電圧を印加する。一方、「再生紙モード」が選択された場合は、二次転写ローラ15に+800Vの電圧を印加する。
【0079】
本実施形態では、低画像比率の画像形成が連続して続いた場合、トナーを強制的に消費させる。これによりトナーを強制的に入れ替え、トナーの劣化を防止しつつ画質の劣化を防ぐ。この制御の流れを図5のフローチャートを参照して説明する。図5は第1実施形態のフローチャートである。
【0080】
図5に示すように、画像形成動作がスタートすると、まず初めに「普通紙モード」か「再生紙モード」かのいずれかの情報がCPU61に取り込まれる(S1)。
【0081】
続いて、CPU61に入力された画像データを読み込み、ビデオカウントデータからCPU61が、その画像における画像比率を算出する。そして算出されたデータは、ROM62に格納される。
【0082】
ROM62にはその画像を含めた過去の100枚分の画像比率が順次記録されている。ROM62からその過去の100枚分の画像比率データがCPU61に読み込まれる。これらのデータを基に過去の100枚における平均画像比率n(%)が算出される(S2)。
【0083】
ここで、「普通紙モード」で画像形成がされている場合、算出された平均画像比率が所定の値(本実施形態の場合は1%)を下回っているか否かを判断する(S3)。所定値を下回っている場合、トナー入れ替え量X(mg)を算出し(S4)、所定量の強制トナー消費と補給動作を行う(S5)。
【0084】
本実施形態では平均画像比率が1%相当のトナーを消費するために、非画像領域にトナー像を形成する。具体的には、非画像領域にレーザー光照射量を最大発光量FFHとして感光体ドラム2の軸方向全域に静電潜像を形成し、これを現像する。すなわち、感光体ドラム2の回転方向において所定の長さの非画像領域でトナーを消費し、トナー消費量を調整している。
【0085】
尚、本実施形態の非画像領域とは、図6に示すような、紙間部分と同様、画像形成領域の間の領域する部分をいう。図6は第1実施形態のトナー入れ替え動作実行のタイミングを説明するための図である。
【0086】
一方、「再生紙モード」で画像形成がされている場合、算出された平均画像比率が所定の値(本実施形態の場合は2%)を下回っているか否かを判断する(S3)。所定値を下回っている場合には、トナー入れ替え量X(mg)を算出し(S4)、所定量の強制トナー消費と補給動作を行う(S5)。
【0087】
本実施形態では平均画像比率が2%相当のトナーを消費するように、非画像領域にレーザー光照射量を最大発光量FFHとして感光体ドラム2の軸方向全域に静電潜像を形成し、これを現像するようにしている。すなわち、感光体ドラム回転方向の長さでトナー消費量を調整している。
【0088】
(トナー入れ替え量の計算方法)
トナー入れ替え量X(mg)の計算方法は以下のようになる。A4ベタで1枚(100%画像Duty)のトナー消費量を400mgとすると、トナー入れ替え量Xは、
X(mg) = 400(mg)×{(m%−n%)/100}×100枚、
のように表される。
【0089】
ここで、
X;トナー入れ替え量、
m;普通紙モード、再生紙モードそれぞれのトナー吐き出しを行う平均画像比率の閾値、
n;平均画像比率、
である。尚、閾値の値mは、本実施形態では、普通紙モードが1%、再生紙モードは2%である。
【0090】
トナー入れ替えのために感光体ドラム2上に現像されたトナー像は、記録材Pに転写せず、クリーニング装置6によってすべて除去する。また、トナーを消費している間またはその後には、トナー補給スクリュー47から現像器4内に補給される。ここで、消費トナー量とトナー補給量とは同量である。したがって、現像器4内のトナーの入れ替えが行われ、トナーの流動性及び帯電量が適切なものとなる。
【0091】
以上のように、本実施形態では、選択された記録材の種類に応じて、低画像比率の画像形成を連続して行ったときのトナー入れ替え量を変更することとした。その結果、選択された記録材の種類に応じてトナー劣化度合いをコントロールすることができ、常に安定したトナー転写性を維持しつつ、過剰なトナー入れ替えを抑制することが可能となった。
【0092】
尚、本実施形態において、平均画像比率の算定は、ビデオカウント数とコピー枚数の積算から算出されるとしたが、これに限るものではない。例えば、画像形成動作時間と前記画像形成動作の間の現像器4におけるトナー消費量とを測定し、単位時間あたりのトナー消費量から平均画像比率を算出してもよい。
【0093】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。尚、本実施形態の画像形成装置の基本構成及び動作は、第1実施形態のものと同じである。従って、同一又は相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略し、本実施形態において特徴的な点を以下に説明する。
【0094】
図7は第2実施形態のフローチャートである。本実施形態では、「普通紙モード」から「再生紙モード」に切り替えられたとき、「再生紙モード」における画像形成前の前回転時に、ある所定量の現像器内トナー入れ替え動作を予め実行することとした。以下に詳細を述べる。
【0095】
第1実施形態では、「普通紙モード」選択時には、平均画像比率が1%以下のときに現像器内のトナー入れ替えを実行した。一方、「再生紙モード」選択時には、平均画像比率が2%以下のときに現像器内のトナー入れ替えを実行することとした。
【0096】
ここで、例えば、「普通紙モード」で平均画像比率が1.5%の画像形成が連続して行われた後、続いて「再生紙モード」の画像形成が実行された場合、二次転写不良が起こるおそれがある。つまり、それまでの平均画像比率が1.5%であり、「再生紙モード」における平均画像比率は1を境に判断するため、「再生紙モード」における平均画像比率を超えることもあるからである。
【0097】
そこで本実施形態では、「普通紙モード」から「再生紙モード」に切り替えられたとき、「再生紙モード」の前回転時に、ある所定量の現像器内トナー入れ替え動作を予め実行することとした。より具体的に、図7のフローを用いて説明する。
【0098】
画像形成動作がスタートすると、まず初めに「普通紙モード」から「再生紙モード」へ切り替わったか否かの情報がCPU61に取り込まれる(S11)。ここで、「普通紙モード」から「再生紙モード」へ切り替わっていた場合、CPU61において直前の「普通紙モード」における平均画像比率n(%)が算出される(S12)。
【0099】
そして、算出された平均画像比率nが所定の値(本実施形態の場合は2%)を下回っているか否かを判断する(S13)。ここで、平均画像比率nが2%を下回っている場合には、1.6g(A4ベタで4枚相当)のトナーを消費する。このようにして、強制トナー消費と補給動作を行う(S14)。以上の工程を終了した後に、通常の画像形成が開始される(S15)。また、「普通紙モード」から「再生紙モード」へ切り替えが行われない場合は、上述の制御(S12〜S14)はせず、通常の画像形成を行う(S15)。
【0100】
トナー消費の方法としては、第1実施形態と同様に、前回転時にレーザー光照射量を最大発光量FFHとして感光体ドラム2の軸方向全域に静電潜像を形成し、これを現像するようにしている。
【0101】
以上のように、本実施形態では、異なる記録材の種類によるコピージョブ(混載ジョブ)が発生した場合において、記録材の種類に応じて、前回転時にある所定量の現像器内トナー入れ替え動作を予め実行する。すると、平滑性が低い記録材の場合には、平滑性が高い記録材の場合よりも、トナー入れ替え動作の実行頻度が高くなる。これにより、選択された記録材の種類に応じてトナー劣化度合いをコントロールすることができ、常に安定したトナー転写性を維持しつつ、過剰なトナー入れ替えを抑制することができる。
【0102】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について説明する。尚、本実施形態の画像形成装置の基本構成及び動作は、前述の実施形態のものと同じである。従って、同一又は相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略し、本実施形態に特徴的な点を以下に説明する。
【0103】
本実施形態では、現像器を冷却するための冷却ファン21(冷却部)をトナー劣化抑制部として使用する。第1実施形態、第2実施形態における「再生紙モード」が選択された場合、画像形成中に、トナー劣化抑制作用として冷却ファンによる冷却を行う。以下に詳細を述べる。
【0104】
一般に画像形成を連続して行った場合、主に定着器13、電気回路基板の温度上昇などの影響により、画像形成装置100本体内の温度が上昇してしまう。画像形成装置100の温度上昇に伴い、現像容器内の現像剤温度も上昇してしまう。その結果、特に平滑性の低い紙を用いた場合においてトナー劣化による二次転写不良が発生するおそれがある。
【0105】
図8は第3実施形態の画像形成装置の概略構成図である。図8のように、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックそれぞれの現像器近傍に冷却ファン21(21Y、21M、21C、21Bk)を備えている。
【0106】
図9は第3実施形態のフローチャートである。図9に従い、制御手順を説明する。
【0107】
まず、画像形成動作がスタートすると、初めに「普通紙モード」か「再生紙モード」かのいずれかの情報がCPU61に取り込まれる(S21)。
【0108】
ここで、「再生紙モード」が選択された場合、画像形成動作開始と同時に冷却ファン21が稼動する(S22)。そして、画像形成動作が終了すると同時に冷却ファン21の稼動を停止する(S23)。
【0109】
一方で「普通紙モード」が選択された場合においては、現像器の冷却ファン21は稼動しない。
このように「再生紙モード」が選択された場合、冷却ファン21を稼動させることによって現像器4内の現像剤温度が低下する。その結果、平滑性が低い再生紙等を用いた場合に発生していた二次転写不良を低減することができる。
【0110】
ここで、記録材の種類によらず冷却ファン21を動作させてしまった場合、平滑性の高い記録材を使用する場合は過剰なファン稼動となる。この場合、ファンモータの寿命低下、ファン稼動による騒音といった弊害が発生してしまうおそれがある。
【0111】
このため、本実施形態においては、記録材検知部66によって検知した記録材Pの種類に応じて、冷却ファン21の運転時を適切に制御している。具体的には、、平滑性が低い記録材の場合には、平滑性が高い記録材の場合よりも、冷却ファン21を長時間稼働させることで、冷却ファン21による冷却量を多くしている。
【0112】
尚、本実施形態では、画像形成中のみファンを稼動させることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、再生紙モードを選択した場合は、画像形成スタンバイ中においてもファンを稼動させることとしてもよい。
また、本実施形態では、再生紙モードを選択した場合にのみ冷却ファンを稼動しているが、これに限るものではない。例えば、普通紙モードと再生紙モードで冷却ファン21の回転速度を変更し、再生紙モード時における冷却ファン21の速度を、普通紙モード時よりも速くしても同様の効果が得られる。
【0113】
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態について説明する。尚、本実施形態の画像形成装置の基本構成及び動作は、第1実施形態のものと同じである。従って、同一又は相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略し、本実施形態に特徴的な点を以下に説明する。
【0114】
本実施形態では、第3実施形態のように、現像器4を冷却するための冷却ファン21に加え、現像器の機内温度を検知するための現像器温度センサ20(温度検知部)を有する。そして現像器温度センサ20の検知結果に応じて冷却ファン21を稼動するか否かを決定し、且つ、「普通紙モード」と「再生紙モード」それぞれにおいて、冷却ファンを稼動させる現像器4機内温度の閾値を変更する。以下に詳細を述べる。
【0115】
図10は第4実施形態の画像形成装置の概略構成図である。図11は第4実施形態のフローチャートである。
【0116】
図10に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックそれぞれの現像器4の近傍に、冷却ファン21と、現像器温度センサ20を備える。図11に従い、制御手順を説明する。
【0117】
画像形成動作がスタートすると、まず初めに「普通紙モード」か「再生紙モード」かのいずれかの情報がCPU61に取り込まれる(S31)。CPU61に取り込まれたモードに応じて、閾値となる検知温度が異なる。以下、場合を分けて説明する。
【0118】
「普通紙モード」が選択された場合、現像器温度センサ20は、現像器4の機内温度T_inを検出する(S32)。
【0119】
ここで、T_in≧50℃、つまり検知温度が所定の閾値以下となったときには、冷却ファン21を稼動させる。一方、T_in<50℃となった場合、冷却ファン21は稼動させない(S32)。即ち、本実施形態では「普通紙モード」における現像器温度センサ20稼働の閾値は50℃である。
【0120】
一方、「再生紙モード」が選択された場合も、現像器温度センサ20が、現像器4の機内温度T_inを検出する(S32)。
【0121】
ここで、T_in≧45℃となったときに冷却ファン21を稼動させる。一方、T_in<45℃である場合には、冷却ファン21は稼動させない(S32)。即ち、本実施形態では「再生紙モード」における現像器温度センサ20の稼働の閾値は45℃である。
【0122】
そして、「普通紙モード」、「再生紙モード」のいずれの場合も、画像形成が終了したら、冷却ファン21の稼動を停止する(S33)。
【0123】
以上のように本実施形態においては、「普通紙モード」と「再生紙モード」によって、冷却ファンを稼動させる機内温度の閾値を変更する。これによって、特に「再生紙モード」における現像器内の現像剤温度を低下させることが可能となる。この結果、現像器4の機内温度が上昇することによる転写不良に対する影響を低減することができるため、平滑性が低い記録材を用いる場合における二次転写不良を抑制することができる。
【0124】
ここで、記録材の種類によらずに一律の現像器温度で冷却ファンを稼働させてしまった場合、例えば、平滑性の低い記録材に合わせて冷却ファンを稼動させる温度を低く設定すると、平滑性の高い記録材を使用する場合は過剰なファン稼動となる。すると、ファンモータの寿命低下、ファン稼動による騒音といった弊害が発生するおそれがある。逆に、平滑性の高い記録材に合わせて、冷却ファンを稼動させる温度を高く設定すると、平滑性の低い記録材を使用する場合は、記録材へのトナー転写性を維持することが困難となる。このため、本実施形態においては、温度検知部の検知温度が所定の閾値以下の場合に冷却ファンを動作可能とすることで、冷却ファン21の運転する温度を適切に制御している。
【0125】
〔他の実施形態〕
前述の実施形態は必ずしも単独で行う必要はなく、可能な範囲で複数の実施形態を組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
P…記録材
2…感光体ドラム
3…帯電ローラ
4…現像器
5…一次転写ローラ
7…レーザースキャナ
10…二次転写対向ローラ
15…二次転写ローラ
21…冷却ファン
49…トナー補給部
61…CPU
66…記録材検知部
100…画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電部材と、
前記帯電部材によって帯電された前記像担持体にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光部と、
前記静電潜像に対し現像剤を供給することでトナー像とする現像器と、
前記トナー像を記録材に転写するための転写部材と、
前記転写部材に搬送される記録材の種類を検知する記録材検知部と、
前記現像器に収容されるトナーの劣化を抑制するトナー劣化抑制部と、
前記記録材検知部の検知結果により、平滑性が低い記録材の場合には、平滑性が高い記録材の場合よりも、前記トナー劣化抑制部のトナー劣化抑制作用を強くするように前記トナー劣化抑制部の動作を制御する制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー劣化抑制部は、平均画像比率に関する情報をもとに、前記現像器のトナーを入れ替えるモードを実行可能であり、
前記制御部は、前記記録材検知部の検知結果により、平滑性が低い記録材の場合には、平滑性が高い記録材の場合よりも、前記モードの実行頻度を高くする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー劣化抑制部は、前記現像器を冷却する冷却部と、前記現像器の温度を検知する温度検知部と、を備え、前記温度検知部の検知温度が所定の閾値以下の場合に前記冷却部を動作可能であり、平滑性が低い記録材の場合には、平滑性が高い記録材の場合よりも、前記閾値が低く設定されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−54111(P2013−54111A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190757(P2011−190757)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】