説明

画像形成装置

【課題】トナー消費が不足している場合に、画像形成動作を停止することなくトナー消費量を高め、トナーの強制排出動作の頻度を低減させること。
【解決手段】印刷情報に基づき画像を形成する画像形成部10,24と、画像形成部10,24による画像形成を制御するCPU100と、形成する画像の印字率に応じて、トナー吐き出しを行うための値を算出するトナー吐き出し量算出部104と、を有する画像形成装置であって、CPU100は、トナー吐き出し量算出部104により算出された黒色以外の色のトナー吐き出しを行うための値のうちの少なくとも一つが、トナー吐き出しを行うための第1の範囲内となると、画像形成部10,24により黒色の画像の少なくとも一部に、トナー吐き出しを行うための値が第1の範囲内となった色の画像を重ねた画像を形成させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いるレーザビームプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、現像器内のトナーの消費と補給がほとんど行われていない状態で現像剤搬送スクリューや現像ローラが長時間回転し続けると、トナーが過剰に摩擦帯電されていた。その結果、感光ドラムへの単位面積当りのトナーの載り量が減少してしまう、あるいは長時間のキャリアと現像ブレードとの摺擦によりトナーに付着していた外添剤が剥がれてしまい画像品質低下の一因となっていた。
【0003】
そこで、例えば特許文献1の画像形成装置では、トナーの消費がほとんど行われていないことを判断するための印字比率の閾値を設け、画像出力毎に実際の出力画像の印字比率がその閾値よりも小さい場合に、その際のトナーの消費量をデータとして蓄積する。つまり、この画像形成装置では閾値と比べてトナー消費量が少ないと判断した場合に、不足分のトナー量を積算し、その積算したトナー量がある値に到達した時点で強制的にトナーを排出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−23327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では消費の不足分として蓄積したトナー量が一定以上となると強制的にトナーを排出する動作が行うが、画像形成動作を一時停止させてトナーの排出を行うため、印刷出力の生産性が低下する。更に、高印字率の画像を形成し現像器内のトナーが十分消費された場合でも上述した蓄積したトナーの消費量は変化せず、不足したトナー量が適切に把握されているとは言えなかった。
【0006】
本発明はこのような状況のもとでなされたものであり、トナー消費が不足している場合に、画像形成動作を停止することなくトナー消費量を高め、トナーの強制排出動作の頻度を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
【0008】
印刷情報に基づき画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段による画像形成を制御する制御手段と、形成する画像の印字率に応じて、トナー吐き出しを行うための値を算出する算出手段と、を有する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記算出手段により算出された黒色以外の色の前記トナー吐き出しを行うための値のうちの少なくとも一つが、トナー吐き出しを行うための第1の範囲内となると、前記画像形成手段により黒色の画像の少なくとも一部に、前記トナー吐き出しを行うための値が前記第1の範囲内となった色の画像を重ねた画像を形成させることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナー消費が不足している場合に、画像形成動作を停止することなくトナー消費量を高め、トナーの強制排出動作の頻度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1、2の画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】実施例1、2のシステム構成を示すブロック図
【図3】実施例1のトナー吐き出し制御のフローチャート
【図4】実施例1、2の印刷制御部の制御構成を示すブロック図
【図5】実施例1のK画像へ他色を重ねて出力する状態を模式的に示した図
【図6】実施例2のトナー吐き出し制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものであるとする。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は、実施例に係る画像形成装置であるレーザビームプリンタの概略構成を示す断面図である。本実施例のレーザビームプリンタは、画像形成ステーションにおいて画像信号に基づいて静電潜像を形成し、この静電潜像を現像してトナー画像を形成し、このトナー画像を中間転写体上に重畳転写してカラー画像とする。更に、レーザビームプリンタはこのカラー画像を記録材である用紙に二次転写し、その後カラー画像を定着させるものである。
【0013】
本画像形成装置は、用紙トレイ1、3、レジストローラ13、レジセンサ14、搬送路上に配置された各センサ15,16,17,18,19,21などからなる用紙2を搬送する用紙搬送装置を有する。また、感光ドラム5Y,5M,5C,5K、現像器8Y,8M,8C,8K、クリーニングユニット12Y,12M,12C,12Kなどからなるプロセスカートリッジ24Y,24M,24C,24Kを有する。ここで、Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応することを意味し、以下省略する場合がある。また、露光装置としてのスキャナユニット10、トナーカートリッジ11、一次転写ローラ6、中間転写ベルト20、二次転写ローラ7、中間転写ベルト20上のトナー像を回収するクリーニングブレード22、現像器内のトナー残量検知装置23を有する。更に、定着装置9を有する。
【0014】
画像形成装置は、用紙トレイ1及び3より用紙2を給紙搬送し、中間転写ベルト20上に形成されたカラー画像にタイミングをあわせて二次転写ローラ7に用紙2を搬送し、用紙2上にカラー画像を転写する。カラー画像が転写された用紙2は更に定着装置9によってカラー画像が定着され、機外に排出されるか、裏面に更にカラー画像を形成する場合には用紙2は両面搬送路25に搬送され、表面と同様にカラー画像を転写・定着し、機外に排出される。
【0015】
[画像形成装置のシステム構成]
図2は、本実施例に係る画像形成装置のシステム構成を説明するためのブロック図である。プリンタコントローラである印刷制御部110はパーソナルコンピュータ(以下、PCという)などから印刷情報を受けプリント制御し、ビデオインターフェース111を介してエンジン制御部であるCPU100にプリンタ制御情報を送信して印字指示を行う。一方CPU100は、ビデオインターフェース111を介して印刷制御部110へエンジン状態情報を送信する。そして、CPU100は光学制御部101によってスキャナユニット10を、画像形成制御部102によってプロセスカートリッジ24を、そして転写制御部103によって転写部114を、それぞれ制御指示して画像形成動作を行う。ここで、転写部114は、一次転写ローラ6と二次転写ローラ7とから構成される。画像信号が各色毎に印刷制御部110からスキャナユニット10にBD信号を起点に送信され、スキャナユニット10はこの画像信号によってレーザ光を発光させる。トナー消費量算出部115は、スキャナユニット10に入力される各色の画像信号をBD信号を基準にモニタし、1ページ分の画像形成中のレーザ光の発光をカウントする。このカウントの方法を、例えば1走査(ライン)当り100ドットで、100走査(ライン)の画像形成をする場合について説明する。この場合、1画像で、100×100の10000ドットとなる。本実施例では、トナー消費量算出部115は、一定の周期でこの10000ドットをサンプリングする。例えば5ドット周期でサンプリングする場合、この1画像でモニタする総モニタ数は10000/5で2000となる。このモニタした2000ドットのうち実際に発光していたドット数が発光のカウント数である。これが100である場合、印字率は100/2000で計算され5%となる。
【0016】
トナー消費量算出部115は、このように総モニタ数に対するレーザ発光の割合を印字率として算出し、トナー吐き出し量算出部104に印字率情報として送信する。なお、トナー消費量算出部115は、レーザ発光のモニタを行うため高速の処理が求められ、CPU100以外の例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成される。CPU100内で高速処理が可能であるのならば、トナー消費量算出部115をCPU100内に設置してもよい。あるいはトナー消費量算出部115を印刷制御部110に設置し、画像信号をモニタするのではなく、直接印刷する画像から色毎の印字率を算出してもよい。トナー吐き出し量算出部104は、受信した各色の印字率情報からトナー吐き出し量を算出し、トナー強制吐き出し制御部105に送信する。トナー強制吐き出し制御部105は、トナー吐き出し量を監視、積算し、ある一定量が積算されたタイミングでトナー強制吐き出し要求を、光学制御部101と画像形成制御部102に送信する。トナー強制吐き出し要求を受信した光学制御部101及び画像形成制御部102は、スキャナユニット10及びプロセスカートリッジ24にトナー強制吐き出し動作を制御指示する。トナー強制吐き出し動作は、光学制御部101によってスキャナユニット10を全領域点灯させることで画像を形成させ、画像形成制御部102によってプロセスカートリッジ24を動作させ、トナー像を形成させるものである。形成したトナー像は、一次転写ローラ6によって中間転写ベルト20へ転写され、残留したトナーはプロセスカートリッジ24に具備されたクリーニングユニット12及びクリーニングブレード22によって回収される。形成するトナー像の大きさは、トナー吐き出し量に応じて所定のトナーが消費されるように決定される。
【0017】
[トナー吐き出し量の積算値]
本実施例における、トナー消費量算出部115により算出された印字率は、上述のとおり1ページ分の画像形成について、画像信号あるいはレーザ発光を各色一定間隔でサンプルし、総モニタ数に対するレーザ光の発光割合を算出したものである。
【0018】
トナー吐き出し量算出部104は、トナー吐き出し量として、基準印字率R%とトナー消費量算出部115により算出された印字率との差分に、基準画像面積に対する実際に形成された画像の画像面積の割合を乗じた値を算出する。トナー強制吐き出し制御部105は、トナー吐き出し量の積算値に、トナー消費量算出部115により算出された印字率が基準印字率R(%)を下回った場合はトナー消費が不十分としてトナー吐き出し量算出部104により算出されたトナー吐き出し量を加算する。一方、上回った場合にはトナー消費が十分であるとしてトナー吐き出し量算出部104により算出されたトナー吐き出し量をトナー吐き出し量の積算値から減算する。
【0019】
即ち、前回印字までのトナー吐き出し量の積算値をS0とすると、トナー強制吐き出し制御部105により算出されるトナー吐き出し量の積算値Sは、
S=S0+(基準印字率R−印字率)×画像面積÷基準画像面積
で表すことができる。但しSは正数とする。
【0020】
基準画像面積とは、トナー強制吐き出しが実行されたときのトナー吐き出し量の閾値Ws(%)(第2の範囲内)に対する出力画像の面積である。そして、上述の積算値Sが閾値Wsとなるとトナー強制吐き出しが必要と判断され実施される。例えば、基準画像面積がA4サイズで、基準印字率が10%とすると、A4サイズで印字した場合、印字率3%ではSは7%積算され、印字率6%ではSは4%積算される。また、A5サイズ(A4の半分)で印字の場合、印字率3%ではSは3.5%積算される。印字率6%ではSは2%積算される。すなわち、A5サイズは画像形成の面積が基準画像面積であるA4サイズの半分であるので、不足するトナー量(積算量)も半分となる。本実施例では以降基準印字率Rは1%、基準画像面積はレターサイズ1枚分に相当する面積とする。
【0021】
ここで、Y、M、Cの各色について、トナー強制吐き出し制御部105はトナー吐き出し量の積算値Sが閾値Wsに到達する前の段階の閾値W(%)(第1の範囲内)を設定する。トナー吐き出し量の積算値がWを超えるとトナー強制吐き出し制御部105は、ビデオインターフェース111を介して印刷制御部110へ当該色の印字率増加の要求をエンジン状態情報として送信する。また、Y、M、C、Kの各色について、閾値Wsを超えるとトナー強制吐き出し制御部105がトナー強制吐き出し要求を光学制御部101と画像形成制御部102に送信して、トナー強制吐き出し動作を実施させる。本実施例では閾値Wsを100%、閾値Wを50%とする。
【0022】
なお、ここでは積算値Sにトナー消費量算出部115により算出された印字率が基準印字率R(%)を下回った場合はトナー消費が不十分としてトナー吐き出し量算出部104により算出されたトナー吐き出し量を加算した。また、上回った場合にはトナー消費が十分であるとしてトナー吐き出し量算出部104により算出されたトナー吐き出し量をトナー吐き出し量の積算値から減算する方法を説明した。しかし、加算と減算を逆にすることも可能である。その場合は、閾値は上回るものではなく、下回るものとなる。
【0023】
[トナー吐き出し制御のフローチャート]
図3に本実施例におけるトナー吐き出し制御のフローチャートを示す。このトナー吐き出し制御は1ページ分の画像形成終了毎に実施する。トナー消費量算出部115は、ステップ(以下、Sという)201において、1ページ分の画像の各色の印字率を算出し、トナー吐き出し量算出部104に印字率情報として送信する。トナー吐き出し量算出部104は、S202で、受信した印字率情報から当該画像形成動作での各色のトナー吐き出し量を算出しトナー強制吐き出し制御部105に送信する。トナー強制吐き出し制御部105は、S202で、受信したトナー吐き出し量を積算する。そして、トナー強制吐き出し制御部105は、S203で、何れかの色でトナー吐き出し量の積算値が閾値Ws以上になったか否かを判断する。トナー強制吐き出し制御部105は、閾値Ws以上と判断した場合には、S204でその色についてトナー強制吐き出し要求を光学制御部101と画像形成制御部102に送信する。そして、光学制御部101と画像形成制御部102は、S204でその色についてトナー強制吐き出しを実施する。トナー強制吐き出し制御部105は、S205でトナー強制吐き出し動作で消費した画像分のトナー吐き出し量をトナー吐き出し量の積算値Sから減じる。トナー強制吐き出し制御部105は、S203で何れかの色でトナー吐き出し量の積算値が閾値Ws以上ではないと判断した場合は、S206でカラーの色で閾値Wとトナー吐き出し量の積算値を比較する。ここで、カラーの色とは黒色以外のY、M、Cの色をいう。トナー強制吐き出し制御部105は、S206で、Y、M、Cのカラーの色のうち1色以上で、閾値W以上のトナー吐き出し量の積算値の色が有ると判断した場合、エンジン状態情報として印刷制御部110に送信(報知)する。印刷制御部110は、S207で、トナー吐き出し量の積算値が閾値W以上のY、M、Cのカラーのうちトナー吐き出し量が最大の色(トナー吐き出しを行う可能性が最も高い色)を、次回画像形成時に黒色(以下、Kとする)画像に重ねるよう制御する。以下、この動作を重ね動作という。例えば、Y、Mの色のトナー吐き出し量の積算値が閾値W以上であり、Yの色のトナー吐き出し量の積算値がMの色のトナー吐き出し量の積算値よりも大きい場合には、Yの色につき重ね動作を行う。なお、次回画像形成時にK画像に重ねる出力が行われた場合には、その分だけトナー残量の積算値Sから減じられる。すなわち、K画像に重ねる出力が行われると、上述のS202において再度トナー吐き出し量の算出が行われ、通常より印字率が上がる。その結果、この場合の印字率が基準印字率より大きくなり、その分だけトナー残量の積算値Sから減じられることになる。トナー強制吐き出し制御部105が、S206で閾値W以上のトナー吐き出し量の積算値の色が無いと判断した場合には、印刷制御部110は、S208で次回画像形成時にK画像に印刷を重ねる動作は行わないとし終了する。
【0024】
以上のように動作させることで、Y、M、Cのカラー各色についてトナー吐き出し量の積算値が閾値Wsに到達する頻度を抑えることが可能となり、トナー強制吐き出し動作実施による印刷出力の生産性の低下を抑制することができる。
【0025】
[印刷制御部]
本実施例では、印刷制御部110とCPU100は、ビデオインターフェース111を介して通信を行う。出力画像の処理および画像信号の出力は印刷制御部110で行い、プロセスカートリッジ24を含む各ユニットはCPU100が制御している。このため、CPU100においてトナー吐き出し量からK画像への重ね動作が必要と判断した場合に、その情報を印刷制御部110へ送信する必要がある。CPU100はビデオインターフェース111を介して、色毎に用意したK画像に重ねる要求フラグ情報を送信するコマンドをエンジン状態情報として印刷制御部110に発行する。印刷制御部110は、当該コマンドを受信すると、画像信号出力前までに要求がある色画像とK画像をドット単位で比較し、K画像のみを出力するドットに対して要求がある色画像も出力するように変更して画像信号を出力する。
【0026】
図4は、印刷制御部110の制御を示すためのブロック図である。印刷制御部110は不図示のPCなどから送信された印刷情報を受信し、画像処理部301によって色毎に画像信号出力の為に印刷情報をドット単位の情報に展開し、画像処理部301は各色画像データとして画像比較部302と画像出力追加部303に送信する。また、画像処理部301は印字開始指示をエンジン通信部305に送信する。画像出力追加部303は、エンジン通信部305から追加指定色が指定されていた場合、この指定色を画像比較部302に比較色として指定する。ここでいう追加指定色とは、図3のS206でトナー吐き出し量の積算値が閾値W以上となったと判断された色をいう。画像比較部302は展開された画像データを指定された比較色とKについて比較し、Kのみ発光するドットを選択する。画像出力追加部303はこの比較データ(差分情報)と展開した画像データによって、Kのみが発光するドットの中から、比較色も合わせて発光するように比較色の画像データを加工して画像信号出力部304へ送る。画像信号出力部304は、エンジン通信部305からの画像信号出力許可の信号に応じて、スキャナユニット10からのBD信号を起点にスキャナユニット10に各色画像信号を出力する。
【0027】
印刷制御部110へ送信する情報は、このように重ねる色のみを指定する方法でも良いし、更に、上乗せで出力したいトナー量の情報を合わせて送信し、印刷制御部110で指定された量の分だけ追加で出力するよう動作させても良い。更には、基準となる印字率Rを印刷制御部110に送信することで、印刷制御部110で画像処理の過程で出力したい画像の各色の印字率を予め算出し、Kに重ねて出力する要求がある色についての印字率がRを上回った場合には追加しないよう処理してもよい。また、K画像に重ねる場合にその重ね量を、例えば当該色の印字率がRとなるように調整したりするよう制御しても良い。
【0028】
[印刷出力の例]
K画像のドットに他色を重ねる場合の印刷出力を図5に模式的に示す。図5(a)の出力例に示すようなK画像出力ドットがあり、ここには他の色画像のドットは重なっていないものとする。これに他の色を重ねる場合、図5(b)に示すように色ズレなどの要因で重ねた色がはみ出してしまうことを考慮し、K画像のドットが連続する部分で、上下左右をK画像に囲まれた一部の領域のみ色を重ねるように出力する。この際、他の色をK画像のドットのいずれのドットに重ねるかは、上述の図4の画像出力追加部303が決定する。また、図5(c)に示すように他色と重なった領域が固まった領域に偏ることを防止するために、K画像の3ドットおきに他色のドットを重ねるように出力させても良い。この場合の重ね方も画像出力追加部303が決定する。重ね方は以上示したものに限定するものではない。重ねる領域についても写真など画像部分は避けて文字領域のみで処理をするようにしても良いし、ユーザからの指定があれば、K画像全ドットに重ねて出力しても良い。
【0029】
本実施例では、Y、M、Cのカラー各色についてKの画像に重ねて出力することで印字率を増加させるよう動作させる例を示した。トナーの消費を促すための色の組み合わせはこれに限定するものではなく、可能であるならばカラーの色同士やK色を他の色に重ねて出力しても良い。また、重ねる色は同時に1色としたが、これも複数色同時に重ねても良い。つまり、黒色の画像の色味を変えない程度の濃度であれば、複数色を重ねることも可能である。例えば、黒色画像の濃度を100と仮定したとき、他の色は6の濃度まで重ねたとしても色味に影響がでないと仮定する。その場合は、例えばYの積算値が閾値Wを超えた場合は、Yを6とし、YとMの積算値が閾値Wを超えた場合は、Yを3、Mを3とし、YとMとCの積算値が閾値Wを超えた場合はYを2、Mを2、Cを2とするような制御も可能である。色を重ねる動作について、トナー吐き出し量に応じて動作させることに加えて、ユーザからの許可があった場合にのみ動作させるようにしても良い。
【0030】
本実施例によれば、トナー消費が不足している場合に、画像形成動作を停止することなくトナー消費量を高め、トナーの強制排出動作の頻度を低減させることができる。
【実施例2】
【0031】
実施例1では、K画像に本来出力しない他の色を重ねて出力し、本来トナー強制吐き出し動作で出力していたトナーを画像形成中に出力するようにしたことで、トナー強制吐き出し動作の実施頻度を低減させることを可能にした。その結果、印刷出力の生産性の低下を抑えることはできる。しかし、トナー強制吐き出し動作時と同様に、重ねて出力した色のトナーは、画像形成に寄与することなく排出されるトナーである。本実施例ではその点に鑑み、トナー消費量を高める目的のみで排出していたトナーを画像形成に寄与するようにすることでトナー強制吐き出しが実施される頻度を低減させる例を示す。
【0032】
実施例1と同じく、トナー吐き出し量算出部104は、トナー吐き出し量として、基準印字率R%と実際の印字率の差分に、基準画像面積に対する当該画像の画像面積の割合を乗じた値を算出する。そして、トナー強制吐き出し制御部105は、印字率が基準印字率Rを下回った場合はトナー消費が不十分としてトナー吐き出し量を積算値に加算し、基準印字率Rを上回った場合にはトナー消費が十分であるとしてトナー吐き出し量を積算値から減算する。
【0033】
Y、M、Cの3色でトナー消費が不足している場合には、Y、M、Cの3色を積層させて黒色を表現し(以下、この色をプロセスブラックという)Kに代わって出力することで、トナー消費が不足した3色のトナーを画像形成に使用することが可能となる。この動作を行うために、Y、M、Cの各色について、トナー吐き出し量の積算値Sが閾値Wsに到達する前の段階で閾値Wを設定する。そして、1色でもトナー吐き出し量の積算値Sが閾値Wを超え、他の2色についてもトナー吐き出し量の積算値Sが0でない条件においては、実施例1とは異なり次の制御を行う。すなわち、トナー強制吐き出し制御部105は、ビデオインターフェース111を介して印刷制御部110へK画像の出力に対してプロセスブラックを出力する要求を含むエンジン状態情報を送信する。
【0034】
Y、M、Cのうち1色でもトナー吐き出し量の積算値Sが0、即ちトナー消費が十分の色が存在する場合には、トナー強制吐き出し制御部105は、プロセスブラックの出力は行わず、対象となる1色をKに重ねる要求を含むエンジン状態情報を送信する。また、Y、M、C、Kの各色について、トナー吐き出し量の積算値Sが閾値Wsを超えると実施例1と同じくトナー強制吐き出し制御部105によってトナー強制吐き出しを実施する。本実施例においても閾値Wsを100%、閾値Wを50%とする。なお、ここではトナー消費が十分の状態を示す積算値Sを0としているが、積算値Sは必ずしも0から開始する必要はなく、所定の決められた初期値から算出を開始することも可能である。その場合は、積算値Sが初期値であれば、トナー消費が十分である、すなわちトナー吐き出しを行う必要がない状態であると判断できる。
【0035】
[トナー吐き出し制御のフローチャート]
図6に本実施例におけるトナー吐き出し制御のフローチャートを示す。本制御についても1ページの画像形成終了毎に実施する。なお、図6のフローチャートのS401〜S406は、図3のフローチャートのS201〜S206と同一であるので説明を省略する。トナー強制吐き出し制御部105は、S407でカラーの3色ともトナー吐き出し量の積算値Sがゼロでないと判断した場合、印刷制御部110はS408で次回画像形成時にK画像をプロセスブラックで出力を開始する制御を行う。印刷制御部110は、S407で閾値W以上となる色は存在するが同時にトナー吐き出し量の積算値が0の色もあると判断した場合、S409で実施例1と同じくトナー吐き出し量の積算値が最大の色を、次回画像形成時にK画像に重ねるよう動作させる。なお、次回画像形成時にK画像に重ねる出力が行われた場合には、その分だけトナー残量の積算値Sから減じられる。印刷制御部110は、S406で閾値W以上のトナー吐き出し量の積算値の色が無いと判断した場合には、S410で次回画像形成時にK画像に重ねる印刷を行わない、またはプロセスブラック出力を行わないと決定し終了する。このように動作させることで、カラーのトナー消費が少なくトナー吐き出し量の積算値が小さい場合に、プロセスブラックの画像をY、M、Cのトナーを用いて出力させるので、カラーのトナーの消費の不足を補うことが可能となる。また、トナー強制吐き出し動作の実施を抑制することができる。
【0036】
本実施例における印刷制御部110の制御を示すためのブロック図は、先の実施例1にて図4に示したものとほぼ同様である。先の実施例1と異なるのは画像出力追加部303の動作であり、CPU100から1色をKに重ねるか、プロセスブラックを出力するかのいずれかの要求を印刷制御部110が受信してそれぞれ異なる処理を行うことである。
【0037】
1色をKに重ねる指示を印刷制御部110が受信した場合には先の実施例1と同様に、画像比較部302に追加指定色を比較色として指定する。そして、画像比較部302からの比較データと展開した画像データによって、K色のみが発光するドットの中から、比較色も合わせて発光するように画像データを加工して画像信号出力部304へ送る。
【0038】
プロセスブラック出力要求を印刷制御部110が受信した場合、Kの画像データが発光させるドットをプロセスブラックで発光させるように変更する。そして、K色の展開された画像データをクリアして発光させないように変更し、加工した画像データを画像信号出力部304へ送る。
【0039】
本実施例では、カラートナーを必要以上に消費させないようにするため、トナー吐き出し量の積算値が0である色が存在する場合にはプロセスブラック出力を行わないように動作させた。しかし、印刷制御部110は、1色でも閾値Wを超えた場合にはプロセスブラック出力を行うように動作させ、先の実施例1のようにK画像に他色を重ねる制御を行わないように動作させても良い。また、印刷制御部110は、プロセスブラックの出力はK画像全てをプロセスブラックに置き換えず、例えば基準印字率R分はKトナーを消費するようにさせて残り量をプロセスブラックで出力するなど、Kトナーとプロセスブラックを混在させて出力しても良い。
【0040】
本実施例によれば、トナー消費が不足している場合に、画像形成動作を停止することなくトナー消費量を高め、トナーの強制排出動作の頻度を低減させることができる。
【符号の説明】
【0041】
104 トナー吐き出し量算出部
105 トナー強制吐き出し制御部
110 印刷制御部
115 トナー消費量算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷情報に基づき画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段による画像形成を制御する制御手段と、
形成する画像の印字率に応じて、トナー吐き出しを行うための値を算出する算出手段と、を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記算出手段により算出された黒色以外の色の前記トナー吐き出しを行うための値のうちの少なくとも一つが、トナー吐き出しを行うための第1の範囲内となると、前記画像形成手段により黒色の画像の少なくとも一部に、前記トナー吐き出しを行うための値が前記第1の範囲内となった色の画像を重ねた画像を形成させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、黒色以外の色の前記トナー吐き出しを行うための値が前記第1の範囲内となった色が複数ある場合には、前記画像形成手段により黒色の画像の少なくとも一部に、前記第1の範囲内となった色の中でトナー吐き出しを行う可能性の最も高い色の画像を重ねた画像を形成させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、黒色以外の色の前記トナー吐き出しを行うための値の少なくとも一つが前記第1の範囲内となり、かつ黒色以外の色の前記トナー吐き出しを行うための値がいずれもトナー吐き出しを行う必要がない範囲内でない場合には、前記画像形成手段により黒色の画像の少なくとも一部を黒色以外の色で構成されるプロセスブラックの画像として形成させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、黒色以外の色の前記トナー吐き出しを行うための値の少なくとも一つが前記第1の範囲内となり、かつ黒色以外の色の前記トナー吐き出しを行うための値のいずれかがトナー吐き出しを行う必要がない範囲内である場合には、前記画像形成手段により黒色の画像の少なくとも一部に、前記第1の範囲内となった色の中でトナー吐き出しを行う可能性の最も高い色の画像を重ねた画像を形成させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー吐き出しを行うための値は、所定の基準印字率と画像形成される画像の印字率との差に基づき算出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記トナー吐き出しを行うための値が、第2の範囲内となった場合は、前記画像形成手段により前記第2の範囲内となった色でトナー吐き出し用の画像を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
黒色の画像の少なくとも一部に、前記トナー吐き出しを行うための値が前記第1の範囲内となった色の画像を重ねた画像を形成した場合、又は前記第2の範囲内となった色でトナー吐き出し用の画像を形成した場合は、前記トナー吐き出しを行うための値が前記第1の範囲内となった色で形成した画像分、又は前記第2の範囲内となった色でトナー吐き出し用の画像を形成した画像分に相当する値に基づき前記トナー吐き出しを行うための値を算出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−61394(P2013−61394A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198230(P2011−198230)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】